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『e−konの写真帳』
<2009.3.29公開>
<2008.6.8公開>
<2008.5.23公開>
<2008.1.14公開>
<2007.12.2公開>
<2007.10.14尾羽梨分校校舎など一部写真追加(kotaro氏撮影)>
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#194 ‘帰郷(秋の加須良)’
何かと慌ただしく過ぎる毎日、そうした中、約1年ぶりに富山県との県境にある、かつての秘境の地『加須良(岐阜県白川村)』を訪れた。こういった所へは単独による訪問がほとんどなのだが、今回は、かつて『加須良』にお住まいだった二人の方と、その方を紹介いただいた方のNさんの4人での訪問。加須良のお二人のうちの一人は今も白川村にお住まいであるが、もう一人の方は加須良を離れて実に40数年ぶりの訪問になるという。今回の『加須良』行き、私にとっては訪問であるが、お二方にとっては帰郷という表現のほうが正しいのかもしれない。
庄川の支流、境川の上流に向かって車を走らせる。10月末の周辺の山々は、木々の色づきはあるものの紅葉の最盛まではあともう少しという感じ。昨年は11月の初めと中旬に訪れているが、その時に比べると山の色はまだまだ緑が多い。舗装路の終点にある橋を渡り、加須良へと向かう林道入り口付近に車を停める。昨年もそうだったが、今年も境川ダムの水位が下がり、かつての『桂(越中桂)』集落の石垣などが姿を見せている。ダム底に沈んだ集落跡はこうして時折姿を現し、生活在りし頃の面影を訪れる人々に感じさせてくれる。桂といえば富山県上平村立西赤尾小学校桂分校の教員をされていた寺崎先生の書かれた「さよなら、桂(寺崎満雄:著/桂書房)」を思い出す。小高い山をはさんだ加須良と桂の二つの小さな合掌集落は、秘境の地で一心同体で歴史を歩んできただけあり、お互いに助け合い交流も深く、今回同行された方も桂のことを当然よくご存知だった。桂の集落跡の石垣を見て「そこは〜さん、その向こうは〜さん」というように詳しく教えてくれる。桂分校の位置も「この指の先の方にあったんですよ」と、迷うこと無くすぐに指差す。私の眼には石垣しか見えない泥色の荒涼とした風景でも、この方には桂の合掌集落が当時のまま浮かんでいるはず。橋から乗り出すようにして眺めるその姿に、そのことを強く感じたりした。
橋の上からしばらく桂集落跡の写真を撮る。その間、加須良にお住まいだった二人は林道を歩いていくという。お二人の姿が、林道脇の長くのびた草木で見えなくなると間もなく、二人の歌声が聞こえてきた。加須良で田畑の仕事をする時に一緒に唄った歌なのだろうか、私には何の歌なのかはわからなかったが、故郷への懐かしさと,久しぶりに出合えることへの喜びに溢れた歌声だ。「ほんとうに楽しそうですね」というNさんのことばに大きくうなづく。 加須良に向かって車を走らせる。思ったより早い車の迎えに少し残念そうなお二人を車に乗せ、林道をゆっくりと進む。峠を越え加須良に近づく。その間「わあ、山のにおいやわぁ。加須良のにおいがする」の声が何度か聞かれる。そして集落跡に着き、蓮如上人の伝説のナラカシワの木の前に車を停める。40数年ぶりに踏みしめる故郷の地。「わあ、加須良のにおいやわぁ。なつかしい、ホンマになつかしい・・」と加須良の空気を大きく吸うその姿に、40年ぶりの帰郷の喜びや感動、積もりに積もった望郷の思いなどが、加須良の澄んだ空気の様にストレートに私にも伝わってくる。
お二人はまず、離村碑の横のお地蔵様へ向かい、新調された赤い前かけと後ろかけ??と帽子を地蔵様に着ける。長い歴史の間、加須良そして桂の人々に大切にされ、秘境の集落を見守ってきた地蔵様。祠が狭いため手が後にまわせず、前かけがうまく結べない。そこでよそ者の私ではあるが、地蔵様を「よっこらしょっ」と少し前へ動かし、前かけのひもを背中で結ぶ。ほんの少しのお手伝いであったが、何か妙に素朴な嬉しさを感じたりする。色鮮やかな真新しい衣装に身をつつんだ地蔵さん、これから迎える寒い冬を前にしてきっと喜んでいるに違いない。その地蔵様に改めて4人は合掌。
この日、4人で過ごした加須良での時間はそんなに長いものではなかった。しかし故郷の地でのお二人の姿に、他では決して得ることのできない多くの感動をいただいた気がする。また故郷を語り、故郷にふれる際に見たお二人の涙からは、たとえ荒れ地に姿を変わろうとも、何十年という年数がたとうとも、決して変わることの無い故郷への思いの深さや愛情を強く感じた。それとともに今の時代に失われつつあるものの大切さを、お二方から改めて感じたりもしたのである。この二日間の加須良への旅については、改めてご紹介できればと思っている。
<2009年11月9日>
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2005.7.6公開 |
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