*1?蒿 (インチンコウ)  Artemisiae Capillari Flos
2002.3.17
 
キク科(Compositae)のカワラヨモギArtemisia capillaris Thunb.の頭花。中国では幼苗を用いる(綿茵陳と称する)。精油、クマリン類、クロモン類、フラボノイドを含み、胆汁分泌促進作用がある。消炎性利尿、利胆薬として、黄疸、伝染性肝炎などに応用する。
 
茵?とは陳き株より毎年必ず生ずるよもぎに似たる草という義なり。
かわらよもぎの茎葉、市販品は大抵かわらよもぎの實にして、類褐黄色芥子粒大なり。
全草に一種の不快ならざる臭気あり、味収斂性なり。(新古方薬嚢)
 
[起源]中国産;キク科カワラヨモギの幼苗を乾燥させたものを正品とする=綿茵ヘ
    日本産;キク科カワラヨモギの花穂または帯花枝葉を乾燥したもの
    韓国産;キク科イワヨモギの茎葉を乾燥したもの
 
本草綱目「集解」
☆茵?は、太山、及び丘陵、坡岸の上に生じる。5月、立秋に採って陰乾。      『別録』
☆茵?は、諸処にある。蓬蒿に似て葉は緊って細く、秋後に茎は枯れるが冬を経て枯れず、春になる     と生える。                              『陶弘景』
☆茵?は、葉は青蒿に似て背面が白い。                      『韓保升』
☆茵?は、和州、及び南山の嶺上に生じる。一名石茵?。               『大明』
☆茵?は、近道いずれにもあるが、太山のものの佳きに及ばない。蓬蒿に似て葉は緊って細く花・実はない。5月・7月に葉・茎を採って陰乾する。これを山茵?といっている。山茵?には数種類ある
  ○山茵?
     1,卞京及び北地で用いているものは、艾蒿ようで葉が細く背が白く氣はやはり艾のよう       で味は苦い。
2,江南で用いるものは、茎、葉すべて家茵?に似て大きく、高さ三四尺あり、氣は極  めて香しく味は甘く辛い。俗に龍脳薄荷。
3,呉中で用いるものは、あれは石香柔で、葉は至って細く黄色だ。味は辛く甚だ香烈  で性の温なるものだ。
これらを本草の記載に照らし見るに、本草には茵ヘ蒿とあって山茵?とはないが、註にに「葉は蓬蒿に似て緊って細い」とあるのだから、1、に該当する。しかし、大體世俗の方では、山茵?を、體(腦)痛を療じ、傷寒を解し、汗を発し、肢節の滞気を行り、痰を化し、膈を利し、勞倦を治する肝要のものとして用いているが、本草の本文は、茵?はだた、黄疸を療し、小便を利すとあって世俗と一致しない。現に実験に依れば、卞京で用いる山茵?は、肌を解し、汗を発する薬としては釈然たる効が少なく、江南の山茵?は、傷寒腦痛を療する点においては、非常に優れた効力がある。効力の点からは2,が優れている。ただ、その効力については本草経に記載されていない。     「頌」
 
 
各時代の本草書について検討すると、日本では、茵?蒿にカワラヨモギを当て、形態は類似していてもクソニンジン(黄花蒿・ニガナ)カワラニンジン(青蒿)、オトコヨモギ(牡蒿)などは茵?蒿としては用いないことが挙げられている。採集時期については一定していないが、5月と立秋とするものが多く、色、香りの良いものが良品としている。
 
☆ヨモギ属植物におけるcapillarisinの分布
 ヨモギ属植物は北半球に約200種、日本に約30種が知られ、またカワラヨモギの近縁種としてはオトコヨモギ、ハマヨモギ、リュウキュウカワラヨモギなど数種が挙げられている。これら近縁植物の薬用部位である花蕾の形態は非常に近似していて、カワラヨモギ以外の植物が茵?蒿として誤って用いられる危険性は非常に大きい。
ヨモギ属植物49種の花蕾80検体について成分の比較を行ったところ、capillarisinは、カワラヨモギのみから検出され、特有の成分であることが解った。
 
採集時期
植物成分は、採集時期によって異なることが知られている。
capillarisinの含量は、開花初期(9月上旬)、esculetinは、盛花期(9月中旬)がピークで、その前後には急速に増減する。日本では、通常花蕾が用いられ、色、香りの良い初秋のものが良品とされているが、これらの採取の時期は、含量の多い部位、時期と一致している。
 
☆茵?蒿の薬理
精油:β-pinene, capillarin, capillin, capillen, capillone, o-methoxycapillen, capillanol, norcapillen, neocapillenなど       
クロモン類:capillarisinなど
フェニルプロパノイド類:capillartemisin A, Bなど
クマリン類:esculetin 6, 7-dimethyl ether(scoparone)など
フラボノイド:cirsilineol, chrysoeriol cirsimaritin, isoarcapillinなど
 
茵?蒿の熱水抽出エキスに利胆作用ならびに腸管運動抑制作用があり、その作用成分として融点145度の無色針状結晶、6.7ジメチルエスクレチンを認める。
また、別の実験で、カワラヨモギからも同じ成分を単離し、利胆作用があることを証明している。
利胆作用は黄疸の治療と関連するものであるが、この成分は、カワラヨモギ以外の他の複数のヨモギ属植物、ミカン科、セリ科の植物界に広く分布し、これらの植物は従来から黄疸には使われていない。また、カワラヨモギにはβ-ピネン、カピリン、カピレン、カピリオーネなどの精油成分があるが、黄疸との特徴的な関係を説明するに足る成分は未だ明らかにされていない。
また、茵?蒿の微生物に及ぼす影響について、特異な作用を有することが解っている。
大腸菌にクロラムフェニコールを作用させ、その生育を50%程度に抑えておく。
いわば、大腸菌を病的状態におくわけである。このような状態に対して生薬エキスがどのように作用するかをスクリーニングすると、黄連、桑白皮のような生薬は抗生物質の働きを増強し、微生物の増殖を抑制した。大多数の生薬は微生物の成育にほとんど影響を与えなかった。しかし、茵?蒿は、大腸菌の生育を正常に近い状態にもどし、あたかも抗生物質に拮抗するかのように作用した。CPと拮抗したのか、CPの吸収を抑制したのか、タンパク合成を促進したのかは明らかでない。ただこれは、茵?蒿特有のものであり、薬能を説明しうるものではないだろうか。
黄疸は体表に変化が見られるところから、古くから薬効の判定は客観的に行われてきた者と推察される。東洋医学と西洋医学では、黄疸に対する病理感が異なるが、茵?蒿は両者の相違を超えた薬効を有する。 漢方の臨床から(後藤実)
 
●循環系に対する作用:6, 7-dimethoxycoumarinはラット摘出心臓に対し、冠血管流量及び心拍数の有意な増加を示した 1)
●血管拡張作用:scoparoneは、ウサギ胸部大動脈より摘出した血管平滑筋のnoradrenaline, sero-tonin, angiotensin II, histamineにより惹起される収縮を抑制した。また大量ではニフェジピン抵抗性のカルシウム収縮を抑制した2)
●脂質代謝改善作用:茵?蒿のエキスには総コレステロールの上昇抑制、HDL-コレステロールの低下傾向及びトリグリセライドの著明低下が認められた3)
●肝障害改善作用:capillarisin, scoparoneなどは、マウスのCCl4ならびにガラクトサミン肝障害の改善作用を示した4)〜6)
●利胆作用:茵?蒿煎液、水製エキス、scoparone, capillarisin, capillinは、各種動物で胆汁分泌促進作用が認められている7)〜11)。また、茵?蒿水製エキスならびにscoparone, capillarisin, capillartemisin A, Bは、胆嚢ならびに胆管終末部の平滑筋を直接弛緩させる作用を示した12)〜16)。capillarisinはアセチルコリンの作用抑制および神経終末からのアセチルコリンの遊離を抑制することにより、間接的に胆嚢、胆管終末部の平滑筋収縮作用を有すると考えられている13)。その他、ビリルビンとグルクロン酸の抱合を阻害して、血中ビリルビンを増加させるβ-glucuronidase活性を顕著に阻害する作用16)、毛細胆管域の代謝を活性化する作用も組織学的に認められている17)
●腸管平滑筋弛緩作用:scoparone, capillin, capillarisin, chrysoeriolに、モルモット盲腸より摘出した平滑筋のCa拮抗薬様の弛緩作用が認められている18)
●プロスタグランジン生合成抑制作用:esculetinには、ラット血小板ならびにラット腹腔内細胞のリポキシゲナーゼ阻害活性が認められる19)
●抗炎症作用:scoparoneは、比較的大量でラットの酢酸writhing反応、カラゲニン足蹠浮腫を抑制した20)。茵?蒿の水エキス、特にその成分4, 5-dicaffeoylquinic acid類には、強い3α-hydroxysteroid dehydrogenase阻害活性が認められている21)
●抗腫瘍作用:茵?蒿エキス、特にcapillarisinには、in vitroでMeth-A, L-929などの腫瘍細胞の用量依存的な増殖抑制作用が認められた。Meth-A移植BALB/cマウスに誘発した腫瘍特異型遅延型免疫反応に対し、増強作用を示した22)23)。またBLAB/cマウス脾細胞のPHA-Pによる幼若化反応を低濃度で促進させた24)。また、TNF産生におけるpriming活性を有することも示唆されている22)。一方メタノールエキスは、マウス骨髄性白血病細胞の増殖を強く抑制した。また、分化誘導作用を認めた25)
●酵素阻害作用:capillarisinはアルドースリダクターゼに対し阻害作用を示した26)
●抗菌作用:capillinは、白癬菌の生育を阻害する作用がある27)。茵?蒿のフラボノイド成分には、齲蝕をもたらすstreptococcus mutansの歯への付着を抑制し、その増殖を阻害する作用が認められている29)
●抗アニサキス作用:水エキスは、アニサキスI型幼虫に対し活動抑制作用を示した28)
1) 小林悟朗・他:和漢医薬学会誌根, 5, 390(1988)
2) Yamahara, J. et al. : Chem. Pharm. Bul., 37, 485(1989)
3) 前村俊一・他:和漢医薬学会誌, 4, 300(1987)
4) 木曽良信・他:日本薬学会第103年会講演要旨集,p.269(1983)
5) ヒキノヒロシ:薬学雑誌, 105, 109(1985)
6) Kiso, Y., et al. : Planta Med., 50, 81(1984)
7) 奥野 勇・他:Proc. Symp. WAKAN-YAKU, 10, 143(1977);生薬誌, 37, 285(1983);薬誌, 104, 384(1984)
8) 真下啓明・他:最新医学, 18, 1430(1963)
9) 木村正康・他:応用薬理, 1, 22(1967)
10) 油田正樹・他:薬誌, 96, 147(1976)
11) Komiya, T. et al. : Chem. Pharm. Bull., 23, 1387(1975)
12) 木村正康:Proc. Symp. WAKAN-YAKU, 10, 121(1977)
13) 中田敬吾・他:日薬理誌, 75, 107(1979) ; 和漢医薬学会誌, 1, 222(1984)
14) 竹田茂文・他:Proc. Symp. WAKAN-YAKU, 16, 146(1983)
15) 千坂武司・他:日本生薬学会第30年会講演要旨集,p.27(1983)
16) 林 利光・他:薬誌, 103, 1264(1983)
17) 伊原信夫・他:第17回和漢薬シンポジウム要旨集,p.142(1983)
18) 市川和雄・他:日本薬学会第105年会講演要旨集,p.470(1985)
19) 関谷敬三・他:Proc. Symp. WAKAN-YAKU, 16, 106(1983)
20) 山原條二・他:生薬誌, 35, 108(1981);薬誌, 102, 285(1982)
21) 人見康子,俣野 豊・他:日本生薬学会第34年会講演要旨集,p.16,17(1987)
22) 徐 強・他:和漢医薬学会誌, 2, 550(1985),3, 31(1986)
23) 森 裕志・他:和漢医薬学会誌, 6, 558(1989),8, 193(1991)
  ;Jpn. J. Pharmacol, 48, 37(1988)
24) 徐 強・他:和漢医薬学会誌, 4, 278(1987),6, 1(1989)
25) 梅原 薫・他:日本生薬学会第34年会講演要旨集,p.27(1987)
26) 山口琢児・他:和漢医薬学会誌,5,374(1988)
27) 今井統雄・他:薬誌, 76, 400,405(1956)
28) 安田一郎・他:第5回和漢医薬学会講演要旨集,p.168(1988)
29) Namba, T. et al:生薬誌, 38, 253(1984)
 
氣味
「神農本草経」(後漢30〜180年):苦、平
『名医別録』:微寒、無毒
『本草綱目』(1578):苦し、平にして微寒なり、毒無し
「湯液本草」(1597):苦、平 微寒 
「増補能毒」(1659年刊)長沢道寿(?〜1637):味は苦、性は平
「増補重校本草備要」(1728?):苦、寒
「薬徴」:苦、平
「中葯学概論」:苦、平 微寒
「中葯大辞典」:苦、辛 涼
「漢藥の臨床応用」:苦、平 微寒
「新古方薬嚢」:苦、平
 
帰経
  「増補能毒」:足の太陽膀胱経に入る
「湯液本草」:足太陽経に入る
「増補重校本草備要」:足太陽経に入り、太陰、陽明の湿熱を泄す
「中葯学概論」:膀胱経に入る
「中葯大辞典」:肝、脾、膀胱経に入る
「漢藥の臨床応用」:脾、胃、肝、胆経に入る
  
本草書による薬効
「神農本草経」:治風濕寒熱邪氣.熱結黄疸.久服輕身.益氣耐老.
『名医別録』:通身の発黄、小便不利を主治し、頭熱を除き、伏?*3を去る
「増補重校本草備要」:(通、利湿熱、治諸黄) 苦は湿を燥し、寒は熱に勝つ。足の太陽経に入り、           汗を発し水を利し、以て太陰陽明之湿熱を瀉す。疸黄を治する君薬為り。
           又傷寒時疾、狂熱瘴瘧、頭痛頭旋、女人?疝を治す。
「中葯学概論」:「効用」:清湿熱、利水道。「主治」:黄疸
「中葯大辞典」:清熱利湿、湿熱黄疸、小便不利、風痒瘍疥
「漢薬の臨床応用」:清熱利湿、退黄疸。
「藏器」:關節を通じ、滯熱を去る。傷寒にこれを用いる
「大明」:石茵?は、天行時疾の熱狂、頭痛、頭旋、風眼の疼き、瘴瘧、婦人の??、竝に閃損*2乏絶を治す
●茵?蒿、主治発黄也。(薬徴)
●茵?ハ凝滞ヲ疎利シ黄疸ヲ治スル効アルモノナレドモ云々(為方蜍驕@茵?蒿湯)
●茵?ハ黄疸ヲ治スルノミナラス停水ヲ利シ留飲ヲ治スル効アレハ云々(為方蜍驕@茵?五苓散)
●薬能:清熱利湿・退黄疸
●新古方薬嚢:皮中の鬱熱を発すること主る。故に黄疸を治す。
 
 
茵ヘ蒿を配合される処方(大塚・矢数処方集より)
○茵荊湯(聖恵)
 茵?蒿 荊芥 蒲黄 鉄粉各2.0 蒼朮 猪苓 澤瀉各3.0 茯苓5.0
○茵?蒿湯(傷)
 茵?蒿4.0 梔子3.0 大黄1.0
〔二三六〕陽明病,発熱汗出者,此爲熱越,不能発黄也;但頭汗出,身無汗,劑ハ而還,     小便不利,渇引水漿者,此爲U熱在裏,身必発黄,茵陳蒿湯主之。N
        茵陳蒿六兩 梔子十四枚 大黄二兩去皮 
        右三味,以水一斗二升,先煮茵陳,減六升,内二味,煮取三升,                ッ去滓,分三服,小便當利,尿如p莢汁状,色正赤,一宿腹減,黄從小便去也。
 
〔二六五〕穀疸之爲病,寒熱不食,食即頭眩,心胸不安,久久發黄,爲穀疸,茵陳蒿湯主之。
 ○茵陳蒿湯方
  茵陳蒿(六兩) 梔子(十四枚) 大黄(二兩)
   右三味,以水一斗,先煮茵陳,減六升,内二味,煮取三升,去滓,分温三服,小便當利,尿如   皀角汁状,色正赤,一宿腹減,黄從小便去也。
○茵?五苓湯(金)
 澤瀉6.0 猪苓 茯苓 朮各4.5 桂枝3.0 茵?4.0
 
〔二七〇〕黄疸病,茵陳五苓散主之。一本云:「茵陳湯及五苓散落蜚V」。
 ○茵陳五苓散方
  茵陳蒿末(十分) 五苓散(五分) 方見痰飲中
   右二味和,先食飲方寸匕,日三服。
 
○茵?散(回春)
 茵?蒿 枳實 梔子 厚朴 滑石各2.0 猪苓 澤瀉 蒼朮各3.0 茯苓5.0 黄連 燈心草各1.5
○茵?四逆湯(医塁元戎)
 茵?蒿2.0 乾生薑1.5 甘草1.0
○回春茵?散(回春)
 茵? 梔子 茯苓 猪苓 澤瀉 蒼朮 枳實 黄連 厚朴 滑石各3.0 燈心草2.0
○加味解毒湯(寿世保元)
 黄? 黄連 黄柏 梔子 柴胡 茵? 龍胆 木通各2.0 滑石3.0 升麻 甘草 燈心草 大黄各1.5
○甘露飲(局方)
 枇杷葉 石斛 黄? 枳實 天門冬 麥門冬 乾地黄 熟地黄 茵? 甘草 各2.0 
○治黄胖方
 茵? 茯苓 澤瀉各4.0 人參 梔子 黄耆各3.0 大黄 ?苡仁各1.0 縮砂 甘草各2.0
○當歸拈痛湯(蘭室)
 當歸 ?活 葛根 防風 蒼朮各3.0 人參 白朮 猪苓 澤瀉 知母 黄?各 2.0 茵? 甘草各1.0 苦參 升麻各0.5
○當歸白朮散(医学正伝)
 白朮 茯苓各4.0 當歸 黄? 茵?各1.5 前胡 枳實 杏仁 甘草各2.0 半夏3.0 生薑(乾1.0)2.0
○當歸白朮湯(三因)
 白朮 茯苓 當歸 杏仁 半夏各4.0 猪苓2.5 茵? 枳實各1.5 甘草1.0 前胡3.0
○麻黄五味湯(外臺)
 麻黄3.0 葛根4.0 石膏10.0 乾生薑1.0 茵?蒿2.0
 
 
近縁種
 
【艾】和名:よもぎ 別名:艾蒿  氣味:苦、微温、毒無し
主治:灸(外用) 煎じて用いれば、吐血、下利、婦人漏血を止め、陰氣を利し、肌肉を生じ、風寒   を辟け、子を儲けせしむ。『別録』
   中を温め、冷を逐い、湿を除く「時珍」
 
【千年艾】和名:もくばゃくこう(木白蒿) 氣味:辛、微苦、温、毒無し
主治:男子の虚寒、婦人の血氣諸痛に水で煎じて服す(時珍)
 
【青蒿】和名:かはらにんじん 別名:草蒿、香蒿 氣味:苦、寒 毒無し
主治:疥?、痂痒、悪瘡、蝨(シツ)を殺す。留熱の骨節の間に在るを治し、目を明らかにする(本経)
 
【黄花蒿】和名:くそにんじん 別名:臭蒿 氣味:辛、苦、涼 毒無し(葉) 
                        辛、涼、毒無し(子)
主治:葉 小兒の風寒、驚熱(時珍)
   子 勞を治し、氣を下し、胃を開き、盗汗、及び邪氣、鬼毒を止める(大明)
 
【白蒿】和名:なし 別名:H蒿 氣味:甘、平 毒無し 思?曰く 辛 平 時珍曰く瘡疥を発す
主治: 五蔵の邪氣、風寒濕痺。中を補い、氣を益し、毛髮を長く黒くし、心懸して食少な    く、常に餓ゆるものを療ず。(本経)
 
【角蒿】和名:はなごま 氣味:辛 苦 小毒あり
 主治:乾濕? 諸悪瘡の蟲あるもの(唐本) 
 口齒の瘡を治するに絶勝のものだ(寇宗?)
 
【馬先蒿】和名:はなごま 別名:馬新蒿 爛石草 馬矢蒿 練石草 氣味:苦 平 毒無し
主治:寒熱鬼煤@中風濕痺 婦人帶下の病の子なきもの(本経) 悪瘡(陶弘景)
 
【牡蒿】和名:をとこよもぎ 別名:齋頭蒿 氣味:苦 微甘 温 毒無し
主治:肌膚を充実し、氣を益し、暴に肥らせる『別録』 「陰腫を治す」(時珍)
 
【九牛草】和名: ひとつばよもぎ 氣味:微苦 小毒あり
主治:風勞を解し、身體の痛を治す。甘草と共に服す。
 
『大漢和辞典』より
【蓬】 ホウ ブ
一、
@ よもぎ、ひめじょをん、やなぎばひめぎく、よもぎの一、
A まがる、ふさがる
B くさむら、むらがる
C みだれる
D 物のさま
E さすらふ 轉轉する
F つちくれ ちり
G たすける
二、 草木のさかんなさま
 
「蓬蒿」よもぎ、又、よもぎの生えたくさむら。
 
【蒿】 カウ コウ
一、
@ よもぎ、くさよもぎ、かわらよもぎ、かはらにんじん、青蒿
A 氣が蒸し上がるさま
B つかれる、きえる
C みだれる
D 墓地
E 郊に通ず
 
「蒿艾」よもぎぐさ、蓬艾
「蒿菊」しゅんぎく 春菊 かうらい菊
 
【艾】 ガイ ゲ
一 、                二、          
@ よもぎ              @ かる とりいれる
A よもぎいろ            A かま 草を刈る器
B もぐさ              B をさめる、をさまる
C としより             C やすらか
D ひさしい
E へる、すぎる、たける
F かず(年の数)            「艾蒿」よもぎ 蓬蒿
G おほきい
H 美しい みめよい
I やしなふ
J つきる、やむ、たえる
K いたる
 
 
「よもぎと読む漢字」
艾、蒿、蓬、(ゴツ)、(シ、ジ)、苹(うきくさ、あし、がま、くさのしげるさま)、
荻(くさよもぎ) 萍(うきくさ) 萋(よもぎ、草の長大なもの、萋蒿) 

*1茵:茵は草と因(下地)の会意形成文字、しとねの意。
*3伏?ハ、腹中ノ結聚
*2閃損ハ、閃挫ヲ云フ、乏絶ハ、気絶