ポン・ヌフ|パリ名所案内

パリ旅行|パリの名所案内

ポン・ヌフ|Pont Neuf

新しい景色を生んだ、パリ最古の橋

ポン・デ・ザール(芸術橋)から見える美しいシテ島。もっともパリらしい風景の一つです。その島の先端にかかる橋がポン・ヌフ。名前は「新しい橋」(Pont Neuf)という意味ですが、1606年にアンリ4世によって造られたパリでもっとも古い橋です。白い石材で光り輝くように見えたので「新しい橋」という意味のポン・ヌフになったと言われています。左岸からシテ島までの5つの半円状のアーチとシテ島から右岸までの7つの半円状のアーチから成っていて、初めて1つの橋でパリの右岸と左岸が結ばれたのはパリにとって象徴的な出来事でした。これはパリという都市の拡大とパリ市民にとって歩くということが不可欠になったことを意味しています。

パリに生まれた祝祭的な空間

もともとポン・ヌフはアンリ3世の時代(1578年)に礎石ができましたが王の暗殺により工事は中断し、次のアンリ4世に引き継がれました。パリで最初の石橋だったポン・ヌフは「橋の上に建物がない初めての橋」でもありました。当時のパリの橋はどれも建物がたくさんひしめき合い、橋の上で生活をしている人がたくさんいました。今まで橋の上はびっしりと立ち並ぶ家の陰で薄暗く光が差さないことが普通でした。そのため、ポン・ヌフの上から見るセーヌの明るく美しい眺めはパリの人々にとって全く新しいもので、多くの見世物小屋や露店、膏薬売り、大道芸人、手品師、香具師、力自慢、そして人ごみに乗じたスリまでもが集まり、多くのパリ市民でにぎわいました。こうして、歩道ができた初めての橋ポン・ヌフはパリ散策者にとって最適の場所になりました。つまり当時ポン・ヌフは橋であるだけでなく、人々が散歩する歩道であり祝祭の広場だったのです。

オスマンによって橋の上のお店がなくなる

庶民の集まる場所だったポン・ヌフはその後、交通の便が悪くなり、店の撤去などが行われましたが、それ以降も新たに店が立ったりと混雑と賑わいは続きました。しかし1855年、セーヌ県知事オスマンによるパリ改造で、橋の上のお店は全て撤去されました。橋の両側にある道が拡張されたため、車道としての利用が優先されたためでした。ちなみにこのとき橋の上にあった書店はセーヌ河岸に移動し、今のパリ風物詩であるブキニストができあがったと言われています。

橋の上のサマリテーヌ

かつてポン・ヌフの上にはお店や住居だけでなく給水塔が設置されていました。パリは昔から水不足に悩まされ、セーヌ川の水を汲み取って使っていました。1608年に完成し、セーヌ川の水を水車とポンプによってくみ上げてパリの住宅に供給していました。給水塔には金色に塗られた鉛製のサマリテーヌ(キリストに水を与えた女性)の彫像があったため「サマリテーヌ給水塔」と呼ばれていましたが、約200年後の1813年に取り壊されてしまいます。当時の給水塔は時計付きの三階建ての建物で、15分ごとに鐘が鳴ったそうです。現在サマリテーヌの名はポン・ヌフの右岸側にできたサマリテーヌ百貨店(改装中)に受け継がれています。

橋の上に立つアンリ4世

橋の上を通ると、橋の中央に大きな騎馬像が現れます。これはポン・ヌフを作ったフランス国王アンリ4世の像。最初の像は1635年に建造され、フランス革命の時に破壊されました(彼が創始した王朝だったため)。フランス人に愛されたブルボン朝最初の国王は、好色な性格だったことでも有名で、現在は偶然にも秘密を隠すようにひっそりとたたずむドフィーヌ広場の先端を覗き見る形で立っています。絶対君主制を誇示するために人の多いポン・ヌフの中央に立てられた像でしたが、当時の人々はこの「王ののぞき見」的な位置関係を面白がったそうです。このことはシュールレアリスムの作家アンドレ・ブルトンの著作「ポン・ヌフ」に書かれています。

「ポン・ヌフの恋人」の舞台になった

またポン・ヌフはレオス・カラックス監督の代表作『ポン・ヌフの恋人』(ジュリエット・ビノシュ、ドニ・ラヴァン主演)の舞台にもなりました。今でも橋の上では多くの観光客や恋人たちが自分たちだけの時間を過ごしています。またレオス・カラックスの最新作『ホーリー・モーターズ』にはポン・ヌフを見下ろす形で立つサマリテーヌ百貨店の廃墟が出てきます。

ルノワールが描いたパリジャンの幸せ

印象派の画家オーギュスト・ルノワールも夏の光にあふれるポン・ヌフを描いています。夏に太陽の光のあふれるポン・ヌフを歩けば、ただ生きていることの幸せを実感することができます。それはきっと、パリの中心にあるシテ島の先端にかかる橋だから。橋の向こうは景色が開け、アンリ4世像の向こうにはセーヌの下流が眺められます。シテ島の先端にあるヴェール・ガラン公園へはアンリ4世像の近くの階段から降りられます。まるで船の舳へ行くかのように公園を歩けば、セーヌという海を航海する船に乗っているような気分になれます。

最寄メトロ:ポン・ヌフ(Pont Neuf)/パリ1区


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