平成12年度 点訳サークル研究発表

京都大学点訳サークル

目次

1.制度

1-1. 障害者手帳

身体障害者手帳の交付を受けることにより身体障害者と認定されます。身体障害者手帳は、身体障害福祉法にもとづき、障害のある方からの申請により、交付されます。視覚障害の交付対象者の範囲は、次にあげる視覚障害で、永続するもののある方です。

また、障害の程度によって1級から6級までに区分されています(他の障害では7級までのものもある)。京都市における視覚障害に対する身体障害者手帳の交付数は、6,812(平成12年3月末現在)です。この手帳を持つことによって、級数により様々な障害者福祉施策を受けることができます。視覚障害者のみに対するものとして、主に以下のようなものがあります。

このほかにも、公共施設や公共交通機関の割引などが受けられます。

1-2. ガイドヘルパー

上に挙げたような物的・人的支援制度の中で、視覚障害者の日常生活において特に重要なものの1つがガイドヘルパーの制度です。視覚障害者の不自由は大きく2つに分けられます。ひとつは、「情報の不自由」であり、視覚に訴える情報を得る困難です。もうひとつは「行動の不自由」であり、数少ない情報に基づいて行動すること、情報を求めて行動することの困難です。ガイドヘルパーは行動の不自由を改善します。

ガイドヘルパーには市町村が主体となって行う公的サービスと民間のボランティアグループの2種類があります。

公的サービスの内容は市町村によって異なり、サービスを行っていない市町村もあります。(50%以上の市町村は制度がありませんが、市に限って言えば約70%に制度があります。)公的サービスのメリットとしては有償であることが挙げられる。川崎市ではガイドをするにあたり1時間960円の活動費が出ます。市から障害者の方に1か月72時間分のガイド券が配られ、こちらがガイドした時間分だけ障害者の方から券を頂き、それを1か月分まとめて市に請求するシステムになっています。逆にデメリットとしては活動時間や公的機関に限るなどの制限がある場合があることが挙げられます。

一方、民間のボランティア団体としては、全国視覚障害者外出支援連絡会( JBOS:ジェイボス)などが挙げられます。JBOSは、1999年11月現在37グループが参加する全国ネットです。インターネットを活用して視覚障害者からニーズをコーディネートしたり、ホームページを作成して情報発信も行っています。ひとり旅を支援するため独自の旅の企画もしています。活動には特に制限はなく、個人的な趣味・数日に及ぶ遠出もボランティアの都合があえば可能です。

2.移動

2-1. 設備・道具

2-1-1. 点字ブロック

視覚障害者誘導用ブロックは、主に足の裏の触感覚を利用して、視覚障害者の利便性の向上に役立てることを基調として考察、開発されたものです。

視覚障害者が道路上に設置された視覚障害者誘導用ブロックの存在を確認する方法としては、足の裏の触感覚以外にも白杖を通して手の触感覚や、反射音等の聴感覚があります。また、一部の視覚障害者誘導用ブロックの色(主に黄色)と周辺路面との色の違いによっても識別が可能です。

視覚障害者が道路を歩行する場合、施設や道路構造等の一般情報や、同一経路の歩行経験、歩行前、歩行中の道路案内等の個別情報を持って道路を歩行しています。視覚障害者誘導用ブロックは、これら大まかな情報を持って道路を歩行している視覚障害者に対して、より正確な歩行位置と歩行方向を現地で案内するための施設です。

視覚障害者誘導用ブロックには、線状ブロックと点状ブロックの二種類があります。線状ブロックは平行する線状の突起をその表面につけたもので、主に誘導対象施設等の方向を示しています。点状ブロックは点状の突起をその表面につけたブロックで、主に注意すべき位置や誘導対象施設等の位置を示しています。

2-1-2. 音響信号

これは、交差点を利用する視覚障害者に青信号の状態と、東西南北を音によって知らせるものです。都道府県によって音が違うと混乱するという問題点がありましたが、今後は全国的に統一されていくようです。

2-1-3. 白杖

以下の3つの目的で白杖を利用します。

1:安全性の確保
白杖で1、2歩前方を確認し、物体や段差等を判断することによって、身体を保護することができる。

2:情報の入手
路面の変化、ランドマーク等の情報を入手することができる。

3:視覚障害者としてのシンボル
自動車の運転手、歩行者等、周囲の人達の視覚障害者に対する注意を喚起することができる。

2-1-4. 触地図

触地図は、視覚的ないわゆる地図を視覚障害者用に供するため考案されたものです。触地図においては視覚的地図に比べて、その形状を非常に単純化した物でなければならなりません。より多くの情報をより単純化した形で伝えることが触地図の基本です。触地図は、その盛り込まれた情報のタイプによっていくつかの種類に大別することができます。

1)ルートマップ(線的地図)
一つの地点からもう一つの地点までのルート(道順)が、線的に強調して表現されているものです。そのルート上には、必要なランドマーク、歩車道の有無、危険箇所等、歩くために必要な情報は表されています。しかし、他の不要な区画はカットされ、交差する道路が部分的に表現されているだけの非常に個人的なものもあります。

2)生活用の地図(面的地図)
ある環境において、生活に必要なランドマーク、目的地等が詳細に記されている地図です。

3)一般的な地図
これは、従来の視覚的地図を触地図化したものである。一般的には専門家によって作製されたものが多い。1)のルートマップ、2)の生活用の地図が比較的個人的な地図であるのに対して、これは一般的な地図といえます。

2-2. 視覚障害者の歩行

あなたは目を閉じたまま道を歩いた事があるでしょうか。普通そんなことをすれば、あちこちにぶつかるだけでなく、たちまち自分の位置がわからなくなってしまうでしょう。ところが、視覚障害者の方はそれでも一人で道を歩き、通勤通学し、時には遊びに行ったりします。では、視覚障害者の方はどのように迷うことなく道を歩いているのでしょうか。

視覚障害者の方が道を歩く際に最も頼りとするのは音です。車の流れの音で自分が通りにいる事を知り、その音が交錯し、信号の音がする交差点をたどって進んでいけばだいたいの位置は分かります。

また、白杖や足の感覚も頼りです。坂や路面の種類で自分の位置はわかります。歩道でも、点字ブロックだけでなくガードレールや自転車道との境の敷石が、進行方向を示し段差が車道との境を示します。それに対して、路地などでは側溝や塀が利用できます。個人差が大きいですが、開放感や閉塞感、空気の流れや匂いからも判断できるそうです。

そして、目的地を探す方法ですが、点字ブロックや誘導チャイムがあれば最高ですが、ない場合でも、「側溝のふたが途切れた所」といったようにいろいろ工夫されています。もちろん、知らない場所では人に尋ねる事になります。

このように、視覚障害者の方も道を歩いているのですが、もちろん、それには困難や危険も少なくありません。

まず、白杖では道路標識のように下方に空間の空いているものは察知できません。逆に地面のでこぼこや、自転車などは白杖を引っ掛けてしまい白杖を腹に突き立ててしまったり、白杖を折ったり、転倒したりもします。たとえ、白杖に当たっても駐車車両とかのように普段はないものだと、意表をつかれて反応しきないこともあります。また、無事に障害物を見つけても、文字通り手探りで回避手段を探る必要があります。

他にも、会話に夢中の学生やおばさんが道を空けてくれないなんてこともありますが、中でも、転落の恐れのある溝や音もなく接近してくる高速の自転車などは、大怪我の恐れもあり大変な脅威です。

では、視覚障害者の望みとは何でしょうか。音響信号や点字ブロック、誘導チャイムなど専用の設備はもちろんです。しかし、それと同じ様に平らで障害物のなく、自動車や自転車の脅威のない安全な道を望んでいるのです。確かにそれらは改善されて来てはいます。しかし、残念ながら現状では視覚障害者の方にとって道を歩く事は一種の冒険です。「もっと安全に歩けるようにしてほしい」それが視覚障害者の方の願いなのです。

最後に弱視の方についてですが、ある程度の視力のある方ならば点字ブロックなどの誘導があれば比較的普通に道を歩けます。ですが、最近の歩道では点字ブロックに黄色でない上、紛らわしいラインがあったりして惑わされてしまうとのことです。また、夜間の無灯火の自転車を見つけられず危険な目に会うことも多いそうです。全盲にもまして世間の意識の低い弱視者の方への配慮も忘れてはならないでしょう。

2-3. 視覚障害者やサポート者の声

上りの階段は確かに疲れます。もしも転んだ場合、上りの階段であれば前に手をつけば良いのですが、下りの階段で転んでしまったら大怪我をする恐れがあります。視覚障害の方は、「下り階段は本当に怖い」とおっしゃっておられます。

前から引っぱられるのも怖いし、後ろから押されるのも怖いんですよ。 腕や肩に捕まらせてあげるのが一番良いんですけどね

出かけるときは友人と出かけるという人や、一人の方が気が楽という人が多くいました。しかし、初めてのところに行くときはガイドヘルパーを利用するという人もいました。その他、夜の手引きが欲しいという意見もありました。

もしみなさんが町で障害を持っている人に出会ってその人が困っていたら優しく手を貸してあげて下さい。たとえば、車椅子を使っている人がいてうまく行けそうになかったら「だいじょうぶですか?」と聞いたり目の見えない人が道を聞いてきたら「あっちです、こっちです」と言うのではなく「左です、右です」などのように詳しく教えてあげて下さい。

また盲導犬がハーネスをつけている時は仕事をしている時です。盲導犬の仕事中にだれかが、声をかけてしまうと盲導犬は気が散って仕事ができなくなってしまいます。

それからみなさんも見たことがあると思いますが、よく道に黄色いぼつぼつした物が付いていると思います。これは目の見えない私たちが使う誘導ブロックです。これをたよりに私たちは道を歩くことができます。

ところが誘導ブロックの上に自転車を置いている人がいます。誘導ブロックの上にものが置いてあると私たちは安心して道を歩くことができません。それどころか自転車を倒してしまう時もあります。そんな時、私たちは何の責任もとれません。ですから、誘導ブロックの上には絶対に自転車などを置かないようにしてください。ご協力お願いします。

2-4. 盲導犬

盲導犬とは、視覚障害者を安全かつ快適に誘導し、歩行の援助をする犬のことです。盲導犬は、第一次世界大戦後、ドイツで本格的に育成が始まり、日本では1950年代から育成が始まりました。

盲導犬として訓練を受ける犬は、生後約1ヶ月半から12ヶ月まで、パピーウォーカー(飼育奉仕者)と呼ばれるボランティアの家庭に預けられ、家族の一員として育てられます。そして1才になると訓練センターに戻り、平均半年〜1年の基礎的訓練を受け、盲導犬としての適正を認められると、次に視覚障害者との共同訓練に入ります。1ヶ月〜1ヶ月半の共同訓練が修了すると、いよいよ視覚障害者と盲導犬の共同生活が始まります。

盲導犬を使用する視覚障害者の中には、「ハーネスを通して青空を見ることができる。」と言う人もいれば、「盲導犬を失った時、再び失明したと思った。」と言う人もいます。盲導犬使用者にとって、盲導犬の存在は非常に大きなものなのです。

1996年に厚生省が行った調査によると、日本国内の視覚障害者数は30万5千人とされています。ところが、盲導犬の数は800頭にすぎません。日本で盲導犬事業があまり進まない理由として、社会の理解がなかなか得られないということがあります。盲導犬を伴っているためにホテルやレストラン、タクシーなどの利用を断られるといった社会的不利益は、まだまだ解消されていません。

もし街で盲導犬を見かけた時は、私たちはどのように対応すれば良いのでしょうか?それには主に次の3つがあります。

まず、盲導犬を連れていて、不便に感じることですが、合法化されているとはいえ、盲導犬と共に飲食店に入る際入店を断られたり、地下街を歩いていて警備員に呼び止められたり、神社への入場を注意されたりすることが時々あり、がっかりすることがあります。

これらは「盲導犬に対する知識・理解の不十分さ」から来るもので、一つ一つ粘り強く説明して理解を求めるよう心がけています。

また、都会暮らし独特の悩みとしては、梅田・難波などに出かけると、犬のお手洗いの場所(一畳くらいの土がある所)がなかなか見つからず、四苦八苦することがあります。

以上私がこのような現状をふまえて行政(特に厚生省)に対して思うことは、盲導犬使用者にも使いやすい公共交通機関の施設整備に取り組んでいただきたいということです。 例えば盲導犬のトイレの場所を確保するように施設管理社に指導するとか、駅ビル内の飲食店が盲導犬同伴の入店を拒否した場合には、厳しく指導するとかです。

今月15日に「交通バリアフリー法」が施行されました。しかし、その中に盲導犬使用者の移動の確保について触れられた個所はありません。

現在、視覚障害者の注目を集めているこの法律に関連する問題の一つとして上記のような点を指摘したいと思います。

一方、盲導犬使用者になって良かったことは快適に安全に街を歩くことができるようになったこと、家族内での会話が増えたこと、自分の兄弟ができたように思えることなどです。

3.公共交通機関

3-1. はじめに

バス、電車(地下鉄を含む)、タクシー、知り合いの自動車による送迎の中から普段最もよく利用する交通機関を聞いたところ、バスまたはタクシーという答えが多く、逆にほとんど利用しない交通機関を聞いた場合も、タクシー、電車、バスが多く挙げられました。どの交通機関にも、それぞれ長所と短所があるようです。そこで、それぞれの公共機関についての主な意見をまとめてみました。

3-2. 交通機関の対応

3-2-1. JR 京都駅

3-2-2. 阪急 河原町駅

3-2-3. 叡電 出町柳駅

3-2-4. 京阪

3-2-5. 近鉄 京都駅

3-2-6. 京都バス 本社

3-3. 電車(地下鉄)

視覚障害者のための設備には、点字ブロック、誘導チャイム、料金などを表示する点字シール、触地図・点字案内板などがあります。この中で、点字ブロックと誘導チャイムはよく利用するという方が多かったのですが、触地図・点字案内板はほとんど利用されていないようでした。特に必要がなく、「分からないときには人に聞くから」というのが主な理由のようです。また、おそらくいたずら目的のために、点字シールをはがす人もいるそうです。

電車に乗り込む時や乗り込んでからの不便なことは、バスの場合と共通するものが多くありました。その他には、「車内放送の音が悪く聞き取りにくい」「電車とホームの間が広くあいているときや混雑しているときには手引きがあっても危ない」など問題がありました。

電車を利用するためには、切符を買う、改札を通る、目的の電車が到着するホームへ行く、必要に応じて並ぶ、乗り込むなどの沢山の過程が必要です。電車をよく利用する方の場合では、駅員が気付いて手引きをしてくれることもあるそうですが、分からないことがあったときに他の利用客に聞くと、すすんで手引きをしてくれることも多く、最近では、電車に乗るときは設備の充実よりも周囲の人の協力が大きな助けになっていると言えそうです。

3-4. バス

まず、バス停をどのようにして見つけるか、ということについては、点字ブロックやバス停の「まもなく、○○系統のバスがまいります」などの音声を手掛かりにするという意見が多くありました。しかし、点字ブロックが車道側の一部にしかなく、初めて利用するバス停は素通りしてしまうこともあるようです。

バス停に着くと、さまざまな行き先のバスがやってきます。どのバスに乗るかは、バスの入り口で放送される案内を聞くわけですが、道路の音にかき消されて放送が聞き取りにくいことや、時にはバスが放送していない時もあり、バスの行き先が分かりにくいことが多いようです。

バスの時間は、本数が多いので気にしていない、よく使う時間帯については記憶している、必要な時は問い合わせるなどの意見が多く、特に不便に感じることはないようでした。(京都のバスは時間通りに来ないということも原因の一つかもしれません。)

次に、バスに乗り込む時のことです。バスのドアの位置は、白杖でバスのボディーを伝って探すほか、音や人の流れが手掛かりとなります。バス停の周りに駐車車両があり、バス停から離れたところにバスが停まると、目的のバスが来たことに気付かず、乗り過ごしてしまうこともあるそうです。

バスに乗ると、前に移動し空席があれば座るわけですが、床においてある荷物につまずいてしまう、座席が横向きになっているバスでは、手すりが無く移動が困難なこともあります。また、空席にいてはほとんどの方から空席があるかどうかはわからないことが多く、人に教えてもらうととても嬉しいし助かる、という意見がありました。

他に、バスの車内放送が聞き取りにくいのではないのかと思っていたのですが、これは最近ではかなり改善されているそうです。

これまで、バスの不便な点を多く挙げてきましたが、バスを最もよく利用するという方にその理由をうかがったところ、

などの意見がありました。

3-5. タクシー

タクシーはよく利用する人と、しない人の差がかなり大きく現れました。その理由として以下のようなものがありました。

3-6. その他の交通機関

その他、飛行機に乗った時の感想は、空港が複雑で位置が把握しにくい、白杖を預けなければならないのが困る、というものが多くありました。その一方で、カウンターに行くといろいろ教えてくれたので特に問題はなかった、という意見もありました。

3-7. 視覚障害者やサポート者の声

公共交通機関には、設備面でもちろんまだ改善すべき点はあります。しかし、先に述べたように今の段階では、設備よりも周囲の人々のちょっとした協力が重要な助けになっているようです。

以下に実際の経験談を挙げておきます。

私の隣に座っている男の人が独り言のように「うるせえなぁ」と言いました。静かな車両の中で視覚障害者達の声が響渡っています。耳の遠い人が自然と大声になるのは知られていますが、視覚障害者もみんな大声です。相手がどこにいるのかわからないから、自分の声が聞こえているかどうかが確認できないのです。だからちゃんと自分の話が伝わるようにと自然と大声になってしまうのです。

私は運転手に「盲人が乗ったんですよ。危ないじゃないですか」と抗議しました。その人はうるさそうな顔をして「大丈夫ですから」とまた言い、そっぽを向いてしまいました。何が大丈夫なんでしょう。その人も私も大丈夫かも知れない。けれど、盲人はバスが揺れて倒れそうになっても掴まれない、掴むところが見えないんですよ!!

4. 情報

4-1. 新聞

最近はインターネットで、音声ソフトを使って新聞を読む視覚障害者も増えているようですが、古くからある点字新聞に、毎日新聞社が週刊で発行している「点字毎日」があります。大正11(1922年)5月11日に創刊以来、戦争中も発行を続けました。'69年からはハンセン病で失明し指の感覚を失った人たちのために「声の点字毎日」を無料で提供。また'94年からは「フロッピー版点字毎日」も創刊。'98年には「活字版点字毎日」も創刊し、弱視者も読みやすいようになりました。

京都市民しんぶん

京都市では、視覚に障害のある方への市政情報の提供を目的として昭和46(1971)年8月より市民しんぶん点字版・弱視版(拡大版)の発行、'88年6月からは声の市民しんぶん(テープ版)の発行を開始しました。視覚に障害のある方向けの情報を中心に、市民しんぶん当月号から選択された記事を掲載しています。

4-2. 郵便局

設備面においては、道路から出入り口に至る通路 2階窓口局にみる整備 ATM等があります。

出入り口への通路
微少な段差の解消や、階段部分の手すりの設置、点字ブロックの使用、スロープ等がある。

2階窓口局にみる整備
2階窓口局においては、エレベーター エスカレーターの設置をしている。又、局舎入り口からエレベーターへ点字ブロックで誘導し、エスカレーターの乗降口には手すり等を設置している。
ATM
昭和59年の設置以来、点字及び音声による視覚障害者対応ができていたが、視覚障害者の申し出により、バリアフリーの為のガイドラインを設け、電話式キー配列に統一し、タッチパネル方式のものには、電話式キーを併設するようになった。
その他
地域の状況に応じて「音声誘導装置」等の設置も行っている。

郵便に関しては青い鳥郵便はがき、郵パック、ひまわりサービスがあり、無料で利用できる物が多くあります。

はがき
視覚障害者の為のはがき「青い鳥郵便はがき」があり、視覚障害者が郵便はがきの表裏、上下、が分かるように、表面左部の一部に半円形のくぼみが入っていて、無料で利用できる。
ゆうパック
3キログラムを超えなければ無料で利用ができる。時間指定は無いけれども出荷サービスもしてもらえる。
ひまわりサービス
郡部においてのみのサービスだが、黄色の旗を玄関に掲げておくと、郵便配達の局員が立ち寄って無料で用件を聞いてくれる。これはお年寄りも利用できるサービス
その他
点字不在配達通知カード、郵便ポスト及び郵便切手はがき販売機への点字表示、障害者の為の郵便料金の軽減等がある。

貯金、保険に関してのサービスには以下のようなものがあります。

通帳、キャッシュカード
申請すれば点字用のものを発行してくれる。
保険の申し込み  
局長承認の元に代書をしてもらえる。 これらのサービス以外にも全て点字で書かれた「郵便サービスの案内」 「貯金案内」 「簡易保険」 「業務案内」等がおいてあり、郵政省の取り組みとして、全ての郵便局に手話ができる局員をおくようにし、介護サービスも将来的にできるようにと介護福祉士の養成も行われています。

4-3. 墨字の読み書きサービス

墨字の郵便物は、家族や友人に読んでもらったり、ライトハウスに頻繁に出入りする人では、ライトハウスの読み書きサービスを利用して読んでもらうという人がほとんどでした。その他、活字のものはスキャナで読みとって、音声に変換するという方法もあります。

4-4. 携帯電話

近年、携帯電話が普及しています。通話はもちろん、メールやインターネット、ゲーム等、様々な機能がついています。視覚障害者の方には一体どのように携帯電話を使っているのでしょうか。

弱視の方の場合、文字の大きいものや画面を拡大できるものであれば、大体の機能を利用できます。全盲の方は、メール、インターネット、その他の画面にうつった文字を見るような機能は使うことができないので、大体通話を利用します。電話をかける時、相手の番号を知る方法は、覚えている、点字で書いたメモを見る、目が見える人にメモリーをチェックしてもらう、機種によれば、メモリーを読み上げる機能が付いている等です。

携帯のおかげて、電話ボックスを探す手間が省けるとか迷子になった時助かる等、便利になったと思うのは青眼者と変わりません。

4-5. パソコン

視覚障害者の方が情報化社会の中でそれを取得する手段のうち、もっとも幅広い用途をもち、またもっとも大量の情報を有するのがコンピューターではないでしょうか。 今日では、様々な視覚障害者用のソフトウェアが販売、配布されており、インターネットやメールを使いこなす方も多いそうです。

ユーザーの多い主な視覚障害者用ソフトウェア、ハードウェアの概要をまとめてみました。

音声化ユーティリティ

画面上の情報を読み上げるツール

PCトーカー(高知システム開発蝓
クリップボードやマウスの操作支援機能、点字入力、エディタ機能等を標準装備している。Windows画面読み上げソフト。高齢者、視覚障害者向け。

ホームページリーダー(IBM)
インターネットのホームページのテキスト部分を読み上げてくれるソフト。リンクをたどってネットサーフィンをすることができる。

Pro TALKER(IBM)
Windowsでの発生機能を音声で読み上げてくれるソフト。

2000リーダー/98リーダー(NEC)
Windows2000、98の操作を音声で読み上げるソフト。入力文書の説明、CD−ROM辞書の読み上げも可能。

点訳ソフト

晴眼者のための点訳ソフト

WIN−BES(IBM)

Windows環境で点訳ができるので、最新機種での点訳作業が可能。マルチタスクで点訳ができるため、点字編集作業を行いながら、点字・墨字印刷したり、市販の辞書ソフトを使って辞書検索などが同時にできる。

ワープロ・エディタ

MY WORD(高知システム開発蝓
音声ガイドつきワープロ。操作に必要な全ての機能を音声でガイドしてくれる。六点キー、フルキー両用で漢字も音声で認識可能。

マウス拡張ツール

マウスの操作方法を改善するハード

スクロールマウス(セルサス)
スクロールボタンを持つマウス。画面スクロール操作がボタンだけで可能。

音声入力ソフト

キーボードの代わりに音声で操作するソフト

Via Voice(IBM)
言語障害を持つ人には向かないが、ボイスコマンドによりコンピューターそのものを操作できる。視覚障害を持つ人が単独で使うのは難しい。

5. その他

5-1. 歩行訓練

個々の視力の状況や生活の様式によって、訓練の進度や達成目標は異なる。見えないことをカバーして、見えていた時と同じように生活できるようにする。

1)手引きされながらの歩行
歩行や音の感覚をつかむ。

2)自力での歩行
歩こうとする気持ちを養う。

3)白杖を持っての直線歩行
白杖の扱いかたを習得する。バランスのとれた歩き方ができるようにする。

4)本格的な屋外での歩行
近所の路地などで訓練する。近所の人々等の眼が気になったり、白杖を持ちたくないという思いが生じたりすることが多いが、それを乗り越えて白杖への信頼を高める必要がある。

5)応用歩行
横断歩道の通行やバス、電車の利用、買い物といった目的を決めて行う。初めての場所に、人の説明だけで行けるようになることが目標である。そのために、人にたずねることへの抵抗をなくしたり、尋ねるタイミングを覚えたりする必要がある。

白杖のほかに、盲導犬の助けをかりる方法もある。しかし、盲導犬の場合には、入店拒否をされたり、旅行の際にホテルや旅館が受け入れてくれなかったりするといった問題が生じることがある。

晴眼者が指導にあたる場合、視覚障害者の身になって考え、感じるように心掛けて指導する。アイマスクをして歩行してみる、といった工夫をしている。

5-2. 外出(店を利用するとき)

外食や買い物をするときは、友人と一緒に行くことが多いので、不便を感じることは特に無いという意見が比較的多くありました。一人で行く場合は店員に説明してもらうことが多いようです。しかしその場合は、信用のある店で買わないと、悪い品物を買わされることもあるそうです。また、デパートなどで、インフォメーションコーナーの位置を統一して欲しい(入り口の右側、など)という意見もありました。

以下に視覚障害者や彼らのサポ−トをしている人などの声を載せます。

「あんなにつまらない旅行はなかった! どこかに投書してやろうかしら」というのが彼女の感想です。日光などの観光地を回ったらしいのですが、どこにも寄らなかったのだそうです。多分「視覚障害者はどうせ見えないのだから途中下車しなくてもいいだろう」と思われたのでしょう。そういうものではないのです。視覚障害者は、落ち葉を踏みしめ、空気の匂いを嗅ぎ、落ち葉を手で触って人の説明を聞いて紅葉の風景を楽しむものです。バスの中ではウグイス嬢の説明もなかったそうです。

視覚障害者というと全盲なのだとばかりずっと思ってきましたが、全盲の方は意外に少ないです。弱視とか網膜色素変成症などの方の方が多いようです。そういう方たちは、10cm四方くらいの字なら読めるとか、シルエットが動くので人がいるとわかるとか、ドーナッツの穴から見た景色のように真中だけ見えたり、その反対に周囲だけ見えたりなど様々です。ただ、共通しているのは黄色と白色が見えやすいということです。

今日ガイドをしながらふと下を見ました。シックな色合いで統一してあります。点字ブロックはきれいに周囲の景色に溶けこんでいて、どこにあるのか分かりません。これを作った方は、「視覚障害者は全盲だ」という前提に立って企画なさったのでしょう。全盲なら、凹凸さえついていればいいのですから。そういうことではなく、色を頼りに歩いておられる方がとてもたくさんいらっしゃるということを知ってもらいたいです。

6. 編集後記

障害のあるなしに関わらず、私たちは皆同じ社会に生きています。しかし、障害のある方は周りの理解が少ないために様々な不自由を受けているということが今回の調査で改めて分かりました。 その不自由さを少しでも減らすためには、やはり周りの理解が必要です。この機会にみなさんが少しでも障害に対して興味を持ち、理解を深めてくださると幸いです。

v 1.10.1  2000/12/13
京都大学点訳サークル

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