球面カッター

 

今まで丸棒の端面やネジ頭に球面をつける場合、旋盤の角度切削で粗取りした後、材料を回しながら、棒ヤスリを当てたり、大きい場合はベビーサンダーを当てたりしていましたが、幾つも均一に作る場合は専用のツールがあった方が仕事が早いです。球面を手っ取り早くつくるには姿バイトという手がありますが、形状(半径)は姿バイトの形状に限られてしまいますし、切削負荷を考えると、非力なホビー用旋盤では、ワークは小さなものに限られてしまうでしょう。半径を自在に変えられる球面カッターを作ってみました。

まずは、いつものことながら、材料の切り出しです。

 

FC材から支柱を切りだし、底に固定用のネジを切っています。

 

ベースになる金物にフルバックをかけて面精度を出しておきます。

 

旋盤クロススライドのTスロットテーブルを固定するためのネジ穴を利用して、ベースと支柱を固定し、回転軸穴をあけます。これで回転軸の芯高と旋盤主軸芯高が一致します。

 

最後に軸穴をリーマーで仕上げます。

 

ベースと支柱を組み立てたところ。

 

スイングアームを作ります。

 

回転部にR加工をしています。

 

手持ちのスローアウェイチップの中から、このツールで使用するチップを選定します。

 

チップホルダーを製作しています。使用するのはネガチップなので、ホルダー側に逃げ角をつけています。実はこのワークは肝心なところでミスってしまい、ボツになりました。

 

チップの座面を掘り下げました。特にそうする必要はないのですが、他の用途で使うこともあるかもしれないと考え、刃先高はホルダの芯高に一致させています。

 

手前が完成したチップホルダ、奥は失敗作です。なにに失敗したかというと、ネジの下穴径を間違えるという、非常に初歩的な凡ミスでした。3mmネジを切りたかったのですが、なにを勘違いしたか、3.5mmで下穴をあけてしまいました。ここまで作るのにも、結構手間がかかっているんですけどね...

 

チップホルダ保持部の加工。大きな穴なので、テーパーシャンクドリルを使っています。

 

こちらも最後はリーマー仕上げです。

 

チップホルダを挿してみました。

 

チップホルダを固定するイモネジを加工しています。今回の作品では、「いじるネジ」はすべて六角孔付に統一することにしましたので、機能的には必要ないのですが、ボルト頭に六角穴を作っています。

 

六角孔つき六角頭。面を押し付けて固定すれば、ホルダへの食い込みダメージを和らげることができるので、ネジ端面を平らにしています。

 

チップホルダは端面と保持部がツライチになったとき、R0になるように長さを調整しました(チップの先端Rの問題がありますので、0.数ミリの誤差はでますが)。したがって、保持部からホルダの突き出しを計ることで、狙った半径にセットすることができます。下例ではR15となります。

 

初めて切った球面はこのツールのための部品でした。可動範囲を制限するためのリミットネジ端面を球面切削しています。

 

揃った部品。

 

組みあがった球面カッター。実際の加工ではチップホルダはスクイ面が縦になるように取り付けます。

 

旋盤で丸棒の先端に半球加工をする場合、カッターは90°だけ動けばいいので、余計なところまで刃が進まないようにリミットネジをつけてみました。

 

丸棒の先っちょに半球を切ってみましょう。まず、クロススライドを利用して、刃先をワークの縦方向の芯とあわせ、外径に当てます。このワークはφ18mmですので、R9の半球が出来るはずです。

 

そして球面カッターのスイングアームを振りながら、少しずつ左に送っていきます。

 

端面中心にカッターが届けば、半球加工は完了です。

 

このツールで狙っていたことがもうひとつあります。

スイングアームを固定し、矢印のところのネジを外すと、ホルダ保持部が回転するようになります。この状態でカッターを振りながら刃先を徐々に下していくと・・・

 

・・・下のようなクビレ形状を作ることができます。(技術的にこういう形状をなんていうのでしょう。逆球面とか言っていいのかな?)

 

この二つの機能をフライスで応用すると・・・

 

・・・写真下のように円弧中心がワークの軸外にある曲面を作ることができます。写真上は旋盤で加工したもので、半球の中心はワークの芯と一致しています。

 

(2012.02.24-03.05)

 

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