LP(レコード)として所有するサクソフォーン関連の音源のご紹介です。今では未発売となったサクソフォーン演奏のLPの中で、私が入手することができたものをご紹介します。LPを探し始めたのは2005年に入ってから、yahooオークション等に出品されていたものが主になります(入手の際ご尽力頂いた方々に感謝!)。収集が一段落したため、情報の整理を目的としてこのページを作成しました。
1985年生まれの私にとっては、クラシカルサクソフォーンの古い録音を聴きたくても入手できず聴くことができないということが多々あります。名演奏の数々が復刻されて欲しいものだと願うばかりです。
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・Music for Saxophone Quartet(The Musical Heritage Society MHS 817)
・ドゥファイエサキソフォーン四重奏団(CBSソニー SOLN2)
・サキソフォン四重奏の魅力(東芝EMI EAA-85052)
・Contest Music for Saxophone(Lapider Records XCTV-87628)
・The American Saxophone(Brewster Records BR 1203)
・Music for Tenor Saxophone(Brewster Records BR 1204)
・ЛЕВ МИХАЙЛОВ(МЕЛОДИЯ C10-15159-60)
・ФРАНЦУЗСКАЯ КЛАССИЧЕСКАЯ МУЗЫКА ДЛЯ САКСОЮНА(МЕЛОДИЯ C10-17189-009)
・Ida Gotkovsky(BVHAAST 066)


・Music for Saxophone Quartet(The Musical Heritage Society MHS 817)

演奏
Mule, Marcel マルセル・ミュール, Soprano Saxophone
Gourdet, Georges ジョルジュ・グールデ, Alto Saxophone
Lacour, Guy ギィ・ラクール, Tenor Saxophone
Josse, Marcel マルセル・ジョセ, Baritone Saxophone
曲目
1. Absil, Jean ジャン・アブシル - Suite sur des Themes Populaires Roumaines ルーマニア民謡による組曲
2. Rivier, Jean ジャン・リヴィエ - Grave et Presto グラーヴェとプレスト
3. Pierne, Gabriel ガブリエル・ピエルネ - Introduction et Variations sur une Rondo Populaire 民謡風ロンドによる序奏と変奏
4. Desenclos, Alfred アルフレッド・デザンクロ - Quatuor 四重奏曲

ミュールが結成していた四重奏団の、最終メンバー構成による録音で、ミュールに献呈されたフランスのオリジナル作品をまとめて録音したLPである。Eratoが製作したフランス国内盤のほかに、日本ではコロムビア、アメリカではMusical Heritage Societyが出版していたようだ。当方所蔵盤はアメリカ国内盤の二種類。R67-4034というモノラル盤(赤色ジャケット)と、R67-4035というステレオ盤(黒色ジャケット)である。
どの曲も、現在では伝統的なレパートリーとして定着したものばかりであるが、1920〜60年代に活躍したミュールが、同時代の作曲家たちとともに歩み、「サクソフォーン四重奏」と言うジャンルを開拓してきた成果のひとつが、この録音。
どの曲の演奏も素晴らしいが、ここではデザンクロ「四重奏曲」を聴いてみよう。技術的・音楽的にここまで完成された録音を、作品の成立後わずか数年で世に送り出してしまうことは、まさに驚異としか言いようがない。現代にあって聴いても、何の違和感すら感じさせない演奏なのだ。逆に言えば、後に続く世代は、全てのプレイヤーたちがこの解釈に影響を受けているとも言えるだろう。さらに言ってしまえば、ミュールが演奏活動から引退した以降は、アカデミック作品の演奏に関してはサクソフォンは進化をやめてしまったということなのだろうか。
ピエルネ、リヴィエは、1930年代にSPに吹き込んだ録音と聴き比べてみると面白い。ミュール以外のメンバーは全員代わり、30年という時の流れを感じさせる比較ができると思う。


・ドゥファイエサキソフォーン四重奏団(CBSソニー SOLN2)

演奏
Deffayet, Daniel ダニエル・ドゥファイエ, Soprano Saxophone
Pollin, Henri Rene アンリ=ルネ・ポラン, Alto Saxophone
Terry, Jacques ジャック・テリー, Tenor Saxophone
Ledieu, Jean ジャン・ルデュー, Baritone Saxophone
曲目
1. Rueff, Jeanine ジャニーヌ・リュエフ - Concert en Quatuor 四重奏曲のためのコンセール
2. Tisne, Antoine アントワーヌ・ティスネ - Alliages 錬金術
3. Pascal, Claude クロード・パスカル - Quatuor 四重奏曲

リュエフ、ティスネ、パスカル入曲のLP。ある年齢以上のサックス吹きにとっては強烈な存在感を放った伝説のLPである。1975年の発売当時では比較的スタンダードに入手可能な状態であったが、その後ソニーは吹奏楽分野のレコーディングリリースから撤退、幻のLPとなってしまったものだ。
演奏に関しては、言葉など必要ない。比較的聴く機会が増えてきたリュエフやパスカルの録音だが、リリースから30年経った今でもこれを超える録音など出現していない…といっても過言ではない。リュエフ、パスカルの究極的な録音として、これから先も頂点に君臨し続けてゆくのだろう。リュエフ冒頭のペダル音などバリトン奏者にとっては涙ものである。
リリース元はソニーだが、製作は稀代の録音技師、アンドレ・シャルラン率いるCECE(Centre d'Enregistrement Champs-Elysee)への外部委託。CECEのマスターテープは税官吏の手によってそのほとんどが海洋投棄(!)されてしまったというから、いやはや貴重な録音である。


・サキソフォン四重奏の魅力(東芝EMI EAA-85052)

演奏
Nouaux, Michael ミシェル・ヌオー, Soprano Saxophone
Beun, Andre アンドレ・ブーン, Alto Saxophone
Beaufreton, Bernard ベルナール・ボーフルトン, Tenor Saxophone
Delabre, Maurice モーリス・ドゥラブル, Baritone Saxophone
曲目
1. Bozza, Eugene ウジェーヌ・ボザ - Andante et Scherzo アンダンテとスケルツォ
2. Desenclos, Alfred アルフレッド・デザンクロ - Quatuor 四重奏曲
3. Sciortino, Patrice パトリス・ショルティーノ - Danse Paienne 異教徒の踊り
4. Bagot, Maurice モーリス・バゴ - Quatuor 四重奏曲

AFAとEMIの提携によるLP。このLPは国内盤だが、フランスで販売された盤も存在する。ミュール引退後にソプラノを引き継いだミシェル・ヌオーがトップを務める、ギャルド四重奏団の演奏による四重奏曲集。フランス産の著名な四重奏作品が集められており、1974年発売当時のスタンダードな演奏の一つだった(らしい)。吹奏楽連盟のアンサンブルコンテストでもよく演奏される「異教徒の踊り」が、献呈先のヌオーの演奏で聴ける貴重な録音である。
全体的に残響の少ない環境で録音されており、さらに音場が近かったり音割れしていたり「繋ぎ」が不自然だったりと、けっこう録音上での損をしているが、その中から聴こえてくる音楽はフランス正統派の演奏そのもの。四人の均質な音色に深くかかるヴィブラートも美しい。テクニックも申し分無く、デザンクロの最終楽章で聴かれるスピードを伴った切迫感は、テクニックが向上してきた現在にあってもなかなか聴くことができないほどのものだ。
アンサンブルコンテストなどでデザンクロ「四重奏曲」やショルティーノ「異教徒の踊り」を演奏する方々にぜひ聴いて欲しい録音のひとつ。しかしEMIとAFAとの原盤提携契約期限が切れてしまっており、EMIからの復刻は望みが薄いとのこと…。


・Contest Music for Saxophone(Lapider Records XCTV-87628)

演奏
Hemke, Frederick フレデリック・ヘムケ, Alto Saxophone
Edmonds, James ジェームス・エドモンズ, Piano
曲目
1. Rueff, Jeanine ジャニーヌ・リュエフ - Chanson et Passepied シャンソンとパスピエ
2. Lantier, Pierre ピエール・ランティエ - Sicillienne シシリエンヌ
3. Tomasi, Henri アンリ・トマジ - Chant Corse コルシカの歌
4. Reutter, Herman ヘルマン・ロイター - Elegie エレジー
5. Bitch, Marcel マルセル・ビッチ - Villageoise 村娘
6. Bonneau, Paul ポール・ボノー - Suite III, IV 「組曲」より第3, 4楽章
7. Tournier, Franz フランツ・トゥルニエ - Variations sur un theme de Claude Lejeune クロード・ルジュヌの主題による変奏曲
8. Joly, Denis ドゥニ・ジョリー - Cantilene et Danse カンティレーナとダンス
9. Ward, David ディヴィッド・ウォード - An Abstract アブストラクト
10. Benson, Warren ウォーレン・ベンソン - Cantilena カンティレーナ
11. Hartley, Walter ウォルター・ハートレー - Petite Suite 小組曲
12. Leclair, Jean Marie ジャン=マリー・ルクレール - Gigue ジーグ
13. Bach, Johann Sebastian/Rascher バッハ - Prelude to Cantata No.12 カンタータ第12番への前奏曲
14. Bach, Johann Sebastian/Mule バッハ - Gavottes ガヴォット
15. Corelli, Arcangelo/Mule アルカンジェロ・コレッリ - Adagio アダージョ
16. Gossec, Francois フランソワ・ゴセック - Le Fete du Village 村の祭り

おそらくヘムケ氏のデビューアルバム。さまざまなスタイル…オリジナルから編曲、バロックから現代まで、アメリカ産〜ヨーロッパ産、とサクソフォンで演奏される小品を集めてレコーディングしたもの。アルバムタイトルどおり、"コンテスト向け"であることが意識されているためか、曲目リストにはサクソフォンとピアノのそれぞれのパートの難易度が示されている。録音時期は不明だが、プロフィール欄にノースウエスタンの教務職員との記述があることから、フランスからの帰国からそれ以降=1950〜60年代ではないかと思われる。
聴き始めた瞬間にミュールスタイルの深いヴィブラートに驚くが、中音域の金属的な音色はまさにヘムケ氏ならではの音色。小品が中心ではあるものの、高い技術力と歌心ででどの演奏もセンス良く吹きこなしてゆくが、アメリカの現代作品(といっても調性音楽ばかり)を演奏するときの気合の入り方たるや、ある種のソウルを感じさせるものである。曲目リスト中、特にベンソン「カンティレーナ」の心持ち怪しい雰囲気に耳を惹かれた。


・The American Saxophone(Brewster Records BR 1203)

演奏
Hemke, Frederick フレデリック・ヘムケ, Alto Saxophone
Granger, Milton ミルトン・グレンジャー, Piano
曲目
1. Dahl, Ingolf インゴルフ・ダール - Concerto for Saxophone サクソフォーン協奏曲
2. Benson, Warren ウォーレン・ベンソン - Farewell フェアウェル
3. Husa, Karel カレル・フサ - Concerto for Saxophone サクソフォーン協奏曲
4. Benson, Warren ウォーレン・ベンソン - Aeolien Song エオリアン・ソング

録音は1971年。本来ならば吹奏楽と共に演奏されるダールやフサのピアノデュオ版ということでも珍しい。のっけからピアノの強打(音形はバロック・スタイルのフランス風序曲だが、和声のテンションは現代そのもの)に驚くが、さらに続いてなだれ込んでくるのは、まるで英雄を思わせるがごとき、ヘムケ氏の輝かしいサウンド。ヘムケ氏の演奏はダール「協奏曲」の冒頭から冴え渡っており、どんな難パッセージや高音域においても不安を感じることはなく、常に気高さを感じさせながら進行してゆく。
各面の冒頭はダール、フサと大曲が並ぶが、その後に配置されたベンソンの作品は、短いながらも、対照的にぞっとするような繊細な美しさに満ちている。暴力的ともいえるフサの「協奏曲」に続いて、B面最後に配置された「エオリアン・ソング」は、弱音の美しさがよりいっそう際立つこととなった。
収録時間が少し短いかな…それから、なぜかレコードの盤がペラペラ(ソノシートではないが)で、強度にやや不安がある。


・Music for Tenor Saxophone(Brewster Records BR 1204)

演奏
Hemke, Frederick フレデリック・ヘムケ, Alto Saxophone
Granger, Milton ミルトン・グレンジャー, Piano
曲目
1. DiPasquale, James ジェームス・ディパスカル - Sonata ソナタ
2. Duckworth, William ウィリアム・ドゥックワース - A Ballade in Time and Space 時間と空間のバラード
3. Hartley, Walter ウォルター・ハートレー - Poem ポエム
4. Karlins, M. William M・ウィリアム・カーリンズ - Music for Tenor Saxophone テナーサクソフォンのための音楽

「The American Saxophone」と同じく、録音は1971年。収録曲は全てテナーサクソフォンのための作品である。新井さんの「Fantasia」に先駆けること30年、こんなテナーサックスアルバムが出ていたとは…。それにしても、名前すら聞いたことのない曲ばかり。ハートレーは、サクソフォンのために多く作品を書いていることで知っていたが、その他の作曲者は初耳であり、どんな音が飛び出してくるものかドキドキしながら再生し始めたが、端的に感想を言ってしまえば、面白い曲、そして素晴らしい演奏、ということに尽きる。ディパスカルはジャズ・ミュージシャンだとのことだが、スリリングな和声を多用したクールな雰囲気や、随所に出現するバス・オスティナート上で奏でられるフレーズが◎、ドゥックワースの「バラード」は、キーノイズや重音、フラッター、グロウを多用した密度の高い音空間に惹かれた。カーリンズ「テナーサクソフォンのための音楽」は、モノローグカデンツァやフラジオのキメが面白い。
ヘムケ氏の演奏は、高音から低音まで濃密であり、輝かしいアルトサックスの音色を思い起こさせる。その音で畳み掛けるような高難易度のフレーズの応酬をこなしていく様子には、ため息すらついてしまうほど。長い間にわたって、廃盤になっていたのがもったいないほどだ。
一つだけ文句があるとすれば、収録時間か。全収録時間が27分というのは、いくらLPと言えど短すぎないか?他のテナー作品も聴いてみたかった。


・ЛЕВ МИХАЙЛОВ(МЕЛОДИЯ C10-15159-60)
LEV MIKHAILOV(Melodiya C10-15159-60)

演奏
Mikhailov, Lev レヴ・ミハイロフ, Soprano Saxophone [2,3] & Alto Saxophone [1,4]
Oseichuk, Alexander アレクサンドル・オセイチュク, Alto Saxophone [2,3]
Nabatov, Alexei アレクセイ・ナバトフ, Tenor Saxophone [2,3]
Yeryomin, Vladimir ウラディミール・エレーミン, Baritone Saxophone [2,3]
Nasedkin, Alexei アレクセイ・ナセトキン, Piano [1]
曲目
1. Hindemith, Paul パウル・ヒンデミット - Sonata ソナタ(ナレーション付き)
2. Smirnov, Dmitri ドミトリ・スミルノフ - Mirages ミラージュ
3. Rueff, Jeanine ジャニーヌ・リュエフ - Concert en quatuor 演奏会用四重奏曲
4. Noda, Ryo 野田燎 - Improvisation I 即興曲

クラリネット奏者でもあるミハイロフによる、ソヴィエト国営レーベル「メロディア」からのアルバム。1980年頃の発売で、新世界レコード社による輸入盤。曲目はかなり特徴的:ヒンデミットのドイツ産ソナタにお国物のスミルノフ、リュエフのフランス正統派四重奏曲を経て邦人作品(日本語訳ではR・ノーダとなっていた…ご愛敬)で最後が締められている。
この時期すでに発売されていた(はずの)デファイエ四重奏団のリュエフの録音や、ジャン=マリ・ロンデックスによるヒンデミットや野田作品の録音の演奏レベルには比べるべくもないが、ミハイロフの音色やテクニックは意外なほどに素直で、しっかりと鑑賞に耐えうる演奏であったことには正直驚かされた。ヒンデミットでは隅々までしっかり表現が行き届いて、堂々とした演奏が見事。四重奏の二曲はミハイロフ以外のプレイヤーのジャズのような音色が少し気になるが、スミルノフの微分音はしっかり演奏されているし、弱音部分での音色の融合性は時に目を見張るほどに美しい。野田氏の作品は頭にロンデックスの解釈が刷り込まれているせいか、間の取り方など時に気になることも(「即興」的な解釈の一つと言うべきか)。
この録音のキモは、ロシア語のナレーションつきのヒンデミットのソナタだろう。スミルノフとナセトキンが「ポスト・ホルン」と題された詩をロシア語で読んでいる。「あくせくしたこの世の中で、ホルンの音色に耳を傾けてみよう」といった内容の詩だが、直後にピアノの序奏からなだれ込む最終楽章のアクロバティックさがちょっと逆説的でもありおもしろい。


・ФРАНЦУЗСКАЯ КЛАССИЧЕСКАЯ МУЗЫКА ДЛЯ САКСОЮНА(МЕЛОДИЯ C10-17189-009)
French Classical Music for Saxophone(Melodiya C10-17189-009)

演奏
Oseichuk, Alexander アレクサンドル・オセイチュク, Alto Saxophone
Rosova, Natalia ナターリャ・ロゾーワ, Piano [1,3,4]
曲目
1. Genin, Paul Agricole ポール・アグリコール・ジュナン - Carnival de Venise ヴェニスの謝肉祭
2. Bozza, Eugene ウジェーヌ・ボザ - Improvisation et Caprice 即興曲とカプリス
3. Bozza, Eugene ウジェーヌ・ボザ - Diptych ディプティーク
4. Maurice, Paul ポール・モーリス - Tableaux de Provence プロヴァンスの風景

オセイチュクはジャズプレイヤーとしてのキャリアもあるようで、正直クラシック曲での演奏レベルはあまり期待していなかったのだが、いやはや驚いた。くっきりしたアタックとやや硬質な音色によって奏でられるフランスのサクソフォーン音楽の数々は、意外なまでにコントロールされた堂々たる演奏であった。
特に「ヴェニスの謝肉祭」が佳演。フランソワ・コンベルの録音などヴェニスの謝肉祭の主題を用いた変奏曲は数多く耳にするが、何回かのカデンツァを挟みながら15分にわたってスマートに吹ききるこんな演奏、録音でも実演でもなかなか聴くことができないかも。モスクワ音楽院で学んだというロゾーワの奏でるピアノの透明なタッチもなかなか良い。個人的にロシアン・ピアノ、けっこう好きだったりします。
ボザの「即興曲とカプリス」や「ディプティーク」もなかなかの演奏。「プロヴァンスの風景」はマルセル・ミュールの代表的な録音を始め数が多いだけあって少々分が悪いかもしれないが、徐楽章での自然な歌い方は一聴の価値あり。ディスク全体を通して演奏者が楽しんでいる様子が伝わってくるのが嬉しい。


・Ida Gotkovsky(BVHAAST 066)

演奏
Bogaard, Ed エド・ボガード, Alto Saxophone
Fournet, Jean ジャン・フルネ, Direction
Radio Kamer Orkest Hilversum オランダ放送室内管弦楽団 [1]
Omroep Orkest Hilversum オランダ放送管弦楽団 [2]
曲目
1. Gotkovsky, Ida イダ・ゴトコフスキー - Variations Pathetiques 悲愴的変奏曲
2. Gotkovsky, Ida イダ・ゴトコフスキー - Concerto pour Saxophone サクソフォーン協奏曲

エド・ボガード氏はアムステルダム音楽院で学んだサクソフォーン奏者。弟子の一人に現代を代表するプレイヤーでもあるアルノ・ボーンカンプ氏がいる。オランダの著名なオーケストラを従えてゴトコフスキーの代表的な二つのサクソフォーン作品を録音したBVHAASTのライブ盤。書肆 孤島(http://homepage1.nifty.com/kotou/)にて新品の状態で購入(ジャケットの右上が光っているのは、フィルムに入った未開封状態で撮影したため)。こんな時代にLPが新品で購入できるとは思わなかった。
「悲愴的変奏曲」の最初から音程が怪しくてびっくりするが、徐々に気にならなくなってきて、気が付けばゴトコフスキーの音楽に飲み込まれてしまっていた。超高速&超低速、両端的な楽章を交えながら進行する音楽の熱さはゴトコフスキー作品そのもの。聴衆に雄弁に語りかけるサクソフォーンと、自らをゴトコフスキー世界に没入させているかのような伴奏オーケストラの鬼気迫る演奏は、激しい化学反応を目の当たりにしているような気にすらなる。聴衆も音楽が進むにつれて集中度を増しているようだ。
マルセル・ミュールに献呈されたという「サクソフォーン協奏曲」は管楽器とパーカッションも交えた、こちらもテンションの高い演奏。最終楽章で大炸裂するオーケストラが魅力的。

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