Contemporary Art

極小美術館

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《篠田守男展 開催案内》

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謎めく混成体ふたたび
―篠田守男の新作に寄せて

水沢勉(神奈川県立近代美術館 館長・美術評論家)

 篠田守男(1931〜)は成分表示のきわめて困難な合成物である。
 わたしは、いまだその詳細を充分に知らないままの「入門」前の身だが、こっそり覗きみると、作品も、作者も、いつまでも若く瑞々しい秘密は、きっとその得体の知れなさに隠されているのではないかとかねがね疑っていた。
 昨春にKOKI ARTSで開かれた真島明子(1952〜)との二人展「BEYONDNESS」。
 大いに期待して観にでかけた。しかし、真島の、解放系の周囲の空間を味方につける深呼吸しているような大作に圧倒され、精妙な篠田守男の世界は、閉じて、やや委縮して感じられた。正直不満がすこし残った。
 そして今回の新作展である。
 その独特の繊細さは、やはり個展でこそ際立つにちがいない。そこには見えない世界との糸が文字通り張りめぐらされているからである。
 たとえば、新作のひとつ《シュヴァンクマイエルの不思議な世界》(2016)。まさしく「驚異の部屋」をアニメーションや実写で召還する、このヤン・シュヴァンクマイエル(1934〜)というプラハの異能の映像作家と、一見、クールで無表情な技術者を思わせる篠田守男の取り合わせは、意外な印象を最初にあたえるかもしれない。しかし、この0.45㎜の細いワイヤーが宙吊りする「空中楼閣」もまたひとつの幻視であり、危うく成立した蜃気楼ともいえよう。それは、見方を変えれば、三千世界をつなぐ「インドラの網」でもあるのだ。そこには肉体の気配が確かに、どこかに仕掛けられている。シュヴァンクマイエルの代表作のひとつ「ファウスト」(1994)で、木製人形の股間に大きな錐で穴をあければ、男であったはずの人形が女に変身するシーンがあった。篠田の作品にも、それに通じるようなサド的である同時にマゾ的な感覚が封印されているのだ。
 篠田守男のエロスとテクネの混成体は、ふたたびわたしたちの身体感覚を疼かせ、視覚をまるごと刷新するだけでなく、まさしく全感覚的な未知の領域へと身も心もふたたび誘惑してくれるに違いない。

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選択の芸術

篠田守男(筑波大学名誉教授・彫刻家)

 われわれの芸術は選択より始まる。絵を描く、木や石を彫る、版を刷る。それぞれの技術を獲得したうえで造形に進む。しかしそのすべてが作品になるわけではない。むしろすべてが作品にならないことの方が多いのである。作家達の多くがこのプロセスをふんでいる。
 効率のみで考えてみると、先ず作りたいものがあって、必要な技術を部分的にでも獲得する。これで相当な時間が短縮できる。
 更にはすでにあるもの、別の目的で作られたものを選択する。これはマルセル・デュシャンのレディ・メイドであり、ピカソの「牛」、自転車のサドルにハンドルを装着したもの等がある。昔ニューヨークである絵描きが用意した新しいキャンバスにペットとして飼っていたオームが歩いて模様をつくった。これを出品して大論争になった。即ちオームがかいたので作品ではないとするものと、作家が無作為に出品したものではなく、選択というフィルターを通過しているという二論から後者におちつき作品として認められた事実がある。更には60年代の後半に入ってコンセプチュアル・アートの時代、知り合いであったロサンゼルスの作家ジョン・バルデッサリ「注文絵画パット・ネルソンの絵画」(1969年作)では自分で作品を撮りそのまま日曜画家に描かせたものである。ここにいたっては「芸術の一部としての選択」すら薄れてしまっている。
 私は作品を効率良く作り、短時間で完成させることを良しとする。すでに頭の中にあるものを具体化するのであるからプロセスは早い方がよい。
 しかし我が国では長く苦しむことに満足をおぼえる。いわばマゾヒスト的理論である。具体化の悩みより頭に中で組み立てるほど試練を必要とし、苦しみ、悩み、ジレンマする。これが制作上の肉体行為よりどれほどつらいかというと自由だからである。
 これを論じはじめると芸術とは?という大テーゼに関わってくるので割愛せざるをえないので、ここでは書類の芸術の一部をなす「選択」に基点をおくことにする。
 この度の展覧会では既に私自身が作りためてる部品を組み合わせて作っている。このときが私にとってひと時の快楽である。丁度、建築家コルビジェが積み木遊びをするように。中には数十年もたった部品が、この日を待ってたかのように生き生きとよみがえる。記憶の片隅にあった造形が生々しくまた刺々しく、攻撃的に甦ってくるのである。

2016年4月8日(金)~4月29日(金)

〒104-0061
東京都中央区銀座6-5-12 新堀ギタービル銀座4階
ギャラリーうちやま(TEL 03-3573-1439)

篠田守男ページはこちら

 2008年6月より建設中の極小美術館が2009年4月に完成いたしました。
濃尾平野の最西端に位置する風光明媚な里山に位置します。

養老鉄道は朝夕のラッシュ時を除いて列車内に自転車を無料で持ち込めるサービスがあります。

アポイントメント(090-5853-3766)を取ってからお出かけ下さい。御来館を心からお待ち申し上げます。

2009年4月吉日 極小美術館代表 長澤 知明

2016年2月2日 岐阜新聞掲載

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《観光情報》

企画・監修

篠田 守男  長澤 知明