インディアナ州立大学を卒業し、現在フロリダのエージェント事務所にて働いている管理人によるスポーツマネジメント留学サイトです。出来る限りスポーツマネジメント及び留学についての情報を提供していこうと思っています。




MLBコラム13
選手は商品か◆-アマチュア編-


前回プロ選手の球団間トレードにおける「人身売買」という側面に触れた。プロ選手が商品と捉えられるケースは、ある程度納得できる部分はある。選手自身にしても「自分を必要としてくれるチームの為に・・・」という忠誠心が生まれるという点もあり、正面から批判すべきことでもないのかもしれない。

しかしアマチュア選手における「人身売買」的行為についてはどうだろうか?

2004年頃だっただろうか。BBCの番組で欧州サッカーにおける悪徳エージェントに関するものがあった。サッカーの世界で代理人業を行う場合には、FIFA公認エージェント資格を有する必要があると認識しているが、非公認のエージェントについて触れた番組だった。

この悪徳エージェントは、アフリカなど貧しい国へ行ってはタレントを探し、確実にお金を稼げるといった巧妙な話でその選手をヨーロッパへ連れて行くという。そしてクラブにその選手を「売る」のである。もちろん貧しい国から来た選手だから、選手やその家族は喜ぶのだろうが、その一方でこの悪徳エージェントは契約金の大半を根こそぎいただくというわけである。

クラブに「売れた」場合はまだいい。しかし連れて行った選手全てが「売れる」わけではない。中にはどこのクラブからも受け入れられない選手もいる。この場合、残酷にもこの悪徳エージェントはその選手を「捨てる」のである。何の身よりもないアフリカの少年には、欧州行きの片道切符しか渡されていない。捨てられた後、この孤独な少年は欧州の路頭を迷うことになる。これは弱者を利用した「搾取」であり、文字通り「人身売買」以外のなにものでもない。決して許されるべき行為ではない。この事実を知り、華やかな欧州サッカービジネスの裏で、そんなことが起きているということに愕然とさせられた記憶がある。

このようなことが起こらないよう、FIFAが公認代理人の制度を徹底しているのも頷けるし、今後更に強化していく必要がある。代理人は選手から搾取する人ではなく、選手の権利を守る人でなければならないはずだ。

さて、アメリカでのスポーツビジネスに話を戻すことにしよう。

そのパフォーマンスによって金銭を得ることのない選手、すなわちアマチュア選手は「商品」とされるべきではないと考える。だが実際のところ、競技によっては競技そのものの運営・強化を図るためには、そういってはいられない事実もある。矛盾にはなるかもしれないが、ここで触れるアマチュア選手はこの類ではない。

ではここで触れるアマチュア選手とはどのような選手か。それは云わばプロ予備軍とでも呼ぶべきだろうか。どうもアメリカではプロスポーツのビジネス部分が、こういったアマチュア選手にも及びすぎている気がしてならないのだ。スカウト陣がドラフトの目玉を探して奔走するのは納得も出来る。よりレベルの高いゲームには、それだけ多くのスカウトが集まる。これも納得が出来る。

だがアメリカ野球界ではしばしば、高校生を対象とした「Show Case(展示会)」というものが開催される。ここで選手は運動能力を測られ、ゲームを行い評価され優劣を付けられる。もちろんここには、MLBのスカウト陣やエージェント陣も集合するというわけだ。もちろんこれは、選手にとってアピールの場でありMLBスカウトの目に留まる願ってもないチャンスである。しかし「Show Case」という呼称に、一様の違和感を覚えずにはいられない。詳しくは知らないが、出版社が主催し、このイベントそのものも大きなビジネスとなっているようだ。つまり選手を「商品」と見立てた「品評会」であることは、間違いない。

日本に比べ、プロへの門戸が広い分、こういったイベントがビジネスとして成り立っているわけだが、たとえ日本でも門戸が広がったとしても、こんなイベントが受け入れられるとは到底考えられない。戦力外通告を受けた元プロ選手のトライアウトとは訳が違う。品評されるのは高校生なのだから。

これは競争原理の国という土壌があって行われているものだし、プロになりたい選手たちが必死にアピールしている現状から真っ向否定するつもりもない。しかし個人的にはちょっと行き過ぎだという気がするのである。スポーツビジネスが発達しているアメリカがやっていることが全て正しい訳ではなく、日本のスポーツビジネスを健全に発展させるためにも、その中から本当に真似すべき部分とそうでない部分を取捨選択していく必要もあると感じる。