四 国 山 脈 と は
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「四国山脈」といえば、四国の中央部を東西に走る脊梁山脈のことであって、付図の中央山系と秩父山系がほぼこれにあたる。東西約二百五十`、南北約五十`にわたり石鎚山系と剣山山系とが最も主なものである。ところが題名の四国山脈はもっと広い意味のもので、深さ四千メートルの太平洋海底から見た日本列島全体が高度七千メートルの大山脈であるように、四国を中心とし、土佐湾底を中腹とする一大山脈を意味するのである。


地 球 観 測 衛 星 ラ ン ド サ ッ ト か ら 見 た 四 国



一番北側が讃岐山脈で、約七千万年昔の海底に堆積した地層からできていて、竜王山・大川山などの海抜千b内外の山が主である。



 讃岐山脈と中央構造線の大断層崖で境し、その南に東西に連なる第二の連峰が中央山系で、これが四国の脊梁となっている。三波川系という日本で一番古いと考えられている地層からできており、石鎚山や石墨山などは、さらにその上に噴出した火山岩が山体で、これら西日本一の高峰とともに笹ガ峰・東赤石山・白髪山・黒滝山・明神岳など千二百bから千八百bの諸峰がある。

 その南、第三の連峰は中央山系と御荷鉾構造線″で境され、秩父山系といって二億年から三億年前の海底堆積層からでき、石鎚山につぐ高峰剣山をはじめ西から雨包山・不入山・鳥形山・中津明神山・笹ガ峰・梶ガ森・鉢ガ森・高板山・三嶺・石立山・高城山・高丸などの山々があり、みんな千b以上の高度を持つ。山は低いが景色のよい虚空蔵山も、高知市北方のなじみ深い国見山(雪光山)・工石山・土佐山の連峰もこれに属する。

 第四の連峰はつまり最南部のものは付図ではかりに安芸四万十山系と呼んだが六千万年から一億六千万年以前の中生代の地層からでき、仏像構造線で秩父山系と境している。主なものは西から大黒山・高研山・鈴ガ森・五在所山・五位ガ森・天狗森・甚吉森などで、ともに海抜千b以上である。

 このように四国の山山は非常に高峻であり、東西に並行な数本の構造線で境される断層山脈列で、いたるところに山岳美・渓谷美を作っているわけであるが、さらに土佐湾の沖には、すでに述べた諸構造線と全く並行で、同じ性質の、筆者が南海スラストと命名した構造線が走っている。

 つまり現在の四国を中心とした陸地も、土佐湾の海底も太平洋の深海底からあおげば地質構造的にはまったく区別のできない山脈列であって、このような広義の″四国山脈″が土佐の動物・植物・気象・海流などの自然条件を規制し、ひいては土佐の農林・鉱・工・水産などの諸産業を特徴づけ、土佐の歴史・民俗その他、一切の人文条件を支配しているのである。裏四国を形づくるものは、この「四国山脈」なのである。

(『四国山脈』より・昭和三十四年、高知大学教授・理博 沢村武雄)