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ケンがここに住むようになって7年の歳月が流れていた。過ぎてみると案外早く感じられるもので、今でもあの夏のことが昨日のように思い出された。自分がまだ思春期の少年で、病室のベッドに縛り付けられ、ただ静かに死を待つだけだった、7年前のあの時。ケンの前にいたのは、同級生だった少年一人と、背の高い眼鏡の似合う口の悪い新米ドクターだった。
「ヒュー、先生見なかった?」
机上にそっと置かれたメッセージカードを手に、ケンは後ろを振り返る。そこには自分を追いかけてきた親友の顔があった。
「ああ、さっき会ったぜ。この部屋に寄ってたみたいだった。」
「先生、なんか言ってた?」
「いや、挨拶だけだ。・・・って、何で?」
あの日、自分の命を救ってくれた先生は突然この町を出て行った。自分が友人達と少しの間だけ病室を抜け出し、屋上に広がる青い空を見に行っていたその間に、あの人は病室のベッドに添えつけられた机に一枚のカードだけを置いて、そして出て行った。理由はわからない。看護士や主治医に聞いても結局ははぐらかされて終わりだった。自分の前に残されたのは、メッセージカード一枚だけ。そこには短く祝いの言葉と、「またどこかで会おう」の文字だけ。
先生は、この町が嫌いだったの?
少年は青年になり、「先生」がいなくなったこの町に残った。あれからもう、7年。
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