平成14年度 点訳サークル研究発表

目次

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−−はじめに−−

今日、バリアフリーやユニバーサルデザインといった言葉が広く知られるようになりました。しかし、缶ジュース、レトルト食品、瓶類等、中身のわからないものに点字表記がないという事実や、電化製品の操作ボタン部分のエンボス表示が企業によってまちまちであることなどに目を向けてみると、ユニバーサルデザイン商品自体が普及しているとは言い難いところがあります。そこで、今回私たちは、まず、より深く現状を理解するために、ユニバーサルデザインの日用品、その中でも特に家電製品数点を採り上げて調べてみました。十分に広い情報を得られたわけではないので、偏った部分もあるとは思いますが、どうぞご了承ください。

また、あわせてサークル紹介、関連団体の紹介もご覧ください。

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1.京大点訳サークルについて

ここでは京大点訳サークルの紹介をします。これを見て、私たち京大点訳サークルが普段どのような活動をしているのかということを少しでも知ってもらえれば嬉しいです。

まず点訳とは何か知っていますか?点訳とは、健常者が普段読んでいる文字(墨字)を点字に変換することです。私たちはこの点訳作業をメインに活動しています。点訳作業は各人に何かしらのノルマがあるわけではなく、やりたい人が好きな時間に好きな量だけ自由に行うことができます。

点訳の方法には、ブレ−ラーという器具を使う方法と、点訳ソフトを用いてパソコンに入力して点字プリンターで点字に変換する方法があります。私たちは主に、後者の方法で点訳しています。

また点訳するものは、日本ライトハウスという視覚障害者支援団体や、視覚障害の方から個別に依頼されたものです。随筆、詩、医学書など依頼の内容はさまざまです。

点訳作業とは別に、決められた活動として例会があります。例会は毎週月曜日、法経館地下(通称E地下)の第一講読室で18:15から行われます。例会では、作業の進行具合を報告したり、行事の計画を立てたり、視覚障害者関連の団体からの催しの告知などが行われます。年間の行事としては、コンパ、新歓ハイク、合宿、NFでの研究発表、などがあります。

京大点訳サークルでは常に、会員を募集しています。あなたも、和気あいあいとした楽しい雰囲気の中で、私たちと一緒に活動してみませんか?これを見て私たちの活動に興味をもたれた方も、今さらサークルには入れないなあと思っている方も、ぜひ一度、例会をのぞいてみてください。他の大学の人もいますよ。それでは、例会で会えるのを楽しみにしています。



点字板(真上から)
点字板(横から)
点筆
ブレーラー


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2.最新機器の対応状況

2-1. 家電製品について

共用品とは・・・

  • 1. 多様な人々の身体・知覚特性に対応しやすい。
  • 2. 視覚・聴覚・触覚など複数の方法により、わかりやすくコミュニケーションできる。
  • 3. 直感的でわかりやすく、心理負担が少なく操作・利用ができる。
  • 4. 弱い力で扱える、移動・接近が楽など、身体的負担が少なく、利用しやすい。
  • 5. 素材・構造・機能・手順・環境などが配慮され、安全に利用できる。

である。

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炊き込みご飯用や玄米用などの複雑な機能がついたものも出ているが、そのような機能は操作が複雑で視覚障害者には使いにくい。炊飯と保温のみの単機能のもののほうが使いやすいという意見や、タイマーは使いにくいという意見もあった。

その中で、ナショナルのIHジャー炊飯器SR−S05Aは大型のボタンと大きな文字で操作しやすく、液晶表示もバックカラー液晶で、弱視者にも見やすくなっている。また、炊飯ボタン(・)と切ボタン(−)に凸記号表示がつき、それぞれの報知音が違うので、視覚障害者にもわかりやすくなっている。報知音は聞き取りやすい周波数(2kHz)である。

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最近の洗濯機には、視覚障害者にも使いやすいように、ボタンに点字をつけているものがある。

例えばナショナルの全自動電気洗濯機NA−F50Y1では、電源の入、切のボタンにはそれぞれ「オン」「オフ」と点字で書かれている。また、スタート、コース、行程、水位の各ボタンにも点字がついている。また、ボタンを何度押したかわかりやすいように、各ボタンの基準点をピーというブザー音に変えてある。

しかし、点字が打ってあるものでも、そのボタンの最初の二文字(水量なら「すい」のみ、スタートなら「スタ」のみ)しか打っていないものもある。また、点字を打つ場所の問題もある。スイッチ自体ではなく、スイッチの近くに打ってある場合が多く触っただけではわかりにくいと思う。

 

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最近、特に視覚障害者向けというのでは無いのだが、耳に直接体温計をあてるとすぐ体温がわかり、音声で教えてくれるものが増えている。この点では、体温計は比較的ユニバーサル化が進んでいるのではないかと思う。

視覚障害者を意識したものとしては、検温ボタンには凸点をつけたものや、希望者には点字の取り扱い説明書を無料配布しているところもある。

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何かとボタンの種類が多く、一昔前より格段に多機能になってきた電子レンジですが、複雑な操作が不要な単機能にすることで視覚障害の方にも使いやすい道具となっています。

一例としては、運転切り替えは単純化し点字表示を、タイマーは目盛りを凸形状にして触覚による確認ができるようにしているものがあります。また、このような配慮がなされたものの操作部は、誰にでもわかりやすい回転式ダイアルが多いので、機械おんちな健常の方にも優しい機械ではないでしょうか?

参考:http://kyoyohin.org

2-2. 福祉・介護の世界で活躍するIT技術

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月10日から東京ビッグサイトで開催の「国際福祉機器店」で発表された「視覚障害者向け誘導システム」。路上に埋め込まれている点字ブロックに位置検索機能を内蔵するというものだ。このシステムは、国土交通省と日立製作所がバリアフリー対応の「歩行者ITS」の実証実験として開発したものである。利用者はICタグリーダーを搭載した白杖を使って位置情報を読み取り、自分がいる場所を確認することができるほか、音声による道案内も受信できる。八方向を確認できるセンサーによって、利用者が現在向いている方向を識別できるため、適切なタイミングで情報が提供できるという。

音声ガイドシステム「わかるんです」

今まで触感・臭い・記憶・訓練・点字等に頼るしかなかった物品の確認・識別を、音声ガイドによって助けようという商品「わかるんです」を九北エレクトロニクスが開発した。品名を録音した「音声タグ」を物品に取り付けることで物品を識別しようというものだ。あらかじめ音声タグに登録されているID番号と使用者が録音したID番号の一致を機器が認識し、それにしたがって入力内容を音声でガイダンスするしくみとなっている。音声タグに入力可能なのは品名だけにとどまらず、食品の消費期限や服の色等用途に応じて録音できるという。この音声タグは水や熱にも強く、付けたままでの洗濯や冷蔵庫、冷凍庫での使用も可能だ。この商品を実際に使っている歌手の天野亨氏は、「それまで触っただけではわからなかった食品の賞味期限が簡単にわかる上、洋服のコーディネートも容易できるようになり、『わかるんです』はいまや私の生活になくてはならないものとなっている。」と話す。現在の課題はコストダウン。中途失明者が増加している現在、低価格化が実現すれば日常生活用具としてひろく普及することになりそうだ。

4超制御装置「ライフタクト」

家電やAV機器の操作には必須アイテムとなったリモコンだが、製品自体が多機能になるにつれボタン数も多くなり、高齢者や障害者にとってはかえって使いづらいものとなっている。この問題点を解消してくれるのが旭化成テクノシステムの「ライフタクト」である。音声認識システムを内蔵したWindows CE機にリモコンとマイク内蔵スピーカー、PHSカードをセットしたこの商品を使えば、「テレビをつけて」「エアコンをつけて」といった音声で家電やAV機器の操作を行うことができるという。付属のPHSカード(Air H“)で音声による電話も可能だ。


2-3. 携帯電話とその周辺機器について

1)今出ている視覚障害者向けの携帯電話について

携帯電話に視覚障害者専用というのはない。しかし、ドコモから発売されているF671顱F671Sは、比較的視覚障害者にも使いやすいものとなっている。これらは、「らくらくホン」と呼ばれ、開発コンセプトは、「誰でも使いやすいように」というものであるが、そこに視覚障害者向けというのはなく、老人向けであるようだ。しかし、老人向けの補助が、結果的に視覚障害者にも使いやすい物となっている。

これらの機能で、視覚障害者にも使いやすいところは、まず文字の大きいことである。これは、弱視者にとってありがたい機能である。しかし、F671颪任蓮∋刻表示や、メール、メニューの文字は大きいのだが、そこから、一歩進むと、文字の大きさは通常サイズである。例えば「詳細メニューへの切り替え」という選択肢の右隅に、メガネのマークがあり、これは、メガネをかけるという意味で、以後は、通常サイズの文字である。また、颯癲璽匹蓮∩瓦小さなままである。しかし、これらは、F671Sでは改善され、颯癲璽匹眤腓な文字で見ることができる。

つぎに音声読み上げ機能である。これは、メニュー、メール、日付、時刻などを音声で読み上げてくれるというもので、全盲の人にとっても便利な機能である。また、電話帳やメニューを音声で呼び出せる機能がついている。しかし、未遂行メールは読み上げてくれるのだがメール作成中は音声がでない。これでは、ボタン確認音を頼りに文字を打つしかなく、間違っているかどうかの判断もできない。ポケベル打ちの機能がないのが、不便だという意見があるが、作成中に音声がでれば問題ではなくなる。また、颯癲璽匹砲蓮∩瓦対応していない。

さらに機能の補充をしておくと、操作ボタンが大きくなっている。また、F671颪任蓮∀型佑使いやすいようにか、方向キーが、レバーであったが、これでは、視覚障害者は、何処を捉えているのかわからず、不便である。F671Sでは、十字キーに変わっている。着信音も聞き取りやすいものをえらんでいるのだそうだ。取扱説明書も、申し込めば、点字版がもらえる。ただし、この点字版説明書は晴眼者に協力を求める必要があって、あまり役に立たないようだ。


2)携帯電話の補助機器について

携帯電話そのものでは、まだ視覚障害者向けに作られたものはないが、既存の携帯電話を補助するという形で、視覚障害者の携帯電話使用を利便化する機器が最近作られている。

その中のひとつに、携帯電話のメールを点字化して表示する機器がある。今年の9月3日に発売された、有限会社エクストラ(静岡県清水市)の「ブレイルノート46X携帯電話対応モデル」だ。これはすでに販売されている「ブレイルノート46X」に携帯電話制御ソフトを組み込んだもので、この機器をNTTドコモ系の一部の機種につなげることで、受け取ったメールを自動的に点字化し、機器に表示させることができる。さらにこの機器から点字入力し、メールを送信することもできる。またメールだけでなく、アドレス帳も点字で表示することができ、携帯電話の操作も一部この機器で行うことができる。ただ、この機器で扱える文字はひらがな、カタカナ、数字に限られているし、iモードも使うことができない。そして対応している携帯電話も数が少ないので、これからの改良が期待されるところです。値段は、税抜き461000円で、ブレイルノートを持っていれば、31500円で拡張してもらえる。

他にも、矢崎総業という会社から、NTTドコモの「らくらくホン供複藤僑沓隠蕁法徑僂硫酸蔀舎が開発中である。これは「らくらくホン供廚任牢袷瓦縫汽檗璽箸契擇譴討い覆げ酸柴匹濔紊乙’修鯤篏するもので、送受信メールだけでなく、アドレス帳、電卓、時計も読み上げることができ、環境設定を変えることで読み上げ速度を変えることもできます。また点字キーボードも付属しているので、点字入力を行うこともできます。大きさはA5サイズと小さく、簡単に持ち運ぶことができます。来春の製品化を目指しているらしい。他に、音声読み上げや、@モードメールの送受信や、ホームページの閲覧も音声でガイドする視覚障害者用PDAソフト「DTalker.Mobile Video」(ボイスリンク株式会社、クリエートシステム開発)などもある。

 総じて、やはり需要量の少なさが痛いところである。F671シリーズは高齢者向けに売れるので、(実際利用者の半数以上が50代以上)、値段は他の携帯に変わらない、というより視覚障害者は眼中にないのであるが。エクストラのブレイルノートは相当高い。また対応機種も限られている。02,5,11に行われたUDモバイルホン体験会では、静岡県立大の石川准教授を中心とするプロジェクトチームが、視覚障害者用点字携帯端末の試作品を披露したが、製品化の予定はなく、製品化について石川教授は「技術的にはどの 端末にも対応可能」とキャリア側の協力を呼びかけている。需要量の少なさは、どうしようもないところであるが、需要があるのは事実であるのだから、更なる改良、改善を望みたい。

3)携帯電話利用者の声

(慷になった事

携帯電話を使うときに困っていること

今後の携帯電話に望むこと

4)携帯電話を使った視覚障害者支援

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GPS※と携帯電話を用いた、位置案内システム。音声で現在位置を確認する事ができます。本システムを使用することで、視覚障害者や高齢者が屋外で現在位置の確認をできます。

a)しくみ

∋覲仂祿下圓FOMAを活用   全盲の長谷川貞夫さんが外出支援実験

日本点字図書館評議員で全盲の長谷川貞夫さん(67)が、NTTドコモの第3世代携帯電 話「FOMA」の発売初日、2台を購入した。1台を長谷川さんが持ち、もう1台をボランティアが持つ。必要な時にボランティアに電話を掛け、FOMAを通じて周囲の状況を見たボランティアが長谷川さんの「目」になるシステムを実験するためだ。(扇沢 秀明)

■逆転の発想

「販売店の人には『なぜ目の見えない方が動画携帯電話を、しかも2台?』と不思議がられました」と長谷川さんは笑う。「視覚障害者が外出するには、傍らに介助者がいなければ不便です。しかし、テレビ電話があれば、介助者がどこにいても、私の目になってもらえる。新しい可能性があると思います」と話す。視覚障害者が動画電話を活用する、逆転の発想の試みだ。

長谷川さんは子供の頃から視力0.1の弱視で、青年期に失明。早くから情報機器の活用に取り組み、81年にはパソコンによる点字日本語ワープロを開発、86年には点字毎日文化賞を受賞した。視覚障害者への情報機器活用の第一人者として活躍している。

視覚障害者の外出には様々な困難がある。点字ブロックをつたって目的地まで出向く場合、歩道上の放置自転車が危険になる。目的の建物や店舗の場所を覚えていても、そこが郵便局かコンビニか、聞かないと分からない。買い物に行った場合、缶ビールなど一部の缶飲料には点字表記があるが、大半の商品にはない。銀行ATMもタッチパネル式が増え視覚障害者にはかえって不便になった。

■おにぎりの具が見えた!

長谷川さんが最初に購入したFOMA端末は「P2101V」。折畳式で、ちょうつがいの軸の部分にカメラがある。端末を手に持ち、対象物に向けるので、ボランティアとは端末にイヤホンとマイクのセットを付けて話す。

コンビニで買い物をする実験では、おにぎりの棚に行きラベルをFOMAで写した。イヤホンを使ってボランティアと「もっと右」「少し上に向けて下さい」などと方角や距離を確認する。今まで分からなかった「シャケ」、「たらこ」などおにぎりの具が「見える」ようになった。駅のエスカレーターや階段の場所を見つけたり、一歩間違えると重大な危険を伴う電車の乗降口がどこかなどがわかり、スムーズに交通機関を使えるようになった。

新聞やテレビなども「読める」。長谷川さんはFOMAを買って間もなくの昨年10月22日、日本点字図書館ボランティアの古川愛子さんを通じて、米軍のアフガニスタン攻撃のテレビニュースを「見た」。古川さんは「FOMAの液晶画面でもテレビがよく見えました。今、飛行機が飛んでいます。兵士が3人歩いています、などと画像を伝えることができました。アメリカ人やアフガニスタン人のインタビュー字幕まで見えて、内容を伝えまし た。と、振り返る。

新聞を読む時は、FOMAを筆のようにして持ち見出しや本文など字の大きさに応じて2、3センチから4、5センチぐらいの距離を取りゆっくりと動かすと相手が読みやすいという。

■低コストで全国的な普及が可能

長谷川さんは交通機関、店舗、公園などと場所を変え今まで14回、外出支援実験を繰り返し、視覚障害者の会合で紹介してきた。「インターネットなどを通じてボランティアのネットワークを作れば、いつでも善意の人がすぐ隣に来てくれるのと同じ体制になる。道を歩いていて危険を感じた場合にSOSしたり、商店に入って値段や色、服なら似合うかどうかを聞くこともできる。無限の可能性があると思います」と、長谷川さんは支援ネットワークづくりを進めたい、と話す。

今までも視覚障害者に対する支援技術は開発されてはきた。道路にチップを埋め込み、視覚障害者の持つ白杖の先にセンサーを付けて誘導する試み。施設内部の各所や野外に受信機を設置し、利用者が手にした端末を受信機に向け、「トイレ」「玄関」などと声で誘導する赤外線音声情報システム。しかし、いずれも特定の地域や施設では有用でも、全国的に普及させるには、膨大な設備投資が必要だ。

FOMAを使えば「既存の一般商品をそのまま使え、障害者用に特化した新しい設備を作る必要がない」と、長谷川さん。固定式のテレビ電話を付けた福祉施設も各地にあるが、出向かないとサービスが受けられない。モバイルの利点だ。

■もっと障害者が使いやすいデザインを

FOMAは現時点ではエリアが狭く、通話料金、端末ともに高い。また、各種ある端末は現在10万から11万画素。暗がりや夜には弱く、「視力0.1で夜盲症」(長谷川さん)の状態だ。NTTドコモマルチメディア研究所の中野博隆所長は昨年12月のシンポジウムで「1.0程度にするためには、画素を大幅に増やさなくてはならず、残念だが現時点では苦しい」と述べた。

さらに、各種端末が必ずしも視覚障害者にとって使いやすくないことも課題だ。各種操作を液晶画面を通じて行う仕組みだと、音声読み上げがないと視覚障害者にはわからない。また、キーにふくらみがあると触覚でわかりやすくなるが、配慮されていない機種もある。また、短縮ダイヤルもある機種とない機種がある。

長谷川さんはP2101VとD2101Vの2種の端末を持っているが、一長一短あるという。「動画機能付き携帯電話は視覚障害者だけでなく、聴覚障害の方が携帯メールを送ったり、手話で電話できたり、と広く活用できる。通信各社が第3世代端末を出し始めた今、様々な障害のある人が使えるようなデザイン規定を早く実現してほしい」と長谷川さんは訴える。

5)結語

視覚障害者向けの携帯電話、周辺機器、サービスなどは技術的には可能だが実用化されていないものが多いのが現状です。実用化にとっての最も大きなハードルはコスト面での問題でしょう。「視覚障害者用」携帯電話を作っても利用者は限られ、従って採算が取れないという事です。しかし、最近の携帯電話機能の急激な進歩・多様化の中においては、全ての人にとって使いやすくというユニバーサルデザインの考え方がもっと普及すれば、この問題も解決されるのではないかと思います。


<参考文献>「ノーマライゼイション」2002年 
        日本障害者リハビリテーション協会 野原昭郎編集



2-4. パソコンおよびその周辺機器と視覚障害者

1)はじめに

近年、ITの普及には目覚ましいものがある。パソコンが家庭に、会社に、学校にものすごい勢いで行き届き、だれでも簡単にきれいな文書を作ったり、データを整理したり、最新の情報を得たり、情報交換をしたりできるようになった。また、パソコンに限らず、携帯電話、MD、デジタルカメラ等々、最新技術を駆使した便利な物はどんどんと生まれてきている。ITなくしては私たちの生活は成り立たないと言っても過言ではないくらいにあらゆるところでIT技術は利用されている。

 しかし、ITは健常者の生活を豊かにするだけのものではなく、障害者がより生活しやすい環境をつくるのにも生かされている。そして、視覚障害者もその例外ではないのである。

2)様々な情報機器

ここで、どういったハードウェア・ソフトウェアがあるのかをみてみたい。

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読み上げソフトにも様々ある。代表的な物として、ホームページリーダーというホームページ上のテキストを読み上げる物がある。他にもメールを読み上げる物や、一般の文章を読み上げるソフト、ウィンドウズの操作画面から読み上げるソフトなどもある。また、その読み上げる日本語も最近は自然な日本語に近くなってきている。

音声入力

読み上げソフトとは逆に、声でパソコンの操作や入力をすることができるソフトもできている。これはもともと視覚障害者向けにつくられたものではないが、操作画面や入力画面が見えないので、マウスを用いて操作するよりは確実で便利である。

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上の二つは視覚障害者でも全盲の方に有効なものであるのに対して、拡大ソフトは弱視者向けのものである。単に画面を拡大するのでは、文字などが粗くギザギザになって見にくくなってしまうが、それをなめらかに見やすくなるよう修正するものもある。

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文書を点字にして打ち出すプリンタである。点字にして打ち出すには、テキストデータなど一般の文書データでは無理で、点字のデータにしたものでなければならない。他の機器に比べると昔から存在するものであるようだが、最近は小型化、高速化、廉価化が進んでいる。

また点字プリンタとは少し違うが、点字ディスプレイというものもある。これは、単なる文字ではなく、パソコンの画面そのものを、触ってわかるようにした点で表現したディスプレイで、これでマウスカーソルの操作なども行えるようになっている。

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パソコンからは少し離れるが次のようなものもある。

・CD読書機

CD図書を読み上げてくれる機械。パソコンのように複雑な操作をしなくてよいことや、場所をあまりとらないことが利点である。

・SPコード・スピーチオ

SPコードは文書を下のような砂模様のコードにして情報を収める技術である。情報の密度が高く、18个寮喫形の中におよそ800字分の日本語を格納することができる。そして、紙の隅につけられたコードをスピーチオという機械が読みとり、読み上げる。

このコードをつけるのは、パソコンさえあれば、コードに変換するソフトは自由にもらえるので誰でも簡単にできる。そして、読み上げはパソコンがなくても、面倒な操作なしにスピーチオで行えるのである。紙という一番普及しているメディアを視覚障害者も晴眼者と変わらずに利用できるようになるのである。


3)情報機器を利用することの意味

上で見てきた様々な情報機器は単に、視覚障害者の生活を便利なものにするだけではない。これまでは晴眼者は墨字を、全盲者は点字をそれぞれ使用してきた。しかし、全盲者は墨字を理解するのは難しかったし、晴眼者にとっても点字は自ら学ぼうとしないかぎり、なかなか理解する機会はないもので、そこにはコミュニケーションの断絶があったといってもよい。しかし、これらの情報機器は、例えばパソコンという共通の機器を用いて同様の情報が得られるのである。そのことによって、両者のコミュニケーションはよりスムーズになるのではないだろうか。もちろん、同様の情報といっても限界はあるだろう が。

4)情報機器の問題点

一方で、これら一見便利と思われる最新の情報機器にも問題がないわけではない。

その理由として、まず、要求される技術や知識が高度化されるということが挙げられる。便利になっていく一方で、機械の複雑さはましそれを使いこなすには努力を要するのである。そして、それを使いこなせる者と、そうでない者とでバリアが生じてしまう。バリアをなくすためのものが、新たにバリアを生み出すという皮肉なことにもなりかねないのである。

また、音声操作などには限界があり、コンピュータのトラブルが発生した場合、音声操作では対応しきれないこともある。

さらに、視覚障害者に対する配慮のないウェブサイトも増えてきている。これはADSLなどの高速回線の普及によって、画像をふんだんに取り入れられるようになったためである。

5)終わりに

上に挙げた問題点を解決するためにも、ユニバーサルデザインと法整備の確立がのぞまれる。そして、健常者だけではなく、これからは障害者に対しても望む人にはIT講習会などを開き、できるだけ多くの人に情報機器を使いこなせるようになることが必要になってくるのではないだろうか。それが情報のバリアフリーを実現する一歩となるのではと考える。

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3.その他関連団体

3-1. あかとんぼ

「あかとんぼ」とは,関西の学生や社会人,視覚障害や肢体不自由などの身体障害をもつ方やもたない方が,2か月に1回集まって,遊びに行くという集まりです。毎回の行事には50人〜100人が参加します。京大点訳サークルからも多くの人がが参加しています。

「あかとんぼ」は,1977年に三上洋さんら視覚障害の方々が,海・山・川などに遊びに行くときに晴眼者の目を借りるという形で始めました。現在は,京大点訳サークルを含む関西の大学サークルや社会人の方の中から,毎年数人のあかとんぼ責任者(あかとんぼ行事の企画者)が出て運営しています。

ちなみに今年はこんなことをやりました。

12月は22日にクリスマス会を予定しています。また,毎回の行事のときに,参加者でつくる「やご」(あかとんぼの機関誌)を参加者全員に配布しています。

「あかとんぼ」の目的は,障害者と健常者との交流の機会を増やし,お互いの理解を深めることによって,障害者が外に出て行きやすい環境を作るというものです。晴眼者がアイマスクをつけて歩くなど,視覚障害理解のための試みもしています。毎回の行事は和やかな雰囲気で,参加者はみな様々な人たちとの交流を楽しんでいます。

もし「あかとんぼ」に興味を持たれたなら,掲示板もしくはトップページの連絡先にお問い合わせください。

3-2. 関西SL

関西SL。SLと言っても、例の蒸気機関車ではなく、Student Libraryの頭文字をとったものです。

関西SLは、関西圏の大学に通う視覚障害学生の支援団体で、当事者である視覚障害学生と関西圏の点訳サークルの学生の協力のもとに成り立っています。発足は1971年。約30年の歴史を持っています。発足当初は視覚障害学生に点訳教科書は保障されていなかったため,大学の点訳サークルが点訳した教科書を関西SLの所有物とし,視覚障害学生に貸し出ししていました。つまり関西SLは学生にとっての点字図書館のような役割をもっていたので,Student Libraryという名前になったのです。

京大点訳サークルでも、行事の参加者として、また、SLを運営する役員として、積極的にSLの活動に参加しています。

関西SLは主な活動として、視覚障害学生が大学で学習、研究する上で不便な学内環境の改善を、大学側に求めてきました。去年には、各大学の学内環境が、視覚障害学生に合うよう、整備されているかチェックするアンケートを実施しました。

年に4回の学習会では、講演やディスカッションをしています。ディスカッションの場では、全盲の人も、弱視の人も、晴眼の人も、日頃から思っていることや、他の人の話を聞いて感じたこと等を自由に語り合い、視覚障害学生の学内環境の改善などについて考えていきます。そうやって、視覚障害者と晴眼者の多面的理解を深めるとともに、各大学の点訳サークル間での情報交換や、問題解決をはかっているのです。そのために、交流会や、年に2回の合宿も実施しています。

私たちの今年度のテーマは、「心のバリアフリー」です。日常生活や就職、人間関係などについても考えていくことで、この「心のバリアフリー」を社会に広げていきたいと思います。

もし、興味のある方がいらっしゃいましたら、掲示板もしくはトップページの連絡先にお問い合わせ下さい。

2002年度11月祭

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