甲子園西宮競輪

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甲子園、西宮競輪場廃止

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掲載日、媒体、記事の内容および議会での質問と議事録

2002.12.04
毎日新聞

提訴: 競輪選手約4000人 約45億円の損害賠償求める 
  西宮競輪と甲子園競輪(いずれも兵庫県西宮市)の廃止で出場権を奪われ、レースの賞金を得られなくなったとして、日本競輪選手会(本部・東京都)所属のほぼ全選手ら3987人が4日、両競輪を運営していた兵庫県市町競輪事務組合(19市1町で構成、管理者・山田知西宮市長)に対し、2年分の賞金に当たる計約45億円の支払いを求める損害賠償請求訴訟を神戸地裁に起こした。  同時期に廃止された門司競輪を運営する北九州市に対しても同日、約18億円の支払いを求める同様の訴訟を福岡地裁小倉支部に起こした。  神戸訴訟の訴状などによると、同組合は昨年11月、西宮、甲子園の両競輪の廃止を同選手会に書面だけで一方的に通告。両競輪に出場していた選手らは、過去の実績から将来の出場契約も実質的に成立していたと考えられるとして、契約の不履行を主張。また、廃止に対応するための時間的余裕も与えられなかったとして、両競輪での2年分の賞金に相当する選手1人当たり約110万円、計約44億6500万円の支払いを求めた。 【藤田文亮】  兵庫県市町競輪事務組合の中村豊事務局長の話 訴状を見ていないのでコメントできない。 [毎日新聞12月4日] ( 2002-12-04-20:37 )

 

2002.11.08
共同通信

選手4000人が45億円請求へ
競輪場廃止で「仕事減った」

 西宮、甲子園両競輪(兵庫県西宮市)が3月に廃止されたため「仕事の場が減った」などとして、日本競輪選手会の選手約4000人が、競輪を運営していた兵庫県市町競輪事務組合(管理者・山田知西宮市長、19市1町で構成)に総額約45億円の損害賠償を求める訴訟を起こす方針を決めたことが8日、分かった。提訴時期や具体的な内容は検討中という。

 両競輪の廃止をめぐっては、甲子園競輪の施設を賃貸していた企業などが計約80億円の損害賠償請求訴訟を起こしているほか、西宮競輪場を賃貸していた阪急電鉄が約28億円の損害賠償を求めて調停を申し立てている。

 選手会によると、今年2月、事務組合に「両競輪を廃止すれば、2年分の賞金総額に当たる約45億円を請求する」との催告書を送付。3月の廃止を受け、選手会は6月の総会で、訴訟を起こす方針を全会一致で決めたという。

 事務組合側は「まだ提訴されていないのでコメントできない」としている。

 同様の訴訟では同選手会の選手が1997年、競輪事業を廃止した福岡県田川市など5市に総額13億6000万円を求めて提訴。昨年、五市が計1100万円を支払うことで和解している。(共同通信)

 

2002
日本共産党西宮市会議員団「2003年度西宮市予算要望」

西宮・甲子園競輪事業については、2002年3月末をもって撤退・廃止され、2002年度決算認定と事業の残務処理のため2003年3月まで兵庫県市町競輪事務組合が存続することとなっている。
 現在事務組合を相手に、甲子園土地企業約61億円、近畿競輪競技会約18億円の損害賠償請求訴訟が提起され、競輪選手会からは45億円の催告書、阪急電鉄から約28億円の損害賠償請求書が提出されている。いずれの訴訟、請求も事務組合は弁護士を通じて法的に対応している。事務組合の管理者としての山田西宮市長と、同組合の事務処理に責任を持っている西宮市には、この問題に対して今後とも毅然とした対応が求められている。
事務組合の裁判所に対する答弁書や催告書等に対する回答にも明確なように、競輪事業撤退にともなう各団体への損害賠償や各種補償については、「法的根拠は一切ない」ことは明白である。この基本的立場にたって今後とも毅然と対処すること。
言うまでもなく司法の結論が出れば、これに従うことは当然である。その場合も事務組合構成19市1町が、収益金配分の配分率にもとづいて共同責任をもつことがこれまでにも文書確認されている。事務組合解散後もこのことが確実に実行されるう、責任をもって事務処理にあたること。
両競輪場に関係する食堂、売店などの事業者との協議は順調に進み、ほぼ解決したとしているが、まだ未解決の業者も数件あると聞いている。円満解決に努力することは当然であるが、仮にこれらの業者の代理と称して権利者以外の者が出てきても絶対に協議や交渉に応じるべきではない。このような事例が出てきた場合は直ちに法的に対処すること。

 

2002/08/23
神戸新聞--------------------------------------------------------------------------------
事務組合に28億円賠償要求 西宮競輪廃止で阪急電鉄
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 今年三月の西宮競輪廃止で、阪急西宮スタジアム(西宮市高松町)が取り壊しに追い込まれるとして、スタジアム所有の阪急電鉄(大阪市)が、競輪事業を運営していた兵庫県市町競輪事務組合(十九市一町で構成、管理者・山田知西宮市長)に対し、約二十八億円二千万円の損害賠償を求めていることが、二十三日分かった。

 七月、同事務組合に届いた同電鉄からの通知書によると、請求額は、大型スクリーンや特別観覧席を設けるなど膨大な資金を投入した施設の未償却相当額や、撤去工事費など。同電鉄広報室は「会社の考え方を伝えた。今後、法的手段に訴えるかどうかは未定」としている。

 一方、同事務組合は「現段階で、損害賠償に法的根拠はないと考える」と反論している。
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2002/08/22
神戸新聞--------------------------------------------------------------------------------
西宮、甲子園競輪廃止で提訴 近畿自転車競技会
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 西宮、甲子園競輪の廃止をめぐり、審判や車券販売などの事務を一括している経済産業省特別認可法人「近畿自転車競技会」(大阪府堺市)が二十一日までに、「廃止は一方的な契約破棄で不法」として、両競輪の運営主体「兵庫県市町競輪事務組合」(十九市一町で構成、管理者・山田知西宮市長)を相手に総額約十八億五千万円の損害賠償を求める訴えを神戸地裁に起こした。

 訴状によると、事務組合が「事業収支改善が見込めない」として、今年三月で西宮、甲子園競輪を廃止したことにより、競技会は年間交付金額の26・4%を失い、約百五十人が退職を余儀なくされるなどの損害を受けたという。

 競技会は「事務組合とは不可分一体の関係。四十年間続いた委託契約を一方的に解約し、何ら補償措置を取らないのは不法行為に当たる」と主張している。

 競技会は一九六二年に自転車競技法に基づき設立。両競輪のほか、福井、大津びわこ、京都向日町、奈良、岸和田、和歌山競輪で、審判や選手の管理、場内整理などの競輪事務全般を委託され、行ってきた。

 事務組合は「訴状の内容を検討中でコメントできない」としている。

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2002/04/12
神戸新聞--------------------------------------------------------------------------------
就労対策金支払いで合意 西宮・甲子園競輪と労組
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 三月に廃止された西宮、甲子園競輪事業を運営していた兵庫県市町競輪事務組合(管理者・山田知西宮市長、十九市一町で構成)は十一日、車券売り場の従業員らでつくる「兵庫県下競走労働組合」と、総額八千八百六十万円の就労対策金を支払うことで合意した。

 同労組は、事業組合の競輪事業撤退で、従業員が職を失ったとして、同組合に、全員の再雇用か、一年分の給与にあたる五億六千八百万円の就職補償金の支払いを求めていた。

 二月中旬から両者で交渉を続けた結果、再就職活動を支援する意味で、事務組合が従業員一人あたり給与三カ月分(三十一万二千円)を二百八十四人全員に支払うことで合意した。

 競輪事業撤退をめぐっては、競輪場などを所有する甲子園土地企業が約六十一億円の損害賠償を同組合に求めて提訴したほか、日本競輪選手会が補償金として四十四億円を要求している。

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2002/03/20
神戸新聞--------------------------------------------------------------------------------
53年の歴史に幕 甲子園競輪で最終レース
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 経営不振で廃止される「西宮、甲子園競輪」の最終レースが十九日、西宮市の甲子園競輪場であり、詰めかけたファンら約五千五百人が別れを惜しんだ。西宮競輪場では八日、すでに最終レースが済んでおり、同競輪は五十三年の歴史に幕を閉じた。

 同競輪は、兵庫県内の十九市一町でつくる市町競輪事務組合(管理者・山田知西宮市長)が運営。公営ギャンブルブームで人気を集めたが、九一年度をピークに売り上げは減少、二〇〇一年度はピーク時の半分に落ち込んでいた。昨年十一月、廃止が決まった。

 この日、第十レース終了後、山田管理者が「ファンの皆さまのおかげで感動のレースができた。厚く感謝します」とあいさつ。甲子園競輪場でレースを重ねた地元選手ら約七十人が、観客席にユニホームを投げ入れ、最後のファンサービスに努めた。日本競輪選手会兵庫支部の坂東利則支部長代行(54)は目をはらしながら「これだけ喜んでもらっているのに廃止になるのは悔しい」と話した。

 西宮競輪開催地の阪急西宮スタジアムは、一年間は他のイベントなどに利用。甲子園競輪場は売却が検討されている。

 今後は、同事務組合と関係企業などとの補償交渉が課題となる。
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2002/03/16
神戸新聞--------------------------------------------------------------------------------
県事務組合に補償提訴検討 甲子園土地企業
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 甲子園競輪の廃止に伴い解散を決めた甲子園土地企業(西宮市)の木村六郎社長は十五日会見し、競輪運営主体の兵庫県市町競輪事務組合に対し、補償を求め訴訟を検討する考えを示した。従業員三十二人には希望退職を募る。

 補償などの見解を組合にただしたが「競輪事業が地方財政に寄与せず撤退は正当。(同社への)法的債務はない」との回答だったという。解散に伴い、設備投資の未償却分(約三十八億円)や施設撤去費などの補償をあらためて求める。

 木村社長は「訴訟も検討するが、請求額や方法は専門家に相談して決めたい」と述べ、「事業を通じ、地域社会に貢献してきたと自負しているだけに残念の極み」と話した。競輪場跡地の売却などは今後、検討する。
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2002/03/02
神戸新聞--------------------------------------------------------------------------------
西宮、甲子園競輪廃止で住民が監査請求
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 三月末で廃止される西宮、甲子園競輪事業で、西宮市西宮浜四のフリーライター井上和巳さん(66)が一日までに、運営母体「兵庫県市町競輪事務組合」管理者の山田知・西宮市長ら幹部四人に、廃止の撤回か、撤退に伴う補償金の支払いを求める監査請求を起こした。

 請求によると、管理者らは特別競輪の誘致など売り上げ向上への努力をせず、関係団体との事前協議なしに事業からの撤退を決定。多くの従業員が職を失い、関係団体から多額の賠償金を要求される結果を招いた、と指摘。賠償金弁済の責任は四人にあるとした。

 井上さんは「黒字化の努力をせず、八百人近い関係者の職を奪うのは許せない。全国で競輪を運営する各団体には、こういう方法は取らないでほしいと願って請求した」と話している。

 同組合は神戸、芦屋、篠山市を除く十九市と三原郡三原町で構成。最も配分率が高い西宮市の市長が管理者を務めている。

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2001/12/05
神戸新聞--------------------------------------------------------------------------------
西宮・甲子園競輪の補償金110億円に 20市町で分担へ
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 本年度限りで廃止される西宮、甲子園競輪事業で、廃止に伴う企業、団体の補償要求額が約百十億円に上ることが四日、明らかになった。運営母体の「兵庫県市町競輪事務組合」(管理者・山田知西宮市長、十九市一町で構成)が独自に算定した。補償金について、事務組合は「基金と配分率に応じ各市町に負担してもらう」としているが、本年度末の基金残高はわずか十億円で、税金投入は避けられない見通し。算定通りの補償金が必要となった場合、最も配分率の高い西宮市で約四十四億円の負担となり、厳しい財政をさらに圧迫することになりそうだ。

 関係者によると、事務組合は、西宮、甲子園競輪場をそれぞれ所有する阪急電鉄と甲子園土地企業の補償要求額を、施設の未償却額から約二十四億円、約三十六億円と想定。さらに、日本競輪選手会が約四十億円、審判らが所属する近畿自転車競技会が約十億円を要求するとして、総額計百十億円と予想している。

 阪急電鉄は西宮競輪場の大型放映施設や特別観覧席、バンク改修に約三十四億円を投入。甲子園土地企業も甲子園競輪場にスタンドや管理センターを新築したほか、バンク改修に約五十九億円を費やした。

 宝塚市は四日に開かれた市会で、「事務組合推定の未償却残高は西宮が二十四億円、甲子園が三十六億円」と答弁。いずれも競輪開催を前提にした設備投資で、これらの未償却残高が想定補償額の根拠になっている。

 また、選手会には賞金二年分、近畿自転車競技会は、西宮と甲子園で約五十人の職員を配置していることなどを元に補償要求額を算出。ただ、選手会や競技会については、法的に補償に応じる根拠は少ないとの意見も組合内部であり、訴訟に発展する可能性もある。

 北九州市の小倉競輪場で九六年、福岡県の田川市など五市が競輪事業から撤退した際、日本自転車振興会に登録する全競輪選手約四千四百人が二年分の賞金にあたる約十三億六千万円の損害賠償を求めて提訴し、その後、和解した例がある。

運営20市町

 姫路、尼崎、明石、西宮、洲本、伊丹、相生、豊岡、加古川、龍野、赤穂、西脇、宝塚、三木、高砂、川西、小野、三田、加西の各市と三原郡三原町。
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2001/12/02
神戸新聞
「一場案」で混乱招く/問われた指導力
「当初の収支試算からいけば、十一億円もの見込み違いだ。管理者の経営責任を問いたい」

 十一月十三日。西宮、甲子園競輪廃止を承認する組合議会で、馬殿敏男宝塚市議は事務組合を厳しく追及した。

 同市議によると、事務組合が試算した本年度事業収支見込みは七億円超の黒字。しかし、車券売り上げの減少から下方修正を繰り返し、今年四―九月の実績からはじいた最終試算は約二億円の赤字に。これに当初、想定していなかった選手賞金の減額など約二億二千万円を加えた実質赤字は四億二千万円。当初試算から十一億円の開きがある、というわけだ。

 答弁した管理者の山田知西宮市長は「本年度収支見込みが非常に甘かった」と陳謝したが、馬殿市議は「陳謝では済まない。本年度の赤字額が確定したら、監査請求したい」と語気を強めた。
 


 見通しの甘さは、これだけではない。今年夏に出した「甲子園一場開催案」の試算は、関係者をより混乱させる結果となった。西宮、甲子園両場で開催した場合は二〇〇二―〇五年度ですべて赤字だが、甲子園一場の場合、〇二年度で三億五千万円、〇三年度も黒字になる―という内容。この後の組合議会で、存廃の賛否は割れ、関係者の理解も分かれた。

 同議会所属の西宮市議は「一場開催が当局の方針と判断し、地元議員として反対があってもまとめなければと思った」と打ち明ける。従業員らも「甲子園一場は残る」との確信を持った。

 ところが十月、事務組合は別の試算を提出し、「一場案」に自ら幕を引く。二年間は黒字とされた甲子園単独での収支予測が二年目から赤字に転落。さらに黒字予想だった本年度でさえ、赤字に転落する見込みになったからだ。組合側は「数字がすべて。政治的意図はない」と説明するが、関係者からは「最初の試算では存続、廃止のどちらにもなりえた。途中で投げ出したかのようにも映る」と管理者の指導力を問う声も聞かれた。
 


 今後、最大の問題となるのが、廃止に伴う企業や団体への補償だ。百億円は下らないといわれる補償金は、事務組合の財政基金と各市町の負担になる。本年度末の組合の負債約十三億円と赤字を差し引いた基金残高はわずか十億円。事業収支が赤字だった一九九八、九九年には、基金を崩して配分した。

 廃止によって、事業の赤字負担が増えないにしても、従業員の職場や選手の根拠地を奪った影響は大きい。特別観覧席などの大型投資や基金運営は適正だったのか。馬殿市議は指摘する。「事業が廃止されても、組合は経営者としての責任から逃れることはできない」
 


 
(この連載は、記事を小西博美、田中真治、写真を佐藤隆英が担当しました)
   財政基金 一九八一年、円滑な財政運営を目的に事業組合に設置した。毎年、収益の約半分を積み立てる。二〇〇〇年度当初で七十五億円だった残額は、いったん解雇した車券売り場の従業員慰労金や赤字補てんなどで五十億円を取り崩し、〇一年度当初で二十五億円になった。
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2001/11/30
神戸新聞
奪われた選手の誇り/見えなかった存続への努力

 ぴったりしたシャツとショートパンツ、ヘルメット姿の男たちが「レーサー」と呼ばれるカーボン製自転車でバンクを駆け抜ける。彼らの仕事は“商売道具”の体を鍛え抜くことにある。

 午前九時の甲子園競輪場。「日本競輪選手会」兵庫支部(百三十四人)の選手は、レースの開催日以外はここで練習を積む。そのホームバンクがなくなる。「キツネにつままれたようで今も信じられない」と支部長代行の坂東利則さん(54)、副支部長の杉山浩一郎さん(46)は声をそろえる。

 二人は元高校球児とサッカー少年。体の故障などからプロの道はあきらめたが、それでもスポーツで身を立てたいと、十倍以上の難関を突破し、競輪学校に入校。坂東さんは一九七一年、杉山さんは七九年にデビューを飾った。

 「競輪は体力、気力だけでは勝てない」と坂東さん。駆け引きやレース展開の読みが勝負を左右する。「そのためにはバンクでの練習が不可欠。甲子園が閉鎖されれば、明石や岸和田へ行くしかない。地元選手への影響をどう考えているのか」と憤る。

 ファンの期待が大きいからこそ気合が入り、ホームバンクでは有利なポジションを取れる。勝敗が収入を左右する選手にとり、本拠地廃止の痛手は大きい。

 戦災復興を目的に始まった競輪。収益を基にした配分金は各市町の歳入の一部として、学校や美術館など公共施設の建設に役立てられてきた。

 「公営ギャンブルへの偏見の中で、地元に貢献しているとの誇りが自分を支えていた」と杉山さん。「赤字」の一言で切り捨てられたことは、何よりも誇りを傷つけた。

 競輪人気の陰りなどからここ数年、競輪業界では選手数を減らし、質の向上を図る“リストラ”が断行されてきた。成績による階級付けを二クラスに絞り、走法の規制を緩めるなどレース展開を面白くし、ファンを引き付ける工夫も凝らそうとしている。その最中の廃止決定―。

 「廃止を前提に話が進んでいった。組合は存続への努力をしたのか」。坂東さんは吹きさらしのファン席を見やった。照明設備のある西宮競輪場では競馬のようなナイター開催も可能だが、組合側の反応は鈍かった。

 二人は訴えた。「今の事務組合には競輪を理解する人がいない。だから客を呼ぶアイデアも対策もなく、選手の声にも耳を貸さなかった」

 競輪事業の廃止は一九七三年の後楽園以来。危機感は全国の選手に広がりつつある。

 競輪の仕組み 競輪選手は成績順位によりS級(一―三班)▽A級(一―四班)▽B級(一―二班)の三クラスに分けられ、一期(四カ月)ごとに見直される。レースはA、B級の組み合わせで行われる普通競輪が八割を占め、その他S、A級による記念競輪、S級の選抜選手が戦う特別競輪などがある。
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2001/11/29
神戸新聞
「私らの雇用どうなるの」/望み断たれ従業員ら絶句
「残念ながら、西宮、甲子園競輪は本年度で廃止と決まりました」

 十一月二日夕、寒風の吹く甲子園競輪場。運営母体の「県市町競輪事務組合」(管理者・山田知西宮市長)の中村豊事務局長が最終決定を告げると、待機していた約三百人の女性従業員らは険しい表情で詰め寄った。

 「一方的や」「私らの雇用はどうなるの」。マサエさん(59)=仮名=も思わず叫んでいた。「もうからんようになったら捨てるんかっ」

 場内に散らばる外れ車券に、自分たちの将来が重なってみえた。

◇       ◇       ◇

 マサエさんは三十年以上、「穴場」と呼ばれる場内の車券売り場で働いてきた。初めて車券を切った一九六〇年代末、西宮・甲子園競輪は年間二百万人以上が入場する人気で、場内には活気があふれていた。

 当時の日給は約二千円。月十四日の開催日すべてに出勤すれば、同年代のサラリーマンの月収に並んだ。特に技術や資格のなかったマサエさんは生活のため、この職を選んだ。

 当時は手売りの時代。昼食抜きでひっきりなしの注文をさばいた。多額の現金を扱う緊張に汗がにじむ。負けた顧客にののしられることも一度や二度ではなかった。週末や祝日も仕事に追われ、二人の子どもには寂しい思いをさせた。

 「大変だけど働きがいがあった。子育ての悩みを相談し、私らが提案して客用の女子トイレもつくった。このバンクには思い出が詰まっている」と話す。

 しかし、一九七四年を境に入場者数は減少、売り上げも伸び悩み、昨年度はついにピーク時の半分に落ち込んだ。

 数年前から危ないという話は聞こえてきたが、「説明はなかった」。それが昨年度末、廃止も含む議論の中で従業員はいったん離職、慰労金を受け取った上で、日当を約半額の一律八千円に下げられて再雇用された。

 「甲子園一場なら五年は続けるというから、そんな条件も受け入れた。すぐに廃止になるなら、違う選択肢もあった」今は「裏切られた」との思いでいっぱいだ。

 従業員の平均年齢は五十三歳。失業率が5%を超える状況で、マサエさんらが再就職先を見つけるのは容易ではない。事務組合は「誠意をもって対応する」と言うが、具体的な動きはまだない。

 夫の定年も間近で、震災で半壊した自宅の再建ローンもある。今後の生活はどうなるのか、将来への不安は募る一方だ。

  ◇       ◇       ◇    

 五十二年の歴史をもつ西宮、甲子園のバンクが来年三月で消える。生活を支えてきた仕事場を失う従業員、本拠地がなくなる選手たちの今後はどうなるのか。両場廃止しか道はなかったのか―。バンクの周辺を訪ねた。

 県市町競輪事務組合 競輪事業を共同開催する目的で一九七三年に設立。神戸、芦屋、篠山を除く十九市と三原郡三原町で構成される。各市町は国の決めた配分率に従い、事業収益の配当を受ける。西宮、甲子園の本場を持つ西宮市は約44%。伊丹約7・3%、尼崎約6・6%と続き、宝塚約3・1%、川西・三田は約1・7%。
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2001/11/14
神戸新聞

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西宮、甲子園競輪 事業廃止を承認
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 本年度末の廃止方針が決まっている西宮、甲子園競輪事業で、運営する「兵庫県市町競輪事務組合」(管理者・山田知西宮市長、十九市一町で構成)は十三日、構成市町の議員でつくる組合議会を開き、両事業の廃止を賛成多数で承認した。賛成、反対いずれの議員からも経営責任を問う声が上がった。

 二十二議員のうち十八人が出席。組合が「売り上げの落ち込みに歯止めがかからず、甲子園一場での開催も厳しい。年度末で撤退せざるを得ない」と説明した。

 質疑では、廃止反対の議員が「三百人もの従業員の雇用をどうするのか。各団体との交渉で多額の補償を求められるのなら、事業継続し赤字補てんする方が各市町の負担は軽いのでは」と指摘。

 廃止賛成の議員も「本年度収支見込みは当初、約七億円の黒字だったが、赤字になるのは濃厚。見込みとの差が大きすぎる。監査請求で管理者の経営責任を問いたい」と訴えた。

 山田管理者は「本年度の収支見込みが非常に甘かったのは申し訳ない」と陳謝したが、「米中枢テロ後の経済不況など予測できない変化もある」と弁明した。

 議長をのぞいた採決の結果、賛成十六、反対一で事業廃止を承認した。

 議会終了後、車券売り場で働く女性従業員ら約八十人が西宮市内の会場前に集合。鎌田安知・常任副管理者を囲み、「私たちの生活はどうなる」「雇用を確保して」と訴えた。同氏は「雇用については誠意を持って対応する」と答えた。

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