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お菓子: 一棹¥1,000(内税)
独断的評点:

したたりは、寒天を固めた琥珀と呼ばれる透明な棹物である。 この棹物の特徴は何と言っても、 口にしたときにホロホロと崩れるその寒天の崩れ方にあると思った。 何と言うか、噛んだ途端にちりぢりに分解してしまう。 その独特の寒天の溶け方が何ともいえない。

夏や冬に食べてみたが、 夏の冷やしたしたたりの清新さ・崩れ方などが特に印象に残った。 さすがは夏の祭り、祇園祭のお菓子だ。 冷したら舌にひんやりするとともに、舌に「すべすべ」として触ってくる。 舌に当たった部分は普通だと寒天が体温で溶け始めるだろうと思うのだが、 したたりの場合は(表面が)すぐに溶けないで、千々に割れてゆく感じなのである。 また、切るときになかなかスパーッと切れない。これがこの寒天の性質といえよう。

したたりの第二の特徴はその黒糖味であろう。 これは素直な黒糖の味だと思った。 まず色々な黒糖風味を挙げてみよう。 マニアックな黒糖の風味としては、かつての 天引 で味わえた黒糖シロップの自然が凝縮されたような味、 八十吉 のくずきりについている黒蜜の研ぎ澄まされたような味が思いつく。 またこのHPでいうと 御倉屋の旅奴 のまろやかさのある黒糖風味が挙げられる。 しかしいま挙げたどれも、したたりの黒糖風味とは違う。

したたりの黒糖風味は、 もっと私達がいつも慣れ親しんでいる、マニアックでない黒糖の風味に思えた。 もしかしたら東京の 相模屋(赤坂)のあんみつ の黒蜜には意外と近いかもしれない。 それでいて単なる「ふつう」ではない。 これをどう表現したら良いか困るのだが、 「慣れ親しんでいるある種の黒糖の風味が、その要素だけ研ぎ澄まされて純粋に香っている」 とでも言えばよいだろうか。 一緒に食べた人がこの黒糖を大変に気に入った。

シンプルな味というのは評点を高くしにくいのだが 3.5 以上に相当すると思った (賞味:2001年11月5日、2002年8月30日、2007年8月11日)。






2002年10月に松江の向月庵の「琥珀」を試したので、この場を借りて述べることにする (1本800円外税)。したたりとの比較のつもりでお読み頂きたい。 これも黒糖味の寒天菓子であるが、したたりのようなホロホロ崩れる歯触りはない。 しかしこの琥珀は、固いのに柔らかい歯触りというか感触が楽しめて、 これはこれで良い感じである。

ザラメが散らしてある。甘さはかなり多いと感じた (はっきりいって甘すぎだと感じた)。 したたりの方が、黒砂糖風味の透明感のようなものが多く感じられた気がする。 2.5〜 3.0 の中間とした。




 

2003年晩秋に、亀廣永の古都大内を食べた。これは外側が落雁で、 中には固めに練ったようなこし餡が入っている (小豆の皮も僅かに入っているかもしれない)。 夏場は暑いから作らない。 10月頃から作り始めるようだが、詳細はお店に訪ねて欲しい。 写真のように30個入りが1,400円(内税)である。

このこし餡と外側の落雁(原材料名によれば寒梅粉を使用) の組合せは自然な感じで食べやすく感じた。 私は、かつての 亀屋良永の月老松の御所車 の感想の中で、 「落雁とこし餡の組合せは味が沈滞することがある」と書いたことがある。 しかし古都大内の場合は、落雁も餡ももっと生っぽくて、 味が生きているので、沈滞感とまでは感じられなかった。 似たような落雁+生っぽい餡として、 三條若狭屋の苫屋 があるので、これも参照されたい。

シンプルな落雁ではなく餡が入って特色がある上、 落雁としてのおいしさもレベルを保っていると感じた。 ただ時間が経った後の感触が今ひとつ振るわず、ここでは 3.0 とした。 当HPがどう評点しようと、お菓子としての「らしさ」というか、 それなりのジャンルの菓子としての存在感が感じられる。 伝統や京の生活習慣の中でこのお菓子を見ると、 私達が部外者的に味で見ているのとはかなり違った見方になるだろうと思う (賞味:2003年11月22日)。









(かめひろなが)
  
場所:四条烏丸の北東、高倉通蛸薬師を北上したすぐ西(中京区高倉通蛸薬師上ル和久屋町359)
お店:
祇園祭・菊水鉾への献上菓子として作られた「したたり」などで有名なお店。 私が行ったときはもう夕方で、お店の車が売り場の中に入り込んでいた。 お店(自宅になっているようだ)は質素な感じで、 何も知らずに通りすがりだったら、 ここにお菓子屋さんがあるなんて気づかなかったかも知れない。 ショーケースの奥におばちゃんが座っていて、 丁寧に応対してくれた。 デパートには出しておらず、ここだけで売っている
電話:075-221-5965
休業:日曜・祝日
掲載例: 「京の和菓子12か月」かもがわ出版、「京都のおいしい和菓子」平凡社、「茶趣の和菓子」婦人画報社



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