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金沢定期観光バスに乗ってみました
 KANAZAWA REGULAR SIGHTSEEING BUS

 平成20年(08年)6月26日に乗車した「金沢定期観光バス」Aコース、Bコースの乗車記です。ここで紹介しているコースは現在のコースとは全く異なりますので、ご注意ください。

 現在の金沢めぐり定期観光バスのコース内容等、詳しい情報は北陸鉄道公式サイトで公開されていますので、実際にご乗車予定の方はこちらをご参考にして頂くようお願いします。

最終修正:2016.09.21 (4R)

 金沢駅前1番標識にて。
 金沢駅東口ターミナルに到着した定期観光バス

 城下町金沢の旅には、乗り降り自由な周遊号が人気ですが、一方で、昔ながらのガイドさん付き「定期観光バス」にも根強い人気があります。金沢の街を“幕の内弁当”的に楽しめて、金沢が初めてという方にも安心ですし、また個人旅行では滅多に入れないような施設にも案内してくれるのが売り。時間通りに運行しますので、旅程への組み込みも容易です。

 じつはこの定期観光バス、れっきとした路線バスのひとつ。乗客1名から運行し(予約ゼロの場合も始発地では時刻まで待機しています)、決められた観光地を時間通りに巡る、乗合(路線バス)認可で運行するバスなのです。

 筆者も、さすがになかなか定観までは……と思っていたのですが、定観も路線バスの仲間となると、バス路線マニアの血が騒ぎます。

 ということで、乗ってみました! 定期観光。


[▼]行 程

 平成20年(08年)6月26日。晴天の金沢駅へやって来ました。

 まず乗車前に金沢駅前センターで受付を済ませます。予約を取っていた場合も、当日の出発15分ほど前に受付となります(旅行代理店の船車券を持っている方も、やはり当日受付が必要です)。

 事前予約なしでの乗車も、空席があれば可能ですが、予約制となりますので、高速バスと同様、窓口で電話番号と氏名と告げ、予約を入れてもらい、乗車券を発券してもらって乗車することになります。

 受付時に、パンフレットと定観参加者であることを証明する「ワッペン」が手渡されます。この「ワッペン」は寄留地の入場証代わりでもあるようで、「お洋服の痛まないところにお付け下さい」との案内がありました。

 ちょっと恥ずかしいですが、いよいよ定観らしくなってきました。

 ・ Aコース「四季の兼六園めぐり」(午前)

*「●」は奇留地
 「・」は通過する地点(停車はしません)です。

                    石
                    引2
        ┌→┐          丁
        ├←●卯辰山       目
        └┐  公園     ┌→・
       ┌─┘         ↑  \  下
    天神橋・     兼六園下  ・小立野\ 菊
       ├──→──→─・   ↑    \橋
       ・大手門    └┐  ●成巽閣  ・→┐
       ↑     兼六園● /        |
     ┌→・黒門     ┌┘/         ↓
     ↑         ↓/          ・寺町
     └←←┐    広坂・           |寺院群
    尾山神社●                  ↓
        ↑                  |
   武蔵・──┴←──←──・─←─・─←─・─←─・広小路
     |  尾山     香   片   犀
     |  交差点    林   町   川
 金沢駅前◎         坊       大
                       橋
 ガイドさんに乗車券を手渡し、乗車します。ガイドさんと云いましたが、実は定期観光のガイドさんは規則上は「車掌」なのだとか。ガイド兼車掌というわけです。

 金沢駅を出ると、さっそく案内がはじまり、コースの行程を説明しているうちに武蔵ヶ辻が近づきます。ここでスカイホテルと近江町市場の解説がありました。

 むさし交差点を曲がり、南町のオフィス街を走行。見なれた車窓も、定期観光から眺めるとまた格別です。北國新聞本社の説明があったあと、尾山交差点を左折し第一の寄留地「尾山神社」に到着となります。


 ●尾山神社

 定観の停留所は仙石通り経由のバスから見た方も多いでしょう。仙石通り交差点付近で降車後、ガイドさんの旗を先頭に歩きます。ちょっと子どもの頃の遠足を思い出します。悪い気はしません。

 尾山神社では金沢藩祖・前田利家公を祭る神社で、奇抜なステンドグラスの楼門が“かぶき者”利家公らしいところです。和洋折衷の装いは“遊びの天才”金沢人の本領発揮といえます。

 尾山神社の「尾山」とは、金沢のことを指すことばでもあります。筆者の祖父母などは、金沢市街へ出るときなどには、よく「尾山まで行ってくるわ」などと云っていたものです。

 平成19年(07年)頃までは、ここで乗客全員の記念写真撮影があったそうで、いわゆるツアー気分が盛り上がるところだったようなのですが、諸経費の問題や、ツアーも個人旅行型が主流になってきた背景もあってか、既に行われていませんでした。

 尾山神社にて。

 再びガイドさんの旗に誘導され、尾山神社の裏口から外へ出ます。この裏口にかけての道は幽邃な雰囲気で、この尾山神社にこのような場所が存在することを、恥ずかしながら金沢人の筆者も知りませんでした。

 金沢人にとっても、金沢再発見。地元を見つめ直す旅と云えます。


 ●卯辰山

 再びバスに乗車。尾山神社の乗車場は降車場とは別で、合同庁舎前交差点を尾山町方向に左折した場所にあります。

 バスはかつて元町有松線のプチバスが運行していた旧市街を走行。北陸の東照宮と云われ、徳川家康を祭る「尾崎神社」を横目に、たいへん狭いクランク状の路地を右に左に曲がる見せ場のひとつ。金沢城公園黒門と大手門がたてつづけに現れ、ガイドさんは解説にいとまがありませんが、ハンドルを握る運転士さんも大変そうです。

 このまま直進し、味噌蔵町、天神橋を経て卯辰山へと登ります。曲折する山道は、これまた定観の見せ場。エンジンを唸らせつつ、対向車を避けながらヘアピンカーブを右に左にぐいぐい曲がります。途中、菖蒲園や泉鏡花句碑、清水誠記念碑などの解説が入ります。観光客も首を左右に振りながら、石碑群や四季折々の景色に見入ります。

 そのうち勾配が緩くなったと思ったら、バスは望湖台を素通り。この望湖台で下車かと思っていたのですが、バスはユースホステル前を経て、見覚えのあるところで停車。第2の寄留地「卯辰山」は、卯辰山公園停留所でした。

 金沢市内の遠景を解説するガイドさん。

 かつて「サニーランド」があった場所が、現在は見事な展望台になっています。展望台からは小立野台地が緑のベルトとなって望まれ、中腹に小立野トンネルが貫き、車の列がそこへ吸い込まれて行くのが見えます。金沢の複雑な地形がよく分かる素晴らしい眺望で、望湖台からの通り一遍の見晴らしよりもより金沢という街が分かります。それにしても、観光客たちのなかに、ここがサニーランドというテーマパークだったと知る人は、おいでるかどうか。

 ちょっぴり感傷的になりながら、バスに戻ります。

 なお、冬季で積雪が多い場合は卯辰山をスルーし、かわりに兼六園の寄留時間を長くとることにするケースもあるようです。

 卯辰山公園停留所です。


 ●兼六園

 バスは再び来た道を戻り、絵巻を戻すように天神橋のふりだしに。兼六元町、兼六園下交差点を経て、紺屋坂から兼六園に乗り付けます。紺屋坂を登るバスは、以前実験運行された循環バスにも例がありましたが、現在のところは定期観光バスが唯一です。(無論、貸切を除けばの話です)

 城下町金沢のシンボルともいえる兼六園は、Aコースの表題ともなっており、滞在時間ももっとも長い1時間となっています。この兼六園のみ、入場料がクーポン料金に含まれておらず、別途団体料金の240円を受付で支払います。人数が多いと入場にちょっと時間がかかりますが、兼六園が65歳以上の方が無料になることと、兼六園に入園されない方のためにオプションとして別に「加賀友禅ハンカチ型染め体験」が用意されているため、料金別払いとなっているように思われます。

 兼六園の受付。ちょっと混雑。

 兼六園は「自由散策」として設定されていますが、ガイドさんはことじ灯篭、雁行橋、根上の松といったさわりの部分までは案内してくれました。と云っても園内には別のツアーの団体客が他にも非常に多く来園しており、そちらのガイドや添乗員の解説もつまみ食いしながらというのも良さそうです。(せっかく案内してくれるガイドさんには悪いですが……)

 再び乗車。


 ●成巽閣

 Aコースもいよいよ後半戦。バスは蓮池門通りを下り、21世紀美術館を一瞬見て、広坂交差点を左折。広坂の急勾配を駆け上がり、緑繁る本多の森へ。途中、金沢の名の語源となった金城霊沢が見えます。わずかな走行で、はやくも次の成巽閣に到着です。

 成巽閣は入館料がクーポンに含まれていますので、定観ワッペンを貼っているだけで入館できます。13代加賀藩主・前田斉泰が、母の真竜院のために建てたお屋敷で、美しい書院造りの御殿です。

 圧巻は2階の「群青の間」で、眼の醒めるようなブルーが江戸時代の建築とは思えないほど鮮やかです。芸術性を追求する金沢人の気質がここにも出ている気がします。

 成巽閣ではガイドさんではなく、職員の方が案内してくれます。自由拝観ではなく、遠足的、修学旅行的なコース拝観となります。まぁその退屈な紋切り観光の感じも、妙に懐かしく味わいがあります。


 ●寺町寺院群(車窓)

 次の寺町寺院群については車窓からの見学となります。バスは出羽町、小立野を経て、石引1丁目交差点を右折。見晴らしの良い白山坂を下り、下菊橋で犀川を渡ります。できるだけ景色の良いコースを取るのは定観ならではのサービス。坂の多い金沢という街の地形のよく分かる、良い経路だと思います。

 寺町寺院群では松月寺の大桜などの解説があり、その後も犀川大橋手前では室生犀星ゆかりの雨宝院についてガイドされます。

 片町、香林坊とメインストリートを走行すれば、Aコースもラストスパート。武蔵ヶ辻(スカイホテル前)で昼食を取るCコースの乗客を下ろしたあと、六枚町経由で終着・金沢駅東口へと走ります。ここで、最後にガイドさんが金沢ことばを紹介する歌をアカペラで歌い、拍手喝采のなかAコースは終わりました。

    + + + + +

 ・ Bコース「古都の伝統めぐり」(午後)

*「●」は奇留地
 「・」は通過する地点(停車はしません)です。

    ひがし 橋場
    茶屋街 交差点    兼六
    ┌────・─→─┐ 園下  ●本多蔵品館
    ●    ↑   └→─・ / 
         |      ↓/    桜橋
         ・尾張町   ・──→─→─・┐
         ↑     広坂       ↓
         |        片町    |
 安       ・武蔵       ・──・←・広小路
 江       |   長 町   ↓  犀
 金┌←─←─┐ |   武家屋敷跡●┤  川  
 箔|金沢駅前◎←・──←───←──┘  大 
┌●|      ↑六枚          橋
└─┴─→──→─┘ 


 ●安江金箔工芸館

 Bコース「古都の伝統めぐり」はちょっと渋めのコース設定ですが、個人旅行ではあまり足を延ばさないような寄留地が含まれており、「大人の修学旅行」にはピッタリのコースです。

 「安江金箔」は現在はひがし茶屋街近くに移転していますが、この当時は駅西にありました。安江金箔といっても、いったいどこにあるのか、金沢市民でもおぼつかない人も多かったのでは。

 バスは1番のりばを出発後すぐに左折し、駅前モータープールの脇を通ってJRの高架下をくぐり、駅西地区へ。突如、おそろしく狭い路地に入っていき、こんなところに定観が入っていたのか……と圧倒されるような狭隘路線でした、

 移転によりこの隠れた“見せ場”はなくなり、バスはひがし茶屋街駐車場へ直行するようになったようですが、この手狭な住宅街に隠れるようにしてあった駅西時代を体験できたのは幸運でした。

 金箔入りお茶とお菓子の接待を受けながら、金箔工程を収録したVTRを観賞することになります。観賞の間に、係の方が手の平に金箔片を載せてくれました。この金箔はあまりの薄さの為に、なんと手でこすると消えてしまいます。まるで手品を見るようです。地味かと思いきや、意外にもたのしく見学させていただいた寄留地でした。

 お菓子と金箔入りお茶。


 ●ひがし茶屋街

 続いて、バスは東山駐車場へ。ガイドさんの旗のうしろをひがし茶屋街へと歩いていきます。

 情緒あふれる美しい街並みは、じつはむかしの遊廓の跡。かつて金沢の男性が通った花街が、いまはその風情から女性にも人気の観光地になったわけです。

 ある程度のガイドのあとは、自由見学となりました。足の向くまま迷ってみたり、おみやげに小物を買ったりされるのも良いですね。ただし集合場所は観光バス駐車場となりますので、くれぐれも道には迷わぬよう注意せねば……。


 ●藩老本多蔵品館

 バスは橋場から百万石通りを進み、兼六園の入口を見ながら、百間堀を走ります。車窓から石川門が見え、緑のなかを走るこの区間の乗り心地は、いつ味わっても良いものです。

 広坂交差点を鋭角に曲がり、広坂を登って本多の森へ。本多蔵品館は加賀藩筆頭家老・本多家に伝わる武具などを所蔵しており、鎧、兜、槍に刀と、城下町を守った武力の粋を見ることができます。

 それだけではなく、「菓子重」や「大徳利」、さらには江戸時代の「漫画」など、金沢らしい風雅な宝物の数々も展示されていました。

 なお、冬期の木曜日は休館のため、「泉鏡花記念館」に変更となるようです。ここは安江金箔〜ひがし茶屋街の間に挿入され、バスは尾張町バス停で下車。見学後はそのままひがし茶屋街までガイドさんが誘導してくれることになっていたようです。その際、主計町や浅野川大橋も通りますので、こちらの方も人によっては、捨てがたいかも知れませんね。


 ●長町武家屋敷跡

 ふたたび広坂を下り、金沢21世紀美術館を車窓に見ながら本多通りを行きます。鱗町交差点を直進し、桜橋を渡り、寺町界隈から犀川大橋にかけてはAコースと同様のルート。犀星ゆかりの雨宝院についても、再び聴くことができます。

 片町交差点を曲がり、長町の観光バス駐車場に停車。ここから最終寄留地の「長町武家屋敷跡」となります。

 大野庄用水に沿った小道を、ガイドさんが誘導してくれます。運がよければ、ふらっとバス長町ルートが走ってくるかも知れません。用水にかかる小橋を渡って、いよいよ土塀の続く武家屋敷跡に入ります。

 小ネタ的な解説として、某ホテルチェーンの女社長のお屋敷がこの武家屋敷跡にあり、その場所を教えてくれます。いやはや立派なものでした。なお武家屋敷跡といっても、そのお屋敷はすべて実際にご子孫の方が生活しておられます。

 武家屋敷跡での自由見学が終わると、あとは金沢駅へ帰るのみです。香林坊、片町付近での買い物やお食事、また宿泊地が繁華街に近い方は、ここでガイドさんに必ずお申し出の上、バスに戻らず現地解散することもできます。

 長町からは富本町、三社経由で沿線に見るべきものはありませんが、ここでガイドさんによる金沢弁講座があり、最後まで退屈はさせません。Aコースのとき同様、最後はガイドさんの美声がアカペラで奏でられ、やはり拍手喝采のなか、金沢駅に到着となりました。

    + + + + +

 ・ Cコース「百万石の城下町」(午前+午後)

 今回は、AコースとBコースを別々に予約して乗りましたが、Aコース+Bコースに昼食がセットされたCコースも用意されていました。基本的には午前はAコース、午後はBコースのバスに乗車するという仕組みで、Cコースの予約人数が多い場合のみ、2号車という形で対応していたようです。

 昼食は金沢スカイホテルで加賀料理を賞味することができたようです。筆者は残念ながら頂いたことはありませんが、パンフレット等の写真を見る限り、“治部煮”や“えびす”が出るようで、金沢の味を楽しむことができたのではないかと思います。

 なおスカイホテルのお食事処は地上70m。金沢市内を一望し、天候によっては白山連峰や日本海ものぞめる素晴らしい見晴らしです。この昼食もまた、金沢観光の想い出に残るシーンだったのではないでしょうか。


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