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木あそび
  ヌルデ護摩木のパチパチ音


 ヌルデの割り木は燃焼に際してパチパチといい音がするということで、かつては護摩木に利用されたという。機会があればこれを確認したいと思っていたところ、幸いにしてヌルデの小径木が手に入ったことから、早速確認することとした。併せて先送りしていたハゼ護摩木(ハゼの木の割り木)、その他のものについても合わせて試験してみた。【2010.7】


ヌルデ護摩木
(ヌルデ材の表情)
 10センチ弱の小径木から作ったサンプルであるが、心材化がよく進行している。ウルシ科ウルシ属では心材が黄色いものが多いが、ヌルデは淡灰褐色である。手鉋で仕上げるといい艶が出る。材面はキリの感触にやや近く、かつては下駄材としても利用されたという。
 皮付きの小径木を鋸断した直後の様子である。
 ウルシのような樹脂状の樹液が出ている。樹液は当初はクリーム色であるが、徐々に赤褐色となり、ついには暗赤褐色となる。ウルシのような利用はなかった模様である。
(ヌルデの護摩木)
 ヌルデを小割りした自家製の護摩木である。パチパチと音を立てることで、宗教的高揚感を演出するために利用されてきたようである。近年は代替材に置き換わった模様で、パチパチ音は伝説となっている。  試してみると、燃焼初期からピーク時まで、途切れることなくパチパチといい音がする。これは道管内にチロースを含むため【木の大百科】と説明されている。  やはり試してみないと、「・・・といわれている。」としか言えない。
   
 燃焼の様子は以下のとおり。 
   
   
ハゼ護摩木
 ハゼノキを小割りした自家製の護摩木である。現在でも一部で護摩木として利用されている。ハゼノキの名は、決して爆ぜるからこの名があるわけではないが、気になるため試してみることにした。  着火初期に、パチパチと小さな音がしたが、勢いよく燃えだすと、音は止まった。この程度の音は特別のものではない。したがって、護摩木としてなぜハゼノキが利用されるのか、理由は不明である。ヌルデと同じウルシ科ウルシ属であるが、ヌルデの代替材とも思えない。
マツの松明
 盂蘭盆会(うらぼんえ)で迎え火・送り火として利用されるヤニが強めのマツ材(肥松)の松明である。この目的では使用したことがないが、参考のために試験してみた。  材面に脂が吹き出して、ねちっこい赤い炎あげて燃えた。パチパチ音は全くない。やにに由来する黒煙があがるため、護摩木にはなじまないと思われる。火の付きはよい。
クリ
 クリの薪はクリの実と同様に爆ぜるとの評価をしばしば耳にする。これが本当であれば護摩木にも使えるかもしれない。  ヌルデには遠く及ばないが、控えめなパチパチ音の発生は認められた。ただし、火の付きが悪く、また元気に燃え上がるという印象がない。クリの材は好きであるが、護摩木としては不合格である。
スギ
 ヒノキの薪は爆ぜないが、スギの薪は爆ぜるとも聞く。ついでに確認することにした。  意外や、ヌルデには及ばないが、にぎやかなパチパチ音が確認できた。しかも、爆ぜた時に火の粉、燃えかすがしばしば元気に飛び出した。パチパチ音はクリよりはるかに優っていた。音を期待するのであれば、ハゼノキよりスギの方が手に入れやすいし、お奨めである。
ヒノキ
 ヒノキの端材を小割りしたものである。木目が素直で、淡いピンク色が美しい。爆ぜないとされるヒノキは、果たして・・・  これだけの木片を燃焼したが、驚くべきことに、ただの一度も爆ぜる音を確認できなかった。スギとは対照的であり、これも一つの特性といえる。
 木が燃焼中に爆ぜるということは、木材を構成する細胞(細胞群)が熱せられて、水蒸気、ガス圧が高まって爆ぜるものと思われる。広葉樹(特に心材)では特にチロースで道管の開口部分が閉塞されていればこの傾向が強いのであろう。
 チロースといえば、ウイスキーの樽として、ホワイトオークが賞用されるのは、材の滲出成分の効果のほかに、チロースが道管を塞いでいることから、ウイスキーを漏らさす貯蔵できることによると説明されている。そうであれば、ホワイトオークを護摩木にしたら、パンパンといい音がして、大いに盛り上がってしまうかもしれない。残念ながら手持ち材がない。
 一方、スギとヒノキの違いに関して、特にスギがよく爆ぜる理由に関して定説は聞かないし、現在のところ不明である
 なお、キャンプファイアーの経験者の談では、材の種類とは別に、乾燥不十分の薪は爆ぜやすいとも聞いた。
<上記木材の爆ぜやすさの序列再掲>
 ヌルデ>スギ>クリ>ハゼノキ        全くの音なし:マツ、ヒノキ