■□□ プラグの焼けを見てみよう □□■

 
エンジンチューンをするならキャブセッティングは必須項目。
エンジンは吸気系と排気系のバランスが取れて、初めて本来の性能を発揮するのです。
しかしセッティングに関しては感覚的な部分が多いのが事実。手を出しづらいのが本音ですね。

もう少し手がかりがあればやりやすいのに・・・というチューンビギナーは多いはず。
そこで今回は、キャブセッティングの『目安』とされるプラグの焼けの見方を紹介します。



◎観察の基本◎
『プラグの焼けを見る』とはどこを見ればよいのでしょうか?
ただ漫然と眺めて「キツネ色」それでは困ります。
プラグ各部とキャブレターのジェット類との間には、密接な関係があるのです。

【A】中心電極周辺の碍子(ガイシ)部 <<−>> メインジェット(MJ)
スロットルは全開領域。最高出力に関わるセッティングです。
通常プラグの焼けを見る=Aを見ることを示します。
セッティングが出るとキツネ色…等と言いますが、まずそうはなりません。
街乗りなら黒ずんでいるのが普通。委細後述。

【B】アース側の中心電極 <<−>> ジェットニードル(JN)とスロージェット(SJ)
主にスロー系のセッティングを見ます。スロットルはパーシャル開度領域。
エンジンの扱いやすさに関わるセッティングです。
スロットル半開時のボコつきは、ここのセッティングが外れていることが多いです。



【C】アース側の周辺電極 <<−>> スロージェット(SJ)とエアスクリュー(AS)
こちらもスロー系のセッティングです。スロットル開度0〜開け始めの部分です。
エンジンの扱いやすさに関わるセッティングです。
開けはじめにボコつく、反応が鈍い…という時はSJを絞ります。
この部分は、分解しなければ見えないシリンダーヘッドの状態も示しています。
【D】中心電極 … 消耗していないか確認しましょう。

【A】と【A'】を比較
Aの方がじっとりしているのがわかります。
『カブる』とはこういう状態です。ひどい時にはカーボンが溜まっていたりします。
良好なセッティングを維持して走れば、A'のような乾いた状態になります。

☆ 理想の状態は・・・?? ☆
【A】 キツネ色というよりも灰色に近い
オイルが付着せず乾燥している
【B】 余分なカーボンが堆積していない(うっすらのる感じ)
オイルが付着せず乾燥している
【C】Bと同じ。
Bは、Cよりもカーボンが付着していない方が良い。

★ 逆に良くない状態(セッティングが外れている)は・・・?? ★
【A】薄いとき・・・白く粉を吹いた感じになる。
濃いとき・・・オイルが付着してじっとりベトベトしている。同時にカーボンが堆積する。
【B】 薄いとき・・・【A】と同様。焼きが入った感じになる。ひどい時には融けてしまう。
濃いとき・・・明らかにカーボンが堆積する。薄膜状にこびりつき、爪でひっかけば取れそう。
【C】薄いとき・・・見た目の変化は現れにくい。好みのアクセルのツキを覚え、それに近づけるようにする。
濃いとき・・・明らかにカーボンが堆積する。一番上の写真が参考例。
       信号待ちをする街乗りバイクはここにカーボンが溜まる。


どうでしょう。プラグの見る部分とジェッティングの関係が掴めましたか?
では実際に見てみましょう!
実験車種NSR50(仕様はこちら
使用ガソリンハイオク(Shell Pura)
使用オイルSilcolene Pro2
プラグNGK BR9ES
天気/気温/湿度/水温晴れ/26℃/45%/73℃
MJ/JN/SJ/AS110/上から3段/40/1+1/2戻し

◇ 走行0分(新品状態)のプラグ ◇

見ての通り、まっさら新品です。
マフラー入れてキャブのセッティングだぁ!・・・と意気込んだものの、どのくらい走って確認すれば良いのかわからない!よく聞く話です。
ここでは焼けの観察と同時に、セッティングを見るにはどのくらい走行すればよいのかを確認してみようと思います。
慣れてしまえばプラグなど見なくても、一回発進すればわかるようになりますヨ(^-^)v

今回は作業時間短縮のため、予めセッティングを出した状態にしてあります。

◇ 走行時間20分のプラグ ◇

これを見て意外!と思う方は多いはず。
サーキットをひたすら全開で走っても、【A】はキツネ色になっていません。
うっすら色づく程度です。これが本当にセッティングが出た状態です。

【B】も絶妙。
【C】は少し濃い目かな?という感じ。SJを2番絞ってみます。


◇ 走行時間40分のプラグ ◇

【A】にようやくカーボンが付き始めましたね。俗に言う『キツネ色』にはいつなるのか??
【C】のカーボン付着量が気持ち減った感じです。が、エンジンの応答が良くなりすぎで僕好みではないので、やっぱり40番に戻します。

◇ 走行時間60分のプラグ ◇

【A】に色よくカーボンが乗っています。
今回は転倒者が続出し、徐行する機会が多かったので急激にカーボンが溜まったのでしょう。

そうそう、プラグの焼けを見るときは、『プラグチョップ』を行いましょう。
全開走行状態のままイグニッションを切る、という方法です。この時スロットルも全閉にしなければ効果が無くなるので要注意。
正確なセッティングには欠かせませんね。
ほんの数秒アイドリングしただけでプラグは表情を変えてしまいます。

◇ 走行時間80分のプラグ ◇

ピンぼけちゃいました。
【A】が結構汚れてきました。いわゆるキツネ色ってこんな感じでしょうか。 ということは、セッティングをするには80分も全開走行を続けなければいかんのか!!


そういうわけではありません。
セッティングは、シリンダーに吸い込まれた混合気が、理想の状態で燃焼できるように仕向けるのが目的です。
理想に近づいているかどうかを、プラグを通じて見ているのです。

理想の燃焼状態=プラグの良好な焼け具合

というのを覚えておいてください。

◇ 走行時間120分のプラグ ◇

なんだか見飽きてきましたね。
こんがり(?)焼けたプラグを片目に、SJのうんちくを垂れます。

SJが濃いとき・・・
スロットルの開け始めに「モコモコッ」ともたつきます。ダルな吹け上がり。
良好なとき・・・
スロットルの動きに敏感にエンジンが反応してくれます。吹けが軽い!
逆に薄いとき・・・
吹けが軽いことは軽いが、敏感に反応しすぎでいわゆるカリカリのセッティングになります。
エンジン回転の降下が異様に遅くなる。
特に4stではアフターファイヤ(スロットルを戻したときにパンパンッと炸裂音がする)が出る。
という症状が出ます。
激しいアフターファイヤは放っておくとエンジンが壊れるので、速やかにリセッティングしましょう。

◇ 走行時間140分のプラグ ◇

かなり黒くなってます。走行後、20秒弱アイドリングさせた結果です。
こんなに変わるとは、僕自身も驚きでした。

続きまして、JNの段数に関するうんちくです。
繰り返しますが、JNはスロットル中間開度のエンジンフィーリングを決定します。
セッティングが薄くても濃くても、同じような症状を示すので、最も難しい部分だと思います。
セッティングの見方には3通りあります。

@アイドリング状態で少しずつエンジン回転を上げていったとき、
・滑らかに吹けあがる →→ セッティング良好
・途中で不安定になる →→ 薄い or 濃いので、クリップ段数を変えてみる。
A実際に走り、エンジンフィーリングを感じてセッティング
Bプラグを見る!
ちなみに僕は、数字の順で3つともやってます(爆

◇ 走行時間160分のプラグ ◇

注目していただきたいのが【A】の部分。
20分前はあんなに真っ黒だったのに、良好なセッティング状態で走ったことによりカリッと乾燥したキツネ色になっていますね。
良好な燃焼→高い燃焼温度→プラグに付着するカーボンが焼け飛ぶ
(プラグの自己洗浄能力とかいいます)

セッティングを行うにあたり、新品のプラグはかえって焼けを判断しづらいのが判ってもらえたと思います。但し、あまりにも汚れているのはNGね(−−;

要点をまとめます。
・セッティング変更前と変更後をよく観察すること。色よりも濡れ具合。
・はじめは濃い目からセッティングしていくこと。濃い分には壊れない。
・ドツボにはまったら最初に戻る。

・あせらない ← 一番大事!

4stはキツネ色にはなりませんのであしからず。オイルを一緒に燃やさないからです。
【A】が少し濃い目の灰色が目安です。
【B】【C】は真っ黒なのが普通。カーボンが積もってなければよいのです。
2stの常識がそのまま4stには当てはまらない。これだからエンジンはオモシロイ!!

そういえば、ASのうんちくを垂れてませんね。
「アイドリング領域を支配する」とか言われて軽く見られがちですが、とんでもない!
僕はうまく利用すれば+0.5馬力の効果があると確信しています。
どんなにセッティングしても、美味く決まらないのが普通です。どこかで妥協しなければいけません。
そんなときはASを調整します。うまくいけば、別のエンジンになったかのように速くなります。
幸いASはキャブの外からプラスドライバーで調整できる(TM除く)ので、急な雨など気象条件が大きく変わったときは、ASを1/2回転ほどいじってやれば元気復活!ということが可能なのです。
基本設定はメーカー出荷時のまま、あともう一サジの塩加減、かゆい所に手を伸ばしたいときに使ってみましょう。

最後に、プラグの焼け色は、使うオイル・天候・水温といった条件で微妙に変化します。
たとえば、雨の日は普段よりも黒くなりやすいです。経験を積んで自分なりの判断基準を作ってください。

これであなたもセッティング名人(迷人?)の仲間入りです!

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