《酵素》
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 ここでは、酵素について書きます。


(1)酵素とは
(2)食物の摂取から排泄まで
(3)吸収
(4)たんぱく質分解酵素

(1)酵素とは
 人体の中では様々な反応が起こっていますが、酵素はそれらの反応に必要不可欠の蛋白質です。
例えば、活性酸素の一つスーパーオキシドシドアニオンラジカルは体内で発生する事を避ける事は出来ませ
んが、人体はこの活性酸素を消去・無毒化するためにスーパーオキシドジムスターゼ(略してSOD)とい
う酵素を作り出し、獲得しています。別の活性酸素である過酸化水素に対しては、カタラーゼやグルタチオ
ンペルオキシダーゼという酵素を作り出し、体内に獲得しています。

 酵素という漠然とした物質についてまず、人間が食事をし、消化・吸収が行われ、エネルギーを獲得し、
不要な物質を老廃物として排泄するまでの大きな流れについて書きます。あわせて、その過程で行われる
様々な反応にどのような酵素が関わっているかについても書いていきます。


(2)食物の摂取から排泄まで

《食物の摂取から老廃物の排泄までの過程》

 食物摂取から排泄まで大きく分けて3つの段階があります。

1)第1段階:高分子からなる食物成分を分解(消化)し、低分子物質に変える。この反応は消化管
        の中で行われます。

 この過程でたんぱく質はアミノ酸に、糖質は単糖類(ブドウ糖など)、脂質は脂肪酸とグリセロール
 に分解されます。このとき消化管から分泌される消化酵素(ここにまず「酵素」がでてきます)が活
 躍します。

   *口の中には唾液があり、アミラーゼという酵素が含まれています。
   *胃の中には胃液があり、ペプシン、胃リパーゼという酵素が含まれています。
   *小腸自体は消化酵素を分泌しませんが、膵臓で作られる消化酵素が膵液に含まれて小腸(十二指腸)
   に送られます。膵臓で作られる消化酵素にはトリプシン、キモトリプシン、カルボキシぺプチターゼ、
   アミラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼがあります。
   また十二指腸には胆汁酸も送りこまれます。胆汁酸は消化酵素ではありませんが、脂質の消化吸収を
   助けます。

   **これらの消化酵素はそれぞれ特定の物質の分解に働きます。
   ・糖質の消化に関わる酵素はアミラーゼです。
   ・たんぱく質の消化に関わる酵素はペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カルボキシぺプチター
   ゼです。
   ・脂質の消化に関わる酵素はリパーゼ、ホスホリパーゼです。

   ―第1段階は食べた食物を消化管から吸収できるように低分子に分解する過程です。―    

2)第2段階:第1段階で出来た低分子物質が消化管から吸収され、個々の細胞の中でさらに分解されま
        す。この段階の最後にはアセチル補酵素Aになります。この過程で少量のエネルギー
       (ATPという化合物の形で蓄えられます)が得られます。

 この第2段階で重要な反応は糖質の分解が連続して起こることです。つまり、第1段階で糖質は単糖類
に分解され消化管から吸収され、さらに細胞内に入ります。細胞内で単糖類は9つの連続した反応でピルビ
ン酸に分解されます。この9つの反応にもそれぞれに別々の酵素が関わります。ピルビン酸はさらに細胞
内(正確には細胞内のミトコンドリア)でアセチル補酵素Aになります。

  ―第2段階はアセチル補酵素Aを作る過程です。―

3)第3段階:第2段階でできたアセチル補酵素Aがさらに分解され呼吸で得られた酸素を使って、
        二酸化炭素と水になります。この過程で多くのエネルギーが得られます(ATP)。

 第3段階では第2段階で出来たアセチル補酵素Aがクエン酸回路(別名クレブス回路)という循環する
反応過程に入ります。先ず、アセチル補酵素Aとオキサロアセト酸が反応してクエン酸が出来ます。次に
クエン酸が別の酸(イソクエン酸)にさらにはイソクエン酸が別の酸(αーケトグルタル酸)にと次々に
変化し、最後にオキサロアセト酸という最初に書いた酸になり、これがまたアセチル補酵素Aと反応しま
す。これらの反応が繰り返され反応の回路が出来ているのでクエン酸回路と呼ばれています。
 この反応の結果二酸化炭素が出来これは呼吸により排泄されますが、重要なのはNADHという物質ができ
ることです。NADHはニコチンアミド・ジヌクレオチドという物質です。NADHはクエン酸回路に引き続き
起こる酸化的リン酸化反応(電子伝達系)という反応に関わり呼吸により得られた酸素も加わって、最終
的に水とエネルギー(ATPの形で)が得られます。

  ―第3段階はアセチル補酵素Aを完全に酸化し、エネルギー(ATP)を得る過程です。―


 上で見てきたように糖質は3つの段階により分解されエネルギーを獲得する材料になります。このよう
にして得られたエネルギーは人体の正常な活動をする為に利用されます。

(3)吸収
 ここでは糖質が消化酵素によってブドウ糖にまで分解された後、どのように吸収されていくのか、
模式図を示してみてみましょう。
図は小腸の断面です。

右の四角でかこってある図では上が小腸の中(消化管の中)です。 (Intestinal lumenと表示してある紫色の部分です)
3個の小腸内面の上皮細胞があります(灰青色)。
ブドウ糖(Glucose)は六角形で示されています。
ブドウ糖が小腸の中から上皮細胞の中へ、さらに上皮細胞を通過して下の結合組織(Connective tissue、黄色の部分)に入っています。これがブドウ糖の吸収です。

左上の円で囲っている図はブドウ糖が小腸の上皮細胞の中に入るところです。
オタマジャクシのようなものが尻尾で向き合って並んでいるように見えるのが細胞膜です。細胞膜の一部に釣鐘のような構造がはまり込んでいますが、こらがブドウ糖を細胞の中にいれる輸送機(Active transport)です。
(この図はCooperの"The CELL ,A Molecular Approach" 2nd ed.,ASM PRESS,Washington,2000、p491の図を引用しました。)

(4)たんぱく質分解酵素
 プロテアーゼという酵素があります。これはたんぱく質を意味する「プロテイン」と加水分解
(水と反応して分解する)を意味する接尾辞の「アーゼ」からつくられた造語です。たんぱく質
分解酵素のことです。
 この酵素は1つではなくたんぱく質を加水分解する酵素群です。分解されるたんぱく質は酵素
ごとに決まっています。

 たんぱく質加水分解酵素(プロテアーゼ)は大きく4つに分けられます。

*セリンプロテアーゼ:セリンというアミノ酸が重要な働きをするプロテアーゼ
*酸性プロテアーゼ:アスパラギン酸のカルボキシル基(-COOH)が重要な働きをする
          プロテアーゼ
*チオールプロテアーゼ:システインのチオール基が重要な働きをするプロテアーゼ
*金属プロテアーゼ:亜鉛やカルシウムなどの金属元素が重要な働きをするプロテアーゼ

これらの4つのプロテアーゼに分けられます。
金属プロテアーゼの例を1つあげます。
 ・コラゲナーゼ:コラーゲンを分解するコラゲナーゼは亜鉛を必要とする酵素です。(金属
   プロテアーゼの一種です。正確には亜鉛プロテアーゼです。)





(最終改訂:2003.1.10.)