
講談というものは実にやっかいなもので実在と架空の人物が入り乱れて登場する。
素人には訳が分からぬし、一寸かじった者ならば、史実の記録かと錯覚する。もっともらしい名前が出てくる、出てくる。事実、史実をよく知った上で、色々と脚色が加えられているのである。もっともただ出てくる名前の羅列には閉口する。その場での思いつきのありそうな名前に腹が立ってくる。作者不詳だが、これが現代の小説なら原稿料泥棒である。
作品は半ばでクライマックスの評定(幕府裁判)が終わり、悪女お秀が死ぬのだが、後日談がしつこい、しつこい。そして史実ではない、二度目の評定となる。引き伸ばしのテクニックは昨今の漫画ばり。驚くのは後秋月分藩で犬猿の仲となった忠之の弟・黒田長興が栗山大膳を毒殺しようとするくだり。さらに大久保彦左衛門・水戸黄門まで裁判に加わるなど、ここまで読み込んでくると、内容は漫画である。また意外や意外、ラストは南部藩ではなく、佐賀藩お預けだ。
この騒動で毛利但馬(母里太兵衛)・野村大学・菅和泉・原伊予・衣笠因幡が断絶改易って虚構の名前の中に散りばめられているけど、あんまりじゃないですか。忠之によってこの人たちがそういう目に会ったから栗山は立ち上がったのに、本末転倒です(笑)
黒田騒動は歌舞伎やら映画やらに何度もなっているが、前後関係も何も知らぬ脚本家がストーリーを再構築するから、内容はさらに外れていく。ここでは中途半端な知識人が妙な過ちを繰り返さぬよう、一覧表にしてみた。そして、くどい程沢山出てくる架空人物は一部割愛した。
それにしても、脚本家・小説家というのは、一度作品化されるとほとんどそれをそのまま踏襲するものだ。原本を読めば、色々と面白い逸話がいっぱいあって、様々な切り口があるだろうに。
まあ、有名人で売れっ子の方々は、私のように暇人では無く、お忙しいということか・・・・
| 実名 | 変名 | 説明 |
| 城井中務少輔鎮房 | 岐井谷安芸守友房 | 城井谷36000石の領主(この石高は妙にリアル) |
| 如法寺久信 | 転法寺兵庫 | 城井家臣。 |
| 鬼木掃部 | 同 | 城井家臣。 |
| 塩田外記 | 同 | 城井家臣。 |
| × | 八重姫 | 黒田孝高の妹。友房に嫁いで殺される(笑) |
| 空誉上人 | 安養寺紅陽法師 | 岐井谷友房の次男(実は播州明石出身の僧) |
| × | お秀の方 | 紅陽の愛人で大友家旧臣娘。忠之の側室に。 |
| × | 辰姫 | 忠之+お秀の娘。早世。 |
| 松平忠良娘 | 久姫(松平氏) | 忠之の正室。作中、夫とは不仲。 |
| × | 定村弥次兵衛 | 悪役。旧大友家臣。お秀の方の父親。 |
| × | 般若院満海法印 | 紅陽法師の元下男。定村弥次兵衛に殺される。 |
| × | 念誉大磐和尚 | 今宿の善導寺僧。魔術使い。キリシタン。 |
| × | 礎山和尚 | 善導寺の騒動時の住職。 |
| 栗山大膳太夫 | 栗山大膳大夫 | 良臣の主役。家柄家老、作中三万石。 |
| 倉八十太夫 | 倉橋重大夫 | 悪臣の主役。取立家老。一万石に。 |
| × | 倉橋丹下 | 悪役。 |
| × | 鬼河原源蔵 | 倉橋に二百両で足を切られる(笑) |
| × | 明石四郎左衛門 | 作中、箱崎宮別当の小姓。男色で忠之に仕える。 |
| × | お国(久野氏) | 明石四郎左衛門の本妻。夫とお綱を殺す。 |
| × | お綱(遊女・采女) | 悪女。忠之の側室→明石四郎左衛門の側妻。 |
| × | 浅野彦五郎 | お綱の縁者。お綱を殺す。自身の最期は釜茹。 |
| × | 中島権作 | 悪役。浅野彦五郎を釜茹にした。 |
| × | 深尾伝蔵 | 兄の仇、中島権作を討つ。 |
| × | 鵜川主鈴 | 悪役。架空。よく出てくる。 |
| × | 中村一角 | 悪役。架空。 |
| × | 其田逸保 | 悪役。架空。 |
| × | 六角仙右衛門 | 悪役。架空。 |
| × | 河窪次兵衛 | 悪役。架空。 |
| × | 柳田市右衛門 | 悪役。架空。 |
| × | 浮田五兵衛 | 悪役。架空。よく出てくる。 |
| × | 久津見源三 | 悪役。 |
| × | 大音頼母 | 作中、諫言して手討に。史実への皮肉? |
| × | 大音治兵衛 | 頼母の息子。架空。 |
| 大音彦左衛門 | 大音彦大夫 | 史実は倉八の親類で家老となり、明治まで続く。 |
| 井上周防(道柏) | 井上周防(道伯) | 黒田24騎。作中、二万五千石。大水牛兜を預かる。 |
| 毛利但馬 | 同 | 黒田24騎。騒動時には没。作中、五千石。 |
| × | 毛利大学 | 反栗山派、架空。 |
| 三宅山太夫 | 三宅三大夫 | 黒田24騎。回顧。 |
| 小河伝右衛門 | 小川伝右衛門 | 黒田24騎。回顧。 |
| 小河内蔵允 | 小川内蔵助 | 反栗山派、江戸家老。 |
| 矢野六太夫 | 矢野六大夫 | 同家は江戸中期に家老を出す。 |
| × | 矢野武左衛門 | 黒田家用人。江戸留守居。 |
| × | 矢野図書 | 架空。黒田家用人。 |
| × | 吉田五郎左衛門 | 架空。黒田家用人。史実として吉田家は家老。 |
| 後藤又兵衛 | 同 | 黒田24騎。回顧。 |
| 野村太郎兵衛 | 同 | 黒田24騎。家老。騒動時には没している。 |
| 野村大学 | 同 | 黒田24騎の子。同家は家老。作中、八千石。 |
| × | 野村求馬 | 架空。 |
| 黒田美作 | 同 | 反栗山派、黒田24騎。同家は明治まで大老。 |
| 郡六右衛門 | 郡六郎兵衛 | 黒田家用人。 |
| × | 原田権左衛門 | 架空。黒田家用人。 |
| × | 黒田伊豆 | 反栗山派。架空。家老。 |
| × | 黒田主膳 | 架空。智者。 |
| × | 星野宗右衛門 | 忠臣。架空。牡丹を愛でる。定村弥次兵衛を討つ。 |
| × | 毛谷下総 | 悪役、重役。架空。 |
| 毛屋主水 | 毛谷主殿 | 悪役、黒田24騎。騒動時には没している。 |
| 菅和泉 | 同 | 悪役、黒田24騎。騒動時には没。作中では一万石。 |
| 久野外記 | 久野丹波 | 黒田24騎の子。同家は家老。 |
| × | 久野出雲 | 反栗山派。架空。家老。 |
| 衣笠因幡 | 同 | 悪役、黒田24騎。騒動時には没。作中、六千石。 |
| 原伊予 | 同 | 悪役。黒田24騎。作中、七千五百石。 |
| 井上周防 | 同 | 黒田24騎。家老。史実、騒動後に没落。 |
| 野口佐助 | 同 | 悪役、黒田25騎の唯一の生き残りと説明(笑) |
| × | 浦上帯刀 | 架空。 |
| × | 浦上彦兵衛 | 架空。 |
| 浦上三郎兵衛 | 浦上主馬 | 同家は江戸後期は家老。 |
| × | お梅 | 浦上主馬娘。黒田忠之側室。子は直方藩主に。 |
| 隅田清兵衛 | 隅田六郎兵衛 | 同家は江戸後期は家老。 |
| 飯田覚兵衛 | 飯田角兵衛 | 父は加藤家十虎の一人。 |
| 三宅角左衛門 | 三宅角助 | 加藤清正旧臣の子。 |
| × | お松 | 架空。三宅角助の娘。河童の手を切り落とす。 |
| × | 竹中玄蕃 | 架空。 |
| × | 竹中伊織 | 架空。 |
| 竹中与右衛門 | 同 | 竹中半兵衛の曾孫。 |
| 間島市兵衛 | 真島図書 | 黒田24騎・黒田利則の子。作中、三千石。 |
| × | 孫平次 | 作中、盆踊りで黒田忠之に撃ち殺される。 |
| × | 霧島山作 | 忍び。 |
| × | 河合玄達 | 医師。お梅に毒薬を調合。 |
| × | 有川駿河 | 忠臣。三島流の軍学者、遊女を妾に。 |
| × | 松本珍阿弥 | 有川駿河の仲間。 |
| × | 江川太郎兵衛 | 架空。 |
| × | 高村京右衛門 | 良臣。お秀を切った祟りで死ぬ。 |
| × | 小寺六郎左衛門 | 架空。 |