Dog Genetic disorder.

http://omia.angis.org.au/ (←シドニー大学ですので英語のサイトです) 2017年9月現在で707種判明している犬の遺伝性疾患及び形質(メンデル遺伝)

※注意!このサイト全ての情報は犬のみが対象です※
ヒトと同じ病名が出てきますがあくまでも犬だけについて語っています

●犬の遺伝の病気の多くはコントロール出来るものであり
先人の知識と経験によって犬種が確立し出した百年単位、もしくは千年単位で
遺伝的形質・遺伝性疾患が選択繁殖によりコントロールされてきました。

無条件で人間を愛する犬の瞳に恥じないためにも
中には人間がどうしてもくい止めなければいけないものもあります。
人間が・・と言ってもすでに犬を迎えてしまった飼い主さんがしてあげられることはあまりありません。
正しい繁殖こそが唯一の予防法です。

各種伝染病予防ワクチンやフィラリア・ノミ・ダニ予防等の普及や
少し前まで犬の死亡原因の第1位だった殺処分数の激減により
それまでに多くあった後天性疾患による死亡率が減少するとともに
血統内の遺伝子を熟慮せずに行われる乱繁殖の弊害で
遺伝性疾患による闘病・飼育放棄・死亡が体感的に増加しています。

●遺伝病については言葉遣いが難しいことがあります。
初歩的なこととして「遺伝性疾患」とは何らかの原因で遺伝子が突然変異を起こし
正常に機能しなくなった変異遺伝子が親から子へ遺伝した結果引き起こされる疾患で
「遺伝子疾患」とは遺伝子が病気であるということで
病気の元が遺伝子なだけで親から病気そのものを受け継いだのではないし
次世代に遺伝するものではないというふうにも使います。



     *** --- *** --- *** --- ***


遺伝性疾患は 染色体異常、単一遺伝子疾患、多因子遺伝性疾患、
ミトコンドリア遺伝疾患、体細胞遺伝疾患に分類されます

1 . 染色体異常
犬の染色体は37対74本の常染色体と1対2本の性染色体、計38対76本です。
染色体の異常は数の異常・・トリソミー(多い)とモノソミー(少ない)と
形(構造)の異常に大別(欠失・重複・逆位・転座)できますが
犬の場合は診断されることはとても少ないものです。
大きな理由としては染色体異常には致死的なものが多く
死産の犬や哺乳期の死亡子犬に対して染色体検査がなされることは一般的には皆無です。

2 . 単一遺伝子疾患
ある特定の遺伝子が直接発症の原因となる疾患で
常染色体優性遺伝病   (当サイトではADと略しています。以下同)
常染色体劣性遺伝病   (AR)
X連鎖(伴性)優性遺伝病 (X-link)
X連鎖(伴性)劣性遺伝病 (XR)
Y連鎖遺伝病
の、主に5つが知られています。

3 . 多因子遺伝性疾患
複数の遺伝子の相互作用で発症する疾患で
ひとつひとつの遺伝子はメンデルの法則によって遺伝してゆくのですが
遺伝子同士の相乗的な作用で口唇口蓋裂、奇形などが起こり
さらに後天的な環境要因も関連して発症する股関節形成不全、糖尿病などが知られています。
疾患原因遺伝子のすべてとその仕組みを探り出すのが非常に困難なため
複雑遺伝疾患と呼ばれることもあります。

4 . ミトコンドリア遺伝病
母系遺伝。細胞質遺伝。メンデル遺伝形式を示さない。
エネルギー需要の多い脳・骨格筋・心筋が異常を起こすことが多いが
体内全てのミトコンドリアが一様に異常をきたすわけではないためかなり多様。
ミトコンドリアは細胞内に数千個存在し、その内膜を構成しているエネルギー産生は
生命活動に必要なエネルギーのほとんどすべてを供給しています。

5 . 体細胞遺伝疾患
臓器の体細胞に生じた新しい遺伝子や突然変異で代表的な例はガンです。
すべてのガンが突然変異なわけではもちろんありませんが。


     *** --- *** --- *** --- ***


●恐ろしい?遺伝の病気
遺伝性疾患は根本的な治療ができないものが多いのですが
かと言って遺伝の病気の全てが手の施しようがないほどものすごく重いものばかりではなく
たとえば一本のまつげが顔の外部に向かってではなく目玉に向いて生えるのも遺伝性疾患のひとつです。
また、発症年齢も様々で母胎内で命を授かった瞬間に消滅するものから
10歳を過ぎて弱り始めた体にムチ打つものや
20歳を過ぎたって直接生命の危機にはならないもの、様々です。


●遺伝性疾患は特別なもの?
ヒトのケースで説明しますと発生頻度が4万人にひとりの常染色体劣性遺伝病の場合
その病気にかかる人が4万人の人間がいる中でひとりなら保因者は100人にひとりとなります。
100人にひとりの中で同じ保因者の男女が結婚する確率は100分の1×100分の1で1万分の1
その男女から生まれる子どもは4分の1の確率で病気を発症するので発生頻度はやはり全体の4万分の1です。
4万分の1は自分には関わりのなさそうな確率ですが、100分の1はずいぶん身近な数字です。
現在ではどの人も遺伝性疾患を発症させる異常因子を最低3個〜8個持っていて
しかも60%の人が一生のうちのどこかで遺伝病を発症しているだろうと考えられています。
遺伝病にならない人・遺伝病の因子を持たない人の方が特別なんだそうです。


●犬の遺伝病はたくさんあるの?
管理人がこのことについて考えたり調べたりし始めた2006年の年末頃は430〜440種程で
2007年いっぱいまでは、ネットで「犬の遺伝病は400種以上あります」という言葉をよく目にしていました。
このページの冒頭部分のリンク先では、主に先進国各地の大学や専門機関で研究された・されている
犬の遺伝性の形質(病気を含む)のリストが公表されています。
平成28年(2016年)7月現在の数は673種で、ほとんどが病気についてのもので、日々研究成果があげられ
内容が更新され、数は増え続けるばかりです。
なぜなら、ヒトの遺伝病と呼ばれるものが現在わかっているだけで2,000種類以上あるそうで
今までに詳細が判明した犬の遺伝病はヒトのそれと大きく似通っているものが大多数ですし
原因遺伝子や遺伝形式がまだ解明されない病気でも、病名や症状などが同じかとても似ているものが
おそらくヒトと同じくらいに実際に起きているのですから。


●遺伝性疾患は誰のせいでもなく運命?
人間はそうですが犬は違います。
まず特に重度の疾患は、本来はヒトと同様に何万頭に1頭という稀なもののはずですが
ヒトよりも犬の遺伝性疾患が目立つのは犬の繁殖は自然の摂理に則っていないからです。
我が国のすべての犬は太古の昔から野生の状態で生きて子孫を残している個体は1頭もおらず
繁殖の相手も時期も回数も繁殖をするかしないかも人間が決定しています。
時々オスメスを飼っていて「自然に交配した」のように考える方がいらっしゃいますが
その2頭を自然に交尾できる環境に置いたのはその飼い主で、人間の管理の問題でしかなく
野犬・ノラ犬もまた、人間によってその環境に置かれています。


●犬の遺伝性疾患に関する要注意事項
町の開業獣医さんの多くは、遺伝性疾患についてあんまり詳しくありません。
生物の遺伝に関することは大学で習っているはずなのに、
当HPでも紹介しているシドニー大学のリストにある病気ですら、
遺伝性疾患と知らなかったり違うと思い込んだり気付きもしなかったりします。
(なので余計、獣医師という職業の人間は、愛犬の繁殖に関することの相談相手にはなり得ません)

管理人は獣医師ではないので獣医師向けの研究会の内容などはもちろん知りませんが、
動物看護士向けや動物取扱業者向けも含め(民間資格や会員資格所持)、
一般飼い主が参加入場可能な獣医療セミナーや講演会の類に多数出席し現状把握に努めています。
時にはセミナーを聞くためだけに用事をうっちゃって飛行機に乗ります。家族には内緒です
それらの経験も含めた現時点での意見としては「開業獣医は遺伝病に明るくない」と感じています。
ともあれ、日本の獣医さんたちには、がんばってほしいと思っています。


[NEXT]クリックで病名一覧翻訳へ


◎著作権は当HPの管理人にありますが、個人的使用の範囲(商用除く)での本ページの文章の引用・転載などはURL明記の上ご自由にどうぞ。
元々自分のメモとして作っているページなので、ある日突然文章の一部をちゃっかり直したり、内容をガラっと変える可能性はあります。
また本ページへのリンクは自由ですがURL変更はあり得ます。引用・リンクどちらも連絡不要です。
ご意見ご質問ご相談はmixiメッセージをご利用ください。mixiID 2800858
またはブログのコメント欄へ(どの記事でも構いません)。犬と犬と犬とワタクシ
素人なので病気の詳細や治療に関することなどはお役に立てませんが、犬の繁殖計画の中の遺伝相談はどなたでもお気軽にお尋ねください。
ページ作成 2006年1月  最終更新 2017年4月