サムエル・ウルマン Samuel Ullman  (1840〜1924)

について

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 Samuel Ullman Museumより転載

 

 彼は1840年ドイツ南部に生まれ(ユダヤ人)、1851年11歳の時に両親と共に米国南部に移住しました。

1860年、20歳で南軍に入隊し、1861年南北戦争勃発いらい1865年南軍が降伏するまでの間、二回

負傷し左耳の聴覚を失いました。同時期、25歳の彼はニューオルリンズでビズネスの傍ら慈善活動に

従事しました。以後、バーミンガムに移り金物店を経営するとともに、教育委員となり、又ユダヤ教寺院の

創設に尽力しました。1901年、61歳のとき彼の名前を冠した学校を設立し

現在でもアラバマ大学の一部として存続されています。

1924年バーミンガムで永眠しました。享年84歳。

生涯にわたり敬虔なユダヤ教徒でありました。

1920年、80歳の誕生日を記念して詩集「80年の歳月の頂から」(From the Summit of years,Four Score)

が家族や知人によって編集され、1922年、私家版として出版されました。その詩集の巻頭を飾ったのが

「Youth」=「青春とは」で、ウルマン78歳の時の詩です。

 

この詩「青春とは」は、リーダーズ・ダイジェスト英語版1945年12月号に掲載された[How to Stay Young]

(マッカーサー将軍のデスク上に掲げられたメッセージ…)という記事の中に書かれてあり、これを読んだ

旧制静岡高校出身の岡田義夫氏が翻訳し私室に掲げていたものを、訪れた親友が注目し、

後年地方紙で紹介すると、これが元になり急速に日本中に広がったという経緯があります。

特に、財界人の中で松永安左衛門、松下幸之助、伊藤忠兵衛、宇野牧、石田退三など熱烈なファン

が生まれ、昭和60年には”青春の会”が発足するくらい有名になりました。

皆様もこの岡田義夫氏のきわめて格調高い翻訳の中で、感激された記憶がおありになると思います。

 

青春とは人生のある期間を言うのではなく

心の様相を言うのだ

・・・・・・・中略・・・・・・・

人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる   *

人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる   *

希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる  *

 

小生のボロボロの愛用手帳にも転記され、重宝に受け売りにも使ったものです。

ところが最近、この*印の有名な部分が、オリジナル版にはまったく存在しないことを知りました。

研究者によれば、ウルマンの詩、特に「青春」は改変が多く存在し、現在判明しているだけで8種あり、

上記、リーダーズ・ダイジェストに紹介されたものは通称(マッカーサー文書館版)と呼ばれているもので

ジョン・W・ルイスという人物から送られたものに、マッカーサーが手を入れたものだったのです。

又、マッカーサー版はオリジナルの約半分近くにわたって改変されているといわれます。

このほど、オリジナルな詩を、新井満氏が最新の自由詩として書いたものを入手したのでご参考までに

下記に掲載しました。自由訳ですから相当な意訳になっていますが、原文と照らしあわせるとこの訳の方が

理解しやすくなっている面も多いと思われます。

新井氏は、あなたがどの程度の青春にいるか、その度合いを測ろうととするなら、

 夢×情熱=青春度

という計算式でどうぞ…といっています。答えがゼロなら、青春度もゼロ!ということです。

                                                               (2005年4月18日)

 

〜〜〜青春とは〜〜〜

 

原作詩:サムエル・ウルマン

自由訳:新井満

 

青春とは 真の 青春とは 若き 肉体の中に あるのではなく

若き精神の中にこそ ある

薔薇色の頬 真っ赤な唇 しなやかな身体 そういうものは 

たいした問題ではない

問題にすべきは 強い意志 ゆたかな想像力 もえあがる情熱

そういうものが あるか ないか

こんこんと涌きでる 泉のように あなたの精神は 今日も新鮮だろうか

いきいきしているだろうか

臆病な精神のなかに 青春はない 大いなる愛のために発揮される

勇気と冒険心のなかにこそ 青春は ある

 

臆病な二十歳がいる 既にして 老人

勇気ある六十歳がいる 青春のまっただなか

歳を重ねただけで 人は老いない 

夢を失ったとき はじめて老いる

歳月は 皮膚にしわを刻むが 

情熱を失ったとき 精神は しわだらけになる

苦悩 恐怖 自己嫌悪

それらは 精神をしぼませ ごみくずに変えてしまう

誰にとっても大切なもの それは感動する心

次は何がおこるのだろうと 目を輝かせる 子供のような好奇心

胸をときめかせ 未知の人生に

挑戦する喜び

 

さあ 目をとじて 想いうかべてみよう

あなたの心のなかにある 無線基地

青空高くそびえたつ たくさんの

光り輝くアンテナ

アンテナは受信するだろう

偉大な人々からのメッセージ

崇高な大自然からのメッセージ

世界がどんなに美しく 驚きにみちているか

生きることが どんなに素晴らしいか

勇気と希望 ほほえみを忘れず

命のメッセージを 受信しつづけるかぎり

あなたはいつまでも 青年

 

だが もしもあなたの 心のアンテナが 倒れ

雪のように冷たい皮肉と 氷のように頑固な失望に

おおわれるならば 

たとえ二十歳であったとしても

あなたは立派な 老人

あなたの心のアンテナが 今日も青空高くそびえたち

命のメッセージを 受信しつづけるかぎり

たとえ八十歳であったとしても

あなたはつねに 青春

青春とは 真の 青春とは

若き肉体のなかに あるのではなく

若き 精神のなかにこそ ある

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