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台風の一夜

『台風の一夜』

~台風通過のキャンプ場の一夜~

まだ学生の頃の話です。

テントなどの荷物を積んで信州にツーリングに行きました。
当時のバイクはホンダXL250R(新車・友人のも同じ)
仙台を出て8日めの8月1日・国道○号線、夕方4時頃です。
我々は台風の落石ため国道封鎖にあいました。

『雨が続くと思ったら台風が近づいていたのか』
『朝から晩までバイクに乗りっぱなし、テレビも見てないしラジオも聞いていないもんな』
まあいいさ、今日はこの辺で泊まろう。
ところが、足止めのツーリストたちで旅館はすでに満員。
『どうする?』
『○○市まで戻ろう』
夏とはいえ、山岳道路、おまけに雨。
たいして走行しないうちに歯がガチガチし、ブルブルと寒気が止まらない。
(あるいは先程の鍾乳洞見物がいけなかったのか)

先行する友人を追い抜き
『悪い寒くて我慢できない・・戻って、温泉に入ろう』 

友人と2人、温泉に入る。
このときの風呂はホントにありがたかった。

ゆっくり温まって、あがってきて外をみてびっくり。
たたきつけるように雨が強くなっている。

『今夜、どこに泊まる?』と、心配そうに友人。
しだいにあたりは暗くなり始め、暴風が吹いて来る。
もう、○○市に戻る気力もない。
『・・そういえば』 とワタシ 
『・・来る途中にキャンプ場が・・あったな・・』 
   
グズグズしていられない。
土砂降りの中で設営場所を探す。
幸い少し高台に先人がしっかりと溝を掘った場所があった。
(我々はスコップを持っていなかった・浸水したら寝られたものではない)
しだいに強くなる暴風雨の中でテントを張る。

そのあとキャンプ場のカマド場に米を炊きに行く。
距離にして10メートル位なのだが傘は役にたたない、すさまじい雨。
おまけに火を起こそうとして何度やっても失敗する。
(新聞紙に火を点けると、なんと、そのまま消えてしまうのですよ)

結局、危険だがテントの中で米を炊く。
そしておかずが・・生タマゴだけ。
当時はコンビ二がなく、生タマゴは立ち食い蕎麦のコーナーで買ったのだ・・
・・おお・・2日前の静かな琵琶湖と焼肉とビールは幻のよう・・
あの時はスイカまであったのに・・
 
今はドザーと雨の音。
ビュービュービューと風の音。
バツバツとテントをたたく雨。(フライがつき破れそうだ)
そして、終わりがないかのような、一番耳障りな枝の音
ザワザワ・ザワザワザワザワザワザワ・・・
これらの合唱が一晩中続くのだった。

 
見ると先人の掘ったミゾは、小さな小さな濁流となっている。
浸水の心配はない。
楽観的な我々は、お土産屋で買った地酒をだす。
眠りに就くと近くで水の流れる音がする。
キャンプ場の中に小川でも流れているんだろうか? ・・真っ暗でわからないが・・
 
翌朝は雨が残るものの、静かな朝。
荷物をバイクに積み込んだあと付近を散歩する。
夕べ聞こえた清流・・ないんだね、これが。
変だなといいながらも、出発。
××市までえらい遠回りだ、全く。

途中、ペンション風の喫茶店で朝食。
(ゆうべはごちそうだったからな)
『おたくら、ゆうべはどこに泊まったんだい?』 と、
カウンターの中からマスターが声をかける。

『△△のキャンプ場ですよ』
『あの台風の・・中を!?・・』
『泊まるとこなかったもんでね・・』

 
・・しばしの重い沈黙が・・

 
『ところでこの国道はよく封鎖になるんですかね?』
と、聞き返すと 
『いやあ、伊勢湾台風以来だと思うよ、貴重だ、めったにない、
おたくら運がいいよ』
『へえー』
『それに、来る途中にキャンプ場があっただろう、あそこは
乱気流でテントがよくとばされるんだ』
『でも△△のキャンプ場は大丈夫なんでしょ? 』と、余裕の友人。
『鉄砲水がでるんだよ ! 』  ゲッ!   あの水の流れる音は・・・
 

次の目的地、××市で新聞を買いました。
載ってましたデカデカと。
ここで始めてこの台風のニュースを知りました。
自宅に電話すると、 『・・無事か?心配してたぞ・・』 云々云々。

次にオフクロが出て 『オメダヂ・生・ギ・デ・ダ・ガ?』 
 

この台風は当時、浜名湖などに大きな被害をもたらした10号台風です。
このあと軽井沢に寄ったら、あちこちで木がなぎ倒されていました。
 

END

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