酸素マスクをはずす、地上の約3分の1の酸素しかないここでは、じっとしていても呼吸が荒い。周りには視界を遮るものは何もなく、ヒマラヤ山脈の8000m級の山々、所々に白い雲、すべてが眼下に見え、その先にある大地が湾曲している、見上げると吸い込まれそうな濃青の空が広がっている。標高8848m、エベレスト山頂。

 ここが今までの旅の終点であり、次の旅の始点でもある。

 ここまでは人力のみで海抜0mから地上最高点を目指してきたのだが、今度はその全く逆のことをやろうと決めた。つまり人力のみで海抜0mまで戻ろうと思うのだ。しかしただ単に下るのではなく、ヒマラヤに降り積もった雪が溶け、雫になり川になり海まで流れる過程を追いかけみたい、山を降りたらガンジス河を下って海まで行こう。


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