エクトール・ギマールのメトロ|パリ名所案内

パリ旅行|パリの名所案内

エクトール・ギマールのメトロ/パリ16区 エクトール・ギマールのメトロ
Station de Metro par Hector Guimard

現存する貴重なアール・ヌーヴォー
パリに行くと必ず目にするメトロの奇怪な入口。緑の蔦が絡まったような、柔らかな液体が伸びたような本当に不思議な外観はパリのイメージシンボルにもなっています。これはアール・ヌーヴォー(Art Nouveau)の代表的建築家エクトール・ギマール(Hector Guimard, 1867-1942)の作品。しかし今見られるこれらはほとんど複製で、オリジナルはほとんど残されていません。というのも、当初はこのメトロ装飾が時代遅れだと酷評され、ほとんどが取り壊されてしまったからです。写真は現存しているオリジナルのメトロで、パリ16区にあるポルト・ドフィーヌ駅(Porte Dauphine)の入口です。メトロ2番線の終着駅で、駅を出るとすぐブーローニュの森があります。幻想世界の巨大昆虫が羽を広げたようなその外観は、一見の価値があります。入り口から昇降口に入ってすぐの壁にも美しい内装が施されていて、まさに想像力豊かだった時代のパリを今に伝えています。

時代遅れとされたアール・ヌーヴォー
パリにメトロができたのは1900年のパリ万博のときです。すでにロンドン、ニューヨーク、シカゴ、ブダペストにはメトロができていて、パリは遅れをとっていました。そこでパリ市はそれらの都市に負けないような外観の地下鉄を企画し、最終的にデザインを任されたのが建築家エクトール・ギマールでした。彼はすでにパリでは有名な建築家で、マレ地区にあるシナゴーグ(ユダヤ教会)やパリ16区の住宅(カステル・ベランジェ)を設計して高い評価を得ていました。彼は草が絡まるような不思議な形のメトロの入り口を作り上げ、それはアール・ヌーヴォー様式の代表的な建築となりました。

しかしその数十年後、このデザインが時代遅れと判断されると、ほとんどがとり壊れて現代的で散文的な入り口に変えられてしまいます。パリにもこのように美術史的な価値を考えずに古いものを取り壊す風潮がありました。しかし今から30年ほど前にギマールの作品が再評価され、それが複製されて今日に至っています。そのため、パリに出かけると、ほとんどのメトロで「ギマール風」のデザインを見ることができます。中にはポルト・ドフィーヌのように取り壊しを免れてオリジナルが現存するメトロがあり、貴重な建築遺産になっています。ギマールのオリジナルは他にもパリ16区にいくつか残っています(他に18区のアベス駅)。なぜこの地区だけ取り壊しを免れたのかは分かりませんが、16区にギマールの建てた邸宅カステル・ベランジェが多く残っていることが関係していたのかもしれません。ギマールの建築に興味のある方は是非、2番線に乗ってこの駅へ出かけてみてください。

Station de Metro par Hector Guimard
パリに残るエクトール・ギマール設計のメトロの入り口
最寄メトロ:Porte Dauphine(ポルト・ドフィーヌ)
エリア:パリ16区

ポルト・ドフィーヌ駅近くのパリ観光