

| 自民党が選挙で大敗して、安倍さんも退陣したということで一年七ヶ月ぶりに『「愛国心」法律による押しつけ反対!』の文字を外しました。しかし、愛する事を強制するという考えには今も断固反対です。人や何かを愛する心というのはゆっくりと育てるものであって、暴力や法律で押しつけるものではありません。 それからアンケートを一時休止にしたり、別館梦幻堂の一枚の写真をまとめた「一枚の写真館」の頁を作りました。 |
2007.11.5
| 久々に新選組を描いたドラマを見たのでこちらに書こうと思います。今回見たのは二夜連続で放送していた「輪違屋
糸里〜女たちの新選組〜」です。主役は遊廓の天神である糸里で、上戸彩さんが演じていました。見る前は上戸さんが演じるのは遊廓で最上位の太夫だと思っていたので、それはちょっとまだ貫禄が足りないのでは……と思っていたのですけど、ドラマのほとんどの部分では太夫の次位である天神だったので、心配は杞憂に終わりました。糸里が好きになる土方歳三を演じたのも現代劇俳優の伊藤英明さんだったので全体的に時代劇味は薄かったですが、それはそれでうまくまとまっていました。本物の時代劇俳優の間に現代劇俳優がぽつんと入ると、かなり浮いてしまう事があるので……。 でも、今回の土方歳三はずいぶん史実と違う感じに描かれていました。特に気が付いたのは三点。まず、伊藤さんの土方はずいぶん粗野でしたが、実際の土方さんは「近藤や土方は鬼のような乱暴者と思われているが、常日頃はにこにこした温和しい人で、それでよく物のわかった人だった」(会津藩士・野出蕉雨)「土方は近藤と共に名高いが、此の人は温厚の君子人で(以下略)」(新選組隊士・千葉彌一郎)というような証言も残っているそうで、普段はもっと物腰の柔らかい人だったのではという事(ただしたまに怒ると近藤勇よりも凄かったと言ってる人もいますが)。二つ目はこのドラマでは随分女性に厳しいというか、利用したり、恐れたりしているように描かれていますが、実際は女性には優しい人だったと思います。容貌が役者のような二枚目という事で若い頃からモテましたし、お姉さん子だった事も影響があったのではないかと。三つ目は、土方さんがいくら好きな女性との事があるとは言え、「百姓に戻る」なんて言うはずがないという事です。生家が豪農ですから百姓を卑しんでいたとは思えませんが、自分は百姓や商人は性に合わないと思い詰めて、結婚もせず、京都に上ってきたわけですから……。それに近藤さんをほっぽりだして自分だけ江戸に帰るなんてありえません。あ、四つ目ありました。伊藤さん、でかすぎます(笑)。芹沢より大きい土方って(笑)。 まあフィクションだから構わないのですけど、これぞ土方さんだ……と思えるほどはまってはいなかったなーというのが本音です。 このドラマでは糸里の他にも女性がしっかり描かれていて、中でも中嶋萌子の演じたお梅を筆頭に、八木家のおまき(池上季実子さん)、前川家のお勝(浅田美代子さん)が印象が強いです。お梅は最初ちょっと淡泊すぎる雰囲気の人だなーと思いましたが、後半、大変な力演でした。前川家のお勝も、いつもバラエティでとぼけた事ばかり言っている浅田美代子さんがしっかり演じている!と申し訳ないですけど驚いてしまいました(笑)。池上季実子さんは本当にカツラが似合っていて、遊廓の女性に比べれば地味ながら美しかったです。でも美しいといえば、小田茜さんの演じた音羽太夫!話し方も非常に艶っぽく、太夫らしい貫禄もあって見事でした。 あと面白かったのは新選組を描いたドラマや映画であまりクローズアップされない人々が目立っていた事。特に平間重助なんていつもは全然印象に残らない人がかなり長く出ていたので、これから平間といえば温水洋一さんの顔が頭に浮かんでしまいそうです(笑)。山本太郎さんは平山五郎を演じていましたけど、大河ドラマでは原田左之助をやっていたのでその印象が拭えず混乱しました(笑)。斉藤一はイメージしていたよりかなりごつい人で、山口馬木也さんが演じていましたが、この人、なにかで見た事があるんですが思い出せません……。あ、NHKの木曜時代劇「柳生十兵衛十番勝負」?近藤勇は的場浩司さん、芹沢鴨は中村獅童さんで、「何故ー!?」という配役でしたが、それなりに馴染んではいました(笑)。でも伊藤さんがでかすぎてバランスがとれていませんでした……(笑)。 それから素朴な疑問として、拍手の習慣は幕末からあったのでしょうか?糸里が太夫になって道中に出た時、わーっと拍手が起きましたが……。あまり時代劇ではされない演出だったので違和感がありました。 エンディングでは平原綾香さんの「シチリアーナ」という曲が流れました。大体、時代劇に歌謡曲を使うのは合わない場合が多いのですが、この曲はとても哀しくて、幕末という時代の激しい流れに巻き込まれた人々の哀しみが伝わってくるようでした。新選組の面々も、討幕派の人々も、自分の欲の為に刀をふるった事もあれば、本気で人の為、日本の為にと思って刀をふるった事もあったでしょうね……。 もう一つ思い出しました。眼鏡屋の窓の外の風景が絵だったのにはかなり驚きました(笑)。昔の時代劇でも空が絵だったりして驚いた事がありましたが、町並みを絵ですませるってあるんですね……(笑)。 |
2007.9.21
| 別館「梦幻堂」の方の週一日記はなんとか続いているのですが、今回は日本史好きの方にも有益な情報だと思うのでこちらに書こうと思います。 国土交通省が試験的に行っている地図情報提供サービスで「国土情報ウェブマッピングシステム」というホームページがあると知り、航空写真が見られるというのでずっと気になっていたのですが、遂に見てきました!私は父の実家のある地域を閲覧したのですが、大きなサイズの写真で見ると父の実家の屋根が見えるのです!蔵や納屋、おそらく塀と思われる物も何とか確認できます。前に行った時に散歩した池や新宅(と親戚の間で呼ばれている分家)も写っていて、ここをこう歩いたのか〜!と初めて理解できました。いつも駅から車で移動でしたし、散歩にしても私はほぼついていくだけなので、この写真を見るまでどういう位置関係にあるのかまったく分かっていなかったんですね……。村の鎮守である神社や、祖母の実家との位置関係も初めて分かりました。父の実家の裏手にある池より、祖母の実家の前にある池の方が大きかったとは……。本家跡もここが跡地だろうという区画がはっきり分かって興味深いです。 田舎だと地図を見てもあまり詳細には書いていない事が多いので、航空写真というのはかなり面白いです。ただ閲覧できるのは昭和50〜51年の物なので、建て替えの激しい都市部などは今とは全然違っているかもしれません。私が見た地域は想像以上に水田が多く美しい風景でしたが、父の実家も農家を廃業しましたし、今はもっとずっと水田が減っているかもしれません……。 場所の確認の為に父に見せると「おー、家の前をまっすぐ行ったここの山も家のものだったんだよ〜」なんて言っていて、都市部とのスケールの違いに驚きました(笑)。父の実家の辺りは背後にほぼ山しかなくてすごい田舎だと思っていましたが、航空写真で見るとそこはまだ平地に近い方で、南西に目を転じるとそれこそ本当に山裾に一軒だけ……という状態の地域が……。山中の深い森の中の一本道も写っていたりして、なんだか感動しました。そういう所はほとんど行った事がないので……想像しただけでわくわくします。けど、行ったら遭難間違いなしで他人に迷惑なので行きません(笑)。 この航空写真、いろいろ使えそうです。鎌倉とか京都とか平泉とか、普通の地図ではイメージしづらい地形や地図に特に書き込まれないただの荒れ地など、写真だと面白い発見があります。興味のある方は検索サイトで「国土情報ウェブマッピングシステム」を検索してみて下さい。 |
2007.1.22
| トップページに『「愛国心」法律による押しつけ反対!』という文字を書いてみました。政治活動とか、集団でのデモとか、個人的に苦手でそういう団体ともお近づきになりたくないので普段はこのホームページでも政治的な話はあまりしないようにしているのですが、最近の新聞やニュースを見ていて、この法案には我慢ならないと思ってちょっと書いてみることにしました。 知らない方の為に簡単に説明しますと、今回私が問題視しているのは教育基本法の改正にあたって、自民党が「愛国心」を条文に入れろと言っている事についてです。理由としては「今の若者には国を愛する心がないから」だそうです。でも、強制的に愛せと言われて愛せるものでしょうか?私だったらむしろ引きます。私は神社仏閣巡りをしたり日本史のホームページを作るほど日本文化が好きですし、君が代もいいメロディだな〜なんて思っていますが、法律で強制されるのはご免です。全国の学校の卒業式でも、君が代の時に立たなかったとか歌わなかったとか、それで罰するというのは明らかに行き過ぎです。誰の為の卒業式なのでしょうか……。もし「愛国心」が条文になれば、ますます君が代の強制も強まる事は間違いありません。歌いたい人は歌う、君が代に反感のある人はその間しずかに待つ、私はそれで充分だと思います。 私は戦争経験のない世代ですが、第二次世界大戦で「愛国心」の強制のもとに、どれだけの一般人が戦争に行かされ、死んでいったか……それを考えると、とても今回の自民党の意見に賛成できるものではありません。国を愛する心を育てたかったら、法律で強制するのではなく、政治家が自らの不正を正し、教師や警察官が自分の仕事の重大さを痛感して、子どもや若者の憧れとなるよう努力していくべきだと思います。そういえば私も憧れた先生や政治家は一人もいません……。政治家が尊敬されるような政治をしていれば、若者も国を信用して、後々は愛するようになっていくと思うのですけど……。 そういえば、自民党は「宗教的情操の涵養(かんよう)」も入れるよう求めていたんですよね……(しりぞけられましたけど)……どう考えても信教の自由を侵しています。それにそういうのは、学校じゃなくてお坊さんに頑張ってもらわないといけないのでは(笑)。お葬式したり、一方的に説法するだけじゃなくて、悩む人々の相談にのってあげていれば、「この人すばらしい!」→「さすがお坊さん!」→「仏教っていいかも!」となる……かもしれません(笑)。あ、でももしかして自民党が言いたいのは仏教じゃなくて神道なのでしょうか……でも神道だとお参りしてお守り買うくらいしか一般人にはやることがありませんよね……後はお祭りで盛り上がるくらいでしょうか(笑)。 最初にも書きましたが、政治活動やデモなど団体行動は嫌いなのですが、こんな法律が通っては大変と思い、とりあえず自分にできる事はと考えて、ここに書いてみました。 早く、こういう内容でなく更新したいのですが、なかなか時間がとれないので、別館<梦幻堂>の日記だけは定期的に書く事にしました。とりあえず毎週水曜の夜に本や歴史、神社仏閣に関する話題を書いています。 |
2006.4.5
| 別館・梦幻堂の方で紹介した中津文彦著「闇の弁慶 花の下にて春死なむ」という小説ですが、発想はなかなか面白いし、同時代を違う角度から何冊も書いている著者ということで読み比べの楽しみもあるということで紹介しましたが、どうしてもひっかかった所が一カ所。弁慶が策略の為に京の町へ放火を指示するくだりなんですが、戦に直接関係を持てない町衆を数千人も平気で焼死させておいて、平家への公憤もへったくれもないような気がするんですが……。これが生まれながらの貴族で侍も犬くらいにしか思ってないような公卿がやったことなら理解できるんですが、日々大変な生活をしている庶民を間近に見ているはずの弁慶が、となると素通りできません。これでは弁慶は、公家以外は人とも思わない公家の狭い社会の中での正義感に洗脳され、走狗として使われただけになってしまいます。弁慶を義経の忠臣ではなく、一人の人間として描いた所は面白かっただけに、ここで魅力が激減してちょっと勿体なかったと思いました。 |
2005.4.5
| 今月は五周年ということできちんとした更新をしたいと思っていましたが、なんとか人物紹介に頼朝の兄弟で未紹介の内三人を載せることができました。今回いろいろ調べていて気付いたのは、頼朝の兄弟は血の気が多い人とそうでない人との二つに分けられるということ。猛々しい分類には長男・義平、八男・義円、九男・義経の三人。大人しい分類には二男・朝長、三男・頼朝、五男・希義、六男・範頼、七男・阿野全成。四男・義門は全然資料がないのでここでは除外するとして、こうして分類してみると意外にも猛々しい人が少ないのが興味深いです。希義は頼朝に同調するかもという危惧を抱いた平家にあっさり討たれてしまいましたが、これが義平のような激しい性格だったらそう易々とは死なず、なんとしてでも生き延びて兵を挙げ、頼朝と合流したのではないでしょうか。もしそうなったら、同父同母兄弟で年齢も近い兄弟としてがっちり手を組んで源氏全盛時代を再び作り出し、後に北条氏に幕府の実権ととられるなんて事にはならなかったかもしれません。でももし希義が激しいだけでなく野心の強い人間だったら、武士の棟梁の立場を賭けて頼朝と血で血を洗う骨肉の争いを繰り広げていたかも……そうしたら頼朝対義経以上の戦いになったに違いありません。希義の母親は頼朝と同じ身分の高い女性ですから、頼朝さえいなければ義朝の嫡子だったわけで……もしも、もしも、と空想は尽きません。 |
2005.2.28
| 早いもので、古今夢想も今日で五周年を迎えました。史跡の写真だけだった当初と比べると内容が随分充実しましたし、いろいろな所からリンクして頂いたりして訪問者の数も増えました。ただ、掲示板に感想の書き込みがあまりないので、どんな頁が必要とされているのかよく分からないのがもどかしいです。掲示板はちょっと書き込みづらいという方は、ぜひアンケートに答えてもらえると更新の励みになります。 今年は大河ドラマもやっていることですし、二ヶ月に一度くらいは更新していきたいところです。 |
2005.2.5
| 偶然NHK土曜スタジオパークの番組内で来年の大河ドラマ源義経の撮影風景の映像を見ました。義経に滝沢秀明さんってどうなんだろう、と思っていましたが、直情型でどこか人を惹き付ける所があって、だけど真っ直ぐ過ぎる故に他人の嫉妬や疑心暗鬼や策略を理解できない無知な所や、頼朝を警戒させた勢いの良さなど、義経という人間の長短を両方とも演じられるのではないかと感じさせる雰囲気があって、期待したくなってきました。 |
2004.9.11
| NHK教育テレビの「高校講座 歴史でみる日本」を何気なく見ていたら、北条政子は征夷大将軍の任命こそされていないものの、八年間幕府を統治した将軍として当時から認識されていたそうで、ある文章(書き留められませんでした)にも源実朝と頼経の間に記されていたそうです。日本の社会は「トップは男性」というのが常識で、女帝も認められていませんし、最近の女性の管理職進出にも障害が多いようなので、それから考えると中世に女性がトップに立っていたというのは驚きでした。尼将軍というのは単なる名目や例えではなかったんですね。最初は実朝の急死後の間に合わせとして職務についたとしても、八年間も治めたという力は大変なものですし、現在、総理大臣が急病で職務を退いても女性の総理大臣が生まれる可能性が限りなくゼロに近いことを考えると、やはり目を見張る事実です。 |
2004.6.17
| 読書系サイト別館<梦幻堂>を先月末にオープンしました。<古今夢想の書斎>が歴史関係の書籍のみを扱っていて、時代や題名、著者から閲覧者に選んで紹介を読んでもらうという、どちらかというと歴史中級者向けの頁であるのに対し、<梦幻堂>は歴史に限らず管理人が面白いと思った本を一度に四〜五冊ずつ紹介していこうという、軽い読み物みたいな頁にしたいと思っています。<梦幻堂>の更新情報は古今夢想のトップページには記載しませんので、いち早く更新情報を知りたい方はメールマガジンに登録してください。 |
2004.6.12
| 先日消えてゆく地名について書きましたが、渋谷区では逆に消された地名を復活させる検討を始めたそうです。住人の入れ替わりの激しい渋谷だからこそ、古い歴史のある町名を復活させることで町に少しでも愛着を持ってもらおうという狙いもあるのだとか。役人の思惑はともかくとしても、古いものを何でもかんでも捨てていくという風潮が少しでも改まってくれると嬉しいです。 |
2004.6.3
| 松本幸四郎、市川染五郎主演だということでちょっと見てみようと見始めた、時代劇アワー「父子鷹-おやこだか-」。結局録画して最終回まで見てしまいました(笑)。再放送だと思うんですが、何年くらい前に制作されたドラマなのかはちょっと分かりません。勝小吉と勝麟太郎(後の勝海舟)親子を中心にしつつ、分かりやすい話の展開は一時間時代劇らしく一話完結で結構面白かったです。 |
2004.5.20
| いつの間にか修善寺町も土肥町もなくなり伊豆市に合体していた事を知りショックを受けました。二つとも源平にとても関わりの深い名前。ここ数年、利益の為の市町村合併が相次いでいますが、地名の消失はその土地の歴史の記憶を薄れさせていくといいます。町が財政難でどうにもたちゆかない等の理由がない限り、もっと地名というものの意味や歴史を考えて大切にしてほしいです。 |
2004.5.11
| 来年の大河ドラマ「義経」の主要な配役の発表がありました。主役は滝沢秀明さんということですが、弁慶がなんと松平健さん。そして心配だった源頼朝は中井貴一さんだそうで、これはかなり嬉しいです。滝沢さんと比べるとちょっと年齢が離れ過ぎている気はしますが(頼朝と義経の実際の年齢差は12歳です)、現代劇でも時代劇でも堅実な演技を見せてくれる中井さんなら頼朝が単なる憎まれ役に落ちることはないでしょう。去年の大河「武蔵」で演じた柳生宗矩も抑えの利いた良い演技でした。他に気になった配役としては、源範頼に石原良純さん、義経の妹に後藤真希さんの二人で、石原良純さんは演技を見たことがありませんが偉大な兄弟に挟まれて右往左往した範頼役ということでどんな演技を見せてくれるか楽しみです。やはりちょっと年齢が上過ぎる気はしますけども。後藤真希さんは正直に言って不安です……本人は勿論、ハロプロ系のアイドルの演技で良いものを見たことがありません……大河ドラマに違和感なく溶け込んだ演技をなんとか頑張ってほしいです。 |
2004.4.21
| NHK教育テレビの新日曜美術館で平治物語絵巻のデジタル再現をしていた回の録画を見ました。これがただカラーにするだけではなく、平清盛の出陣や源義朝の逡巡する様子が動画にされていて非常に面白かったです。美術番組で一回しか放送しないのではもったいないくらいの映像でした。 |
2004.3.17
| 書斎を更新するのに、七年前に読みながら内容をメモしていなかった「神道と日本人」(豊田有恒著)を再読したのですが、これが分かりやすくてかなり面白かったです。題名通り、神道と日本人の深い関わりを様々なエピソードから見ていくという初心者にも面白い内容で、高校生ぐらいの学生さんや、宗教をまったく分からないまま大人になってしまったけどちょっと興味はある、という人にもお薦めです。 |
2004.3.16
| 西行と言えば、願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃、の歌が有名ですが、意外にも平清盛と同時代を生きた元武士なんですね。それに思い至ったのは嵐山光三郎の「西行と清盛」という小説の題名を見たからです。歌僧と平家の棟梁という組み合わせに面白さを感じて読んでみたのですが、源平の争乱を平家とも源氏とも一歩離れた視点から眺めていて、小説ではありますが、源平の時代を武士とも貴族とも違う立場から描いた興味深い本でした。清盛はそれほど描き込まれてはいませんでしたが、西行と対照的な性格の持ち主という重要な役どころでした。ただ惜しいのは西行を付けねらう刺客が一時間時代劇に出てくる悪役のような軽々しい人物造形だったこと。明らかに倒される為に出されたキャラクターという感じで折角の堅実で地味な歴史小説の雰囲気を壊していました。 |
2004.3.3
| 書斎に載せておきながら詳細を書いていなかった「サムライ講座 幕末人間学」(童門冬二著)の紹介文を書く為に、八年半ぶり再読してみました。最近映画の効果で武士や侍という存在が注目されて、その精神性をやたら美化しているように感じますが、それで武士に興味を持った人に読んで欲しいのがこの一冊です。新渡戸稲造は武士道をキリスト教的精神と結びつけて欧米に紹介したようですが、この本を読めばそんなきれい事ばかりで武士なんかやってられなかったことが分かります。大事の前の小事、と利用した人を見殺しにする武士もいれば、ここで戦うのは間違っていると気付きながら周囲の勢いに押されて死地へ向かう武士、改革の為には暗殺が手っ取り早いと考える武士……「士道に背くまじき事」とは新選組の局中法度ですが、「士道」は本当に漠然としてつかみ所がない言葉です。土方歳三に訊くことができたら「格好悪いことをするなってことさ」などと軽く言われそうですが(笑)。なんとなくこうじゃないかという考えはあるんですが、武士の立場は時代や地域によって変わるのでこちらにはあてはまるけどあちらにはあてはまらない、ではあちらは武士ではないかというとそうとも言い切れない、という状態になってしまいます。 話は戻りますがこの「サムライ講座 幕末人間学」は様々な武士を語ると同時に、幕末の歴史が結構よく分かって面白いです。今回始めて思ったのが、幕府の一番の失策は攘夷派の口車に乗って病弱な十四代将軍家茂を京都まで行かせて、むざむざ病死させてしまったことではないでしょうか。源頼朝が内心では京都の華やかな文化に思いを寄せながらもあそこまで上京することに慎重だったことと照らし合わせても、権謀術数に長けた健康な将軍ならいざ知らず、若い虚弱な家茂を京都に送り出したのは取り返しのつかない失敗だったと思います。もっとも、攘夷派の言葉に逆らえなかったことが既にどうしようもない幕府の力のなさを露呈していたという見方もあると思います。一方で攘夷派が寺田屋事件や池田屋事件、八・一八の政変に禁門の変を乗り越えて勝利した一番の要因は恨みを捨てて薩摩と長州が手を組んだことで間違いないでしょう。その場を準備した坂本竜馬や中岡慎太郎という土佐藩の二人はその後一緒に暗殺されてしまってなんとも不幸なわけですが……。 今まで攘夷派のことは、散々「外国を打ち払え!」と幕府に文句を言いながら政権をとった途端にころっと主張を変えて開国してしまい、邪魔な奴は暗殺してしまえという幕末の志士の考えが明治になってからも暗殺を誘発し、その後戦争戦争また戦争でついには原爆を落とされるような政治を展開していく土壌を作ったのでは、と思って嫌いだったんですが、改めて読んでみると攘夷派と言ってもその中に含まれる人は様々で、独自の理念を持ちながら明治維新の前に死んでいった人も多いことを考えると維新後のやり方をみて一括りに攘夷派として判断するのは良くないと思うようになりました。でも西郷どんと大久保利通はやっぱり嫌いですけど。そういえば、人斬りといえば岡田以蔵や田中新兵衛が思い浮かびますが、伊藤博文(当時は俊輔)もそうなんですね。温厚なイメージがあったので意外でした。 |
2004.2.8