5.斜面崩壊による被害を防ぐ方法

 ここでは過去の事例から斜面崩壊に対処する知恵を学ぼう。

 

(1)防災に「絶対安全」はない!!

 災害を防ぐにはお金が必要である。しかし,福祉や教育など世の中には重要でお金のかかることが多い。だから経済的に可能で,防災効果のある方法を見つけなければならない。だから堤防などを作るときには,「あらかじめの安全の限界を決めておく」という事をする。巨大なダムや堤防は安全で壊れることがないと思いがちだが,限界を超える自然災害が起こったときには,耐え切れない。だから,絶対安全と言うことはありえない

 

(2)住んでいる土地の条件を知る。

 (a)花崗岩・蛇紋岩・凝灰岩には気をつけろ!

 この三つの岩石は風化しやすく,中でも花崗岩は堅い岩石のように見えるが,地下深くまで風化していることが多い神戸や呉のように花崗岩山地の斜面まで開発が進んでいる町では,頑丈な地盤見えても実は内部までぼろぼろということもあるので気おつけよう。

 (b)昔の地図を見ろ!

 以前は谷だった土地が埋め立てられてできた埋没地では,斜面崩壊が起こりやすくなる。人口増加による大規模な住宅造成などで,元の地形がわからないほど地形が変わってしまうこともあるので,昔の地図でどこが谷だったのかを調べておくとどこが危険なのか分かるし,新しい家を買うときの参考になる。

 (c)今の地図を見ろ!

 地図でアーチ状の崖,等高線の乱れ,途中で消えてしまっている谷などが家の近くにないか。この地形があるところは地滑りの起こる可能性が高い。地滑りには上で崩れた斜面が下へ押してくるタイプと下で崩れたために上の斜面がささえを失って崩れるタイプの二種類があるので,家の上だけでなく,しっかり下の斜面も見ておこう。

 (d)こんな名前に気をつけろ!

 昔,その斜面崩壊があった土地ではその土地の歴史が残されていることがある。例をあげると高野(1983)は,下の地名と斜面崩壊に関係があると見られている。

・押し(おし),破(やぶり),出(で,だし),落(おち,おとし),などがついている地名は,土砂の動きをあらわした地名である。

・崩(くずれ),欠(かけ),割(わり),などがついている地名は,崩壊地の形をあらわした地名である。

・権路(ごうろ),などがついている地名は,石がゴロゴロしている荒廃地をあらわした地名である。

・段(だん),棚(たな),などがついている地名は,地形からつけられた地名である。

このようなちめいをみたら,そこは昔,地滑りや山崩れがあった場所かもしれないし,これから起こる危険性があるかもしれない。気をつけろ!

 (e)谷の出口に気をつけろ!

 土石流は,進性が強いので,川の流路に沿って進んでいくとはかぎらない。谷の出口のは,近くに川がなくても気をつけなければならない。 

 (f)昔から人がすんでいるところは安全?

 昔からの住民は,その地域のことをよく知っていて,洪水の被害を受けやすいところには家を建てていない。だからどこが水に浸かりやすいかということは経験的に知っていたので,そこにわざわざ家を建てるわけがない。しかし,斜面崩壊は大雨ごとに起こるほど頻繁には起きない。だからどこが危険かと言うことを経験的に分かることは難しい。だから「昔から人がすんでいるところは安全」とはかぎらない。

 (g)斜面崩壊の前兆

 斜面崩壊が起こる前兆はいろいろある。いくつかの例を見てみよう,

まず地形変化が起こる場合・・・斜面上に地割れができる。斜面の一部が盛り上がったり,沈んだりするところが見られる。など

湧き水に関係する変化・・・水が急に湧き出したり,泉の水が急に枯れたりする。など

 土石流の前兆

沢の変化・・・水が急に濁ったる。水量が減る。

その他に地鳴りなど音の変化にもう注意しなければならない。

これらのことが起こると土石流の危険が迫っているので沢からは急いで逃げなければならない

 

(3)人間が災害を防ぐ

 (a)工事

 防災をすると聞いて一番に思いつくのは工事だと思う。典型的なのは砂防工事(川をコンクリートで固め,所々に砂防ダムを築いていくもの)である。最近批判はあるが,斜面崩壊を防ぐのに効果があるのは確かである。

 (b)森

 広葉樹の森は「緑のダム」とよばれ。落とした枝や落ち葉などが形成した腐植と土が混ざり合ってできた腐植土はスポンジのように水を蓄えてくれる。このことで大雨のときに降った水もたっぷり蓄え,ゆっくり流れ出してくれる。このことにより川の水かさが増えることはなく,土石流などが起こりにくくなる。

 (c)災害情報

 もし災害が起こってしまったばあいに被害を最小に食い止めるために,行政機関や住民に早く状況をつたえなければならない。このために体制を整えておくことも大切である。

 

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