圧電セラミックス、強誘電体、

セラミックアクチュエータ読本

 

楠本慶二 ( Kusumoto Keiji ) 著

2016年11月改訂 >

    楠本については、 職場の研究テーマの変更の関係で、圧電セラミックス関係の仕事は2008年以降は行っておらず、再開の予定もありません。 本ページの内容は、組織を代表した意見ではなく、あくまで個人的見解で、個人の趣味として作成しています。よって、公式ルートへのご質問はお止めください。こ のページは、圧電セラミックス研究の大先輩によると正確度は90%ぐらいです。

企業研究者の方へ>

   売り物にするには、ここだけの技術、知識では、とうてい不可能で、実用材料は、改良につぐ改良が加えられており、長年の圧電セラミックスに関する研究の積み重ねとなっています。よって、以下の内容は、 「これから圧電セラミックスを学ぶ人のための案内書」という、とらえ方でお願いします。

< Kusumoto圧電セラミックストップページに戻る 

はじめに >

電子セラミックスの検索キーワードで、こられた方へ>

  電子セラミックスといっても、 様々な分野があるので、社会人は会社の予算で、まずは以下の代表的な技術文献系出版社の技術書の購入をお勧めします。これらの本は高価ですが、経験豊富な技術者が書いているので分かりやすいです。最初は高いと思っても、無駄な時間を過ごすことを考えると、結局は「安くつく」ということです。 また、個人ならばアマゾンなどで中古本を探しても良いでしょう。

ティー・アイ・シィー ○日本工業出版 ○NTS ○技術情報協会  ○CMC出版  ○アグネ技術センター  ○朝倉書店

仕事、卒論で圧電体、強誘電体を勉強するハメになった方へ>

  圧電材料はピエール・キュリー(有名なキュリー夫人の夫)による水晶の圧電性の発見以来130年、圧電セラミックスは60年以上の歴史があり、世界には優れた解説論文、解説本が本当は溢れています。

  問題は、それらの情報がどこに載っているのか、現在も入手可能か、統合されているか、いつでも簡単に見られるかという事です。また、専門の学会に参加しても「先生達の議論する 最中に出てくる専門用語、意味が分からない」、「 面識の無い先生に直接聞くのも気が引けるし、数分のやりとりでは分かるはずもない」、「そもそも、どうやって勉強すればいいかも分からない」という人が大半ではないでしょうか。

  著者は、圧電セラミックス関係で独学で研究を始めた頃(現在では趣味の一つになっている)は、学会で先生達の討論を聞いていても専門用語が飛び交うばかりで「???」の連続でした。 「専門学会は最先端の発見を報告&議論する場」なので仕方ないかもしれませんが、これでは、一部の専門家ばかりの世界で発展が望めません。

  本テキストは、私の勉強を兼ねて作成しているものであり、著作権に配慮しつつ、企業と交流の経験を踏まえて随時、書き足しており、間違いが判明すれば適宜、改定しています。

  編集しやすさの都合上、図表や数式は省いているので、より詳しい事を学びたい方は、専門の教科書を参照して下さい。また、圧電関係図集を別のページに用意しているので、そちらも参考にして下さい。 産業界で電子セラミックスの大先輩の先生によると、”本読本の90%は正しい”とのお言葉を頂きましたので、その程度の精度の文章という認識でご参考ください。 公開資料の情報の寄せ集めでは、この程度の精度が限界かもしれません。

  本ページは、気軽に改定しやすいよう、html形式で記述していますが、A4紙に見栄えよく印刷できるように配慮はしています。ただ、印刷すると50ページ以上 (両面印刷なら30ページ程度)になるのでご注意下さい。

  本テキストの作成には、長年、圧電材料に関わってこられた先輩方の研究や著作を参考にしており、紙面を借りて御礼を申し上げます。

  本資料が、これから「圧電、強誘電体、セラミックスを学ぼう」、「仕事・卒研で学ぶハメになったが、専門用語の意味が分からない」という方のお役に立てれば幸いです。

  学問的質問は、日本セラミックス協会の電子材料関係の講演会で、専門の先生に直接聞いてみるといいでしょう。質問するタイミングは、懇親会で一息ついた時がベストで、お勧めは助教か、准教授クラスの先生で、技術的質問の場合は、まずは取引先の企業の開発担当者に聞くのがいいでしょう。

 誰でも最初は素人であり、生まれながらの専門家はいません。必要な時に必要な所を見て、地道に学習していきましょう。


目次 > < 圧電セラミックス、強誘電体 読本 >

0 圧電セラミックスについての心構え(必ず読んでね

0-1 無鉛圧電セラミックスの開発においての注意点

0-2 無鉛圧電セラミックスの開発の考え方の解説

0-3 KNbO3-NaNbO3系セラミックス作製の注意点(緻密な焼結体を得たい) (2014年11月改訂)

0-4 KNbO3-NaNbO3系圧電セラ において良好な圧電特性を示す基本組成の共通性 NEW

1 単位換算表

2 誘電体、圧電体、焦電体及び強誘電体の関係

3 強誘電体 ( Ferroelectrics )

4 ペロブスカイトパラメーター ( Perovskite parameter )

5 双極子モーメント ( Dipole moment )

6 電界誘起歪の表現方法

7 誘電分極量

8 電気分極、自発分極、残留分極 ( Polarization, Spontaneous polarization,

                                Remanent polarization )

9 分極処理、ポーリング、ポーリング処理 ( Poling treatment )

                 抗電界Ec ( Coercive electric field )

10 圧電体と圧電現象、結晶相境界、M.P.B. ( Piezoelectrics, Piezoelectric effect )

11 圧電材料、強誘電体、その他の歴史、PZT発見の経緯

11-1 セラミックスの外観

12 電極関連 ( Electrode )、圧電素子に書いてある記号、圧電素子の外観上の処理

13 圧電体素子その他の値段、市場規模

14 化合物の呼び方

15 圧電特性の測定に関して

16 焼結用バインダーと造粒方法について(研究室レベルの話)

16-1 緻密な焼結体の作製

16-2 敷き粉、セッター、焼結時の容器

17 圧電デバイスの共振周波数についての注意点

18 アクチュエータ製造に関して(使用される金属など)

19 純度補正

20 さまざまな圧電材料

20-1 さまざまな圧電セラミック材料

20-2 圧電単結晶

20-3 ペロブスカイト型強誘電体の結晶相の変化

21  PZTの低温焼結関係

22 電歪体(でんわい)と電歪効果

23 圧電体と電歪体の関係

24 キュリー点、キュリー温度、脱分極温度

25 焦電体 ( パイロ効果 )

26 常誘電体 ( パラ・エレクトリックス、Paraelectrics )

27 反強誘電体 ( アンチ・フェロ、アンタイ・フェロ、Anti-ferroelectrics )

28 BaTiO3,チタン酸バリウム 、チタバリバリウム・タイタネート、 ( Barium titanate )

29 電界誘起強制相転移現象(でんかいゆうききょうせいそうてんい、電界誘起相転移)

30 圧電セラミックスの分極と強誘電的分域(ドメイン)構造ドメイン構造 (Domain structers)

  ドメイン・ウォール( Domain wall)、ドメイン・スイッチング( Domain switching )

31 電気機械結合係数(k) ( Electromechanical coupling factors )

32 圧電定数と圧電基本式 ( Piezoelectric constant )

33 圧電 d 定数、圧電歪定数 d33, d31, d32, d15, dh ( Piezoelectric d constant )

34 圧電 g 定数、圧電出力定数、電圧出力定数 ( Piezoelectric g constant )

35 圧電 e 定数、圧電応力定数 ( Piezoelectric e constant )

36 圧電 h 定数、圧電応力定数 ( Piezoelectric h constant )

37 Qm, 機械的品質係数 ( Qm, Mechanical quality factors ), Low-Q材、High-Q

38 誘電体損失、誘電損失係数誘電損失タン・デルタ ( tanδe, dielectric loss )と電気的 Q (Qe)

39 力学損失係数 ( tanδm タン・デルタ) PDF; 圧電セラミックスの機械的品質係数Qmの解説

40 比誘電率 ( Relative dielectric constant )、誘電率( dielectric constant )

  誘電定数

40-1 見かけの誘電率、見かけの比誘電率 (試料の誘電率が異常に大きく誘電損失も大きい)

40-2 インピーダンス、レジスタンス、リアクタンス、アドミタンス

41 静電容量、キャパシタンス ( Capacitance )

42 周波数定数 Nt, Npなど ( Frequency constant )

43 周波数の温度依存性 ( frTC )

44 振動子における振動名称関係

45 ヤング率 ( E ) ( Young's modulus )

46 ポアソン比 (σ) ( Poisson's ratio )

47 曲げ強度、抗折力 ( Bending strength )

48 弾性コンプライアンス定数( s , 弾性定数〔10-12 m2/N])

  弾性スティフネス定数( c , 弾性率 )

49 圧電・電歪セラミックスの応力印加特性

50 ソフト材、ハード材

51 PZTセラミックスの圧電特性に関する添加物効果

  <比誘電率の高いPZTセラミックスを合成したい>

  <ソナーや経時劣化に強いPZTセラミックス(ハードPZT)を合成したい>

  <超音波振動子用のPZTセラミックスを合成したい>

  <焼結温度を下げたい>

52 PNN-PZTセラミックスの圧電特性に関する添加物効果その他

53 ランジュバン振動子 ( Langevin-type transducer )、ボルト締めランジュバン振動子(BLT)

54 脱分極温度 ( Depolarization temperature )

55 ピンチング ( Pinching )

56 d33メータ, d31メータ ( d33-meter, d31-meter )

57 ベガード則 ( Vegard's rule )

58 圧電関係の規格 ( Standards )

59 ペロブスカイト ( Perovskite )、ペロフスカイト、様々なイオン半径(シャノンのイオン半径表)

60 ペロブスカイトの種類、単純ペロブスカイト、複合ペロブスカイト、リラクサー

  ( Simple perovskite, Complex perovskite, Relaxor )

61 鉛系複合ペロブスカイト化合物に関する合成の困難度

62 リラクサーと散漫相転移( Relaxor, Diffuse phase transition )

63 セラミックスの欠陥( 酸素欠陥、格子欠陥、変色など )

< 圧電セラミックアクチュエータ 読本 >

64 圧電セラミックスって何?

65 どこで使われている?

66 セラミック・アクチュエータの種類、構造

67 素材は?

68 駆動方法について

69 気をつけたいこと

70 参考文献リスト


0  圧電セラミックスについて (  まずは、必ず読んでください )

  圧電体は、単結晶もあれば、多結晶であるセラミックスもあり、塊状(バルク状)もあれば、積層体もあり、厚膜もあれば薄膜も、粉末もある。

  複数元素から構成される圧電単結晶では組成分布の偏りもあれば、結晶育成時の欠陥も含む。また、強誘電体では強誘電性を示す内部領域(ドメイン)が一つしかないシングルドメインの物もあれば、多数あるマルチドメインの単結晶もある。 さらに、特定の結晶軸方向に切り出された物もあり、結晶構造に由来する分極特性、分極処理後の電気的特性の変化、温度依存性、経時変化もある。

  一方、多数の結晶粒から構成される圧電セラミックスでは、組成分布のずれ、結晶内部の欠陥、結晶粒界の不純物、焼き物であるがゆえの焼結の程度 (いわゆる、緻密に焼けた、焼けてないの世界)、電極の種類、電極層の厚さ、電極層の劣化、電極の構造(内部電極か外部電極か)、セラミック層の厚みが変われば、誘電挙動も有効印加電界 強度も変化する。

  さらに、なんらかのアクチュエータとして駆動させる場合には、超音波振動子の観点から見たり、素子にかかる応力、素子の形状、固定方法、接着剤、駆動周波数、駆動パターンなども考慮しなければならない。 さらには、専用の駆動回路の設計、調達、駆動電圧、「機能が経済的に見合うか」という問題もある。

  以上、漫然と多数の要因を並べたが、言いたいのは「圧電セラミックスの特性、性能は、様々な要素が複雑に絡み合っているから、結晶格子のみを想定した原理原則の教科書通りには行かない」と思ってほしい。

  圧電セラミックス=純粋なPZTという考えは、30年以上前の常識であり、現在は目的に応じて、PNN-PZT、PMN-PZTなど、数限りなく組成が改良されているので、いまどき、 学会で「PZTを研究してみました。PZTでアクチュエータ作ってちゃんと駆動しました。」というのは、企業の専門家から見ると、「ああ、そうですか。それは良かったですね。」で終わるのがオチである。 まあ、現在でも、純粋なBaTiO3やPZTの圧電セラミックスを作製し、分極するのは大変なので、大学の研究室で、それだけの事(=教科書に載っている特性の再現)をやれるというのは「たいしたもの」ではある。

   「圧電セラミックスを学ぶ初心者」は、いきなりPZTで学ぶのではなく、チタン酸バリウム(BaTiO3)の圧電特性を学ぶことをお薦めする。これはチタン酸バリウムは、温度に応じて多様に変化し、バリウムの代わりに鉛が結晶格子に入るから「特性がこういう風に変化した」、チタンの代わりにジルコニウムが入ったから「特性がこういう風に変化した」と考えるのが経験上、一番理解しやすいからである。 また、ランドルト・ベルンシュタイン((the Landolt-Bornstein, 出版 Springer )というデータ集に、これまでに報告された強誘電体の特性が網羅されているので、自分で実験するよりは、その特性集を見た方が早い。 ただし、これらのデータ集の化合物には、通常の設備では簡単には合成出来ない化合物が含まれているので注意すること。

 

0-1 無鉛圧電セラミックスを開発する上で注意したいこと

 

読みやすいようにQ&Aで記述。

相談> 大学で研究の結果、いい材料を発見し、新聞発表もしました。しかし、企業から問い合わせがありません。なぜですか?

○ その材料は、比誘電率が室温で約1万あります。

  回答→ 誘電体は薄膜化すると材料の比誘電率が上昇する傾向があり、アクチュエータとして積層した場合、素子の静電容量が巨大になる上、高速駆動した際は大電流の供給が必要になり、周辺の回路設計からやり直す必要がありますので、従来のPZTと同じような比誘電率が望まれます。

○ その材料は、比誘電率が1000程度ですが、とても大きな圧電歪を示します。

  → 鉛系圧電セラミックスの経験則からいうと、材料の比誘電率と「圧電歪」量は比例します。つまり単結晶でないかぎり、比誘電率が小さいのに圧電歪が大きく観察されるというのは、歪 量の測定、測定システムに問題があり、本来の圧電歪以外が観察されている可能性があります。経験を積むと、未分極の焼結試料の比誘電率、及び「未分極状態の誘電損失のばらつき(結晶内部に物理的に動く領域がある組成は、電界の低周波数に応じて移動するので、 低周波領域での誘電損失が大きく変動する)」を見るだけで、圧電性が良好か(圧電性の可能性があるか)の良しあしが分かります。圧電特性といっても、どの程度分極されているかの表示も大事で、「新規の圧電セラミックス合成しました。分極してみたら、この程度のd33でした。」だけではダメで、「分極したら、これぐらいの位相の反転があり、80%の分極度合いでは、圧電特性は○○でした。」という表示なら 、信用度は大幅に向上します。

○ その材料のキュリー温度は150℃です。

  → よく使用されるPZTのキュリー温度は約350℃。大まかな目安として製品として使用できる温度は半分の160℃ぐらいです。キュリー温度が150℃というのは、半分にして75℃なので、水中で使用する なら応用の可能性はないとはいえませんが、ランジュバン振動子の場合、圧電特性が低ければ、圧電振動子の寸法を大幅に変更する必要があるので嫌われます。

○ その材料は単結晶です。

  → 単結晶は、セラミックスに比べて組成のばらつきが大きいうえ、製造に時間がかかり、圧電異方性が大きいので、好みの形状に大量製造可能なセラミック素材が好まれます。

○ その材料は、アンチモン、タンタル、フッ素、コバルト、ニッケルを含んでいます。

  → ビスマスは一般に無毒といわれていますが、アンチモンは発がん性(おそらく、酸素ラジカルの発生による、元素の放射性物質化によるもの)が昔から噂されています。タンタルは高価&原産国の政治問題、コバルト、ニッケルは、製造現場での大量使用に関して規制がかかっていると思います。 フッ素は、原料として使用する際に副生成物として有毒なフッ酸が発生する可能性が あり、たとえ性能がよくても、製品として何十トンも製造する場合に、フッ素を安定的に一定量配合できるか疑問があります。

○ その材料は、室温付近での結晶相境界現象を使用して、良好な圧電特性を実現しています。

  → 「室温付近に結晶相境界温度が来るように材料設計して、圧電特性が良くなるのは当たり前の話」ですが、製品として使用する場合は、製品は-50℃から150℃まで何年も使用される可能性があるので、室温以外で特性変化があるような材料は嫌われます。PZTは室温以下から150℃ぐらいまで「結晶相変化しない」ので使いやすいのであって、 【冬はいいけど夏は動かない】というような、製品の温度で圧電特性が変化する材料は嫌われます。また、俗に言われているように、「PZTのM.P.B.組成が使用されている」というのは40年前ぐらいの話で 、現在では、製品の要求に応じて、わざと組成をずらして使用したりしているようです。

○ その材料は酸化鉄を大量に含んでいます。

  → 一時期、鉄酸ビスマス(BiFeO3)ベースの研究が流行しましたが、BiFeO3は、焼結温度と溶融温度が非常に近いために、たとえ圧電性能が良かったとしても、何百万個安定して焼結して製造できるかというと困難です。また酸化鉄の原料も問題で、 酸化鉄は触媒作用があるために、混合、粉砕に有機溶媒を使用し、密封した乾燥炉で強制的に乾燥させると爆発の危険があります。

○ その材料はナノテクを駆使して、半導体設備を使用して実現しました。

  → いくら高性能な無鉛圧電セラミックスといっても、製品化した場合、従来の鉛系圧電セラミックスと同等の値段が要求されますので、半導体技術は割に会合いません。 また、企業においては従来のセラミックスと、なるべく同じ原料、同じ製造設備を使用したいというのもあります。MEMS技術を利用した製品が普及しにくいのも、従来のセンサと同様の値段を要求されるからと聞いたことがあります。

○ その材料は、圧電材料の90°ドメインの変形を利用しています。

  → 「高電界を印加して、90°ドメインを変形させると大きな変位が観察されるのは当たり前」ですが、それは圧電効果ではなく、圧電材料の副次効果(電界誘起歪)を利用しているだけで、無鉛圧電セラミックスというカテゴリーから は外れた研究です。

 

最後にアドバイス> 昔から鉛系圧電セラミックスを製造販売している企業は、上記の「お約束」を考慮した上で、研究開発していますので、これら伝統メーカーの研究例を参考にしましょう。

 

0-2 無鉛圧電セラミックスを開発する方法の考え方の紹介 (5/8 update )

 

注意> おおまかな考え方であり、化合物の発見順序は考慮していません。  

( チタン酸バリウムからPZTへ )

  チタン酸バリウム(BaTiO3  室温ではc/a=1.01, cは正方晶のc軸方向の長さ、aはa軸方向の長さ)は、発見当時としては非常に大きな比誘電率を示すセラミックスとして偶然発見されたものであり、チタン酸バリウム(BaTiO3, ABO3構造)がこうなら、AサイトのBaをPbに置換したらどうなるだろう、Srで置換したら?、Caで置換したら?という感じで研究され、PbTiO3 ( c/a=1.06 ), SrTiO3, CaTiO3らの研究が進んだ。その結果、PbTiO3は、大きな圧電性を示すものの、セラミックスでは、焼結の冷却時に、c/a比が大きいために結晶が大きく変形し、緻密に焼結できないという問題が発生し、 (現在では、問題は解決されてPbTiO3主成分のセラミックスも製造可能になっている)その後、どちらかというと単結晶での使用が試みられた。並行して、ABO3構造において、BサイトをTiの代わりに、Zrで置換したら?という感じでBaZrO3, PbZrO3の研究が進められ、では、AサイトとBサイトを置換したら、、、で、PbTiO3-PbZrO3 ( PZT , PZT 51/49 はc/a=1.04 )が開発された。

( ペロブスカイト構造化合物の発展 )

  BaTiO3はペロブスカイト構造であり、この構造は面白い性質を示しそうだということで、BaTiO3 = Ba2+,Ti4+,(O2-)3、2価と4価の正イオンの組み合わせであるなら、1価と5価での組み合わせで、K+,Nb5+O3の特性ははどうか、NaNbO3は?、LiNbO3(= 結晶が歪み過ぎてペロブスカイト構造ではない)の特性はどうか?となった。さらに、Nbを他の5価の正イオン(例えばTa5+)で置換したらどうなる かという流れができた。さらに3価の正イオンのBi、3価の正イオンのFeではどうか?ということでBiFeO3(たしかペロブスカイト構造ではなかったハズ)などの研究も行われた。

( 複合ペロブスカイト化合物の登場 )

  ペロブスカイト構造は、+2価の正イオンなくても、平均して+2価になれば結晶構造として成立できることが明らかになり、+3価のBiと+1価のNaを混合して平均2価(Bi3+_+Na+=+4価/2= +2価)になっても結晶が生成することが分かり、(Bi1/2, Na1/2)TiO3 (BNT、最近はNBTと表現することが多い、(Bi0.5Na0.5)TiO3と表記することもある)の研究が始まり、それでは( Bi1/2, K1/2 )TiO3はどうか?、(Bi1/2, Na1/2)ZrO3、(Bi1/2, K1/2)ZrO3はどうか?ということになった。

( 産業ニーズに対する発展 )

  チタン酸バリウムはキュリー温度が125℃ぐらいであり、80℃以上で圧電特性が激減するので、初期は、キュリー温度の高いPbTiO3を固溶させてBaTiO3-PbTiO3系などが検討された。その後、PZTが発見され、PZTはキュリー温度が 約350℃あり、高温側も低温側も圧電特性は十分あるということで、代表的な圧電セラミックスとなった。しかし、PZTは、詳細は記述しないが、 当時、特許問題が存在し、その後、産業ニーズに応じて鉛系複合ペロブスカイトのPb(Ni1/3Nb2/3O3)O3やPb(Mg1/3Nb2/3)O3を第三成分として含むPbTiO3-PbZrO3-Pb(Ni1/3Nb2/3)O3などの、いわゆる第三成分系が発展し、現在に至っている。Pb(Ni1/3Nb2/3)O3などは、キュリー温度は室温以下のもの も多く、常温では、特殊な強誘電体( リラクサー )であるものも多いが、これらをPZTに第三成分として固溶させると、目的に応じた圧電特性( Qmもd定数も大きいとか )が実現したり、低温で焼結可能になったり、セラミック強度が向上するという利点がある。

( 無鉛圧電セラミックス開発に対する考え方 )

  以上、長々とバックグランドを紹介してきたが、それは以下の方法論を説明するために必要だからである。つまり、何かしら有力な無鉛圧電化合物を発見しても、それだけでは産業ニーズに応えられないということを意味している。

  最低でもPZT並みの圧電性能、PZTと同程度の原料コスト、毒性が少ないこと、キュリー温度が最低でも200℃以上はあること、マイナス50℃から150℃まで、圧電特性を維持していること、材料の比誘電率が1000-2000程度であることが最低条件である。それでは、現在、よく研究されているKNN(KNbO3-NaNbO3)系の改良方法を考えていこう。

  40℃ぐらいに結晶相転移が存在し、ここが実用化への問題となる。それで、キュリー温度の高いLiNbO3を少量(最大でも6%程度)固溶させて、結晶相転移温度を下げると共に、副次効果としてキュリー温度が若干増加する&焼結性が劇的に向上するという利点がある。また、KNNに、LNの代わりに、BaTiO3や、SrTiO3, CaTiO3を少量固溶させても 、結晶相転移温度が下がるが、この場合は、材料の室温での比誘電率の向上(=一般には圧電特性の向上につながる)という副次効果も得られる。さらには、添加物として、分極しやすくするためにKやNaをわざと少なくする方法などもある。また、Nbの所をTaやSbで置換する方法もあるが、Taは原料コスト、原産国の政治問題、Sbは毒性の存在が懸念されている。また、このように組成を改良していくと、膨大な組成の組み合わせが発生することになる。

ニオブ酸系(KNN系)の実用化への検討においては、最近、用途に応じて研究対象組成の分化が認められる。

< ニオブ酸系無鉛圧電セラ研究の進展 >

 ○KNbO3-NaNbO3(50/50組成)の緻密化の工夫→ Na,K過剰添加 (粉末合成中の揮発、アルカリ原料の吸湿による原料秤量の間違い)、MgO添加など。

 ○NaNbO3-BaTiO3系, NaNbO3-LiNbO3系の検討→ Kフリー (炭酸カリウムの吸湿性の高さ、粉末のべたつき問題の解決を目指して)

 ○いわゆるLF4と呼ばれるニオブ酸系の登場→ TaやSbの使用が難点。Taは高価、Sbは毒性の問題。

 ○KNbO3-NaNbO3-LiNbO3系の登場→ LiNbO3配合による容易に緻密化する組成の登場&高キュリー温度化、結晶相転移温度の室温付近への移動

 ○(KNbO3-NaNbO3-LiNbO3)-BaZrO3系、-BaTiO3系の登場→(ニオブ酸化合物)+(ジルコン酸化合物、チタン酸化合物)による複合効果

  具体的にはTiやZrを導入して結晶相を変化させて、その結果として誘電率カーブが散漫化し、室温付近の分極後の比誘電率が増加することによるd33の増加。

 ○(KNbO3-NaNbO3-LiNbO3)-BaZrO3-(Bi,Na)TiO3系の登場

 ○第二成分の導入> KNNと同程度の比誘電率を所有する化合物を配合して気孔をなくす工夫。

 最近は、応用別の条件に応じてメイン組成が固定化してきた印象 >

 ○ニッケル内部電極との一体焼成用> ニッケル電極との還元雰囲気での一体焼成のためにBi、Ti、Ba(還元雰囲気での焼成で、Biは還元による金属化問題、Tiは価数変化による不安定要素、Baは 還元問題?)は使用しないKNbO3-NaNbO3-CaZrO3、-SrZrO3系

 ○高d33用> KNbO3-NaNbO3-LiNbO3-BaZrO3-(Bi0.5,Na0.5)TiO3系, -(Bi0.5,Li0.5)TiO3の登場→(Bi,Na)TiO3, (Bi,Li)TiO3系の導入によるBaZrO3組成の強誘電体化による特性向上

 

0-3 KNbO3-NaNbO3系圧電セラミックスの作製上の注意点 (緻密な焼結体(透明感のあるプラスチックのような外観)を得たい)

  ニオブ酸系無鉛圧電セラミックスは、キュリー温度も高い上に、大きなd33を示す組成も存在することから注目されて おり、これまでに膨大な数の研究が行われている。しかし、圧電特性を評価できるほど緻密なセラミックスを作製できない場合も多い。

  高価な酸化ニオブを多量に使用したにも関わらず、緻密に焼結できなければ、圧電特性の評価も出来ない。まさに【まずは緻密な焼結体が得られてナンボ】の世界である。

  組成設計するのは自由であり、900℃ぐらいの仮焼温度ならば、設計通りの組成の粉も合成出来ているかもしれない。しかし、それらが緻密に焼結出来るかは別の問題である。

  焼結現象は、デリケートで、同じ組成系でも1モル組成が違えば、緻密に焼結出来る、出来ないという事がザラに起きる。

  焼けないのは焼結温度が足りなかったのか?今度は焼結温度を20℃上げてみよう。焼けない。もう20℃上げてみよう。焼けない。もう20℃上げた。今度は溶融して、この組成は何も工夫がなければ 「焼けない」ということが分かり、この作業だけでも1週間をムダにしてしまう。

  作者は過去に200組成以上(KNbO3-NaNbO3,NaNbO3-LiNbO3,KNbO3-NaNbO3-LiNbO3,NaNbO3-BaTiO3, KNbO3-BaTiO3等々)を焼結し、【この組成は緻密に焼結出来た、あの組成は焼結できなかった、あの組成は溶融した】という経験があり、組成による圧電特性、誘電特性の良しあしは別にして、通常の固相反応法で、大気中、化学量論組成量の出発原料のみで、同一の研究者が、毎回同じ製造方法で、これまでに緻密に焼結出来た組成(累計で50組成ぐらい? 、今にして思えば出発原料通りの組成にはなっていないとは思うが、圧電特性の悪い試料を、いちいちICPなどで測定していたら、倍の年月がかかっただろう。)の特徴を整理し、ある程度の経験則を得たので紹介する。

  この経験則の観点から、他の研究者達のニオブ酸系の組成を検証したところ、これは緻密に焼結するだろう 、これは普通では難しいだろうと判断ができるような確信を持つに至った。これらの経験則が本当かどうかは、皆様も、自分の研究成果&他の研究者の論文の組成でも検討してみてほしい。 もちろん、圧電材料の専門家の端くれとして、KNN系の一部をLiNbO3や他の成分で置換すると、誘電特性や相転移温度が上下することは、十分承知の上で、それでも得られた経験則として記述している。

< 経験則 その一  >-------------------------------------------

 NaNbO3-KNbO3-LiNbO3系(合計すると100)において、、、(NaNbO3+LiNbO3)/KNbO3比が、1.1-1.2以上ならば、緻密に焼結する場合が多い。

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解説> ここで、Na、Liはセラミックスの焼結性を高める要素として(NaNbO3+LiNbO3の合計量)とカウントし、これとKNbO3の比で焼結性の見当をつける。

LiNbO3を含まない組成ではLiNbO3=0と考える。

例1) 50NaNbO3-50KNbO3の場合> 50NaNbO3/50KNbO3=1となって、この経験則を満たさないので、【普通の固相反応法では、何もしなければ緻密に焼結出来ない。】  おそらくKNbO3が低温域で、先に大きく粒成長するので、それ以上、緻密化しないのであろう。

例2) 55NaNbO3-45KNbO3組成の場合> 55NaNbO3/45KNbO3=1.22となって、この組成は 緻密に焼結する。経験によると、比が1.1でも焼結は可能だが、この比が大きい方が緻密に焼結しやすい。 ただしNaNbO3だけで焼結可能かどうかは実験では試していない。

例3) 45NaNbO3-55KNbO3組成の場合> 45NaNbO3/55KNbO3=0.81となって、大幅にKリッチな組成では、緻密に焼結する前にKNbO3が溶融して、半溶融の焼結体になる。

例4) 52NaNbO3-44KNbO3-4LiNbO3組成の場合> (52NN+4LN)/44KN=1.27となって、緻密に焼結することは可能。

   では、48NaNbO3-48KNbO3-4LiNbO3ではどうか。(48NN+4LN)/48KN=1.08となって、何もしなければ緻密に焼結することは結構難しいであろう。

< 経験則 その二 >---------------------------------------------

  <経験則その一>の条件を満たしても、焼結温度の高い第二成分が10モル%近くになると緻密に焼結するのは難しくなってくる。

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解説> 近年はNaNbO3-KNbO3-LiNbO3系に、MPB効果を期待して、BaZrO3,SrZrO3,BaTiO3,CaTiO3,SrTiO3を第二、第三成分として配合することが多い。NaNbO3-KNbO3組成、NaNbO3-KNbO3-LiNbO3組成系だけなら緻密に焼結可能でも、これらの成分が最大で10モル%も入ってくると、 焼結温度が高いチタン酸化合物は緻密化しにくくな り、一方、ジルコン酸化合物は理由が不明だが、焼結性は良くなる。ただし、ジルコン酸化合物はキュリー温度の大幅な低下を招くので大量には置換されない。

< 経験則 その三 >---------------------------------------------

  <経験則その一>に合わない組成を、通常の固相反応で緻密に焼結したいなら、、原料の炭酸ナトリウムを〜5%程度過剰に配合してもいいが、大量合成する時の特性のバラツキを考慮すると過剰法はお勧めしない。

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解説> 例えば、50NaNbO3-50KNbO3組成を通常の固相反応で緻密に焼結したいとする。経験則1に照らすと、50NN/50KN=1となって、何もしなければ緻密に焼結することは難しい。これは、仮焼き中に炭酸カリウムや炭酸ナトリウムが揮発して、アルカリ成分不足になって化学量論比からずれることが原因らしい。ニオブ酸系圧電セラミックスの焼結におけるアルカリ過剰の影響については、グーグル検索で「KNN+excess」で検索するといいだろう。

炭酸カリウムの過剰添加>

  仮焼中に失われる炭酸カリウムや炭酸ナトリウムをあらかじめ多く入れておけばよいと思われるが、経験からいうと炭酸カリウム過剰の組成は、炭酸カリウムが残留しているせいか、保湿性が高くてベタベタしてプレス成型が困難であり、焼結体に酸化カリウムが残留していると、時間の経過とともに、酸化カリウムが大気中のCO2と結合して、炭酸カリウムを形成し、あたかも毛が生えたように、ピーチスキン (桃の表面)状になって、焼結体がボロボロ&ベタベタになる。

炭酸ナトリウムの過剰添加>

  炭酸ナトリウムを〜5%程度多くいれておくと緻密に焼結しやすくなり、しかも過剰なNa成分は本焼結中に多くが揮発すると考えられる。ただし、焼結後には過剰なNaが残らない、むしろ少し少なくなるぐらいにする事が重要 であり、そもそも、こういう組成は多少圧電特性が良いとしても、数パーセントのアルカリ量の変動によって、緻密に焼ける、焼けないというのでは、大量生産するときに特性のバラツキの原因となって、いいことはないだろう。

炭酸リチウムの過剰添加>

 NN-KN-LN系においては、炭酸リチウムを過剰に入れるという方法も考えられるが、LiNbO3成分が多くなると、キュリー温度が増加する、相転移温度がぐっと低下する、室温付近の比誘電率が低下する(=d33定数の低下)ことが多いので、お勧めしない。アルカリ成分を過剰添加しなくても酸化ニオブの割合を〜10%程度減らしても結果としてアルカリ過剰の状態となる。

アルカリ原料の保存について>

  原料のアルカリ成分(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム)は、吸湿性が高く、特に炭酸カリウムは吸湿性が高く、大気中で放置するとベタベタになる上、水分で重量がどんどん増えていく(=長い間大気中においておくと、水分で重量が増える=化学量論組成では、結果としてK不足状態になる)ので、長期間使用していない炭酸カリウムなどは150℃ぐらいで軽く熱処理して強制乾燥させて保存するぐらいがよい。

 

0-4 KNbO3-NaNbO3系圧電セラにおいて良好な圧電特性を示す 基本組成の共通性 NEW

 

  以下の文章は、これまでに圧電セラを研究した者として、KNN系の一部をLiNbO3などの他の化合物で置換すると誘電特性や相転移温度が上下することは、十分承知の上で 、理論的には証明できないが経験則として得られた事を記述している。以下の文章をよく読んでいただくと、これまでに発見された良好な圧電特性を示す組成は、一見すると何の関係もなさそうな組成系のほとんどが、実は55NaNbO3-45KNbO3組成辺りが主成分になっていることが分かる。

  つまり、KNN系圧電セラの研究では、常に主成分が抗電界の低い(=十分に分極される)55NaNbO3-45KNbO3辺りになるように調整するのが高特性を得る基本と で、これらをベースに、室温域で、組成の改良によって分極後の比誘電率を増加させるようにすると、d33値の向上が望めるいうこと。

 

KNN系のMPB?組成の認識を改めよう >------------------------

  KNN系は約50KNbO3-50NaNbO3組成付近で良好な圧電特性を示すと言われてきたが、これは昔の情報(Egertonらの1959、1962年の論文が元)であり、 原論文をあたると、10モル%刻みで圧電特性を調べた結果の、牧歌的時代の研究成果である。 2000年代以降のKNN系圧電セラの研究ブームによる膨大な研究結果によると、経験的には55NaNbO3-45KNbO3組成辺りが容易に緻密に焼結するとともに、分極後の位相も+90に近くなる ことが判明している。

  これらの結果から推論すると、いまさら50/50組成を研究のスタートとするのはどうかという状況になる。

  KNNについては、Tennery&Hangが1968年の論文で、52.5NaNbO3-47.5KNbO3あたり結晶構造が変化するポイント(MPBと言えるかどうかは不明なので、あえてMPBとは表記しない)にあると記述しており、Kosecらの2008年の論文でも、NaNbO3-KNbO3系で、この組成あたりにPZTでいうところのM.P.B.らしき領域が存在すると報告している。KNN関係の過去の論文を見ると必ず「50KNbO3-50NaNbO3組成辺りが圧電特性が大きい と報告している」と記述してあり、作者も含めて初心者はこれを鵜呑みに したが、もうそろそろKNN系の実験出発組成(PZTでいうところの52/48組成)は55NaNbO3-45KNbO3組成あたりからと認識をあらためるべきだろう。

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検証例1> 50NaNbO3-45KNbO3-5LiNbO3組成

 

  この経験側( = 55NaNbO3-45KNbO3組成付近が圧電特性良好説 )は、圧電特性が良いと報告されている50NaNbO3-45KNbO3-5LiNbO3組成でも見てとれて、この場合はLiはNaに属している(カウントする)と考えると、(50Na+5Li)NbO3-45KNbO3で、上記の55NaNbO3-45KNbO3組成となっていることが分かる。

 

検証例2> 0.92(K0.42,Na0.44,Ca0.04,Li0.02)Nb0.85O3 - 0.047K0.85(Ti0.85,Nb1.1)O5 - 0.023BaZrO3 - 0.0017Co3O4 - 0.002Fe2O3 - 0.005ZnO 組成

 

  現在までに報告されている圧電特性の良い他の組成でも見てみよう。この場合は、【「55NaNbO3-45KNbO3」成分+他の成分(BaZrO3,(Bi,Na)TiO3など)の固溶体】と考える。つまり、一見すると55NaNbO3-45KNbO3組成に見えないような組成式に見えても、例えば(1-x)(0.55NaNbO3-0.45KNbO3)-x {BaZrO3, (Bi,Na)TiO3}と考えると、圧電特性が良好=十分に分極(ポーリング)されている組成は、この式に当てはまるようになっている。

 

  上記の組成は某会社が論文発表した組成である。この組成で検証する理由は、組成が信頼出来て、かつ、セラミックスの分極後の位相が+90に近いことが公表されているからである。

 

0.92(K0.42,Na0.44,Ca0.04,Li0.02)Nb0.85O3 - 0.047K0.85(Ti0.85,Nb1.1)O5 - 0.023BaZrO3 - 0.0017Co3O4 - 0.002Fe2O3 - 0.005ZnO組成 d33=252

 

ここから、添加物成分を差し引くと、

 

0.92(K0.42,Na0.44,Ca0.04,Li0.02)Nb0.85O3 - 0.047K0.85(Ti0.85,Nb1.1)O5 - 0.023BaZrO3組成

 

さらに、セラミックスを緻密に焼結するための、この会社特有の第二相成分を差し引くと

 

0.92(K0.42,Na0.44,Ca0.04,Li0.02)Nb0.85O3 - 0.023BaZrO3 組成

 

(物理的に差し引いたので合計は100にならない)

 

この式を大まかに書き直すとK0.386,Na0.40,Ca0.03,Li0.02,Nb0.78O3 - 0.023BaZrO3

 

つまり、38.6KNbO3-40NaNbO3-2LiNbO3 →LiをNa分と見なすと、42NaNbO3-38.6KNbO3→ これを100分率で示すと、42/(42+38.6)=52%

 

→52NaNbO3-48KNbO3組成。

 

つまり、完全に55NaNbO3-45KNbO3とはならないが、この会社の組成は、52NaNbO3-48KNbO3組成が92%も占めていることが分かる。

 

この辺りの組成は緻密には焼結出来なかったので、緻密化成分を添加したのだろう。

 

検証例3> {(K0.5,Na0.5)0.97Li0.03}(Nb0.8,Ta0.2)O3  d33=230 pm/V

 

上記の組成は書き直すと(0.485K, 0.485Na, 0.03Li)(0.8Nb,0.2Ta)。→ 0.515(Na,Li)NbO3-0.485KNbO3

55NaNbO3-45KNbO3とはいかないが、おおまかに見ると52(Na,Li)NbO3-48KNbO3組成

 

検証例4> CuO and SnO2 co-modified Na0.52K0.48NbO3 ceramics,  d33=120

これは55NaNbO3-45KNbO3とはいかないが、そのまんま52NaNbO3-48KNbO3組成

 

検証例5> (K0.44Na0.52Li0.04)(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3 

これは0.56(Na,Li)NbO3-0.44KNbO3で、55NaNbO3-45KNbO3ルールにかなり近い。

 

検証例6> (Na0. 52K0.4425)(Nb0. 8825Sb0. 08) O3-0.0375 LiTaO3 (NKNS-3.75 LT)

   これは0.55(Na,Li)NbO3-0.4425KNbO3と見ることが出来て、55NaNbO3-45KNbO3ルールにかなり近い。この場合、SbやTaはABO3ペロブスカイトのB成分なので、純粋にAサイトの割合だけで考える。実際には、この組成通りに分布しているのではなく固溶体として、ぐじゃぐじゃになっているので、この見方で正しい。

 

検証例7> 95(Na0.5K0.5)Nb03-5LiTa03 (NKN-5LT) , d33=230

 

これは書き直すと0.475NaNbO3-0.475KNbO3-0.05LiTaO3→0.525(Na,Li)NbO3-0.475KNbO3

 

  つまり、53NaNbO3-47KNbO3組成が主成分。


 

検証例8> 主要機関の特許、論文と主要組成及びd33


主要組成                      (NN+LN) / KN             d33              Organizatiaon


51NN-42KN-6.5LN      57.7NN / 42.3KN       unknown          DXnso
 

52NN-44KN-4LN         56NN / 44KN             400                 tXyota


50NN-45KN-5LN         55NN / 45KN           285 (+BaZrO3)      TXyama Univ.
 

45NN-45KN-6LN         53NN / 47KN           120                   AXST KXsumoto
 

42.3NN-42.3KN-6LN    53NN / 47KN          250? (+BaZrO3)        NXK
 

47.5NN-47.5KN-5LN    53NN / 47KN           330                  KXocera+TXkyo Univ


以下の組成は55NN/45KNルールには載らない。


45NN-45KN-2LN         51NN / 49KN           400 (+BaZrO3)     AXST WXn


54NN-41KN-5LN         59NN / 41KN         292 (+BaZrO3)        TXK


57NN-38KN-5LN         62NN / 38KN         320                       TXK
 

57NN-38KN-5LN         62NN / 38KN         400                    PXnnState 

 

1 単位換算表

電界 ( Electric field, E )

> 定義: 1C ( ク−ロン )の電気量を有する無限に小さい静止している帯電体に働く力の大きさが1N ( ニュートン )である真空中の電界の強さ

  1kV/mm = 1V/mm = 1MV/m = 10kV/cm,  1V/m=1N/C

バルク(塊)が専門の人は、単位として[ kV/mm,  MV/m ]、膜が専門の人は、[ V/mm ]という単位をよく使用する。

電荷 [ Q, 単位C ]

> 1C(クーロン)とは、1A(アンペア)の不変の電流によって1秒間(s)に運ばれる電気量の事をいう。

  1C = 1As     

ちなみに、蓄積電荷 Q = 静電容量 C (CapasitanceC、単位 F,ファラッド)x 印加電圧 V(ボルト)の関係がある。

分極量 ( Polarization, P )

> 単位 C/m2   =μC/cm2 = 1000mC/m2  

100 mC/m2 0.1μC/cm2  1x10-5 C = 0.01 mC = 10 mC(マイクロクーロン)

P = (Cxm)/m3 (双極子モーメント)/(体積)= C/m2 = (FxV)/m2 = (F/m)x(V/m) ⇒(F/m)は誘電率の単位なので書きなおすと

 分極量 P = 誘電率ε x 電界(V/m)  (V/m)は電界の単位。 

静電容量 ( Capacitance )

> 定義:1C(クーロン)の電気量を充電したとき1Vの電圧を生じる二導体間の静電容量 

      単位〔 F, ファラッド 〕

      1nF = 1000pF, 1F = 1 C/V

誘電率 ( Dielectric constant )

> 電界Eと電束密度Dとの線形関係を表す物質定数。

    誘電率ε(イプシロン) [単位 F/m]

電流 ( Current )

> 1A = 103mA = 106μA

   1mA=1x10-6A (圧電体の焦電流は通常 mA オーダー)

d定数 ( Piezoelectric d constant )

> 圧電現象の正効果(圧力電気)の場合は、[C/N]が使用される。つまり、1Nで何Cの電荷が発生するかという事。一方、圧電現象の逆効果(電気歪)の場合には[m/V]が使用される。つまり、1Vで何mの歪が発生したかという事。

 現実の材料においては、低い電界下(V/mm)では、[ m/V ]は、だいたい[ C/N ]に近い値となることが多い。一方、高電界下では、ドメイン状態の変化による影響が顕著に現れるので、[ m/V ][ C/N ]の値は同じ値とはならず、電界が大きいほど"見かけの”[ m/V ]は大きく観察される。

10-12 m/V = pm/V   低電界下ではpm/Vは、だいたい[ pC/N ]に近い値になる。

応力 ( Stress )

> 1Pa(パスカル)とは、1m(=1m2)平方の面積に1Nの力が作用する応力の事をいう。

3.5x107 N/m2 = 35 MPa = 357kgf/cm2 , 1MPa = 1N/mm2 = 0.102kgf / mm2 = 10.2 kgf / cm2

200MPa = 200N/mm2 = 20.4 kgf / mm2

圧力 ( Pressure )

>  1Paとは、1m平方(=1m2)の面積に1Nの力が作る圧力の事をいう。 

 1Pa = 1N/m2 = 0.102kgf/m2,  1GPa = 1000MPa = 102Kgf/m2, 100MPa=10.2kgf/m2,

 1MPa = 0.102kgf/m2

重量 ( Weight )

> 1Nとは、1Kgの質量の物体に1m/s2の加速度を与える力の大きさをいう。

 1N = 1 kgm/s2 = 98.0665g = およそ100g。1kgの物体の地球上での重量は、1kgfであり、これは9.80665Nである。

長さ、温度、その他

> 1インチ(inch) = 25.4mm = 2.54cm

  1フィート(ft) = 0.3048 m = 30.48 cm

  1ヤード(yd) = 3フィート(ft) = 0.9144 m

  1マイル(mile) = 5280フィート(ft) = 1609.344 m = 1.609344 km

  1エーカー(acre) = 4840 yd2 = 4046.86 m2

  1ポンド(lb) = 16 オンス(oz) = 0.45359237kg

  1ガロン(gal) = 277.420 インチ3 = 704.6467 cm3 = 704.6467 cc = 704.6467 ml

   100C = 100℃ = 100 degrees centigrade = 100 celsius

換算式 C(℃) = (F-32) * (5/9),  F=(9/5)*C+32, ( Cは摂氏、Celsius,℃Fは華氏、Fahrenheit )

参考にした文献>「SI単位ポケットブック」 国際単位研究会編、日刊工業新聞社

2 誘電体、圧電体、焦電体及び強誘電体の関係

  誘電体とは、物質内に自由に動ける電子が存在しないために、物質に電場(電界)を印加した際に電子が束縛されて移動できず、その結果、正電荷はマイナス方向に、負電荷はプラス方向に引かれて、分極を生じる電気的絶縁体のことをいう。この誘電体において、結晶構造が対称中心を持たず(=非対称な構造を有する)、イオンが変位して分極を生じた物質を圧電体と呼ぶ。これらの圧電体の中で、永久双極子を有し、配向分極を生じるものを焦電体と呼ぶ。さらに、これらの焦電体において、永久双極子が外部電界によって人工的に反転させることが出来る物質を強誘電体と呼ぶ。よって、これらの関係から強誘電体は、焦電性、圧電性、誘電性を示す。

3 強誘電体 ( Ferroelectrics )

  強誘電体とは、結晶内に自然に自発分極が存在し、その分極方向を電界によって人為的に変化させることが可能であり、電界をゼロにした時に人工的に変化させた分極が残る(残留分極)物質の事をいう。

  一口に強誘電体といってもロッシェル塩(NaK(C4H4O6)4H2O)のように残留分極が小さいものもあれば、PbTiO3のように大きなものもあり、BaTiO3のような無機化合物もあれば、PVDF(PVF2,ポリフッ化ビニリデン)のような高分子もあり、KNbO3などの単結晶もあれば、BaTiO3のようなセラミックスもあり、BaTiO3のような単純結晶構造のものもあれば、Bi層状化合物のような複雑な構造のものもある。

  強誘電体セラミックスとしてはBaTiO3( チタン酸バリウム、通称チタバリ )が有名である。この物質(つまり強誘電体)の電界(E- 分極(P)の曲線においては、分極方向(状態)の変化にともなう履歴、いわゆるヒステリシスが観察される。ただし、教科書に載っているヒステリシスカーブは分極処理を施していない状態の圧電体に電界を印加した時のものであることに注意。分極処理された強誘電体(つまり圧電体)については、すでに一方向に分極され、電気的異方性を有しているので左右対称のヒステリシスカーブは得られない。こういう場合は、一度キュリー温度以上に加熱して残留分極を取り去ると、何らかのヒステリシスカーブが得られる。

  ちなみに、強誘電体(Ferroelectric)という呼び名は、磁性材料における強磁性体(Ferromagnetism)に由来している。昔、磁石に吸いつく程の強い磁性の事を強磁性という一つの言葉で呼んでいた時代があり、今でいう強誘電体の特性が、強磁性体の特性にそっくりであったために強誘電体と呼ばれるようになった。

4 ペロブスカイトパラメーター ( Perovskite parameter )

 ペロブスカイトパラメータ?。 ペロブスカイトパラメータは、a=6.04オングストロームなどと表現されるが、一般的な表現ではない。

5 双極子モーメント ( Dipole moment )

  正と負の電気双極子を有する結晶構造において、電荷+q (単位クーロン、C、1アンペアの電流で1秒間に運ばれる電気量)-qが距離r(単位メートル、m )だけ離れているとき、双極子モーメントμ(単位デバイ、D)は、μ qr〔 単位 Cm 〕で表されるベクトル量(双極子の方向が関係するということ)で表される。

 1D = 3.3356x10-30 Cm. 1A = 10-6μA = 10-3 mA

6 電界誘起歪の表現方法

  電界誘起歪の表示は、論文によると、%で表現されていることが多い。例えば、1mmの試料が1ミクロン歪むと、(計算 1ミクロン/1000ミクロン=0.001x100=0.1% )→ 0.1%と計算される。ただし、無次元の絶対値として"0.001"や、1ミクロンメートル/mmと表現される場合もある。

  通常、PZTセラミックスでは、組成によって、0.20.4%(d33でいうと200400pC/N)程度の歪を示すが、最近ではPZN-PTの単結晶などでは、12%(d33でいうと10002000pC/N)を示す事が知られている。

  1kV/mm = 1V/mm = 1MV/m = 10kV/cm,  1V/m=1N/C

バルク(塊)が専門の人は、単位として[ kV/mm,  MV/m ]、膜が専門の人は、[ V/mm ]という単位をよく使用する。

 

7 誘電分極量

  誘電体の誘電率ε(イプシロン、単位 F/m)、比誘電率εr(単位なし)、誘電体分極P(単位 C/m2)、外部からの印加電場E ( 単位 V/m )、電場密度D( 単位 V/m2 )、真空中の誘電率ε(定数)とした場合、

誘電体分極PP=εχeEで定義され、ε/ε0=εr=1+χe ⇒χeεr-1の関係がある。ここでχe(カイe)は電気的感受率と呼ばれる。

  つまり、誘電体の分極量は、P=ε(εr-1)Eとなり、誘電体の分極量は比誘電率と印加電場に比例して大きくなるということを意味している。

8 電気分極、自発分極、残留分極

 ( Polarization, Spontaneous polarization, Remanent polarization )

  電気分極 (P, polarization, 単位 C/m2 )とは、誘電体中の荷電粒子(BaTiO3ならTi4+イオン)が電界EV/m)の印加によって微小な距離だけ変位し、電気双極子を生じた状態を表す量であり、誘電体体積(m3)当りの双極子能率(双極子モーメント)( C・m/m3 →C/m2 )と定義されている。これは単位(C/m2)から分かるように、誘電体表面に現れる分極電荷の密度でもある。

  自発分極(Ps, spontaneous polarization)とは、圧電性を示す結晶の一部において、電界も応力も加わらない状態において、自然に分極している時の分極量を意味する。この自発分極を有する物質において分極方向を電界の印加によって人工的に変化可能であり、かつ固定可能な(=残留分極が残る)物質を強誘電体と呼ぶ。

  分極処理をしていない強誘電体は、室温において、方向の異なる自発分極の領域(ドメインともいう)がたくさん存在しているということになる。ちなみに、立方晶の結晶では自発分極自体が存在しないのでドメインは存在しない。

  BaTiO3では、自発分極は室温で0.26C/m2)(⇒26μC/cm2)程度と言われている。

  ただし、単結晶では、これらの分極量は、結晶内のイオンの方位によって異なり、110)方向の自発分極はいくらと表現されている場合がある。

  残留分極( Pr, Remanent polarization, 単位 C/m2 )とは、強誘電性化合物(又は磁器)に直流電界を加えて取り去った際に(この処理は分極処理又はポ−リングという)残る分極の量を意味している。逆に言うと、いくら自発分極量が大きい化合物でも、残留分極量がゼロに近いと言うのは、圧電体としては使い物にならないと言える。よって、この関係から残留分極量(Pr)が大きな化合物は圧電体として重要だということが言える。

  強誘電体は、強誘電相の他にも常誘電相としての性質も合わせ持っているので、強誘電体の示す全分極P(=実際に電圧を印加した際に観察される分極量(C/m2))は、次式で表される。

               P = Ps +γx Ed

 ここでPsは自発分極量(C/m2 ),γは分極率( C/Vm )Edは強誘電体内部の電界の強さ(V/m)である。

セラミックスの場合にはμC/cm2で表現される場合が多い。

強誘電体結晶の自発分極(C/m2)は、双極子モーメントの総量(Cm)を単位格子の体積(m3)で割ることによって推定出来る。

9 分極処理、ポーリング処理、ポーリング ( Poling treatment )

  抗電界Ec ( Coercive electric field )

  分極処理( ポーリング処理、ポーリングという場合もある )とは、電極を設けたセラミック片に直流高電界を印加し、強誘電体に圧電活性を与えるプロセスの事をいう。

  抗電界( Ec )とは、自発分極が反転する電界の事を指し、分極反転電界と呼ばれる時もある。当然ながら抗電界の値は、圧電体の種類、組成、温度、圧力によって様々に変化し、PbTiO3のように抗電界が大きすぎて分極処理出来ない物や、PLZTPMN-PTの電歪組成付近のように抗電界が低くて、逆電界をかけるとすぐに圧電性が消滅するような材料もある。

  PZT系などのキュリー温度の高い材料については、100200℃の加熱したシリコンオイルの中で高電圧(34kV/mm)を印加する操作が行なわれる場合もある。また、チタン酸バリウムなどの抗電界が比較的低い材料については、室温で数分間、高電圧をかけておしまいという場合もある。さらに、生産性を向上させるために、シリコンオイルは使わず、絶縁性の高いガス中で高電圧を印加したり、コロナ放電を利用する方法も提案されている。

  分極の程度の目安としては、本来は強誘電特性を測定して分極が飽和する電界値を観察するのがベストだが、適当に分極して共振-反共振特性を測定し、位相の最大位相角度(理想的には+90°)にどれだけ近くなっているかという事から判断する事も多い。

  ただし、圧電素子に分極のために電界をかけすぎると、微細な亀裂が入る可能性があるので、意図的に分極電界を下げる方法も取られる場合もある。

  また、「分極処理したら、分極の程度が低かった」という事で、同じ試料を分極しなおす場合があるが、この場合は、一度キュリー温度以上にして残留分極を消失させてから、再度、分極処理を行うこと。中途半端に残留分極が残っている場合、逆方向に強い電界を印加すると、セラミック内に強い負荷がかかり、分極処理中の割れの原因になる。

< 分極処理用高電圧発生装置の選択に関しての注意点 >

  セラミックスに高電圧を印加する場合、正極(プラス極とアース)を印加する発生装置、負極(マイナス極とアース)を印加する発生装置、または正極と負極を切り替え可能な発生装置という選択肢があるが、高電圧発生装置のメーカーの話によると、セラミックスの分極には負極で使用する事が多いそうだ。よって、予算に余裕があるなら切り替え型、ないなら負極出力型直流高電圧発生装置を購入した方がいい。また、強誘電体を分極処理する際には、微量の電流が流れるので、「許容電流量を設定可能なタイプの直流型高電圧発生装置(電流設定のツマミがあるタイプ)」にすること。これは、許容電流を0に設定していると(許容電流量が設定できない機種もそうであるが)、分極処理中に微量な電流が流れると、装置が「許容電流値を超えている」と判断し、自動的に高電圧がかからないようにするためである。よって、当所では許容電流値を2mA程度に設定して、この電流以下なら高電圧が印加されるようにしている。また、圧電セラミックスを分極するには5kV/mm程度は必要なので、作製する圧電素子の厚みから逆算して最高印加電圧を決定すること。例えば厚み3mmの素子なら、3x5=15kV、つまり15kV以上印加可能な発生装置が必要となる。

10 圧電体と圧電現象、結晶相境界(M.P.B.)

   ( Piezoelectrics and piezoelectric effect )

  圧電体とは、広義には、結晶の表面に応力を加えると結晶の表面に正負の電荷を生じる現象(力が電気エネルギーに変換されるので圧電性、圧電性の正効果と呼ばれる)を呈する物質の事を言う。逆に、圧電体に電場を印加すると歪が発生する現象については、圧電性の逆効果と呼ばれる。

典型的な圧電体としては、水晶が有名であり、水晶はクオーツ時計の振動子として広く利用されている。

圧電体の中の一部が、強誘電体としての性質を示す。

圧電体は、水晶やPZN-PTに代表される単結晶と、PZTに代表されるセラミックスに大別される。

  セラミックス(多結晶体)は、その構成要素(粒界、欠陥、粒径)の複雑さから、実際はより複雑な挙動を示す。よって、物質の圧電性については、単結晶か多結晶の話かをいつも区別しておいた方がいい。

教科書に書いてある圧電体の解説は、基本的に単結晶や単位格子を前提に説明されていることが多い事に注意。

  圧電関係の本では、一般にピエゾ〜と表現されている事が多いが、この発音では外国では通用せずパイエゾ〜と言う方が通じる。

  ちなみに、英語の"piezo"という言葉は、ギリシャ語で"押す"とか"締め付ける"を意味する"piezein"という言葉から名づけられたそうである。

 

< 圧電セラミックスの電界誘起歪現象の解説 >----------------

圧電セラミックスの電界誘起歪については、

低電界下での挙動(400V/mm) 

 観察される歪=(180°ドメインの変形による歪=真の圧電歪)+(電歪効果による歪(比誘電率が特に高い物質)

高電界下での挙動(400V/mm)

 観察される歪=(180°ドメインの変形)+(電歪歪)+(180°ドメインの回転による歪)

  よって、高電界下では、非180°ドメインの回転による(=分域構造の変化)歪が発生するので、共振-反共振法から求めた圧電定数から予想される歪量よりもかなり大きな歪の発生(電界の二次に比例するような形の歪)が観察される。

  これは非線形現象と呼ばれており、圧電歪は原理的にいうと電界に正比例するはずであり、線形領域の傾きが圧電d定数に相当する。

  もっと分かりすい説明としては、圧電セラミックスは多結晶体であるので電圧の印加によって結晶軸の回転(分域回転とよばれる)が生じる。

  このため、大きな歪みが発生し、結晶軸の回転の影響で変位−電圧特性が非線形となり、大きなヒステリシスを示す。

  圧電材料としてLiNbO3 圧電単結晶を用いた場合には、分域回転を生じることなく、ヒステリシスの無い圧電アクチュエータを得ることができるが、単結晶の圧電定数が一桁小さく、変位量が過小になってしまう。

  電界印加の上下にともなう歪の履歴(ヒステリシス)は、主に非180°ドメインの回転に起因すると考えられている。ただし、リラクサ類を含む比誘電率が大きい(比誘電率が数万程度)固溶体では、観察される歪みには圧電歪み+ドメイン回転成分に加えて大きな電歪歪が加算される。

  現実的には、圧電セラミックデバイスの電界誘起歪量に関しては、当たり前だが、「絶対的な数値はない」と思ったほうがいい。それは、歪量は、圧電セラミックスの固定方法、接着剤の種類と接着方法、荷重の大小、駆動周波数、駆動電圧、セラミックスの粒径、電極の種類、種類によっては測定温度によって変化するからである。

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  現在、使用されている代表的な圧電セラミック材料としては、PbZrO3-PbTiO3の固溶体(通常、PZTと呼ばれており、ピーズィーティーと発音する。)が有名である。

  PZTセラミックスに関しては、菱面体晶であるPbZrO3と正方晶であるPbTiO3の結晶相境界(結晶相境界, M.P.B.I) Morphotoropic Phase Boundary)付近が大きな電気機械結合係数を示す事が知られており(電気と機械的エネルギーの変換効率が高いということ)、実際には目的に応じて目的に適した組成が選ばれている。

  また、複合ペロブスカイト型化合物-単純ペロブスカイト型化合物の固溶体(例えばPb(Ni1/3Nb2/3)O3-PbTiO3)の相境界については(M.P.B.(II))と表現されることもある。

  なお、一般にPZT系と称して販売されている圧電体は純粋なPZTではなく、使用目的に応じてドーパントとして微量成分(Pb,MnNbなどの酸化物)や少量の複合ペロブスカイト型化合物が加えてある。

  純粋なPZTは、高温で分解しやすいPbZrOと、相転移によって大きな変形を起こすPbTiO3から構成されるために良好な焼結体を作製する事が難しいため、純粋なPZT粉末を販売するメーカーは少なく、どうしても入手したい場合は自分で作るしかない。

  また、最近の研究によるとMPB付近の組成では0.1モル単位の組成のずれによって圧電特性が大きく変化することが明らかになっている。

  結晶相境界( M.P.B. )とは、圧電、強誘電体材料においては、その名の通り、「ある結晶相」と「別の結晶相」との境界付近の組成の事を意味する。英語では、Morphotoropic Phase Boundary と表示し、頭文字をとってMPBM.P.B.と表現されていることが多い。通常は、PZTの様に、二つ以上の固溶体の結晶相の境界を意味するが、ほとんどであるが、チタン酸バリウムのように逐次相転移をする化合物において、相転移する付近をMPBと呼ぶ場合もある。

11 圧電材料、強誘電体、その他の歴史、PZT発見の経緯

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年代    出来事

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1847 トーマス・エジソン誕生

1879 エジソン、白熱電球の実用化、アルバート・アインシュタイン誕生

1880 キューリー兄弟(弟のピエールは、有名なキュリー夫人の夫)による電気石(トルマリン)、水晶の圧電現象の発見

    ピエール・キュリーは21才で発見。 直後にLippmannが圧電性の逆圧電効果を予測

1903 ライト兄弟による動力機での初飛行

1905 アインシュタイン氏相対性理論等を発表。物理学分野では「奇跡の年」と呼ばれている。

1912 タイタニック号沈没(この事件をきっかけとしてソーナーの開発が始まったとされている)

1914 第一次世界大戦が始まり、潜水艦が使用され始める

1918 Langevin(ランジュバン)氏、水晶を使用した水中振動子(潜水艦探知用)を開発

  (ソーナーの原型)

1921 ロッシェル塩(水晶に次いで有望とされた圧電性結晶)の発見

1929 松平による積層型水晶振動子の開発(積層型圧電素子の原型)

1931 エジソン氏逝去

1941 太平洋戦争 開始

   第二次世界大戦中、ロッシェル塩等の開発

1943 逓信省電気試験所の小川、和久によるチタン酸バリウム磁器(チタバリ)の発見

  ほぼ同時期、米国(Titanium Alloy Mfg.CoE.WainerA.N.Salomon氏、1942)、ソ連(ソ連科学アカデミー物理学研究所B.M.Wul氏ら,1945)で独立して発見される。これは戦時中であり、重要な化合物だったのでそれぞれ秘密にされた。

1945 太平洋戦争 終結

1946 Hippelらによるチタン酸バリウムの強誘電体特性の発見

1947 米国GERoberts氏によるチタン酸バリウムセラミックスの圧電性の発見

1950 チタン酸鉛及びジルコン酸鉛の発見

1951 チタン酸バリウムの半導体的性質の発見

1952 東京工業大学 高木研究室の白根、沢口らによるPbTiO3-PbZrO3固溶体の研究、「チタン酸バリウム実用化研究会(その後、強誘電体応用会議に発展)」のスタート

1955 米国 National Bureau of Standards (NBS)B.Jaffe(バーナード・ヤッフェ)らによるPZTセラミックスの圧電特性の発見、アインシュタイン氏逝去

1960 Smolenskii等による複合ペロブスカイト化合物の発見

1960年代半ば 日本を中心としたPMN-PZ-PTなどに代表される三成分系圧電体研究の発展

1969 「セラミック誘電体工学」初版出版、アポロ11号月面着陸

1971 米国サンディア国立研究所 Haertlingらによる透光性PZT(後にPLZTと呼ばれる)の開発

2013  現在

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< チタン酸バリウムに続くPZT発見のおおまかな経緯 >

  PZTが開発される前に、BaTiO3(チタン酸バリウム)という化合物が発見される。チタン酸バリウムは不思議な事に、日本(1944年頃)、アメリカ(1942年頃)、ソ連(1944年頃)で、ほぼ同時期に発見されていたようで あるが、当時は第二次世界大戦の最中であり、戦略的に重要な物質であるとの認識から、当時は各国で存在が秘密にされていた。

  日本では、「誘電率の温度係数が0になるセラミックス」を目指して研究がはじまり、ドイツで実用化されていた材料が「TiO2-MgO系らしい」という情報から研究がスタート。

< 比誘電率の温度係数がゼロになるセラミックスの開発 >

  TiO2-MgO系では、TiO2,MgO共に融点が高いことから緻密なセラミックスを焼くことが難しく、それにSrOとかCaO,BaOを少し混ぜて焼くと、緻密なセラミックスが焼けるようになった。それにともない、セラミックスの比誘電率が向上するということが副次的に発見された。その結果、BaTiO3という化合物が、室温で誘電率が当時としてはとても大きくなるということが発見された。

< ペロブスカイト構造がカギ >

  調べてみるとCaTiO3(ペロブスカイト、ペロフスカイトとも呼ぶ)という物質の構造と同じということで、どうもペロブスカイト構造は、比誘電率が大きくなるので大容量セラミックコンデンサ材料としてはいいらしいということにな った。 一般に、酸化物系ペロブスカイト構造はABO3という形で表現されますが、B=Ti と固定するとATiO3となり、周期律表を見るとAサイトの2価のイオンは、単純に考えると毒性の高いBeを除き、高価なRaを除くと、Mg、Ca、Sr、Ba、Pbが考えられます。 MgTiO3, CaTiO3, SrTiO3は、室温では比誘電率がそんなに高くないのに、BaTiO3は異常に大きい。「これは何でだろう?」ということで温度-比誘電率特性を測ってみると、ある特定の温度でいくつかピークがある。これで、「温度とともに BaTiO3の結晶構造が変化しているんだろう。(構造相転移と呼ぶ。)」ということになり、これらの関係から比誘電率が大きいのは、ペロブスカイト構造を構成しているBa, Ti, Oイオンサイズの違いに起因しているということになった。 この微妙な違いが、ペロブスカイト構造が歪む原因になり、「Tiイオンを酸素イオンで取り囲んだ酸素八面体」がペロブスカイト構造の中心位置から微妙に変位(位置エネルギー?が最も低い安定した所に落ち着く。)し、「変位した場所において電界に応じて微妙に振動できる」から、結晶構造中の電荷のバランスが崩れて、結晶の表面に電荷が誘起される(電荷が多く溜まる=比誘電率が大きくなる)と考えられている。

  正方晶系ペロブスカイト構造のc軸とa軸の比(c/a)をよくテトラゴナリティ(tetragonality)と表現するが、BaTiO3の場合は、c/a=1.01。つまり1%だけc軸が長い。この1%のおおまかに見積もって半分か3分の1の距離だけ、BaTiO3格子中の「酸素八面体」は変位し、そこを中心として少しだけ可逆的に変位することが出来る。

< セラミックスで圧電性の利用が可能に >

  こうやってBaTiO3セラミックスの研究が進んでいた時に、偶然、チタン酸バリウム製コンデンサが音を発生する現象が発見され た。「これはなぜだろう」ということから、「セラミックスで圧電性の利用が可能である」ということが確認された。「結晶の圧電性」自体は、約130年前から知られてたが、「他結晶体(セラミックス)の圧電性」の発見はこの時点から。

  それでは「BaTiO3Baの位置をPbで置換したらどうなる?(PbTiO3)」ということになり、 PbはイオンサイズがBaよりも小さいために、ペロブスカイト構造中において「酸素八面体」が歪み過ぎて、c/a=1.066%も歪んだということ)にもなってしまう。この結果、キュリー温度は490℃に高まる(チタン酸バリウムはキュリー温度125℃c/a=1.01)が、6%も歪むと、セラミックスを作製した後に圧電体にするために十分に分極することが当時は困難だった。

< チタン酸バリウムからPZTへの発展 >

  その後、研究の進展(ABO3構造のTi位置をZrにしてPbZrO3にしてみたり)によって、東京工業大学の先生がPbTiO3-PbZrO3系が新しい強誘電体であることを1950年に報告し、50PbTiO3/50PbZrO3組成あたりで室温で誘電率が非常に大きくなることを明らかにし た。それを知ったアメリカのヤッフェが1954年に、50PbTiO3/50PbZrO3組成あたりでキュリー温度も350℃ぐらいあり、チタン酸バリウムの2倍ぐらいの素晴らしい圧電特性を持っていると報告。これがPZTの開発過程。後日、ヤッフェは「日本でPbTiO3-PbZrO3系が発見されたので、当然、圧電特性も測ると思っていたのに、発表されなかったので私が測った」とのコメントを残す。

 もっと詳細な経過が知りたい人は、「驚異のチタバリ」 村田製作所編 丸善、「ピエゾセラミックス」 裳華房 を参考にどうぞ。

11-1 セラミックス、単結晶の外観

  一般に大型の無機単結晶の外観は、「無色又は色のついたプラスチックかガラス」のような感じである。これはアルミナの単結晶であるサファイアやルビーを思い浮かべると容易に想像出来る。これと同様に、セラミックスも緻密(相対密度98%程度以上)であると、単結晶に近づくので、無色か色のついたプラスチックかガラスのように見える。また、チョークのような外観のセラミックスは密度が90%以下と考えていい。高密度のチタン酸バリウムセラミックスは、本来、クリーム色であるが、酸素欠陥が多くなるにつれて水色〜青色〜黒色の外観となる。セラミックスの着色の原因については、酸素欠陥、バインダーの残留炭素、電極ビヒクルの残留炭素などがある。

12 電極関連、圧電素子に印刷されている記号、圧電素子の外観の処理

< 圧電セラミック用電極 >

  圧電体に使用される電極としては、用途に応じて蒸着法、スパッタ法、メッキ法、金属(銀、銀−パラジウム、プラチナ)ペースト法などがある。また、圧電体で使用されるかは不明だがメタライズという方法もある。

  蒸着法は比較的厚くコーティング出来るが接着強度が弱く、スパッタ法は接着強度はあるものの、厚膜はつけにくいという難点がある。

  また、銀ペーストでも、圧電体の種類や焼結温度、積層セラミック用、バインダーの種類などの目的に応じてペーストの組成が異なったものが販売されており、大企業ではコスト削減を兼ねて自前で合成するところもある。

  積層セラミックアクチュエータでは、種類によっては、百層程度積層されているので、電極材の値段が製造コストのほとんどを占めるようになっており、焼結温度の低温化で電極材料(銀-パラジウム)パラジウムの割合を減らす、又はパラジウムの使用をせずに銀電極にする研究が行われている。ただし、銀のみの電極ではマイグレーション(針状結晶の自然発生)の発生が懸念されている。アメリカでは電極として銅を使用したものが試作されているが、製造工程の大幅な見直し、焼結雰囲気の厳密な管理の観点から、銀に比べて本当に銅電極の方がコストが安くつくのか?と疑問視する向きもある。

  電極層の厚みも重要なファクターであり、薄い圧電板などでは、上部電極と下部電極の厚さが極端に異なると、電極の収縮による拘束力の違いによってユニモルフ状態となり、圧電体が全体的に反ったり、電界を印加した際にユニモルフ状態に由来する歪が観察されて結果として大きな歪みが観察される事がある。

< 電極の形状 >

  電極の形状については、圧電素子の用途に応じて様々なパターンがある。例えば、全面電極、分割電極、一部分割電極などである。全面電極でも、完全に素子の単面まで印刷されているもの、素子のちょっと内側まで印刷されているものがあり、ちょっと内側まで印刷されているタイプは、分極処理中及び素子の使用中の電気的ショートを防ぐ意味合いがあると考えられる。分割電極では、電極を分割して「電極ごとに分極方向が異なるタイプ(一部の超音波モータ用)」や、「分極方向は同じタイプ」などがある。後述するように電極を印刷する際に「メタルマスク」を使用した場合は、マスクの構造上、分割電極(例えば3分割)になるようである。(スプレーで簡単に文字を印刷する際に文字が途切れているのと同じ。デジタル表示の数字も文字が分割されているのと同じ)

< 電極上に書かれている記号 >

 圧電体素子には、メーカーによって黒点や白丸、又は+と記号が印刷されており、マイナス電荷が帯電している電極側は、長期間使用すると空気中の物質と反応して電極が酸化されて黒ずんで来る(=劣化)。圧電素子の極性については、d33メータを使用するとすぐに判明する。

< 圧電素子の外観上の処理 >

  電極とは関係ないが、製品の電気的なショート及び使用中の亀裂の発生を防ぐ目的でセラミックアクチュエータの表面に絶縁体の膜を薄くコーティングしている会社もある。このコーティング剤としては、スリーボンド社のパリレンコーティングなどがある。また、ショート防止策としてエポキシなどの樹脂を圧電素子の端面にコートしている場合もある。さらに、過酷な場所での使用のために、金属製のケースと一体化して販売している場合がある。

< 圧電素子の外観上の処理 >

  圧電体の電極に直接、ハンダ漬けをする場合には、電極が銀電極ならば、銀入りハンダが好ましい。通常のハンダでは、うまく付かないようだ。

< 誘電体の電極材料 >

  アルミナ系の積層セラミックスでは金属タングステンのペーストなどが使用される。圧電積層素子などでは、銀-パラジウム系、セラミックコンデンサなどではニッケル系のペーストが使用されているそうだ。また、目的に応じてブレンドしてくれる会社もある。お金を出せば、白金ペーストやパラジウムペーストなどを作ってくれる会社もある。

  特に積層セラミック用については、昔は銀やパラジウムの金属粒子が使用されていたようだが、焼結過程においてこれらの金属が酸化と還元によって体積が大きく変化し、クラックや電極剥離の原因となることから、最近では内部電極と誘電体相の接着強度を高める、セラミックスと焼成収縮曲線を同じにするという目的で、焼結体と同じような組成の粒子の表面にこれらの電極材料をコーティングしたものを使用するらしい。例えば、チタン酸バリウム系の積層セラミックスにおいて、チタン酸バリウム系粒子の表面にパラジウムやニッケルなどをコーティングしたりして電極として使うとか。ちなみに、ペーストに含まれるこのような役割の物質は、共材と呼ばれている。

  圧電素子用のペースト一つとっても、様々なタイプがあり、例えば何まで使用OKとか、簡単に剥がせるタイプ、常温で乾燥させるタイプなどがある。単純な圧電素子の場合、銀電極の焼きつけや無電解ニッケルメッキなどが用いられる。銀電極とはいっても、単に銀の粉末だけではなく、金属銀粒子とSiO2-B2O3-PbO系等の低融点ガラス、有機ビヒクル等で構成されている。スパッタや蒸着とは異なり、焼付け法は試料の内部まで電極材料が染み込むので、こちらの方が電極としては有効かもしれない。ちなみに大企業になると、低コスト化も含めて、目的に応じて電極ペーストを自前で合成するところもある。

  電極ペーストを薄める際には、種類に応じて酢酸nブチルやイソホロン(おすすめ)、又はシクロヘキサノン+ブチルカルビトールの混合液という溶媒を使うといいらしい。ただし、酢酸nブチルやイソホロンはシンナー(有機溶剤)の一種であるので、換気には十分気をつけ、出来れば扇風機ぐらいで強く蒸気を飛ばす方がいい。蒸気を吸うと 、めまいや酩酊状態になる。

  アセトンやアルコール類は、揮発性が高く、場合によってはペーストの分散性が落ちてペーストがダメになるので使用は止めた方がいい。

< 電極ペースト膜の形成に関して >

  研究室レベルなら筆で塗って焼き付けてもかまわない。圧電セラミックスメーカーでも特注品は今でも手塗りで仕上げているそうだ。ここには、日本の伝統的な絵付けの技法が活きている。

  手塗りならば、均一な電界を形成するために、試料の片側に2回ずつは塗った後、焼き付けた方がいい。

  大量に作製する場合や均一な電極膜をつけたい時は、スクリーン印刷法、出来れば専用の自動スクリーン印刷機を用いたほうがよい。ただし、少量の試料を作製する場合、スクリーン印刷法では、高価なペーストを浪費するという欠点がある。スクリーン印刷機が高価で買えない、又はスクリーン印刷機をいきなり買っても使えるかどうか分からないという場合には、東急ハンズなどでTシャツに印刷するお手軽スクリーン印刷機が販売されているので、それを買って試してみてもいい。著者も試してみたが、「研究室レベルではこれで十分」という感じである。

  スクリーン膜にも様々な種類があり、メッシュの細かい方が、キレイな印刷結果が得られる。しかし、目が細かいスクリーンでは、その後のペーストの洗浄が難しいという問題もある。また、比較的厚い膜を印刷したいという場合には、「メタルマスク」という方法も用いられる。「メタルマスク」とは、形状としては製図などで用いられる「ステンシル」と同じと考えていい。

  スクリーン印刷法を用いても厳密にはメッシュの凸凹が残るので、気になる時は電極を焼きつけた後、軽く研磨した方が良い。ちなみに、市販品の圧電セラミックスでは、ルーペで観察するとメッシュの網目が見える事がある。

<市販圧電セラミックスの電極上の表記について>

  市販の分極された圧電セラミックスには、電極面の片方に黒い点や白丸又は”+ が印刷されている場合がある。これはこのマーク面に分極処理の時にプラス極を印加し、結果として圧電体表面はマイナス極となっている(圧電体に+の電圧を印加するとマイナス極が圧電体表面に誘起されて分極処理後もマイナス極が残っているという事)事を示している。

13 圧電体素子その他の値段、市場規模

  個人で買おうとすると、超音波振動子は、数ミリ角のもので数千円程度。これは、電極層込みで厚み1mmといった細かい注文にも応じてくれるので、この程度の値段になる。圧電ブザーだと100円からで、大都市の部品屋で購入可能。積層圧電アクチュエータは、個人で買うと安いもので数千円、数センチ角のもので約10万円、高いものは1100万円程度する。

アクチュエータの試験用の専用駆動装置は50万円程度。ただし、超音波モータなどのアクチュエータ専用駆動回路は数千円程度。

圧電特性解析ソフトは200300万円程度。

PZT粉末は、特注すると30万円/kg程度、汎用品なら1万円/kg程度。

PLZT板は、汎用品で一枚1万円程度。

圧電単結晶は、510mm角程度で、個人で買うと化合物に応じて数千円〜10万円程度。高いものになるとウエハー一枚で数百万円。

個人で買うと、超音波モータは素子だけで1万程度。駆動ドライバー込みで1.2万円程度。

個人で買うと、銀ペーストは100gで10万円〜。貴金属が入っているので時価。

上記の値段については、企業間取引では圧倒的に安いようであるが、取引価格はデリケートな分野なので詳細は不明。

14 化合物の呼び方

単純化合物....一種類の陽イオンと陰イオンからなる化合物(例 TiO2)

複合化合物...二種類以上の単純化合物の成分同士が原子的規模で混じりあい、新しい結晶構造を作ったもの(例 BaTiO3=BaO+TiO2)

固溶体...二種類以上の単純化合物が原子的規模で混じりあい、元の単純化合物のどれかと同じ結晶構造をとったもの(例 (Ba,Pb)TiO3=BaTiO3-PbTiO3)

15 圧電特性の測定に関して

分極処理> 分極処理を行った試料については、分極処理後24時間以上放置して分極状態が落ち着いてから圧電特性の測定を行うのが好ましい。

機械加工> 分極処理を行った後に、切断や研磨などの機械加工をした場合には、加工歪を除去するために熱処理することが必要となる場合がある。

加熱操作> ハンダなどで通常の使用温度以上に加熱した場合は、やはり24時間程度、放置する。

測定温度変化> 測定中の温度変化を考慮して測定前には2時間程度、放置しておく。

参考文献> 日本電子材料工業会の標準規格「圧電セラミック振動子の電気的試験方法」EMAS-6100

16 バインダと造粒方法について(研究室レベルの話)

  バインダ(バインダーともいう)とは、可塑性のないセラミック粉末を成型する際に使用する助剤(成型助剤、添加物)の事をいう。

  PZT粉末は、粘土のように可塑性(自由に形を作ってそのまま形状を保持する事)が無いため、セラミックスを作製する際にバインダなしでプレス成型すると乾燥によって形が崩れてしまう。そこで、焼結の際に形が崩れないようにノリの役目や、緻密な成型体が出来るように「バインダ」を添加する。

  一口にバインダーといっても、成型法に応じて様々な種類がある。例えば押出用、ドクターブレード用、焼結用(乾式成型、湿式成型)などである。

  押出成型用では、メチルセルロース系(メトローズという商品はこれ)が一般的であり、最近は寒天なども検討されている。セルロース系は、乾燥するとカチカチに固くなる。よって、この固くなった状態で適当な長さ、大きさで切断してから焼結したり、焼結後に切断するという方法が取られる。

  ドクターブレード用では、ポリビニルブチラール系などが一般的。ビニルというぐらいなので、このバインダーを入れるとビニール製下敷き程度の強度のシートが得られる。これに電極を印刷し、熱間積層プレスなどで加熱すると、内部電極をもつ積層グリーンシートが得られる。

  なお、これらの組成は、ノウハウなのであまりデータは公表されていないが、特許で「バインダ」などで調べると具体的に組成が記述してある。

  ドクターブレード用に関しては、ドクターブレード用バインダとして最初から「複数の成分がブレンドされた溶液」が販売されているので、ちょっと試してみたいならばこういう商品を購入してテストしてみるという手もある。

  乾式の成型

  焼結用では、乾式(100ミクロン程度の砂状の粉をそのままプレスするタイプで工業的にはこれが多い、)としては、ポリビニルアルコール(PVA, ポバールという商品はコレ、湿度に強く水に溶けやすい変性ポバールというのもある)やポリビニルブチラール(PVB)が結合剤としてコーティングされているようだ。これらは表面は乾燥しているが、中身は少々水分を含んでおり、(ウサギのウンチみたいに)プレス時に水分が染み出るような工夫がされている。工業的にはスプレードライ製法によって造粒されているようだが、原料粉が大量に必要となるために、研究室レベルではスプレードライは使用しにくい。メーカーから圧電粉末を購入する場合には、バインダが入っている場合が多いので、こういう場合は、メーカーの人に推奨する成型方法を聞いてみた方がいい。

  自前で合成したセラミックスに関しては、(当たり前だが)バインダが入ってないので、バインダを加えて成型しやすくする。実験室レベルの乾式法としては、教科書によればジエチレングリコールを数%練り込む方法も有効と記述してある。しかし、経験からいうと、ジエチレングリコールはいつまでもベタベタしており、金型の型離れが悪い事から、個人的にはお勧めしない。

  体験からいうと、手前味噌ではあるが、以下に紹介する溶液((蒸留水 200 ml + PVA 2 g +グリセリン 1 ml + エタノール 30 ml)程度の混合液)を練り込んで100ミクロン程度のフルイに通して適度に乾燥させた方が成型後の強度も強くて良いようである。

  湿式の成型

  数グラムの粉末を燒結する場合には、液体のバインダーを添加する場合が多い。これは、良好な成型体を得るために目的に応じて各種の成分がブレンドされている。

  私の所では、焼結用バインダーとしては、(蒸留水 200 ml + PVA 2 g + グリセリン 1 ml + エタノール 30 ml )程度の混合液を用いている。

  PVA(ポリビニルアルコール)は、乾燥するとノリ成分(バインダ)として働き、誘電体に有害な重金属類が入ってなく、構成炭素量が少なく分解しやすいという理由で入れている。PVA量が少なすぎると接着剤としての役割が果たせず、多すぎると脱バインダ工程に時間がかかり、気孔や発生したり不完全燃焼によって炭素が残留しやすいという問題がある。  

  グリセリンは、原料粉末同士の潤滑性を高め、プレス時に圧力が均一にかかるようするためである。また、沸点が比較的高いために、造粒した時に内部に適度な水分(液体分)が残るという利点がある。グリセリン量が少ないと十分な潤滑効果が得られず、多すぎると成型体がいつまでも乾燥しない、金型の離れが悪いという問題がある。

  エタノールは、ポリビニールアルコール(PVA)を溶けやすくすると同時に蒸留水の水素結合性を弱めて微細な原料粉末の凝集を防止するために入れる。(分散剤効果)水は、表面張力が強いために乾燥すると硬く凝集するので、どうしても水を使いたい時は分散剤を添加する時もあるらしい。

  また、このように多数の成分をブレンドすることにより、混合液の沸点があいまいになるために、焼結時にじわじわと水分や有機分が抜ける、分解することから結果として良好な焼結体が得られるというシナジー効果が得られる。

  これらのバインダーの作製にあたっては、湯浴中、( 蒸留水200 ml + エタノール 30 ml )の水溶液にPVAを投入すると最初はノリ化するが、ヘラでビーカ壁面にひたすらこすりつけると溶解し透明な液体が得られ、室温において1年ぐらいは液体として安定である。ただし、1年を過ぎるとPVA成分が析出してくるので、こういう場合は作り直した方がいい。

参考文献> 「誘電体工学」、学献社、「助剤でこんなに変わるセラミックス」(株)TIC

「セラミックス実験技術講座 セラミックスを作ってみよう!」、日本セラミックス協会

16-1 緻密なPZT焼結体の作製(研究室レベルの話)

 例)造粒してあるPZT粉末を購入し、1160℃で焼結する場合

  一般に、メーカーから購入した原料粉末はバインダが入って造粒している場合が多いので、新たにバインダを追加する必要はなく、造粒粉が均等に金型に入るようにして、300MPa程度でプレスを行う。この際、プレス圧力を低下させる時に、圧力を一気に下げると成型体内部にヒビが入るので、ゆっくりと圧力を低下させるのがコツである。

  その後、100℃/時間程度の昇温速度で800℃まで昇温し、800℃1時間程度、仮焼することによって有機物であるバインダを完全に燃焼させ、一度室温に戻す。その後、酸化鉛が揮発しないように密閉した容器を用いて、900℃から1160℃までは100℃/時間程度でゆっくりと昇温し、2-3時間程度焼結すること。これは900℃以上で焼結体の収縮が始まるため、焼結体のソリを防ぐためである。焼結中において成型体から酸化鉛の揮発が心配な時は、焼結容器内に「PZT粉末」を入れておき、PZT粉末から優先的にPbが抜けるようにすると焼結体からの鉛抜けが防げる。

 例)研究室で合成したPZT粉末を使用する場合

  固相反応によって合成した粉末については、ボールミルなどを用いて、必ずサブミクロン程度の丸い粒子にすること。その後、バインダを添加して造粒を行い、上記と同じプロセスで焼結を行う。

16-2 敷き粉、セッター、焼結時の容器

  敷き粉(しきこ)とは、PZTの成型体を焼結する際に甲鉢などの容器と反応して製品が変質したり、焼結時の変形を防ぐために、成型体の下にひく粒径の粗い粉末のことをいう。工業的には一般にはジルコニアの敷き粉が使用される場合が多い。しかし、敷き粉は、焼結後に製品から分離する手間、製品に混入する可能性などがあり、最近はジルコニア製のセッターに直置きして焼結する場合が増えてきている。ジルコニア製セッターは導入費用は高いものの、長く使用可能で結局は安くつくというのが、セッターメーカーの説明である。最近は、高精度な表面粗さを有するセッター、表面が梨地のセッター、無鉛圧電セラ用のセッターなどが販売されている。

  ここでいうセッターとは、一般に大量の成型体を一度に焼結するためのセラミックス製の冶具のことを意味し、それぞれの圧電メーカーが焼結にムラが出来ないように工夫を凝らしている部品である。

  研究室レベルでは、敷き粉を使用せず、0.1mm厚の白金板をひいてPZTを焼結してもいいが、白金板は変形しやすい上、高価なので、これからはジルコニア製セッターを使用してもいいかもしれない。

  ちなみに、アルミナ製容器はPZT中のPbと反応して長く使用すると溶けたようにぐにゃぐにゃになるので使用しないほうがよく、高価ではあるがマグネシアやジルコニア製容器を使用した方がいい。

17 「圧電デバイスの共振周波数」についての注意点

  「圧電素子の共振周波数」は、駆動状況、デバイスへの組み込み方、駆動環境、駆動温度によって様々に変化するので注意。これまでの経験からいうと、「圧電セラミックスをメーカーから購入して、自前でトランスデューサを作製している研究者」が、案外、この違いに気づいていない場合が多く、セラミックの共振周波数は○○と思い込んで、デバイスにした後も、その周波数で駆動して「予想した割には特性がよくない」という場合が多い。これは、デバイス化した時点で、共振周波数がずれているためである。

 「共振周波数はいくら」という圧電セラミックスを購入しても、シリコンで埋め込んだ時点、ボルトで締め上げた時点、空中か水中か、室温か高温か、バッキング剤の有無、駆動電圧の大小によって共振周波数は様々に変化する。よって、こういう場合は、実際のデバイスの駆動状況においてインピーダンスアナライザーなどでインピーダンスの変化を観察すると、本当の共振周波数が判明する。ただし、インピーダンスアナライザーに高すぎる電圧を印加すると故障の原因になるので、こういう時は、「高電圧を低電圧に下げるプローブ(アジレントなどで売っている)」をデバイスとインピーダンスアナライザーの間に入れること。

  また、駆動の仕方(駆動電圧、駆動周波数)の関係で、予想通りの電圧が圧電素子に供給されていないことがあるので、実際に駆動中のデバイスの電圧印加状況を調べることもお勧めする。この関係は、圧電素子の駆動機器(高速アンプ)を販売しているメーカーのサイトなどに詳細に説明されている。

18 アクチュエータ製造に関して

また、本章は、とりあえずメモとして簡単に記述するがいずれはきちんと整理する予定である。

アクチュエータに使用される金属> バイモルフ、モノモルフなど直接圧電セラミックスと接着する金属材としてはPZTと熱膨張係数が近いという理由からインバーが使用されるらしい。これは、某カメラメーカーの元研究員の講演で聞いた。

ランジュバン振動子の中間電極板> 積層ランジュバン振動子ではセラミック板を物理的に締め上げることから、軟らかくてセラミックスと密着し、しかもハンダがしやすい金属として真鍮が主に使用される。真鍮以外も使用されるが、ハンダがとれないように、メッキをするなどの工夫がしてある。

19 純度補正

  セラミックスの電気特性は、原料の純度や混合割合に非常に敏感であり、本当は原料の計算過程では、純度補正を行なう必要がある。これは特に大量に(数キログラム以上)製造する時には誤差が大きくなるので非常に重要である。よって、計算方法を紹介する。

  例えばPbOの分子量は223.199であり、この材料の純度が99.9%とするとPbO1mol秤量する時には、純度補正すると223.199/0.999=223.422、つまり223.422g秤量しなければPbO分子を1mol秤量したことにはならないことになる。(分子量は分子1molあたりの重量g)

20 さまざまな圧電材料

  古い文献によると、有機・無機化合物において今日までに構造が確認されている結晶の数は約9000個と記述されており、現在ではこれらの固溶体を含めると数万個の結晶が存在するものと思われる。

  これらの結晶については、結晶の対称性から分類すると32の結晶族に分類され、そのうち、圧電性を示すのは20結晶族、結晶数にして約2500個程度と推察されている。しかし、これらには、ほんの少し圧電性が確認されたものも含まれているので、実用に耐える圧電材料として使用可能なものは数えるほどしかない。

  現在、代表的な圧電材料としては、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT、三成分系含む)、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などがある。

以下にそれぞれの特徴を示す。

< 水晶(SiO2) > 

  キュリー点以下では、三方晶(D3)に属する単結晶であり、キュリー点は、573℃。圧電諸定数の温度変化が小さいので安定度が必要な基準発振機などに使用されている。機械的Qが極めて大きいので狭帯域フィルターなどに用いられている。水晶は安定性は高いが250℃以上の環境では使用できない。また、高い感度(電圧と振動の変換効率)が必要な高度なセンサーなどに対応できないという課題がある。

< ニオブ酸リチウム( LiNbO3 ) >

  キュリー点以下では、三方晶(C3v)に属する単結晶である。キュリー点は1210℃。人工的に育成された単結晶はc軸に反平行な180°分域をもつ、いわゆる双晶構造をなしているので、このままでは圧電性はない。よって、圧電体として使用するには分極操作が必要となる。水晶と同様に機械的Q (Qm)が非常に大きく、周波数定数も大きいので特に高周波振動子用に適している。しかし、センサーとしては安定性が低く、センサーとして利用するためには補正回路を必要とするという欠点がある。

< チタン酸バリウム( BaTiO3 ) >

  ABO3型ペロブスカイト構造化合物をとる代表的な強誘電体。キュリー点は、135℃付近、その他に-90℃0℃付近にも転移点がある。古い教科書には、チタン酸バリウムのキュリー温度は120℃”と書いてある場合が多いが、これは昔は原料の精製技術が未発達であったために、キュリー温度の低いチタン酸ストロンチウムが少々、混入していたためと現在は言われている。この化合物は、セラミックスとして焼結可能であり、このセラミックスを分極処理すると比較的良好な圧電性を示すことが知られている。

  チタン酸バリウム以前の圧電体としては、水晶などの単結晶が主流であり、単結晶は合成や加工の面で難があった。しかし、この物質の開発によって圧電セラミックスという分野が開けた。セラミックスは、大きな試料が作製可能、比較的低コスト、任意の形状に加工可能という利点がある。

< チタン酸鉛( PbTiO3 ) >

  ABO3型化合物ペロブスカイト構造化合物の一つであり、これも有名な強誘電体。化学的に純粋なものは相転移における結晶相の極端な変形のために焼結性が極めて悪く、実際には少量の添加物を加える事によってセラミックスが作製されている。キュリー温度は、490℃で、-150℃-100℃付近に相移転点を有している。抗電界が大きいために高い分極電圧が必要であるが、分極処理されたものは比較的良好な圧電性を示し、しかもc軸方向に強い異方性を有している。

< チタン酸ジルコン酸鉛( PZT ) >

  一般にPZTと呼ばれ、強誘電体のPbTiO3と反強誘電体PbZrO3の固溶体で通常Pb(Zr,Ti)O3で表現される事が多い。キュリー点は両者の混合比によって異なるがおよそ320℃付近にある。室温からキュリー点までの温度では転移点は無く、安定して使用できる。

  純粋なPZTは焼結性は悪いが、現在では添加物を加える事によって焼結製も向上しており、分極も比較的容易で十分に分極することが可能であるため、優れた圧電特性を有する圧電セラミックスを作ることが可能である。実際には、混合比を変える、添加物を加える、第三成分を加えることによって、機械的Qや比誘電率などを制御してある事が多い。

< メタニオブ酸鉛( PbNb2O6 ) >

  ペロブスカイト結晶構造をとらない強誘電体として最初に発見された化合物。結晶構造はタングステンブロンズ型で、一般にAB2O6型化合物で示される。キュリー点は570℃付近にあり、室温では斜方晶(C2v)に属する。分極方向に大きな異方性があり、機械的Q (Qm)が大変低いという特徴がある。

< ポリフッ化ビニリデン >

  通常はPVF2PVDFと呼ばれる事が多く、重合度8001500程度の結晶性高分子圧電体である。融解温度は160180℃で溶融状態から結晶化させるとα結晶(単斜晶系、C2h)となるが、フィルム状に延伸するとβ結晶(斜方晶、C2v)となり、自発分極を有する結晶構造となる。これをコロナ分極処理することにより、圧電性高分子フィルムとなる。機械的Qgが大変低いという特徴がある。

< 酸化亜鉛( ZnO ) >

  酸化亜鉛は、それ自体で圧電性を示す事が知られている。圧電特性自体はPZT10分の1程度であるが、Si基板上に圧電効果を示す良質の結晶性薄膜を300℃以下の低温で形成可能という点で魅力があるとされており、現在までに加速度センサや超音波センサが試作されたようだ。問題としては、通常のセラミック合成プロセスでは、ZnOが焼結中に昇華(固体が液体状態を経ずに直接気体となって抜ける事)してしまうために緻密な焼結体が得られないということがある。ただし、ZnOは誘電損失が比較的大きいのでマイクロ波焼結を行うと緻密な焼結体が短時間で得られる。(電子レンジでも工夫次第で焼ける。)

 

参考文献> 「圧電セラミック テクニカルハンドブック」、富士セラミックス

20-1 さまざまな圧電セラミック材料

PZT, チタン酸ジルコン酸鉛 >

  一般にPZTと呼ばれ、強誘電体のPbTiO3と反強誘電体PbZrO3の固溶体で通常Pb(Zr,Ti)O3で表現される事が多い。キュリー点は両者の混合比によって異なるがおよそ320℃付近にある。室温からキュリー点までの温度では転移点は無く、安定して使用できる。

  純粋なPZTは焼結性は悪いが、現在では添加物を加える事によって焼結製も向上しており、分極も比較的容易で十分に分極することが可能であるため、優れた圧電特性を有する圧電セラミックスを作ることが可能である。実際には、混合比を変える、添加物を加える、第三成分を加えることによって、機械的Qや比誘電率などを制御してある事が多い。

PMN-PZT, マグネシウムニオブ酸鉛-PZT系 >

  Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 (PMN)は、代表的な鉛系複合ペロブスカイト化合物であり、−10℃程度で最大の誘電率(= Tmax.)を示すことが知られている。PZTは圧電特性が良好であるが、難焼結性であり、機械的強度も弱いので、室温で常誘電体であるPMNをある程度固溶させることによって、セラミックスの強度の向上、室温での比誘電率を向上させることによる圧電特性の向上、焼結温度の低下、抗電界の低下を目的としてPMNが添加されている。ちなみに、PMNセラミックスの色はクリーム色。

PNN-PZT, ニッケルニオブ酸鉛-PZT系 >

  Pb(Ni1/3Nb2/3)O3 (PNN)は、PMNについで有名な鉛系複合ペロブスカイト化合物であり、−150℃程度で最大の誘電率(= Tmax.)を示すことが知られている。PMNと同様に、PZTのセラミックスの強度の向上、室温での比誘電率を向上させることによる圧電特性の向上、焼結温度の低下、抗電界の低下を目的としてPNNが添加されている。特に、PNNの場合は、組成によって大きなd定数が可能になるので、大変位用アクチュエータ用材料として使用されている。ちなみに、PNNセラミックスの色は酸化ニッケルに由来する濃い緑色であり、圧電セラミックアクチュエータが緑色ならばPNN-PZT系が使用されていると判断してもいい。

PMN-PT, マグネシウムニオブ酸鉛-PT系 >

  Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 (PMN)は、代表的な鉛系複合ペロブスカイト化合物であり、−10℃程度で最大の誘電率(= Tmax.)を示すことが知られている。PMNは、0.68PMN-0.32PT組成付近に結晶相境界(M.P.B.)が存在することが知られており、単結晶では、d33=1500-2500という巨大な圧電特性を示す事が知られている。ただし、キュリー温度が155℃程度であるので、製品として使用される場合には、使用温度範囲が限られる。ちなみに、PMN-PT系単結晶は近年販売されるようになっている。

PNN-PT, ニッケルニオブ酸鉛-PT系 >

  Pb(Ni1/3Nb2/3)O3 (PNN)は、PMNについで有名な鉛系複合ペロブスカイト化合物であり、−150℃程度で最大の誘電率(= Tmax.)を示すことが知られている。PNNについては、0.70PNN-0.30PT組成付近にM.P.B.が存在し、この組成系も単結晶にすると巨大なd定数が発生する事が予想される。しかし、PNNPMNに比べて純粋な化合物が得られにくいために、PMN-PT系単結晶は合成しにくく、またM.P.B.組成付近はキュリー温度が120℃と低いために、単結晶としては現在、販売されていない。

20-2 圧電単結晶

  現在、圧電単結晶としては、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ランガサイト、PMN-PTPZN-PT等が販売されている。高品質の単結晶の合成には、高度なノウハウが必要であり、素人が作製すると、酸素欠陥が入っって結晶に色がついたり、組成が局所的に不均一になったりする場合が多いそうだ。また、化合物の結晶系(例えば、正方晶、斜方晶、菱面体晶など)に応じて結晶方位の問題が出てきたり、試料を切り出す微妙な角度によって圧電・誘電特性が変化するので、購入する際は、事前にメーカーの人とよく相談する事をお勧めする。さらに、強誘電性圧電体に関しては、ドメインの問題がつきまとい(ポーリング処理によって既にシングルドメインである場合が多いであろうが)、シングルドメインでない場合があることに注意。シングルドメインの単結晶は、外観上、クリスタルガラスのような透明感があり、ドメイン壁が入るにしたがって、不透明となっていく。

  また、化合物特有の事情によって大きな単結晶が出来なかったり、チタン酸バリウムのように室温5度以下になると相転移によってドメインが形成されてバラバラになるという問題もある。また、PMN-PT (Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3)などのように、組成の構成元素が多い場合は、均一な単結晶を作製するのに高度な技術が必要とされる場合がある。

  単結晶の値段については、価格が明記してある場合もあるが、交渉して決める場合が多いようだ。それは、切り出す方位、表面加工の有無、手間賃、購入個数等によって条件が大きく異なるからである。研究用に強誘電性単結晶を購入する際は、無償で提供されることもあるが、一個数千円〜数十万円することを覚悟しておいた方がいい。

 

< シングルドメイン結晶をマルチドメイン化した際の記録 >---------------------

  後学のため2006年に、KNbO3(室温で斜方晶)と91PZN-9PT(100方向に切り出したウエハ)のシングルドメイン単結晶を700℃30分間熱処理してマルチドメイン化を試みた。その結果、KNbO3はマルチドメイン化によって、数十ヶ所にヒビが入り、鏡面研磨済み表面にドメインの形成に由来するウロコ状のパターンが浮き出て、これは肉眼でも容易に観察出来る。一方、PZN-PTの場合は、外観上の変化は観察されず、偏光顕微鏡を用いて数百倍で観察することによって、微細な180°ドメイン組織がようやく観察された。

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20-3 ペロブスカイト型強誘電体の結晶相の変化

 現在、さまざまなペロブスカイト型化合物の存在が知られているが、

チタン酸ベースのペロブスカイト化合物の場合(BaTiO3, PbTiO3, SrTiO3, CaTiO3)

BaTiO3は以下のような結晶の相転移をすることが知られている。

< BaTiO3の結晶相転移挙動 >

   立方晶(Cubic)⇔135℃⇔正方晶(Tetragonal)⇔5℃⇔単斜晶(Monoclinic)

   ⇔-90℃⇔菱面体晶(Rhombohedral)

  通常、口頭では、「室温で正方晶であったが、135℃で立方晶に変化したので、キュリー温度は135℃」という場合が多いが、結晶学的には、「結晶の温度が降下するにともなって結晶の対称性が悪くなり、135℃付近で、立方晶であったのが正方晶に相転移した」と表現する。さらに、「5℃を境にして、結晶相の対称性がさらに悪化し、単斜晶に相転移し、-90℃でさらに菱面体晶に相転移した」と表現される。Baはイオン結合性が高いので、上記のように4種類の結晶相を示し、この現象を「逐次相転移をする」と表現する。

  一方、PbTiO3の場合、Pbイオンは共有結合性が高いので、以下のように、単斜晶の出現は観察されず、直接、正方晶から菱面体晶に相転移をすることが知られている。

< PbTiO3の結晶相転移挙動 >

  立方晶(Cubic)⇔490℃⇔正方晶(Tetragonal)⇔-○℃⇔菱面体晶(Rhombohedral)

ニオブ酸ベースのペロブスカイト型化合物の場合(KNbO3, NaNbO3)

KNbO3は以下のような結晶の相転移をすることが知られている。

< KNbO3の結晶相転移挙動 >

   立方晶(Cubic)⇔435℃⇔正方晶(Tetragonal)⇔225℃⇔斜方晶(Orthorhombic)

  上記のBaTiO3, PbTiO3, KNbO3は、強誘電体であるので、正確には強誘電相の正方晶、強誘電相の単斜晶、強誘電相の菱面体晶と記述するのが正しい。 一方、PbZrO3NaNbO3は反強誘電相をとる場合があるので、相転移挙動としては以下のようになる。

< NaNbO3の結晶相転移挙動 >

  (常誘電性)立方晶(強誘電性)正方晶(強誘電性)斜方晶

          (反強誘電性)斜方晶(反強誘電性)菱面体晶

 

  これらの相転移については、たとえば、同じ正方晶でも、「室温での正方晶の格子間距離」と「100℃の格子間距離」は異なることに注意されたし。特に、相転移温度に近い中間的な状態は「立方晶に近い正方晶」や「擬○○(例 擬立方晶)」英語では「Psudo-○○(例 Psudo-cubic )」と表現される場合がある。ちなみに、格子間距離はd定数という場合もある。また、結晶相転移温度は、圧力、測定時の温度勾配、測定周波数によって変化するので、出来れば測定条件も合わせて表示するのが好ましい。

21 PZTの低温焼結関係

PZTの低温焼結に関する添加物の特徴 >

ガラスフリット

  液相焼結によって低温で緻密化させるために低融点のガラスフリットを用いると低温で見かけ上は固まるが、圧電定数は低下するという問題がある。

○B2O3

  B2O3は、焼結中にPZT(ペロブスカイト構造)の成分と置換しないが、焼結後に粒界に沿ってガラス相として残留し、圧電特性を低下させる。また、B2O3は酸に可溶なので耐久性も劣化する。

価数の異なる酸化物

  圧電定数を悪化させずに焼結温度を低下させるには、反応性の高く融点の低いCdO又はBi2O3を添加する。4価のZrTi3価のBiなどの価数の異なるイオンを添加するとZrTiサイトで置換され、酸素イオンの空孔が生成され、この酸素空孔は焼結中のイオンの拡散を増加させるように働く。この結果として焼結温度が効果的に低下する。ただし、Bi2O3La2O3は、添加量が多いと、Aサイト(2価)に置換されてセラミックスを半導体化させる恐れがある。ちなみに、5価のTaBサイト(4価)で置換されて半導体化させることがある。

  一方、2価のCdは、2価のPbサイトに置換し、活性の高いCdは焼結過程で拡散過程を加速しながら、焼結温度を効果的に低下させる。

フッ素化合物

  フッ素化合物の添加は、高電界での圧電特性の向上、誘電定数の増加、機械的応力の増加を招くために好ましいと言われており、具体的にはLiFMgF2などを0.001-1wt%程添加するといいらしい。

その他

  ガラスでは圧電特性が低下するのでPb5Ge3O11PbSiO4などの低融点化合物を少量添加するという方法もとられる。ちなみに、PbO-V2O5系は 融点が約470℃PbO-B2O3系は約500℃Pb5Ge3O11は 約738℃PbSiO4は約750℃PbO-Bi2O3系は約750℃程度とされている。また、最近では、PMN-PZT系圧電セラミックスにLiBiO26wt%程度添加する事によって800℃で緻密に焼結した例も報告(FMA-21)されている。

22 電歪体(でんわいたい)と電歪効果

   ( Electrostrictor and electrostrictive effect )

  電歪体とは、広義には、結晶に電界を印加した際、電界の二乗に比例した形の歪を示す物質の事をいう。基本的には、常誘電体でも電界を印加すると、ごくわずかではあるが電歪効果を示す。しかし、リラクサ型誘電体では特に大きな電歪歪を示すことが知られている。

電歪については、最大誘電率温度(Tm)付近で(正確には直前)電歪も異常に大きくなる傾向がある。

  電歪体は、圧電体において必要とされる分極処理操作が不要、電界の極性を問わない(歪の形が左右対称)、歪のヒステリシスがほとんどない等の特徴がある。

  代表的な物質としては、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3 (PMN-PT) 固溶体が知られており、この固溶体は、0.91PMN0.09PT組成付近において室温で大きな電界誘起歪を示す。この材料の問題点としては、歪量が比誘電率に強く影響されることから温度依存性が大きい、圧電体よりも駆動速度が遅い、残留分極がないことから駆動にはバイアス電圧をかけておく必要がある、比誘電率が大きいので駆動電流が大きくなる、現在、販売しているのはアメリカの会社ぐらい、種類が少ない等がある。

  PZT系においても抗電界の低いソフトな圧電体(PLZT)は、電歪材と呼ばれる事がある。

23 圧電体と電歪体の関係

  例えば代表的な圧電セラミックスであるPZTを例にして説明すると、50PZ-50PT組成付近のPZTのキュリー温度は通常350℃程度である。よって、室温付近では、比誘電率が数百と小さく、圧倒的に圧電効果作用が大きいことから圧電セラミックスとして利用されている。

  一方、電歪体は基本的には常誘電体でも比誘電率が大きければいいので、PZTを含めた強誘電体なら比誘電率が最も大きくなる温度(=まあ、キュリー温度。厳密には違う。)付近で使用すると、電歪材料として使用できることになる。ということは室温付近にキュリー温度があり、比誘電率がとても大きく、電界誘起歪が大きければ電歪材料として使用できるということである。また、室温以上 キュリー温度以下(キュリー温度の1/2の温度の方が正解かもしれない)の領域では、圧電+電歪効果によって、抗電界が下がりソフト系圧電セラミックス的な挙動を示す。

24 キュリー点、キュリー温度、脱分極温度

   ( Curie point, Curie temperature, depolarization temperature )

  キュリー温度とは、圧電体の分野においては、「分極が消失する臨界温度」の事をいう。一般に、ペロブスカイト型強誘電性結晶は、高温では立方晶系、室温では正方晶系の結晶構造を持つものが多い。

  高温では立方晶系(=常誘電相, a軸長さ=b軸長さ=c軸長さ)のために自発分極は持たないが、温度が下がると相転移点を通過して正方晶系(=強誘電相、a軸長さ≠c軸長さ)になり自発分極を生じる。この相転移する温度をキュリー温度という。ただし、圧電体においては、たいていは正方晶から立方晶への相転移温度の事をいう場合が一般的であり、自発分極が完全に消滅する温度の事を指す場合が多い。

  結晶が相転移を起こす原因としては、誘電率のソフト化に起因するとされており、誘電率εは温度 Tに対して

ε c / ( T-q0 ) (ただしc,q0は定数)で示されるキュリー・ワイスの法則に従って温度 Tが高温側からキュリー点 q0へ低下するにつれて誘電率が無限大へ増大し(ソフト化する)、その結果、結晶が不安定となって相転移すると説明されている。

  普通、強誘電体のキュリー点は1つものがほとんどであるが、BaTiO3のようにキュリー点が3つ(菱面体斜方晶正方晶立方晶)あるものも存在する。

  実用的な圧電セラミックスとしての観点からは、圧電セラミックスの使用温度範囲内にキュリー点がいくつもある材料は、相転移によって圧電特性が変化するために使用されない。

  ちなみに、キュリー・ワイスの法則は、元来は磁性体の分野で知られていたものであり、キュリー・ワイスのキュリーは、有名なキュリー夫人( Marie Curie)の夫のピエール・キュリー(Pierre Curie)にちなんだもので、本来は磁性体における相転移点(本家? キュリー点)から由来している。

  キュリー温度は、様々な要因によって変化する事が現在知られており、例えば、試料をゆっくりと昇温させながら測定するのと、ゆっくりと降温させながら測定するのでは、温度が数程度違って測定される。この理由は書いている時点では説明出来ないが、強誘電体の現象の一つとして有名である。また、キュリー温度は、出発原料の純度によっても変化する。例えば炭酸バリウムには不純物として炭酸ストロンチウムが混入しやすく、チタン酸ストロンチウムはキュリー温度が低い(-150℃?)事から、純度の低い炭酸バリウムを用いた試料では、一般的にキュリー温度が低く観察される。Pb(Mg1/3Nb2/3)O3などのリラクサー系では、散漫な相転移をするために、明確なキュリー温度は決定しにくく、通常Tm (比誘電率が最大になる温度 mmaxの意味 )で示されている場合が多い。Tmは、測定周波数によっても10℃程度動くために、通常は kHzで測定した場合のTmが何℃” と表現されている。

  脱分極温度(depolarization temperature)とは、圧電体の分極が消滅しはじめる(正確には急激に減少し始める)温度の事をいう。完全に消滅する温度はキュリー温度だが、実際の圧電製品では、実際に何で分極が大幅に消滅するかという点で、キュリー温度よりも重要視されている。例えば、チタン酸バリウムでは脱分極温度は80℃程度であり、キュリー温度(約135℃)のだいたい1/2から2/3程度の温度である。脱分極温度はふつう、分極した試料をゆっくりと加熱しながら、焦電電流を測定していくと、残留分極が消滅する際に急激に大量の電流が流れる温度が観察される事から、この温度をもって脱分極温度とする事が多い。ちなみに、脱分極(分極が取れる事)は、ディポールと呼ばれる場合がある。

25 焦電体 ( Pyroelectrics )

  圧力のない状態で自発分極を持っており、結晶の温度が変化した時に、自発分極の温度依存性に由来してその変化分に相当する電荷が結晶表面に現れる(焦電性)物質。赤外線センサーなどに応用されている。 詳細は以下の文献に詳しく載っているので、興味のある所は専門書をご参考ください。

焦電体薄膜の作成方法> 技術専門書 ニューケラス1 学献社 p175

PZT系焦電磁器の特性> 技術専門書 圧電材料とその応用、CMC出版 p19

無機系焦電材料の特性紹介> 技術専門書 圧電材料とその応用、CMC出版 p227

焦電特性の測定方法> セラミックスの評価方法、セラミックス協会 p261

焦電材料の測定法> 技術専門書 ニューケラス5 学献社 p14

Pb(Sn,Sb)O3-PZT系焦電セラミックスの特性紹介> 技術専門書 センサ技術 p373

PZT系焦電センサの耐久試験例、PbTiO3系焦電センサの作成例> 技術専門書 ニューケラス5 学献社 p20

焦電センサの紹介PZT系、PbTiO3系、(Pb,Ca)TiO3系、複合材料系の紹介> 技術専門書 ニューケラス5 学献社 p6

無鉛圧電セラミックスによる焦電センサの試作> Lead-free ceramics for pyroelectric applications, Journal of applied physics. vol.103 (2008)

焦電型赤外線センサを使用したガス分析計の解説> 技術専門書 圧電セラミックス新技術、オーム社

26 常誘電体 ( Paraelectrics )

  立方晶などで、自発分極、残留分極がない状態のいわゆる普通の誘電体(単に絶縁体と呼ぶ時もある)。比誘電率が高いものでは電界に比例して直線状に分極が発生する。

27 反強誘電体 ( Anti-ferroelectrics )

  反強誘電体とは、磁性における反強磁性体に対応するもので、この結晶の中では、イオンの変位が一列ごとに向きを変え、自発分極が反平行に並んでいる物質のことをいう。一般に英語ではアンタイ-フェロエレクトリックと発音する。強誘電体がドメイン内において自発分極の配列方向が結晶内で並行に並ぶ(同じ方向に並ぶ)のに対して、反並行、つまり互い違いに並ぶ方が双極子の相互作用エネルギーが小さくなる物質をいい、代表的な物質としてはPbZrO3がある。ちなみに、純粋なPbZrO3及びPbZrO3の割合が圧倒的に多い組成域(93PZ-7PT組成辺りまで)のPZTでは反強誘電相が存在すると言われているが、それ以外のPZTの組成付近では強誘電性の菱面体晶相か強誘電性の正方晶相である。

  反強誘電相は、高い電界を印加する場合を除くと、基本的には残留分極は残らないハズなのでインピーダンスアナライザー程度の電界下においては、そう大きな比誘電率は示さない(最大でも数百程度)と言われている。

  反強誘電体の興味ある特徴としては、キュリー温度付近で強電界を印加すると、強誘電相が誘起されることである。この現象は、電界印加型相転移、強制相転移とも呼ばれる。

28 BaTiO3、チタン酸バリウム、チタバリ ( Barium titanate

 結晶構造:ペロブスカイト型構造。(固体物理分野ではペロスカイトと呼ばれる場合が多い)

  室温付近では、強誘電相(=自発分極がある、圧電性がある)の正方晶であり、相転移温度(キュリー温度(Tc)、キュリー点とも呼ばれる、約135℃)以上では常誘電相(=自発分極がない、圧電性はない、無極性相)の立方晶となる。BTのキュリー温度に関しては、古い文献では120℃程度と記されている事が多いが、現在ではBaTiO3Tc135℃とされている。昔は原料の精製技術が低かったため、不純物としてSrが混入し、結果的にBaTiO3-SrTiO3固溶体となっていたためにキュリー温度が低く観察されていたようである。

  ただし、キュリー温度、誘電率などは、結晶粒径、応力、昇温速度によって変化し、昇温過程及び下降過程の誘電ピークのヒステリシスもあるので注意されたし。

  室温付近で比誘電率が大きいという特徴を活かして積層セラミックコンデンサの主要な材料となっている。また、圧電セラミック材料としても、一部の用途では現在も使用されている。ただし、現在使用されている積層セラミックコンデンサの材料は、純粋なチタン酸バリウムではない。現実の材料には、誘電率の向上、誘電率の温度依存性の改善、耐電圧特性の向上、機械的強度の向上、電極材料とのマッチング、焼結温度の低下、焼結時における還元作用の抑制等を目的として様々なドーパント(添加剤、鉱化剤、ハナ薬ともいう)やその他の化合物が添加されており、組成・製法は企業秘密である場合が多い。

  魚群探知機用としては、チタン酸バリウムの圧電素子が現在も使用されており、これは、歴史的にPZTよりもチタン酸バリウムの応用が早かった、コストの高いPZTにいまさら代替する必要がない、チタン酸バリウムは材料の周波数定数の関係でランジュバン素子が大型になり、一般に素子は大きい方がキレイな超音波ビームが発生する、PZTに比べて余分な高周波の影響(スプリアスの影響)が少ないという理由による。また、水中で使用するものなのでキュリー温度が低くても大丈夫ということもある。

29 電界誘起強制相転移現象 ( Electric-field induced phase transition )

  電界誘起強制相転移現象とは、反強誘電体や、ある種のリラクサ型化合物で観察される現象。低い電界下では電圧に比例した誘起分極だけが観察されるが、ある電界値を超えると強誘電体となり(電界誘起強制相転移)、電界の上下に対して分極のヒステリシスが現れる。しかし、再び電界を取り除くと元の常誘電体に戻るため、結果的には残留分極は観察されない。ただし、試料の温度によっては残留分極が残る場合もある。

30 圧電セラミックスの分極処理と強誘電的分域(ドメイン)構造、ドメインウオール、ドメインスイッチング

  強誘電性の結晶粒(グレインともいう)は、常誘電相からキュリー点を経て強誘電相に相転移する時に、結晶粒内のエネルギーが最も低くなるように自発分極の方向が異なる多くの分域(ドメイン,domainともいう)に分かれる。よって、セラミックの焼結体は、未分極の状態では、これらの各分域の自発分極とそれによって生じる圧電効果が相互に打ち消しあうために、巨視的にみると圧電性は発現していない状態となっている。

  未分極状態の強誘電性セラミックスに抗電界以上の直流電界を印加すると、ドメインとドメインの境の部分であるドメインウオール(Domain wall, 分域壁、ドメイン壁ともいう)は、ドメイン内部に比べて局所電界がはるかに小さいために、ドミノ倒しの様に次々と音速程度の速さで反転していき(=外見的にはドメインウオールが移動するように見える)、分域が次第に電界方向に揃うようになる。この現象をドメイン・スイッチングという。一般にこの操作を分極処理、あるいはポーリングと呼んでいる。

  ちなみに、最近の文献では、PZT系強誘電体におけるドメインウオール自身の厚みは0.5nm程度と報告されている。

  単結晶は、セラミックスに比べて比較的均一に自発分極の方向を揃えやすく、大きな単結晶ではドメイン構造が肉眼で見える場合がある。ただし、180°ドメインの様子は、+方向と-方向が光学的には等価であり、非180°ドメインに比べてとても小さい(数百ミクロン以下)であるため、偏光顕微鏡を使わないと見えない。一方、90°ドメインなどに代表される非180°ドメインについては、直接目で見ることも可能である。

  単結晶では、ドメインが存在する単結晶を「マルチドメイン」タイプの単結晶と呼び、一方、単一のドメインに加工して販売されているのは「シングルドメイン」タイプの単結晶と呼ばれている。

  単結晶は一つの結晶から構成されているので、完全にシングルドメイン化されているならば、外観はガラスやプラスチックのような透明感があるが、ドメインウオールが入っていると、結晶にヒビが入っているように、細かくびっしり入っていると、白く曇った状態に見える。通常、販売されている強誘電性単結晶は、シングルドメイン化されているので、マルチドメインの単結晶が欲しい場合は、業者と直接交渉するしかない。

<シングルドメイン結晶をマルチドメイン化した際の記録>---------------------

  後学のため2006年に、KNbO3(室温で斜方晶)と91PZN-9PT(100方向に切り出したウエハ)のシングルドメイン単結晶を700℃30分間熱処理してマルチドメイン化を試みた。その結果、KNbO3はマルチドメイン化によって、数十ヶ所にヒビが入り、鏡面研磨済み表面にドメインの形成に由来するウロコ状のパターンが浮き出て、これは肉眼でも容易に観察出来る。一方、PZN-PTの場合は、外観上の変化は観察されず、偏光顕微鏡を用いて数百倍で観察することによって、微細な180°ドメイン組織がようやく観察された。

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  セラミックスのドメイン構造については、例えばPZTならば、塩酸とフッ酸の混合液でエッチングを行ない、SEM観察を行なうと観察が可能である。

セラミックスの分域の形状、大きさは結晶構造、結晶欠陥、内部歪などによって異なるが、数ミクロン程度の厚みを持つ層状のものが多い。

 正方晶の結晶では、180°90°分域壁、

 斜方晶系では60°, 90°, 120°, 180°分域壁、

 三方晶(菱面体晶)では71°, 109°, 180°分域壁が観察される。

  通常、正方晶ならば一個の180°ドメインと一個の90°ドメインがペアになって多数存在しており、PZTの場合、文献によると結晶粒径が1-2ミクロン程度ならば180°ドメインのみで構成され、10ミクロン程度の結晶粒では、180°ドメインに加えて約1ミクロン幅の90°ドメインの形成が観察される。よって、90°ドメインの生成は、結晶粒径が2ミクロン以上から始まるとも言える。

  正方晶に限定すると、180°90°では、180°ドメインの方が、結晶格子内のイオンが動きやすい事から、低い電界で分極が揃いやすい。一方、90°ドメインは分極が揃うために機械的な変形、回転を伴うために分極されにくい。

  正方晶系組成の圧電セラミックスにおいて、分極処理で揃えきれなかった90°ドメインについては、アクチュエータなどの高電界駆動時に、90°ドメインウオールの移動(=ドメイン壁の可逆的な移動)を起こし、この現象がセラミックアクチュエータにおける歪のヒステリシス(=大振幅駆動時の非線形現象の一因)や発熱の原因となっている。

  また、斜方晶系組成の圧電セラミックス(例えばニオブ酸系セラミックス)は、分極処理によって60°120°ドメインを電極(電界)方向に揃える事が困難であるため、見かけ上は、ドメインウオールの移動に由来して大きな電界誘起歪が大きく観察されるが、同時にヒステリシスも大きい(ドメインの物理的な変形によるため)ことから、高速駆動用のアクチュエータとしては不向きである。ちなみに、単結晶ならば60°ドメインや120°ドメインを消すことが出来るようである。

  同様に、菱面体晶系組成の圧電セラミックスも斜方晶系と同様に、71°109°ドメインが分極処理で電極方向に揃えられないために、こちらも見かけ上大きな電界誘起歪が観察されるものの、ヒステリシスが大きくなるという問題がある。ちなみに、単結晶ならば71°ドメインや109°ドメインを消す事が出来るようである。

よって、セラミックアクチュエータに適した結晶系としては、正方晶が一番適しているといえる。

  ちなみに、分極していない強誘電体の誘電特性(温度-比誘電率、誘電損失)を測定した場合に、観察される室温付近での誘電損失は主に電界の変化にともなうドメインウオールの移動に由来する損失とされており、分極処理した強誘電体で誘電損失が小さくなるのは、分極処理によって強誘電体におけるドメインウオールの体積や割合が小さくなるために、この影響が小さくなるためと考えられる。

  PZTに関する最近の報告によると、比誘電率は平均粒径の現象とともに低下するが、ドメイン構造がなくなると比誘電率が大幅に減少する事が明らかになっており、圧電定数についても同様な傾向になるようである。   

31 電気機械結合係数 (k) ( Electromechanical coupling factor )

  電気機械結合係数とは、圧電特性評価の一つの目安であり、圧電体の電極間に加えた電気エネルギーを機械的エネルギーに変換する効率を表す定数であり、材料の圧電的な活性の尺度を示している。

 一般的な定義としては、

K2=(機械的な形で蓄えられたエネルギー)/(加えられた電気的エネルギー)

 =(電気的な形で蓄えられたエネルギー)/(加えられた機械的エネルギー)

圧電体の振動モードによってkp,k33,k31,kt,kr,k15などで表現される。

kp (= krと同じ):円板の拡がり振動モード( pplanar, rradial )

k33 : 棒の縦振動モードの結合係数

k33': 角柱の縦振動モード ( ' はプライム(prime)" two primeと呼ぶ)参考> A' = A prime = A dash

k31:板の幅振動(矩形版の長さ振動)、及び 円筒の呼吸振動モード

kt:板の厚み縦振動モード( tthickness )

k15:厚み滑り振動モード( 横効果と縦効果がある )

  kの算出においては、それぞれのkに応じて適した試料の形状があるので注意する。一般には、試料が作製しやすい(円板)ことから、kp( = kr)を測定している場合が多い。kは、一般に(%)で表示されることが多いが、そのまま0.60( = 60% )などと表現される場合もある。

  これらは、圧力センサなどの分野で重要とされている。ただし、あくまでも変換効率の目安なので、この数値が大きいほど、変位やd33が大きいとは必ずしも限らない。半経験的にいうと、d33は、kよりも材料の種類や組成、温度にかなり影響されるようだ。 

32 圧電定数と圧電基本式

  圧電定数とは、圧電的信号と機械的歪との関係を表す定数。圧電基本式としては、d形式、g形式、e形式、h形式がある。

  圧電体に、応力T(N/m2)を加えると、分極P(単位C/m2)が生じ、この時、P = d X Tの関係があり、これを圧電効果という。ここでdは圧電d定数(Piezoelectric constant, 単位 m/V, C/N)と呼ばれる。

  また、圧電体の電極間に電界E(単位V/m)を加えると物質にS(単位なし)が生じ、これはS = d X Eの関係があり、逆圧電効果と呼ばれている。

  弾性体においては、応力と歪の関係はS = s X Tであり、ここでsは弾性コンプライアンス( Elastic compliance, 単位m2/N )である。

  一方、誘電体では電界による電気変位(=分極)D(C/m2)と電界強度E( 単位 V/m )にはD =ε X Eという関係がある。ここでε(イプシロン)は絶対誘電率(単位 F/m)である。

  よって、以上の4つの式から、S = s X T + d X E, D = d X T + ε X Eという式が導かれ、これらはd形式の圧電基本式と呼ばれている。

  ただし、これらの式から計算される値は、理論的な値であり、単結晶では比較的一致すると考えられるが、セラミックスの場合は粒界及び結晶粒径等の影響で必ずしも一致するとは限らない事に注意。

33 圧電d定数( 圧電歪定数 )( Piezoelectric d constant )

  圧電体に電界(V/m)を印加した場合に、どれだけ変位するかを表す係数。dは変位(Displacement)dを意味していると思われる。

  電界方向と変位方向の関係によってd33d31d32d15〔単位 m/V, C/N〕で表現される。通常、分極処理をした軸を3で表し、他の軸を12として表現し、分極処理をしたセラミックスで独立なd定数はd31、d33、d15で表される。

d33 33方向の電界当たりの機械的変位割合

d3232方向の電界当たりの機械的変位割合(等方的な材料ならば通常はd32=d31

d3131方向の電界当たりの機械的変位割合

d1515方向の電界当たりの機械的変位割合

d3h (通常は略してdh):ハイドロホン(Hydrophone)用の電界当たりの機械的変位割合

dh = d33 + d32 + d31 = d33 + 2 x d31(但し、d31 = d32と見なした場合)

 特に、d31定数については、圧電体が縮む方向の変位なので、通常はマイナス記号をつけて、値をプラス数値で表現している事が多い。

      例)- d31 = 200 pm/V

  呼び方としては、d33は、ディーさんじゅうさんではなく、日本語ではディーさんさん、英語では、ディースリースリーという。通常、圧電d定数の単位としては、〔10-12 m/V = pm/V 〕で表現されることが多い。

一般に、セラミックアクチュエータ用材料ではこの定数が大きい(=変位が大きい)方が良いとされる。

  ちなみに、PZTd33400 pC/NPNN-PZT系で900 pC/Nぐらい、PZN-PT単結晶では2200 pC/Nの値を示す。( 参考 1pC = 1*10-12 C ) ただし、電界が400V/mm以上になるとドメインの回転による歪が加算されるので、現実にはもっと大きな歪が観察されることに注意。

10-12 m/V〕単位で表現すると、ソフト系PZTでは450、ハード系PZTでは300BaTiO3では190PNN-PZTでは1200(参考〔10-12 m/V=pm/V)ぐらいの値を示す。

  また、おおざっぱにいうと、d331000の材料は、d31は約半分(500程度)、d155割増(1500ぐらい)になると考えていい。

  具体的な測定方法としては、k33用の棒状振動子を作製し、共振-反共振法によって共振周波数、反共振周波数を測定し、圧電方程式から計算で算出する方法が電子材料工業会の規格には紹介されている。この方法で算出されたd33定数は静的なd33とか”staticd33”と呼ばれる場合もある。

また、精度は劣るがd33メータを使用して簡易に求める方法もあり、これは最近は”dinamic d33”と表現される場合がある。

 共振-反共振法及びd33メータ法では、試料に印加される電界は1V程度である。

  一方、比較的高電界で駆動する場合が多いアクチュエータ用材料では、実際には低電界で算出したd33値よりも大きな電界誘起歪が測定される事から、実際の駆動条件下で発生する歪量と形を測定して、”500V/mmの電界下において駆動周波数100kHzで実際に発生する変位は%、ヒステリシスは何%”と表現されている場合がある。この場合、d33メータや計算で求めたd33のおよそ35割増しぐらいの値になることが多い。

< 参考 > 実歪の計測結果からのdの計算例---------------------------------------- 

  試料がマクロ的に等方的であり、弾性的な歪みをする(ゴムのように戻る)との条件において、長さをL3、電界E V/m )を印加した時のL3方向の歪量をΔL33とすると、

(ΔL33/L3) = d33 X E = d33 X (V/L3)の関係がある。

よって、例えば圧電体が直線的な歪を示す部分の歪において1000mmの試料が電界200V/mm0.12mm歪んだとしたら、

(0.12X10-6 (m))/(1X10-3 (m)) = d33X(0.2X103(V))/(1X10-3 (m))

→d33=0.6X10-9 (m/V)= 600X10-12 (m/V) = 600 (pm/V)と計算される。ここで1V/m=1N/C)の関係があるので、1m/V=1C/N)、ということは1pm/V=1pC/N)となり、600pm/V=600pC/N)と表現できる。

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  圧電セラミックスを高電界で使用する場合には、圧電体の変位を直接測定する事によって求めたd33値(正確には圧電体本来のd33値ではないので、単に電界いくらの時のd(例えばd0-500v/mm)と表現した方が正解かもしれない)は非180°ドメインの影響が含まれているので現実によく一致する。また、圧電体を低電界で駆動するのならば、d33メータで求めたd33値の方が現実にはよく一致する。ただし、d33は、駆動周波数によっても大きく変化するので注意が必要。

  一般的には、高周波になるほど、非180°ドメインの動きが周波数の変化に追従出来なくなるのでd33値は減少する方向になる。ちなみに、経験によるとd33値は、分極処理した圧電体の誘電率ε330とほぼ比例関係にある。これは、圧電メーカーの材料カタログのd33ε33をプロットしてみると分かる。この場合、ε33が大きい材料は、圧電効果に加えて電歪効果も加算されるので、比例曲線からは上方にシフトする傾向となる。

d33の表現例>

d33at d33メータ)> d33メータで計測したd33値(測定周波数10Hz程度、印加電圧1V程度で測定した値で、本来の圧電特性に近い値)

d33*> 一般にd33スターと呼ばれ、実際に圧電体に高電圧を印加して発生した歪から算出した値。研究者によって500V/mm時の値とか、歪-印加電圧の直線部分の傾きから決定していることが多い。

34 圧電g定数( 圧電出力定数,電圧出力定数 )

    ( Piezoelectric g constant )

  拘束されていない(=締めつけていない、あらかじめ応力がかかっていない)状態の圧電体に応力(力、圧力)を加えた場合、どれだけの電界(電圧)が発生するかを表す定数。応力と分極の方向の関係に応じてg33やg31〔通常使用される単位 〔10-3 V-m/N〕〕と表現される。

  圧電トランス、ライター用圧電素子、圧電センサ、コンポジット圧電センサ素子ではこの定数が大きいほうが同じ力、振動で発生電圧が高くなるので好ましいとされる。ちなみに、PNN-PZTではg33=13.210-3V-m/N〕、PZTでは2010-3V-m/V〕ぐらいの値をとる。ただし、ランジュバン振動子などでボルトで締め付けた状態においては、すでに応力がかかった状態であるので、このg定数は一般に小さくなる事に注意。

 一般には、g=d/ε33Tで定義される。

  ここでdは圧電歪定数、ε33Tは自由誘電率[ 単位 F/m ]。例えば静的な(=低い電界)g33定数は、d3333Tで計算される。よって、d33は大きく、かつ比誘電率は小さい材料が適しているという事になる。

35 圧電 e 定数( 圧電応力定数 )( Piezoelectric e constant )

36 圧電 h 定数( 圧電応力定数 )( Piezoelectric h constant )

37 機械的品質係数( Qm ) ( Mechanical quality factor )

  機械的品質係数(Qm)とは、圧電振動子において固有振動を起こした際の共振特性の鋭さ(共振の強さ)の度合いを表す定数の事をいう。QmQは、共振の品質を表しており、Qualityの意味、mは機械的(mechanical)という事を表す。

  Q値は、電気・電子分野だけでなく、機械振動においても共振系の質を表すものとして使用されており、一般には「共振系が蓄積している振動エネルギーと単位時間当りに外界と出入りするエネルギーとの比」と表現する事が出来る。

  Qmが大きい材料では、共振周波数に一致する振動を外界から受けた時だけ振幅が成長し、振動が成長するにも減衰するにも時間がかかる。逆に、Qmが小さい材料では、共振周波数とは少々違う周波数の振動にも反応し、振動が成長するのも減速するのも速いという特徴がある。

  超音波振動子、及び圧電フィルタ、レゾネータでは、この係数が大きいほうが好ましいとされ、一般にはQm値が300以上のものを低損失材料(またはHigh Q材)、300未満のものをLow Q材と呼ばれている。ただし、ボルト締めランジュバン振動子用の圧電素子では、金属製共振部のQm値が比較的高いために、圧電素子のQmがさほど高くなくても使えるという事があるらしく、むしろ実際に駆動する変位量であるd33値が大きい方が好ましいという事もある。

  Qmは振動子の振動モードによっても大きく変化し、材料に表示してあるQm値は、(何も補足の表記がなければ)kp又はkrで示される円板の径方向の伸縮の際のQmであることが多い。また、円板の厚み方向(kt)Qmを示す場合は、Qm(kt)=1000などと表示される。

  具体的には、PNN-PZTではQm=70, PZT-5(ソフト系)は75PZT-4(ハード系)で500ぐらいの値をとり、実際の測定法としては、圧電試料の共振-反共振法による測定から算出される。ただし、振動子の自発的な機械的共振によって計算されるので、振動子の保持の仕方、振動子を保持する場所によって観察されるQmは大きく変化することに注意。電子材料工業会の規定、測定結果によると、振動子の中心で保持する場合が、もっとも大きなQmが観察され、中心からずれるにしたがってQmは著しく減少することが知られている。よって、振動子は、必ず中心部分で保持することが大事である。

38 誘電体損失( tanδE )と電気的Q ( Qe )

   (Dielectric loss and electronic quality factor)

  誘電体材料を使用したコンデンサでは、交流電圧(V)の周波数が高くなると電流(I)の位相が90°よりδだけ遅れるようになる。このため、電力損失が発生する。

Pδ = V x I x cosθ = V x I x sinδ

一般に、コンデンサの場合のδは微小であるので、sinδtanδとほぼ同じとみなし、このtanδを誘電損失(誘電正接)と呼んでいる。

  誘電体に交流電界(E)を印加すると、実際には電気エネルギーの一部が熱として失われる。この損失の尺度を表すものとして、一般に誘電体損失(tanδE)が用いられる。誘電体損失は、誘電損失係数や誘電損失の正接と表現されている時もある。ここで、E)は交流電界に対する電気分極の位相の遅れを示しており、δは損失角(損失角度)を意味している。現実には、tanδは、誘電体の良否を表す目安として使用され、一般にはこの値が小さいと、コンデンサの発熱が抑えられると考えていい。普通、tanδ=0.023とか、2.3%という形で表現されている事が多い。

  一方、電気的Q( Qe )は、コンデンサの良否を表す量として用いられ、誘電体損失( tanδ )の逆数で表される。QqualityQを意味しており、特に温度補償用のコンデンサなどで、tanδが特に小さい場合には、Qとして表示する方が便利なので用いられているようである。電気的Q値が高いということは、誘電体に高周波の交流をかけた時にコンデンサの発熱は小さいということになる。逆にtanδが大きいということは損失が大きいためにコンデンサの発熱が大きくなるという傾向がある。

39 力学損失係数( tanδm )

 ここについては、以下の文章をご参考下さい。

  PDF; 圧電セラミックスの機械的品質係数Qmの解説NEW

40 比誘電率 εs (イプシロン)(Kで表現する場合もある)

   ( Relative dielectric constant )

 誘電率ε[単位 F/m]とは、電界Eと電束密度Dとの線形関係を表す物質定数である。

  ある物質の誘電率を真空中の誘電率ε0 [ = 8.854x10-12 [ F/m ] ]で割った値を比誘電率εs [比なので単位はなし]という。また、誘電定数と記述してある場合もある。

  現実には、誘電体(=絶縁体)に電極を形成してキャパシタ(日本ではコンデンサともいう)を作製した時に、電極間を真空にした場合に貯まる電荷量〔単位 F, ファラッド〕に比較して、何倍の電荷Qが貯まる(蓄積される)かという目安で使用される事が多い。例えば、比誘電率が3000とすると、同じ大きさのコンデンサに真空中の3000倍の電荷Qが貯まるということを意味している。この比誘電率が大きい材料を用いると、小型で大容量のコンデンサを作ることが出来る。

  ”真空状態に対する比率ということから比誘電率と呼ばれるが、実際の会話では比誘電率の事を単に誘電率と呼ぶ場合も多い。通常は1KHzでの値を示している事が多いが、応用目的に応じて”1MHzの時の誘電率はいくらと表現されている場合もある。

  誘電体の誘電率は、温度や結晶の相変化、粒径、単結晶ならば結晶方位、結晶構造、結晶相、同じ結晶相でも歪み型の度合(例えば、正方晶ならばc/a比、c/aが大きいほど室温では誘電率が低くなる傾向にある)によって変化するとともに、温度によって誘電体が伸縮して電極間距離が変化する事によっても変化する。ちなみに、結晶学的には、誘電率の大きさは結晶の電気的な柔らかさを意味している。

<誘電率の簡単な計算式>-----------------------------------------------

εs = ( Cs (pF) x d (mm) ) / (8.854x10-3 x A (mm2))

εs: 試料の比誘電率     Cs :静電容量、キャパシタンス( pF )

d:試料の厚み( mm )      8.854x10-3: 真空の誘電率

A: 試料の電極面積(試料が円板ならA=π (mm2))   r: 円板上試料の半径(mm)

-----------------------------------------------------------------------

  圧電体においては、試料の条件に応じて様々な形式で比誘電率が表示される。

ε0 = 真空中の誘電率 [ = 8.854x10-12 [ F/m ] ]

εT = 一定応力下での比誘電率( Tmechanical stress ) 注)TSは大文字で表記する事

εS = 一定変位下での比誘電率 ( Smechanical strain

εs/ε0 = 分極処理していない状態(焼結直後又は分極を除去した状態)の試料の比誘電率

ε33T/ε0 = 一定応力下での分極方向と印加電界が同一である場合(33(さんさん)方向ともいう)の試料の比誘電率

  一般に、誘電率として表示されているのは、誘電率の実部であり、実部は通常 " ε' "と表記されている。一方、誘電率の虚部は" ε" "と表記されている。

  特に圧電体における比誘電率(例えばε33など)というのは、電界当たりの誘電的変位量を表している。これまでの経験によると、材料のd33値というのは、分極処理した圧電体の誘電率ε330とほぼ比例関係にある。この関係は、正確には単結晶の特性で比較した場合には明らかであるが、セラミックスにおいてもほぼ当てはまり、具体的には「圧電材料メーカーのカタログのd33ε33をプロットしてみる」と分かる。圧電材料メーカーの製品は、ほぼ完全に分極出来る様に組成が改良されているので、この関係が分かる。

  この場合、特にd33が大きいセラミック材料は、本来の圧電効果に加えて、電歪効果も加算されている(現状では、メーカーによって圧電定数の決定方法が異なっており、会社によっては、歪の実測によって決定したり、d33メータを用いたりして決定している)ので、比例曲線からは上方にシフトする傾向となる。しかし、ハード材などに代表される圧電材料(d定数が低い材料)では、まあまあの比例関係になる。

40-1 見かけの比誘電率

  比誘電率としては、物質が示す本来の比誘電率の他に見かけの比誘電率と呼ばれる比誘電率がある。これは、BLコンデンサ(粒界絶縁型半導体コンデンサ)の素材の評価などに使用されているものである。BLコンデンサは、結晶粒界を一部半導体化させることによって、より多くの電荷を蓄えることを可能としている。一口にコンデンサといっても色々な種類があり、誘電損失が大きくても、静電容量が欲しい(=比誘電率が大きい)場合があり、このような時に見かけの比誘電率が大きい材料が望まれる。

  比誘電率は、単位体積当たりの電荷量から計算されるので、この計算でいくとBLコンデンサは、数万〜数十万という比誘電率が計算される。しかし、この巨大な比誘電率は、材料を部分的に半導体化させていることによって実現しており、「物質本来の比誘電率」とは異なるので区別するために見かけの比誘電率と呼ばれている。

  例えば、初心者がチタン酸バリウムを焼結する際、焼結雰囲気の影響、及び有機バインダの不完全燃焼によって半導体化(白色の材料ならば、半導体化の程度によって水色〜青〜黒色になる)させる場合があり、この時、比誘電率がとても大きく観察されることがあるが、これも見かけの比誘電率が計算されているだけなので注意されたし。

  ”見かけの誘電率の見分け方としては、本来、白かクリーム色であるはずのセラミックスの表面に水色や青や黒といった色(有機物の酸化にともなって結晶格子中の酸素が抜けていて、金属酸化物が還元された結果、色がつく)がついていたり、誘電損失が、例えば室温で10%100%(別の表記としてはtand=0.11)といった大きな状態であることが多い。

  見かけの比誘電率が大きい原因としては、セラミックスが半導体することによって、継続的に微量に電荷がコンデンサ中を流れる(漏れる)ために、見かけ上、電荷が誘電体に蓄積されているように観察され、その結果として静電容量が大きく観察される事による。

  しかし、一部のリラクサーや散漫相転移、量子常誘電体のように、「見かけの誘電率」ではなく、本当に数万の誘電率を示す材料もあるので、注意されたし。見分け方としては、試料の色や誘電損失の大きさ、又は物質の情報(論文など)によって区別する。

  また、誘電体に形成する電極材料の種類によって誘電体と電極材料との間に半導体膜が形成されて、見かけの比誘電率が大きく観察されることもあるので注意されたし。例えば、スパッタの電極ターゲットとして金、銀、銅、白金を使用した際には、かなり異なる誘電率が観察されることが報告されている。また、誘電体の表面粗さの程度(微細にデコボコがあると、鏡面よりも実表面積は大きくなる=誘電率が大きく観察される)によっても、観察される誘電率は変化する。

40-2 インピーダンス、レジスタンス、リアクタンス、アドミタンス(アドミッタンス)

  インピーダンスとは、簡単にいうと交流回路における抵抗(単位はオーム)の事。直流回路における抵抗をレジスタンス(単位はオーム)と呼び、交流回路でレジスタンスに相当するもの。複素数であるインピーダンスにおいては、実部をレジスタンス、虚部をリアクタンスと呼び、インピーダンスの逆数をアドミタンスと呼ぶ。インピーダンスはインピーダンス・アナライザーという機器で測定する場合が多い。

41 静電容量 ( キャパシタンス ) ( Capacitance )

  静電容量とは、おおざっぱにいうとキャパシタ(日本ではコンデンサともいう)に貯まる電荷量、特にセラミックスの分野では「電極を形成した誘電体に貯まる電荷量」を意味しており、単位としてはF(ファラッド)で表される。静電容量はインピ−ダンスアナライザーを用いて比較的簡単に測定する事が出来る。

  圧電振動子については、測定周波数が圧電試料の共振周波数よりも十分に低い場合は、試料は交流電界に応じて自由に変形できるのでこの条件で測定された静電容量は自由静電容量(Ct又はCf)と呼ばれ、一般に静電容量と呼ばれているのはこの自由静電容量のことを意味している。これに対して共振周波数よりも十分に高い周波数で測定された静電容量については、拘束静電容量(Cs)として区別されている。しかし、実際にはこれよりも多少大きい制動容量(Cd)になる。

 静電容量の温度依存性は、TCC ( Temperature Coefficient of Capacitanceの略、単位 [ppm/℃] )で数値化して表現される場合もある。

42 周波数定数 ( Frequency constant )

  周波数定数(N)とは、振動子の共振周波数(fr)と伝播方向の長さ(l、エル)を乗じた値( N = l x fr )の事をいう。単位は[mHz]であるが、工業的には[mmkHz]が用いられる事が多い。

  この定数は、振動子などの設計の時に、必要とされる素子のおおまかな大きさを計算する時などの基本的な材料定数として使用される。具体的には、振動方向の共振周波数と振動方向の試料の長さを掛け算して求める。

  例えば、円板試料の直径が15mmで、一次振動の共振周波数が200kHzである場合、円板の径方向(planar)の広がり振動における周波数定数(Np)は、15 mm x 200 kHz = 3000 [ kHzmm (= Hzm)]と計算される。

  また、円板の厚み(thickness)方向の振動における周波数定数(Nt)は、円板試料の厚みが1mmで、厚み方向の共振周波数が2000kHzである場合、1 mm x 2000 kHz = 2000 [kHzmm ( = Hzm )]と計算される。

  周波数定数は、試料の振動モードによって表現が異なる。例えば、棒の横効果における周波数定数はN31, 棒の縦効果における周波数定数はN33,さらに円板の広がり振動における周波数定数はNpと表現されている。

43 周波数の温度依存性( frTC )

  セラミック発振子等では、振動子の温度変化によって共振周波数が大幅に変化すると困る。よって、共振周波数の変化率をfrTCという記号で表現してある。一般に家電製品などでは、-2080℃程度の範囲での変化率が重要とされている。

ここでfrは、frequencyfrを意味している。TCtemperature constantの頭文字。

  frTC =fr(max)- fr(min))/(fr(20℃)×100)

  fr(max): 20℃から80℃の温度範囲における最高の共振周波数

  fr(min): 20℃から80℃の温度範囲において最低の共振周波数

  fr(20℃): 20℃における共振周波数

44 振動子の振動名称関係

振動次数> ある振動姿勢において、数多く発生する振動において振動数の低い順に割り当てた自然数

基本振動> 振動次数が1の最低次数振動。一次振動ともいう。英語ではfundamental toneという

高次振動> 振動次数が2以上の振動。二次振動(2nd over tone)や三次振動(3rd over tone)ともいう。

スプリアス振動> 振動の干渉によって起きる「対象とする振動以外の不要な振動」の事。スプリアスは、英語ではspurious(ニセの、雑種な、擬似のという意味)。

45 ヤング率( E ) ( Young'modulus )

  ヤング率とは、”歪が応力に比例し、応力がなくなると元に戻るというフックの条件”がなりたつ前提において垂直応力とその方向の縦ひずみとの比 (歪に対する応力の比例定数)の事をいう。

固体内の原子やイオン間距離を伸ばそうとする外力に対する抵抗力を示す強度、固さの一つの目安でもある。

  単位は〔N/m2〕または〔GPa〕(参考 1Pa = 1N/m2 = 0.102 kgf/m21GPa = 1000MPa = 102 kgf/m21N = 1kgm/s2 = ほぼ100)で、この数値が大きいと結晶は固い( =変形させるのに力がいるということ)と考えて良い。

単に弾性率や弾性スティフネス定数という場合もある。

PbTiO3セラミックスで135GPa, PZT90GPa ( →9tf/m2 )ぐらいの値をとる。

Wikipediaの情報によると、”ヤング率が約10tf/mm2(=98GPa)である銅は、断面積1mm2、長さ1mのワイヤに10kgのオモリをぶら下げると、0.1%のひずみが生じる、すなわち約1mm伸びることなどを推定することに使う値である。”だそう。

46 ポアソン比( σ ) ( Poisson's ratio )

  単純にいうと分極軸方向と直角方向の歪の比をいう。性体において歪が応力に比例するというフックの法則の前提において、試料を引っ張った場合の引っ張り方向の伸びと直角方向の縮みの比のこと。

比率なので単位はなし。 圧電体のポアソン比については、共振-反共振測定において一次と二次の共振周波数から計算によって比較的簡単に計算出来る。

  一般にセラミックスでは、ポアソン比の測定はかなり困難であると言われており、BaTiO3PZTセラミックスでは0.250.35ぐらい値をとる。

47 曲げ強度、抗折力 ( Bending strength, τ )

  抗折力とは、曲げ強度の事を意味しており、一般にτ(タウ)という記号で表現されている。曲げ強度の測定としては、各種の規格に沿った寸法の板を3点曲げの方法で破壊することによって計算から算出する。抗折力はBaTiO3セラミックスでは、約60-70MPa, PZT系では約90MPa, (Bi0.5Na0.5)TiO3系では約200MPa程度である。

参考 1MPa = 1N/mm2 = 0.102kgf / mm2 =10.2 kgf / cm2

48 弾性コンプライアンス定数( s, 弾性定数 通常使用される単位〔10-12 m2/N)と弾性スティフネス定数( c, 弾性率 )

  金属、セラミックス弾性変形領域においては、結晶にかかる応力とその結果、発生する歪曲線の関係は比例関係が成立し、Hookの法則(歪量(dL/L)=応力(Pa)/ヤング率(Pa)にしたがうことが知られている。その比例定数は単なる数値ではなくマトリックスであり、この比例定数を表すマトリックスを弾性コンプライアンス定数(単に弾性定数とも呼ばれる)や弾性スティフネス定数と呼ばれる量で表現する。

  弾性コンプライアンス定数は、歪を応力の関数で表す時の量を示し、結晶の機械的な柔らかさを意味している。一方、弾性スティフネス定数(単に弾性率とも呼ばれる時もある=ヤング率)は、応力を歪の関数として表すときの量を示す。

立方晶の結晶においては、弾性スティフネス定数は弾性コンプライアンス定数の逆数の関係がある。

  英語でStiffは曲がらない、固いなど、Complianceは従うこと、柔らかいなどの意味。

 PNN-PZTセラミックスでS33=1810-12 m2/N, PZTセラミックスで1710-12 m2/N〕ぐらいの値をとる。

49 圧電・電歪セラミックスの応力印加特性

  圧電・電歪セラミックスについては、電界誘起歪の応力依存性が知られており、これらのセラミックスに圧力を加えると発生歪量が減少する。

  PZTBaTiO3Pb(Mg1/3Nb2/3)O3などのリラクサ系の材料については、3.5x107N/m2 →35MPa →350 kgf/cm2 )程度の最大発生応力(歪が発生しなくなる時の圧力)を示す。これは1cm2の圧電・電歪セラミックスは、最大で350kg程度の物体を動かすことが出来るということを意味している。しかし、応力がかかると圧電、電歪体の歪の発生量は減少することに注意。

50 ソフト材、ハード材

  ソフト材とは、一般にキュリー温度が200℃未満の圧電材料を意味し、脱分極温度が低い材料のことをいう。強誘電特性的には抗電界(十分に分極処理可能な電界)が低い材料の事をいう。抗電界が低いので、低い電界下で十分に分極が出来る。この材料に関しては、常温で分極も簡単に行えるが、逆に脱分極も起こりやすく、脱分極温度も低くなるという特徴がある。代表的な材料としてはPLZTが知られている。

  ソフト材については、一般的にd定数が大きく、歪のヒステリシスも大きいという特徴があり、Qmが低いためにlow-Q材になりやすい傾向がある。

  一方、ハード材とは、一般にキュリー温度が300℃以上の圧電材料の事をいう。強誘電特性的には抗電界が高い材料の事をいう。抗電界が高いので、高温で高い電界をかけなければならない。

  この材料は、100℃前後で分極を行わないと十分に分極されず、脱分極温度も高いという特徴がある。よって、簡単には脱分極が起こらない。この材料は、一般にd定数が小さい分だけヒステリシスも小さいという特徴があり、Qmが大きい事からHigh-Q材になる傾向がある。

  ハード系PZTでは、添加物を添加することによって意図的に結晶格子中に酸素欠陥を生成し、酸素欠陥によって、圧電セラミックスの誘電損失の主原因であるドメイン壁の移動を拘束(制限)することによって高Qm化させている。また、ハード材が室温域で分極されにくいのは、ドメイン壁が酸素欠陥の存在によって移動を制限されるため、十分に分極のために移動できないのが原因とされている。逆にいうと、ドメイン壁が低電界下でスムースに移動可能な材料はソフト材と呼ばれる。

  もちろん、ハード材でも工夫によってlow-Q材化したのもある。例えば、PZTNbに代表される5価の添加物を添加すると、ハード材になってQmも増加し、脱分極温度も無添加のPZT(脱分極温度はキュリー温度の約1/2程度)に比べて上昇する傾向がある。また、PZTLaに代表される3価の化合物を添加すると純粋なPZTに比べて脱分極温度は著しく低下する傾向がある。

参考文献> 「先端材料シリーズ 強誘電性と高温超伝導」、日本材料科学会編、裳華房

51 PZTセラミックスの圧電特性に関する添加物効果

  セラミックスにイオンを添加して性質を変えることを一般に変性(modify)といい、これに対して無添加のセラミックスを真性(plain)と呼ばれる。PZTセラミックスの圧電特性は、微量(〜数モル%とか、0.013 wt% 程度の範囲)な添加物によって大きく変化することが知られており、「少量ならある特性が向上し、添加しすぎると逆にある特性が低下する」という場合もある。なお、これらの添加物は、原料に酸化物で添加する場合や、反応性を高めるために炭酸塩の形、及び水溶液の形で添加される場合がある。ただし、炭酸塩の場合には、結晶水がついている場合が多く、原料の秤量が困難な場合があるので気をつけた方がいい。

< PZTの特性向上に関する研究の歴史 >

PbTiO3-PbZrO3 ( PZT, 基本 )

 PbTiO3-PbZrO3-PbSnO3 PZTS, 低温焼結のため? )

 PZT+( Ca又はSr )PZTS+( Ca又はSr )( CaSrを添加する事によって酸化鉛の蒸発を防ぎ、工業的な生産が可能になった。)

PZTS+( Ca又はSr )+Nb,Ta⇒ High Comliance、ハード系、 PZT-5系材料

PZTS+( Ca又はSr )+Cr,U⇒ Filter等に適当な温度係数が小さくエージング特性の良い材料、PZT-6系材料

PZTS+( Ca又はSr )+Fe,Ni,Co⇒ Hi Qm

 PZT+鉛系複合ペロブスカイトなどの第三成分 ( PZTに関する従来の特許に抵触しない、焼結温度の低温化、組成選択性の向上)

  これらの添加については、本来ならば、厳密に置換されるイオンと置換するイオンの量に応じて、出発原料の秤量を変化させなければならない。しかし、教科書によると添加量がすごく少ないすべての添加物が完全に置換されるとは限らない等の理由から、単純に添加するでけでもいいらしい。また、製造工程(粉砕の度合い、混合の度合い)が異なると必要な量も異なってくる。

以下、目的別に記述すると

< 比誘電率の高いPZTセラミックスを合成したい >

→PZT中のPbの位置をCa,Sr,Mg,Baなどで置換すると圧電性を低下させずに比誘電率を増加させることが出来るそうだ。

アクチュエータ(大きな歪を利用)やハイドロホン(信号に対する高い感度を利用)に適したPZT(ソフトPZTと呼ばれるタイプ)セラミックスを合成したい

→PZTにドナーイオン(例えば、Ti+4Zr+4に対して+4から+6価のイオンで置換する。

Nb+5, Ta+5, W+6など。Pb2+に対して+3価のイオン、例えばLa3+)を添加するといいそうだ。

ドナー(donor)とは、英語で寄贈者という意味であり、特に半導体関係では電子供与体という意味で使用される。

  例えばドナーイオンとしてNb5+を添加し、Ti4+の一部を置換すると、PZT構造中においてPb位置で空孔が形成し、この空孔を介して分極壁(ドメインウオール)が移動しやすくなる(=抗電界が小さくなる)ために分極が容易になり圧電定数が増加する。しかし、空孔の存在がセラミック内の弾性波の減衰を大きくするために機械的Qmや電気的Qが小さくなるという問題もある。ちなみに、Clevite(現在はおそらくMorgan Electro Ceramics)社のPZT-5Hはソフト系。

抗電界が小さいPZTは一般にソフトPZTと呼ばれるLa2O3, Nd2O3, Nb2O5, Sb2O3, Bi2O3, ThO2, WO3などを添加するとよい。

< ソナー( SONAR, SOund Navigation And Ranging,水中探査機 )や経時劣化に強いPZTセラミックス(ハードPZTと呼ばれるタイプ)を合成したい >

→PZTにアクセプターイオン(例えばPb2+に対して価数の小さいK+や、Ti4+,Zr4+に対してFe3+)を添加するとよいそうだ。

  アクセプターを添加すると、酸素の空孔が形成されて、ドメインウオールがピン止めされることによってドメインウオールの移動が制限され、その結果として抗電界が上昇する。(=脱分極しにくい)

一般に、歪-電界のヒステリシス曲線において抗電界が1kV/mm以上のPZTはハード材と呼ばれる。

Cr2O3,Fe2O3,CoO,MnO2などでもよい。ちなみに、Clevite(現在は、おそらくMorgan Electro Ceramics )社のPZT-6-8はハード系。

< 超音波振動子用のPZTセラミックスを合成したい >

超音波振動子などの用途では、機械的品質係数Qmが大きいことが好ましい。 また共振周波数でのインピーダンス(交流駆動時での電気的抵抗)が高いと発熱や消費電力に関係するので小さいこと(組成改良されたPZTでは1オーム程度)が望ましい。

  機械的Qmは、共振周波数における機械的な振動の鋭さを示しており、機械的共振周波数を利用するタイプの超音波振動子では、変位量がQm倍になることから非常に効率の良い振動子として使用できる。経験的にMnを添加するとQmは劇的に増加することが知られている。超音波関係の会社の人によると、MnでPZTをハード化しているのは、主に日本であり、Mnの色の影響で日本製の超音波用圧電素子は黒い。一方、外国では鉄(Fe)でPZTをハード化しているので超音波用圧電素子は茶色であり、Mn系は駆動中に、誘電損失の関係で発熱しやすいのに対して、Fe系は発熱量が少ないという。

 

  ちなみに、PZTでソフト系とかハード系とか呼ぶ習慣は日本ぐらいであり,外国でこの分類は通じないといわれていたが、最近は通じるようだ

ハード系> 超音波振動子などの主に共振現象を利用して駆動する(共振駆動)場合に用いられる材料で、キュリー温度が高く、抗電界が大きく、Qmが大きく、誘電損失が小さい材料がいいとされている。

超音波モータなどには、このハード系が使用されている。

ソフト系> 抗電界が低く、主に大きな変位を得ようとする場合に用いられ、バイモルフや積層セラミックアクチュエータなどに用いる事が多い。

代表的な物質としてはPLZTPNN-PZTPMN-PZTなどであり、これらのアクチュエータは、一定の電圧をかけるという静的な駆動で用いられる事が多い。

ソフト系は、誘電損失が比較的大きく、Qmも小さいために、共振駆動すると、発熱が大きくなり、圧電特性が低下するとされている。

<焼結温度を下げたい>

  PZTの焼結温度を下げるには、粉末の粒子径をサブミクロンにする、凝集のない一次粒子にする、特性が落ちない範囲で融点の低い化合物(PbO, PbO-SiO2ガラス、CdOPbGe2O4?PbO-B2O3ガラスなど)0.02-3wt%程度添加する、PbOを少量過剰に添加する、PMNなどの複合ペロブスカイト型化合物を少量固溶させるといった手段がある。

  参考までに、PbO-V2O5系は 融点が約470℃PbO-B2O3系は約500℃Pb5Ge3O11は 約738℃PbSiO4は約750℃PbO-Bi2O3系は約750℃程度である。

  ただ、低融点ガラスを添加すると低温で焼結するが、圧電特性も低下するという問題があり、特性を落とさずに低温焼結可能な添加物の研究が行われている。

参考文献> 「先端材料シリーズ 強誘電性と高温超伝導」、日本材料科学会編、裳華房

52 PNN-PZTセラミックスの圧電特性に関する添加物効果その他

PNN-PZTセラミックスに

  CdO2モル%程度添加すると焼結温度が下がる、比誘電率が増加する。Cd2+は少量ならばAサイトを、多量ならばBサイトも置換するらしい。CdTiO3,Cd(Ni,Nb)O3,Pb(Cd1/3Nb2/3)O3,Ba(Cd1/3Nb2/3)O3という化合物が存在し、いずれもペロブスカイト構造。

Bi3+Aサイト、Zn2+Bサイトを置換、

  MnO2では、0.5wt%程度の添加でMn3+イオンは、Bサイトを置換し、酸素空孔を形成する。Mnを添加すると焼結体粒径を増加させ、比誘電率も著しく減少、圧電特性も減少、ただし、G定数は増加、機械的定数Qは劇的に増加。

  PbOの添加は、少量ならば(3wt%ぐらい)PbOの融点が850℃ぐらいなので液相を生成し、焼結体の焼結温度を下げるとともに焼結時のPbOの揮発分を補償する。

 S iO2の添加は、0.5wt%程度の添加で焼結体の密度を増加させるのに非常に有効。焼結体の結晶粒の成長を抑制する効果あり。ただし、比誘電率、圧電特性は下がる。機械的Qmは変化無し。

  Al2O3の添加は、0.1wt%までの添加では焼結体の密度は若干増加する。それ以上では原料中のPbOと反応して密度は下がり、圧電特性も悪くなる

焼結前の粒子径の影響については、粒径が0.5ミクロン以下になると1100℃程度で焼結が可能になる。

  PNN-PZTAg-Pd電極の間に出来る化合物はPdPbO2であり、この反応相の厚さは100200nm0.10.2ミクロン)という報告がある。

53 ランジュバン振動子 ( Langevin-type transducer )

  ランジュバン振動子とは、第一次大戦期に、Langevinによって潜水艦探知用超音波発射用として開発された振動子の事をいう。開発当初は圧電素子を金属板でサンドイッチ上に挟んだ構造をしており、この構造によって共振周波数を大幅に下げる事が可能になった。開発当初は圧電素子として水晶が使用されていたが、圧電特性、生産性等の観点から現在では、チタバリやPZT系などの圧電セラミックスが使用されている。

  魚群探知機用としては、チタン酸バリウム系の圧電素子が現在も使用されており、これは歴史的にPZTよりもチタン酸バリウムの応用が早かった、わざわざコストの高いPZTに代替する必要がない、チタン酸バリウムは材料の周波数定数の関係でランジュバン素子が大型になり、一般に素子は大きい方がキレイな超音波ビームが発生する、PZTに比べて余分な高周波の影響(スプリアスの影響)が少ないという理由による。また、水中で使用するものなのでキュリー温度が低くても大丈夫ということもある。

  現在では、圧電素子をボルトで締め上げた「ボルト締めランジュバン素子(BLTともいう)」が主に使用されており、魚群探知機や超音波洗浄機(メガネ洗浄機はこれの一種)、超音波ホモジナイザー、超音波カッター、一部の超音波モータなどに応用されている。実際には、用途によってボルトを締め上げる力、金属部分の材質及び寸法などが精密に設計されて作製されている。

54 脱分極温度 ( Deporarization temperature )

55 ピンチング ( Pinching )

  ピンチングとは、チタン酸バリウムなどに代表される「広い温度域において数多くの相転移を行う化合物」において、例えばBaSnO3などの化合物を固溶させることによって、各相転移温度を都合のいい温度付近(例えば、室温付近)に集める操作の事をいう。

  具体的には、BaSnO3 BaTiO3に固溶させることによって、正方晶から立方晶への相転移( 135℃ )を室温付近まで降下させるとともに、斜方晶から正方晶への相転移(約5℃)も室温付近まで上昇させる事によって、純粋なBaTiO3に比べて比誘電率の温度変化が少なく、かつ大きな比誘電率を得るという事が可能になる。

  英語ではおそらくpinchingの事で、pinchとははさんでしめつけるという意味を持つ。

56  d33メータ、d31メータ ( d33-meter, d31-meter )

  d33メータ(でぃーさんさんめーた)とは、圧電体のd33値を簡易的に測定する機械の事をいう。原理としては、Berlincourt法(ベルリンコート, 人名, D.Berlincourt)といって、圧電性の正効果(振動電荷)を利用しており、圧電体に100Hz程度の振動を圧電体の下部から加えて、圧電体表面に誘起される電荷から計算によってd33を表示する仕組みになっている。この装置は、圧電素子の形状寸法を問わず、一試料を一分程度ですぐに測定する事が可能な点で便利である。

ただし、電子材料工業会で推奨されたd33の計算方法から算出したセラミックスのd33とは異なる事に注意されたい。

  これに対して、圧電体に電界を印加して実際に発生する歪を測定してd定数を求める場合は、圧電性の逆効果(電界歪)を利用してd定数を測定していると言える。この場合、高電界(およそ400V/mm以上)で測定した場合には180°ドメインの影響が現れ、見かけ上は大きなd33値が算出される事になるので注意する。よって、低電界で測定した値の方がセラミックス本来のd33定数に近いといえる。ただし、最近はアクチュエータといったハイパワー分野への応用例が出てきたため、実際に駆動した際にどの程度の歪がどのような形で発生しているのかという事を知りたいという要求がある。

  さらに、d33メータと測定部は同じで試料を保持する部品を工夫して簡易的にd31値を測定出来るようにした器具としてd31メータというのも販売されている。

57  ベガード則 ( Vegard's rule )

  例えば、BaTiO3SrTiO3の固溶体のように、混晶系と呼ばれる固溶体において「各組成の固溶量に比例して結晶の格子定数やキュリー温度に代表される相転移温度などがほぼ比例して観察される現象」を「ベガード則に従っている」と表現する。このベガード則に従わない例も多数あるが、PNN-PZTPMN-PZTなどでは、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3PbTiO3PbZrO3の割合(固溶量)に応じてキュリー温度をおよそ推測する事が出来る。

  例えば50PNN-35PT-15PZ組成の場合、(-150℃0.5+490℃x0.35) + (230℃x0.15) = 131℃と計算され、実際にキュリー温度を測定すると、ほぼこれと同じキュリー温度が観察される。

58 圧電セラミックス関係の規格

  現在、日本では圧電セラミックス関係の規格としては、日本電子材料工業会の標準規格「圧電セラミック振動子の電気的試験方法」EMAS-6100及び標準規格「圧電セラミック振動子の試験方法 -機械的性能及び耐侯性」EMAS-6008というのがある。

  以下に主要な世界の規格の名前を記す。規格書の入手については、直接、機関にコンタクトして頂きたい。

  ちなみに、米国国防総省(U.S.Department of Defense, DoD)の規格(おそらくDoD Standard 1376A)(例えばアメリカの会社の製品では材料によくNavy type IIとか、DOD type IIと記してある)と一般にPZT-5とかPZT-8と呼ばれる材料との関係は以下のようになっている。

  DOD 指定 Type-I → PZT-4 ( Hard-type )

       Type-III → PZT-8 ( Hard-type )

       Type-II → PZT-5A ( Soft-type )

       Type-IV → PZT-5H ( Soft-type )

< 圧電セラミックス関係の規格 >

日本>

機関名  EMAS,  The Electronic Materials Manufacturers Association of Japan

○EMAS-6100 Electronic test methods for the characterisation of piezoelectric ceramic oscillators

○EMAS-6008 Test method for mechanical performance and Chemical Resistance.

米国>

機関名  The IEEE-UFFC, the Ultrasonics, Ferroelectrics and Frequency Control Society of the Institute of Electrical and Electronics Engineers.

○176-1987 IEEE Standard on Piezoelectricity

機関名  US Military Standards

○MIL-STD 1376B (SH) Piezoelectric Ceramic Material and Measurements - Guidelines for Sonar Transducers

機関名 ASTM,  the American Society for Testing and Materials

○ASTM D 150-98 ‘Standard test methods for AC loss characteristics and permittivity (Dielectric Constant) of solid electrical insulation’.

○ASTM D149-97a 'Standard Test Method for Dielectric Breakdown Voltage and Dielectric Strength of Solid Electrical Insulating Materials at Commercial Power Frequencies'

機関名  EIA,  The Electronic Industries Alliance

○EIA 521 Application Guide for Multilayer Ceramic Capacitors- Electrical

欧米>

機関名 CENELEC, the European Committee for Electrotechnical Standardization

○EN 50324-1:2002 Piezoelectric properties of ceramic materials and components - Part 1: Definitions and Classifications

○EN 50324-2:2002 Piezoelectric properties of ceramic materials and components - Part 2: Methods of measurement and properties - Low power

○EN 50324-3:2002 Piezoelectric properties of ceramic materials and components - Part 3: Methods of measurement - High power

○prEN 50ZZZ-1 (BTTF 63-2(CONV)12) Properties of multilayer actuators - Part 1: Terms and definitions

○prEN 50ZZZ-2 (BTTF 63-2(CONV)12) Properties of multilayer actuators - Part 2: Methods of measurement

○prEN 50PPP (BTTF 63-2(CONV)12) Properties of piezoelectric thick films

機関名 IEC, the International Electrotechnical Commission

○IEC 60483 (1976-01) Guide to dynamic measurements of piezoelectric ceramics with high electromechanical coupling

○IEC 60302 (1969-01) Standard definitions and methods of measurement for piezoelectric vibrators operating over the frequency range up to 30 MHz

○IEC 60642 (1979-01) Piezoelectric ceramic resonators and resonator units for frequency control and selection - Chapter I: Standard values and conditions - Chapter II: Measuring and test conditions

○IEC 60642-2 (1994-02) Piezoelectric ceramic resonator units - Part 2: Guide to the use of piezoelectric ceramic resonator units

○IEC 60642-3 (1992-03) Piezoelectric ceramic resonators - Part 3: Standard outlines

○IEC 61253-1 (1993-12) Piezoelectric ceramic resonators - A specification in the IEC quality assessment system for electronic components (IECQ) - Part 1: Generic specification - Qualification approval

○IEC 61253-2 (1993-12) Piezoelectric ceramic resonators - A Specification in the IEC quality assessment system for electronic components (IECQ) - Part 2: Sectional specification - Qualification approval

○IEC 61253-2-1 (1993-12) Piezoelectric ceramic resonators - A specification in the IEC quality assessment system for electronic components (IECQ) - Part 2: Sectional specification - Qualification approval - Section 1: Blank detail specification - Assessment level E

○IEC 61261-1 (1994-03) Piezoelectric ceramic filters for use in electronic equipment - A specification in the IEC quality assessment system for electronic components (IECQ) - Part 1: Generic specification - Qualification approval

○IEC 61261-2 (1994-03) Piezoelectric ceramic filters for use in electronic equipment - A specification in the IEC quality assessment system for electronic components (IECQ) - Part 2: Sectional specification - Qualification approval

○IEC 61261-2-1 (1994-03) Piezoelectric ceramic filters for use in electronic equipment - A specification in the IEC quality assessment system for electronic components (IECQ) - Part 2: Sectional specification - Qualification approval - Section 1: Blank detail specification - Assessment level E

○IEC 61994-4-2 TS Ed. 1.0 B 1CD Piezoelectric and dielectric devices for frequency control and selection - Glossary - Part 4-2: Piezoelectric materials - Piezoelectric ceramics

○IEC 61088 (1991-09) Characteristics and measurements of ultrasonic piezoceramic transducers

○IEC 60747-14-1 (2000-10) Semiconductor devices - Part 14-1: Semiconductor sensors - General and classification

59 ペロブスカイト構造、ペロフスカイト、様々なイオン半径

  ペロブスカイトとは、もともとはロシアの鉱物学者 Aleksevich von Perovskiにちなんで命名されたCaTiO3の鉱物名(和名 灰チタン石)であり、一般にABX3の結晶構造で表現される。 最近では、ペロブスカイトと呼ぶことが多いが、伝統的に物理学関係の雑誌、論文ではペロフスカイトと呼ぶ、表現される事が多い。

  代表的な化合物としては、BaTiO3などの酸化物であるが、KFeF3CsAuCl3などの化合物もペロブスカイト化合物の仲間である。また、これらの単純ペロブスカイト(ABX3)の他に、欠陥ペロブスカイト、複合ペロブスカイトなどが存在し、無数に化合物、固溶体が存在する。

  ここで、Aサイトの陽イオン(カチオンともいう、英語の発音はカタイオン)とXサイトの陰イオン(アニオンともいう)が同程度の大きさを有し、このAサイトとXサイトから構成される立方晶系単位格子の中にAサイトよりも小さなサイズの陽イオンがBサイトに位置する。

  BaTiO3を例にすると、AサイトのBa2+イオンは12個のOイオンに囲まれているので12配位、BサイトのTi4+イオンは、6個のOイオンに囲まれているので6配位をしており、このBサイトイオンがTiO6八面体(オクタヘドラともいう)の中心に位置するのが理想であるが、通常は大きな局所電界を受けて八面体の中心位置から変位している。

  Shannonのイオン半径でいうと、Aサイトの12配位のBa2+イオンの半径は0.161nmO2-0.140nmであり、AサイトとXサイトのイオンサイズはほぼ近いことが分かる。ちなみにTi4+6配位のイオン半径は0.0605nmである 

  一般に、ペロブスカイト構造が生成するかは、以下に示されるトレランスファクター(Tolerance factor, 許容係数、寛容性因子、騒乱因子とも呼ばれる)の値が理想的にはt=1であるが、0.750.8?)<t<1.1の範囲で成立することが経験的に知られている。

(Aサイトイオン半径 + Xサイトのイオン半径)= √2* t * ( Bサイトイオン半径 + Xサイトイオン半径 )

  (√21.414

  ここで、t=0.91.1⇒ 立方型ペロブスカイト構造、t=0.90.75⇒斜方晶、単斜晶、正方晶、t0.75以下では、歪過ぎてイルメナイト構造という別の結晶構造をとるとされる。ちなみに、ここで使用されるイオン半径はShannonのものが広く使用されている。ただし、これらの結晶形(結晶構造)は、温度、圧力、薄膜ならば基板の格子定数によって変化するので一つの目安でしかない。

 

< 様々なイオン半径 >--------------------------------------------------------

  イオン半径に関しては、現在までに大別して三種類が提案されており、それぞれ以下のような特徴がある。教科書では簡単に表現するためにパチンコ玉のような剛球で表現されるが、現実には「イオンの大きさは原子核をとりまく電子雲の大きさのこと」であり、この電子雲の大きさは、様々な条件によって変化するので、厳密はイオン半径というものはないというのが真相である。しかし、イオンがどのイオンよりも大きい、小さいという範囲で表現するにおいては正しく、最近の研究者はシャノンのイオン半径を使用するのが常識になっているようである。

○ Goldschmidtのイオン半径...単純な構造を持つ酸化物とふっ化物を用いてX線回折を用いて測定を行い、実測値から求めたイオンのサイズ

○ Paulingのイオン半径...イオン半径を有効核電荷の増大と関係づけ、その値を量子力学的に計算したもの。

○ Shannonのイオン半径...多数の同型化合物の実測した単位格子体積とイオン半径の3乗に比例する関係と、イオン半径が配位数に依存することを考慮して配位数別に区別して表現したサイズ

出典:「工学のための無機化学」、サイエンス社

 

< シャノンのイオン半径表 ( nm ) >    出典:「工学のための無機化学」、サイエンス社

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イオン種    配位数                           /          イオン種         配位数

        4配位  6配位  12配位  /                       4配位   6配位    12配位

-------------------------------------------------------------------------------------

Li+             0.059      0.074       -         Fe3+ (L)          -            0.049        0.055

Na+           0.099      0.102       -          Fe3+ (H)          -               -           0.064   

K+               -        0.138      0.160         Co3+(L)           -               -            0.052

Rb+             -       0.149       0.173         Co3+ (H)          -              -             0.061

Cs+            -       0.170        0.188         Bi3+                -              -             0.102

Ag+           -        0.115         -           Ce3+              -              -              0.101

Tl+           -        0.150      0.176          Gd3+              -              -              0.094

Be2+      0.027      -            -             Pu3+               -               -            0.100

Mg2+     0.058    0.072         -             Si4+              0.026         0.040           -

Ca2+       -       0.100    0.135             Ti4+                -             0.060          -

Sr2+       -        0.113    0.140             Zr4+              -              0.072          -

Ba2+     0.136    0.142    0.160                        Hf4+              -              0.071          -

Zn2+     0.060    0.075      -                           Ge4+           0.040           0.054          -

Cd2+    0.080    0.095     0.107                       Sn4+              -             0.069          -

Hg2+   0.096    0.102    0.114                         Pb4+             -             0.077           -

Mn2+ (L)  -     0.067      -                            V4+               -            0.059             -

Mn2+ (H)  -     0.083     -                            Mn4+             -            0.054             -

Fe2+ (L)   -     0.061    -                             Nb4+             -            0.069             -

Fe2+ (H)   0.063   0.078   -                          Mo4+            -            0.065             -

Co2+ (L)   -     0.065    -                            Ce4+            -            0.080            -

Co2+ (H)   -     0.074     -                          Th4+           -            0.100             -

Ni2+        -      0.069     -                           U4+           -            0.073            -

Cu2+     -       0.073     -                           Pu4+          -               -              -

Pb2+      -      0.118  0.149                         P5+          0.017         -               -

B3+    0.012      -        -                            V5+         0.035        0.054           -

Al3+   0.039    0.053     -                            Nb5+        0.032        0.064            -

Sc3+    -         0.074    -                           Ta5+         -             0.064            -

Y3+      -         0.090    -                           As5+        -            0.033         0.050

La3+    -      0.106     0.132                        Sb5+        -           0.061           -

Ga3+   0.047  0.062     -                             S6+       0.012         -               -

In3+     -        0.079    -                             Cr6+      0.030         -               -

Cr3+    -      0.088     -                              Mo6+     0.042       0.060             -

Tl3+    -     0.061       -                              W6+       0.042      0.060             -

Mn3+ (L)    -   0.58     -                             Re6+        -        0.052              -

Mn3+ (H)   -    0.065    -                            U6+       0.048    0.075               -

(L)は低スピン状態、(H)は高スピン状態を示している。

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イオン種             配位数

                2配位   3配位   4配位    6配位     8配位

F-             0.128    0.129    0.131   0.133        -

Cl-              -        -            -      (0.181)         -   

Br-             -        -           -       (0.196)         -

I-               -        -           -       (0.220)         -

O2-         0.135    0.136     0.138     0.140     0.142

S2-           -       -           -         (0.190)       -

Se2-         -       -           -         (0.202)        -

Te2-         -      -          -           (0.222)        -

注)( )内はゴールドシュミットのイオン半径

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  大部分のペロブスカイト化合物は、室温では理想的な立方晶構造からわずかに歪んだ構造をしており、この適度な歪、いわゆる構造の非対称性が、ペロブスカイト型化合物が様々な機能を表す原因となっている。

60 ペロブスカイト構造の種類、単純ペロブスカイト、複合ペロブスカイト、リラクサー

  ペロブスカイトには様々な種類、これらの固溶体が存在する。

< 単純ペロブスカイト構造, Simple perovskite

 ABX3という一般式で表される最もポピュラーな構造であり、様々なバリエーションがある。ここで、AイオンとBイオンの原子価は足して平均で3価になるような組み合わせでペロブスカイト構造が成立し、具体的にはA2+B4+O3A1+B5+O3A3+B3+O3などの組み合わせがある。   

A2+B4+O3 型>   ( A2+B4+O3 -type )

基本形:BaTiO3が最も有名であり、この場合、単位格子にはAサイトはBa2+イオン、BサイトはTi4+イオン、O2-3つあるから、電荷は合計6-で数が合う。

応用形:(Sr1-x, Bax)TiO3の場合、AサイトはSr2+, Ba2+Bサイトは、Ti4+イオン。この場合、AサイトのSr2+Ba2+で置換したという。

応用形:PZTの場合、PbZrO3PbTiO3の固溶体であるから、Pb(Zr1-x,Tix)O3 (ただしx=01)と表現することが可能でここでAサイトはPb2+BサイトはZr4+Ti4+イオン。この場合、Bサイトを置換したとも表現できる。

応用形:PBZTの場合、PZTにおけるPb2+イオンをBa2+イオンで置換する場合には、(Pb1-y, Bay)(Zr1-x, Tix)O3 (ただしx=01y=01)と表現される。ここでAサイトはPb2+Ba2+BサイトはZr4+Ti4+である。

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A2+TiO3型ペロブスカイトでA2+イオンが代わった場合のトレランスファクター変化>

+2価で12配位のAサイトイオン 12配位シャノンイオン半径 計算トレランスファクター

Cd2+ CdTiO3  (室温で斜方晶) イルメナイト構造 0.107nm (Tc=-193?℃)  0.8712

Hg2+ HgTiO3?                    0.114nm (Tc=?)     0.8959

Ca2+ CaTiO3  (室温で斜方晶、GdFeO3型化合物)  0.135nm (Tc=なし?)  0.9700    

Sr2+ SrTiO3  (室温で立方晶)         0.140nm (Tc=-163℃)  0.9877

Pb2+ PbTiO3 (室温で正方晶 c/a=1.06)      0.149nmTc=490℃)  1.0194 

Ba2+ BaTiO3 (室温で正方晶 c/a=1.01)      0.161nmTc=130℃) 1.0617 

                 (X+0.140 ) = 1.414 * t * ( 0.0605+0.140 )

O2- のイオン半径(シャノン)⇒ 2配位 0.135nm3配位0.136nm4配位0.138nm6配位0.140nm8配位0.142nm

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<代表的なペロブスカイト化合物の結晶構造>

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組成  結晶系(室温)格子定数a(nm) b(nm) c(nm)  空間群 単位胞中の分子数(z)

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BaTiO3     T     0.3994   -  0.4038  P4mm    1

PbTiO3      T     0.3899   -  0.4153  P4/mmm    1

PbZrO3     ?     0.8232  1.1776 0.5882  P2cb    8

Bi0.5Na0.5TiO3  R     0.5476(H)-   0.6778(H)?    3

Bi0.5K0.5TiO3   T     0.3918   -   0.4013   ?    1

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T(正方晶系、tetoragonal system)、R(三方晶系、rhombohedral system)、C(立方晶系、cubic system)、H(六方晶系、hexagonal system)M(単斜晶系、monoclinic system 参考文献: 「実験化学講座(無機化合物)」、丸善

 

A1+B5+O3 型>  ( A1+B5+O3 - type )

基本形: KNbO3が(LaAlO3型化合物)有名であり、この場合、AサイトはK+、BサイトはNb5+イオン。ちなみに、LiNbO3は、Li+イオンが小さすぎるのでイルメナイト構造をとる。

<イルメナイト構造>

(ilmenite, FeTiO3)型の結晶構造はコランダム型の変形として理解される。2つのカチオンの配置はランダムではなく、Fe2+Ti4+は最密充填の方向に一層ずつ交互に入っている。この構造をとる化合物にはFeTiO3,MgTiO3,CoTiO3,NiTiO3, CdTiO3などがあり、いずれのカチオンも6配位で安定であるが、イオン半径が大きくなって6配位が不安定になると配位数が12のペロブスカイト構造をとるようになる。特に、LiNbO3,LiTaO3などはイルメナイト構造であるが強誘電性を示すことで知られている。

 

参考文献 「結晶化学入門」 講談社

応用形:(K1-xNax)NbO3    AサイトをNa+で置換したパターン

応用形:K(Nb1-xTax)O3    BサイトをTa5+で置換したパターン

応用形:(K1-xNax)(Nb1-yTay)O3  ABサイトをNa+Ta5+で置換したパターン

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A+NbO3型ペロブスカイトのAイオンが代わった場合のトレランスファクターの変化>

+1価で12配位Aサイトイオン 12配位シャノンイオン半径  計算トレランスファクター

Li+4配位と6配位しかとらない) 4配位=0.059nm 6配位=0.074nm LiNbO3はイルメナイト構造

Na+4配位と6配位しかとらない) 4配位=0.099nm 6配位=0.102nm

K+  KNbO3               0.160nm  6配位=0.138nm  1.0400    

Rb+ RbNbO3?              0.173nm          1.0851

Tl+ TlNbO3?             0.176nm

Cs+ CsNbO3?             0.188nm          1.1371

Ag+ AgNbO3  (6配位しかとらない)      6配位=0.115nm      

Nb5+    6配位でのイオン半径 0.064nm   O2-  6配位でのイオン半径 0.140nm    

                   (X+0.140) = 1.414* t *(0.064+0.140)     

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A3+B3+O3 型>  <A3+B3+O3-type

基本形:まあ、よく研究されているのはBiFeO3でしょう。この場合、AサイトはBi3+イオン、BサイトはFe3+イオンです。

応用形:(Bi1-xLax)FeO3  合成可能かは不明ですが、AサイトをLa3+で置換したパターン  

応用形:Bi(Fe1-xScx)O3  合成可能かは不明ですが、BサイトをSc3+で置換したパターン

応用形:(Bi1-xLax)(Fe1-yScy)O3  合成可能かは不明ですが、AサイトをLa3+で、BサイトをSc3+で置換したパターン

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<A3+Sc3+O3型ペロブスカイトのAイオンが代わった場合のトレランスファクターの変化>

+3価で12配位Aサイトイオン 12配位シャノンイオン半径 計算トレランスファクター

Fe3+  L             0.055

Fe3+  H             0.064

Co3+  L             0.052

Co3+  H             0.061               

Gd3+               0.094                0.7732

Pu3+               0.100                 0.7931

Ce3+                0.101                0.7964

Bi3+               0.102                0.7997

La3+               0.132                

参考 Sc3+   6配位 0.074nm、 O2-  6配位でのイオン半径 0.140nm     

------------------------------------------------------------------------------

A2+B4+O3-A+B5+O3型固溶体、 A2+B4+O3-A3+B3+O3型固溶体、 A+B5+O3-A3+B3+O3型固溶体>

( A2+B4+O3-A+B5+O3-type, A2+B4+O3-A3+B3+O3-type, A+B5+O3-A3+B3+O3-type Solid Solution )

いずれ、書きます。

<複合ペロブスカイト構造, Complex perovskite

  ペロブスカイト構造については、BaTiO3のような典型的な構造の他に、構成元素の条件が合えば、場合によっては複雑なペロブスカイトが生成することが知られている。このような複雑なペロブスカイトは複合ペロブスカイト( complex perovskite structure)と呼ばれている。

  例えば、以下のように構成元素の電荷の条件が合えばペロブスカイト構造を取ることが知られている。

<複合ペロブスカイトの一般式>     具体的な化合物例

A2+(B2+1/3B5+2/3)O3           Pb(Ni1/3Nb2/3)O3, Ba(Ni1/3Nb2/3)O3

A2+(B3+1/2B5+1/2)O3           Pb(Sc1/2Nb1/2)O3

A2+(B2+1/2B6+1/2)O3

A2+(B3+2/3B6+1/3)O3

A2+(B1+1/4B5+3/4)O3

(A1+1/2B3+1/2)B4+O3    (Na1/2Bi1/2)TiO3, (K1/2Bi1/2)TiO3, (Li1/2Bi1/2)TiO3 など

A3+(B2+1/2B4+1/2)O3   Bi(Mg1/2Ti1/2)O3, Bi(Zn1/2Ti1/2)O3, Bi(Ni1/2Ti1/2)O3, (Bi,La)(Mg1/2Ti1/2)O3

< 複合-複合ペロブスカイト >

(A1+1/2A3+1/2)(B2+1/3B5+2/3)O3       (Na1/2Bi1/2)(Mg1/3Nb2/3)O3 など

ここでA及びBには、

A1+ = Li, Na, K, Ag

A2+=Pb, Ba, Sr, Ca

A3+= Bi, La, Ce, Nd

B1+= Li, Cu

B2+=Mg, Ni, Zn, Co, Sn, Fe, Cd, Cu, Cr

B3+= Mn, Sb, Al, Yb, In, Fe, Co, Sc, Y, Sn

B4+= Ti, Zr  B5+= Nb, Sb, Ta, Bi

B6+= W, Te, Re といった元素が入る。

  これらの複合ペロブスカイト型化合物については、誘電特性における温度依存性の特徴から緩和型(リラクサ(Relaxor)とも呼ばれている), 規則型, 緩和と規則型の中間型の三種類に大別される。一般に、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3といったBサイトイオンが1/32/3の組み合わせになっているものは緩和型、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3のようにBサイトイオンが1/21/2の組み合わせの化合物は、規則型の誘電特性を示す場合が多い。また、熱処理条件によって散漫型を示したり、規則型に変化したりする中間型も存在する。

< リラクサー、Relaxor > 

特に、リラクサは、緩和型の誘電特性 ”dielectric relaxation” を示すことから最近、無機系圧電材料(セラミックス、単結晶)の分野で注目されている。

  PbTiO3BaTiO3といった通常の規則型誘電体( Normal ferroelectrics )が、キュリー温度付近で相転移を起こし、鋭い比誘電率のピークを示すのに対して、

  リラクサは散漫な比誘電率カーブ、誘電率のピーク以下での大きな周波数依存性を示すのが特徴であり、誘電率曲線が規則型化合物と比較すると「リラックス(緩和)している様に見える」事からこの名がついたと聞いている。

  従来は、PMNなどのリラクサー(Relaxor)PMN-PZTPMN-PTなどのリラクサーを含む強誘電体、PZTなどの散漫型強誘電体(Diffuse Ferroelectrics)BaTiO3PbTiO3などの通常の強誘電体(Normal Ferroelectrics)の分類があいまいで、まとめて「強誘電体」と呼ばれていたが、現在では、はっきりと区別して呼ぶべきということが提唱されている。具体的には以下のような関係となる。

 Normal Ferrolectrics, Diffuse Ferroelectrics → 結晶相の相転移を伴う

 Relaxor  結晶相の相転移はない(観察されない)

 

  Normal Ferroelectrics   Diffuse Ferroelectrics   Relaxors

 相転移する(BaTiO3,PTなど)  (PZT,PMN-PZT,PMN-PTなど)  (PMNなど)      

 

  ここでは、鉛系複合ペロブスカイト型化合物について限定する。鉛系では、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3PMN)が関係した固溶体に関する研究が圧倒的に多く報告されている。例えばPMN-PbTiO3PMN-PZTに関するものである。この理由としては、PMNは、リラクサーの中では、比較的キュリー温度が高い(-10℃)、Mgは比較的安価である、研究例が多い、合成も比較的容易というのが主因であり、その他のリラクサー系セラミックスでは単独で高純度のものを合成することが難しい、化合物に関する研究論文が少ない、キュリー温度が低い等が原因である。

61 鉛系複合ペロブスカイト化合物に関する合成の困難度

  鉛系複合ペロブスカイトについては、化合物によって、ペロブスカイト相の合成のしやすさが大きく異なり、どの化合物がどの程度合成困難かというのがこれまで明らかでなかった。以下の表は、筆者が個人的に調べた結果である。

(存在がはっきりしない物質を含む)

Tmax:化合物の比誘電率が最大となる温度(1KHz)

-------------------------------------------------------------------------------

物質名(略称)              ペロブスカイト相の収率(%) 備考

                     化学量論組成を900℃5時間

                     仮焼を繰り返した後の収率

         (室温での結晶系)(Tmax) 一回目   二回目

-------------------------------------------------------------------------------

Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 (PMN)  PC      -8   47%  50%    F

Pb(Mg1/3Ta2/3)O3 (PMTa)  PC     -98   45%  53%    F

Pb(Mg1/2W1/2)O3 (PMW)   O      39   98%  98%    AF

Pb(Ni1/3Nb2/3)O3 (PNN)   PC     -150   47%  53%    F   

PbNi1/3Ta2/3)O3 (PNTa)  PC     -180   0%  0%    F  

Pb(Ni1/2W1/2)O3 (PNW)    ?      -3   0%  0% AF 合成高圧必要    

Pb(Zn1/3Nb2/3)O3 (PZN)   R      140   0%  0%    F

Pb(Zn1/3Ta2/3)O3 (PZTa)   ?          0%  0

Pb(Zn1/2W1/2)O3 (PZW)   Py    110120  50?%  50?% AF 半融状態

Pb(Sc1/2Nb1/2)O3 (PScN)   R     90    96%  98%   F 

Pb(Sc1/2Ta1/2)O3 (PScTa)  R     26    85%  88%   F

PbScW?     (PScW)   ?         化合物が存在するのか不明

Pb(Cd1/3Nb2/3)O3 (PCdN)   PC     270    90%  48%   F 明らかに分解  

Pb(Cd1/3Ta2/3)O3 (PCdT)   Py         0%  0

Pb(Cd1/2W1/2)O3 (PCdW)    M     400  100%  100%  AF 軽く焼きしまる

Pb(Mn1/3Nb2/3)O3 (PMnN)   PC         38%  35%   

Pb(Mn1/3Ta2/3)O3 (PMnTa)   R         32%  27%  分解気味

Pb(Mn1/2W1/2)O3 (PMnW)    M     200    0%        AF 溶融

Pb(Co1/3Nb2/3)O3 (PCoN)   M     -70   66%  70%   F  

Pb(Co1/3Ta2/3)O3 (PCoTa)  PC    -140   64%  62%   F

Pb(Co1/2W1/2)O3 (PCoW)   O     32   80?%  90?% AF 半融状態

Pb(Fe1/2Nb1/2)O3 (PFN)   R     112   96%  98%   F

Pb(Fe1/2Ta1/2)O3 (PFTa)   R     -30   86%  88%   F

Pb(Fe2/3W1/3)O3  (PFW)   C     -90   95%  97%   F

Pb(Cu1/3Nb2/3)O3? (PCuN)   ?         0%  0

Pb(Yb1/2Nb1/2)O3 (PYbN)   M     280   99%  99%   AF

Pb(Yb1/2Ta1/2)O3 (PYbTa)   M     280   88% → 92%    AF

Pb(Yb1/2W1/2)O3? (PYbW)   ?          まだやっていない

Pb(Ho1/2Nb1/2)O3 (PHoN)   M     240   12%  17% 

Pb(Ho1/2Ta1/2)O3 (PHoTa)  ?          38%  10%   明らかに分解

Pb(Ho1/2W1/2)O3? (PHoW)   ?          まだやっていない

Pb(In1/2Nb1/2)O3 (PInN)   M     90    12%  14% 

Pb(In1/2Ta1/2)O3 (PInTa)   Py         10%  10%

Pb(In1/2W1/2)O3? (PInW)   ?          まだやっていない

Pb(Lu1/2Nb1/2)O3 (PLuN)   M     258  まだやっていない   AF 

Pb(Lu1/2Ta1/2)O3 (PLuTa)   M         まだやっていない

Pb(Lu1/2W1/2)O3? (PLuW)   ?         まだやっていない

Pb(Er1/2Nb1/2)O3 (PErN)   O

Pb(Er1/2Ta1/2)O3 (PErT)   ? 

Pb(Sb1/2Nb1/2)O3 (PSbN)   Py?   ?  結晶系がPy?と仮定すると100→100%

Pb(Sb1/2Ta1/2)O3 (PSbT)    Py    ?  結晶系がPy?と仮定すると100→100%

------------------------------------------------------------------------------

結晶構造:R (rhombohedral、菱面体晶), T (tetragonal、正方晶), PC (pseudocubic、疑立方晶),

M (monoclinic、単斜晶), O (orthorhombic、斜方晶), Py (pyrochlore、パイロクロア化合物), C(cubic、立方晶)

備考:F(強誘電体)、AF(反強誘電体)

62 リラクサーと散漫相転移

(この章は編集中です。10月3日) リラクサー(BaZrO3-BaTiO3など)と散漫相転移(Diffusional Phase Trandition (DPT), BaTiO3-SrTiO3など)は、別の現象と理解されていること、

リラクサーのTmでは相転移はしていないこと、Tmよりも低温側でのみ周波数に応じて誘電特性が著しく変化することを記述する)

(散漫相転移は、周波数依存性が少なく、Tc付近でのみ誘電率が変化することを記述する。)

 

  これらの複合ペロブスカイト型化合物については、誘電特性における温度依存性の特徴から緩和型(リラクサ(Relaxor)とも呼ばれている), 規則型, 緩和と規則型の中間型の三種類に大別される。一般に、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3といったBサイトイオンが1/32/3の組み合わせになっているものは緩和型、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3のようにBサイトイオンが1/21/2の組み合わせの化合物は、規則型の誘電特性を示す場合が多い。また、熱処理条件によって散漫型を示したり、規則型に変化したりする中間型も存在する。

  特に、リラクサは、緩和型の誘電特性 ”dielectric relaxation” を示すことから最近、無機系圧電材料(セラミックス、単結晶)の分野で注目されている。PbTiO3BaTiO3といった通常の規則型誘電体が、キュリー温度で鋭い比誘電率のピークを示すのに対して、リラクサは散漫な比誘電率カーブを示すのが特徴であり、誘電率曲線が規則型化合物と比較すると「リラックス(緩和)している様に見える」事からこの名がついたと聞いている。

  ここでは、鉛系複合ペロブスカイト型化合物について限定する。鉛系では、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3PMN)が関係した固溶体に関する研究が圧倒的に多く報告されている。例えばPMN-PbTiO3PMN-PZTに関するものである。この理由としては、PMNは、リラクサーの中では、比較的キュリー温度が高い(-10℃)、Mgは比較的安価である、研究例が多い、合成も比較的容易というのが主因であり、その他のリラクサー系セラミックスでは単独で高純度のものを合成することが難しい、化合物に関する研究論文が少ない、キュリー温度が低い等が原因である。

63 セラミックスの欠陥(酸素欠陥、サイト格子欠陥、変色等)

  一般に、ABO3で表現されることが多いペロブスカイト型酸化物の単結晶及びセラミックスについては、合成中の雰囲気、焼結助剤及び添加剤の種類と量に応じて、酸素欠陥や格子欠陥、変色が発生することがある。

  例えば、ABO3型化合物については、酸化雰囲気(酸素がリッチな条件)では、Aサイト、酸素サイト、Bサイトの順で欠陥生成エネルギー(defect formation energy)が低くなるので、この順番で空孔が出来やすいということになる。

  一方、還元雰囲気(酸素が少ない条件)では、酸素空孔の形成エネルギーが一番低くなるので、酸素、Aサイト、Bサイトの順で空孔が出来やすくなる。

  たまにチタン酸バリウムなどの焼結において、焼結条件が不適切であると、黒くなることがある。この原因として焼結時に還元雰囲気になったか、酸化雰囲気になったかという2つの原因が考えられる。(ただし、添加物由来の着色は除く)(無添加の高密度のチタン酸バリウムセラミックスの色はクリーム色、若干密度が低いと白、密度が低すぎるとチョーク状。)

  銅電極を形成する場合は、銅の酸化を防ぐために窒素雰囲気下で熱処理するようだが、この場合、セラミック表面が変色(濃い青色化)するのは、銅ペースト中の有機成分(ビヒクル)が不完全燃焼状態となって残留炭素が残り、これがセラミック表面に拡散する場合が多いようだ。

還元雰囲気によって黒くなる場合の例> 焼結中に「さや(焼結用容器、甲鉢ともいう)」内の酸素がバインダーの分解(炭化物の酸化)に消費され、「さや」内の酸素が不足して還元雰囲気になり、チタン酸バリウム内の酸素が抜ける(取られる)ことによって、試料が黒くなる。こういう場合は「さや」を密封状態にせず、少しスキマを空けて空気が通るようにするとよい。

  また、最初から真空状態、不活性ガス(窒素、アルゴン)、水素ガス下で焼結しても同じ結果になることがあるらしい。ちなみに、SPS装置(放電プラズマ焼結)を用いてセラミックスを焼結すると還元雰囲気であるために焼結体が黒くなることが知られている。こういう場合は、大気中や酸素雰囲気下で熱処理する事によって酸素欠陥をなくす、減らすことが行われる。その結果、黒い試料は、酸素欠陥が少なくなるので白くなる、透明になる。

  酸素欠陥かどうかは、1000℃程度で数時間程度加熱して色が取れれば「酸素欠陥だった」ということが分かる。また、定量的に酸素欠陥の量を測定したい場合には熱重量計(TG)で試料を加熱して重量の増減を測ると計算されるらしい。

バインダの分解が不十分で試料が黒くなる場合> バインダ入りの粉末を、CIPCold Isostatic Press)などでガチガチに固めて成型し、焼結するとバインダが焼結中に完全に放出されず、内部で蒸し焼き状態になり、炭素のまま取り残される場合がある。この現象が起こると試料の表面は白く、内部の中心が黒くなる。一方、酸素欠陥の場合は表面から黒くなるのですぐに区別がつく。

酸化雰囲気の場合> 酸化物を酸化雰囲気で焼結しても何も起こらないような気もするが、焼結温度が高すぎるとAサイトイオンが蒸発してAサイト由来の欠陥が発生する可能性がある。Aサイト欠陥による焼結体の色の変化は酸素欠陥に比べると少ないと考えられる。ちなみに、Aサイトの欠陥の場合は、補修、修復の方法はなく、焼結温度を適切に管理するか、あらかじめAサイト構成原料を多めにしておく方法が考えられる。材料によるが、一般に焼結温度が高すぎると、欠陥問題以前の話として半溶融、結晶構造の崩壊、分解が起こる。

  経験側によると、ペロブスカイト酸化物については、還元雰囲気であれ酸化雰囲気であれ、Bサイトは安定であるので、Bサイト欠陥は非常に出来にくいそうだ。


< 圧電セラミックアクチュエータ読本 >

64 圧電セラミックスって何? 

 圧電セラミックスや電歪セラミックスは、電圧を印加すると物理的に歪む、変形するという性質があり、これらのセラミックスを用いて作製された固体変位素子を総称してセラミック ・アクチュエータと呼ぶ。

 現在までに、さまざまな種類のアクチュエータが考案されており、例えば、セラミック単体の変位を利用するものでは、モノモルフ、ユニモルフ、バイモルフ、積層型、ムーニー型、マルチムーニー型、シンバル型などがある。

 その他に、圧電素子の超音波振動を用いた超音波モ−タ(回転駆動)、超音波リニア型モータ(直線駆動)があり、光駆動のものとしては、PLZT (PZTLaを少量固溶させた化合物)の光起電力を活かした光アクチュエータ、静電型光モータ、光シャッターなどが提案されている。

 また、特殊なセラミックスとしては、”形状記憶セラミックス”というのが提案されており、これは電圧を印加することによって、”電界を印加しないでも歪んだ状態を維持可能”であるらしく、省電力やコンパクト化の観点から将来、電磁リレー の代替が提案されている。ただ、この材料については、研究している機関は限られており、市販されてはいない。

 

65 どこに使用されている?

 

  圧電セラミックスは、安価なブザー、衝撃センサー、超音波振動子やランジュバン振動子として既に幅広く使用されており、最近は 半導体産業用アクチュエータや、圧電トランスといった高電圧発生装置、LED程度の省電力デバイスのマイクロ電源としての利用が本格化しており、2013年頃から、日本でもコモンレール型ディーゼルエンジン車(これらの車は、排気ガスの浄化システムと組み合わせて、クリーンディーゼル車と呼ばれている)の燃料噴射インジェクタの部品としての利用が増えてきた。

  特に、セラミック・アクチュエータは、小型化が可能、制御回路と相性の良い電圧駆動、大きな力の発生、応答性の速さで利点がある。セラミック ・アクチュエータの動作距離は、ミクロン単位と小さいが、工夫することによって使用されている。

<ミクロンレベルの変位、振動、高速応答を利用する応用例>

○半導体製造装置用精密位置調整装置 (ポジショナー)

  最近の半導体回路の線幅は、サブミクロン・サイズ(1ミクロン以下)で作られており、この半導体回路を製作するためには、半導体のフォトマスク(型)を サブミクロン以下の精度で正確に合わせる必要がある。そこで、この精密な位置決めにセラミックアクチュエータの活躍が期待されている。

○インクジェット技術の応用

インクジェット・プリンタ

⇒ この製品の実用化によって、自宅のパソコンで安価で手軽に高品質のカラー印刷物、写真がプリント出来るようになった。

  これは超音波振動子以外で最も成功した圧電応用製品であると考えられる。現在、インクジェット技術は数多くの方式が考案され実用化されているが、エプソンの圧電 方式とキヤノンのバブルジェット方式が特に有名。ちなみに、バブルジェット式は圧電効果は利用していない。

  圧電式はスペースシャトルに載って宇宙でも活躍している。これは、バブルジェット式が気圧の変化に弱いためと聞いている。

  また、圧電式はインク打出しパワーがあるため、インク吐出パワーが要求される無機系顔料インク(=耐候性が高い)が使用出来るそうで、最近は顔料を使用したインクが発売されている。ちなみに、エプソンのプリンタでPM-XXXというのは、染料系インク、PX-XXXというのは顔料系のインクを使用しているそうだ。しかし、最近はバブルジェット式でもアルバムで保存すれば100年間は色あせしないインクが開発されている。

  圧電式のインクジェットプリンタのヘッドは、歴史的には日本ガイシが開発したと言われているが、開発の時点でエプソンがどの程度関わったのかは不明。これは日本ガイシがセラミックスの会社であり、セラミックスの微細加工技術を有していたからと思われる。ただし、最近ではエプソン社でも溶液法によってピエゾヘッドの開発製造を行っており(これは新聞などで公開された情報)、これは、印刷物の解像度を向上させるためにノズル数を増加させる必要があるからである。

バイオテクノロジー

⇒ インクジェット技術を利用して、ガラス基板上に一度に数十のDNA断片を印刷してDNAチップを安価に製造する研究が検討されている。また、マイクロ圧電ポンプを用いて、ガラスチップ上で薬品を効率良く混合する応用も考えられている。

フラットパネルディスプレイ

⇒ 有機ELディスプレーの作製においては、現在、高価な真空蒸着装置が必要であるが、これをインクジェット技術で印刷によって安価に作製しようという研究が行われている。

半導体回路の作製

⇒ インクジェット技術を利用して、プラスチック上に半導体回路を印刷によって作製しようという試みも行われている。

この方法だと、材料と製造コストが、かなり抑えられる可能性がある。

ディーゼル・エンジンの燃料噴射装置

⇒ 現在、使用されている燃料噴射弁は電磁弁方式で応答性は1msオーダーであり、これを工夫して燃焼制御を行っている。しかし、圧電素子なら0.1msオーダーの応答速度が実現するので、より厳密な燃料量の噴射制御が可能であり、結果として燃費向上とPM(粒子状廃棄物)に役立つ。 企業の紹介文によると圧電式インジェクタは、エンジンシリンダー内の一回の爆発の間に、7回?ぐらい、それぞれの爆発環境に応じた最適な量の燃料を噴射しているそうだ。すでに超高圧コモンレール式ディーゼル ・エンジン燃料噴射装置として圧電素子を使用したディーゼル・エンジン搭載の商用車がヨーロッパでデビューしており、日本のメーカーからも2005年から販売される模様。興味のある方は、ボッシュやデンソーのホームページで「コモンレール」に関係したところを参照されたし。また、自動車メーカーの最近のディーゼル車 (2013年以降はクリーンディーゼル車と表現する事が多い)でコモンレール式と記述してあるなら、ピエゾ式の可能性が高い。

将来的には、ディーゼル・エンジン型ハイブリッド車が自動車の主流になるとの予測もある。

 ちなみに、日本ではディーゼル車は、PMを排出するというので嫌われ者の感がある。しかし、フランスでは、販売される新車の50%がディーゼル車である。これは、軽油がガソリンより安いこと、CO2排出量が少なく、燃費がいい事、ガソリンエンジンよりも耐久性に優れるので環境に優しいとされているからである。また、欧州車は、ディーゼル車の技術が進んでいるので乗り心地もいいらしい。

粉体の合成

⇒ 微細な粉体の合成方法の一つに、有機金属溶液の熱分解法がある。

  現在は超音波(これもほとんどが圧電セラ駆動)によって、この溶液を霧状にして電気炉で溶液を熱分解して粉末を合成しているが、この応用として、インクジェット技術により、精密に噴射量を制御した液滴を電気炉に吹き込むことによって、均一な粒径を有する粉末を合成する。また、溶融した金属を超音波によって噴射して微細で丸い粒を作る試みも行われている。

 

< 軽量、過酷な環境での応用例 >  

  航空宇宙関係では、まず衛星の振動防止への応用が期待されている。これは、宇宙では空気抵抗がほとんどないから、振動がいつまでたっても収まらない。そこで、この振動を止めるために小型で軽量なアクチュエータが必要となり、例えばNASAのライセンスの元でドイツのSmart Material社が販売している。また、戦闘機の垂直尾翼表面にセラミックアクチュエータを張り付けて翼面の乱流を制御する試みや、ヘリコプターの翼にアクチュエータを内蔵して、ヘリコプター飛行時のフラッター音(パタパタという音)を消す研究も行われている。

< アクチュエータを分散配置することによる応用例 >  

  天文学関係では大型望遠鏡への応用が期待されている。最近、国立天文台の最新鋭大型望遠鏡「すばる」に代表される巨大な望遠鏡が製作されるようになっている。しかし、望遠鏡に使われる鏡が大きいと、 鏡の姿勢に応じて重力の影響を受けて鏡が歪んでしまい、そのままでは鏡の焦点が合わないために精細な画像を得ることができない。そこで、小型のアクチュエータを鏡の裏に無数に取り付けて、歪みを 随時補正することが行われている。ちなみに 「すばる」のアクチュエータはセラミック製ではなく油圧式である。

< 振動を利用する応用例 > 

  実用化されている身近な圧電セラミックスの応用例としては、パソコン用インクジェット・プリンタのインクジェットヘッド部品、一眼レフカメラのオートフォーカス内部品(超音波モータ、レンズ部分にUSMと書いてあるやつだが、2010年ごろからUSM式は新型の小型モータに代替されて減りつつある。)、自動車のサスペンション内油圧制御部品(残念ながら現在は使用されていない)、携帯電話の呼び出し用ブザーなどがある。

  なお、携帯電話の呼出用振動子(ブルブル震える機能)は、現在はモータ駆動であるが、消費電力が大きいためにそろそろ圧電振動子を使用したものが製品化されるようだ。また、最近、圧電セラミック製スピーカ(NEC製)が携帯電話に採用されて販売され た。さらに、富士フイルムは、高分子と圧電セラミックスをコンポジット化した、紙状スピーカーを試作している。

 

< これからの分野 >

マイクロマシンの駆動部

  ⇒ マイクロマシンの足や腕に相当するもので、電圧を印加するとセラミックが直接動く(実際には駆動電圧の関係で共振駆動 の場合が多い)という固体変位素子の特徴を活かしている。具体的には、圧電振動子に長い金属部分を接合し、金属部品の共振を活かして動くものや、「圧電式のマイクロポンプと液体の入ったチューブを組み合わせて人工筋肉」を形成するなどの案が考えられている。

インテリジェント構造・システムにおける埋め込み型アクチュエータ

  ⇒ インテリジェント構造では、構造部材と機能材料の融合化、一体化が重要なので、ここに固体変位素子を使う。

例えば、飛行機の主翼表面に張り付けることによって空気抵抗を減らし燃費を上げるという案があり、これは、アメリカで実際にF18戦闘機で実験を行っている。

  また、アイデア段階だが、ジェットエンジンの内側に張り付けて、エンジンのファンブレードとの距離をアクティブに変化させることによって推進力の向上を目指すという研究もある。さらに、振動や騒音で困っているところに張りつけて、圧電効果によって振動を電気エネルギーに変換し、電気エネルギーを抵抗などでジュール熱に変換することで振動や騒音を減少させるなどがアイデアとしてある。

簡易電子機器の電源(エネルギー・ハーベスティング、エナジー・ハーベスティング)

  ⇒ 簡単な発電で良ければ、例えば、すごくタフな圧電式発電装置作って、山とかで遭難したら強力なLED光らせるとか、SOS電波発生させるアイデアは既に考えられており、一部商品化されている。ちなみに、クオーツ式の時計は、水晶(クオーツ)の圧電効果(正確には圧電発振による共振振動)を利用している。具体的には、水晶を特定の大きさに切って、これに電圧をかけると特定の周波数で振動するので、これを適当に減速して1秒ごとに秒針を進めている。

光スイッチ

  ⇒ 透光性セラミックス、単結晶(ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム)を用いて、電圧を変化させて瞬時に単結晶内の屈折率を変化させることによって、光ファイバーにおける光の進路を変更させる部品がある。また、最近は、フォトニック結晶といってPLZTセラミックスの柱を数十ミクロン間隔で並べて、特定の波長の光だけを反射させるという技術も研究されている。さらに、違う方式としては、”信号を送る時だけ”圧電素子によって光ファイバー同士を接合させるというタイプも試作され ている。

光シャッター

  ⇒ 例えば透光性のPLZTを使って、 核攻撃用爆撃機パイロット用のゴーグル(米軍の製品番号はEEU-2A/P goggle)として光シャッターが実用化された。

  これは、核兵器が爆発する際に発生する強烈な閃光からパイロットの眼を守るためである。 ミサイル技術が未熟だった冷戦中は、戦略爆撃機で、核兵器を目標地まで、高速で運送し、投下するという任務があり、自分の投下した核兵器で、爆撃機パイロットが失明する危険性があった。また、相手側も、上空で小型核兵器を爆発させて、パイロットを失明させるという手段に及ぶ危険性があった。身近な所では 溶接の際のゴーグルも過去にあったような気がするが、コストの点で実用化はされていない。また、PLZTはデジカメの業務用プリンタの露光用シャッタとして利用されているらしい。

圧電式糸電話 

  ⇒ おもちゃ程度の話であるが 、秋葉原などの電気街で100円で販売している圧電ブザーを2個用意して、これらを長い電線を通じて電極が逆になるように接続すると、会話(=音圧で電気信号発生)⇒電気 信号⇒電気信号から音⇒(会話)で、この「おもちゃ」では、一方通行のトランシーバー型の圧電式糸電話が出来る。また、この「おもちゃ」を2つ用意すると、電話のようなリアルタイム型の糸電話が出来る。これは自分もやってみたがなかなか遊べる。

楽器用アクチュエータ

  ⇒ 以前、どこかの記事で「本物のバイオリンをスピーカーとして使用」している人の記事を見たことがある。

  バイオリンは、弦の振動を、駒と呼ばれる部分を通じて表板に伝えて増幅することによって音が出ている。よって駒と弦の間にアクチュエータを入れて振動させれば、「本物の音が聞こえる」スピーカーとなる。

  最近は圧電セラミックスを使用したツイーター(高音用スピーカー)は、コイルや磁石などの駆動部を介して紙の振動板を動かす従来のスピーカーよりも音が発生する時間が短いので、音がリアルであり臨場感が増すという理由で好評らしい。

  高級なキーボードなどで、鍵盤の下部分にバイモルフのセンサを入れて打鍵力を検知する、電子ドラムにおいて叩く所のゴムに圧電センサーを埋め込んで叩く力を検知するという使い方も提案されている。

  さらに、センサとして圧電式のピックアップは、高感度ということで好評らしく、PZT系かどうかは分からないがサイレントタイプのピックアップとして既に組み込まれ販売されている。これについてはYahooで、「ピエゾ+ピックアップ」で検索してみるといい。

携帯電話、PDA内蔵カメラ用ズームレンズユニット、タッチパネル用触覚フィードバック機能

  ⇒ 最近は、携帯電話にカメラが内蔵して いるのがある。これからは、あれも高機能化して、ズーム機構が組み入れられるようになっていく。その時、ズーム機構中のレンズを動かすのに、圧電セラミックスの急速変形(正確にはインパクト駆動)を利用する方法が検討されている。このユニットは、ぶれ防止装置(CCDを直接動かすタイプ)として現在、販売中のデジカメに搭載されている。ちなみに、携帯電話では通常の電磁モーターでは磁界を発生させる(=電磁ノイズの元)、小型 化が難しい、組立が難しい、電力を多く使用する電流駆動という理由から、圧電式の方が好ましいとされている。

  最近はiphone, ipadなどタッチパネルのIT機器が流行しているが、これらは感覚的に”ボタン、アイコンを押した”感がなくて、人間には違和感があるよう。よって、液晶パネル裏側に圧電素子を仕込み、”タッチした瞬間に振動させて、キーボードを押したような感覚を与える”機構(キーワード>触覚フィードバック機能)が考慮され、実用化に向けて研究が進められている。

パソコン用冷却装置 ”ピエゾファン”

  ⇒ 最近、パソコンの高性能化に伴ないCPUが発生する熱が問題となっている。現在は通常のモーター式の冷却ファンが設置されているが、このファンは静かな環境では音がうるさい上に消費電力も大きい。よって、現在、圧電セラミックスを使用した「うちわタイプの冷却ファン」が研究されている。このファンは、通常のファンと比べて消費電力が150分の1、ギアもベアリングもないので熱がほとんど放出されない、静かである、回路の電子信号に干渉する電磁ノイズを発生させない、風切り音もない、小型化可能という特徴を有している。そのうちに、実用化される?

パソコン用水冷式冷却装置用圧電ポンプ

  ⇒ 最近、パソコンの空冷ファンの音がうるさいというので、水冷式(正確には液冷式)のパソコンが開発され販売され たことがあるが、その後のCPUの省電力化にともない、このタイプのパソコンは下火になった。

  水冷式では、当然、液体を循環させるためにポンプが必要となる。このポンプがうるさいと意味がないので、静かで小型化が可能な圧電バイモルフ式のポンプが開発され、既に大手電気メーカーの製品として販売されている。また、インテルなどでは、LSIに直接、液体シリコンを流し込む(どぶ漬け)にする方向の研究が行なわれているので、これ用にも使用可能かもしれない。

この応用形としては、AIBOなどの小型ロボット用の超小型油圧アクチュエータ(圧電ポンプタイプ)としても使用可能かもしれない。

安全用夜間照明

  ⇒ 最近は夜に犬の散歩をさせている人が多い。また、飼い犬の首輪にLEDが付いているものもあるらしく、夜中に、はっきりと青い光が輝いている事がある。よって、このLEDの電源として、圧電バイモルフの先に重りをつけたものが有効であると思う。また、これの発展形としては、電波の発信装置を仕込むと飼い犬やお年寄りが迷子になった時に便利かもしれない。これなら永久に電池要らずである。 最近は、夜間の散歩用にクツのつま先にLED+電池が仕込んであるのがあるが、あれも圧電式ならば半永久に使用できることだろう。

圧電トランス

  ⇒ トランス(電圧変圧器ともいう、英語ではトランスフォーマー)といえば、昔は電線を巻いたもので、巻き数によって電圧を変換するものが主流であった。

  しかし、最近の電子機器の小型化、省電力化によって、従来の巻き線型は小型化が難しいため、最近は圧電セラミックスを使用した圧電トランスというのが開発されており、主に日本製のノートパソコンの液晶用バックライトの高電圧発生装置として既に実用化されている。従来は小型の液晶部品にしか向かないと言われていたが、最近は大型液晶用も開発されているようである。圧電トランスは通常の巻き線トランスに比べ、電子機器に組み込んだ際の部品の数を減らせるほか、効率や信頼性が高いことから最近では採用が増加しており、近い将来、価格も巻き線トランス並みの価格に近づくと言われている。 ただし、最近は、LED照明が普及したので圧電トランスの出番は減少している

人工筋肉スーツの筋肉駆動用エアの送り出し用電磁弁の代替品

  ⇒ 介護を必要とする老人は、今後、増大すると見込まれており、老人を持ち上げたり、移動させるのに、介護する人は重労働となっている。そこで、人間が着る”マッスルスーツ”という機械や、老人に着せて歩行をアシストする機械の開発が行われている。ここに使用されるのは、ゴムを空気圧で膨らませて使用する人工筋肉であるが、これに空気を送るのに、現在は電磁弁というのが使用されている。電磁弁はモーターと同じで電流で駆動し、圧電アクチュエータと比べると大きく電流駆動であるためにアクチュエータ個数が多いと必要な電流量も大きくなり、駆動装置も大きく、高価になる。そこで、圧電式の空気ポンプを使用すると小型で使いやすくなる。

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たとえば、以下のようなアクチュエータも、用途が合えば(電磁バルブの大体、省電力化等)、非常に有効です。

メカノトランスフォーマ(変位拡大型圧電アクチュエータ)とか圧電バイモルフ式ポンプ

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LED式液晶テレビ、有機ELテレビ用スピーカー

  ⇒ 圧電式スピーカーはこれまで音質が悪いということで、液晶テレビには採用されることはなかったが、最近のLED式液晶テレビや有機ELなど、テレビの厚さが1cm程度になってくると、従来の磁石式スピーカーでは、最低でも厚さが2cm程度必要なために対応しにくい。こういう事情から最近は、従来の金属板に圧電セラミックスを貼るタイプではなく、圧電薄膜を6-8枚積層して樹脂で固めた圧電スピーカーが京セラで開発されている。また、樹脂に圧電セラ粒子を混ぜたタイプのスピーカーも富士フイルムで試作されている。

66 アクチュエータの種類と構造

単純型アクチュエータ

< 単板型 >

 圧電セラミックの板に電極をつけただけの最もシンプルなタイプ。超音波振動子などがこれにあたる。最近は、2層程度で構成するものもある。

< 積層型、スタック型 >

  単板型では、駆動するのに高電圧が必要なので(超音波駆動の話は除く)、一枚当りの厚みを薄くすることによって駆動電圧を下げるという発想で開発されたタイプ。

  積層セラミックコンデンサなどでは、セラミック一層の厚さが1ミクロンぐらいになっているが、圧電セラミックでは強度と特性劣化の関係で100ミクロンぐらいが限度とされる。マルチモルフと同様に、静電容量が大きくなるという問題がある。実際には数十層で構成される積層アクチュエータや、アクチュエータ駆動中の亀裂の発生を考慮して、十層程度のアクチュエータを機械的に直列に接続して構成したアクチュエータなどもある。

< ムーニー型、Moonie >

  米国ペンシルバニア州立大学のニューナム先生が考案したアクチュエータの構造。具体的には圧電セラミックスの上部、もしくは両面に、お月様(Moon)のような浅い空洞を持つ電極を兼ねた金属キャップ(日本でいう長崎の”メガネ橋”を想像してください)を張り付けることによって、圧電セラミックスのd33d31歪を同時に利用するというもの。発生力は劣るが、変位が確か3倍ぐらいにはなっていたと思う。セラミック部を積層体にしたものをマルチムーニーという。

< シンバル型、Cymbal  >

 ムーニー型における金属キャップの形状を楽器のシンバルのような形にして変位をさらに大きくしたもの。そのうちに、マルチシンバルも出てくるだろう。

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以下のようなアクチュエータも、用途が合えば(電磁バルブの大体、省電力化等)、非常に有効です。

メカノトランスフォーマ(変位拡大型圧電アクチュエータ)

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< 超音波モータ型 >

超音波モータもアクチュエータと呼んでいいのか分からないが、一応紹介する。

  基本的なタイプとしては、一枚の圧電体において、片面に複雑な電極パターンを印刷し、交互に分極方向を替えて分極処理し、そこに超音波の進行波を発生させて、上部のローターを摩擦によって動かすものが有名。

  ただし、一枚のセラミックス板に複数の分極部を形成すると、部分的に応力が集中し、割れなどが発生する事もあり、製造コストも高くなるので最近は、駆動部分を工夫することによって、全面分極した一枚の圧電セラミックスを用いて超音波モーターを形成する研究が行なわれている。

 圧電体の形としては、リング状タイプが有名だが、直線状、円筒状(棒状)などが現在までに提案されている。

ちなみに、JAXAつくば宇宙センターの売店には、棒状の超音波モーターが2500円で販売中。

 ある企業では、直径2mmの超音波モータが開発中らしく、このような小型の超音波モータはすでに腕時計の日付駆動部(パーペチュアルカレンダー)として組み込まれ、販売された事があるが現在、販売されているかは分からない。

興味がある人は特許庁の電子図書館で超音波+モータで検索したら、形状が見られる。

  超音波モータの利点としては、応答性が早い、小型化が可能で高トルク、静止トルクが大きい(→止まっている時は回転軸が回らないという意味、 普通のモータは手で回転軸を回すと回る)、位置決め分解能が高い、中空構造が可能、磁気の影響を受けない、磁気ノイズを出さない、電圧駆動なので省電力等が挙げられる。 また、超小型の超音波モータは、義手や義足の関節部分(指の関節でもいい)や、動物型ロボット(アイボなど)の関節部分などへの応用が見込まれている。ちなみに、現在、車には約50のモーター(超音波モータではない)が使用されているそうだ。

超音波モータの実用化例 >

カメラ。。オートフォーカス(AF)式レンズ駆動装置、AFボディ台、監視カメラ用台

自動車。。。ヘッドレスト、ハンドル・チルト・テレスコ、アンテナ ・ローテータ

時計。。。腕時計振動アラーム、置き時計からくり機構、腕時計日送り機構

産業機器。。。半導体製造装置位置決め機構、ステージ送り機構、パーツフィーダー、印刷機、農機具苗振り分け機構

住宅設備機器。。ロールスクリーンの昇降、ロールカーテン

医療機器。。。MRI、インジェクター、手術用顕微鏡

AV機器。。。ステレオ用オートボリューム、ビデオカメラ、航空機液晶TV格納

情報機器。。。カードリーダー、プリンター、コピー

理化学機器。。。露光装置、磁気測定装置

  カメラのオートフォーカス用モータに関しては、通常のモーターよりも高速にピント合わせが可能である事から、超音波モーター が実用化され、これはレンズにUSM (UltraSonic Motorの略)と記述してある。超音波モータの欠点としては、耐久性が低いこととされ、最近までは耐久時間が20時間程度であった。

  超音波モータはカメラレンズ駆動用モータとして既に実用化されているが、カメラの場合は一回の駆動時間が約0.2秒と短かく、止まっていいる時間の方が圧倒的に多いために耐久性の点では問題にならなかった。 しかし最近は、小型化が可能、ギア音が出ない、回転速度が安定している、電磁モータで必要とされる減速ギア機構が不必要といった超音波モータの特徴を活かしてコピー機などへの応用が検討されており、これらの応用に適した3千時間以上の耐久性を有する超音波モータも開発されている。また、カメラなどでは90年代中期から、コストダウンを兼ねて従来のリング型から棒状に超音波モータの形状も変更されており、超音波モータを搭載した製品が大量生産されている。ただ、耐久性の高い、信頼性の高い超音波モーターは、カメラメーカーなどのコア技術、コア製品として外販していないので、これが超音波モータのさらなる普及の障害になっているという話もある。 ただし、2010年代頃から技術革新で、USM型レンズの他にステッピングモーター駆動型のレンズも販売されている。

 

屈曲変位型アクチュエータ

< モノモルフ >

  シムと呼ばれる金属板(最近はFRP製もある)を使用せず、一枚の圧電セラミックの板だけで屈曲変位(曲がり)を起こさせる構造のアクチュエータ。 バイモルフやモノモルフでは、金属板との接着層や、金属電極層に応力集中し、信頼性や安定性に問題がある場合があるが、モノモルフはこれらの問題が少ない。現在、半導体効果を利用するものと、傾斜機能材料化することによって実現するものがある。

半導体版

  ⇒ 圧電セラミックスの添加剤を加えて半導体化させ、半導体の接合部効果と圧電効果のシナジー効果を利用し、セラミック板内に電圧の不均一状態を形成させて変形させる。

傾斜機能材料版

  ⇒ ドクターブレード法などの方法を用いて組成の微妙に異なる組成、具体的には誘電率の著しく異なる組成を一体化して焼結して傾斜機能材料とし、ここに電圧を印可すると誘電率の違いによって電界強度が異なるために、結果として歪む。

< ユニモルフ >

  一枚の金属板に一枚の圧電セラミックを張りつけ、セラミックスのd31方向の変位によって変形させるものを言う。金属板に水熱合成やメッキ、スパッタなどでPZTを合成しても良い。ただし、金属とセラミックスでは、熱膨張率がかなり違うので、使用中にセラミックの発熱によって温度が上昇し、金属板が膨張して特性が落ちる事が考えられる。また、接着剤の種類と塗り方、金属板の保持の仕方によって得られる変位は大きく異なる。

  また、一枚の金属板の両面に薄い圧電セラミックスの板を貼り付けて、これだけでは変位が小さいので金属板の周囲に高分子膜を貼り付けて、変位を大きくしたアクチュエータが”圧電フィルムスピーカー”と称して携帯電話用スピーカーとして採用されている。

< バイモルフ >

  二枚の圧電セラミックスを用いて構成されるアクチュエータの総称。

  二枚の間に電極兼強度を持たせるために金属板をはさんだ構造が多いが、分極方向が180度異なる二枚のセラミックスで構成されるタイプはシリーズ型、分極方向が同じ二枚のセラミックスで構成されるタイプはパラレル型と呼ぶ。接着剤、金属の種類、圧電材と金属板の厚さの関係で歪量は大きく変化する。

  バイモルフ型は、弱い力で比較的高い電圧が発生するという特徴があるので、「バイモルフ+LED」を組み合わせた製品(例えば、キーホルダー(暗いところで、キーホルダーのボタンを押すとLEDが光って鍵穴が見える)が販売されたことがある。

< マルチモルフ >

  実物は見たことがないのではっきりとは分からないが、おそらく薄っぺらい積層セラミックアクチュエータの事だと思う。こうすると、圧電セラミックに対する電界強度が大きくなるので、駆動電圧が下がるというメリットがある。しかし、 デバイスの静電容量が大きくなるので、高速駆動の際に電流が大きくなるというデメリットもある。

<  RAINBOW, Reduced and Internally Biased Oxide Wafer  >

  Clemson大学のHeartling先生 (PLZTで有名なHeartling先生?)によって開発されたモノモルフ系のアクチュエータ。はっきりとは覚えていないが、確かヤング率の異なるPZTを一体焼結した構造だったと思う。

67 素材

   セラミックアクチュエータ用素材としては、大別すると圧電材料と電歪材料に分類される。材料の形態としては、単結晶又はセラミックスがあるが、単結晶は材料のバラつきがある上に、高価であり、変位の稼げる積層アクチュエータを作製しにくいという欠点があるため、主流としては単結晶よりも特性は劣るもののセラミックスを使用してアクチュエータが作製されている。変位が小さいという欠点については、必要とされる発生力と変位量の関係を考慮して各種変位拡大機構を採用することで対応している。

  圧電セラミックスは、歪の温度依存性が少なく、センサとしても使用できるという長所と、歪のヒステリシスが大きいという短所があり、既に広く応用されている。圧電セラミックスといえば、PZT (PbZrO3-PbTiO3)が非常に有名であるが、現在、アクチュエータ用としてはPZTを主体とした材料はあまり用いられておらず、実際にはPZTPb(Mg,Nb)O3Pb(Ni,Nb)O3系に代表される鉛系複合ペロブスカイト型化合物を固溶させた三成分系材料が使用されている。例えば、お手元のアクチュエータが淡い緑色ならばNiNiOは濃い緑色)が配合されている証拠である。

  一方、電歪セラミックスについては、電界の印加にともなう歪の履歴(ヒステリシス)がほとんどない、分極処理が不要で、電界を印加するだけで歪が発生するという長所がある反面、種類が少なく、歪発生量の温度依存性が大きい、材料の比誘電率が数万と非常に大きく、高周波駆動すると大量の電流が必要になるというという短所があり、現在では特殊な用途(宇宙、軍事関係)で使用されているに過ぎない。歴史的に代表的な素材としてはPb(Mg.Nb)O3-PbTiO3 (PMN-PT)系、著者が見出した材料Pb(Ni,Nb)O3-PbTiO3(PNN-PT)系が知られており、PMN-PT系についてはアメリカのセラミックメーカーでElectrostrictorと称して材料及びアクチュエータという形で販売している。また、光を駆動エネルギーとした材料ではPLZT ( (Pb,La)(Zr,Ti)O3 )も知られている。

68 駆動方法について

 (アクチュエータの駆動は、専門外なので問い合わせはご遠慮下さい。)

○圧電素子の共振現象の利用(超音波素子など)

  圧電素子に”圧電素子の寸法から決定される共振周波数”付近の交流を印加すると低い電圧で振動するので、これを利用する。超音波振動子などはこのパターンで駆動されている。ただし、共振周波数は駆動中の発熱などによって微妙に変化するので、実際には 、わずかに駆動周波数をずらす事によって結果として安定して駆動させているらしい。

○静的駆動(位置決めアクチュエータなど)

  圧電素子に、変位センサーなどを貼りつけたり、組み込んでおき、電気回路によって常に目的の変位になるように電圧を加える。また、特殊な分野では、アクチュエータの周辺にヒータを組み込んで常に一定温度で駆動させるという方法も取られている。バイモルフなどでは、3線式や2線式で駆動されている。

  バイモルフなどでは、長時間変形させたまま放置すると、シム材の塑性変形やセラミック材の分極状態の変化によって「片方に反ったまま」になることがあるので、駆動方法に注意する必要があるらしい。また、駆動の方法によっては、アクチュエータの一部に応力がかかって割れの原因となることがある。これらは、駆動パターンの変更や、適切なシム材とセラミック材料の選択、及びシム材とセラミック材の厚みのバランスによって解決出来るようだ。

○インパクト駆動

  圧電素子は、電圧を印可した瞬間に変形するという高い反応性を有している。よって、圧電素子の片方に重りをつけておくと、「慣性の法則」によって、アクチュエータ自身が動いたり、重りなどの対象物を移動させる事が可能となる。これをインパクト駆動と呼ぶ。ただし、一般にセラミックスは衝撃に弱いので、この点に工夫が必要となる。

69 気をつけたいこと 

○セラミックアクチュエータは、主として圧電の逆効果(電気→力)を利用しているが、取り付け方に注意しないと、振動によって圧電素子に電圧が発生し(圧電効果、力→電気)、結果としてアクチュエータ特性が低下することがある。 

○圧電アクチュエータは、荷重、取りつけ方法、駆動周波数、駆動電圧、使用温度に応じて変位量が変化し、引っ張り応力、衝撃には特に弱い。 


70 圧電体、強誘電体の参考文献集 

  ここではおすすめの解説論文を紹介。

目次---------------------------------

1.強誘電体・圧電関係の解説論文

2. 無鉛、非鉛一般

3 ビスマス層状強誘電体

4 タングステンブロンズ、ニオブ酸系強誘電体

5 圧電単結晶

6 圧電歪

7 ドメイン、配向、単結晶化

8 分極

9 特性評価

10 基礎、物性

11 機械的強度、耐久性

12 作製、プロセス

13 共振子

14 リラクサー

15 反強誘電体

16 歴史

17 コンデンサ、キャパシター

18 超音波デバイス、アクチュエータ

19 圧電セラミックス全般

20 PZT ハード材

21 その他

22 セラミックアクチュエータ関係

23 セラミックその他

24 超音波関係

25 積層セラミックス関係

26 半導体セラミックス関係

27 データブック

28 強誘電体物理関係

29 高周波セラミック関係

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1. 強誘電体・圧電関係の解説論文

2. 無鉛、非鉛一般>

特集 非鉛系圧電材料の新展開 2011年12月号」 マテリアルインテグレーション、TIC社  

「特集 非鉛系圧電セラミックスの研究開発動向」 日本セラミックス協会誌、8月号 (2005)

「無鉛圧電材料の研究動向と産総研の取組み。環境に優しい(Bi1/2Na1/2)TiO3-BaTiO3-SrTiO3系無鉛圧電セラミック材料の開発」、超音波TECHNO Vol.15 No.2, pp36-41 (2003)

「環境に優しい非鉛系圧電セラミックス」 マテリアルインテグレーション,Vol.15,No.3 p.89( 2002)

「非鉛系圧電材料の研究動向=非鉛系圧電セラミックスの実用化に向けて=」、超音波テクノNo.8(2001)p.2

「圧電セラミックスの現状と将来」 未来材料 No.5,p14 (2002?)

「欧州におけるWEEE/RoHSの概要」セラミックス協会誌 No.11, p866 (2002)

「鉛を含まない強誘電体メモリー材料の進展」超音波テクノ1-2,p93( 2002)

「グリーンマテリアルテクノロジー 環境にやさしい無機プロセスと材料 」 講談社サイエンティフィック

 

3 ビスマス層状強誘電体>

「強誘電特性の巨大異方性を有する粒子配向セラミックス」、化学工業,11月号(1999)p.51

「ビスマス層状構造強誘電体の巨大分極物性」、化学工業、11月号(1999)p.30

「欠陥制御によるチタン酸ビスマス多結晶体の高分極特性」、セラミックス,No.7(2001)p505

「ビスマス層状圧電セラミックスとその応用」、超音波テクノ,No.8(2001)p.24

 

4 タングステンブロンズ、ニオブ酸系強誘電体>

「ニオブ酸カリウム単結晶の圧電特性とその応用展開」セラミックス協会誌 No.5 p352000

「タングステンブロンズ型圧電セラミックス」超音波テクノ No.8, p19 (2001)

 

5 圧電単結晶>

「ランガサイトウエハを用いた電子部品」電子材料 No.4 (2003)p53

ランガサイト 新しい多目的圧電基板結晶、マテリアルインテグレーション11月号2004

圧電単結晶材料と応用の研究動向、マテリアルインテグレーション11月号2004

Pyro-free LiTaO3 for surface acoustic waves applications,マテリアルインテグレーション11月号2004

Stoichiometric LiNbO3, LiTaO3,マテリアルインテグレーション11月号2004

Recent development trend of piezoelectric single crystals:a review, Transactions of the material research society of japan p1059, 2004

Unconventional polarization arrangements in PbTiO3 single crystals, J.Materials.Science, p2999, 1999

 

6 圧電歪>

PZTペレットの動的微小変位測定と電気特性との関係J.Ceram.Soc.Japan,p1120,1997

Piezoelectric strain in PZT ceramics as a function of electric field, frequency, and dc bias, J.Appl.Phy.p1155, 2003

 

7 ドメイン、配向、単結晶化>

エンジニアード・ドメイン構造を導入した強誘電体単結晶における巨大圧電効果 、セラミックス5月号2000

圧電セラミックスへの結晶配向技術の適用(総説)、J.Cer.Soc,Japan, 1月号2006

Kinetics of {001} PMN-PT single crystala grown by seeded polycrystal conversion, J.Am.Ceram.Soc.,p2182, 2003

Influence of excess PbO additions on {111} single-crystal growth of PMN-PT by seeded polycrystal conversion, J.Am Ceram.Soc, p2176, 2003

Temperature dependent surface images of BaTiO3 observed by AFM, JJAP,p5686,1999

強誘電体結晶の異方性を利用したエンジニアード・ドメイン構造、マテリアルイ ンテグレーション1月号2004

RTGGプロセスで設計する配向圧電セラミックス、マテリアルインテグレーション5月号2004

PZTセラミックスの特性と分域構造、豊田中央研究所R&Dレビュー3月号1994

 

8 分極>

Poling of Piezoelectric Ceramics, J.Canadian Ceramic Soc, 1981

 

9 特性評価>

圧電セラミックの圧電諸定数とその測定、エレクトロセラミクス5月号1971

Piezoelectric ceramics characterization, NASA/CR-2001-211225

Electromechanical determination of the high-field phase trandition of PMN-PT-BST relaxor ferroelectrics, J.Am.Ceram.Soc,p1970 1992

On the phase transition in lead titanate, J.Physical Soc of Japan, p265, 1951

Characterization of piezoelectric PZT from the viewpoint of transducer and power generator properties, JJAP, p7080, 2002

 

10 基礎、物性>

重層・多彩な原子の結びつき、バウンダリー、4月号、1995

圧力誘起相転移、固体物理、9月号2000

PZTにおける強誘電不整合相の結晶学的特徴、固体物理11月号2000

光散乱によるSrTiO3の最近の研究から、固体物理9月号2000

ペロブスカイト構造型強誘電体における誘電性の寸法依存性、セラミックス8月 号1992

ペロブスカイト系強誘電体 基礎理論の発展と応用、固体物理9月号2000

「機能性材料としての強誘電体-基礎物性と物質設計-」表面技術 Vol.51,No.7(2000)

「総論-ペロブスカイト系電子セラミックス」ニューセラミックス No.6 (1997)

「ペロフスカイト関連物質総論」、固体物理、<誘電体物理の新しい展開特集号>9月号(2000)

ナノ強誘電体のサイズ効果とは何か?極微小化から見る強誘電性基礎、固体物理2月号、p95, 2003

酸素欠陥六方晶BaTiO3の巨大誘電応答、固体物理3月号、2006

Fundamental size limits in ferroelectricity, p1606, Jun,Science,2004

Relationship between local structure and phase transitions of a disordered solid solution, Nature, p909, October 2002

 

11 機械的強度、耐久性>

圧電セラミックスの静疲労伝ぱ特性、高知工科大学

交互電極型積層圧電アクチュエータの耐湿性と変位特性、J.Ceram.Soc.Jpn., p978,1999

PZTペレットの動的微小変位測定と電気特性との関係、J.Ceram.Soc.Jpn.p1120,1997

Lifetime and degradation mechanism of multilayer ceramic actuator, JJAP, p5306,1998

 

12 作製、プロセス>

湿式ボールミル法を用いたPLZTセラミックスからの鉛の回収、J.Ceram.Soc.Japan, 897,2003

エアロゾル式ジェットプリンティング法による強誘電体膜の形成とその電気特性 、ニューセラミックス2月号1996

圧電セラミックへのアルミワイヤボンディング工法の確立、超音波テクノ3月号2003

チタン酸バリウムとその複合粒子の製造法とプロセス、粉体工学会誌p862, 1997

Realization of high-energy density polycrystalline piezoelectric ceramics, - 2 step sintering-, App.Phycs Letters, p032903, 2006

Lead-free Barium titanate ceramics with large piezoelectric constant fabricated by microwave sintering, JJAP, Letter p30 2006

 

13 共振子>

圧電共振子の物理学ー私はこう考えるー 超音波テクノ、7月号、2000

Upper frequency limits of piezoceramic resonators, American creamic society bulltin No.9, 2004

 

14 リラクサー>

リラクサ系圧電単結晶とその応用、マテリアルインテグレーション、3月号2000

緩和型強誘電体、J.Ceramic Soc Japan, p829, 1991

複合ペロブスカイト酸化物の巨大圧電効果、日本物理学会誌、9月号2002

驚異の圧電結晶PZN-PT(発見の経緯)、超音波テクノ9月号、1999

リラクサ系圧電単結晶振動子の研究動向、超音波テクノ9月号、1999

強誘電体リラクサーの構造と物性、固体物理、9月号,2000

複合形ペロブスカイト酸化物の結晶構造と物性、固体物理2月号1982

リラクサーの構造と物性、固体物理6月号1998

リラクサーの構造と物性、ニューセラミックス、3月号、1997

リラクサー誘電体、セラミックス5月号2005

リラクサーの謎 不均一構造がもたらす巨大な圧電・誘電応答、パリティ5月号2005

高結合係数PZN-PT系圧電単結晶の開発を振り返って、セラミックス5月号2005

The role of b-site cation disorder in diffuse phase transition behavior of perovskite ferroelectrics, J.Appl.Phys p4356, 1980

Effect of molecular mass of b-site ions on electromechanical coupling factors of lead-based perovskite piezoelectric materials, JJAP, p5593, 2000

Thermal stability of PZN and consideration of stabilization conditions of perovskite type co,pounds, Materials Research Bulletin,p1121,1995

High-Tm relaxor ferroelectrics, Appl.Phy.Lett, p251, 2003

Structural regularities and dielectric phenomena in the compound series PbB1/2Nb1/2O3, Materials Research Bulletin, p1429, 2000

Phase transitions due to polar region structure in disordered ferroelectrics, J.Material Science p6143 , 1999

Relaxor ferroelectric PMN properties and present understanding, Ferroelectrics, p193, 1996

Preparation of lead-based ferroelectric relaxors for capacitors, Ceramic bulletin,No.4,1987

Nanostructural-property relations in complex lead perovskites, JJAP,p327,1990

Modeling the dielectric response and relaxation spectra of relaxor ferroelectrics, PLZT ,J.Am.Cer.Soc.,p2698, 1999

 

15 反強誘電体>

TEM domain structure and dielectric properties of anti-ferroelectric PbYb1/2Nb1/2O3,J.Korean Phyc.Soc, s715,1998

The effects of uniaxial stress and temperature on the behavior of antiferroelectric ceramics, s1286,1998

 

16 歴史>

圧電気の一世紀 電気学会誌 No.2, 1999

水晶の一世紀、超音波テクノ1月号1999

エレクトロセラミックスとともに、マテリアルインテグレーション3月号2006

PTCサーミスタの歴史と今後の展開、マテリアルインテグレーション3月号2006

圧電セラミック材料応用の歴史、エレクトロニクセラミクス

Piezoelectric actuators development histry and the future, マテリアルイン テグレーション3月号2006

 

17 コンデンサ、キャパシター>

セラミックコンデンサの過去現在未来、マテリアルインテグレーション3月号2006

境界層磁器コンデンサ BLコンデンサ、エレクトロニクセラミクス1月号1972

チューナブル薄膜キャパシター、セラミックス8月号2004

Ni電極ペーストのペースト分散性とNi粉体特性が焼結特性に与える影響、J.Ceram.Soc.Japan, p447,2001

 

18 超音波デバイス、アクチュエータ>

円環型多自由度超音波モータ、超音波テクノ3月号2005

整合層付き超音波トランスジューサと複共振超音波トランスジューサ、超音波テクノ3月号2004

薄型高速回転超音波スピンドルモータ、超音波テクノ5月号2004

無給電SAWセンサと歪のリモートセンシング、超音波テクノ1月号2005

多自由度超音波モータの最新動向、超音波テクノ5月号2004

輪郭振動モードを用いた超小型圧電トランス、超音波テクノ5月号2003

圧電式骨伝導スピーカの開発、マテリアルインテグレーション9月号2004

コモンレール型ピエゾインジェクタ、日本機械学会誌、9月号2006

円筒型圧電振動子を用いたマイクロ超音波モータ、超音波テクノ11月号2005

実用的超音波モータの開発状況、超音波テクノ3月号2004

中国における超音波モータ開発、超音波テクノ3月号2006

広帯域・高音質圧電形スピーカーの開発技術、工業材料8月号2005

平面薄膜ぜん動駆動薬液投与マイクロポンプ、マテリアルインテグレーション、12月号2003

圧電素子を用いた細胞操作用マニュピレータ、マテリアルインテグレーション12月号2003

広帯域超音波トランスデューサー傾斜機能圧電セラミックスの応用ー、超音波テクノ7月号2003

インクジェットプリンタの高性能化技術、超音波テクノ、7月号1998

電子制御サスペンション用アクチュエータ・センサ、マテリアルインテグレーション9月号1999

A cylindrical micro-ultrasonic motor using micromachined bulk piezoelectric vibrator with glass case, JJAP,p4764,2006

Real time extraction system using double-layered piezoelectric transducer for second-harmonic ultrasonic pulse waves, JJAP,p4556, 2006

Study of a mini-ultrasonic motor with square metal bar and piezoelectric plate hybrid, JJAP,p4780, 2006

Metal-ceramic composite actuators (Moonie), J.Am.Ceram.Soc.p996 1992

Rainbow ceramics-a new type of ultra-high-displacement actuator, American ceramics society bullutin, p93 January,1994

Compositional effectc on electromechanical degradation of rainbow actuators, NASA/TM-1998-206282

Multimode underwater transducers, American ceramic society bulltin, p25 No.9, 2004

Stress-enhanced displacements in PLZT rainbow actuators, J.Am.Ceram.Soc.p1382,1997

Multilayer piezoelectric actuator with AgPd internal electrode, J.Euro.Ceram.Soc,p1011,2000

Electromechanical behavior of PZT-brass unimorphs, J.Am.Ceram.Soc.p1733, 1999

A comparative analysis of piezoelectric transducers for harvesting energy from asphalt pavement, J.Ceram.Soc.Jpn.,p317, 2012

 

19 圧電セラミックス全般>

「圧電セラミックデバイスの展望」電子情報通信学会論文誌,No.12 pp6831999

「圧電材料の新展開」 ニューセラミックス Vol.18,No.8 (1998)

Pb系およびBi系強誘電体材料の薄膜化と配向性制御」表面技術 Vol.51, No.7(2000)p683

「エレクトロニク・セラミクス -圧電特集号- 11月号 (1971) 学献社

セラミックスの電磁気的・光学的性質 誘電的性質圧電性、セラミックス11月 号2004

我が社が開発した圧電セラミック, エレクトロニク・セラミクス,1971

自動車方位センサ、角速度センサとしてのジャイロスコープ、マテリアルインテグレーション、p65, 1999

圧電セラミック材料の物性的粉末冶金的考察、エレクトロニク・セラミクス、1971

セラミック発振子の車内LANへの適用、ファインセラミックスレポート、1月号2006

強誘電体薄膜のマイクロアクチュエーターへの応用、応用物理、10月号、2002

最近の圧電セラミックス、エレクトロセラミクス11月号1970

エアバッグシステム用加速度センサ、マテリアルインテグレーション、9月号1999

自動車用セラミックス、マテリアルインテグレーション9月号1999

ノッキングセンサ、マテリアルインテグレーション9月号1999

圧電セラミックとその応用、マテリアルインテグレーション3月号2006

圧電素子を用いた衝撃・振動発電装置と無線送信への応用、超音波テクノ、3月号2005

表面実装型圧電振動ジャイロの技術、マテリアルインテグレーション9月号2004

高画質デジタルミニラボR2Super用プリントヘッド(PLZT), Konica Minolta Technology Report 2005

特集「実験研究!お手軽発電デバイス」トランジスタ技術 201011月号 CQ出版社

 

20 PZT ハード材>

「圧電セラミックとその応用」マテリアルインテグレーション2006 3月号

「最近の圧電セラミックス」エレクトロニク・セラミクス 197011月号

「微量アクセプターを添加したPZT圧電セラミックスの圧電特性と構造特性」「粉体および粉末冶金」2000年9月号

「特許にみる圧電セラミック材料5年の歩み」エレクトロニク・セラミクス 197011月号

Piezoelectric actuators development history and the future, マテリアルインテグレーション, Vol.19.No.3 (2006)

Piezoelectric properties of Pb(Mn,Sb)O3-PZT ceramics, J.Am.Ceram.Soc.81.p2473 (1998)

Effect of vibration stress and temperature on the , J.J.A.P. pp5581 (1999)

High power characteristics of piezoelectric ceramics in Pb(MnNb)-PZT ceramics, JJAP.p5531(1999)

Generation of higher harmonic voltages in piezoelectric ceramics, Key Engineering Materials, p65 (1999)

 

21 その他>

非線形誘電率顕微鏡の開発と電子材料への展開、セラミックス、10月号、2003

セラミックス原料としての酸化チタン、エレクトロニクセラミクス、11月号、1970

低損失誘電体セラミックス、セラミックス8月号2004

強誘電分極の磁場制御、ペロブスカイト型Mn酸化物における巨大電気磁気効果固体物理、3月号2004

強磁性強誘電体、固体物理11月号1978

Perovskite phase formation and ferroelectric properties of the PNN-PZT ternary system, J.Mater.Res,p2882, 2003

これからのセラミック誘電体、マテリアルインテグレーション3月号2006

鉛フリー厚膜ペースト材料、マテリアルインテグレーション11月号2002

小型チップ圧電フィルタ用積層圧電材料・プロセスの開発及び量産化、セラミッ クス9月号2003

多様化する積層セラミックス、ニューセラミックス、9月号1995

 

22 セラミックアクチュエータ関係>

「圧電/電歪アクチュエータ 基礎から応用まで」 内野研二著、㈱日本工業技術センター編、森北出版

 セラミックアクチュエータの勉強をするならこの本でしょう。

「精密制御用ニューアクチュエータ便覧」 日本工業技術振興協会、固体アクチュエータ研究部会編、フジ・テクノシステム

 様々なアクチュエータについて説明している。価格も張るが、それだけの内容はある。   

23 セラミックその他>

「セラミック誘電体工学」岡崎清著、学献社

 誘電、圧電セラミックス初心者のバイブル、QandA式で分かりやすい。

「基礎電子物性演習」 岡崎清著、学献社

 値段の割に内容が濃い。

「電子セラミックスへの招待」 岡崎清編著、森北出版

 この本も内容が濃い。

「エレクトロニク・セラミクス 圧電特集号(197111月号)」、学献社

「圧電材料とその応用」 塩嵜 忠監修、(普及版)、シーエムシー出版

「セラミックス実験技術講座-セラミックスを作ってみよう!-」 日本セラミックス協会

「セラミックスの物理」材料学シリーズ、上垣外修巳・神谷信雄著、内田老鶴圃

「セラミストのための電気物性入門」内野研二編著訳、内田老鶴圃

 電気物性が分かりやすく記述されている

「注目の誘電体セラミックス材料」TIC

「ピエゾセラミックス-ハイテク時代の影の立役者-」 藤島 啓著、裳華房

 圧電体の勉強をするなら、まずはこの本でしょう。

「驚異のチタバリ 世紀の新材料・新技術」高木 豊、田中哲郎 監修 村田製作所編、丸善、非売品

 チタン酸バリウムの開発状況を、開発者達が記述した貴重な本。

Piezoelectric Materials in Devices N.Setter, Ed.

 欧米の一流研究者による圧電関係の本。内容が濃い。

「セラミックスの評価法」セラミックス編集委員会基礎工学講座小委員会編、日本セラミックス協会

「ニューケラス6 圧電セラミックスの応用」 ニューケラス編集委員会編、学献社

「圧電材料の高性能化と先端応用技術」 サイエンス&テクノロジー㈱

「新技術シリーズ3 ニューセラミックス(New Ceramics)[材料・製法から応用まで]」 坂野久夫著、パワー社 

「季刊化学総説 ペロブスカイト関連化合物 機能の宝庫」 日本化学会編、学会出版センター

「助剤でこんなに変わるセラミックス」TIC

 セラミックスでドクターブレード、押し出し法を行いたいなら、この本は参考になる。 

「ニューセラミックス 新素材の素顔と使い方」一ノ瀬 昇著、電気書院

「通信用セラミックス」 電子通信学会編、コロナ社

「セラミックセンサ応用技術」 ニューケラスシリーズ編集委員会、学献社

「セラミック機能性膜とその応用」 ニューケラスシリーズ編集委員会、学献社

24 超音波関係>

「超音波エレクトロニクス振動論 基礎と応用」 富川義朗 編著、朝倉書店

「拡がる新応用の開拓 やさしい超音波工学 増補版」 川端 昭編著、工業調査会

「超音波とその使い方 超音波センサ・超音波モータ」 谷腰欣司著、日刊工業新聞社

25 積層セラミックス関係>

「積層セラミックコンデンサ」 ニューケラスシリーズ編集委員会編、学献社

「エレクトロニクス産業を支える実装用材料・積層技術の新展開」 TIC社 

「セラミック基板とその応用」 ニューケラスシリーズ編集委員会、学献社

「セラミックスのプロセステクノロジー」 ニューケラスシリーズ編集委員会、学献社

「セラミック微粉末技術」 ニューケラスシリーズ編集委員会、学献社

26 半導体セラミックス関係>

「半導体セラミックスとその応用」 ニューケラスシリーズ編集委員会、学献社

「チタバリ系半導体」 エレセラ出版委員会、学献社

 この本もいい。

「半導体セラミックス」 TIC社 

27 データブック>

Landolt-Bornstein, Volume III/3 Ferro- and Antiferroelectric substances

 Landolt-Bornstein, Volume III/9 Ferro- and Antiferroelectric substances

 Landolt-Bornstein, Volume III/2 Elastic, Piezoelectric and Related constants of cryatal

 Landolt-Bornstein, Volume III/16a Ferroelectrics -Oxide-

 Landolt-Bornstein, Volume III/16b Ferroelectrocs - Non Oxide-

 強誘電体の相図を見るなら、最適。現在、販売されているか分からないが一冊あると無駄な研究を防げる。

「図解 ファインセラミックスの結晶化学-無機固体化合物の構造と性質-

       F.S.ガラッソー著、加藤誠軌、植松敬三訳、アグネ技術センター

  化合物のデータが満載

28 強誘電体物理関係>

「物性科学選書 強誘電体と構造相転移」 中村輝太郎 編著 裳華房 

「ストルコフandレバニューク:強誘電体物理入門」 疋田朋幸 訳 吉岡書店

先端材料シリーズ「強誘電性と高温超伝導-ペロブスカイト型材料-」 日本材料科学会編 裳華房

「固体物理」 -誘電体物理の新しい展開- 特集号 2000年9月号、アグネ技術センター

「固体物理」 -強誘電体とその同族物質- 特集号 19888月号、アグネ技術センター

29 高周波セラミック関係>

「高周波セラミック材料とその応用-電子部品の高機能化・小型化・軽量化を可能にしたセラミックス材料-」 TIC

                                                                  以上

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