熊野古道・中辺路(小広峠〜発心門王子)
会員の坂田です。

12月12日、前夜のカランクルン忘年会での牛飲馬食の”しごき”を大阪前夜泊という”裏技”でかわし、森本版第4回目熊野御幸に参加しました。今回のコースは、小広峠バス停から発心門王子までの11キロの区間です。総勢18名、険路コースということで、今回に限り予め森本さんの厳重な”資格審査”にパスした精鋭メンバーです。視覚障害者の方もおられましたが、その健脚には脱帽しました。カランクルンからの参加者は、森本さんを含め、杉本さん、南埜さん、小生の4名。杉本さんは、例によってお付の女官を従えての参加です。

森本さんの前口上の通り、このコースは、今までの区間と違って、”準登山道”でして、歩き応えがありました。健脚向きということで、多くの熊野古道ツアーではこの区間はカットされているそうです。途中、一軒の人家もなく、鬱蒼とした杉やヒノキの大樹叢の中をいくつもの急坂を登り降りしながら、ときに石畳を踏み、ときに土橋や丸太橋を渡りつつ、細道を辿ります。昔は山蛭が旅人に襲い掛かった難所だったところで、ところどころに廃村となった人家が石積みの上に崩れかかって残っています。王子跡は、熊瀬川王子、岩神王子、湯川王子、猪鼻王子、発心門王子があります。そのほか、蛇形地蔵、おぎん地蔵、船玉神社などがそれぞれの「縁起」や「いわれ」を体して、薄暗い山あいにひっそりと佇んでいます。日曜日というのに一日を通して出合ったのは、初老の夫婦連れの一組だけという寂しい道行です。あいにく昼過ぎから霧雨が降り出しましたが、3時過ぎ三越峠を越えるころになると雨は本降りとなり、初冬の日足の速さと相俟って、あたりは日暮れのように暗くなりました。一面の杉の木立が烟雨に霞む様はあたかも幽暗の魔界を彷徨っているような雰囲気で、これこそ熊野古道の神髄ではないかとの感を深くします。

音無川のほとりを下り、一行が終点の発心門王子に着いたのは5時近くになっており、あたりはとっぷり夕闇に包まれていました。帰りの時間を考えると、今回は楽しみの川湯温泉入浴はカットせざるを得ません。この温泉は察するに、どうやら川のなかの露天風呂で、事実上混浴のようです。森本さんは、自慢の美形を披露できないことをしきりに残念がっておりましたが、密かに満を持していたフシのある他の女御たちも同じ思いではなかったでしょうか。というのは、もともと女性には誇示したい本能があるのよ、と思わず真情を吐露してしまった古参女御もいたくらいですから。もちろん、小生は、中止になって心底ほっとした口です。

次回はいよいよ最終回、湯の峯温泉泊りでの熊野詣の締めくくりです。1月の月末に予定されています。熊野本宮大社に詣り、現世でのご利益をたっぷりお願いすることになります。また、小栗判官・照手姫の切なくもロマンに満ちた説経を涙ながらに語る森本節が聞かれることでしょう。第1回から通しで参加している閑人は二人だけになっているようですが、次回を逃してはそれこそ「九仞の功を一簣に虧く」の類でして、なんとか全コースを踏破して、いにしえ人の思いを少しでも共有、共感しようと願っております。

今回も森本さんはじめ、すっかり親しくなったご同道の皆さま方にいろいろお世話になりました。ほんとうにありがとうございました。

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