昔々、アメリカ西部の開拓時代、冬の間の飢えに苦しむ開拓民を救ったのが、インディアンからの贈り物、野生の乾燥ブルーベリーでした。今でもアメリカ人にとっては特別な思いが込められているそうです。


 日本ブルーベリー協会によると「10年に及ぶ『ガン予防食品』の開発研究に傾注してきたアメリカ農務省は、ついに1998年、43種類の果物と野菜の中から『抗酸化活性が最も高い』として、ブルーベリーをNO,1に選びました。この報告はアメリカはもちろん、わが国も含めて、世界中に衝撃を与え、改めてブルーベリーの持つ健康機能性の評価を高め「ブルーベリーは21世紀の果実」としてその地位を不動のものとした」発表しています。
コケモモ/シャシャンボの一種でツツジ科です。

 「元気生活」編集室発行の健康スケッチ・ブルーベリーという冊子に日本ブルーベリー協会の伊藤三郎会長のお話が掲載されていました。とても分かりやすいので一部ご紹介させていただきます。

 ブルーベリーの特徴としてはまず種類が多いことが挙げられます。150種以上が知られています。植物としてはツツジ科のスノキ科に分類されます。原産はアメリカ。寒いところから暖かいところまで、その気候に合った様々な種類が自生しています。日本でも地方の山野に行きますと、コケモモとかクロマメノキとかシャシャンボと言われている樹があるでしょう。あれらもブルーベリーの仲間なんですよ。

 たくさん種類がある中で、産業上重要とされているものが3種あります。1つはローブッシュブルーベリー。これは野生種でワイルドブルーベリーとも呼ばれます。ローブッシュというのは背が低い樹という意味ですが、その名のとおりだいたい15センチから40センチしかありません。果実も小粒ですが、低い木の上部にたくさんの実をつけます。北アメリカ、カナダ、北欧で多く栽培されており、ジャム原料として冷凍果実が日本に大量に入ってきています。

 2つめはハイブッシュブルーベリー。ハイブッシュと呼ばれるだけに、樹の背が少し高くなって2メートル位になります。これは寒冷地用の品種で、日本での栽培地は北海道、東北、北陸、長野、関東の神奈川県辺りまでとなります。日本で栽培されているブルーベリーの80%がこのハイブッシュブルーベリーです。ハイブッシュは品種が非常に多い。味も色も少しずつ違います。

 3つ目はラビットアイブルーベリーです。これは暖地用の品種になります。日本では千葉県から南、中国、四国、九州地方が栽培適地となります。なぜラビットアイかというと、成熟する前にウサギの目のように果実が赤くなるんですね。樹勢は最強です。


ブルーベリーの持っている機能性について

 眼に良い働きがあるというのは既に有名ですね。最初にマスコミに出たのが平成7年の12月。テレビ番組でブルーベリーの機能性等が紹介されたとき、ジャムにも効き目がありますよ、と私が一言言ったら、翌日にはスーパーからジャムがなくなっちゃった(笑)。その繰り返しが何回かあり、ブルーベリーが眼に良いという認識が定着したようです。

 ブルーベリーが疲れ眼などによる視力の衰えを回復するということが初めて報告されたのは、第二次世界大戦中のイギリスでのことです。空軍のあるパイロットがブルーベリージャムの愛好者で、毎朝パンの厚みと同じくらいたっぷりと分厚く塗って食べていたそうです。そうしたら夜間攻撃の時に薄暗い中でも良く見えた。これを上官に証言したのが始まりです。その後、報告を聞いたイタリアとフランスの学者が研究を進め、ブルーベリーのアントシアニン色素が眼の疲れにいいということが証明されました。今ではヨーロッパではブルーベリーの抽出物が医薬品になっています。

 ブルーベリーが良く効くのは果皮等に含まれている色素・アントシアニンの作用です。アントシアニンというのはあのブルーベリーの濃い青紫色の元でポリフェノールの一種です。お茶などの渋みの元、カテキン類等と似ています。いちごの赤もアントシアニンの色なんですけど、いちごにはブルーベリーのような作用は殆どないんです。アントシアニンにもたくさんの種類があって、ブルーベリーといちごでは含まれている種類が違うんですね。いちごの場合はペラルゴニジンといって右側の側鎖にOH基が一つしかついていないものなんです。これはほとんど人間に生理作用を及ぼさない。ブルーベリーにはOH基が2つ付いていて、かなりの生理作用があるシアニジン系、3つ付いていて最も作用が強いデルフィニジン系が多いのです。シアニジン系とデルフェニジン系のアントシアニンは、アラビノーズ、グルコース、ガラクトース等の糖のついた配糖体という安定した形で存在しています。そのアントシアニン配糖体は少なくとも15種類が確認されています。

 ブルーベリーの持っている活性は、このようなアントシアニンがポイントになっていると考えられます。ブルーベリーの色素は人間に対してよく活性を示すものが非常に良いバランスでたくさん入っています。アントシアニンそのものの含有量が極めて高いのです。いちごと比べても10倍もあるのです。特にローブッシュブルーベリーの一種のブルーベリーと呼ばれるものは、皮だけではなく果実にも色素がありますから、普通のものの3倍のアントシアニンがあります。

 このようにブルーベリーにたっぷり含まれている色素のアントシアニンが人間の眼の網膜にあるロドプシンという光センサーに作用することが分かっています。ロドプシンは眼に入ってきた光を信号に替えて脳に送る働きをしています。我々がものを見るときに重要な役割をしている物質なんです。ところがロドプシンは眼が疲れてくると分解してきます。またお年寄りになっても分解が進みます。

 健全な場合は分解されたロドプシンはすぐに再合成されるのですが、眼が酷使され疲れていると、その再合成が追いつかなくなって分解・再合成のバランスが取れなくなってくるのです。ロドプシンが少なくなると脳への信号が不十分になりますから、眼がチカチカしてものが見えにくくなってきます。そのときアントシアニンを摂ると、ロドプシンの再合成の作用を活性化させる働きがあるということが分かっているのです。

 アントシアニンを摂ったからといって近視や老眼が根本から治るというものではありません。一時的に疲れ眼による視力低下を回復させたり、薄暗いところでもものが良く見えるようになったりするのです。作用が一番良く確認できるのが夜道の運転です。それから突然トンネルに入ったときなど。だから長距離ドライバーの方にブルーベリーエキスの愛好者が多いそうですよ。

 摂取してから4時間で作用が出るという即効性も魅力です。作用が続くのはその後24時間位ですから、眼を使うときには4時間前に摂取してください。もちろん一定量以上食べることが条件です。日本で取れるハイブッシュブルーベリーなら40グラム(20〜30粒位)。ジャムなどに使われているローブッシュブルーベリーはジャムで40グラム前後。乾燥ブルーベリーなら10グラム以上(栽培種で約30粒)、ブルーベリーエキスだったらアントシアニン25%含有のもので120ミリグラム以上ですね。

 
 
研究が進むブルーベリーパワー

 最初は眼に良いという話でスタートしたブルーベリーの研究ですが、近頃はその他にも様々な作用があるということが分かってきて注目を集めているんですよ。

 たくさんあるのですが・・・・まず動脈硬化の予防ですね。酸化した悪玉コレステロール(LDL)が増えてくると動脈硬化とか脳卒中などの血管障害が増えてきますが、最近の研究でアントシアニンは悪玉に対する抗酸化作用が極めて強いということが分かっています。その抗酸化作用はビタミンEの10倍、緑茶に含まれるカテキン類、玉葱のケルセチンにほぼ匹敵するくらいだと言われています。最近米国農務省に属する栄養研究所の発表によると、米国産の43種の果実と野菜の抗酸化作用を比較したところ、ブルーベリーが最高値を示し、名実ともにナンバーワンであることが証明されました。

 また、最近は糖尿病性あるいは高血圧性網膜症治療、糖尿病での血糖値を調整(インスリンの注射の量を減らせる)、また白内障と緑内障の進行防止にブルーベリーが非常に役立つという報告もあります。毛細血管の働きを良くする等、循環器系にかかわるデータも数え切れないほど出ています。もうひとつ、ブルーベリーは食物繊維の含有量がダントツなんです。水溶性と不溶性を合わせると100グラム中4.1グラムにもなります。食物繊維が最も多いと言われているキウイが2.9グラムですから、どれほどブルーベリーに繊維が豊富かお分かりでしょう。ブルーベリーは皮も種も丸ごと食べるから良いのですね。整腸作用、便秘解消、大腸ガンの予防に有効です。


 日本経済新聞 8月17日付け記事に「食材・攻める海外産地<ブルーベリー>という記事が掲載されていました。内容は以下の通りです。

 「目の疲れを癒す」など健康にいい果実という認識が消費者に広がり、ブルーベリーの国内需要が拡大している。ジャムやヨーグルトなどの加工品が人気を集めた後、量販店などでは生食向けの取り扱いが本格化。その際に有力な調達先となったのは米国産を筆頭とした輸入生鮮ブルーベリーだ。

 国内生産量がこの十年間、微増で推移しているのに対し、生鮮ブルーベリーの輸入は1998年から急増。ブームが起きた同年に早々と長野県産を始めとした国産を追い越した。貿易統計によれば、生鮮ブルーベリー類の99年の輸入量は984トンと97年に比べ16倍に増え、国内市場シェアの6割に達した。

 輸入品の強みは産地を変えての通年出荷が可能なこと。特に台頭が目立つのが、夏場に出荷が限定される国産品と競合しない南半球産のもの。11月から3月にかけて店頭に並ぶオーストラリア産やニュージーランド産は、99年にカナダ産を抜き輸入国の2、3位にそれぞれ浮上。両者の合計では輸入量の4割を占める最大産地米国をも凌ぐ。

 輸入生鮮ブルーベリーの卸価格は国産品に比べ30〜35%安く、「品質差はほとんどない」(イトーヨーカ堂)ことから、量販店などの仕入れ意欲が強い。

 今年に入り、健康面へのアピール効果を映したブームに一服感が出て、ブルーベリー消費の伸びはやや鈍っている。今後は輸入品と国産品の間で「限られたパイの奪い合いが進む」(輸入商社)と見られるなか、海外産の輸出攻勢が強まることが予想され、国産品が苦境に立たされるのは必至の情勢だ。

上記の記事は、食材についての「市況記事」ですから、流通市場を制覇している量販店・大手流通業者が、ブームに乗って輸入ブルーベリーの供給ルートを整備・拡大していることを書いているものです。

一方、私達のような零細なブルーベリー摘み取り園の実感としては、「ブルーベリー消費の伸びが鈍っている」どころか、何とかして生の安全でおいしいブルーベリーを手に入れたいという方々がまだまだたくさんいることをいつも痛感させられ、また励まされているところです。
 
 確かにブームとともに、季節を問わず生鮮ブルーベリーがスーパーで購入できるようになったという変化は大きいと思います。でも、あっというまに食べきれてしまうような小さいパックでも結構な値段で販売されています。

 国産の安全で美味しく(輸入品は残留農薬が懸念される)、生産者・生産地がはっきりしていて、しかも自分で自ら摘み取った生ブルーベリーが、一年に一回食べられる。たとえ「国産品が苦境に立たされるのは必至の情勢」だとしても、国産の小規模な摘み取り園は必要だと思います。

 


ワイマン社のワイルドブルーベリーというホームページ http://www.wymans.com/japan/ にはワイルドブルーベリー・ブルーベリーについての様々な情報があります。その中から、ほんの少しだけ引用させていただきます。目にいいだけではないようです。

”米国農務省とイリノイ大学の研究者はワイルド・ブルーベリーには老化を遅らせる作用、抗ガン作用があることを認めています。” WBANA(北米ワイルド・ブルーベリー協会)の会報より

”ブルーベリー、コンコード・グレープジュース、イチゴ、ケール、ほうれん草が、40種類の果物、果汁、野菜の中で、試験管実験において最も強い活性酸素抑制作用がありました。” ジーン・メイヤーマサチューセッツ州ボストン、タフツにある米国農務省ニュートリション・リサーチ・センター・オン・エイジング

”ブルーベリーとラズベリーは、炎症を抑え、鎮痛作用のあり、またの名を”天然アスピリン”と呼ばれるサルチル酸塩という物質の濃度が高い。” 栄養とガン予防

”スウェーデンでは乾燥ブルーベリー が、子どもの下痢の治療に使われています。(コワルチャック、1976年)これを使用する理由は、ブルーベリーに含まれる天然物質で病原菌ともなるバクテリア、大腸菌を殺菌する能力があると考えられているアントシアノサイドです。 ブルーベリーーその栄養学的な可能性 北米ブルーベリー審議会

”記憶能力について、最新の情報です。アメリカ農務省の研究で、40種類の一般的な果物と野菜で実験したところブルーベリーが最も高い活性酸素抑制作用を示し、特に脳の働きを活性化することがわかりました。” 賢く食べよう ジーン・カーパー
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