なんと! 機械はふにゃふにゃだ                   HP入り口へ

工作機械とは、高剛性 高精度 高機能 ・・・ 頼もしい限りの機械の母である。

そんな工作機械も、視点を変えると意外な一面が見えてくる。

そこから得た結論   なんと! 機械はふにゃふにゃだ 

室温のはなし   基礎のはなし   恒温室のはなし   外乱のはなし   ナノの世界のはなし

 

           室温のはなし

 

 

大型5面加工機を開発した

プラノミラーのラムヘッド先端にアタッチメントを着脱し、段取りしたワークの5面を自動加工する

まだ、「五面加工機」なる言葉が一般化されていない時代の最先端工作機械だった

加工能力、加工精度も問題なくクリヤーし予定通り機械は納入された
しばらくしてユーザーから、「 加工精度が安定しないので困っている」 とのこと 
サービス部門が出向いて、レベルの点検と精度の確認、修正を実施した


またしばらくして、ユーザーから同じ連絡が入った

精度の再調整をしても直らないことに対してユーザーの不信感も大きかった

確たる解決策が見当たらず、設計同行の上で、現象把握の調査を申し出た

準備したのは、測定機器に加え、高さが2500mmの機械を測定するための足場など大掛かりなものに

シミュレーションプログラムを作成し、30分に一度各部の変位、レベル、温度変化を測定することでスタートした

パソコンが無く、自動測定器も高嶺の花だった時代

要所要所に人が張り付いて数値を読み、記録し、方眼紙にプロットしていく

 

内部熱の発生で緩やかに変化した機械が、やがて安定し、測定値もほとんど変化が見られなくなってきた

しかし、いつ何が起こるかわからないので測定はそのまま夜を徹して続けられた

夜が明け、日差しで工場の室温が急速に上がってくると、機械の先端の変位も昨日と同じように変化し始めた

測定は午後も続けられ、夕方遅くに機械が安定したところで打ち切られた

膨大なデーターの整理は予想をはるかに越えて時間がかかった

数値を書き写し、温度差を計算し、半透明の方眼紙にデーターごとにグラフで書き

それらを併せて蛍光灯で透かして比較し、顕著なものをまとめてグラフを書き、そして考えた

犯人は室温の変化だった

その変化で機体の各部の温度変化に微量の差ができて変位となって現れた

短時間の運転では気が付かないが、長時間に渡ると加工精度に狂いが出てくる

 

改造を実施し、精度は安定し、やがて本機はユーザーからチャンピオンマシンの称号をいただいた

 

このクレームをきっかけに、環境の変化に強い、全天候型マシンへの挑戦が始まった

 

☆☆☆  大きく重い機械も、温度の変化に対して鈍感ながらふにゃふにゃ動く ☆☆☆ 

 

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         基礎のはなし

      

 

NC横中ぐり盤をユーザーに収め、精度も性能も問題なく、すんなりと検収があがった

数ヵ月後、ユーザーから連絡が入り、長手方向のストロークエンド付近で精度が狂うという

加工の範囲外なので、実害は無いが調べて欲しいとのこと

基礎が安定していないことが原因なら、再度レベル調整すれば、たいていの場合okとなる

早速調査をしたが、ユーザーの情報通り機械の片端付近のみ精度の狂いがあり、その他は大丈夫だった

原因が特定できず、お手上げの状態になったため、基礎工事会社も加わり、3社合同会議が開かれた

会議の中で、誰かが過去の古い基礎図に斜めにうねった線が走っているのを見つけた

「 これは、何の線ですか?」 「 さあ、、、なんだろう。 工場を建てる前の線かなあ・・・ 」 

現場のベテラン作業者にたずねたところ、工場が建つ前は、このあたりに川が流れていたとのこと

このあたりは湿地状態で今でも掘ると水が出るという

 工場建設時の状況は分からないが、 原因がはっきりした

それにしても、狂う場所が機械の端でよかったが、加工に関係する位置だったら、どうなっていたことか

    ☆☆☆  基礎の上では、機械は豆腐のようにふにゃふにゃだ ☆☆☆

 

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         恒温室のはなし

      

 

今まで経験した精度より1ランク上のフィードユニットを恒温室で組立てた

部品を入れてから少し寝かせて機体温度を安定させてから組み付けた

検査の段階になり、送りをかけ、その真直を測定

構造的に精度低下の要因を最小限に抑えたつもりだった

しかし、測定値はそんな期待を裏切った

測定器を再確認したり、送り機構を点検したり、測定位置も変えたが改善されない

測定器を前にして全員が腕組みをして考え込む

そんな時、恒温室のドアが開き、誰かが中に入ってきた

すると、測定器の数値がパラパラと動き出した

今度は、全員が定位置について動かないで測定開始、無事検査を終了した

 ☆☆☆ 恒温室も温度以外はふにゃふにゃだ ☆☆☆ 

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         外乱のはなし

      

 

外乱に影響されるのは精密機械の持つ宿命かもしれない。そんな事例3題

(1) 大型旋盤で仕上げ切削をしていたら、時々仕上げ面にビビリマークが出て修正が効かない

普通は原因が特定できるのだが、条件を変えたり振動源を探ったりしてもわからなかった

後日、工場の外、隣接する大通りの自動車の振動が伝播したと判明した

まさか、塀の外の外乱が原因とは・・・

(2) 時々機械が誤動作するが、不規則な発生なので原因がつかめないという

近くに何かあるかと思い、工場内を見学させてもらった

溶接機が動いていた

溶接機の動作時に誤動作が起きることが分かり、対策はユーザーに一任して事なきを得た

(3) 自動機械の計測装置が動作しない

加工後、自分で計測し補正し修正加工をするNC機

時々計測の信号が出ないでアラームになるとのこと

電源を調べたり、センサーを交換しても発生するという

 現場に出向いて、センサーの繰り返し測定テストをした

テストの最中、信号が出ない現象が発生

ちょうどそのとき、走行クレーンが通った

「これだぁ〜」

クレーンを借りて再度センサーテストをし、原因であることが分かった

自分の機械だけで考えても拉致があかないときは、周りに目を配るべし

 ☆☆☆ 外乱に対し、機械はふにゃふにゃだ ☆☆☆

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       ナノの世界のはなし

      

 

ナノオーダーで上下に位置決めする機械があった

最近精度が不安定で困っていると連絡があり、ナノオーダーで測定できるセンサーを借りて挙動を観察する

ナノの世界も始めてだったので、検査時は動かず、機械にも触れず慎重に測定した

送りをかけ、停止させると、数値がパラパラ動き止まらない

軸が共振しているのだろうか? 速度を変えてみるが、現象は収まらない

ナットや、ボルトの緩みを確認し、再度テストするが結果は同じだった

念のため別室でセンサーの校正をしたが異常は認められなかった

肝心な測定値がばらついていて、規則性も無いため、要因の分析ができない

機械を落ち着かせるため、鳴らし運転をすることになった

繰り返し位置決め動作を自動運転させて現場から離れ、モニターで監視

しばらくして測定値が安定してきたため、機械に近づいて再度測定を開始した

しかし、又同じ現象で値がばらつく

「まさかなぁ・・・」

ふと思いついて、ハンカチで口を覆って息を凝らして測定を開始した

値が止まって安定した

わずかな息の漏れが機械に当り、それで変動しているようだ

 ハンカチを取って息をすると、止まっていた数値がぱらぱらと動き出した

「これだったのか・・・」 

今度はしっかりと測定し、原因を突き止め、対策を実施して本来の不具合は解消した

 ☆☆☆ ナノの世界では 機械は息で動くほどふにゃふにゃだ ☆☆☆

 

 

 

 

 

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