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「ノルウェーの老人福祉」(1)(2)のアクセスは上記のHPからできます。
「ノルウェーの老人福祉」(2)の項目に、月刊雑誌「社会保険」の[ノルウェーに見る少子高齢社会の存り方]が掲載されています。



ノルウェーの老人福祉(1)/福祉一般


福祉といっても、高齢者、身障者、病気、失業、、、等々幅広く使われる言葉です。
ここでは、社団法人全国社会保険協会連合会、2002年、月刊誌「社会保険」7月〜9月号に連載された私の原稿を記載します。
多少訂正、加筆した箇所がありますが、99%当時の文面です。
原稿に記載された為替レートは2003年春に訂正して計算してあります。


ノルウェーの社会保障
「高福祉高負担」国家における社会保障のあり方と考え方。

福祉政策の基本は人道主義
オスロに住むようになってから、「あっと」いう間に月日が流れた。
この間、日本から多くの団体がノルウェーの福祉の視察に来ている。
初めの頃は、身障者福祉の視察が多かったのが、日本の今の社会に合わせてか、高齢者福祉視察が多くなってきた。
ノルウェーの福祉の基本的な考えは変わらないが、それでも私が通訳として過去に視察団に同行した時に集めた資料を読み返すと、福祉組織の名前、組織構造、福祉政策等々が時の流れとともに少しずつ変化している。

ノルウェーに限らず、北欧の国々は世界の福祉先進国だが、歴史を振り返ってみると、今から100年前はヨーロッパの多くの国のように貧しかった。
そのノルウェーが第二時世大戦が終わった1945年以降、福祉を本気で考えるようになった。
ノルウェーの福祉政策の根底に流れる思想は、人は皆平等という人道主義だ。
昔より貧富の差はなくなったが、しかし、もちろん現在でも貧富の差はある。
だが極貧という層は存在しない。
最低限度の生活は国が保障してくれる。
人間の長い歴史からみると、福祉が取り沙汰されるようになったのはつい最近のことだ。
時代の流れとともに変化する人々の生活に、完熟という言葉は福祉政策にはない。
試行錯誤しながら、少しずつ改善されていくノルウェーの福祉を、私の体験を交えて考えてみたい。

日本のバブルがはじけても、外国旅行をする人の数に、あまり変化がない。
しかし、バブル前と後では日本人旅行者の気持のうえに大きな違いが感じられる。
お金はあるが、将来が不安で貯金をできるだけ使いたくないという人が圧倒的に多くなってきた。
ノルウェーでは、老後の不安のために貯蓄に励む人はいないし、その余裕もない。
福祉の充実のためには、当然それを支える財源、つまり税金が必要になってくる。

国家予算の約40%が福祉
ノルウェーの税率は、一般家庭では貯金ができないほど高い。
例えば、消費税が24%もかかる。
最近になって車で国境を越えてスウェーデンまで食料の買出しをする人が急増した。
それがいくつかある原因の一つとなり、食料品の消費税だけが12%に下がった。
私も何度か買出しに行ったことがあるが、値段を見ると確かにノルウェー人がガソリン代を払って、わざわざ、スウェーデンまで買い物に行く理由が良く分かった。
おかげで、国境近くの商店では誰も買い物をしなくなった。
スウェーデンまで買出しにいくと、自国で困る人が出てくるのは、百も承知だが、やはり自分が一番可愛いのは人の常。
しかし視点を少し変えれば、ノルウェーで落ちるはずのお金が、隣の国で落ち、同じ人間であるスウェーデン人がその恩恵にあずかれると思えば、別に目くじらを立てることもない。
消費税は内税なので、日本のように会計時にさらに5%追加ということはない。
実際買い物をしていても、消費税が高いという感覚はない。
品物を買うと領収書をもらうが、その領収書に買った物の金額と消費税の金額が明記されていて、最後に合計金額が記されている。
その時にはじめて「随分消費税を取られている」と自覚する。
さて、高い税金だが、一括して国民保険、年金等が天引きされる。
人々は恐らく内訳の税率を知らずに払っていると思う。

国民は国民保険と社会福祉法によって生活が保障されている。
そのために、国家予算の40%前後を福祉に費やしている。
税金は累進課税制で一般会社員でも40%以上の税金が取られる。
収入は約500万円、それから税金を差し引いて、日本と比較すると決して多くはない。
(現在、2003年4月、1クローネ=16.6円計算)物価は日本と、あまり変わらない。
ここまで書くと、分かってもらえると思うが、一般会社員1人の収入では人並みの生活をしょうと思っても、とても家族を養ってはいけない。

ノルウェーのほとんどの家庭、特に若い夫婦は共稼ぎだ。
まして、その収入から税引後、医療費、老後の蓄え、子供の教育費の捻出は不可能だ。
ここで、注意して欲しいのは現地通貨を日本円に単純に換算すると誤解を招くことが往々にしてある。
昔の日本円は弱く、私がノルウェーに来た1977年頃は、3分の1以下の価値しかなかった。
つまり、当時のレートで単純に計算するとノルウェー人の平均収入は1,300万円も超えてしまう。
現在は日本より低くなるとは変な話である。
また、ノルウェー人という統計を考える場合、つぎのことを頭に入れて数字を見て欲しい。
移民の多いヨーロッパでは当然のことだが、人種に関係なく国籍を習得するとその国の人間になる。
つまり、ノルウェーに移民で来た人もノルウェー人になる。
ノルウェーで生まれ育った現地のノルウェー人と比較すると、人生の途中からノルウェー人になった人はどうしても言葉のハンディがある。
仕事の選択にも限界がある。
年収がノルウェー人よりも少ないのもうなづける。
前記した、一般会社員の年収が約500万円という数字は人種的にノルウェー人だけを考えると決して正確な数字ではないかもしれない。

税金の内訳は強制税として国民保険がある。
人々は個々の収得によって税金を納める。
さらに雇用者は従業員の所得に応じて所得の14.1%を雇用者負担税として納める義務がある。
収入のない専業主婦/夫、無職、学生は国民保険税を払えないが、医療サービスは同様に受けらる。

地理的条件、所得に関係なくノルウェーに居住する全ての人は、公平に医療サービスを受けることができる。
地理的条件とは、ノルウェー本土は九州と新潟県を差し引くと、日本とほぼ同じ大きさの国になる。
しかし日本の人口が1億2700万人に対して、わずか457万人しかいない。
おまけに国土の3分の1は北極圏にあり、厳しい生活環境の地域が多くある。
しかし、どこに住もうとノルウェーの主権の及ぶところは、福祉の恩恵を受けられる。
医療について稿を進めたい。

病気に対する備えはいらない
将来に予測される病気について、貯金をする必要がないことはすでにふれた。
歯科は普通の医療サービスとは違い16歳まで無料(歯の矯正は自己負担がある)、18歳まで半額、18歳以上は全額自己負担になる。
大人は全額というのは、虫歯は本人の責任ということらしい。
しかし、歯槽膿漏のようなのは病気扱いされる。
病院では毎回、自己負担として2500円前後支払う。
但し、定期的に検査、薬が必要な人は年間2万5000円前後までは自己負担で、それ以後は無料になる。

67歳以上で最低年金を貰っている人も無料である。
以前は年間4回までなら、3日連続で医師の証明なしで仕事を休むことができ、それ以上休む場合、医師の診断書提出が義務づけられていた。
そうすると、比較的簡単に病気欠勤ができるので、容易に病気欠勤する人がいる。
特に連休が続くと、病気欠勤が増えるという不思議な現象が起きる。
残念ながら、福祉が充実してくると、多くはないが、どうしてもそれに甘えてしまう人が出てくるのは事実だ。
新規則ができて、年間24日間医師の診断書なしに欠勤が可能になった。
つまり、以前は1日しか必要のない病気欠勤でも3日間連続で休む人がいたり、医師の診断書も、病欠の場合1週間または2週間単位でだすので、結局必要以上に休む人が増えてしまう。
そうであれば、年に24日間を自主的に任せた方が、休む日数が少なくなるという考えだ。
どのように機能するか、まだ結果は出ていないが、興味深い規則だ。

病気の場合、最初の2週間が雇用主が給与を支払い、それ以降は地方自治体が支払う。
自営業の場合は、病気になっても最初の2週間は保険金がおりず、自分の蓄えで生活しなければならない。
しかし、それ以後は地方自治体が払ってくれる。
病気、例えば風邪等をひくと最初は地区内の保険サービス機関で一般医の診察を受けるようになる。
症状が重かったりすると、専門医に紹介される。
2001年からは、一般医は主治医制度をとっいている。
それは押しつけではなく、個々住民が主治医の選択ができる。

公的病院と民間病院
命に関わるような緊急な病気、ケガであればすぐに治療を受けることができる。
しかし、そうでない場合はウェイティングリストに載せられ治療を待つようになる。
特に命に別状のない腰痛、膝のような手術を希望する人は、かなり長期間待たなければならない。
患者は命に別状はなくても、できるだけ苦痛から解放され治療をしてもらいたいものである。

それに嫌気をさした人達が民間の病院を造った。
そして、そのうたい文句が「待ち時間のない、すぐに治療する病院」だ。
公の病院のように自己負担金では済まないが、お金を払ってでもすぐに治療をして欲しいのは当然のことである。
初めて民間の病院の話が持ち上がったとき、政府の反応は病院は公の機関がするという建前がくずれるので喧々諤々の論争になった。
素晴らしい福祉政策の反面、それが上手く機能しないことがある。

両極端
私の二つの極端な例をとって説明したい。
昔はオスロ大学で柔道をしていた。
その時に肩を痛め、ノルウェーで初めて病院に行き診察を頼んだところ、受付の人は、パラパラとノートをめくり、予約がいっぱいだから一週間後に来るようにと言った。
その頃の私は、ノルウェーの病院は日本の病院と同じように診察してくれると考えていたので「待っている間はじっと痛みを我慢するのか」また「その間にケガが悪化したらどうするのだ」と本当に驚きを通りこして憤慨したものだ。
その時は大事に至らなかったが、その後柔道の試合で頭を強打して2ヵ月も寝たきり状態になってしまった。
その間どこに行ってもウェイティングリストに載せられて、すぐには診てくれなかった。
ほとんど絶望的な気持になったのを覚えている。
その時に視力障害を併発したので、眼科でことのあらましを説明すると、その時の女性の医師がことの重大さに怒りだして、すぐに専門医に連絡を取ってくれた。
嫌な言い方だが、四角四面に事務手続きに従って順番待ちをしていては医療サービスのシステムに乗ることができなかった。
ノルェーの医療を過信していただけに、凄いショツクで、この国に住んでいると「殺されるな」と本当に思った。
当時はケガのために収入が途絶えてしまい、社会福祉の助けを求めたら書類がどうのこうの、仮に書類が受理されてもすぐに援助されないことがわかり、またまた絶望した。
結局は社会福祉の助けを待っていてはいけないことが分かり、フラフラする体に鞭打って仕事をして生活の糧を求めた。
あまり楽しい思い出ではないが、「これが世界一と言われている北欧の福祉か」とひどく失望したものだ。
もしも、今、同じような状態になれば、多分うまく立ち回り、診察はすぐに受けられると思う。

ノルウェー人に限らず、自国に誇りを持って生きている人達には、外人からの批判は少なからず不愉快なはずだ。
しかし、当時者が言う事実は事実として認める勇気も必要だ。

もう一つはこれとは逆に軌道に乗って治療と社会福祉の援助があった話だ。
昨年(2001)、9月に仕事の帰り、電車の中で突然心臓が止まり仮死状態になった。
もしも数分間遅れていれば死んでいたか、大変な後遺症が残り、今こうして原稿を書いていられなかったはずだ。
2日間、意識を失っていたので前後のことはまったく分からないが、どうも電車の中で倒れすぐに救急車で病院に運ばれたらしい。
意識が回復してから、下腹を見ると2ヵ所黒ずんでいたので聞いたところ、その時に着ていたお気に入りのスーツ、ズボンは一刻も争う緊急時のため、はさみでズタズタに切られすぐに電気ショックをかけ、私を蘇生させたらしい。
結局、3週間入院して丁寧な治療を受けたが、その時の経費は自己負担金、約3000円程度で済んだ。
まともに支払うと、また心臓が止まるほどの金額になるのを後で知った。
原因は心臓の筋肉が普通の人より厚くそれがストライキを起こしたらしいが、医師の話では原因不明らしい。
意識が回復してからは200歳ぐらいは軽く長生きができるほど、まったく正常にもどった。
それでも病気ということで疾病手当てが至急された。
昔を思い出すと、あれほど驚き あきれた医療と社会福祉が、今回のようにさすがに世界一の福祉国家と賞賛できるほど良くやってくれた。
時の隔たりがあるといえ、両極端の福祉を身をもって体験した数少ない日本人であるのは確かなようだ。

家族よりも自治体
つぎは老人福祉について書いてみたい。
すでに、ノルウェーは高齢化社会に突入しているので、日本の将来にとって大いに参考になると思う。

老人でも健康状態が各個人によって異なるのは当然のことだ。
ノルウェーで70歳以上の老人のうち、70%が健康に問題なく、1人で生活できる人。
20%が自宅で介護を受けている人。10%が特別養護老人ホーム等の施設で生活する人だ。
それをふまえて、つぎを読んで欲しい。

ノルウェーでは、老人は国、地方自治体が看るものという考え方があきれるほど徹底している。
250m²以上の大きな家に小家族が住むのはまったく当たり前のノルウェーだが、子供達が巣立った後は、ガランとした家に老夫婦だけが住んでいる。
一つ屋根の下には、世代の異なった人達は一緒に住めないという考えだ。
身近な例として、私のよく知っている夫婦が、物理的な理由で両親が2階に住み、自分達夫婦が1階に住んでいて。
私の感覚からするとそれでも十分なスペースがお互いにあった。
しかし、しばらくしてから、20〜30m横に両親が住む家を建てた。
部屋数が5つもある一軒家は老夫婦には十分すぎるほど大きな家だ。
当時私は単純に思ったことがある。
不謹慎なことだが、どうせ先が長くない人のためになぜお金をかけ、家を新築するのだろうか。
ノルウェーでは当たり前のことなのか、私のような反応を示す ノルウェー人は誰一人いなかった。
しばらくして父親がなくなりリューマチで体の不自由な母親が1人残されたが、すぐ近くに住んでいる 若夫婦が特に世話をするわけではなく、在宅看護として地方自治体が世話をしていた。
これほどにも老人福祉の考え方が徹底しているのかと知り驚いてしまった。
誤解を招かないように付け加える、若夫婦はごく平均的な親思いの優しい人達だ。

長い間、ノルウェーに 住んでいて思うには、自己主張の強い北欧人を含めたヨーロッパ人は別々に住むのがお互いの精神衛生上ベストかもしれない。
ノルウェーでは嫁と姑の葛藤は皆無だ。
話がどんどん広がって行くので、多くは書かないが、女+家=嫁という発想はまったくない。
結婚は家と家ではなく、あくまでも個人と個人という考えだ。
日本では娘さんが結婚する時に涙を流す父親の光景が見られるが、おめでたい日に涙を流す日本の父親を北欧の人間は絶対理解できないと思う。

話が重複するが、私が言いたいことはノルウェーでは老人は国、地方自治体が世話をするという基本構造があるということだ。

オスロの各種サービス
ノルウェーの首都人口52万人のオスロを例にとって説明したい
日本とほぼ同じ面積のノルウェーは日本式に言うと19の県(オスロは特殊で県と地方自治体の両方を兼ねているので、オスロを計算すると20の県になる)435の地方自治体がある。 (この国には町の大きさによって市町村と分ける表現はない)
オスロは25区から15区(2004年1月1日より) になった。
福祉政策は均一化しているが、地方自治体により経済状態が違い、国からの補助金が異なる。
また政策の違いも若干ある。
これはオスロでも同様で住む地域より政策が少し異なってくる。
オスロの老人人口は、年金が支給される67歳以上の人は約5万1000人で80歳以上の人は約2万4000人だ。
特別養護老人ポームには約5000人が入居している。

オスロ の予算の50%以上が老人福祉に使われている。
老人福祉に対する考えは収入、住んでいる地域、社会的地位に関係なくすべての人は公平に必要に応じたケアを受ける権利がある。
また生活への安心感と老人の尊厳を大切にすること等がある。
説明が必要だが、以前は老人と老人をケアする側との関係はケアする医師、看護師からそれを受ける側の老人への一方通行だったが、老人にイニシァティブ、選択権を預けて、老人中心に変わりつつある。
老人といえどもつい最近まで、現役で活躍していたのだから当然の配慮だと思う。
しかし急に対応を180度変更するのは難しくまだまだ時間がかかるのが現状のようだ。
介護サービスは各個人のニーズに応じて各段階がある。

在宅援助
自宅で生活ができるが、料理、清掃、買い物等を地方自治体から派遣される人にしてもらう。
料理はデイセンターで作られ、アルミパック等に入れてボランティアの人が車で届ける。
届けられた料理は自宅で温めるだけで済む。
基本的には1週間5日間(土、日を除く)だが、土、日も必要な人は金曜日に届けられ冷蔵庫で保管する。
料金は各デイセンターによって一定ではないが、自宅までの配送料込みで約1000円前後。
ノルウェーでは日本の駅そばのように300円程度で食べられる安い料理はない。
しかし上限も決まっていて6000〜7000円以上超える料理もない。
ノルウェーでは、1000円前後の食事は大変安い。

在宅介護
在宅介護が必要だが病院、介護施設に行く必要がない人。
自宅にいても、看護師、医師の援助はある。
自宅には緊急サービスのシステムがある。
何かがあれば、ボタン一つ押すだけで福祉サービス機関に連絡がつく。
福祉の基本方針は、できるだけ施設に入院させず、自宅で看護を受けることだ。
経費の節約と住み慣れた自分の家が生活するうえでは一番自然なため。

特別養護老人ホーム
介護サービスが必要な人を収容する施設。
経費は各人の年金の75%を収めなければならない。
その施設も介護のニーズにより、24時間体制で介護する施設、リハビリ施設等がある。
これも地方自治体、あるいは区によって状況は異なる。
特別養護老人ホーム収容人員には限度がある。
介護を受けられる人は重度の人から優先順位をつけられてホームで介護される。
通常は一度入院すると、一生そこで介護されることがほとんどだ。

短期特別養護老人ホーム
1日1700円前後の 入院費が必要だが、人により年金が異なるのでそれに合わせて入院費も異なる。

福祉センター内にある賃貸住居
地方自治体、あるいは区によって状況は異なる。
オスロから南に58km行ったモス地方自治体に平均的なメロ福祉センターがある。
そこには55の住居がある。
住む人は、自分の住む所がない人、身障者、また自分に適合する住まいがない人が住んでいる(身障者ではなくても、歳とともに体が自由に動かない人も含む)。
ごく普通の施設なので参考までに内容を記載したい。
日本でいえばマンションのような建物を利用している。
1階は夫婦用。
配偶者に先立たれても引き続き住むことができる。
応接間と寝室の2部屋、洗面所、シャワー、トイレ付きでm²広さにヴェランダがある。
家賃は水道代、電気代込みで月6万円前後。
2階は1人用。
応接間と寝室兼用の1部屋、洗面所、シヤワー、トイレ付きで30m²の広さにヴェランダがある。
家賃は水道代、電気代込みで3万円前後。
それ以外に痴呆症の人の住まいもある。
特別養護老人ホームを含めて、福祉センターに居住する人は、使い慣れた自分の家具を持ち込んでいる。

デイセンター
昼間だけオープンしていて、福祉センター管轄区の住民は誰でも利用できる。
簡単な食事が安く食べられる。
手芸、工芸、木工室がありそこで作られたものはクリスマスのバザールで売ることも可能。
リーダーが付いて語学の勉強会のようなクラブ活動的なものもある。
地域老人の憩いの場所と考えれば分かりやすい。
福祉センターには、リハビリ用のプール、老人の住まいとして庭つきの住居がある。
どこの福祉センターに行っても、そこで見られる老人たちは例外なく、皆、小奇麗な服装をしていた。
トレーナー姿の人は見られなかった。
老け込まないためにも、お洒落は大切なような気がする。

ボランティア
ボランティアは必要不可欠で若者をはじめ、また年金生活をしている元ビジネスマンが何か社会のために役立ちたいと活動に参加している人も見受けられた。

ノルウェーの年金制度
話が前後するが年金について説明したい。
夫婦、独身、その他の条件によって年金額は事細かに細分化されているが、ここでは、ふれない。
ノルウェーでは67歳から年金が支給され、独身者の最低年金は2002年度9万2100クローネ(約152万円)だ。
希望すると年金額は減るが64歳からもらえる。
また警察署、消防署のようなハードな職種では58歳からもらえる。
67歳まで働きたくないという人が多いが、生涯現役という仕事好きな人は希望すると70歳まで延長可能だ。
年金支給額は過去の年収がポイントで計算され個人によって年金が異なる。
民間で退職前の収入の約50%、公務員は退職前の収入の約3分の2。
民間と公務員で差があるのは、同じ職種では賃金格差があり、公務員は民間より年収が少ないためだ。
最低年金は一般労働者平均収入の約3分の1にあたる。
最低年金を 受給されている人は税金を払う必要がないが、それ以上は税金の対象になる。
人により年金格差がでるのは当然だが、通常年金をもらう年になると自分の住まいのローンも終わり、贅沢をしない限り年金で十分生活ができる。

これを書いている私の国籍は、今もこれからも日本だ。
ノルウェーでは外人だが、パスポート に滞在許可書と労働許可書のスタンプを押してもらっているので問題なく生活ができる。
しかし、ノルウェー国籍がないと二っだけ違いがる。
一っは国家公務員の選挙権がなく、また国家公務員にはなれない。
二っめは6ヵ月以上懲役形を受けると国外退去になる。
それ以外は、外人であっても、正当に手続きを踏んで、税金を収めて住んでいる限りは、いままで述べてきた、医療、失業手当、年金等のすべての福祉の恩恵をノルウェー人と同様に受けることができる。

日本には日本のあり方が
世界で最も税金の高い国に住み、よく国民が納得しているものだと疑問に思うことがある。
特に健康で若い人は医療サービスを受けるわけでもなく、まして年金をもらうまでにはかなりの年がある。
しかし 両親のような人たちが年金をもらっているのを身近で見ているはずだ。
文句を言いながらも、現在の政策が国民に受け入れられているのは、税金が政治家の汚職、利権の悪用のために使われることがなく、税金を払った見返りが確実にあることにつきる。
最後に日本から来る福祉の視察団はある程度の情報を日本で仕入れて北欧に来るが、見るもの、聞くもの、すべてが目新しいわけではないようだ。
北欧の社会構造、老人1人当たりのスペースの広さ、老人福祉に対する考え方の違いに気がつき、あきらめとも、驚きともつかない気持で視察を終える人たちが多い。
北欧の福祉は参考になることがたくさんあっても、それをそのまま日本に移行することは無理だと思う。
やはり、日本も試行錯誤しながら時間をかけて日本人にあった福祉を進めていくべきかもしれない。