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ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の研究

-ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を歴史、奏者、奏法より探る。

ウィーン・フィルハーモニーのような国立歌劇場から生まれたオーケストラは、まことにデリケートなフレーズの「歌い方」ができるのだ。野村 三郎

初出 2006年9月26日
更新 2009年6月21日

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の名演奏は,一流の楽団と観客によって生み出されたものである.(2006年日本公演のポスターより((© Wiener Philharmoniker)).指揮者:Nikolaus Harnoncourt)

<このページをご覧の皆様へ>このページは,筆者が現在進めているオーストリア共和国(Republik Österreich)の研究Austria Research Centerの一環で行われている,ウィーン国立歌劇場管弦楽団(ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)の研究についてのページです.

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(ウィーン国立歌劇場管弦楽団)は、偉大な作曲家、W.A.モーツァルトを生んだオーストリアのウィーンで活動している世界でも最も有名なオーケストラの一つである。彼らは、国立歌劇場のオケピットに年間300回も入るという。そして、毎年新年になるとウィーン・フィルのニューイヤーコンサートが開かれる。世界一のオーケストラと云われるウィーン・フィルはどのようにして他の楽団とは異なったハーモニーを奏でているのか?メンバーと楽器、歴史から探る。


Wiener Staatsoper (2011). (Opernring 2 1010 Wien, Österreich)


Wiener Staatsopernorchester (2011) *開演前撮影


0.ウィーン宮廷(王宮)音楽礼拝堂(Wiener Hofmusikkapelle)について


Wiener hofmusikkapelleプレート†

Wiener Hofmusikkapelle(ウィーン宮廷音楽礼拝堂):ウィーン少年合唱団(Wiener Sängerknaben),Wiener Philharmoniker(ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)とウィーン国立歌劇場合奏団(Wiener Staatsoper Choralschola)男性合唱団のメンバー,王宮礼拝堂の意.

 ウィーン宮廷音楽礼拝堂は,マクシミリアン1世(Kaiser Maximilian I; (1459-1519))の命によって,1498年7月7日に配置された*1.フェルディナンド1世(Kaiser Ferdinand I. (1503-1564))の下ではハプスブルクオランダ,イタリアから音楽家が所属していた.しかし,19世紀後半には輝きの幾つかを失なってしまった(原文:In der zweiten Halfte des 19. Jahrhunderts hat die Wiener Hofmusikkapelle einiges an Glanz verloren*2.).アントニオ・サリエリが最後の宮廷音楽監督であった.尚,ウィーン宮廷音楽礼拝堂は,2014年より連邦首相府の一部であり.教育省に従属している*1
*1 <http://www.hofmusikkapelle.gv.at/content/historisches/0>
*2 Boehlau Verlag, "Die Wiener Hofmusikkapelle 2. Krisenzeiten der Hofmusikkapellen", 2003.
† <https://www.flickr.com/photos/vikingman/>, 2015.

1、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の成立

  • オーケストラ結成前の1780年以来,これまで主に開発された貴族のオーケストラ音楽のバンドをサポートするために維持された公共の音楽生活が,プロのオーケストラや劇場やオペラハウスでのみ利用可能であった.公共の音楽生活をアマチュアがいる様々な,主に臨時に編成オーケストラを抱えた.但し,音楽で生計収益性のミュージシャンではなかった.
     19世紀半ばには,経験豊富なミュージシャンの新作の増え続ける需要を要求し,オーケストラの規律は,コンサート・ルーチンのための専門のオーケストラの出現につながった,これの前兆は宮廷オペラ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Hofopernorchesters Wiener Philharmoniker)のメンバが1842年に設立された.1900年には,今日のウィーン交響楽団(Wiener Symphonikern)がウィーンコンサートの法令に基づく連合組織体で設立している.公共のコンサートで発生した最初の,室内楽アンサンブルは1804年のシュパンツィッヒ四重奏に遡る.(Sammlung alter musikinstrumente)

  • Hotel Sacher (Philharmonikerstraße 4 1010 Wien)/ Theater am Kärntnertor (© Austrian Archives, Wien)

  • 現在のウィーン市内に在る「ホテル ザッハ(右にウィーン国立歌劇場が見える)」の場所に,ケルントナートーア劇場(オーストリア・ケルンテン州の門の意)が在った(上写真参照)

  • ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker)の前身は、19世紀初頭,オーストリア宮廷のケルントナートーア劇場専属の「宮廷 歌劇場(オペラ)管弦楽団」でありオペラ専属のオーケストラであった(1498年以降のウィーン宮廷音楽礼拝堂の音楽家を起源とする考えもある*1.).1877年の宮廷楽長はJosef Herbeck,1893年から1900年の間は,Hans Richterが務めている.本格的な創立の構想は,1841年の冬,ウィーン都心部に近いZum Amor(Wiener Gasthaus Zum Amor in der Singerstraße)で生まれた(ケルントナートーア劇場のオーケストラボックスの説もある).話に加ったのは,王立音楽アカデミー(英)教授で音楽評論家(元政治家,マンチェスター生れ)Alfred Julius Becher (1803-1848),音楽ライターDr. August Schmidt(1808-1891),作家Nikolaus Lenau(1802-1850),ヴァイオリニストKarl Holz (1799-1858;元アンドレイ・ラズモフスキー伯爵の私設弦楽四重奏団第二ヴァイオリニスト),リーダーは宮廷楽長で指揮者のドイツ人のOtto Nicolai(1810〜1849).「聴け!聴け!音楽家が惰眠を貪ったり,寝室でヴァイオリンを弾いている時代は終わった.アポロの息子たちは力をあわせて大いなる事業に取り掛かるのだ!これこそ前代未聞の出来事なのだ!目覚めよ!」,「・・・コンサートの大洪水が私たちを溺れさせない時期に,その企画によっても,作品の選択によっても,何か稀なもの,偉大なもの,特筆されるべき確信のもてるものを選抜した・・・」.オーストリア・ハンガリア帝国宮廷オペラ劇場の全オーケストラ団員たちは,功績の多い総監督Georg Hellmesberger(1800-1873;Stift Heiligenkreuzに1917年まで在席)を先頭にその楽長であるOtto Nicolaiの指揮下に団結して,大「フィルハーモニー・アカデミー(コンサートの意)」を,Redoutensälen (der kaiserlichen Hofburg)において,1842年3月28日に開催することになった.
     この組織は全てのメンバーは民主的な投票によって決定される.そして運営規約として,楽団運営に財政的な基盤を与えた.オーケストラのメンバーは,国家公務員(当時)としてウィーン国立歌劇場に奉職すると同時に、まったく独立した「ウィーン・フィルハーモニー協会」として,現在まで演奏会を主催している.
     しかし,このオーケストラの歴史は,もっとそれ以前に遡るのである.すなわち,1833年,フランツ・ラハナーは宮廷オペラ劇場附オーケストラ団員のみによるコンサートを企画し,その結成に努力したのである.ラハナーは1833年の音楽会を開催するにあたり,手本を見つけることができず,プログラムの作成は,自分の好みに委ねられた.彼の初めてのプログラムは以下のようであった.

  • 芸術家協会第一回のコンサート 1833年1月6日,日曜日,午後4時
    宮廷大レドゥテンザール
    F・ラハナー 大シンフォニー
    L・V・ベートーヴェン 変ホ長調ピアノコンツェルト(第5番,皇帝)
    G・F・ヘンデル ハレルヤ

     アドルフ・ボイエルレは,このコンサートの1日後に,その演劇新聞に,コンサートが1月6日に催されたことを報じた.しかし,観客はホールの半分ほどであったという.

    *1Oesterreichisches Musiklexikon ONLINE, <http://www.musiklexikon.ac.at/ml/musik_H/Hofkapelle.xml>, 2016.


    Die Wiener Philharmoniker mit Hans Richter (1885; J.Gertinger)
    (Sammlung alter musikinstrumente)

     
  • 最初のコンサートは1842年3月28日の午後1:30より始まった.1847年にニコライが離れると1860年頃まであまり活発に活動していなかった.Carl Eckertが常任指揮者となると,定期演奏会を開くようになった.
     宮廷オペラ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の当時の演奏家*1:Král, Johann (Franz?),(1823-1912)コリネツ(チェコ)出身のヴィオラ奏者.1851-1885までメンバー.Syřinek, Adalbert(1847-1921),プラハ出身のクラリネット奏者.1879-1904までメンバー.

  • *1 "Oesterreichisches Musiklexikon ONLINE", Verlag der Österreichischen Akademie der Wissenschaften Austrian Academy of Sciences Press , <http://www.musiklexikon.ac.at/> 2015.


    ウィーンの街のモデル<1845年頃> (Sammlung alter musikinstrumente)


    破壊される前のWien Opernhaus (Franz Endler 1981).

  • 国立歌劇場 (Wiener Staatsoper)は1869年に完成.こけら落しはモーツァルトの『ドン・ジョバンニ』である.1920年までは「ウィーン宮廷歌劇場」といった.1945年の空襲前はストレート葺きに覆われていたという.現在の音楽監督は,Franz Welser-Möst.(2006年現在)
  • 2、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団について

  • オーケストラは,かなり有名なそして賞賛される指揮者を引き受けた.1875年から1882年までHans Richterがポストについた.1933年から常任指揮者を置いていない.あくまで民主主義を主とする運営と謳われているが,裏を返せば指揮者に頼らず自らで音楽的な解決をしていく自信の現れともいえる.客演指揮者には,フルトヴェングラー,エーリッヒ・クライバー,クレンペラー,クナイパーツブッシュ,クラウス,ミトロプーロス,オーマンディ,シュリヒト,セル,ワルターなど20世紀のオーケストラの伝統を築いた巨匠たちを初め,ショルティ,アバド,カルロス・クライバー,メータ,小澤征爾などの名指揮者が指揮台に立っている.特に,カール・ベーム,ヘルベルト・フォン・カラヤンには名誉指揮者,レオナルド・バーンスタインには名誉会員の称号を授与し,厚い信頼関係を結んだ.又,1941年の元日からシュトラウス家族の中でも特にヨハン・シュトラウス2世の音楽を基調としたコンサートを行っている.これが有名な、”ウィーン・フィルハーモニー・ニューイヤーコンサート”である.

  • ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団はウィーン国立歌劇場に所属しながら,ウィーン・フィルハーモニー協会として自主運営を行っている.現在,本拠地ウィーンの楽友協会(ムジークフェライン)大ホールでの定期演奏会のほか,ニューイヤーコンサート,ザルツブルク音楽祭(1920年以来)への出演を中心に活動している.日本には,1956年P.ヒンデミットの指揮で初来日して以来,カラヤン,ショルティ,ベーム,マゼール,アバド,メータ,ムーティ,小澤征爾,サイモン・ラトル,クリスティアン・ティレーマン,ワルター・ゲルギエフ,ニコラス・アーノンクールなどの名指揮者とツアーを行っている.2016年の来日で初来日から60周年を迎えた.

  • ナチス下のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団について:ユダヤ人の音楽家を解任した歴史がある.オーケストラの一部のユダヤ人のメンバーが脱出して管理していた.有名なコンサートマスター Arnold Rosè(1863-1946),作曲家 グスタフ・マーラーの兄,アルマ・ロゼの父(1906-1944)は,移住をしている.ナチス支配の終了後70年経つが,ナチズムとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の関与についての議論はまだ非常に感情的である.

  • 楽団員は国立歌劇場の管弦楽団の楽団員を兼任し,コンサート活動で”ウィーン・フィル”と名乗る.ホルンを初め,国立歌劇場常備の古いタイプの楽器が多数用いられ,音質・奏法ともに統一されたウィーン色の濃い演奏で知られる.オーケストラのメンバーはウィーン国立歌劇場のオーケストラから選ばれる,1997年まで女性の入団を禁じたので,批判を受けたが若干の人びとが同じく高い演奏の基準を保持するためにオーケストラ(即ち、ヨーロッパ人)について民族的な一様性を維持することが重要である.と反論した.2006年現在は,ルーマニア人や日本人とオーストリア人ハーフの演奏者が楽団員である.女性奏者がちらほら見られる.隔週刊の『ウィーン・フィル世界の名曲』(アスキー出版社)によると原則があり,

  • ウィーン音楽院出身の演奏家しか採用しない(ウィーン・フィルの奏法を受け継ぐ観点から)

  • 女性演奏家は採用しない

  • 使用する楽器は、オーストリア製のものを貸与する(特に弦楽器)

  • 現在のメンバーによる直接の指導を受けた演奏家のみを採用する…
  • と述べられており,音にも人にもこだわったオーケストラといえる.「ウィーン・フィルハーモニーのアンサンブルは常に一糸乱れぬ規律正しさを持っており,ベルリン・フィルは男性的と云おうか,ウィーン・フィルは完全無欠と云おうか…ピアニッシモでも会場の隅々まで伝わり緊張感に溢れる.」(野村 三郎)


    Stephansdom (2016).


    Wiener Staatsoper to Opernring (2011).

     元楽団長のオットー・シュトラッサーは「他のオーケストラにほとんど類を見ないのだが、私たち(ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)は同じオーストリア人に由来し、完全に同質のアンサンブルとして教育を受けてきた。ほとんど全員オーストリア人であること、私たちの教師はもっぱら、国立音楽アカデミー(現在は、ウィーン国立音楽大学)における現職のフィルハーモニーの人たちである。この事実によって、教養や演奏の同質化が生まれ、現在まで維持されている。と本に記している。

    3、ウィーン国立歌劇場の運営


    Mittelloge (Wiener Staatsoper).

  • ウィーン国立歌劇場はドイツ語圏の他の劇場と同様レパートリー・システムで運営されている。これは毎晩演目が変わる上演方式で、これに対してスカラ座等、イタリアの劇場は一定期間一つの演目に限って上演していて、スタジオーネ・システムと呼ばれる。ウィーンのオペラ・シーズンは9月1日にスタートし、翌年6月30日に終了するまで、およそ300回の公演を行う。ウィーン国立歌劇場で、最も舞台を見やすく、音も良い場所は、平土間席のうしろ中央あたりだが、ここの料金は約200円。プレミエでも同じ。ただし、立見席であるので座る訳には行かない。此のチケットは、当日早い時間から並ばないと手に入らない。
  • 4、ウィーン・フィルのサウンドについて

  • ウィーン・フィルのリハーサル"Leonard Bernstein probt Gustav Mahler"を見るとマーラーの交響曲第5番の例であるが,第1楽章一斉に弦楽器がCisを奏でる場所がある.バーンスタインは1回では納得せず,もう1回特に音についての指示をせず,仕切り直している.2回目では幽玄な演奏をした.(下図参照)

  • Mahler No 5
    マーラー交響曲第5番 第1楽章のフルスコア.緑枠の音を声紋解析.
    1st Vn.(ファースト・ヴァイオリン)はCisをG線を用いてpizz.からarco.(楽弓で弾く).厚い音になる傾向がある.

    Mahler No 5
    マーラー交響曲第5番 第1楽章のTake 1(上図緑枠辺りで「いいえ(Nein!)!合っていない!」と指揮者はNGを出した.仕切り直し.
    (字幕はイタリア語,原語はドイツ語)

    Mahler No 5
    マーラー交響曲第5番 第1楽章のTake 1(NG)の声紋(Cis(基音)=277Hz (A=440)と第2フォルマント(=ピーク)(555Hz)後半に乱れがある).

    Mahler No 5
    マーラー交響曲第5番 第1楽章のTake 2.指揮者は「良い!」と発言,演奏を続けた.

    Mahler No 5
    マーラー交響曲第5番 第1楽章のTake 2(OK)の声紋(赤枠後半はバーンスタインが動いた時のノイズが入っている).

     上図は,著名な指揮者 Leonard Bernstein (1918-1990)の,ウィーン・フィルとのマーラー交響曲第5番のリハーサルの様子で,第1楽章を2回同じ箇所を弾いた音の声紋解析である.Take 1は,指揮者が1回NGを出しているが,2回目では,Good!とOKを出した.声紋を見ると,1回目は,ファースト・ヴァイオリン,ヴィオラが発したCis(C#)の音は少し乱れがある(フォルマントの厚さが厚く音域に幅がある)が,2回目では,スッと細いフォルマントとなり,音域が薄く一本調子(揺れが少ない)の理想的なCisということが出来る.団員の音の乱れを的確に指摘したバーンスタインと楽団との信頼関係は厚い.
    画像出典:Youtube,音声:Youtubeよりアンプを用いてPCより取り込み,サンプリング周波数 96kHz,周波数帯 20-20000Hzでステレオ解析.

  • 一般的なウィーンの演奏家は独奏家としてヴァイオリンの名手になる天分を示す人はほとんどいない,むしろ立派なオーケストラ・マンとしての才能を示すので自分たちの弟子にその使命に関心を向けさせるようにした.(中略)「専門家と共演することがその人にとって将来ひきつづいて行われるべき仕事の個人的な動機とも成る体験となるのである」

  • 団員の証言より…「オペラで実地に腕試しすることが「柔軟性に富む,反応に敏感なオーケストラ演奏」に導くこと」(フーベルト・クロイザマー,第一ヴァイオリン)そしてメンバーはオペラ勤務により,丁度,室内楽の実演のように,相手の音に耳を傾け,瞬時に適応してゆく能力を養うこと(ギュンター・ザイフェルト,第一ヴァイオリン)を認識するには大きな音楽的洞察力を必要とする.(中略)純粋のコンサート・オーケストラ(例,ベルリン・フィルハーモニー・オーケストラなど)の場合には見られない,気分転換,それによる充実,熟達である.「演奏家としての多様な活動が,演奏する喜びを蔵し,状況に応じて弾く柔軟性を養う」のである.(エルンスト・パンペルル,ファゴット奏者,定年退職)

  • ウィーン・フィルの弦楽器セクションで使用している楽器は,コンサートマスター以外のメンバーは,Franz GeissenhofJoachim Schadeかその他を使用している。昔は,Freisleben,ハウデック,ポッラー,フーバーが使われていた.これらの楽器はウィーン風の響きとして有名で,Geissenhofはオーストリアのストラディヴァリ(下記説明参照)とも呼ばれる.値段はオークションで400万くらい.一方,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の弦楽器は高いものであると6000万以上するという(独ZDF Heute).
  • Franz Geissenhof
    106: Violine, Franz Geissenhof, Wien 1820 (Sammlung alter musikinstrumente)

  • Franz Geissenhofは,1753年9月15日にアウグスブルクの司教区に属する都市でフュッセン(fussen)(アルゴイ)で生まれた.バイエルンで同じ地域から来た.父は,Johann Peter Geissenhof (1727-1808)母は,Maria Franziska Resl (1695-1756)である.

  • 実際の楽器を試奏.低音高音共に太い音が奏でられ,メロディーを奏でるのに申し分無い能力を秘めていると感じた.イタリヤ製のモダン・ヴァイオリンはソロに特化した楽器で,音は大変目立つが,Geissenhofにおいては周りと溶け込む柔らかな音と形容できる.(弦楽器専門店のご好意に感謝いたします)
  • Franz Geissenhof
    Sammlung alter musikinstrumente (Collection of Early Musical Instruments) Wien.


  • ウィーンの弦楽器の製作について
     10世紀当初までウィーンのヴァイオリンメーカーはヤコブ・スタイナーの楽器の上に方向づけられている南ドイツのモデルに焦点を合わせた.比較的高いアーチ作用と明るい明確な調子を持っている.Franz Geissenhofはイタリアのモデルの特徴を採用して,そして彼の計器にそれらを取り入れるウィーンで最初のマスターバイオリンメーカーであった.
     Geissenhofがただ大きさとアーチ形になることの形だけではなく同じくより明るいほのかなニスを引き取ったとき,彼がますます1800年後に作ったヴァイオリンはストラディヴァリの影響を示します.ゲッセンホフは特に,ニコラウス・フォン・ Sawicki と同様、マーティンとベルンハルト・シュトロース、の後に従った世代のバイオリンメーカーがストラディバリ,デル・ジェスの後に熟考されたコピーであるに違いない,しかしにもかかわらず,明らかに「ウィーンの」性格を持っている楽器を作りました.維持されていたFranz Geissenhofとガブリエル・Lembock のワークショップ道具と元帳は彼らがビジネスをした方法の中に彼らの独創的なプロセスの中にしかし同じく暴露した洞察を提供します.1870年にLembockはムジークフェライン,音楽の友人たちの協会の新たに建てられた建物でバイオリンを作るワークショップに引っ越しました,そしてバイオリンメーカーの途切れないシリーズが現在の日に下方にそこで機能し続けました.(Sammlung alter musikinstrumente)
  • Franz Geissenhof
    Wiener Musikverein (Musikvereinsplatz 1, 1010 Wien)/
    Atelier im Musikverein Wilfried Ramsaier-Gorbach (Bosendorferstraße 12 1010 Wien)

     ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の弦楽器を修理する専門店Atelier im Musikverein Wilfried Ramsaier-Gorbachは,ウィーン楽友協会(Wiener Musikverein)の建物の後ろにある.弦楽器製作を行っている.1872年創業.

    Musiker

    5、演奏者(斜体は国立歌劇場管弦楽団のみ属している団員)
    (※演奏者のリストについて:コンサートマスターは2016年10月現在,その他パートは2007年7月2日現在.)

    コンサートマスター(Konzertmeister
  • コンサートマスターはオーケストラの顔といえる.殆どのケースでは,ファースト・ヴァイオリン奏者が成る.ヴァイオリンとは弦を弓で摩擦することによって刺激される.弓奏楽器は,即ちヴァイオリン,ヴィオラ,ヴィオロン・チェロ,コントラバスで構成される.ヴァイオリンの4本の開放弦は,G3,D4,A4,E5に調弦される.コンサートマスターは,オーケストラの司令塔で常にメンバーと音楽に目を配っていなければならない.
    ヴァイオリンをソロで演奏することも多く,マーラー「交響曲第4番」一楽章や,R.シュトラウスの交響詩『シェーラザード』や『英雄の生涯』,ブラームスの交響曲第1番の第2楽章,ラヴェルの『スペイン奇想曲』ではソリ(Soli)を,R・シュトラウスの『ばらの騎士』で難易度の高い美しいソロを聞かせる.
  • 歴代のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサート・マスター(濃い水色は現役のコンサートマスター))

    演奏者名 (邦名) 演奏者名 (原語) 生年月日 在職期間
    ゲオルク・ヘルメスベルガー*1 Georg Hellmesberger*1 1800-1873 1842-1847
    ヨーゼフ・ヘルメスベルガー Joseph Hellmesberger 1828-1893 1863?-1893
    ヨーゼフ・ヘルメスベルガー ジュニア Joseph Hellmesberger jun. 1855-1907 1890-1901
    ヨーゼフ・ベーム*2 Joseph Böhm*2 1795-1876 1821-1868
    ヤコブ・グリュン Jakob Grün 1837-1916 1868-1909
    フランツ・マイレッカー Franz Mairecker 1879-1950 1910-1945
    ウィリー・ボスコフスキー Willi Boskovsky 1909-1991 1933-1991
    ワルター・バリリ Walter Barylli 1921- 1938-1972
    フランツ・サモヒル*3 Franz Samohyl*3 1912-1999 1936-1965
    ウェルナー・ヒンク Werner Hink 1943- 1964-2008
    ライナー・キュッヒル Rauner Küchl 1950- 1970-2016
    ギュンター・ピヒラー Günter Pichler 1940- 1961-1963
    アルノルト・ロゼ Arnold Rosè 1863-1945 1881-1938
    ヴォルフガング・シュナイダーハン Wolfgang Schneiderhan 1915-2002 1937-1949
    ゲルハルト・ヘッツェル Gerhart Hetzel 1940-1992 1969-1992
    ワルター・ヴェラー Walter Weller 1939-2015 1961-1969
    ライナー・ホーネック Rainer Honeck 1961- 1981-
    フォルクハルト・シュトイデ Volkhard Steude 1971- 1998-
    アルベナ・ダナイローヴァ Albena Danailova 1974- 2011-
    *1 Georg Hellmesberger:1800年2月24日ロッサウ生まれのヴァイオリニスト.当初は歌手として少年聖歌隊員(ソプラノ・ソリスト,フランツ・シューベルトの後継)として宮廷礼拝堂で働く.その後,神学を学ぶ.最終的にはヨーゼフ・ベームからヴァイオリンを学ぶ.1873年8月16日死去.
    *2 Josef Böhm:1795年ブタペスト生れのヴァイオリニスト・作曲家.ウィーンヴァイオリンスクールの創始者.1921年,Wiener Hofmusikkapelle(ウィーン宮廷音楽礼拝堂)のメンバー.

    Franz Samohyl, ca. 1967
    René Staar mit Franz Samohyl, ca. 1967 © staar.at (Picture: http://www.staar.at/images/album-e/20.jpg)
    *3 Franz Samohyl: 1912年4月3日ウィーン生まれのヴァイオリニスト.1929年Julius Stwertka(1872-1942)よりヴァイオリンの練習を始める.Ernst MorawecとA. Rosèの研究を行った.1930年にウィーン室内管弦楽団のコンサートマスター,1930年にPhilharmonia-Quartettを立ち上げ,ウィーン・フォルクスオーパー(Volksoper Wien)を経て,1934年ウィーン国立歌劇場管弦楽団及びウィーン・フィルのヴァイオリン奏者となる.1964年から1974年にザルツブルクのモーツァルテウムでも教えた.いくつかの世代の中で最も重要なヴァイオリン教師の一人である.1999年6月14日ウィーンにて死去.
    Sources:
    Österreichisches Biographisches Lexikon 1815-1950 Online-Edition und Österreichisches Biographisches Lexikon ab 1815 (2. überarbeitete Auflage - online) <http://www.biographien.ac.at/>
    Wien Geschichte Wiki: <https://www.wien.gv.at/wiki/>

    ライナー・キュッヒル←(Rainer Küchl)(写真引用:リサイタルパンフレットより)
     1950年オーストリア生まれ.11歳よりヴァイオリンを始める.1971年よりコンサートマスター.1964年から1970年までウィーンミュージックアカデミーでサモイル教授に学ぶ.1982年の春にウィーン音楽藝術大学(University for music and art in Vienna)でヴァイオリンの講師,教授に指名された.1994年よりオーストリア1725年作のストラディヴァリウス作の”シャコンヌ”をオーストリア国立銀行より貸与.2007年12月にはNHK交響楽団とのソロとして出演.東ドイツ製のJoachim Schadeを所有している.2016年9月に45年務めたコンサートマスターの職を後継に譲る.

    (Werner Hink)
     1943年生まれ.6歳よりヴァイオリンを始める.ウィーン・アカデミー(現ウィーン音楽・表現芸術大学)にてフランツ・サモヒル教授の教えを受ける.1964年より第一ヴァイオリン,1968年第一ヴァイオリン首席奏者,1974年に首席奏者.1982年よりウィーン市立音楽院教授.1992年よりストラディヴァリ:Hammerleをオーストリア国立銀行より貸与されている.シューベルトに特に愛着を持つ.2007年7月の朝日新聞にウィーン弦楽四重奏団のインタヴューに掲載.2008年に定年退職.

    ライナー・ホーネックRainer Honeck (© symphonieorchester-vorarlberg)
     1961年生まれ.7歳よりヴァイオリンを始める.僅か8才でウィーン音楽大学へ入学.1981年に20歳でウィーン国立歌劇場管弦楽団及びウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の第一ヴァイオリン奏者に.1984年にはウィーン国立歌劇場管弦楽団のコンサート・マスター.1992年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに昇格した.裏(コンマスの隣:第一プルト)で弾くことが多い(2008年ころまで).

    Volkhard Steude
     1971年ライプツィヒ生まれ.5歳よりヴァイオリンを始める.ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学にてヨアヒム・ショルツとヴェルナー・ショルツに,ウィーンにてアルフレッド・シュタールの各氏に師事.1994年23歳でウィーン国立歌劇場管弦楽団のコンサートマスターを務める.2000年からウィーン・フィルのコンサートマスターに就任.裏で弾くことが多い.

    Albena Danailova ソフィア(ブルガリア)生まれ.5歳でヴァイオリンを始め,ロストック音楽大学,ハンブルク音楽大学でペトル・ムンテアヌ教授に師事.2008年よりウィーン国立歌劇場管弦楽団のコンサート・ミストレス,2011年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団初のコンサート・ミストレスに就任.1728年製のグァルネリ・デル・ジェスを使用している.

    José Maria Blumenschein* (試用期間中, 2016-2018)

    Im Ruhestand:Gerhart Hetzel, Erich Binder
    Erste Violine(第一ヴァイオリン)

    第一ヴァイオリン・セクション
    ウィーン・フィルのVn IとVn IIセクション.(© Wiener Philharmoniker)

    指揮者の向かって左側前列がコンサートマスターである。上写真のように楽譜は2人で1つを共有する。弓の運びも見栄えから全員一致している必要がありコンサート・マスターが決定する。2007年度シェーンブルン宮殿のコンサートの模様。指揮者は、Valery Gergiev氏。

  • コンサートマスターの直ぐ前の客席側で弾いているのが第一ヴァイオリンである。コンサートマスターは、大抵第一ヴァイオリンのトップがなる。オーケストラをまとめ、指揮者の次に重要なポジションである。コンサート・マスターの隣に、フォアシュピーラー(次席奏者)が座る。


  • Richard Strauss, Don Juan Op.20冒頭より.
    1stヴァイオリンと2ndヴァイオリン(途中より1stより1オクターブ下を弾く)両パートともタイミングが重要である.

  • ウィーン・フィルの弦楽器のサウンドについて述べてみましょう。ウィーン・フィルの演奏は、弦楽器にその多くの特徴が見られ、ヴァイオリンの独自の奏法に於いて、音量より音質、絹織りのような美しさで他の楽団より勝っていると思われます。例えば、モーツァルトの『ハフナー』の第二楽章を2005年の日本公演の際、コンマスのキュッヒル氏と次席のホーネック氏の指使いが異なっていたのは面白いことです。(2015年10月の日本公演の際にも,モーツァルト交響曲第40番において第三楽章などで同じ音にも関わらず,指使いが異なっていた.
    第一ヴァイオリンは指使いは同じ事が多いですが,それぞれ異なる弦とポジションを使っていたのです.それにより,音の厚みが増すのでしょう.尚,ウィーン・フィルの基本周波数は,(a´=440 Hz)のわずかな上昇ピッチを使用しています.(Strenges Ausleseverfahren, einheitliche Schulung der Musiker sowie Tradition und Modulationsfähigkeit des Klangkorpers sichern den Wiener Philharmonikern ihren Weltruf. Sie verwenden gegenüber dem Normalstimmton (a´ = 440 Hz) einen etwas erhöhten Stimmton.)(AEIOU 2015)

  • 公式のウィーン・フィルハーモニーのホームページに興味深い記述があります。「有名なウィーンの弦楽器のサウンドに関しては、まだまだ深い研究調査が必要です。これまで継続的に発展して来たことは明らかですが、完全に画一的なウィーン・ヴァイオリン流派があるというわけではありません。但し、ヨーゼフ・ベームやヨーゼフ・ヘルメスベルガーによって築かれた”ウィーン・ヴァイオリン流派”のヴァイオリニストの特徴である暖かい、表現力の豊かな音色、そのごく自然な楽節の区切り方等はすべてその派に基づくものである。同じことは、チェロやコントラバスにも云えるので、たとえばフンマーやシマンドル、その後継者によって、同じような楽派が形成されてきた。ウィーンの弦楽器そのものは、管楽器の違いのようには、オーケストラのサウンドにそれ程は関係しておらず、いくつかの例外を除いては、その楽器の特別のクオリティーによるのではないようです。それよりもむしろ、ウィーン・フィルの弦の各グループは、中世の仕事場のようなやり方で、新しく入団してきたメンバーがウィーン・フィルの特別な演奏スタイルを身につける様に指導していくことにあるようです。」名指揮者、フルトヴェングラー氏がウィーン・フィルの弦楽器を他の楽団に持たせて演奏した所、ウィーン・サウンドは出なかったそうです(野村 三郎)。

  • ウィーン・フィルのチェロ首席奏者(祖父がウィーン・フィルのクラリネット奏者)によると,ウィーンの響きは楽器だけではなく奏者の力量も関係しているのは勿論,敢えて正しい演奏から”ズラして”演奏しているという。聴者には分からないが,それが味わいに成るらしい。との事。

  • 上記を裏付ける証言として…ヴァイオリニストの久保田 巧氏のインタヴューによると,久保田は「ウィーン・フィルはそんなにすごいソリストの集団という感じではありませんよね,弦の場合もよく聴くとズレていたりします.でも,そういうズレや幅があるからかえって音に振動が生まれツヤが出たりするんです.ウィーン・フィルのサウンドが機能的にピシッとあったオーケストラよりも,溶け合った色合いの深いものになるのはそのためだと思います.」とインタヴューにて述べている.

  • ウィーン・フィルの演奏はベルリン・フィルやニューヨーク・フィルと比べると,聴者の経験などにもよるが,特別な音の特徴により聴きわけが可能とのこと.ウィーンの音楽“言語”があるとのこと.但し,全てのレコーディングで“ウィーンらしさ”は出ないとの事.("Can you identify the Vienna Philharmonic Orchestra, compared with the Berlin or New York Philharmonic", Bertsch Matthias, University of Music Vienna, 2002.の研究による)

  • ●モーツァルトのオペラ『魔笛』に見るウィーン・フィルのヴァイオリン奏法

    魔笛より
    モーツァルト『魔笛』より『真夜中の女王』のアリア

     上の楽譜は、モーツァルトの『魔笛』の夜の女王の部分である。

    周波数解析
    上図のヴァイオリンIの赤枠と青枠の音の周波数解析(横軸:音の周波数,縦軸:時間(後ろが過去))

     私が聞いた録音は,指揮者はゲオルグ・ショルティ,演奏楽団はウィーン国立歌劇場管弦楽団である.夜の女王(ソプラノ)の甲高い声に続きヴァイオリンが旋律を奏でる.良く曲を聴いてみると,第一ヴァイオリンでは赤印のA(880Hz)と青印のA(880Hz)で同じ音であるが,表現方法が異なっている.後者(青枠)の方が余韻を残すような弾き方である.周波数解析でみると青枠A(880Hz)のLch(左チャンネル)とRch(右チャンネル)が,赤枠A(880Hz)より後ろにグラフが続いていることが分かる(グラフの高さは音量を示しており,だんだん低くなっている.つまり音が減衰していることが分かる).ヴァイオリンの音が後者より前者より時間的に長いことを示している.これは,正にソプラノ歌手が二度同じ旋律を歌うとしたら前者は優しく歌い流し,後者(音の高さも前者より高い)は声にヴィヴラートをかけ,しっかりとした歌い方をすると思われる発声法を前提として居て,オーケストラも同じように謳う様なメロディーを奏でて居るのである.通常であれば同じ音符で特に気にはしない所であるが,正に洗練されていながら曲のおどけた所をうまく出している.作曲者と曲と音楽の背景に極めて精通している一人ひとりを抱えた楽団でしか表現出来ない芸当と言うことが出来る.

    フルートとファゴットを除いたウィーンの楽器には、次のようなサウンドの特殊性が挙げられます

  • 倍音がより豊かで、基本的にはより明るいサウンドである。
  • 強弱の範囲がより大きい。(「大きな」音と「小さな」音の差がより大きく出せる)
  • サウンドをより変化させやすい(音楽家は音色を幅広い範囲で変化させられる)
  • とのことです。
  • ヴィヴラートのかけ方や指使いの方法で独自の音色を醸し出しているのだと考えられます。団員の楽器は、オーストリア製のもので特に高価な楽器と云う訳ではないが、曲を奏でると”粋”に成る不思議さがあります。よく考えてみると、ウィーン・フィルのメンバーの一人一人の多くが室内楽団(ウィーン室内合奏団など)に属していて”ソリスト”であることが求められているそうである。ウィーンという音楽の都と相まって我々に最高の演奏をもたらしてくれるのである。

  • 席の順番は、基本的に早く入団したものから前に座って行く。楽譜に「div.」とあれば、第一ヴァイオリンと云えども二手に分かれて演奏する。第二ヴァイオリンのパートより弾く音は高いことが多い。コンサートマスターを除外すれば、オーケストラのヴァイオリン・セクションの中に知名度のある奏者がいる例というのはなかなか少ないものであるが、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、馴染みの名前が多く確認される。

  • 三拍子のワルツを弾く時、ウィーン・フィルは一泊目:長、二拍目:短、三泊目:短の様に演奏をする。何故なら、舞踏会で踊る時にターンが入るからであり一拍目にターンをする場合に余裕を持たせるためである。と言われている。これがウィーン気質の粋な表現と成って私たちの耳に届けられるのである。

  • Eckhard Seifert
    1952年オーストリア生まれ。1970年ウィーン国立音楽大学に入学。フランツ・サモヒル氏に師事。1973年ウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団、1975年より首席第1ヴァイオリン奏者を務める。1976年ウィーン・フィル入団。

    Hubert Kroisamer 1953年生まれ、ウィーン・アカデミー(現・ウィーン音楽大学)でフランツ・サモイル氏に師事。69年チェコスロヴァキアで行われたコツィアン国際 ヴァイオリン・コンクールで第1位。1975年ウィーン・フィルに入団、1978年第2ヴァイオリン首席奏者、1982年第1ヴァイオリン首席奏者となる。

    Josef Hell ウィーン音楽大学で学ぶ。1975年にウィーン国立歌劇場管弦楽団、1978年にウィーン・フィルのメンバーとなり、現在は第1ヴァイオリンのリーダーを務めながら、ウィーン音楽大学などで後進の指導にもあたる。

    Jun Keller
    ウィーン音楽大学にて、ゲアハルト・ヘッツェルに師事。ドイツ、イタリア、日本、ルクセンブルク、オーストリア、ハンガリー、スイスにてソロおよび室内楽演奏会に多数出演。2000年よりウィーン国立歌劇場オーケストラに所属。02年よりウィーン・フィルにて第1ヴァイオリンの首席奏者を務める。

    Gerhard LibenskyDaniel Froschauer 1965年ウィーン生まれ.1998年よりウィーン・フィルとウィーン国立歌劇場の第一ヴァイオリン奏者を務め,2004年からはセクションのリーダーとなる.

    Gerhard Libensky

    Herbert Linke 1945年3月31日、オーストリア、プレスバウム生まれ。

    Manfred Kuhn

    Günter Seifert 1952年オーストリアのヴァイヤー生まれ。1970年ウィーン国立音楽大学に入学。フランツ・サモヒル氏に師事。1973年ウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団、1975年より首席第1ヴァイオリン奏者を務める。1976年ウィーン・フィル入団。

    Wolfgang Brand
    1948年オーストリア生まれ。1955年ヴァイオリンの勉強を始める。1970年にはH・シェリング氏のソロ・コースを学ぶ。1974年にウィーン・フィルの第一ヴァイオリンのコンテストで受賞。

    Clemens HellsbergClemens Hellsberg (© Phonak AG)
    1952年リンツ生まれ。ウィーン大学で、ヴァイオリンを専攻する傍ら、ウィーン大学で音楽学を専攻。1980年哲学博士を取得。1980年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に入団する。1997年に楽団長となる。

    Erich Schagerl
    1953年オーストリア生まれ。1972年より1978年までフランツ・シューベルト 弦楽四重奏団に所属し若くしてモーツァルト解釈賞を獲得する。1980年から85年までウィーン音楽大学で教鞭をとった。1979年より現職。

    Bernhard BiberauerBernhard Biberauer (© 学校法人三室戸学園) 1964年オーストリアのクレムスのキルヒドルフに生まれる。5歳のとき、母よりヴァイオリンの手ほどきを受ける。その後アルフレッド・シュタール教授より教えを受ける。1980年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の「カール・ベーム・コンペティション」第1位受賞。1987年よりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の奏者となる。

    Martin Kubik 1967年デュッセルドルフ生まれ。後、ウィーンに移住、1974年アルフレド・スター氏のもとでヴァイオリンを始める。ウィーン音楽院、ウィーン芸術大学を経て、1986年ウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団。

    Milan Ŝetena

    Martin Zalodek 1971年生まれ。

    Kirill Kobantchenko 1978年、ロシア生まれ。モスクワでアンドレイ・コルサコフに、ウィーンでボリス・キヒェニーに師事する。2004年より在籍。

    Wilfried Hedenborg 1977年オーストリア生まれ。父はスウェーデン人。母は日本人のピアニストで弟はチェロ奏者。04年にウィーン・フィルのメンバーに。

    Johannes TombÖck*

    Isabelle Caillieret*

    Andreas Großbauer* 2006年ウィーン・フィルに入団.2014年6月よりDr. Clemens Hellsbergの後任として,楽団長に就任.

    Im Ruhestand:Anton Straka, Alfred Welt, Helmuth Puffler, Herbert Fruhauf, Paul Guddenberger, Gerhard Libensky, Sebastian Heesch, Hans Novak

    Zweite Violine(第二ヴァイオリン)

  • 第二ヴァイオリンは、第一ヴァイオリンの補助と考えられがちだが、第一とハーモニーを奏でる大切な役割がある。従ってある程度楽団の響きを熟知した者ないと、第一を支える事が出来ない。縁の下の力持ち的存在である。しかも、第一と同じ旋律を奏でることもあり音域が広い。チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」では、美しい第一ヴァイオリンのTutti(合奏)を聴かせる。チャイコフスキー「交響曲第六番(悲愴)」の終楽章では、第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンの哀愁をこめた掛け合いが美しい。
  • Peter Wächter (© http://www.peterwaechter.com/) 1941年10月ウィーン生まれ。1965年11月ウィーン・フィルの奏者に。

    Raimund Lissy 1966年ウィーン生まれ.ウィーン国立音楽大学で,トマス・カクーシュカ及び,アルフレッド・シュタールに師事.1988年にウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団.1991年からウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーとなり,1993年から第2ヴァイオリンのリーダーを務める.

    Tibor Kovác ブラティスラヴァに生まれる。ブラチスラヴァ音楽院、プラハ芸術アカデミー、ウィーン国立音楽大学にて学ぶ。複数の国際音楽コンクールに入賞。1992年よりウィーン・フィルの団員となる。

    Gerald Schubert 1956年ウィーンにて生まれる。最初のヴァイオリンレッスンは父親と。ウィーン・フィルへは1982年からメンバーである.ウィーン国立音楽大学教授。1999年から大学のヴァイオリンクラス担当。

    René Staar
     1951年グラーツ生まれ。ウィーン国立音楽大学、シベリウス音楽院などで研鑽を積む。演奏家としてはもちろん作曲家、批評家、指揮者としても活躍している。

    Helmut Zehetner

    Ortwin Ottmaier 1941年、ウィーン生まれ。

    Heinz Hanke

    Alfons Egger

    George Fritthum

    Alexander Steinberger

    Harald Krumpöck 2014年より,フルートのDr. Dieter Fluryの後任で事務局長に就任.

    Michael Kostka

    Benedict Lea

    Marian Lesko 1969年スロヴァキア生まれ。スロヴァキア音楽コンクール等で第1位受賞。1995年よりウィーン・フィルの団員。

    Tomas Vinklat

    Johannes Kostner 1969年12月インスブルック生まれ。ウィーン国立音楽大学およびグラーツ音楽大学卒。2001年より楽団員。

    Martin Klimek

    Im Ruhestand:Mario Beyer, Martin Kubik, Josef Kondor, Erbst Bartolomey, Christian Frohn

    Viola(ヴィオラ)

    ヴィオラ・セクション
    ウィーン・フィルにおけるヴィオラセクション(© Wiener Philharmoniker);
    写真上の奏者は観客席に最も近い場所で弾いている.曲や指揮者によっては,舞台奥で弾くことが有る.

  • ヴィオラはヴァイオリンよ一回り大きい。小さいもので11インチ、大きいもので16インチの大きさに及ぶ。

    R.Struss ドン・キホーテ
    赤枠がヴィオラソロで青枠がチェロソロである。二者の会話をソロで表現している。前者はト音記号とヘ音記号の真ん中の記号ハ音記号を用いている(中央がド)(リヒャルト・シュトラウス『ドン・キホーテ』ヴァリエーションIVの前)

  • ヴィオラはヴァイオリンより、より低い周波数範囲をカバーしている。ヴィオラの4本の開放弦は、C3,G3,D4,A4に調弦されている。主旋律より伴奏を受け持つことが多い楽器である。ストラヴィンスキー「春の祭典」の(乙女たちの神秘的なつどい)で、幽玄なソリを聴かせる。サン=サーンスの「交響曲第3番」の冒頭では綺麗なハーモニーを奏でる。リヒャルト・シュトラウスの「ドン・キホーテ」ではチェロと変化自在のソロを奏でる。

  • Heinrich Koll ウィーン生まれ.ウィーン国立音楽大学でエディット・シュタインバウアー教授とフランツ・サモヒル教授にヴァイオリンとヴィオラを師事.1980年よりウィーン・フィルのソロ・ヴィオラ奏者を務めている.オーストリア・ユース・フィルの指導も行っている.

    Tobias Lea (© JAPAN CABLE NET LIMITED)
    1966年にオーストラリアのアデレイデにて生まれる。5歳でヴァイオリンを始める。1987年ヴィオラに転向。1990年から4年間ミラノスカラ座の主席ヴィオラ奏者を務める。1994年9月よりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の主席ヴィオラ奏者

    Christian Frohn (© christianfrohn.at) 1964年ウィーン生まれ。1990年にウィーン・フィルに入団。

    Peter PechaPeter Pecha 1947年ウィーンに生まれる。ウィーン音楽院にてワルター・シュナイダーハン氏のもとヴァイオリンを始め、65年よりウィーン芸術大学にてカール・シュティールホフ氏に師事し、ヴィオラを始める。1973年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に首席奏者として入団。ボタン式ハーモニカに造詣が深い。

    Robert BauerstterRobert Bauerstatter (© The American Austrian Foundation, Inc.)

    Wolf-Dieter Rath

    Erhard Litschauer

    Gottfried Martin

    Hans P. Ochsenhofer グラーツに生まれる。1977年ウィーンのヴィオラ奏者。ウィーン国立音楽大学ヴィオラ科教授。

    Mario Karwan

    Martin Lemberg

    Elmar Landerer 1974年生まれ。ウィーン音楽大学のペーター・オクゼンホーファーに師事。同大学卒業後、1996年ウィーン国立歌劇場オーケストラに入団。1999年よりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のヴィオラ奏者となる。

    Innokenti Grabko

    Ursula Plaichinger* 1975年オーストリア生まれ。女性団員。

    Michael Strasser* グリースキルヒェン生まれ.7歳よりヴァイオリンを祖父のフーベルト・クロイザマーの下で学ぶ.リンツ・ブルックナー音楽院を経て,ウィーン国立音楽大学にてヴィオラをハンス=ペーター・オクセンホーファーに師事.2003年にウィーン国立音楽歌劇場管弦楽団に入団.2006年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーとなった.

    Gerhard Marschner*

    Thilo Fechner* 1968年ベルリン生まれ.1987年から1990年までヴィオラをArts Academyにて学ぶ.1990年から1992年までジュリアード音楽院で学ぶ.

    Im Ruhestand:Joseef Staar, Helmut Weis, Klaus Peisteiner, Peter Ochsenhofer


    Violoncello (ヴィオロン・チェロ)

    チェロ・セクション
    ウィーン・フィルにおけるチェロ・セクション(© Wiener Philharmoniker);
     チェロ奏者が二列に並んでいる.ウィーン・フィルでは,チェロ奏者の後ろに第一ヴァイオリンが配置されることが有る.

  • 1700年頃のチェロは5弦であった.

  • 中低音を受け持つこの楽器は,どれだけ楽器を鳴らすかにかかっている.楽器のサイズも大きく(ヴァイオリン本体のほぼ4倍の長さ),体力的にきつい楽器である.チェロの4本の開放弦は,C2,G2,D3,A3に調弦されている.チェロの旋律が美しい曲としては,ブルックナー「交響曲第4番(ロマンティック)」の第一楽章.ロッシーニ「ウィリアム・テル序曲」の冒頭が有名.チャイコフスキーの「交響曲第6番『悲愴』」の冒頭はチェロの低域の重たい二重奏から始まる.ドヴォルザークの「交響曲第8番(イギリス)」の第一楽章においても美しい旋律を奏でる.ブラームスの「交響曲第3番」の第3楽章の冒頭のチェロの旋律は表現力が試される(下図参照)

  • J.Brahms Symphony No.3 3楽章.チェロでゆったりした旋律が始まる(青枠).
    その後,この旋律はヴァイオリン(赤枠;部分),全体に引き継がれる.

     Franz Bartolomey 1946年ウィーン生まれ。1973年より、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のソロ・チェロ奏者を務める。楽器はDavid Tecchler(ローマ)1727年製作を使用している.右側ハープ奏者は,フランス人のXavier de Maistre 氏

    Tamás Varga 1969年ハンガリーのブダペスト生まれ。7歳からチェロの教育を受け、12歳にしてハンガリー・ジュニア・コンクール第1位に輝く。1999年よりウィーン・フィルのメンバー

    Fritz Dolezal 1947年8月生まれ.1968年ウィーン国立歌劇場管弦楽団のチェロ奏者に.1973年にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロ奏者となる.ウィーン・アカデミーでフリーダ・リッシャウアー=クラウス教授に師事する.1974年に首席奏者.

    Raphael Flieder 1962年ウィーン生まれ。1993年からウィーン・フィルのチェリスト。

    Werner Resel 元、ウィーン・フィルの楽団長。

    Gerhard Kaufmann

    Jörgen Fog

    Gerhard Iberer 1958年オーストリア生まれ。ウィーン国立音楽大学にてウォルフガング・ヘルツァー氏に師事。1985年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に入団

    Csaba Bornemisza

    Robert Nagy ハンガリー生まれ.1992年にウィーン国立歌劇場のメンバーとなる.2005年からウィーン・フィルの首席奏者.2009年よりウィーン国立音楽大学教授.

    Wolfgang Härtel 1975年グラーツ生まれ。2000年までウィーン・フォルクスオーパーの主席チェロ奏者を務めた。

    Ursula Wex*

    Eckart Schwarz-Schulz*

    Im Ruhestand:Robert Scheiwein, Reinhard Repp


    Kontrabass(コントラバス)

  • コントラバスは,ダブル・ベースとも呼ばれる.4つの弦(5弦のコントラバスも存在する;楽曲によって使い分ける).開放弦は、E1,A1,D2,G2に調弦されている(5弦の場合,最低限はHで調弦される).譜面では1オクターブ上に記譜され,実声は記譜より1オクターブ下である.ベートーヴェン「交響曲第5番(運命)」の第3楽章はコントラバスが大活躍。マーラーの「交響曲第1番(巨人)」の第4楽章は重たいソロではじまる。シューベルトの「交響曲第7(8)番(未完成)」では,チェロとの低音が重々しい.

  • ウィーン・フィルのコントラバスの起源は,ボヘミア地方,あるいは現代のプラハとチェコ共和国の近郊と考えられている.Wenzeslas Hause氏 (1763-1847)によって始められ,プラハ・スクールのメンバー,Anton Slama, Joseph Hrabe, Frantisek Simandlによって続いた.

  • G.Mahler Symphony No.1(巨人)3楽章冒頭.ティンパニのソロにコントラバスの巨人らしい重いソロが続く.
    楽譜上のはブレスマークの意味.一旦息継ぎをして次の小節を演奏する意.


    F.Scubert H moll(未完成)フルスコア冒頭.コントラバスとチェロでゆっくりした低音から始まる(青枠).


    F.Scubert H moll(未完成)冒頭においてのコントラバスの実音.
    (コントラバスで上記のフルスコアの譜面通りに弾くと,1オクターブ下が発声されることに留意する)

    Alois Posch 1959年生まれ。ウィーン国立音楽大学でG. V. フライベルクに師事。1964年よりウィーン国立歌劇場管弦楽団、1966年よりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバー。

    WolfgangGurtlerWolfgang Gürtler(写真右端)(© wienbass.com) 1947年、ウィーンにて生まれる。1974年にウィーン国立歌劇場管弦楽団へ、1977年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の主席コントラバス奏者となる。

    Gerhard Formanek 1942年ウィーン生まれ。1967年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコントラバス奏者に。

    Milan Sagat

    Alexander Matschinegg

    Georg Straka

    Michael Bladerer ヴァイトホーフェン・アン・デア・イプス生まれ.ウィーン国立音楽大学でルードヴィヒ・シュトライヒャー教授に学び,首席で卒業.1999年よりウィーン国立歌劇場管弦楽団メンバー,2002年からウィーン・フィルの団員となった.

    Bartosz Sikorski 1974年ウィーン生まれ。2000年よりウィーン・フィルのコントラバス奏者。

    Manfred Hecking

    Jerzy Dybal*

    Christoph Wimmer*

    Ödön Racz*

    Im Ruhestand:Herbert Mayr, Marttn Unger


    Flöte(フルート):Hammig Bernhard,YAMAHA,MURAMATSU,SANKYOなど.

    フルート、オーボエセクション
    ウィーン・フィルフルート、オーボエセクション。(© Wiener Philharmoniker)

     上写真は木管楽器のセクションである。弦楽器と違い、息を入れて音を発声させる楽器がメインのパートが多いこともあり頭を合わせる際には息を吸う音で合わせる。上からバス・クラリネット,アルト・クラリネット、Es管クラリネット;下側アルト・フルート,フルート,ピッコロ,フルート2本,オーボエである。

  • フルートは、円錐部分で接合された二つの円筒部分からなっていて、その一端は開放、他端は閉じている。キーを押さえる事によって音程を調整する。C4からC7の音程を奏でる。グリーグ「ペールギュント」の「朝」はさわやかなソロを奏でる。チャイコフスキーぼ「くるみ割り人形」の「あし笛の踊り」の旋律は軽快なリズムである。又、ベートーヴェン「交響曲第七番」終楽章や「レオノーレ」序曲の中間では、速いパッセージを吹く。
  • L.V.Beethoven Leonore3
    L.V.Beethoven Leonore Overture No.3 Op.72

     ベートーヴェンのレオノーレ序曲第3番.フルートのソロが始まる箇所(赤枠部分).弦楽器群(下部)は静かなトレモロの中に,軽く弾んだ旋律がフルートによって奏でられる.早い旋律をスラー,スタッカートに留意しながら,軽い調子で正確に吹く必要がある.
    ヴォルフガング・シュルツWolfgang Schulz (© http://www.wolfgangschulz.com/) 1946年、オーストリア・リンツ生まれ。1970年にウィーン・フィルのメンバーに。1979年教授に。『歌うように』吹くのが信条。(使用楽器:ムラマツ HANDMADE 24K GOLD)

    Dieter Flury (© Yamaha Corporation) 1952年、スイス生まれ、1977年にウィーンフィルのフルート奏者となる。(使用楽器:ヤマハ:YFL-971B)

    Gunter FederselGünter Federsel(写真引用:アンサンブル11パンフレット) 1959年ウィーン生まれ。1972年にフルートのレッスンを受ける。1990年ウィーン・フィルのメンバーとなる。

    Günter Voglmayr 1968年オーストリア生まれ。ヴォルフガング・シュルツに師事。1995年よりウィーン・フィルのメンバー。

    Walter Auer 1971年フィラッハ生まれ。 2003年よりウィーン国立歌劇場管弦楽団で、ソリストとしてフルートを演奏。

    Wolfgang Breinschmid*

    Im Ruhestand:Meinhart Niedermayr, Rudolf Nekvasil, Günter Federsel, Hans Pichler

    Oboe(オーボエ):過去には,Josef Hajek,最近は,Hermann Zulegerなどの楽器を使用.

  • ウィナー・オーボエは,ドイツのドレスデンの古いオーボエから修正されたものである.ドレスデン宮廷楽団のRichard Baumgärtel氏のオーボエの音に感銘を受けその楽器をウィーン用に改良したことが始まりである.その楽器は,ドレスデンの楽器メーカーのCarl Golde氏(1803-1873)が製造したものである.

  • ウィーン・フィルハーモニーが使用しているオーボエ(ウィナー・オーボエ)は,吹き口が膨らんでいて,多くの息を必要とする。ウィナー・オーボエは演奏の時にヴィブラートをかけないのである.特に,モーツァルトの旋律はノン・ヴィブラートでないと美しく歌えないのだ(野村).牧歌的でしかも快い寂しさに誘う不思議な魅力を讃えている.W.A.Mozartの交響曲第25番の第1楽章において,ヴァイオリンの連続するG音に続いて,静かにヴィヴラートを掛けないオーボエが入る.明鏡止水の心境を讃えている.

  • 奏法については,多くのオーケストラで使われているフランス製のコンセルヴァトワール式(Conservatoire system)より難しいと云われる.オーボエの基本周波数範囲はB-3からG6までの約3オクターブである.イングリッシュ・ホルンは(E3からB-5),オーボエ・ダ・モーレ(G+3からC+6)もある.チャイコフスキー「交響曲第4番」の第二楽章のソロや「白鳥の湖」の旋律は有名.ドヴォルザーク「交響曲第九番(新世界から)」の二楽章のイングリッシュ・ホルンのソロは有名.シューベルトの劇音楽『ロザムンデ』序曲のオーボエは有名.オーボエは音のピッチが環境によって変わりにくく演奏前のチューニングの際は,一番先にオーボエ奏者が「A」を吹き,それを他の奏者が合わせる.
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    ←Die Wiener Oboe (© Institute of Music Acoustics (Wiener Klangstil))

     

     

     

    Martin GabrielMartin Gabriel 1956年生まれ。ウィーン国立音楽大学で学ぶ。ウィーン交響楽団のメンバーとして活動を始め、1983年よリウィーン国立歌劇場管弦楽団のメンバー。1988年よリウィーン・フィルのソロ・オーボエ奏者。2005年の10月の来日では、constanze brosch(1979年2月20日生)が二番であった。

    Clemens Horak 1969年生まれ。ウィーン総合音楽大学で学ぶ。10年間ウィーン交響楽団のソロ・オーボエ奏者を務め、今は、ウィーン国立歌劇場管弦楽団およびウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で同じ地位にある。ソリストとして、ウィーン交響楽団と共演し、数々の音楽祭にも出演している。また、室内楽活動も活発に行っている。

    Walter Lehmayer 1943年生まれ、ウィーン・フィルには1973年から活躍。イングリッシュ・ホルンでも力強い演奏をする。

    Alexander Öhlberger

    Harald Hörth* オーストリアのツヴェットル生まれ。2004年よりウィーン・フィルのオーボエ奏者。

    Im Ruhestand:Gerhard Turetschek, Gottfried Boisits, Günter Lorenz


    Klarinette(クラリネット):Otmar Hammerschmidt, Herbert Wurlitzer 等を使用

    木管セクション
    ウィーン・フィルの木管・金管セクション(© Wiener Philharmoniker)

     上写真:3本のバスーン奏者(中央右)右端にある楽器は,コントラバスーンである.主旋律を担当することは極稀でコントラバス、チューバなど低音郡と一緒に奏す事が多い.一番下のオーボエの男性は、茶色のオーボエを演奏している.

  • クラリネットの管は,木またはベークライト等の化学製品,まれには金属によって作られる.全体は,吹口部(ベック)・俵・本体の3部分からなるが,本体は格納のために半分に分離できるようになっているので,事実上は4部分に分けても考えられる.管は円筒管で,出口が装飾的な意味で少し開いているほかは太さはほぼ一定である.「吸口部」は,葦の茎を削って作った幅広いリードを取り付けて吹奏する部分である.「本体」には19個程度の管側孔が開けられ,またそれらを開閉するための鍵(キー)が取り付けられている.

  • クラリネット属は閉管の振動の楽器であるため,第2倍音は出ない.変ロ長調の音階を基準に作られたB管と,イ長調の音階を基準にしたA管の2種類がある.全域で4オクターブ弱ある.記音から加線2本を越えるあたりから,音は次第に幅と丸みが減る.中域から低域に向かっては,始めはだんだんと音と幅とヴォリューム感が増す.シャルモーと呼ばれる音域では汽笛に似た独特の音色になる.

  • ウィーンのクラリネットは,エーラーフラップシステム(Oehler Klappensystem;ウィーン式)である.ウィーンの独自のマウスピースを使用しており,ベーム式(ドイツ式)のモデルとは異なる.マウスピースとリード先端部の端部との間のマウスピース先端の開口部の隙間は,ベーム式の標準の約1.0ミリメートルに対し,ウィーン式は0.8mmである.マウスピースとリード先端部の端部との間に,マウスピース先端の開口部があるが,その隙間はわずか0.7mmである。

  • 音については,ウィーン式は,一般的に暗い音,音はかなり「粘土質地盤(原文:grundtoniger)」である.

  • モーツァルト作曲:歌劇「皇帝ティトゥスの慈悲」より「親愛なる神々よ」のクラリネットの演奏では,幅広い音域とその美しいメロディーを堪能する事が出来る.

  • モーツァルトがこよなく愛したクラリネットの音はウィーン・フィルにも受け継がれている。ウィーン・フィルの使用しているクラリネットは,決して高い音(クラリーノ音域)もキーキー言わずに優しいメロディーを奏でる.クラリネットは,フレアのある口を持った円筒管に結合された単式機械リードから出来ている.基本周波数範囲は,D3からF6までの3オクターブに渡る.ウィーン・フィルの木管・金管セクションの写真でクラリネットパートをみると,一番左から,バス・クラリネット,アルト・クラリネット,Es管クラリネット,B管(A管)クラリネットである.少量の息で長い音を出せるので息継ぎは少なくて長いパッセージを演奏できる.ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」二楽章は哀しいソロを聴かせる.ブラームスの交響曲第1番の第3楽章ではクラリネットが牧歌的な旋律を奏でる(下図参照).
  • Otmar Hammerschmidt Klarinetten (© http://www.hammerschmidt-klarinetten.at/)→

     

     



    J.Brahms Symphony No.1 3楽章.クラリネットの優雅で牧歌的な旋律が流れる(赤枠)

    ペーター・シュミードルPeter Schmidl (© Naxsos Digital Services LTD. 2007) 1942年オルミュッツ(現チェコ・オルモウツ)生まれ.ウィーン国立音楽大学でルドルフ・イェテル教授に学ぶ.1965年からウィーン国立歌劇場管弦楽団クラリネット奏者.1968年,ウィーン・フィルのソロ・クラリネット奏者となる.1967年からウィーン国立音楽大学教授.モーツァルト作曲、クラリネット協奏曲/バーンスタイン指揮の演奏が特に素晴らしいものだった.

    Ernst Ottensamer (© puchberger-kmf) 1955年生まれ。1983年より、同オーケストラ及びウィーン・フィルのソロ・クラリネット奏者を務めている。

    Norbert Täubl (© www.ic975.com) 1957年生まれ。1979年ウィーン国立歌劇場管弦楽団のクラリネット奏者。

    Horst Hajek 1944年生まれ。1971年から首席奏者となる。

    J.HindlerJohann Hindler 1951年シュタイアマルクのフローンライテン生まれ.グラーツで音楽の勉強を始め,1975年ウィーン国立音楽大学入学,ペーター・シュミードル教授のクラスに所属.1989年からウィーン国立歌劇場管弦楽団とウィーン・フィルのメンバー.2005年のムーティとの日本公演では,『運命の力』序曲の哀愁帯びたクラリネットの音色を聞かせた.

    Andreas Wieser
     1967年レオーベン生まれ。1995年よりウィーン・フィルのメンバー。

    Im Ruhestand:Horst Hajek, Alfred Prinz, Norbert Täubl

    Fagott ファゴット(バスーン):Heckel(独)の楽器を使用。

  • ウィーン・フィルのファゴット(バスーン)奏者は、ドイツモデルを使用。ドイツモデルを使用している奏者は長音を好む。

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  • オーボエより低い周波数をカバーするため、管は折り返しになっている。ファゴットの基本周波数は、B-1からE-5まで。コントラ・ファゴット(B0からF3)、ストラヴィンスキー「春の祭典」の啼くようなソロはききもの。
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    Heckelfagott 41i (© http://www.heckel.de/de/prod-fagott.htm)→

     

     

     

     

    Michael Werba1955年生まれ。ウィーン音楽大学を77年に最優秀賞を得て卒業。在学中の76年にウィーン国立歌劇場管弦楽団およびウィーン・フィルのメンバーとなり、その一年後、ソロ奏者の地位に就いた。父は有名なピアニスト。エリック・ウェルバ氏。2006年の日本公演の際の彼の羽毛の様なppは忘れられない。

    Stepan Turnovsky (© ic975) 1959年プラハ生まれ。ウィーン国立音楽大学でカール・エールベルガーに師事し優秀な成績で卒業。1978年よりウィーン国立歌劇場管弦楽団およびウィーン・フィルの首席ファゴット奏者。ウィーン国立音楽大学ファゴット科の教授。

    Harald MuellerHarald Müller(写真引用:アンサンブル11パンフレット) 1965年ウィーン生まれ。はじめヴァイオリンと合唱を学ぶ。1986年よりウィーン・フィルのファゴット奏者。  

    Reinhard Öhlberger 1950年生まれ。

    Wolfgang Koblitz ウィーン生まれ。

    Benedikt Dinkhauser 1978年生まれ。2002年ウィーン国立歌劇場管弦楽団のファゴット奏者。

    Im Ruhestand:Harald Müller, Dietmar Zeman, Friedrich Faltl

    Horn(ホルン):過去には,Robert Engel,最近はHaagston,Andreas Jungwirth,YAMAHAなどを使用している.

    ブラスセクション
    ウィーン・フィルのブラス・セクションとパーカッション。(© Wiener Philharmoniker)

     ウィンナ・ホルン

    ウィーン・フィルのホルンパート
    1984年10月の演奏会から。指揮者はR.バーンスタイン、曲は『ライン』(メンバー:手前から Wolfgang Tomböck,Willibald Janezic,?,Johann Fischer)

    ←Haagston Vienna Horn Mod. Wolfgang Tömbock (© http://www.haagston.at/)

    ・Leopold Uhlmann (1830-1904)が最初のウィナホルンを製作した.

  • ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のホルンは、他のオーケストラと決定的に違うところがある。それは音や機構(作り)である。ウィナホルン(ヴィーナー・ホルン)といい通常のものよりも温かく、そしてストレートで広大な音を出す。ウィーン式ホルンはFの音に調律されていて、ロマン派の音楽だとこの楽器ならではの明朗な音が出る反面、音がひっくり返りやすいという難点がある。マウスピースも通常のより比べて吹き口の部分がやや大きい(野村)が高貴なる輝きというべき威厳と牧歌的な味わいを併せ持つ。国際的楽器と根本的に違うのはウィーン式の(F-)ホルンで、管の内径が狭く、管の長さもより長く、バルブはピストン式です。これらのバルブは、ホルンの音が鋭くなり過ぎるのを抑え、やわらかい音のつながりを可能にする長所があります。ウィーン式ホルンは国際的に使われているダブルホルンよりもより強い材質で作られています(ホームページより)。息の量も沢山必要になる。シューマン「ライン」では、ライン川に負けない素晴らしい音を聞かせてくれます!音域は、B1からF5までである。

  • ホルンの口は大きく奏者が手を入れて挿入して,口の形(アンブシャ)だけでなく,ピッチを上げたり,弱音効果を生ずる.円錐形の緩やかなフレアを持った長さ12フィートの巻いた管で出来ている.ヴェーバー「魔弾の射手」序曲(前半は、F管ホルンが吹き,後半はC管ホルンが吹く)の冒頭では美しいアンサンブルを聴くことができる.ブラームス「交響曲第三番」三楽章は雄大なホルンのソロを聴くことができる.ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートでお馴染みのJ.シュトラウスの「青き美しきドナウ」の冒頭ではウィンナホルンで奏すと音が一音一音,途切れなくドナウ川の絶え間ない流れを彷彿とさせる.又,ベートーヴェンの「交響曲第三番(英雄)」の第三楽章のホルンの三重奏は勇ましいが難易度は高い(下図参照).

  • 交響曲第40番 モーツァルト 18小節目付近
    W.A.Mozart Symphony No.40 1楽章 18小節からのフルスコア
    (Internationale Stiftung Mozarteum, Online Publications (2006))

     上図(スコア)は,モーツァルト「交響曲第40番 K.550」一楽章のフルスコアである.ホルンの二重奏がフォルテッシモで突き刺すように出てくる(赤い枠線).よく見られるフレンチ・ホルンのF管は,そのホルンで「ド」を吹けばピアノでは「ファ」に当たる.上の楽譜のホルンパートはB管(Corno in B alto)とG管(Corno in Sol/G)を使用するよう指示している.<下図>FTPアナライザでカール・ベーム/ウィーン・フィルの演奏(1976年CompactDisk)(左図スコア部分)を分析すると,ホルンの音の500Hzが他の楽器より抜きん出ていて,さらにそれが持続されていることが分かる.それによって曲中においてホルンの存在感が際立つのである.

    Boem Wien














     

    Blomstedt←ヘルベルト・プロムシュテット/ドレスデン・シュターツカペレの演奏の同じ箇所を取り出したグラフ。
     ベームの演奏に比べるとホルンは最初だけ音を強く出しているがすぐにデクレッシェンドしている。












     


    L.v.Beethoven Symphony No.3-3より ホルンのトリオの部分(その後繰り返しあり).
    第1と第2ホルン(Es管)奏者の難易度は高い(青枠部分が最高音と最低音)

    Wolfgang TombockWolfgang Tomböck jun. (写真:http://www.pizka.de/) 1957年ウィーン生まれ.10歳の時にウィーン・フィルの第一ホルン奏者だった父親からホルンを学び始める.1972年からウィーン国立音楽大学でヴァルバ教授に師事.1978年にウィーン国立歌劇場で演奏活動を始め,その後まずウィーン・フィルの第3ホルン奏者を,そして1980年より第1ホルン奏者を務める.

    Ronald Janezic 1968年、ウィーン生まれ。ウィーン音楽大学卒業後、ウィーン国立歌劇場管弦楽団およびウィーン・フィルの首席ホルン奏者に就任。

    Lars Michael Stransky←Lars Michael Stransky(写真引用:アンサンブル11パンフレット) 1993年よりウィーン・フィルのホルンソロ奏者。1966年生まれ。

    Volker Altmann 1943年生まれ。ウィーン国立音楽大学でG. V. フライベルクに師事。1964年よりウィーン国立歌劇場管弦楽団、1966年よりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバー。

    Thomas Jöbstl 1978年生まれ。

    Günter Högner 1943年生まれ。ソリストでも有名。2006年の日本公演ではベートーヴェンの第7番で怒涛たる演奏を魅せた。(写真ウィーン・フィルのブラス・セクションの左から4番目)

    Wolfgang Vladar ウィーン国立音楽大学で学ぶ、ウィーン・フォルクスオーパーの首席ホルン奏者を務め、1994年よりウィーン国立歌劇場管弦楽団およびウィーン・フィルの団員となる。

    Roland Horvath 1945年ウィーンで生まれる。

    Friedrich Pfeiffer

    Sebastian Mayr.jpgSebastian Mayr*(写真:アンサンブル11パンフレット) 1970年生まれ。1989年にウィーン国立音楽大学に入学、ローラント・ベルガー教授に師事。

    Im Ruhestand:Friedrich Pfeiffer, Roland Horvath, Roland Berger, Franz Söllner, Wolfgang Tomböck

    Trompete(トランペット):Lechnerのロータリー・トランペットを使用している.


    LECHNER KONZERTTROMPETEN (© http://www.thein-brass.de/)

  • トランペットを初めとするリップ・リード楽器は,息により供給される定常空気圧で駆動される.唇はこの定常空気流を絞って,交流空気流に変換する.このような形式の楽器は他に,コルネット,トロンボーン,フレンチ・ホルン,チューバがある.音域は,E3からB-5をカヴァーしている.ウィーン・フィルはロータリートランペットを好んで使用している.ベートーヴェンの交響曲の第9番ではD管トランペットを使用するように命じている.C管と比べると深い味わいがする.縦のトランペットを横に倒したようなものを想像して欲しい.レスピーギ「ローマの松」のカタコンベ付近の松のトランペットは幻想的である.マーラー「交響曲第5番」の冒頭のトランペットは勇ましい.一方マーラー「交響曲第2番」の第4楽章のトランペットの和音は美しく厳粛である(下楽譜参照).

  • ウィーン・フィルで使用されているトランペットは通常より豊かな高調波,すなわち,明るい音が特徴である.その結果,世界中で使用されるピストンバルブを搭載したモデルよりも若干狭い管を持っている.

  • Mahler Symphony No.2 第4楽章より.アルトの「おお 赤い小さな薔薇よ!」の後にトランペット(F管)の幽玄な和音がゆっくりと入る.

    Hans Peter Schuh←Hans Peter Schuh(写真引用:アンサンブル11パンフレット) 1956年オーストリアのスティリアに生まれる.グラーツ音楽大学にてハンス・マイスター教授に,ウィーン音楽大学でヘルムート・ヴォビッシユ教授に師事.1976年にリンツ・ブルックナー交響楽団の首席トランペット奏者に就任し,1978年にウィーン・フィルのメンバーとなり今日に至る.1991年にグラーツ音楽大学の教授に就任して以来,ソロや室内楽で数多くの演奏活動を繰り広げるかたわら“グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ”や“パシフィック・ミュージック・フェスティバル・オーケストラ”等の指導にもあたっている.ウィーン・フィルハーモニック・ウィンド・オーケストラとの共演でフンメルの協奏曲の録音盤がある.1978年よりウィーン・フィルのトランペット奏者.1991年より教授.Lechner in C (Hi-C,H,Aキィ,第3トリガー付ゴールドブラスベル,GP,支柱なし;ベル厚0.45mmを使用).

    Gotthard Eder 1971年生まれ

    Martin Mühlfellner

    Reinhold Ambros

    Stefan Haimel*

    Im Ruhestand:Walter Singer, Josef Pomberger, Hans Gansch, Adolf Holler

    Alt- Tenor- Bass Posaune(アルト/テナー/バス・トロンボーン):Max & Heinrich Thein, Conn ほかを使用している.

  • トロンボーン(ポザウネ)は、長さ9フィートの折り返しになった円筒U字管に、ベル型の口で終端している。伸縮自在の部分によって、音を変える。E2からB4までの約2オクターブ半をカバーする。さらに下の音域を奏でることが出来るバス・トロンボーン(A1からG-4)がある。更に、吹口は大きく肺活量を必要とする楽器である。音が少し高くなってしまった場合はスライドを微妙に調節すればいいので、チューニングは楽である。シューマン「交響曲第三番(ライン)」の4楽章のアルト・トロンボーンは高鳴る響き。ブラームス「交響曲第1番」の4楽章の雄大で荘重な和音。チャイコフスキー「交響曲第六番(悲愴)」の、極寒の地での教会を髣髴とさせる和音もいい。モーツァルトの最後の作品「レクイエム」の「ラッパの響き」は力強いトロンボーンの音が聴ける。バス・トロンボーンはチャイコフスキー「くるみ割り人形」の「花のワルツ」で独り静かに四部音符を吹いている。

  • ウィーン・フィルでは,ヴァルヴ・トロンボーン(valve trombones)を1862年から1883年に使用していた.ブラームスの交響曲第2番の初演の為である.

  • J.Brahms Symphony No.1-4楽章より.テナー・トロンボーン2本(ハ音記号),バス・トロンボーン1本の和音の箇所(赤枠)
    その後,弦楽器群の主旋律が始まる.

    Dietmar Küblböck

    bousfield←Ian Leslie Bousfield 1964年イギリスのヨーク州生まれ。2000年にロンドン交響楽団からウィーン・フィルに入団。Connを愛用。

    Gabriel Madas

    Karl Jeitler.jpg←Karl Jeitler(写真引用:アンサンブル11パンフレット) 1947年オーストリアのグラーフェンバッハ生まれ。ウィーン国立音楽大学教授。1974年ウィーン・フィルに入団。フィルハーモニックオーケストラ・ウィーンを創設した。

    Johann Ströcker

    モーツァルトのオペラ『魔笛』に見るウィーン・フィルのトロンボーン

    魔笛より
    モーツァルト『魔笛』より序曲(曲の終わりの部分)

     指揮者はゲオルグ・ショルティ/ウィーン国立歌劇場管弦楽団で視聴.赤印のAlto(アルト),Tenore(テノール)←両者はハ音記号である.Basse(バス)・トロンボーンの音が録音では良く聞こえて居る.楽譜,最下部のVioloncelloとBassoと同じ旋律を弾き,低音を際立たせている.”ff”の音量といえる程力強い音でTbの存在感を増している.その同じ箇所を弾いている,ヴァイオリン IとIIのtuttiも掻き消してしまう程である!曲にしまりをつけていて良い方向に曲を形作っている.

    Im Ruhestand:Rudolf Josel, Wolfgang Singer, William McElheney


    Tuba(チューバ):ウィナ・チューバ(Johann Gottfried Moritzなど)を使用している.

  • チューバは,大きなベル型の口で終端していて18フィートの巻いた管を備えている.通常3(4)つのピストンが備えられている.F1からF4の音域をカヴァーする.ストラヴィンスキー「春の祭典」第一部の楽章では,チューバ泣かせの高い音域が出てくる.マーラー「交響曲第一番」では,チューバの低い音を長く伸ばすところがある.

  • ウィナ・チューバの音はかなり狭いボア(管の内径)によって明るい音が特徴である.
  • Paul HalwaxPaul Halwax(写真引用:www.download.melton.de) 1974年生まれ。

    Walter Hilgers* 1959年生まれ。

    Im Ruhestand:Josef Hummel, Ronald Pisarkiewicz

    Pauke(ティンパニ), Schlagzeug(パーカッション)

  • パーカッションは打楽器類の総称である.特に,ティンパニについて,ウィーン・フィルの使用のものは他の楽団と比べて音が固い感じがする.ベートーヴェンの交響曲第7番終楽章ではメリハリのあるティンパニを聴くことができる.ブラームス「交響曲第一番」の冒頭から力強い歩み!大太鼓は,ベルリオーズ「幻想交響曲」の死の舞踏では活躍する.スネアドラムはラヴェル「ボレロ」でリズムを刻んでいる.

  • ・ティンパニは,最も重要な色調の違いは山羊皮製の使用から生じる.これらの革(発音ラジアルモード1/1,2/1,3/1)の特殊な振動挙動は、ドラム音の有意に高い調性を生じた.極端な温度や湿度感度を考慮に入れなければならない.
  • Roland AltmanRoland Altmann 2006年の日本公演でベートーヴェンの交響曲7番の力強く意思のある音が素晴らしかった。

    Bruno Hartl

    Anton Mittermayr←Anton Mittermayr(写真引用:アンサンブル11パンフレット) 1970年生まれ。1999年よりウィーン・フィルのティンパニ奏者

    Kurt Prihoda

    Klaus Zauner

    Oliver Madas*

    Benjamin Schmidinger*

    Im Ruhestand:Horst Berger, Wolfgang Schuster, Franz Zamazal, Rudolf Schmidinger

    Harfe(ハープ)

    Harfe←新王宮古楽器博物館(ウィーン)に展示されているハープ

  • ルイ16世スタイルのペダルハープは1760年から1800年ごろフランス パリで作られた.7ペダルを備えヴォリュート(スクロール)を備える.

  • ハープはペダル・ハープとも呼ばれ音域は6オークターブ半で46から47本の弦が張られている。『白鳥の湖』冒頭の終楽章で美しいアルペジオを聞くことが出来る。
  • Xavier de Maistre 1973年生まれ。9歳でハープを始める。1998年のUSAハープコンテストで一位。

    Charlotte Balzereit 1979年生まれ。1996年のラインル財団ハープ・コンクールで優勝。女性ハーピスト。

    Im Ruhestand:Harald Kautzky, Anna Lelkes

    6、ウィーン・フィルハーモニ管弦楽団、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏会一覧(抜粋)

    ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン2018
    日時:2018.11.15, 19, 20, 23, 24
    場所:サントリー・ホール,ミューザ川崎
    曲目:モーツァルト(ピアノ協奏曲第24番ハ短調),ブラームス(交響曲第2番ニ長調)ほか

    Neujahrskonzert
    1.1.2018 11.15 Uhr
    Wien, Österreich
    指揮者:Riccardo Muti
    曲目:ヨハン・シュトラウス作曲 : 喜歌劇「ジプシー男爵」から「入場行進曲」等を演奏.
    Memo:

    Neujahrskonzert
    1.1.2017 11.15 Uhr
    Wien, Österreich
    指揮者:Gustavo Dudamel
    曲目:Franz Lehár Nechledil Marsch aus der Operette Wiener Frauen ほかを演奏

    ウィーンシリーズ ウィーン国立歌劇場 2016 日本公演
    R.シュトラウス:『ナクソス島のアリアドネ』,指揮:Marek Janowski
    2016.10.25, 28, 30. (場所:東京文化会館)
    R.ワーグナー:『ワルキューレ』,指揮:Ádám Fischer
    2016.11.6, 9, 12. (場所:東京文化会館)
    W.A.モーツァルト:『フィガロの結婚』,指揮:Riccardo Muti
    2016,11.10, 13, 15. (場所:神奈川県民ホール東京文化会館)
    主催:公益財団法人日本舞台芸術振興会
    Memo:ワーグナーの壮大な物語と舞台,そしてウィーン・フィルのオペラ楽曲の演奏に期待が掛かる.

    ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン2016
    日時:2016.10.7, 10, 12
    場所:サントリーホール 大ホール(東京)
    指揮:ズービン・メータ ほか
    曲目:ブラームス ピアノ協奏曲第1番ニ短調,ラヴェル ラ・ヴァルス 他.ピアノ:Rudolf Buchbinder(7日)
    モーツァルト 交響曲第36番ハ長調「リンツ」,ブルックナー 交響曲第7番ホ長調 (10日)
    モーツァルト 交響曲第36番ハ長調「リンツ」,ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調「合唱付」(12日)

    Asahi
    ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサート(小澤征爾氏指揮)を伝える新聞(朝日新聞 2016/10/02)

    Memo:ウィーン・フィルによる日本公演については,1956年4月9日のヒンデミット指揮/日比谷公会堂の公演から今年で満60周年を迎える.また,NBS(日本舞台芸術振興会)創立35周年記念,サントリーホール開館記念日30周年に伴う演奏会も予定(10/1,2)されている.その他の地域においても公演が予定されている(2016年10月9日川崎公演,久留米など).Rudolf Buchbinder氏のピアノは2013年の講演以来.2016年10月1日には小澤征爾氏が登壇(上図新聞記事参照).
    Wiener Philharmoniker Week in Japan 2016 Daiwa Securities Group Presentsを鑑賞
    日時:2016.10.10
    場所:Tokyo, Suntory Hall
    指揮者:Zubin Mehta
     演奏会を迎えるに当たって:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の第33回の来日公演.サントリーホール(東京)の開館30周年を迎える記念すべき日である.今回は,モーツァルトの交響曲第36番とブルックナーの交響曲第7番である.オーストリアのオーバーエスタライヒ州にあるリンツとブルックナー・オルガンの設置されているザンクト・フローリアンへは実際に旅行で行ったこともあり楽しみなラインアップが並ぶ.

    St. Florian
    NibelungenbrückeとDonau/Mozartが実際滞在した家/リンツに滞在した頃のモーツァルト
    (左2点:Linzにて,右1点:Wikipedia Deutschland)

    36. Sinfonie C-Dur Köchelverzeichnis (W.A.Mozart) „Linzer Sinfonie“ 1783.11
    I. Adagio - Allegro spritoso
     ウィーン・フィルの演奏では,堂々とした旋律と軽快なリズムが交互に現れる.リンツ市に滞在したモーツァルトのワクワク感が伝わって来る.ザルツブルク市から馬車で移動したのだろうか.
    II. Andante
     ゆったりとしたリズムで哀しい上昇音が時折見える.悠久なDonauを彷彿とさせる楽章である.ウィーン・フィルはゆっくりと謳って一つ一つの場面を大切にしていた.
    III. Menuetto
     端正な旋律から木管のオーボエ,バスーンそして弦楽器群との引継ぎの旋律ではゆったりさが感じられた.
    IV. Prestro
     軽快な旋律で賑やかなリンツ市を髣髴とさせる.第3楽章から間髪入れずに本楽章に入った.細かな旋律と一気に大勢で奏する旋律までコントラストが際立っていた.また,1楽章から4楽章の軽快な旋律まで1本の線でつながった音楽を聴くことができ,リンツの街の賑やかな喧騒と明るく陽気な音楽を楽しむ事ができた.

    St. Florian
    ザンクト・フローリアン教会(1071年-)のブルックナーオルガン (リンツ郊外にて)

    7. Sinfonie in E-Dur (Anton Bruckner) 1882
     モーツァルトのリンツ交響曲の次は,ブルックナーの交響曲第7番である.ブルックナーはリンツ市から約10キロ南のAnsfeldenで生まれた.この交響曲は,ウィーンの初演ではウィーン・フィル(ハンスリヒター指揮)で行われ馴染みの深い曲の一つである.当日の曲目はブルックナーと縁が深いリンツ交響曲で,曲が作曲された経緯や作曲家の意図するものを感じる事が出来た.
    I. Allegro moderato
     弦楽器のトレモロがppから始まり,鬱蒼として霧に包まれた景色を髣髴とさせるメロディからホルンとチェロの湧き上がる上昇音から始まった.ブルックナーはこの曲を愉しむ事と敬虔さをも感じて欲しいとのこと(プログラム解説より).弦楽器(特に低音)の旋律動機が少しずつ変化していくが,変わらない一つとしての曲が興味深かった.また,主旋律を支えるベースの深い厚い音が脈々と楽章を通して流れていた.
    II. Adagio: Sehr feierlich und sehr langsam
     ブルックナーオルガンから奏でられそうな重厚な和音と滑らかな旋律運びが印象的であった.フレンチ・ホルンとトロンボーンを掛け合わせた楽器Wagner tuba(ワーグナー・チューバ)の訴えかける様な音(奏者は2名だが箇所によってはソロで演奏)が全体を引き締めていた.
    III. Scherzo: Sehr schnell - Trio: Etwas langsamer
    St. Florian
    7. Sinfonie in E-Dur (Anton Bruckner) III
     ファースト・トランペットの活動的なソロと指示記号hervortretend(強調して,際立たせて),弦楽器群のバランスが素晴らしかった.金管においては,全体の地響きのするような非常に力強いtuttiについても特筆に価する.Trpに於いては優しい音と云うより,輪郭の鋭い音が印象的であった.
    IV. Finale. Bewegt, doh mocht schnell
     弦楽器,木管などの64分音符,付点八分休符で構成される,軽快な旋律から最後の力強く曲を締めくくった.

     コンサートマスター:Rainer Honeck氏, フォアシュピーラー:José Maria Blumenschein氏*1
     ヴェテランの奏者(Horn: Wolfgang Tombock,Trompete: Hans Peter Schuh (ウィーン・フィル入団1978-), Zerite Violine: Gerald Scubert (1982-),Viola: Peter Pecha (1973-), Oboe:Martin Gabriel (1983-), Flöte: Dieter Flury (1977-)から若い世代へ(例:Trompete Jürgen Pöchhacker氏など)KontrabassやVioloncello,Schlagzeugの団員さんが休み(譜面が休符(旋律が無し))の時にアイコンタクトでお互いの意思疎通を間近に感じる事が出来た.日頃の信頼感と確かな技術が心のゆとりを持つ事ができ,安心して曲を聴くことが出来た.指揮者メータ氏の信頼関係も厚く,弦楽器群へ手振りでのジェスチャーに素早く音量の増加などオケも即座に反応していた.
     ウィーン・フィルの日本公演が60周年を迎えるに当り,60年前においても曲のプログラムはモーツァルトやベートーヴェンと現在とレパートリーは大幅には変わっていないが,成熟した技量と愉しんでいる演奏が印象的である.これにより,聴者も安心して聴くことが出来るのであろう.関係者各位のご尽力により,今後も,オーストリアの代表的なオーケストラとして日本公演を続けて欲しいと思います.
     NHK(日本放送協会)の一番組「クラシック音楽館」にて2016.10.23(日)に放送(2016年10月1日,2日にサントリーホールにて公演分)
    *1 ウィーン国立歌劇場コンサートマスター(2016年10月11日)

    ウィーン・リング・アンサンブル ニューイヤーコンサート 2016
    2016.01.03, 5, 7, 8
    於:神奈川(横須賀芸術劇場),東京(サントリーホール),大阪(いずみホール)
    曲目:J.シュトラウスII:  オペレッタ《こうもり》序曲
    J.シュトラウスI:  ポルカ「アリス」 ほか

    Neujahrskonzert
    1.1.2016, 11:15
    指揮者:Mariss Jansons
    曲目:Robert Stolz, Johann Straus 他
    Memo:1992年からウィーン・フィルと芸術的パートナーシップを結んでいる待望のヤンソンスが指揮を振る.コンサートマスターは,Volkhard Steude氏,次席:Albena Danailova氏.

    クリストフ・エッシェンバッハ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
    ダイワハウス60周年スペシャル
    第53回大阪国際フェスティバル2015
    於:フェスティバルホール(大阪)
    2015.10.2 19:00開演 (サントリーホール(東京)公演は10/4,6,8;愛知県芸術劇場(愛知)公演は10/3)
    <指揮・ピアノ(演目による)>
    クリストフ・エッシェンバッハ
    <曲目(一例)>
    モーツァルト:ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K. 488
    プロコフィエフ:交響曲 第1番 ニ長調 op. 25 「古典交響曲」
    モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K. 551「ジュピター」
    Memo:北ドイツ放送交響楽団音楽監督としても活躍したエッシェンバッハがウィーン・フィルを弾き振りをする.以前は,ニコラス・アルノンクール氏のモーツァルト交響曲の演奏も古楽曲の響きが印象深かった,弾き振り(一部演目)は,2013年11月のBuchbinder氏以来である.
     10/3の愛知芸術劇場(愛知)へ.エッシェンバッハ指揮のモーツァルトの『交響曲第39番』と『交響曲第40番』,『交響曲第41番』である.特に39番は,2006年のアーノンクール指揮以来で楽しみな演目の一つである.39番においては,羽毛のようなヴァイオリンの旋律が印象深く,全体的に“古典音楽”の中に多々新しい表現を垣間見る事ができた.特に,弦楽器群のまとまった旋律が終わった後の木管郡の主張し過ぎない静かな音運びが印象的であった.ニコラス・アルノンクール氏の古楽的な透明感のある響きと比較しても比類なき表現力であった.音楽の流れとテンポ(少し全体的に早めの印象)と音の終止,響きのバランスが取れており充実していた.ヴァイオリンI(主旋律)とヴァイオリンII,チェロなどの中低音のバランスについては,観客席で聴く場所にもよるが,ダイナミークが印象的.
     39番と40番では主席バスーン(Fg)は女性,次席にウェルバ氏(?)41番は主席奏者が交代していたが,新しい団員(契約中含む)も増えた印象.第1は,コンサートマスターはキュッヒル氏,隣にはシュトイデ氏で,また第2プルトとポジションが違って弾いている事(40番)があり印象的であった.音の厚みや響きを追求しているのであろう.オーボエは,Clemens Horak,トランペットは,Hans Peter Schuh,Fgは,Harald Muller(41番のみ)とヴェテランも顔を揃え,お互いを知り尽くしている事もあり,比類のないアンサンブルであった.木管は静かで流れるような演奏,弦は40番の第2楽章や緩急の箇所において,Agogikが見られ音楽に躍動を与えていた.実際にモーツァルトの40番を第二ヴァイオリンで弾いているが,第4楽章の第一ヴァイオリンの入りの後に第二が音を刻む所があるが,テンポがかなり早めということがあり,音符が早い所はどうしても第一の主旋律が目立ち,第二では一音であるが犠牲になってしまう箇所もあった.しかし,全体的には特に恣意的なものでなく,自然に流れる大河のように迫ってくるものであり,興味深かった.尚,コントラバスは4名でチェロの後に第一ヴァイオリンが配置されていたが響きについてもチェロとコントラバスがぶつからない為でもあるのだろう.程よく低音と中低音が調和していた.ホルンは2名.
     9年前に比べ鬼籍に入られた楽団員もおられ,昨年に比べて新しい方と旧い方の比率は同じくらいであったが,39番と40番のFgでは謳い方や早いパッセージを難なく演奏しており,今後が楽しみである.エッシェンバッハ氏の指揮においても,譜面台を用いず,団員との距離も近く,お互い会話するようなこじんまりとした指揮であった.1973年のカール・ベーム,2009年のアルノンクール,2015年のエッシェンバッハがそれぞれモーツァルト40番を遺しているが,深く作曲者の感情に入り込むベームと,鋭く音楽に切り込むアルノンクール,そして曲を大河の流れのように緩急極まった解釈のエッシェンバッハ,との対比を感じる事ができた.

    ウィーン・リング・アンサンブル 日本ツアー 2015
    2015.01.04-2015.01.11
    於:愛知,東京,大阪,神奈川,埼玉
    曲目:Indigo und die viezig Rauber Overtures
    Fruhlingsstimmen ほか

    ニューイヤーコンサート
    指揮者 ズービン メータ
    オーケストラ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
    2015年1月1日 11:15
    楽友協会, 大ホール(ウィーン, オーストリア)
    Memo:毎年恒例のニューイヤーコンサート.イスラエル・フィルとの名演を多く残している指揮者メータ氏が今年のニューイヤーコンサートの5回目の指揮台に登った.オーストリアに縁のある作曲家の小曲を演奏した.特にワルツ「東洋の物語」など異国の曲を丁寧に演奏していた.コンサートマスターはキュッヒル氏.
    <曲目>
    "Ein Morgen, ein Mittag, ein Abend in Wien" (Franz von Suppè)
    "Marchen aus dem Orient" (Johann Strauß II)ほかを演奏.

    ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
    2014年9月22日:ミューザ川崎シンフォニーホール (神奈川県)
    曲目
    R・シュトラウス(交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」)/ドヴォルザーク(交響曲第8番ト長調)
    その他,福島県,大阪府,福岡県で演奏.
    ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2014
    2014年9月24日,25日,27日:サントリーホール 大ホール(東京都)
    曲目(24日)
    モーツァルト(協奏交響曲変ホ長調)/ドヴォルザーク(交響曲第8番ト長調)/他
    [独奏・独唱]ライナー・キュッヒル(ヴァイオリン) / ハインリヒ・コル(ヴィオラ)
    曲目(25日)
    R・シュトラウス(交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」)/シベリウス(交響曲第2番ニ長調)
    曲目(27日)
    ムソルグスキー(禿山の一夜−リムスキー=コルサコフ版)/リムスキー=コルサコフ(交響組曲「シェエラザード」)/ほか

    寸評:今回のウィーン・フィルのウィーク・イン・ジャパンは関東のみ.ベネズエラ出身の指揮者による新鋭指揮者グスターボ・ドゥダメル氏が今回の4回の演奏会でタクトを振る.管弦楽曲中心のプログラムとなっている.ライナー・キュッヒル(コンサートマスター)とハインリッヒ・コルの円熟したモーツァルトの協奏交響曲も期待したい.以前,テレビにて放映された,クレーメル氏(Vn)/VPOの協奏交響曲も素晴らしかった.
     今回実際に聴いた曲目は,R・シュトラウス(交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」)とドヴォルザーク(交響曲第8番ト長調)/川崎にて.18:00より開場.開演前にドゥダメル氏指揮のCDやウィーン・フィルのグッズを途中見かけた.これは毎年恒例である.さて,今回はウィーン・フィルを日本で初めて聴いて,途中公演の無い年もあったが8年目となる.19時過ぎ開演.R・シュトラウスはパイプオルガンを含めてスケールの大きい演奏であった.ツァラトゥストラが色々な場面で語っていく様々な場面,映画でも使用された「日の出」や「学問について」など.移り変わりがハッとするほど素早くそして丁寧であった.ヴァイオリンIのコンサート・マスターはR・キュッヒル氏,フォアシュピーラーがシュトイデ氏.コントラバスではWolfgang Gürtler氏.木管楽器特にフルートではDieter Flury氏はお馴染みで主席奏者に若い奏者がいた.バスーンはMichael Werba氏とまだまだ現役の奏者を見掛けた.金管楽器においても,TrbやTpの突き抜けるハイトーンのアクセントは完璧であった.休憩を挟み後半の曲であるドヴォルザークの交響曲第8番は,筆者も第一ヴァイオリンで実際に演奏した事のある曲ということもあり,またカラヤン/ウィーン・フィルの演奏が特に素晴らしかった事もあり楽しみにしていた曲である.
    ・第1楽章:チェロパートの哀愁帯びる旋律が細やかにそして繊細で素晴らしかった.日の明けを彷彿とさせるフルートの長音は控えめでまた違う曲のイメージであった.ヴァイオリンI,IIの溌剌とした旋律ではキビキビさがよく感じ取れたが,余韻を残すよりも場面場面の切り替えの素早さが印象的である.弦楽器群においては,木管楽器が意外なほど静かでセーブしている演奏であり,スケールを若干押さえていたように思う.カラヤンとの演奏での弦楽器群の長音の上に鳥の羽根が被さる様なフルート(当時の演奏者はフルーリー氏)の細波のようで弾む音の様に細やかな配慮は無かったが,(今回の演奏では)芯を感じられる,存在感のある音が印象的であった.
    ・第2楽章:静かな楽章で弦楽器の重厚な和音は健在.キュッヒル氏のソロもよく歌って弾いていた.
    ・第3楽章:郷愁帯びた美しい弦楽器パートの旋律が印象的であった.コンサートマスターのキュッヒル氏の攻めの演奏でキビキビとした楽章であった.
    ・第4楽章:Tpの元気な旋律の後のチェロパートの旋律も良い.フルートの素早く難しいソロは余り目立たないが,確実に捉え演奏していた.
    アンコールは2曲.ヨハン・シュトラウス2世『アンネン・ポルカ』,ヨーゼフ・シュトラウス『憂いもなく』で,恒例の曲で団員も楽しんで演奏していた.ウキウキするようなウィーン・フィルの十八番は聴者も楽しい気持ちになりました.
     ウィーン・フィルにも世代交代が起っている様で,フルートやチェロ,クラリネットにおいて新しい奏者の方々を木管楽器で特にお見掛けしました.そのお陰で,伸び伸びとフレッシュな演奏であった印象です.ウィーン・フィルの幾代も続いた(特に)弦楽器の優しく・そして弱音においてのいぶし銀の音とのハーモニーをこれから大いに期待しています.


    キュッヒル・クァルテット
    ベートーヴェン・サイクル(ベートーヴェン 弦楽四重奏曲全曲)
    2014年6月13日より6日間
    於:サントリーホール ブルーローズ(小ホール)

    Wiener Ring-Ensemble New Year Concert
    2014年1月3日, 6日(東京),4日(愛知), 8日(大阪)
    曲の一例:J.シュトラウスII「ジプシー男爵」序曲(6日)

    2014年 ニューイヤーコンサート
    指揮 ダニエル・バレンボイム
    オーケストラ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
    2014年1月1日 11:15(現地時間)
    ムジークフェライン, グローサーザール (ウィーン, オーストリア)
    チケットは売切れ
    一言:ピアニストでつとに有名なダニエル・バレンボイムの指揮にて.

    pia左図:ウィーン・フィルの来日を伝える冊子(ぴあクラシック2013夏(ぴあ株式会社)より)

    ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2013
    ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
    <ベートーヴェン 交響曲チクルス>
    指揮:Christian Thielemann
    ・2013年11月8日(金)19:00
    曲目:交響曲第1番 ハ長調/交響曲第2番 ニ長調/交響曲第3番 変ホ長調「英雄」
    場所:サントリーホール大ホール(東京)
    <主催>サントリーホール
    <特別協賛>大和ハウス工業株式会社
    <後援>オーストリア大使館
    ・2013年11月10日(日)16:00
    曲目:交響曲第4番 変ロ長調/交響曲第5番 ハ短調「運命」
    他11/15,11/17

    <ベートーヴェン ピアノ協奏曲チクルス>
    ・2013年11月12日(火)19:00 他11/13
    曲目:ピアノ協奏曲第2番 ロ長調/ピアノ協奏曲第4番 ト長調/ピアノ協奏曲第3番 ハ短調

    他都市公演:2013年11月6日(第51回大阪国際フェスティバル2013 ;フェスティバルホール(大阪)), 7日(Super Classic Concerts 2013-2014;愛知県芸術劇場コンサートホール), 16日(ミューザ川崎シンフォニーホール(神奈川))
    曲目:ベートーヴェン(交響曲第8番 ヘ長調)/ベートーヴェン(交響曲第9番 ニ短調「合唱付」) 他

     寸評:ウィーン国立歌劇場再建50周年記念ガラ・コンサートでワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」序曲を振った新鋭,ティレーマンに大きな期待が掛かる.ベートーヴェンのピアノ協奏曲の公演ではピアニストのRudolf Buchbinderが登場.私が実際に聴いたのは,ピアノ協奏曲第2番〜4番である.公演順は,2番→4番→3番の順である.2番は小さな規模の音楽でベートーヴェンの世界観をうまく演出していた.ウィーン・フィルの最も得意とする作曲家ということもあり力の入っていない気品の高い音楽を聴かせた.4番は澄み渡るようで,ヴァイオリンIが高ポジションで弾く厚い音々(と響きを残さない)が印象の2楽章と躍動感あふれる3楽章の対比が素晴らしかった.3番においてはBuchbinderの流れるようで音楽の泉が止まらないで流れ続ける怒涛な演奏であるにも関わらず,音符の一つ一つが存在感を持って迫ってくる素晴らしい演奏であった(使用ピアノは:Steinway & Sons),カデンツァも定番の解釈で正統派の演奏であった.Buchbinderは時折手が空いているときには,ウィーン・フィルをノッっていくように手を指揮していた.ピアニストのポリーニ,グルダのそれぞれの同曲の名演と比類するものです.コンサートマスターは,キュッヒル氏とシュトイデ氏,ヴィオラにハインリッヒ・コル氏,クラリネットにヒンドラー氏,フルートのフルーリー氏(ヴォルフガング・シュルツ氏もお馴染みであったが,2013年3月に鬼籍に入られた.)とお馴染みのメンバーである.アンコール曲は,Rudolf Buchbinderのソロ演奏でAlfred Grünfeld(Soiree de Vienne: Konzertparaphrase uber Johann Straußche Walzermotive (aus "Fledermaus" u.a.). Op. 56.).遊び心溢れるウィーンっ子らしい演奏であった.演奏後は団員さん,観客より盛大な拍手を頂いていた.


    右写真:Heiligenstädter Park (Wien, Austria)付近の住宅街から南を望む(2011年9月撮影)



     2006年よりウィーン・フィルの日本公演を聴いて,一昨年,実際にオーストリアのウィーン旅行でハイリゲンシュタットに寄りベートーヴェンの遺書の家まで見に行った事を思い出しました.当時は田園地帯でシュテファン大聖堂から見えたそうですが,現在は家々が立ち並び郊外の住宅地の様相を呈しておりました(カール・ベーム博士の住宅もあります).街の様相は変わりますが当時のベートーヴェンの家や公園を歩いていると教会の鐘が鳴り,作曲家特にBeethovenは何を想い作曲したのか?を今回の演奏会で一過性の美しい自然の流れを音楽にした作曲家の藝術(緩→急→緩の移り変わる自然,楽章毎のテンポ,長音(Bass,弦)の上にピアノが乗る,フォルテとピアノの強弱)を見ることが出来ました.

     日本公演は,ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のみの公演が主でしたが,協奏曲で素晴らしい共演者との公演もこれから楽しみであります.



    ウィーン・リング・アンサンブル 日本ツアー2013
    東京 ほか
    2013/01/07 19:00 サントリーホール(東京), 2013/01/11
    Johann Strauss II Die Fledermausほか...

    2013年ウィーン・フィル・ニューイヤーコンサート
    指揮:フランツ・ウェルザー=メスト
    ムジークフェラインザール
    第1部
    1.スーブレット・ポルカ 作品109(ヨーゼフ・シュトラウス)
    2.キス・ワルツ 作品400(ヨハン・シュトラウス2世)
    3.劇場カドリーユ 作品213(ヨーゼフ・シュトラウス)
    ほか.

    ウィーン国立歌劇場 2012 日本公演

    asahi
    ウィーン国立歌劇場2012日本公演を伝える記事(朝日新聞 2012/05/30付)

    2012.10/14, 16, 19 東京文化会館 R.Strauss 『サロメ』 指揮:フランツ・ウェルザー=メスト(右手の怪我のため,Peter Schneider(ウィーン生まれ)に代わる.


    オペラ「サロメ」がいよいよ始まる(東京・上野)

     所感:東京文化会館のウィーン国立歌劇場管弦楽団,合唱団の「サロメ」を鑑賞.4年ぶりの日本公演で期待が高まる.ヨカナーンはヘロデ王に捕らえられて古い井戸の中に閉じ込められている場面,ヘロデ王は后のヘロディアスの連れ子サロメに邪な感情を抱いている場面,そして"神殿の上に止まる鳩の足のように紅い唇"といった上手い形容に合った演奏であったと思う.サロメのダンスの部分の官能的な音楽や,チェロのソロフラジョレット,ヴァイオリン群の響くような高音,ホルンの力強さと正確な音程に於いては完璧であった.ウィーン本場のオペラ座では難なく演奏しているが場所が変わってもその舞台に合った音楽を奏でることが出来る稀有のオーケストラである.
    2012.10/20, 23, 28 神奈川県民ホール W.A.Mozart『フィガロの結婚』 指揮:ペーター・シュナイダー
    2012.10/27, 31, 11/4 東京文化会館  G.Donizetti『アンナ・ボレーナ』 指揮:エヴェリーノ・ピド

    主催
    公益財団法人日本舞台芸術振興会/日本経済新聞社

    共催
    神奈川県民ホール(横浜公演)

    後援
    オーストリア大使館
     一言:国立歌劇場管弦楽団の4年ぶりの日本公演となる.今年は墺旅行に行けない可能性が有るため,鑑賞予定.来年は是非,本場で又オペラを鑑賞したい.

    2012/01/04-07:
    ウィーン・リング・アンサンブル
    愛知県芸術劇場 ほか

    2012/01/01:
    Neujahrskonzert
    Datum: 2012-01-01, 11:15
    Ort: Musikverein, Großer Saal (Wien, Österreich)
    Dirigent: Mariss Jansons

    Programm:
    1.J.シュトラウス2世/ヨーゼフ・シュトラウス: 祖国行進曲
    2.J.シュトラウス2世: ワルツ「市庁舎舞踏会でのダンス」
    3.J.シュトラウス2世: ポルカ「あれか、これか」. ほか
    チケット:売切.
     所感:シュトラウスの新曲がメイン.新鮮なニューイヤーコンサートと成った.

    ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2011
    (Wiener Philharmoniker Week in Japan 2011)
     今年で29回目.10/12-19にかけて日本各地で演奏会を開催.
    2011年10月19日(水)19:00
    会場:サントリーホール(東京)
    プログラム:
    ブラームス:悲劇的序曲 ニ短調 op. 81
    シューベルト:交響曲第7番 ロ短調 D759「未完成」
    マーラー:『少年の魔法の角笛』から(バリトン:マティアス・ゲルネ) 他

    ウィーン・フィルニューイヤーコンサート
    2011/01/01
    指揮:Franz Welser-Möst
    演奏:Wiener Philharmoniker
    プログラム
    −1部−
    騎兵行進曲 作品428(ヨハン・シュトラウス)
    ワルツ「ドナウ川の乙女」作品427(ヨハン・シュトラウス)
    アマゾン・ポルカ 作品9(ヨハン・シュトラウス)
    デビュー・カドリーユ 作品2(ヨハン・シュトラウス)
    ワルツ「シェーンブルンの人々」作品200(ヨーゼフ・ランナー)
    ポルカ「勇敢に進め!」作品432(ヨハン・シュトラウス)
    −2部−
    喜歌劇「騎士パスマン」からチャールダーシュ(ヨハン・シュトラウス)
    ワルツ「別れの叫び」作品179(ヨハン・シュトラウス)
    リストの主題による「狂乱のギャロップ」作品114(ヨハン・シュトラウス父)
    メフィスト・ワルツ 第1番(フランツ・リスト)
    ポルカ・マズルカ「遠方から」作品270(ヨーゼフ・シュトラウス)
    スペイン行進曲 作品433(ヨハン・シュトラウス)
    バレエ音楽「イベリアの真珠」から ロマの踊り(ヨーゼフ・ヘルメスベルガー)
    カチューチャ・ギャロップ 作品97(ヨハン・シュトラウス父)
    ワルツ「わが人生は愛と喜び」作品263(ヨーゼフ・シュトラウス)

    ウィーン弦楽四重奏団
    於:シンフォニーホール
    日程:2010年11月20日
    【弦楽合奏】ウィーン弦楽四重奏団
    1st Vn:Werner Hink
    2nd Vn:Hubert Kroisamer
    Vla:Hans P. Ochsenhofer
    Cello:Friedrich Dolezal

    ハイドン:弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 「皇帝」 op.76-3
    ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 「アメリカ」 op.96
    シューベルト:弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 「死と乙女」 D.810
     4人共30年以上ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で演奏をしている(ヒンク氏は2008年までコンサート・マスター)ヴェテランの室内楽ということもあり非常に楽しみな演奏会の一つ.場所は大阪駅から徒歩20分のシンフォニーホール.周りは木々が多く静かな環境にあるホールである.さて演奏会は,ハイドンの「皇帝」から.4人の奏者ともリラックスして味わい深い演奏である.ヴェルナー・ヒンク氏は一番ご高齢でお年67歳である.しかしヴァイオリンIのパートを力強くそして他の奏者を引っ張って行く気概が満ち溢れていた.二曲目の「アメリカ」もウィーン生粋の奏法で違和感無い演奏に驚愕.長い経験から来る舞台経験と奏法のスキルに感嘆するばかりである.最後のシューベルトはウィーン生まれの作曲家でヒンク氏も特にお気に入りの作曲家とのこと.冒頭のオクターブ和音(VnI)から序々に音量が落ちテンポが下がりその場がシューベルトの音楽一色に支配されているようであった.2楽章も主旋律のヴァイオリンの音の抜けが今まで聞いたことが無いほど不思議と響きが保たれていた.アインザッツとハーモニーも全奏者の信頼と技術によって高次元で融合されていた.
    ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン2010
    於:サントリーホール
    日程:11月1日(月) 19:00開演 指揮:アンドリス・ネルソンス 曲目:モーツァルト:交響曲第33番 変ロ長調 K319,アンリ・トマジ:トロンボーン協奏曲,(トロンボーン:ディートマル・キューブルベック),ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 B178「新世界より」
    日程:11月9日(火) 19:00開演
    指揮:フランツ・ウェルザー=メスト
    曲目:ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』から「前奏曲と愛の死」
    ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調
    日程:11月10日(水) 19:00開演
    指揮:ジョルジュ・プレートル
    曲目:シューベルト:交響曲第2番 変ロ長調 D125,ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 op. 55 「英雄」
     出演を予定していました指揮者:エサ=ペッカ・サロネン氏が,やむを得ない事情により来日不可能となりました.これにより公演内容が以下のとおり変更となりますので,ご了承くださいますようお願い申し上げます.
     ウィーン国立歌劇場の総監督を勤めておられるプレートル氏のシューベルトとベートーヴェンである.シューベルトは程よいテンポで柔らかな旋律が印象的であった.適度な弦楽器間のズレも良い雰囲気をかもし出している.指揮を見ていると往年のカール・ベームのような音楽の進行であり,ほど良いセーブ感が保たれ理想的な交響曲を奏でていた.VnIのコンサートマスターキュッヘル氏を中心にフルートのフルーリ氏,コントラバスのガルトラー氏,チェロのバトロメイ氏とドレシャル氏が出られていた.VnIIでは女性が3人ほど後ろで弾かれていた.
     次のプログラムは,ベートーヴェンの「交響曲第3番(英雄)」である.1小節目と2小節目の4分音符からはつらつとしたベートーヴェンである.しかしメロディになると十分に謳う感じで弦は奏で理想的である.Tuttiの部分でわずかな遅れが発生し(木管のtuttiから弦楽器のPizz.部分の”間”と遅さ),意図的か自然に起こったのかは分からないがいぶし銀の(英雄)である.カラヤンの(英雄)は,ウィーン・フィルをエンジンを掛けドライヴする方がカラヤンが担当,しかしプレートル氏はあくまでも司令塔で時折,大きいアクションを出して方向を形作っていく.オーケストラも理想的にそれに応えている感がある.チェロのtuttiも音量も良く出ていて素晴らしかった.3楽章の難易度の高いホルンはさらりと吹きかわして技術力の高さを改めて再認識した.
     アンコールは,ブラームスの「スラヴ舞曲第一番」とJ.S.シュトラウスの「トラッチ・トラッチポルカ」プレートル氏は遊び心を取り入れてリラックスした指揮を振られていた.この遊び心もご高齢になられたプレートル氏がいまだに持ち合わせられて居る事に感嘆した次第である.

    ■2010年1月31日:名古屋フィルハーモニー管弦楽団 しらかわシリーズVol.14 アマデウス・シンフォニーII
    指揮,ヴァイオリン独奏:Rainer Honeck (ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

    曲目:モーツァルト:交響曲第36番ハ長調 K.425『リンツ』
    モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調 K.207
    モーツァルト:交響曲第38番ニ長調 K.504『プラハ』
     初めて名古屋フィルを聴いた。ホーネック氏の指揮ではつらつとしたモーツァルトの交響曲を堪能出来た。ウィーン・フィルのコンサートマスターでキュッヒル氏(ベト7,ウィーンリング)とシュトイデ氏(英雄の生涯),ヒンク氏(『大公』)そしてホーネック氏を聴いて来たがそれぞれ特徴のある音で音楽作りも又違っていて興味深い。例えばキュッヒル氏は先を引っ張っていくタイプで、所持楽器のStradを高く清清しく鳴らし常に新しい音作りに挑戦していくタイプである。シュトイデ氏はヴァイオリンソロでは堅実な音でスピードが売りである。そしてヒンク氏はStradの厚い音と低音の太い音とひばりの様な美しい高音の通った音全てが融合しこれ以上何も望む事は無く、氏の独自の境地を築いている奏者である。そして、今回のホーネック氏は7歳でウィーン国立音楽大学へ入学した実力派で、ヴァイオリンの音もStradが本来持つ格調高く一音一音輪郭が有り且存在感のある音で、低音の音の存在感が特筆すべきである。最大限にストラディヴァリウスの楽器の良さを最も良く引き出して居て音楽(モーツァルト)が持つ演奏のエレガントを損ねないで十分に謳っている。上手(じょうず)と云うより巧み(たくみ)な技術で左に出るものは居ない稀有な奏者と云える。特に曲の中盤からまるで楽器に与えられた最も美しい一音を完璧に難なく引き出していったのである。名古屋フィルの演奏も裏方と元気な主旋律のコントラストがホーネック氏のヴァイオリンを良く引き出していた。

    ウィーン・リング・アンサンブル 2010年 日本ツアー日程
    2010年1月3日-10日
    ■1/3(日) 15:00 横須賀/よこすか芸術劇場 【問】よこすか芸術劇場 046−823−9999 ほか
    <寸評>ニューイヤーコンサートでお馴染みのシュトラウスの曲を小さなアンサンブルで聴かせる世界で最も有名なアンサンブル。「ジプシー男爵」ではViolin Iのキュッヒル氏が先頭にはつらつとした音楽を聴かせた。前の席で聞いていたが他との楽器とのハーモニーが一段と聴き取りやすくなった。シュルツ氏のフルートとオッテンザーマー氏のクラリネットのバランスとハーモニーが美しい。ポッシュ氏のコントラバスの低音が会場を包み込む。曲が終わった後の響きが緻密に計算されていて極上のウィーン音楽を味わうことが出来た。

    2010 ニューイヤー・コンサート
    2010年1月1日
    場所: Musikverein, Large Hall (Vienna, Austria)
    指揮者: Georges Pretre
    Johann Strauss: Overture to "Die Fledermaus"
    Josef Strauss: A Woman's Heart, Polka mazur, op. 166
    Johann Strauss: In the Krapfenwaldl, Polka francaise, op. 336
    Johann Strauss: Stormy in Love and Dance, Fast polka, op. 393
    Johann Strauss: Wine, Women and Song. Waltz, op. 333
    Johann Strauss: Perpetuum mobile, op. 257

    - Intermission -

    Otto Nicolai: Overture to "The Merry Wives of Windsor"
    Johann Strauss: Viennese Bonbons, Waltz, op. 307
    Johann Strauss: Champagne Polka, op. 211
    Johann Strauss: One Heart - One Mind, Polka mazur, op. 323
    Johann Strauss, sen.: The Carnival in Paris
    Jacques Offenbach: Overture to "The Rhine Mermaids"
    Eduard Strauss: Beautiful Helena Quadrille
    Johann Strauss: Morning Papers, Waltz, op. 279
    Hans Christian Lumbye: Champagne Gallop
    :コンサートマスターはライナー・ホーネック氏,隣がシュトイデ氏,指揮はヴェテランのプレートル氏。シュトラウスの弾むようなリズムと歴史を感じさせる味付けに興味深く拝聴させていただいた。

    Vienna Philharmonia Piano Trio
    2009年11月14日 他

    Vienna Philharmonia Piano Trio
    上部より,Werner Hink (violin), Fritz Dolezal (violoncello), Jasminka Stancul (piano)

     1995年4月,ウィーン・フィルのコンサートマスター(当時)ウェルナー・ヒンクを中心として行われたシューベルトのピアノ三重奏曲のレコーディングを契機に結成された.
    プログラム
    ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第7番 変ロ長調 Op.97『大公』
    シューベルト:ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 Op.99 D.898
    於:三重県文化センター<主催:三重県,財団法人 三重県文化振興事業団>

    寸評:ウイーン・フィルの元コンマスとチェロの首席奏者の魅力的なプログラム。ピアノのスタンチュール女史もウィーンの正統派ピアニストである。ベートーヴェンのピアノトリオでは,ヒンク氏のヴァイオリンの迫力ある中低音と豊潤な高音を存分に味わう事が出来た。ドレシャル氏も決して伴奏に徹することなく主張する音で主役を盛りたてていた。何よりもウィーンの秋の街並みを彷彿とさせる,弦の二人の掛け合いと競うようなメロディーが印象的であった。ピアノもそれにやさしく覆いかぶさるような音色。(スタインウェイのグランド・ピアノの残る響きの豊かさと和音の響きが飽きさせないほどとても美しい)
     ウィーンの室内楽団は,オーケストラの団員の一部で構成されるものやそれだけで活動している楽団があるが世界的に見てもレヴェルの高い演奏であった。時折チェロのフォルテシモの音が最も表現の極地と云うべき歴史的瞬間の感動を味わさせて呉れたのである。
    ヴェルナー・ヒンク氏とヴァイオリンと音楽表現について テーマ:コンサート ・Werner Hink氏のコンサートから  オーストリアの銀行から貸与されているストラディヴァリスをすっかり弾き熟し,Vienna Philharmonicで40年以上コンサートマスターを務め上げたHink氏のリサイタルである。
     今も現役のDolezal氏のチェロとの掛け合いの箇所ではヴァイオリンの八分音符をよく響かせチェロに移り行くメロディの橋渡しをしている。特にヴァイオリンの有名メーカー,ストラドは高音に輝かしい音が特徴で中低音が,グァルネリ・デル・ジェスより不足しがちであると私の経験上思っていたのだが,ボウ(楽弓)を押さえ付けなく,これは演奏家にとって悪い習慣なのであるが音ははっきり出る,人差し指と中指を添えて弦の上に滑らせる奏法をされているので無理に音を出していないのである。私自身も人差し指に少し力を入れて弾くと先生から注意さる−力を入れては成らないと。力を入れない,しかし音は太く一音一音高中低音ともに芯を感じ取れる,楽器と奏者と技量の三点が完璧にマスター出来ているHink氏でないと出来ない芸当である。E線の高音でも平べったい音ではなく存在を感じさせる音の粒が細かく聴く方も全く,疲れない。
     一方で,DorezalのチェロもBatolomey氏のリサイタルでも思ったのだが,太い音がするのにも関わらず力強い奏法であることが遠めからみてもわかる。チェロは人間の体ほどある楽器であるため体全体で楽弓を押し付けて弾かないと胴体が響かない。曲中に於いても真剣な表情で楽曲に向き合っていることに(例えプロでも何度とも演奏した楽曲だろうと)感銘を受けた。VPOでもオペラのソロ・チェリストで活躍していらっしゃる氏ならではの音楽表現は Hink氏に通じるところがあろう(サラサーテ雑誌のインタヴューにて)
     楽器は勿論,一流の演奏家によって作り出される音楽の生成のプロセスを間近に見ることが出来たのである。以前,チェリストのVPOのB氏にお伺いしたのだが,敢えて合わせない味のある演奏も重要です。と仰っていて技術だけでなく書く個人が完成で感じる”ゆらぎ”の音楽を表現できる。

    リッカルド・ムーティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 演奏会(TV,実演)
    2009年10月5日 (月) 01:00〜04:00
    10月5日(月) 01時00分30秒〜02時45分30秒
    1.歌劇「セミラーミデ」 序曲 (ロッシーニ作曲)
    2.バレエ音楽「妖精の口づけ」 によるディヴェルティメント (ストラヴィンスキー作曲)
    3.交響曲 第5番 ホ短調 作品64(チャイコフスキー作曲)
    4.ワルツ「マリアの思い出」(ヨーゼフ・シュトラウス作曲)
    管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
    指 揮:リッカルド・ムーティ
    [収録:2008年9月23日,サントリーホール]
    寸評:ミューザ川崎の演奏会では一曲目は「ジャンヌダルク」の序曲を演奏したが,「セミラーミデ」の序曲もイタリア歌劇の華麗な快活の旋律をムーティ氏の指揮と相俟って高次元に融合させていた.ストラヴィンスキーは前回「火の鳥」の演奏が技法的に成らずに物語り風に仕上げる余裕はここでも見ることが出来た.ホルンの重奏も理想的な音作りであった.チャイコフスキーの交響曲は,私も実際に生で聴いたが,テレビ放送の音響と大分異なって居た.ホルンの迫力やヴァイオリンIのダイナミクスさは抑えられ全体のバランスが綺麗に整えられていた.VnIの主旋律のメロディーのテヌート,スラーの表現が些か強調されていて新しいチャイコフスキーを聴くことが出来た.ロマンティックな表現と云ったら良いだろうか?

    ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2009
    Daiwa House Special
    ▲サントリーホール 大ホール
    9月15日(火),9月17日(木)19:00開演
    9月20日(日)14:00開演
    9月25日(金)19:00開演
    ▲ミューザ川崎シンフォニーホール
    9月19日(土)18:00開演
    ▲福岡シンフォニーホール
    9月22日(火・祝)15:00開演
    ▲兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
    9月23日(水・祝)14:00開演

    曲目
    ブラームス:交響曲第4番ホ短調 op.98
    バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz116
    ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 op.92

    R・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 op.40
    R・シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」 op.35

    ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op.11、ピアノ:ラン・ラン
    ハイドン:交響曲第104番 ニ長調 Job.I-104「ロンドン」
     所感:後者の二曲を鑑賞。当日はプログラムはドン・キホーテから演奏。チェロのソロはTama's Varga氏。ヴィオラはChristian Frohn氏。ヴァイオリンはAlbena Danailova女史。特に、チェロは力強くそして高貴な印象が残った。二者とも楽団に溶け込むような演奏が印象的であった。「英雄の生涯」は冒頭から力強い3オクターブ分の音の上昇があった。弦楽器群の陰鬱さと弾むような旋律の真髄を味わうことが出来た。


    英雄の生涯 中間 ヴァイオリンソロ 重音(和音)の技巧的な箇所*1

    又、ヴァイオリンソロはシュトイデ氏。甘美な旋律と技巧的なパッセージを難なく演じきった。特に重音の箇所(上図参照)は弦楽器低音郡の上昇音に乗るように音量を調節しなければならないが、バランスは完璧であった。ワーグナー・チューバの敵視の動機が冷徹に奏でられ場面描写の真髄を感じ取れた。ウィナ・ホルンの難易度の高いパッセージもほぼ完璧であった。リヒャルト・シュトラウス自身もウィーン・フィルを振った事がある曲目と云うこともありメータ氏との信頼関係も十分であり、曲の所々に場面の描写の変化が如実に現れている箇所があり、ウィーン・フィルならではの音の質と相俟って技巧的に終始しない正に”名演”と呼ぶべき演奏であった。出演の団員は、前半は若手の演奏者が多くCbのギュントラー氏、ヴァイオリンの一部のメンバーをお見掛けする程度であった。後半は、100人規模の曲と云うこともあり、Hrn.トムベック氏Jr.、Fg.ウェルバ氏、Cl.シュミードル氏、Trp.シュー氏を拝見することが出来た。
     アンコールはJ.Straussの「レモンの花の咲くところ」ニューイヤーでも演奏されたお馴染みの曲。演奏場所は異なるものの音楽の奏でられる優雅なワルツを鑑賞できた。

    指揮:ズービン・メータ

    ウィーン・リング・アンサンブル
    2009/1/4(日)13:30:愛知県芸術劇場 コンサートホール (愛知県)
    J・シュトラウスII(歌劇「こうもり」)/他
     所感:「こうもり」はCDにも収められている定番の曲。ヴェテランならではの音楽の運びと確かな技術は健在であった。VnIとVnIIの掛け合いが理想的で程よくホールの残響と相まって奏でられて居た。オペラ≪騎士パスマン≫からチャールダッシュでは、曲の途中でヴァイオリンIのG線の高ポジションの音が奏でられたがキュッヒル氏の力強い音が印象的であった。ホルンに似た音で厚いと形容できるものである。シュルツ氏(Fl)とシュミードル氏(Cl)の出し物も板に付いてきた。リラックスして全ての曲を演奏していた。音楽を演奏することが大好きなのであろう。聴く方も楽しめる演奏会であった。アンコールでは「美しき青きドナウ」を演奏。ホルンのヘーグナー氏の伸びやかな冒頭の音も決まり二度ウィーン直送の音楽を愉しむ事が出来た。
    2009/1/6(火)19:00 サントリーホール 大ホール (東京都)
    2009/1/9(金)19:00 いずみホール (大阪府)
    2009/1/10(土)15:00 アルカスSASEBO 大ホール (長崎県)


    2008年のウィーン国立歌劇場管弦楽団の来日を伝えるホームページ(画像引用:NBS 日本舞台芸術振興会)

    WINER FEST 2008 ・ウィーン国立歌劇場管弦楽団/W.A.Mozart『コジ・ファン・トゥッテ』
    指揮:リッカルド・ムーティ/演奏:ウィーン国立歌劇場管弦楽団
    2008年10/21(火)、10/23(木)、10/25(土)、10/27(月)
    於:東京文化会館 大ホール
    ・ウィーン国立歌劇場管弦楽団/L.V.Beethoven『フィデリオ』
    指揮:小澤征爾
    2008年10/26(日)、10/29(水)、11/1(土)
    於:神奈川県民ホール 大ホール
    ・ウィーン国立歌劇場管弦楽団/Donizetti『ロベルト・デヴェリュー』
    指揮/フリードリヒ・ハイダー
    2008年10/31(金)、11/04(火)、11/08(土)
    於:東京文化会館 大ホール


    プログラム

    曲目について:イタリアの作曲家,ドニゼッティの創作の頂点をなす悲劇的ドラマ『ラマムーラのルチーア』の後に『ロベルト・デヴルー(またはエセックス王)』ナポリ1837年に作曲.ドニゼッティはロッシーニからヴェルディの過渡期に活躍し、中世以降の悲劇では抒情旋律と劇的表現が巧みに融合され,気歌劇における心情描写にも優れていた. 所感:グルヴェローヴァの高音が東京文化会館に響き渡った。ドニゼッティの『ロヴェルト・デヴェリュー』の高貴な貴族の役。喜怒哀楽がウィーン国立歌劇場管弦楽団の確かな音楽で完璧な世界を作り上げていた。演奏会形式で大掛かりな仕掛けは無かったが(右端と左端に訳が表示されるボードが在ったのみ)確かな技術に裏打ちされた演奏は稀有な経験を齎した。
    あらすじ
    女王エリザベッタは、捕らえられた恋人ロベルトの死刑の判決書のサインが迫られるが、決意ができない。(一幕)
     ウィーン国立歌劇場のコンサートマスターは、ライナー・キュッヒル氏,隣がジュン・ケラー氏。Clがシュミードール,Fgがウェルバ氏。流れるような旋律と公爵と女王の遣り取りが自然でオーケストラとの音量的なバランスも良好。三拍子のリズムが随所に出てくるが歌手の最大限の可能性が指揮とオーケストラがうまく引き出している演奏であった。
    やがて届けられたハンカチで、恋人の不貞を確信し嫉妬に燃えて決意した。そこに居合わせたノッティンガム公は自分の妻サラとロベルトとの不貞に気づき、復讐を決意する。葛藤に苦しむ女王の前にサラがロベルトから受け取った無実の証しとされる指輪を差し出し、自分とロベルトがかつて恋仲にあったことを告白。(二幕)  嫉妬心をヴァイオリン群高ポジションで表現。トレモロも良好。アルッペジオも芯の有る確かな音で観客を魅了した。
    そこにロベルト処刑の砲音が響き、狂乱寸前の女王は最高権力者でありながらも、愛する人を救えなかった絶望の果てに沈む。(三幕)
    ドラムの音と大太鼓の重い音に哀しげなウィーンサウンドは天上の音楽に近いものだった。

    特別協賛:オリンパス株式会社
    協賛:株式会社クレハ 清水建設株式会社 株式会社 商船三井 大日本印刷株式会社 ハウス食品株式会社 株式会社みずほコーポレート銀行
    主催財団法人日本舞台芸術振興会(文部科学省所轄公益法人)/日本経済新聞社/神奈川県民ホール(神奈川公演)
    特別協賛:キヤノン株式会社
    後援:オーストリア大使館

    2008.09.16,18,22,23ウィーン・フィルハーモニーウィーク イン ジャパン 2008
    於:サントリーホール、札幌コンサートホール Kitara(9/22)
    リッカルド・ムーティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

    2008年9月16日(火) 19:00開演
    ハイドン:交響曲第67番 ヘ長調 Hob. I-67
    ブルックナー:交響曲第2番 ハ短調

    2008年9月18日(木) 19:00開演
    ヴェルディ:オペラ『ジョヴァンナ・ダルコ(ジャンヌ・ダルク)』序曲
    ヴェルディ:オペラ『シチリア島の夕べの祈り』からバレエ音楽「四季」
    ニーノ・ロータ:トロンボーン協奏曲
    (トロンボーン:イアン・バウスフィールド ウィーン・フィル首席奏者)
    ニーノ・ロータ:映画『山猫』の音楽から

    2008年9月23日(火・祝) 18:00開演
    ロッシーニ:オペラ『セミラーミデ』序曲
    ストラヴィンスキー:バレエ音楽『妖精の口づけ』から
    チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 op. 64
    料金:各日とも S35,000円 A30,000円 B25,000円 C19,000円 D12,000円
    会場:大ホール
    主催:サントリーホール
    特別協賛:オムロン株式会社
    後援:オーストリア大使館
    チケット:発売:2008年6月21日(土) 午前10時
    その他の日程
    9/14(日)ミューザ川崎
    【プログラム】
    ヴェルディ:オペラ『ジョヴァンナ・ダルコ(ジャンヌ・ダルク)』序曲
    所感: ミューザ川崎にて、16:00より開演。一昨年から二年ぶりの日本での演奏。コンサート・マスターはライナー・キュッヒルとライナー・ホーネック。コンマスのヒンク氏が引退され若いコンサート・マスターに否応無しに期待がかかる。
     冒頭のジャンヌ・ダルクの不安な気持ちを代弁するような迫り狂う不気味なトレモロから曲が始まる。そしてトロンボーンの三重奏(バルヴ・トロンボーン一人もいた)の後オーボーの魅力的なソロである。弦楽器の音に厚みがあり謳うように奏でられる能力は世界でも秀でている。あまり演奏される機会が少ない曲であるが美しい曲である。
    ヴェルディ:オペラ『シチリア島の夕べの祈り』からバレエ音楽「四季」
     時折見られるペーター・シュミードルのクラリネットの弾むような旋律によって曲が魅力的に展開されてくる。四季によって様々な美しいメロディーが三拍子を基調に移り変わっていく。メリハリのある音楽でとても聴き易かった。イタリアの作曲家ヴェルディをイタリアの指揮者ムーティ氏にもってこいの曲で上手くオーケストラをドライヴしていた。両者の信頼関係は熟練の域に達している。
    チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 op.64
     ロシアの大作曲家チャイコフスキィをどのように弾くのか大変興味深かった。第一楽章は、クラリネットの呼応する音の処理が凍てつく大地を的確に現しているような理想的な音であった。そして弦楽器の美しいメロディーは極上のハーモニーと流れるような旋律は、さわやかな感じを受けた。レニングラード管弦楽団の十八番であるこの曲はおどろおどろしい曲をイメージしていることもあり、意外な曲運びであった。指揮者のムーティ氏はテンポを遅める場面が時折あり適度な間をうまく利用していた。第二楽章のホルンのソロも厚い柔らかい音でウィナ・ホルンの真髄を聴くことが出来た。ソロ・ホルンはトムベックJr.のヴェテランらしい音。ただ来日したばかりで時差ぼけもありトチリそうなところもあった。第三はワルツ風でウィーン・フィルのお得意とするところ。クラリネットが少し柔らかすぎる感じがしたがオーボとシュルツ氏のフルートが大変良かった。ミヒャエル・ウェルバ氏のバスーンも美しかった。細かい旋律のヴァイオリン群は理想と思える曲の運び。第四楽章は勢いが凄くとても圧倒された。全体を通して縦の線と音量とタイミングが完璧に整っており更に音楽的な余裕がる所が世界最高のウィーン・フィルならではであると再認識した次第である。
    9/15(月祝)大阪フェスティバルホール
    9/19(金)サントリーホール(非公開)
    9/20(土)新潟りゅーとぴあ:シューベルト<未完成>ほか
    9/22(月)札幌キタラ
    9/24(水)長野県民文化会館

    ベルリン&ウィーン・フィルハーモニー
    8人のホルン奏者たち
    The Horns of the Berlin & Vienna Philharmonics
    2008年11月


    2008.03.22ウィーン・フィルハーモニー”アンサンブル・イレブン”演奏会
    於:ミューザ川崎シンフォニーホール

    Ensamble 11
    演奏終了後のサイン会

    Ensamble 11
    パンフレットに団員のサインを頂く

    Flöte:Günter Federsel
    Oboe:Clemens Horak
    Klarinette:Andreas Wieser
    Fagott:Harald Muller
    1st Horn:Lars Michael Stransky
    2nd Horn:Sebastian Mayr
    1st Trompete:Hans Peter Schuh
    2nd Trompete:Franz Tosch
    Posaune:Karl Jeitler
    Tuba:Parl Halwax
    Percussion:Anton Mittemayr

    【曲目】
    [第1部]モーツァルト名曲集
    歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」より序曲、”心地よい風”
    歌劇「魔笛」より”復讐の心はわが胸に燃え”、”僧侶たちの合唱”、”僧侶たちの行進”
    歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より”シャンペンのアリア”
    交響曲第39番より 第3楽章メヌエット
    2つの行進曲 K.335より第1番
    セレナード第9番「ポストホルン」より第2メヌエット
    ピアノ・ソナタ第11番より「トルコ行進曲」

     寸評:前半はモーツァルトの作品で『コシ・ファン・トゥッテ』序曲や『魔笛』のアリア、『ドン・ジョヴァンニ』の一曲など金管楽器だけで十分曲が活き活きしていたのには吃驚しました。特に交響曲39番の中間の木管楽器が活躍する箇所はウィーン・フィルの良きサウンドをスケールは小さいながらも生かされていた。トルコ行進曲ではトランペットと木管楽器のやり取りがリズミカルで聴き応えが合った。「ポストホルン」ではペータ・シュー氏が小さいホルンの様な楽器ポストホルンを芯のある力強いサウンドでベテランの持ち味を発揮した。特にウィーンの楽器(ヴィエナ・ホルン、ヴィエナ・トランペット)の暖かい音色が会場の人にも十分に伝わったでしょう。

    [第2部]ウィンナ・ワルツ&ポルカ集
    ヨハン・シュトラウスU:喜歌劇「こうもり」序曲
    ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ「風車」
    ヨゼフ・ランナー:ワルツ「シェーンブルンの人々」
    エドゥワルト・シュトラウス:ポルカ「電撃」
    ヨハン・シュトラウスU:ポルカ・マズルカ「町といなか」
    ヨハン・シュトラウスU:ワルツ「春の声」
    ヨハン・シュトラウスU:ポルカ「ハンガリー万歳」

     寸評:後半は、シュトラウスの曲をメインに。「こうもり」序曲のオーボーの音が特にすばらしく暖かな音色であった。アンコールの一曲で中近東のようなリズミカルな音楽を演奏したのだが、ポザウネとバスの力強い低音がしっかりと木管を支え、ピアニッシモでも柔らかい音は特筆に価する。世界一流の金管楽器奏者のアンサンブルと木管楽器奏者のウィーンハーモニを存分に楽しむことが出来た。演奏終了後、当日CDを購入したお客様に11名の団員のサインのサーヴィスが付きました!皆様のサインをプログラムに頂きました(上図)。団員さんに「ヤマハをご存知ですか?」と聞いたら「知っている」とのこと。直接お会いして団員と話しができてとても良かったです。ウィーン・フィルは2008年11月にもウィーン国立歌劇場として来日されます。こちらもとても楽しみです。

    2008.01.04ウィーン・リング・アンサンブル ニューイヤーコンサート
    ●曲目

    於:愛知劇場コンサートホール
    曲目:ウィーン縁の音楽。

    Winer Ling Ensamble
    演奏会の様子(写真引用:早稲田大学)


    ViolineI:Rainer Küchl
    ViolineII:Eckhard Seifert
    Viola:Heinz Koll
    Violoncello:Gerhard Iberer
    Kontrabaß:Alois Posch
    Flöte:Wolfgang Schulz
    Klarinette:Peter Schmidl
    Klarinette:Johann Hindler
    Horn:Günter Högner

    主なプログラム

    オット・ニコライ『オペラ《ウィンザーの陽気な女房たち》序曲』
    ヨーゼフ・シュトラウス『ワルツ「天体の音楽」』
    ヘルメスベルガー『妖精の踊り』:
    J.シュトラウスU:ポルカ・シュネル「浮気心」
    J. シュトラウスU:ポルカ「狩り」
    J. シュトラウスU:オペレッタ「くるまば草」序曲
    ツィーラー:ポルカ・シュネル「人生の喜び」
    ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「うわごと」
    J. シュトラウスT:ジプシーのガロップ
    ランナー:マリアのワルツ
    レハール:オペレッタ「メリー・ウィドウ」より,唇は黙していても〜ワルツ・メドレー J. シュトラウスT:狂乱ガロップ
    演奏曲目他ポルカ「狩り」、メリーウィドウメドレーなど。アンコール曲は『美しき青きドナウ』と『ラデツキー行進曲』

     寸評:ウィーンの風を運んでくるような軽快な曲で幕を開けた。ウィーン・フィルのコンサートマスターのキュッヒル氏のヴァイオリンがとても綺麗に響き渡った。『天体の音楽』時折聞こえるクラリネットとフルートの掛け合いが大変美しい。スケールの大きい題名ではあるが、美しいハーモニーの曲である。『妖精の踊り』バスパートのふくよかな低音の後のヴァイオリンの細かなトレモロと高い音の動きが印象的な曲である。2007年のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートで演奏された。ここでも音量のバランスが最大限注意が払われていて室内楽の極みを見ることが出来た。ヘーグナー氏のホルンのソロは伸び伸びとしていて美しい音色であった。『くるまば草』はヴァイオリンのソロが麗しき音。高ポジションに於いても高尚さを保つプロの匠な技。

    ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート 2008

    日程:2008年01月01日11:15〜
    指揮:ジョルジュ・プレートル
    演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

    曲目
    第1部
    ・ナポレオン行進曲 op.156(ヨハン・シュトラウス2世)
    ・ワルツ『オーストリアの村つばめ』 op.164(ヨーゼフ・シュトラウス)
    ・ルクセンブルク・ポルカ op.60(ヨーゼフ・シュトラウス)
    ・パリのワルツ op.101(ヨハン・シュトラウス1世)
    ・ヴェルサイユ・ギャロップ op.107(ヨハン・シュトラウス1世)
    ・天国と地獄のカドリーユ op.236(ヨハン・シュトラウス1世)
    ・ギャロップ『小さな広告』 op.4(ヘルメスベルガー2世)

    休憩

    第2部
    ・喜歌劇『インディゴと40人の盗賊』序曲(ヨハン・シュトラウス2世)
    ・ワルツ『人生を楽しめ』 op.340(ヨハン・シュトラウス2世)
    ・ポルカ・フランセーズ『閃光』 op.271(ヨハン・シュトラウス2世)
    ・トリッチ・トラッチ・ポルカ op.214(ヨハン・シュトラウス2世)
    ・ワルツ『宮廷舞踏会』op.161(ヨーゼフ・ランナー)
    ・ポルカ・マズルカ『とんぼ』 op.204(ヨーゼフ・シュトラウス)
    ・ロシア行進曲 op.426(ヨハン・シュトラウスU世)
    ・フランス風ポルカ『パリの娘』 op.238(ヨハン・シュトラウス2世)
    ・中国人のギャロップ op.20(ヨハン・シュトラウス2世)
    ・皇帝円舞曲 op.437(ヨハン・シュトラウス2世)
    ・ポルカ『インドの舞姫』 op.351(ヨハン・シュトラウス2世)

    おまけ/アンコール曲

    ・スポーツ・ポルカ op.170(ヨーゼフ・シュトラウス)
    ・ワルツ『美しく青きドナウ』 op.314(ヨハン・シュトラウス2世)
    ・ラデツキー行進曲 op.228(ヨハン・シュトラウス1世)

    ・ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート 2007
    「行進曲“乾杯!” 作品456」ヨハン・シュトラウス作曲
    「ワルツ“調子のいい男” 作品62」  
    「ポルカ“水車” 作品57」                
    ヨーゼフ・シュトラウス作曲
                                  
    「妖精の踊り」        ヨーゼフ・ヘルメスベルガー作曲
                                  
    「ワルツ“うわごと” 作品212」ヨーゼフ・シュトラウス作曲
                                  
    「入場のギャロップ 作品35」 ヨハン・シュトラウス父・作曲
                                  
    <休憩>
    「喜歌劇“くるまば草” 序曲」   ヨハン・シュトラウス作曲
                                  
    「イレーネ・ポルカ 作品113」 ヨーゼフ・シュトラウス作曲
                                  
    「ワルツ“レモンの花咲く所” 作品364」         
                      ヨハン・シュトラウス作曲
                                  
    「ポルカ“ブレーキかけずに” 作品238」         
                   エドゥアルト・シュトラウス作曲
                                  
    「ポルカ“都会と田舎” 作品322」            
                      ヨハン・シュトラウス作曲
                                  
    「水夫のポルカ 作品52」                 
    「ワルツ“ディナミーデン” 作品173」          
                     ヨーゼフ・シュトラウス作曲
                                  
    「エルンストの思い出 作品126」             
    「狂乱のギャロップ 作品114」              
                    ヨハン・シュトラウス父・作曲
                                  
    「ポルカ“軽い足どり”」   ヨーゼフ・ヘルメスベルガー作曲
                                  
    <アンコール>
    メータ氏:ブルガリアとルーマニアのEU加盟おめでとう!

    「ワルツ“美しく青きドナウ” 作品314」         
                      ヨハン・シュトラウス作曲
                                  
    「ラデツキー行進曲 作品228」              
                    ヨハン・シュトラウス父・作曲
                                  
            (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
                      (指揮)ズービン・メータ

    コンサートマスター:ヴェルナー・ヒンク
    所感:4回目のメータ氏とウィーン・フィルの息はぴったり。シュトラウス父子の
    あまり知られていない曲を演奏した。ヘルメスベルガーの秘曲も興味深かった。


    2006.11.08ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2006 (2006年で25回目の来日)

    ■於: サントリーホール 大ホール 指揮者:ニコラス・アーノンクール 管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

    「ブルックナー(交響曲第5番変ロ長調)」
    ■公演日:2006年11月3日(金) ■開演:3:00PM ■開場:2:20PM

    「シューマン(交響曲第3番変ホ長調「ライン」)/他」
    ■公演日:2006年11月8日(水) ■開演:7:00PM ■開場:6:20PM

    「モーツァルト(交響曲第39,40,41番)」
    ■公演日:2006年11月11日(土) ■開演:6:00PM ■開場:5:20PM
    NHKにて放送された。アーノンクールのリズミカルな速いテンポで曲が高貴に仕上がっている。

    「ベートーベン(交響曲第7番イ長調)/他」
    ■公演日:2006年11月13日(月) ■開演:7:00PM ■開場:6:20PM

    ベートーベン(交響曲第7番イ長調)/他」
    ■公演日:2006年11月7日(火) ■開演:7:00PM ■開場:6:30PM
    ■於: ミューザ川崎シンフォニーホール

    プログラム
    2006年日本公演の際のプログラム表紙


    ニコラス・アルノンクール指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
    ミューザ川崎
    会場前、ホール入り口は人で一杯でした。会場は18:30ほぼ同時刻に心地よいメロディーが流れ、ドアが開く。
    19: 00開演。19:02ころに楽団員が続々入ってくる。あのヴァイオリンのキュッヒル氏、シュトイデ氏(体が大きい)やクラリネットのシュミードル氏、バスーンのウェルバ氏、ヴィオラのヴァイス氏(優しそうなお爺さん)、ヴィオロン・チェロのドレシャル氏、コントラバスのギュントラー氏(曲の休みには、ベースを抱えていらっしゃいます)ら枚挙にいとまが無い!超一流の面々!感動ものです。
    曲目
    モーツァルト:交響曲第39番 変ホ長調 K543

    アーノンクールの流れるような指揮でゆったりとしたテンポで進みました。

    一楽章の和音から細かなパッセージまでほぼ完璧な美しい音でした。お馴染みの弦のやわらかいメロディーはウィーンの香りがするとても魅力的なところです。間近でそれが聴けて感無量です。
    二楽章では透き通るようなヴァイオリンのppとバスのふんわりと優しく響く低音の調和が素晴らしかったです。コントラバスが四、五人だったのですが十分にホール全体に響いていたと思います。クラリネットのシュミードル氏のふくよかな音色も印象的でした。
    三楽章は、テキパキとした旋律で流れるようなメロディー。バスーンの他の木管とウェルバ氏の掛け合いソロ(下りの連符)も主張しすぎないで、「振り返るとそこに君がいた」ように、程よく音楽に溶け込んでいます。これがなかなか難しく日本のプロでも怪しいところが見受けられます。どうしても音程がずれてしまうか、音が大きくなりすぎてしまうのです。ウェルバ氏の演奏は羽毛のようなp!チェロのPizzが良く響いていました。
    四楽章は、モーツァルトの遊び心満載な楽章でネズミが動き回るような可愛らしい楽章でウィーン・フィルは急ぎすぎず適度な緊張感があった。良く「神々しい」とも言われる39番。まさにその通り!
    モーツァルト生誕250周年にぴったりな選曲です。時折、アーノンクールは、ジェスチャーで木管群に「音を出すように」と迫ります。しかし、難なくそれにウィーン・フィルは答えます。生演奏に最高を求める姿に感動しました。
    演奏後、アーノンクール氏は少し譜面台に凭れる格好となりましたが、何とか取り直したようです。楽団員も少し吃驚していました。少し張り切りすぎたのでしょうか?

    休憩は20分。ミューザ川崎のロビーで、お土産を探します。1500円から2000円のキーホルダーやペン、トートバッグなど売って居ました。スーツ、ワンピースで着飾った観客が多かったですね。世界最高のオーケストラの演奏会にふさわしい雰囲気。
    休憩が終わり、

    ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op.92

    第一楽章 ドラマでも使われている有名な曲。一斉のtuttiの後、オーボエが歌うように奏でます。包み込むようなまろやかな音ですがビブラートをかけない。ここにウィナオーボエの真髄がここにあります。少し音が最初低かったように思いますがすぐに修正。気になりませんでした。そして弦楽器のtutti、第一のEは開放弦でした。例の盛り上がるホルンの出番の後、一人の奏者がボーゲン(楽器の管)を変えていました。VPOならではといえます。 シュルツ氏のフルートは、鳥が飛び回るような快活でかつ美しい。フルートの二人は金色の眩い楽器を使っていました。その後の、弦の応えるタイミングも完璧。美しい。
    第二楽章 アーノンクールは、休符に意味を持たせる事で有名です。特にホルンの信号の後の沈黙は芸術でした。無音が意味を持って迫ってきます。チェロの悲しげなフレーズが、主席のドレシャル氏を先頭にして迫ってきます。ウィーン・フィルの一番の見せ所でした。
    第三楽章 ティンパニが素晴らしかったです。革張りでメリハリのある音でコントラストが付いていた。4名のホルンの強奏は、ヴェテランのギュンター・ヘーグナーを始め、もはや芸術。突き刺す様な鋭い音でしたが決して下品な音ではない。直接耳に迫ってきますから、不思議です。 第四楽章 曲の締めくくりは前楽器の大合奏。集中力が途切れることなく曲は閉じる。弦楽器もとても美しい。最後のほうでは奏者が一生懸命体を動かして芸術が生まれる瞬間を見ることが出来ました。強弱の波にのまれた観客も多かった事でしょう。

    コンサートマスターのライナー・キュッヒル氏が引っ張るウィーン・フィルは生き生きとしていて聴き応えがあります。もう一人のコンサートマスターのヒンク氏でしたら又違った音楽が聴けたでしょう。
    交響曲第七番で第一ヴァイオリンのE線の高音のトレモロの響きが凄まじい。マイクなしで二階席まで恐ろしいほど良く迫ってきたのは今までの演奏会では、ありませんでした。

    団員は第一ヴァイオリンの末席の女性(写真参照)を除いては全員男性。

    ティンパニの奏者アルトマン氏?は、曲中でも空いている時間に頻繁に軽く手で叩いて耳を近づけて、音合わせをしていたのが印象に残っています。
    曲の間の、ウィナホルンのつば抜きが大変そうでした、7番でホルンが2-3箇所ミス?でしたが演奏終了後、2アシのホルン奏者(名前はわかりません)がヤノシッツ氏かリントナー氏に親指を立ててOKポーズ。ウィーンフィルにとっても最高の演奏だったのでしょう。

    アンコール曲:ベートーヴェン 交響曲第8番から 第二楽章これも素晴らしい。
    演奏終了後、鳴り止まない拍手にアーノンクールは、再び舞台に登場。期待に応えてくださいました。一流の演奏家が一流の曲を最高な条件で最高な演奏をする瞬間に立ち会えることができてとてもうれしく思います。

    ウィーン・フィルの皆様、アーノンクール様、お疲れ様でございました。

    ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
    観客の大きな拍手に応えるアルノンクールとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(筆者撮影)


    ●ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏(メディア)

    ザルツブルク音楽祭2006 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」/放送日 :2008年 4月13日(日)
    放送時間 :翌日午前0:40〜翌日午前4:00
    第1幕
    第2幕
    モーツァルト作曲
    【出演】
    トマス・ハンプソン ほか
    (合唱)ウィーン国立歌劇場合唱団
    (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
    (指揮)ダニエル・ハーディング
    オーストリア・ザルツブルク祝祭大劇場

     所感:斬新な舞台であったが、好色家のドン・ジョバンニのイメージとは懸け離れた演出であった。ウィーン国立歌劇場管弦楽団は力強い演奏と美しいウィーンサウンドを聴かせたが、主要な曲でテンポが乱雑になってしまったところがあった。しかし、過剰な演出を抑えハンプソン氏をはじめ実力のある歌手が揃い、視点を変えた『ドン・ジョバンニ』が観れた事が大変、意義深い。

    2006年 8月26日 (土)  00:30〜03:59 ザルツブルク音楽祭 2006 Bモード・ステレオ
    モーツァルト・ガラ・コンサート
    8月26日(土) 00時30分23秒〜02時13分53秒 [1時間43分30秒]

    歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 から
    1.    序曲
    2.    カタログの歌「奥さん、これが恋人のカタログ」
    3.    彼女こそわたしの宝
    歌劇「ポントの王ミトリダーテ」から
    4.    耐えがたい苦痛のなか
    歌劇「皇帝ティトゥスの慈悲」 から
    5.    親愛なる神々よ
    6.    わたしは行くが、きみは平和に
    7. 彼をふりかえりなさい K.584
    歌劇「イドメネオ」 から
    8.    序曲
    9.    もし父を失うならば
    10.    もし私がその言葉を聞いて死なぬとしたら
    11.    オレステスとアイアスの
    12. 交響曲 第38番 ニ長調 K.504 「プラハ」
    ( 以上 モーツァルト作曲 )

    --------------------------------------------------------------------------------
    ソプラノ : アンナ・ネトレプコ (1曲目)
      〃 : パトリシア・プティボン (4曲目)
      〃 : エカテリーナ・シウリナ (9, 10曲目)
    メゾ・ソプラノ : マグダレーナ・コジェナー (6, 10曲目)
    テナー : ミヒャエル・シャーデ (3, 5曲目)
    バリトン : トマス・ハンプソン (7曲目)
    バス : ルネ・パーペ (2曲目)
    管弦楽 : ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
    指 揮 : ダニエル・ハーディング

    [ 収録: 2006年7月30日, フェルゼンライトシューレ (オーストリア・ザルツブルク) ]

    感想:コンサートマスターは、ウェルナーヒンク。『ドン・ジョバンニ』序曲は早めのテンポ。曲自体はそっけない感じがしたが
    やはり腐っても鯛、低音からくる不気味さは凄い。そして、アリアの独唱も良かった。


    2006年6月24日(土)/00:40〜03:592005年11月5日ウィーン国立歌劇場 (オーストリア)
    ウィーン国立歌劇場再建50周年記念ガラ・コンサート
    1. 序曲「レオノーレ」 第3番 作品72 (ベートーベン作曲 )
    指 揮: 小澤 征爾
    小澤のベートーヴェン。走りがちな小澤をウィーン・フィルはしっかりと制止した。特に第一ヴァイオリンの細かな旋律が素晴らしかった。
     
    2. 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 ( モーツァルト作曲 )
     第1幕から カタログの歌 「奥さん、これが恋人のカタログ」
     第2幕から いいえ違います 〜 わたしはあなたのもの
     第1幕から 酒の歌 「みんな楽しくお酒を飲んで」 〜 フィナーレ
    ドン・ジョヴァンニ トマス・ハンプソン
    ドンナ・エルヴィーラ ソイレ・イソコスキ
    ドンナ・アンナ エディタ・グルベローヴァ
    ドン・オッターヴィオ ミヒャエル・シャーデ
    ツェルリーナ イルディコ・ライモンディ
    レポレルロ フェルッチョ・フルラネット
    マゼット ボアズ・ダニエル
    指 揮 ズービン・メータ
     
    3. 歌劇「ばらの騎士」 第3幕 から
      心から愛しています 〜 まるで夢のよう
    ( リヒャルト・シュトラウス作曲 )
    ウェルデンベルク侯爵夫人 ソイレ・イソコスキ
    オクタヴィアン アンゲリカ・キルヒシュラーガー
    ゾフィー ゲニア・キューマイア
    フォン・ファーニナル ゲオルク・ティッヒ
    指 揮 クリスティアン・ティーレマン
     
    4. 歌劇「アイーダ」 から 第3幕 ( ヴェルディ作曲 )
    アイーダ ヴィオレタ・ウルマナ
    ラダメス ヨハン・ボータ
    アモナズロ フランツ・グルントヘーバー
    アムネリス ナディア・クラステワ
    ランフィス フェルッチョ・フルラネット
    歌劇「アイーダ」 第4幕 から ( ヴェルディ作曲 )
      憎いアイーダは逃げ去った 〜 すでに神官たちが待っている
    アムネリス アグネス・バルツァ
    ラダメス プラシド・ドミンゴ
    指 揮 ダニエレ・ガッティ
     
    5. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 から ( ワーグナー作曲 )
      前奏曲
      ザックスのモノローグ 「にわとこの花のかぐわしさ」
      目覚めよ、夜明けは近づいた
    ハンス・ザックス ブリン・ターフェル
    指 揮 クリスティアン・ティーレマン
     
    6. 歌劇「影のない女」 第3幕 から ( リヒャルト・シュトラウス作曲 )
      わたしに委ねられた
      じっと立っていなさい 〜 心から歓呼しよう
    バラックの妻 デボラ・ポラスキ
    染め物師バラック ファルク・シュトルックマン
    皇后 リカルダ・メルベト
    皇帝 ヨハン・ボータ
    生まれざる子どもたちの声 イレアナ・トンカ
      〃 ボリ・ケセイ
      〃 コルネリア・サリエ
      〃 ナディア・クラステワ
      〃 ミヒャエラ・ゼリンガー
      〃 ヤニナ・ベヒレ
    指 揮 フランツ・ウェルザー・メスト
     
    7. 歌劇「フィデリオ」 第2幕 から   フィナーレ ( ベートーベン作曲 )
    群衆と囚人たちの合唱「このよい日」
    レオノーレ デボラ・ポラスキ
    フロレスタン ヨハン・ボータ
    ドン・フェルナンド トマス・ハンプソン
    ロッコ ワルター・フィンク
    マルツェリーネ イルディコ・ライモンディ
    ヤキーノ ヘルヴィヒ・ペコラロ
    ドン・ピツァロ ファルク・シュトルックマン
    指 揮 小澤 征爾
    合 唱 ウィーン国立歌劇場合唱団
    管弦楽 ウィーン国立歌劇場管弦楽団

    NHK-BS2 クラシックロイヤルシートより。

    ウィーン国立歌劇場の記念すべき演奏会としてふさわしい曲目と演奏。オペラの一流の歌手を迎え、最高の場所で最高の演奏が聴けた。

    最近のコンサートからNHK-BSで2005年10月11日(火)、12日(水)のプログラムを放送。於:サントリー・ホール

    シューベルト:ロザムンデ序曲
    モーツァルト:交響曲第35番 ニ長調 「ハフナー」
    ラヴェル:スペイン狂詩曲
    ファリャ:バレエ音楽 「三角帽子」第2組曲

    アンコール曲 ヴェルディ 「運命の力」から序曲

    リッカルド・ムーティ指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。

    ウィーン・フィル演奏会にしては珍しいスペインの曲を含んだ演奏会。「スペイン狂詩曲」では、スペインの情熱さと幻想的な曲想にぴったりの演奏。コーラン・グレーの力強さも忘れがたい。モーツァルトの、ハフナーは絹のような繊細さが印象的であった。テンポは気持ち、速めに見えた。ピッチは通常のオーケストラの442Hzより低めで、モーツァルトの時代を偲ばせる演奏だった。「三角帽子」は、それぞれの楽器の主役と脇役を幅広い音量のバランスを持って表現していた。アンコール曲は、ムーティお得意のイタリアの作曲家、ヴェルディの作品。訴えるようなヴァイオリンと天上の音楽を思わせる金管の和音の高度な融合が見られた。

    ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の名演奏。(映像)

    ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 W.A.モーツァルト「ドン・ジョバンニ」序曲

    1954年8月 ザルツブルグ音楽祭より NHK-BS

    モノラル録音であるが不気味な旋律と大きな和音が聴く者を地獄へ誘う。

     カール・ベーム指揮 W.A.Mozart「交響曲第40番、41番」 クラシカ・ジャパン

    1973年 クラシカ・ジャパン

     とてもゆっくりしたテンポ、テンポとハーモニーを大切にした録音である。最初のホルンの音が突き刺さるような音。ヴァイオリンセクションの些細なポルタメントが唄うように奏でられる。3楽章のホルンのソリはどこまでも響き渡る深遠なる音。

    モーツァルト「交響曲第40番」冒頭部分。第一ヴァイオリンの旋律で赤い線の付いたDからBの音の変化でポルタメント奏法を用いる。つまり、A線のレからE線のシへ飛ばずにA線のシを奏す)。当時のコンサートマスターのヘッツェル氏は、E線のシを弾いていたと思われる。明るいEの音を狙ったと思われる。



    レオナルド・バーンスタイン指揮 R.シューマン「交響曲第3番変ホ長調(ライン)」 クラシカ・ジャパン

    1985年 クラシカ・ジャパン

     迫力が凄い。弦楽器の張り裂けんばかりの雄大なトレモロにライン川の激流に呑まれたかのような強奏のホルンは素晴らしい。コンサート・マスターは、ライナー・キュッヒル氏。

    1. フルート四重奏曲 ハ長調 K.Anh.171 (285b) (モーツァルト作曲 )

    2. 歌劇「魔笛」K.620 から

       序 曲

       恋人か女房があればいいが   ( モーツァルト作曲 / ウェント編曲 )

    3. フルート四重奏曲 ニ長調 K.285   ( モーツァルト作曲 )

    ウィーン・フィルのフルーティスト、ヴォルフガング・シュルツ氏が率いるウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団(バイオリン : ペーター・ウェヒター、ビオラ : トビアス・リー、チェロ : タマーシュ・ヴァルガ)の演奏会の様子である。シュルツ氏の綺麗なフルートの音は健在で他の奏者ともぴったり息が合っていた。


    7、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のCD

     ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場管弦楽団は我々に多くの名演をCD、レコードを残している。そのほとんどが名演であるが特に私が愛聴しているディスクを下記に挙げた。
                                             
    作曲者 曲目 指揮者 レーベル 録音日 感想
    W.A.モーツァルト 『交響曲第35番 ニ長調 K.385(ハフナー)』 カール・ベーム ドイツ・グラモフォン 1981年 包容力のある『ハフナー』である。時折テンポの揺れが見られ良い方向に音楽を形作っている。
    W.A.モーツァルト 『交響曲第40番 ト短調 K.550』 カール・ベーム ドイツ・グラモフォン 1977年 憂いを表現する第一楽章では弦楽器の美しい音色と暖かい音色の木管楽器(ホルン含む)との融合が見られ曲の格調を一層、高めている。
    W.A.モーツァルト 『交響曲第41番 ハ長調 K.551』 カール・ベーム ドイツ・グラモフォン 1977年 最後の交響曲と云うことで堂々とした演奏。第二楽章は安心できる名演。
    W.A.モーツァルト 『交響曲第25番 ト短調 K.183』 イシュトヴァン・ケルテス デッカ 1972.11 第25番は小ト短調と呼ばれ激しい旋律が特徴。ヴァイオリンの激しい旋律とオーボーのノンヴィヴラートの掛け合いは極上。ヴァイオリンが駆け上がる旋律の場所では音の粒が良く揃っており曲の高貴さが失われていない。
    W.A.モーツァルト 『交響曲第25番 ト短調 K.183』 カール・ベーム カール・ベームの第25番.テンポも丁度良く高貴さの中に堅実さを感じさせる演奏.
    W.A.モーツァルト 『交響曲第29番 イ長調 K.201』 イシュトヴァン・ケルテス デッカ 1972.11 一楽章は活発で元気が良く弾む様な旋律と木管の音量のバランスが大変に良く纏められている。
    W.A.モーツァルト 『交響曲第35番 ニ長調 K.385(ハフナー)』 イシュトヴァン・ケルテス デッカ 1972.11 素早い旋律も適度なテンポ感でとても清々しい演奏である。第一楽章で引き締め、第二楽章で雄大な音場を実現させる。最終楽章では一瞬の間も音楽と携えることが出来るほど素晴らしい出来である。
    W.A.モーツァルト 『レクイエム ニ短調 K.626』 カール・ベーム ユニバーサル 2001年 「キリエ」の頭ではヴァイオリンの八分音符がヴィヴラート弱めで且つ力強く意志の強さを十分に示して居る。一方、「ラクリモーサ」では魂の飛翔の様に只軽やかであり作曲者の最後の作品に相応しい演奏である。
    J.ブラームス 『交響曲第1番 ハ短調 op.68』 C.M.ジュリーニ ドイツ・グラモフォン 1991年 大地に足を着けた様な堂々とした演奏。冒頭から心臓の鼓動のように刻むティンパニと共に弦楽器群の重い足取りが印象深い。一楽章はありきたりでスマートな演奏だが、二楽章、三楽章に於いては、ゆっくり時間を掛けて成熟したワインのような心満たされる演奏に仕上がっている。
    リヒャルト・シュトラウス『ホルン協奏曲第1番・2番』 アンドレ・プレヴィン/指揮 ドイツ・グラモフォン 1991年 ウィンナ・ホルンの力強さとソフトさを存分に味わうことが出来る。
    L.V.ベートーヴェン 『ピアノ協奏曲第4番・第5番』 カール・ベーム/マウリツィオ・ポリーニ ドイツ・グラモフォン 1976年,
    1978年
    第4番は静かな湖面を髣髴とさせる繊細なタッチと第5番の急・緩・急のメリハリとウィーン楽器とピアノのふくよかな和音が印象的である.若かりし頃のポリーニの伸び伸びとした演奏とコントラストがはっきりとしたオーケストラとの理想的な協演である.
    W.A.モーツァルト 『ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466』 クラウディオ・アバド/フリードリヒ・グルダ ドイツ・グラモフォン 1974年 明と暗の彫が深い演奏で,歌うようなピアノの旋律が印象深い.特に第一楽章では第一ヴァイオリン群の冷酷な「D」の連続は無限に続くかのようだ.その後のピアノ・ソロの入りもJazz奏者で有名であったグルダ氏を感じさせない曲と正面と向き合った演奏である.しかしカデンツァに於いては,遊び心が垣間見えた.クララ・ハスキルの熱く魅惑的な演奏とよく対比できる.
    W.A.モーツァルトオペラ『フィガロの結婚(ハイライト)』 エーリヒ・クライバー 1959年 初めてオペラのCDを買った一枚。演奏の高貴さと抜群の歌唱力の融合が見られる。序曲はメリハリの効いた溌剌とした音楽が楽しめる。音も40年以上経った録音とは思えないほど良い。
    W.A.モーツァルトオペラ『ドン・ジョバンニ K.527』全曲 カール・ベーム ドイツ・グラモフォン 1977年 序曲はモーツァルトの心の叫びのように力強くメリハリが付いている。「カタログの歌」「ぶってよマゼット」のアリアの伴奏はオーケストラがとてもよく歌い手に応えている。最後の騎士長が晩餐に参った場面では最強の強奏は忘れられないほど強烈なものである。
    W.A.モーツァルトオペラ『魔笛』全曲 ゲオルグ・ショルティ ドイツ・グラモフォン 1990年 序曲はバランスが良くファンタジーの幕開けを期待させる。テンポの運びにもう少しメリハリが欲しいが夜の女王のアリアなどオーケストラと歌唱が一体になった演奏である。録音は大変良く、リファレンスディスクとしても十分通用する。
    W.A.モーツァルトオペラ『ジークフリート』全曲 ゲオルグ・ショルティ ロンドン 1962年 低音の充実歌手の充実。ワーグナーの世界を見事に表している。
    W.A.モーツァルト『美しき青きドナウ』シュトラウス・コンサート カラヤン他 デッカ 1950年以降 『青き美しき』は少しスケールが小さい。『ジプシー』はウィーン気質の粋な演奏である。
    W.A.モーツァルト『クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581』 カール・ライスター/Cl カメラータ 1981年 VnI:ウェルナー・ヒンク、VnII:フーベルト・クロイザマー、Va:クラウス・パイシュタイナー、Vc:ラインハルト・レップ。ライスターのはきはきとしていて円やかなクラリネットとウィーンの伝統を感じさせる熱いハーモニの融合が見事である。
    L.V.ベートーヴェン『交響曲第9番 ニ短調(合唱)』 クラウディオ・アッバード ?年 第二楽章は唄う旋律でチェロの甘美な音色が素晴らしい。
    L.V.ベートーヴェン『交響曲第5番 ハ短調 Op.67(運命)』 C.クライバー 1979年 第一楽章の運命の動機の間合いと力強さが完璧に曲の終わりまで一貫している.とてもにぎやかであっという間に駆け抜ける演奏.深く味わうと云うよりはダイジェストで新幹線の様に走りきる感じである.
    L.V.ベートーヴェン『交響曲第5番,第6番』 Hans Schmidt-Isserstedt ユニバーサル 冒頭の運命の動機の間合いが,緊張感に溢れ,完成された音楽性のみならず指揮者と楽団が一体となった引き込まれる演奏である.C.クライバーの指揮と異なり,楽曲の内部に徹した演奏で聴者が満たされた瞬間がある.また伸びやかに奏した第6番も特筆する.
    L.V.ベートーヴェン『交響曲第7番 イ長調 op.92』 C.クライバー ドイツ・グラモフォン 1979年 テンポの運びと弦楽器の上昇音階、木管とのバランスが完璧に融合した稀有の名演奏。
    A.ブルックナー『交響曲第4番 変ホ長調(ロマンティック)』 カール・ベーム ?年 ホルンの深遠なる響きと弦楽器の弾む旋律は正に優等生的な演奏であり、敬虔な音楽が堪能できる。
    A.ブルックナー『交響曲第3番 ニ短調』 カール・ベーム LONDON ?年 ヴァント氏(NDR)のギリシアの建造物の様な壮大な音楽に対し,厳格に音楽を創り上げた印象.高貴な感じがする.
    F.シューベルト『交響曲第8番ロ短調(未完成)』 ケルテス ユニバーサル 1981年 ホルンのソロが入る前の一斉に奏される冒頭部分の終止形も見事で想像力が駆り立てられる。C.クライバーの様に淡々としているのではなく謳う所は謳いウィーン・フィルらしい演奏である。
    P.チャイコフスキー『交響曲第6番 ロ短調(悲愴)』 ロリン・マゼール ユニバーサル 2001年 憂鬱さと激しさが交錯するスケールが大きい演奏である。第2楽章のチェロの旋律も良い.
    P.チャイコフスキー『3大バレエ組曲』 レヴァイン グラモフォン ?年 曲の情景に迫る演奏か,技術で迫る演奏かの乖離が見られ,不安が残る演奏.
    W.A.モーツァルト『ディヴェルティメント ニ長調〜行進曲ニ長調K.445ほか』 ウィーン室内合奏団 クレスト1000(デンオン) 1991年 VnI:ゲルハルト・ヘッツェル、VnII:ヨゼフ・ヘル、Va:ハットー・バイエルレ、Vc:アーダルベルト・シュコチッチ、Cb:エルベルト・マイアー、Hrn:フランツ・ゼルナー、フォルカー・アルトマン、Cl:ノールベルト・トイプル、ヨハン・ヒントラーで構成されるウィーン室内合奏団。ヘッツェル氏のヴァイオリンの雲雀のような高らかに謳いあげるウィーンらしさを存分に味わうことの出来る名盤である。
    複数作曲家『The Art Of Wiener Kammerensamble』 ウィーン室内合奏団 DENON 2007年 PF:イェルク・デムスら、上記の曲も含まれているディスクは9枚入り。ウィーンの良き時代のゆったりとしたテンポの曲を中心とした室内楽でまとめられている。ウィーンサウンドファンには是非傍らに置いておきたい一つである。
    R. A. Schumann『4 Symphonien』 L. Bernstein ドイツ・グラモフォン 1984-85年 特に第4番の歌うような旋律とゆっくりしたテンポは聴き応えがある.第3番はかなりテンポがゆっくりである.
    ドヴォルザーク『交響曲第8番』 アンドレ・プレヴィン 世界の名曲 チェコの壮大な草原を彷彿とさせる第1楽章の伸びやかなメロディが印象的,場面の移り変わりとFlの静寂さはカラヤン/VPOが一歩優れている.
    マーラー『交響曲第2番ハ短調<復活>』 ギルバート・キャプラン ドイツ・グラモフォン 2002年 マーラーの楽曲の解釈に定評有るキャプラン指揮のマーラー.怒涛の如く突き進む1楽章,厳粛な4楽章のハーモニーが特に優れている.全楽章ともに緊張感が張り詰め,コントラストの付いた理想的な曲に仕上がっている.各楽器の音量のバランスとテンポの緩急のバランスも理想的.

    ●References

    Wiener Philharmoniker Homepage, (http://www.wienerphilharmoniker.at/), 2006-2009.

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    『朝日新聞(2016/10/02朝刊 東京本社版)』記事, 朝日新聞社 東京本社, 2016.

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    『ウィーン・フィルハーモニー 輝やく伝統』, オーストリア友の会編, 三修社, 1974.

    『ウィーン・フィルハーモニー −その栄光と激動の日々』, 野村 三郎, 2002.

    『ウィーン・フィルハーモニー その過去・現在・未来』, ヘルタ・ブラウコプフ著, 芹沢 ユリア訳, 1989.

    『ウィーンフィル&ベルリンフィル』, 浅里 公三他, 音楽之友社, 1996.

    『栄光のウィーン・フィル』, オットー・シュトラッサー, 芹沢 ユリア訳, 音楽之友社, 1977.

    『楽器学入門』, 金光 威和雄, 音楽之友社, 1979年.

    『イタリア・オペラ史』, 水谷 彰良, 音楽之友社, 2006.

    『ウィーン・フィルハーモニーと名指揮者たち』, ヴィヴィアン・プルドム, アルファベータ, 1997.

    『ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団−創立150年記念出版』, 讀賣新聞社, 1992.

    『ガイドブック音楽と美術の旅 オーストリア』, 海老沢 敏・稲生 永監修, 音楽之友社, 1993.

    ウィーン国立歌劇場日本公演プログラム, 財団法人 日本舞台芸術振興会, 1989.

    ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団日本公演プログラム, 2006.

    Franz Endler, "Karl Böhm. Ein Dirigentenleben Gebundene Ausgabe" Hoffmann u Campe Vlg GmbH, 1981.

    Rudolf Hopfner, "Franz Geissenhof und seine Zeit", Ppv Medien Gmbh, 2009.

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    音分析ソフト RAE, リアルタイム・アナライザ, 吉正電子株式会社.

    "Churchill Trust | Winston Churchill Memorial Trust- The Winston Churchill Memorial Trust of Australia Report by Benjamin Ward", (http://www.churchilltrust.com.au/media/fellows/Ward__-_Churchill_Fellowship_Report_-_FINAL.pdf)

    "Gustav Mahler und der Wiener Klangstil heute", Institute of Music Acoustics (Wiener Klangstil), (iwk.mdw.ac.at/lit_db_iwk/download.php?id=16441?)

    AEIOU (Das österreichische Kulturinformationssystem) , <http://austria-forum.org/>, Graz University of Technology (TU Graz) 2015.

    Musik Hammerschmidt GmbH (http://www.hammerschmidt-klarinetten.at/)

    Kunsthistorisches Museum (Sammlung alter Musikinstrumente)

    Scottish Vienna Horns (http://www.svh.org.uk/gallery)

    Wilhelm Heckel GmbH (http://www.heckel.de/de/prod-fagott.htm)

    Harp Spectrum (http://www.harpspectrum.org/historical/wolf_long_updated.shtml)

    Elisabeth Th. Fritz-Hilscher, "Wien Musik-geschichte", LIT, 2011.

    Schatten der Vergangenheit: Die Wiener Philharmoniker im Nationalsozialismus (http://tv.orf.at/orf3/stories/2686333/)

    Musikwissenschaft Verlag der Osterreichischen Akademie der Wissenschaften (http://www.musiklexikon.ac.at/ml/musik_S/Samohyl_Franz.xml)


    ●リンク

    Wiener Philharmoniker:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の公式サイト.2013年にリニューアル.

    Wiener Staatsoper:ウィーン国立歌劇場の公式サイト

    Wiener Philharmoniker / Wiener Staatsoper Facebook:公式Facebook (2012.5.24-)

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