迷信にとらわれ,無駄なお金を使って,使いにくい住まいをつくるのではなく,
楽しく,美しく,快適な住まいをつくりませんか。
家相風水師のためでなく,あなたのための住まいなのですから。

江口征男
登録建築家/(社)日本建築家協会20400901
設計専攻建築士/(社)日本建築士会連合会1300100548
一級建築士53151/建設省
このエッセイは,『リフォーム&インテリア』紙 (コスモジャーナル社)に連載したものに加筆修正したものです。
このサイト内のコンテンツを無断で複製または転載することをお断りします。リンクはかまいません。
このサイトに関しての意義申し立てのメールは,ここに公開させていただくことがあります。
また,原則としてメールでのご質問にはお答えできませんのでご了承ください。

家相の間取りはただの2次元 パズル
設計は4次元(空間+時間) でするもの
目次
( 1 )とるにたらない迷信
( 2 )鬼門と裏鬼門
( 3 )家相・風水の出自−1
( 4 )家相・風水の出自−2
( 5 )家相運用の矛盾−1
( 6 )家相運用の矛盾−2
( 7 )インテリア風水
( 8 )家相・風水は誰のために
( 9 )家相見の講演会
(10 )六曜の無意味
(11 )巷の怪しいモノ達−1
(12 )巷の怪しいモノ達−2
(13 )終わりに
番外1 『朝日新聞の記事から』
番外2 『家相風水の氾濫を憂う』
番外3 『怪しい学位・リンク集』
届いたメール(070801追記)
(1)とるにたらない迷信
とるにたらない迷信なのに『家相・風水』を気にする人は結構いるようです。住宅金融公庫が1988
年に公庫融資の利用者からとったアンケートによれば,「あなたは家を建てるとき家相を気にしまし
たか?」の問いに,全国平均で 57%もの人が「気にした」と答えています。東京では40%,名古屋
では 70%にも達しています。
オウム真理教の事件以降,オカルト番組が激減したのは好ましいことですが,家相・風水が相変わ
らず生き残っているのは不思議なことです。占いと同じルーツの迷信だということに気がつかないか
らでしょうが,人の生活や人生の中から『居住』だけを切りとって吉凶を論じても意味のないことで
す。
95年に朝日新聞が調べたデータによれば,易占いを気にする人は 20%(20代の女性は49 %!)
でした。それから類推すると,家相を気にする人は20%,信じこんでいる人は 10%程度でしょうか。
公庫調査の高い数字は,家相を信じている身内などに影響されてのものと考えられます。
親戚に1人ぐらいは“家相風水信者”がいて,なんらかのプレッシャーを受けているでしょうから。
家相見 Drコパこと小林祥晃の“怪しい経歴”が『サンデー毎日98年5月3日号』で暴かれました。
卒業し,博士号を取得したというアメリカの“コンチネンタル大学”は全米に 3600もある認定大学
のなかには存在しない“博士販売大学”らしく,木村晋介弁護士同席のインタビューでの本人の告白
によると,約20万円で“博士”を購入したのだそうです。
日中韓社会文化功労賞やローマ法王庁の世界十字勲章等のハナバナシイご経歴も,「業者に5万か
10万払ったかもしれない」いう見事なハチャメチャぶりです。記者の「そんな経歴は読者の誤解を
招くとおもわないか」との問いに対して,「軽率だったかもしれない」と答えていますが,それは軽
率などというものではなく,意図的というべきではないでしょうか。そんなハクヅケでショーバイを
やっても,詐称とはならないのですか。木村晋介さん。
風水鑑定料が高すぎるとの指摘には「合意のもとでやっている」と開き直ってもいます。弁護士は
「事実関係を調査する」といっていましたが,その後どうなったのでしょうか。
※日中韓社会文化功労賞:
3カ国の組み合わせに不自然さを感じないほうがおかしいでしょう。
普通の常識をもっている人なら使わないような間抜けなシカケです。
※購入博士号:
エジプト考古学の早大教授吉村作治氏の博士号も“購入博士号”であると,たしか週刊新潮にで
ていました。そのころ『実績があるのに教授に昇任できないない』ことが,週刊誌で話題になっ
ていましたっけ。そんなことでは“エジプト”の研究実績にキズがつきかねません。
※学歴汚染 『日本の大学教員の学歴汚染(2)』 バレてからの収拾策(ツジツマ合わせ)です。(2006年7月)
※『「米国大学(院)学位商法」の危険性 吉村作治博士への期待』
「「あれはシャレで取ったんです。・・・」には,ほとほとあきれます。(2006年5月追記)
※この手の『大学』はアメリカに多いそうで,Degree Mill (学位製造工場) と呼ばれるそうです。
オカルト系番組に登場する人たちのなかには,こういう『大学』の教授や助教授の“肩書き”を
持つ人も結構いるようです。下記参照。
※ 学歴ネット(2006年7月)
※ 学位商法にだまされないために(2003年7月)
※『 NHKが“学位商法”をとりあげた』(2005年5月)
怪しい学位に関するここのリンクが増えすぎたた「番外3」として末尾に移動しま(2006年7月)
※朝日新聞(99年9月4日夕刊)には『権威,実は「博士」じゃなかった』という記事が載ってい
ます。アメリカの核兵器研究所の幹部の詐称がバレて研究所の責任者を辞任したそうです。
でも,日本では辞職も辞退も必要ないようで,テレビや出版社は何ごともなかったように利用し
続けています。
こんなこと,ほったらかしておいていいのですか。文部科学省さん!
※学歴汚染 『ディプロマミルの偽学位を容認する文部科学省教員審査の杜撰さ』
家相批判の拙著『それでも家相を信じますか』を書いたとき私は,明白な作りごとの世界である家
相・風水を“売っている”人達が本気で信じて普及しようとしているのか,あるいはボロイ商売のネタ
にしているのかを知りたいと思いました。もちろん,後者に狙いをつけてです。
その結果,本の奥付けを見るだけでもアヤシサがいっぱい透けて見えました。Drコパの他にもアヤ
シイ家相見は複数いました。いや,アヤシクない家相見がいるのかどうか。
家相見,風水師にウサンクサイ人物がいるからといって、それだけで「家相・風水」が虚構だとは
断言できません。そこで次回からは,「家相・風水」などの迷信がいかに虚構なのか,良質な住まい
を創ることをいかに妨げているのか,を検証していきたいと思います。
※月刊誌『サイゾー』(01年11月号)の記事「Drコパは風水師ではないぞ」では,建築士法違反の
疑いもとりあげられています。出版社やテレビ局が支えてくれるから,なにやってもいいのでし
ょうか。作家や芸能人のスキャンダルを押さえる出版社やプロダクションと同じ構図なのかなあ。
(2002年2月)
※テレビのオカルト系番組が,最近また増えてきているようです。しかも,良識があると思われて
いた(勘違い?)TBSまでが変身,某局並みになってしまったようです。(2002年2月)
目次にもどる
(2)鬼門と裏鬼門
家相というと,鬼門やら裏鬼門やらという話になります。それらと各室との関係を問題にします。
しかし,家相は窓の位置も規定するなど多岐にわたりますから,「鬼門を避ける」だけでは家相の要
求(正しいとしての仮定ですが)のほんの少しの部分を満たすだけです。
鬼門とはなんでしょうか。家相のルーツのひとつ陰陽道(おんみょうどう)では東北の方向は鬼が
出入りする方角であるとし,それをを鬼門といいますが,その源流は古代中国のおとぎ話です。
東方の海中にある,度朔山という山の上の大木の東北に伸びた大枝の下に鬼が出入りする門があり,
それを鬼門とよびます。しかし,このお伽話には鬼門が凶方であるとは書かれていません。しかも,
中国での鬼は“オニ”ではなく死者の霊魂をさすのです。
東北方向を“凶方”としたのは日本に“輸入”されてからですが,それでも,徳川時代の家相見の
多くは鬼門を凶方としてはいません。その後,東北→艮(=丑寅うしとら)の方向→動物の連想から,
ウシの角とトラの皮のフンドシという鬼の類型ができたという他愛のない話です。
家相では東北方向を鬼門,南西方向を裏鬼門として,その線上に玄関を設けてはならないとしてい
ます。鬼門を避ければ東南の角あたりに玄関をとることになります。玄関を置けばホールや,廊下,
階段も附随しますから,もっとも日照条件の良い場所をこれらの室にとられます。居住性を考えれば
東南方向は居間,食堂,台所のために使うべき場所です。
家相を守らないとなぜ凶になるのか,の理由は見たことがありません。捏造されたものだからです。
明らかに居住性が悪く,楽しくない,使い難い住まいをなぜ吉だというのでしょうか。鬼(キ)が死
者の霊魂なら,ご先祖が出入りしやすいように,鬼門に玄関を設けるほうがむしろ納得できます。
「便所が鬼門を避けていない設計は瑕疵(かし)」という判決が79年に名古屋地裁でありました。
建築主が「便所は鬼門を避けてほしい」と希望し,合意があったのにそれらを守らなかったから設計
は瑕疵であるということです。約束を守らないのは瑕疵ですが,便所が鬼門にかかっているかどうか
の判断はどうにもなる(のちに触れます)ものですから,説得力のある判例ではありません。
ただ,判決は家相が正当であるかどうかの判断ではなく,建築主の希望に答えなかったことを理由
にしているだけです。
目次にもどる
(3)家相・風水の出自−1
家相・風水のルーツは占いと同じ五行説,陰陽説,十干,十二支,九星,おとぎ話などにあります。
五行説(ごぎょうせつ)は,紀元前600年頃(日本は縄文時代)に中国に生まれたと推定されるも
ので,木火土金水の五つの要素が人の運命に影響を与えるというものです。当時の天文学であった五
行説は恒星の観測によって季節や気候はおおむね予測できるようになってきたものの,疫病や洪水,
干ばつなどは予知できないので,それらを五惑星の動きと関連づけようと試みましたが挫析しました。
そこで,惑星の運動は神の意志によるものであると結論づけて逃避,五惑星が人間の世界に影響を与
えるとしてしまったのです。この時点で,五行説は天文学から落ちこぼれました。
五惑星と人間に相関関係があるという説には,前提から大きな矛盾があります。当時は紀元前です
から五惑星しか発見されていなかったわけですが,その後天王星,海王星,冥王星の存在がわかり,
現代ではさらに無数の小惑星も発見されていますから,いまや“万行説”に変身しなけれぱ説得力を
持ちません。
もともと中国では五惑星をけい惑,辰星,歳星,太白,鎮星と呼びましたが,けい惑を赤く光るか
ら火に結ぴ付けて火精(火星),白く光る辰星を水精(水星)などとこじつけて,「木火土金水」の
各文字に当初は無かった意味を持たせてしまいました。
五行説に関する最悪の迷信が“丙午(ひのえうま)”です。丙午の年に生まれた女性は気が強く,
結婚すると夫の寿命を縮めるというひどいものです。最近の丙午の年(1966年)には出生率が25%
も減っています。信じてはいなくても,生まれる子の結婚を心配する親の気持ちもわからなくはあり
ませんが…
陰陽説(いんようせつ)は,中国易学の二元論です。男と女,日と月,南と北などすべてを陽と陰
に分けるもので,陰陽二つの原理が循環し融合し変化するところに,この世のすべての事象がおこる
というものです。日本に伝来して陰陽道(おんみようどう)となって,日の吉凶や禍福を暦に記すよ
うになり,以来日本人を迷信で縛り付けることになりました。
ルーツには中国古伝説の時代の河図,洛書もあります。前者は黄河から現れた馬のたてがみ,後者
は洛水(黄河にそそぐ河)の亀の甲羅にあった模様というものです。しかし,“古伝説の時代”のこ
とです。当時の皇帝は顔が人間で身体は蛇だというのですから,論ずるのも恥ずかしいほどです。
※最近,テレビでは陰陽師を売り出して,視聴率稼ぎにでています。(2002年2月)
目次にもどる
(4)家相・風水の出自−2
八卦(はっけ)は家相風水や占いの起源のひとつです。昔から「当たるも八卦,当たらぬも八卦」
と揶揄されてきました。
台湾では,「八卦」はもともと占いや風水や神霊的なことを表す俗語として用いられていましたが,
現代では占いの「うさんくささ」や「でたらめ」を表すために使われるようになり,さらに転じて一
般の事象に対しても「まやかし」,「ペテン」の意味で使われるようになってきているそうです。
中国本士でも,長い歴史の中で迷信として弾圧されてきた風水思想ですが,批判をかわすために複
雑化させ,結局は陳腐化してきたもので,ほとんどが後世の捏造によるものです。現在は中国本土以
外でも流行しているようにみえますが,一部のオカルトフリークとオカルトメディアがもてはやすか
らでしょう。
一方,日本では江戸時代後期に家相が流行しました。書物が一般に普及しはじめた時代のべストセ
ラーとしては格好の素材だったのでしょう。今でも,家相風水で“食べている”ような出版社も結構
ありますから,昔も今もあまり変わっていません。
当時から「家相文献」には肝心なところは秘伝であるとして明記せず,「知りたい人は訪ねてくれ
ば伝授する」と“商売上手”なところをみせていました。現在のその手の本も家相見風水師の電話番
号やURLを載せていますから時代は変わっても,セールスの手法は相変わらずです。
十干(じっかん)は1ケ月を3つに分けた日の順序を表すもので,甲・乙・丙〜でしたが,後年朝
鮮に伝えるときにわかりやすくするために,甲は木の兄(きのえ),乙は木の弟(きのと)などと説
明しています。しかし,順番を表すだけで文字には本来意味はありません。
十二支(じゆうにし)は12ケ月の順序を表すもので,それぞれの季節を表す象形文字が変化したも
のてす。1月に該当する“子”は北斗七星が地平線から姿を現わしたところを示しています。のちに
識字率が低かった時代の庶民に覚えさせるために“ねずみ”などの動物をあてはめたものです。我が
国に入ったときには,はじめから動物で説明されていました。
十干も十二支も,もとは数字(順番)と同じものですから,それ自体は迷信ではありませんが,我
が国では動物の連想から,人の性格に関係するような迷信がつくられ定着してしまったのです。
香港上海銀行という建築デザイン的に優れた現代建築があります。世界的に有名なイギリスの建築
家ノーマン・フォスターが設計したものです。それは“風水”を取り入れてデザインされたと言われ
ています。それは事実かもしれませんが,そのことをもって,風水フリークは一流の建築家が信じて
いるからと“証拠”に使います。悲しいことに,建築家の中にも『フォスターも信じている』=『風
水には意味がある』と,短絡思考(思考停止というべきか)をする人もいるようです。情報識別能力
に乏しいと言うべきでしょうか。
巨大なプロジェクトが目の前にぶら下がっていて,そのオーナーに「風水でやってくれ」言われた
ら,妥協する人の方が多いのではないでしょうか。信じているふりをするかも知れませんよね。
フォスター自身の心の中を覗かなければ判らないことですが,東洋思想へのあこがれで,禅に対す
る関心と同じように短絡的に信じていた可能性もあります。禅と迷信である風水とを同列だというつ
もりは全くありませんが。
いずれにしても,優れた設計者には,深く考えた上で信じている人はあまりいないでしょう。なぜ
なら,迷信を信じているようでは,デザインという創造活動なぞできるはずもないからです。
目次にもどる
(5)家相運用の矛盾−1
家相の鑑定は,まず中心を求め,北の方向を設定することが基本のはずです。ところが,中心のと
りかたには,建物の重心であったり,主人の居室の中央であったりと,多くの説があるのです。
北には磁北と真北があります。関東地方では約 6.5度,北海道では約 9.5度のずれがありますが,
どちらを採用するかは家相見によってまちまちで,なかにはどちらでもよいと書かれたものすらあり
ます。北極点ではすべての方角が南になります。北極に観測用の居住施設をつくるとき,家相方位盤
はどのように使うのでしょうか。「北半球」と「南半球」の違いも,どう説明するのでしょうか。
南米への移民は方位盤を裏返しに使えというのでしょうか。
家相を本気でとりいれるのなら,間取りの段階だけでなく,敷地測量図の「北」の精度と施工の精
度(建物の配置)も確保されなければなりません。ほんの少しのズレでも吉凶は狂ってきます。しか
し,建物の位置を決める時に,精密に測量しているでしようか。おそらく,間取りを決めたときに,
家相はクリヤーされたと安心して,もう気にしなくなっているのではないでしょうか。
「各室の方位への分配」の図をみると,便所だけは置いてもよい位置を,その他は望ましい位置を
示しています。ところが,台所と浴室は同じ方向をあてていますから,どちらか一方がゆずる必要が
あります。すべてを満足できないとすれば,“100%の吉”はありえないのでしょうか。
建築の研究者の報告によると,多数の家相文献を調べたところ,台所,浴室,便所3室についての
記述が同じものはなかったそうです。このように,家相風水には多くの流派があり,鑑定結果がまっ
たく異なることも珍しくないのです。
また,家相には方角はあっても距離や寸法の概念(家の大きさなど)は欠落しています。中心では
小さなズレでも外周では大きくなります。さらに,「家相の間取り」は二次元上のパズルであり,三
次元の概念はありません。
一方,「建築の設計」は三次元空間+時間,の四次元の世界でするものだということが設計者にと
っての常識です。『家相』と『設計』は異次元の世界にあります。全く似て非なるものです。
冒頭の図をごらんください。
テレビで,家相見が赤い方位盤を持って芸能人の家の外から吉凶判断しているのを見たことがあり
ます。外から見るだけで「なるほど,玄関がいい位置にある。さすがに一流。」などと言っていまし
た。正確な北を測量し,中心をだし,図面を検討しなければ判るはずがないのに…
目次にもどる
(6)家相運用の矛盾−2
五行説と九星説では,色も吉凶判断の要素としています。五行説では赤・白・青・黄・黒の5色,
九星説では白・黒・碧・緑・黄・赤・紫のたった7色で吉凶を判断しています。しかも「赤」がどん
な範囲をさすのかも示していません。絵の具でも最低12色はありますし,この地球上の色彩は無限
です。
子供にも判る矛盾を知ってか知らずか風水師は,ここに赤い物を置け,そこには黄色い物を飾れと
ヌケヌケというのですから,オムツの中を疑います。
建築やデザインの仕事をしている方ならご存知のマンセル表示(色相・明度・彩度の数値によって
色を表す)で家相見が説明してくれるのなら,「チットハ,ヨタ話を聞いてやろうじやないか」とい
う気もおきるのですが…
ところが,家相はジツハ“合理的”なのです。なぜなら間取りをいじらなくても,吉も凶も自由自
在になるからです。中心の取り方や,北の取り方を変えれば簡単に凶を吉に変えられるのですから。
他にもあります。ある家相の本には家相に反する家をつくってしまった人は,厄よけ神社にお参り
すればいいとも書いてありました。ご丁寧にも厄よけ神社のりストを付けて。
つまり,家相は気になるが,良い住まいをつくりたい人は,家相を無視してつくって,神社でお祓
いしてもらえればいいのです。このように,どうにでもなる家相はジツハ“合理的”と思えてきます。
冗談はさておき,家相方位盤の根拠,なぜ吉なのか凶なのかを説明している文献はみあたりません。
もちろん説明不可能だからですが,そのことによって,どうにでも解釈できる余地を残し,家相見に
よる裁量を可能にしています。それが“ボロイ家相風水商売”を成立させているのです。
目次にもどる
(7)インテリア風水
家相には,鬼門以外に「池鏡」や「尾先・谷ロ」など風水的なものもあります。前者は池に建物の
形が映る屋敷を凶とし,後者は山裾の突端や谷間の入口を敷地にすることを戒めたものです。池の附
近は湿気が多く建物が傷みやすい,谷の附近は崖崩れの危険があるということです。しかし,いまさ
ら家相風水なんぞに言われなくとも,常識と現代の技術(建築計画学や環境工学など)でカバーでき
るものばかりです。
風水の根拠は『四神相応』(しじんそうおう)です。東は青竜,西は白虎,南は朱雀,北は玄武と
いう四神(四獣)に相応した土地を指します。東に流水,西に大道,南にくぼ地,北に丘陵をもつ地
形がもっとも良い地相であると説明されます。
東や南から心地よい風が流れ,北の寒風を山がさえぎるような土地が関東地方にあるなら,それは
良好な地形でしょう。あるいは中国の特定の場所としてならわかります。しかし,北海道でも沖縄で
も同じことが言えるはずありません。
「インテリア風水」というジャンルがつくり出されています。民間の分譲マンションが大量に供給
されはじめて 30 数年,家相見が共同住宅にも関われるように捏造した新しいネタです。次からつぎ
と商売のネタをつくりだす“営業努力”は見上げたものです。
建築の学界には家相風水を研究している学者もいます。しかし,信じているからではありません。
日本建築学会の機関誌『建築雑誌』(98年1月号)の特集で「アジアの風水・日本の家相」が取り上
げられ,内外の研究者 9人が多様な論文を寄せていますが,風水や家相に肯定的なものはありません
でした。あたりまえですが。
『週間金曜日』(95.6.30)に「家相風水の氾濫を憂う」という小論を書きました。後日,週間
金曜日の記者が台湾からの留学生がまとめた「平安京が風水に基づいてつくられた」という論文の指
導教官である本多昭一教授(京都府立大学)に取材しています。その際,私の小論への感想を求めて,
「全く同感」とコメントされたことに,「少し意外で興味深く思った」と書いています。「研究生が
風水を調べたから,学生はもちろん指導教官も信じている」と単純に思い込んでいたらしい記者に危
うさを感じました。
荒俣宏著『風水先生』では,最初から「風水ありき」で筆を進めています。オカルト作家を自認す
る荒俣さんですし,文中で「風水はオカルトである」と書いてはいるものの,無批判受け入れのノー
テンキな世界です。オカルトは小説だけにしてほしいもの。
目次にもどる
(8)家相・風水は誰のために
相談者の弱味につけこみ,弁護士相談料の何十倍という暴利をむさぼり,「払う人がいるから」と
うそぶく家相風水師にはあきれます。
拙著を読んで,私の事務所に訪ねて来られた家相被害者(某大企業役員)の話しです。本来合理的
にものごとを考えるタイプだと自負していたが,家庭内の悩みをかかえているときに,上司から家相
の存在を教えられ,一拳にのめり込んでしまったという方です。
家相の本を何冊も読んだあげく,複数の家相見を訪ねたそうです。しかし,予約させられ,30分で
10万円という高い鑑定料(ウラヤマシー!)を払っても,人によって言うことが違うし,本に書いて
ある以上のことは言ってくれないので,ようやくこの世界はアヤシイと気付いたということです。
「増築し続けないと死ぬ」という占い師の言葉を信じて,160室まで家を増築し続けて 85歳で亡く
なった女性がカリフオルニアにいました。増築を続けたから 85歳まで生きたのでしょうか。脅迫観念
を持たずに心おだやかに暮らせぱ,もっと長生きができたのかもしれません。悪質な施工者と組んだ
占い師の戦術だったのかもしれません。この女性のように裕福で継続して仕事を発注してくれる人は,
設計者なら一人はほしいクライアントです。
日本でも,家相を信じる建築主に息のかかった家相見を紹介,あたりさわりのない事を言わせる施
工者もいると聞いたことがあります。あらかじめ相談しておくからと家相見の名前を聞き出して,手
をまわしておく(金で解決)との証言もあります。家相見も儲かり,施工者も変更の手間など実害が
少なくて済むというわけです。ワリをくうのは何も知らない建築主です。
かつて,レーガン大統領がナンシー夫人の星占いの結果に影響されて政治的な決断を行った(?)
という話題がありました。日本でも,衆参両院議員の185人を対象に調査したところ,政治的判断や
選択のとき占いに依頼した経験をもつ人が約 13 %もいたそうです(中央大学多田ゼミ調査)。それ
なら,選挙広報に明記してもらわないとこまります。選んだ議員がこっそり占い師に指示をあおいで
いるのでは,投票するのもアホラシクなります。 99年7月の自民党総裁選当日の出陣式で小渕総裁
(候補)は新聞の占いの記事を見せながら,「今日は運勢が良い日」と言っていましたから,彼もそ
の一人だったのかもしれません。
さて,家相・風水は誰のためにあるのでしょうか。もちろん,信じている人は住み手の幸せのため
のものと思っているでしょう。しかし,家相・風水は家相見の(儲けの)ためのものでしかありませ
ん。相談者は,高額な家相鑑定料だけでなく,引っ越しの日程から方向までと実に無駄な出費を強い
られながら,住み難い家をつくっているのですから。
人は弱いもの。心の安らぎや,よりどころを宗教に求めるのもよいでしょう。しかし,無宗教者が
63%にものぼる我が国で,宗教でもない家相・風水に頼る人が少なくないのは不思議なことです。
目次にもどる
(9)家相見の講演会
以前,“家相見Tの講演会”を目玉にしたプレファブ会社の広告が日経新聞に載っていました。家
相見を客寄せパンダにして顧客名簿を集めようという営業部門のコンタンと思われます。
しかし,家相に従って建てたらプレファブの基本である標準プランが使えなくなります。そんな単
純なことに気付かないのでしょうか。会杜の利益に反する営業は,はたから見ると滑稽です。最近は
そのような広告は見かけませんが,社内の技術部門から総スカンをくったのではないかと推測してい
ます。
建築相談のために私が住宅金融公庫に出向いたとき,ホールでは家相見の講演会を催していました。
これもまた無批判付和雷同のパンダ登用ですが、よりによって住宅金融公庫でやらせるとは。公庫が
お墨付けを与えているようにみえました。会場を貸しただけというでしょうが,そりゃ通りません。
先日,日経新聞に2ページ大の派手な折り込み広告が入っていました。欲しいものがなんでも手に
入れられるというサイフです。「中国殷王朝,史実を再現,不思議体験続出」などとあり,儲けた体
験者の写真とコメントが載っていました。数日後に入ったダイエットの広告も同じ会社のものでした。
その後,朝日新聞の広告(2000/4/5朝刊22面)には『風水大富豪腕時計』が載っていました。
新聞社の広告倫理規定は厳しいと聞いていましたが,いったいどうなってしまったのでしょうか。
記事で多宝塔などのイカサマ商法をどれほど批判しても,これでは説得力がありません。一流新聞
がこのありさまです。悲しいことです。
豊田商事やKKCの残党が横行しているようです。インターネット上でも迷惑きわまりないねずみ講
メールが横行しています。普通の常識で判断すれば明らかにわかるようなものを「これはねずみ講で
はありません」と語るにオチル説明をしています。
悪徳商法の横行,「家相・風水」,占い,超能力など迷信やオカルトの蔓延は,“疑うことを知ら
ない”あるいは“疑うことを放棄した”無批判な受け入れ側にも責任の一端があります。そして,無
知・錯誤・先入観・付和雷同的な盲信・固執・偏見・差別などによって支えられ広がっていきます。
それを大手の出版,放送メディアが支え,マトモだったはずのジャーナリズムまでがフォローして
しまっているのです。
※冒頭に書いたプレファブメーカーが,なんと『家相のサイト』を持っていることを最近知りまし
た。営業部門の独走ではなく,会社がそういうところなんですね。経営者が凝っているのでしょ
うか。(2002年4月)
目次にもどる
(10)六曜の無意味
初回に書いた朝日新聞の調査によると六曜を気にする人は,46%(60代女性の65%が最高)にも
達する一方で,63%の人が無宗教者であるとも報告されています。
六曜は,暦や一部のカレンダーに,先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口として記載されているも
のです。これは,中国で昔,1ケ月を5つに分け6日ずつの単位をつくったもので七曜の月・火・水…
と同じ目的のもの。起源は定かでなく,中国から伝わったときと現代では大安と赤口以外は名前が変
わり,順番も入れ変わっています。月・火・水の字に意味が無いと同様,六曜にも日の順番以外の意
味は本来ありません。
変遷を調べると,現在の『仏滅』の位置は昔はナント『友引』の位置にあるのです。仏滅の日に葬
式をしていたつもりが,実は友引きだったのです。しかし,参列した友人が次々に“引かれた”とい
う事件は聞いたことがありません。最近三重県の仏教会は“仏滅”以外の日にも葬儀をおこなうこと
を決めたそうです。
朝日新聞(98年5月19日夕刊)に『社員手帳の「六曜」削除訴える』が載りました。「福岡市から
迷信と因習をなくす会」が市内の会社に対して,カレンダーや社員手帳への六曜の記載を止めるよう
に申し入れ約10年の運動で,記載していた会社 602社のうち改善した会社が 489杜というめざまし
い成果をあげたそうです。
ところが,衆議院手帳では87年,参議院手帳では93年から六曜を載せ始めたというのです。
会の代表松尾親辰さんは「昔ながらの迷信,非合理的な偏見,前時代的な意識などが根強く生き残
っており,特異な精神風土と民族的性格を形成している,このようなわが国の社会,経済,文化体制
こそ,同和問題を存続させ,部落差別を支えている(同和対策審議会答申66年)」を引用しながら訴
えています。
さて,皆さんの会社のカレンダーはいかがでしょうか。
葬式も結婚式も暦に関係なく行えばコストも下がるでしょう。地鎮祭を,みんながやっているから
大安の日に神道でやるのが当然と思い込むのも付和雷同です。しかし,自分が信じる宗教で自分の都
合のよい日に行うのが自然なことです。あるクリスチヤンは,丸テーブルに聖書を置き家族が囲んで
賛美歌を合唱したそうです。心暖まる方法です。工事の無事を願う気持ちこそが大切なのですから。
無宗教者なら,やらないほうがよほど自然です。
目次にもどる
(11)巷の怪しいモノ達−1
家相風水のほかにも,巷には怪しいモノが沢山あります。
血液型性格判断も酒の肴にするだけなら実害はありませんが,本気で信じたら問題です。そもそも
たった4種類の血液型で性格を分類できるほど人間は単純ではありません。蟻ですら性質は環境に左
右されるといいます。一匹の女王蟻のこどもはほとんど同じ遺伝子を持つ働き蟻ですが,行動を観察
すると,よく働く蟻は全体の30%程度。ところが,そのよく働く蟻だけを集めて観察すると,またそ
のうちの30%程度しか働かないのだそうです。置かれた状況によって,張り切ったり,あるいはやる
気をなくすのでしょうか。
ひとつの細胞(DNA)からなる大腸菌を同一の環境で育てても個性に違いがでるといわれます。人
は自分の性格の弱点を知り,努力して修正したり,環境に影響され変化も変身もします。
心理学者の大野政男さんが学生を相手に実験しています。あるクラスの学生に,血液型ごとに“一
般に言われている性格”を示して,「自分の性格に合っていると思うか」を聞いたところ 90 %近い
数字がでました。次に,別のクラスの学生に“一般に言われている性格”を入れ替えて示して,同じ
質問をしたらやはり同程度の数宇がでました。このことは,“思い込み”“ラベリング”に人がいか
に左右されるかを示しています。
日本人の AB型は約 10%です。少数派ですから,エリート意識につながることも,逆に差別につな
がる危険もあります。戦争中には兵の配属に利用しようという動きもありました。今でも社員の配置
の参考にしているアキレタ経営者もいると聞きます。
気功の効果についての実験があります。気功師が術をかけると相手が跳ね飛ぱされるという“現象”
の検証です。さまざまな方法で計測をしても変化が認められなかったので,偽薬(プラシーボ)効果
ではないかと推定した群馬大学の丸山悠司教授が,中国の留学生と会社社長をニセの気功師に仕立て
上げたところ,ホンモノの気功師の場合とほぽ同じ結果がでたそうです。
気功のすべてを科学的に否定できるかどうかは分かりませんが,「作用反作用の法則」から考えれ
ぱ,気功師がまったく動かずに,相手を跳ね飛ぱすことなどありえませんから,この結果はまさに心
理効果でしょう。
厄年(やくどし)も迷信そのものです。女性の33歳,男性の42歳などが知られていますが,女性
はお産でさんざん(33)苦労,男性は死に(42)という他愛のない語呂合わせです。
結婚式の三三九度の盃は,結婚して「サンザンクルシム」とも読めますが,『正解!』と思った読
者もいらっしやるのではないでしょうか。さまざまな厄年を並べると,生まれてから100歳まで,毎
年厄年になります。それを,「人生とはそういうもの,好事魔多し。気をつけてしっかり生きよう」
と考えるのか,厄払いに頼るのかということでしょう。
※偽薬効果:『健康情報の読み方』
→「情報源の検証」→「きちんとしたデータに基づいた情報か?」
→「プラシーボ効果についての解説」へ (03年7月)
目次にもどる
(12)巷の怪しいモノ達−2
コールドリーディングとマルチプルアウトというテクニックがあります。前者は相手に無意識のう
ちに自分を語らせるもので,後者はどちらともとれるファジーな語り口を指します。ともに占い師達
が使う手法です。人生経験豊富な人なら,この手を使えぱ結構“占える”はずです。
バイオリズム理論がかつてブームになりましたがさっばり聞かれなくなりました。バイオリズムと
は,人の誕生の瞬間から人生を通して三つのリズムが周期的に反復をくり返して,人の行動のあらゆ
る側面に影響を与えるというものですが,最近では,科学的な体裁を装った占いであると評価されて
います。バイオリズムの本を売らんがために,否定的なデータをすべて排除し,都合のよいデータだ
けを集めていたことが明らかになったからです。
商品の世界でも,吸水性が高いというふれこみの“朝シャンタオル”が一時流行りましたが,国民
生活センターが,効果がないと発表して一挙にブームがしぼみました。損害賠償ものです。痩せる石
鹸や化粧品も,肌がひき締まるというならともかく,つけて痩せるのならそれは劇薬ではないでしょ
うか。
付和雷同しないで少しだけ科学的論理的に考えてみる,というだけでも怪しい商品やねずみ講など
の被害は防げるはずです。これまで取り上げてきたように,『疑似科学』にはさまざまなものがあり
ます。哲学者で心理学者のウィリアム・ジェームスは「白いカラスの存在を証明するには白いカラス
を捕らえれぱよいが,存在しないことを証明するにはすべてのカラスを調べなけれぱならない」と指
摘しています。「存在しない」ことの証明は事実上不可能ということです。それをいいことに『疑似
科学』側は,「存在しない」という批判に対し,自分では証明しないで(できないからですが),
「存在しないというならそっちが証明しろ」と開き直るのです。
デビッド・カッパーフィールドというすごいマジシャンがいます。自由の女神像を一瞬のうちに消
し去りまた戻したり,グランドキヤニオンの空中を浮遊したりという,壮大なマジックをやる人です。
彼が悪意を持って教祖になりすましたらサイババも,麻原も足元にも及ばないでしょう。麻原の弟子
さえ目撃していないという空中浮揚を,カッパーフィールドはワンカットの映像で見せてしまうので
すから。
科学で説明できない,証明できないからといって,すぐに超常現象に結び付けるのは危険なことで
す。正しい科学教育が大切です。
※あきれました。懲りないDrコパは,“死んだはず”のバイオリズムをまたまた拾い上げて,新し
いネタを開発したようです。ようやるわ!。(2002年7月)
目次にもどる
(13)終わりに
創造の世界は,技術も芸術も絶えず既成の概念を問い直しながら進歩してきました。固執,偏見の
中では建築設計やデザインという創造活動はできません。
家相見のつくった間取り図を,技術と使いやすさとデザインだけを考えながら自由なプランに組み
換えて比較してみれば,いかに家相が荒唐無稽で,しかも実害があるか実感できるでしょう。
家相に従おうが従うまいが,できる住まいが赤いか青いか程度の違いなら,趣味の問題と片付けて
もいいでしょうし,それで安心が得られるのだという人に対してまで説得する必要もないでしょう。
しかし,明らかに快適性の劣る,低質な住まいになることを専門家が放置しておいていいでしょう
か。しかも浪費をしています。ですから,家相に対して「それなりの説明がつく部分もある」ともの
わかりの良い態度を示すことは家相見を間接的に勢い付けることにしかなりません。家相の知恵とい
うものがあるとすれぱ,それは文明の低い時代のもの。現代人が古代人の知恵を真にうけるのは不可
解です。温故知新とはまったく別の問題です。
専門家が「家相風水なぞ論ずることも馬鹿ぱかしい」として無視し続けた結果が家相の蔓延をゆる
し,家相見と一部メディアのやりたい放題につながっています。家相見を商売に利用する多くの出版
社,視聴率かせぎしか頭にない TV番組。
雑誌『噂の真相』(98年9月号)には「経歴詐称発覚した Dr コパこと小林祥晃の風水成金人生」
が載っていましたが,それでも相変わらずなりふりかまわず利用し続けるメディアです。
アメリカでは1975年,蔓延するオカルトにノーベル賞科学者たちが警鐘を鳴らし,以後雑誌等の
占い記事には「エンターテインメントである」旨の表示がされるようになりました。マスメディアか
ら我々が得る情報はすでに選択されたものです。だからこそ正確な情報を流してほしいのですが,先
に書いたように必ずしもそうではない以上,一人ひとりが注意するしかなさそうです。
若い層に迷信や超能力を信じる人が多いのは気がかりなことです。全米科学財団が発表した「先進
14 カ国の国民の科学知識テスト」では,米国とデンマークが1位(平均55点)で,目本は13位(平
均36点)と報告されています。科学知識の低さとオカルト人気には相関関係があるのでしょうか。
(-了-)
目次にもどる
番外1
99年 6月 22日付け朝日新聞の国際版では,「人民日報」(中国共産党機関紙)の評論「科学を尊
び,迷信を打破しよう」をとりあげています。
党・政府は最近「気功に名を借りた迷信やデマ」に対して警告を発したばかりで,第一面に載せら
れた今回の評論は,『一部で「愚鈍な迷信活動」が台頭している』として,『一部の党幹部が私利の
ため,星占いや風水,相性占いなどを信じ,神仏の祈とうに熱中し,唯心主義のとりこになっている』
と指摘しているそうです。
目次にもどる
番外2
『家相風水の氾濫を憂う』 週間金曜日「論争」(950630)
家相と風水がブームらしい。関連の書籍はかなりの数にのぼるし,テレビでもたびたぴ取り上げら
れている。そのあおりをくって,建築設計の世界では家相に翻弄されることも少なくない。しかも,
それは住宅にとどまらずオフイスの設計までをも害している。
もちろん家相は迷信であるし,設計者は信じていない。しかし、クライアント(依頼者)が気にし
ていれば,それに触れずに済ませることはできない。
住宅金触公庫が行なった居住性調査では「家を建てる時家相を考慮したか」の問いに対して,名古
屋の約 70%を筆頭に全国で五七パーセントの建条主が「考慮した」と答えている。東京でも約 40%
に達している。生活の根幹をなす住宅までもが迷信に毒されているという恐ろしい状況である。これ
は1988 年の調査だから,最近のブームを考えるともっとひどくなっているかもしれない。もっとも,
建てる家族が気にしなくても,親や親戒に言われて考慮した建築主もいるだろうから,人口比で平均
57%が気にしているということではない。信じている人口はおそらく 10%台だろう。家粗を気にす
る人が,必ずしも信じているわけではない。昔からそう言われているから,周りが言っから,という
ような薄弱な理由がほとんどだろう。いわゆる無批判な受け入れである。その点でメディアの影響は
非常に大きい。テレビなどで面自おかしく取り上げられる超能力,霊能力,超常現象などに対して大
方の科学者は無視してきた。同じように建築家や建築技術者たちも「家相」や「風水」を無視してき
た。迷信なぞに言及することさえおぞましいというのが専門家の態度だった。
しかし,その一方で露出度が大きい家相見によって吹聴されるうちに,本来チッポケな存在の「迷
信にすぎない家相」があたかも「正当な存在」であるかのように増幅され,定着されてしまった。
「魑魅魍魎の世界」を商業主義的な理由(視聴率)で垂れ流してきたメディアと,それに異議を申し
立てなかった建築専門家の責任は大きい。
家相が,快適な家をつくる上で大きな障害になることは言うまでもない。しかも,家相風水の根拠
とされる陰陽説,五行説,鬼門説などすぺて馬鹿ばかしいばどの迷信である。そして,それらば偏見,
固執,付和雷同,差別,無知,語呂合わせ,無批判な受け入れ,などによって支えられている。
例えば,五行説は天文学の落ちこぼれだ。五惑星を根拠にしているのは,当時は惑量が5個しか確
認されていなかったというだけのことで,今は大きな惑星だけでも8個あることは子供でも知ってい
る理屈だ。説得男のなさは明白だ。
十二支は単なる12カ月の順序を示した象形文字に過ぎず教育水準の低い時代に庶民に解りやすくす
るための記号として動物をあてはめただけのもので,それ以上の意味は全くない。鬼門説に至っては
中国古伝説のお伽新がその起源だ。
これらのルーツをさかのぼると,紀元前数千年の中国の伝説の世界に達してしまう。人首蛇身の皇
帝が治めていた時代に見つかったとされる,馬のたてがみや亀の甲羅の模様から発展(捏造)したも
のだ。
根拠が他愛ないだけでなく,現在行なわれている運用の仕方も矛盾だらけのものだ。家相を判定す
るための,家の中心の取り方や,方位(北)の計り方などが諸説によってまちまちである。だから,
方法によっては吉も凶になってしまう。
そして最も重要な,なぜ吉なのか,なぜ凶なのかの説明は一切されていない。勿論,説明のしよう
がないからだ。
このように「家相」「風水」は根拠から連用まで,すぺてが疑問視されているものである。だから,
そのような迷信に因われて,快適な住宅に住むことを放棄するのば大変な浪費であり損失である。
目次にもどる
番外3
『怪しい学位・リンク集』
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性 (1) 福永法源の博士号
法の華・福永法源“博士”
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性 (2) 薬学博士と謎の研究所
次世紀ファーム研究所堀洋八郎“博士”
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性 (3) 「健康食品」販売の権威付け
カラオケ店2階の“大学”。吉村作治“博士”、神津健一“博士”
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性
(4) 健康関連ビジネスに広がる
足立和子“博士”
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性
(5) 著名人が続々と登場
“教授”陣のリスト
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性
(6) お粗末な日本校
日本校はマンションの一室。静岡国立大学・小島茂教授(正真正銘)の活躍
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性
(7) 「胡散臭い」学位
ドクター中松“副学長”。有名人“同窓会理事”
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性
(8) 「認定機関」そのものが胡散臭い
佐藤富雄“学長” “博士”。高梨智弘“教授”
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性
(9) 奇怪な広がり
マンションにある“日本校総事務局”。飯島謙一“学長”“博士”
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性
(10) 日米当局のそれぞれの取組
アメリカでは大学(院)を容易に設立できる
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性ー頬かむり
消去されたリスト
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性
―吉村作治博士への期待
水野晴朗“博士”。シャレで取った吉村作治“博士”・サイバー大学学長
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性
―英語教育界に進む汚染
NHK番組企画委員の市川力“博士”。七田眞“教授”
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性
:「知的基礎体力」回復を
MBAにもいろいろ
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性
:都知事選との因縁
ふくろう“博士”。七田眞“教授”。ドクター中松“副学長”。黒川紀章“同窓会理事会議長”
※「米国大学 (院) 学位商法」の危険性:「英国国立大学」も
トップ当選の世田谷区議、経歴詐称で窮地?井崎義治流山市長の場合は?
目次にもどる
届いたメール:
メールを沢山いただいています。一部を紹介します。
プライバシーに係わる部分を少しアレンジしています。
アチラ側からの“イチャモン”メールも1通だけありましたが無意味なので無視します。
1は,建て替え工事中の方からのメールです。
(記)メール1
『友人から,「北東のかけ,トイレの位置,と(家相上)最悪なことがそろっているから,
あなたを相続する人は○○才(十代)で亡くなり,変質者も出る」と言われました。
その上に,配慮のなさを強く批判されています。
完成を楽しみに,インテリアなどの勉強をしていたところに,このようなことを言われて
悩み,悲しくなってしまいました。
でも,江口先生のホームベージをみて心が軽くなりました。
設計をお願いしている先生と,みんなが住みやすい家をたてようと話し合っていたことを
思い出しました。我が家は大家族なのできっと家族みんなで仲良く,力強く暮らしていけ
ると思います。どうもありがとうございました。』(以上)
※「(家相への)配慮のなさを強く批判されて」とはあきれます。「家相を無視したこと
は自然なことなのですが、その友人はヘンな宗教に入っているのでしょうか。
2は、リフォームしたばかりの悩める主婦からのメールです。質問でした。
(記)メール2/Q&A形式です。
Q:
医院で、なにげなく読んだ家相の本の中で、南西のキッチンが最悪と書いてあり、まさにう
ちがそうなので、毎日毎日鬱々とする日々です。
大好きな我が家なのに、幸せに暮らしているのに、家相が悪いと言うだけで、人間は不幸
になってしまうのでしょうか?
いろんな家相の本を読みましたが、肯定するものばかりで、とても落ち込んでいます。
A:
家相・風水は迷信、まったくのインチキです。それなのに「家相・風水本」が多いのは、
家相見や風水師が儲けるための“客集めの窓口”にしているからです。
そして出版社は、一定の数が売れるから出版します。決して、「住む人、使う人のため」
ではないのです。
テレビで細木某、江原某などという、うさんくさい人物の番組を競って放送するのも視聴
率のためで、「視聴者へ正しい情報を送るため」ではありません。「あるある大辞典」の
不祥事もそうでした。ずっと前から科学者は批判していましたが。
「南の日が入るキッチン!」明るくて楽しいではありませんか。
「大好きな我が家!」それこそが幸せです。
上記の回答に対する、お礼のメール:
早速のメール、お忙しいのにありがとうございました。大変感激いたしました。
実は私が家相のことを気にするあまり、家の中が暗くなっていくところでした。
問題なのは、家相ではなく、明るく前向きに、人や物に優しく、元気に生活していくこと
ですね。
これからも主人ががんばって建ててくれた大好きな我が家を大事にして、変な情報に惑わ
されず生活して参ります。
※つくづく、出版や放送の世界が害毒を流し続けていることがわかります。
経営陣の質の問題ではないでしょうか。(以上 070801追記)
※このようなメールをいただくと,お役にたてて本当にうれしく思います。
“イチャモン”メールを無視する気持ちがお解りいただけると思います。
※たまに,何を勘違いしたのか,家相風水の内容をメールで私に聞いてくる方がいます。
私は,家相風水なんぞ迷信だといっているのです。それなのに説明してくれとは,どう
いうことでしょうか。
信じているのなら,その道のセンモンカに高〜いお金を払って相談していただきたいも
のです。
目次にもどる
since 00/07/27 update 10/03/10