完熟奥多摩流炭焼き講座

○木炭とは

木材に熱を加えると、木材の中の水分が放出し、180℃ぐらいになると木材が分解し始め、270℃ぐらいになると主成分であるセルロースの分解が始まる。この時、セルロースは分解熱という熱を発生させる、この熱による木材の分解を自発炭化と呼ぶ。木材が熱により分解されると可燃性分解物が残る、これが木炭である。

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図1 木材の成分表

 

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図2 木材成分の分解温度

 

○木炭には2種類ある

白炭と黒炭である。

白炭は、1000℃近い高温で炭化させ、炭化した木炭は熱いうちに窯の外に出して消し粉(湿気を含んだ灰)をかけ消火・冷却する。この消し粉が木炭に付着し表面が白くなるので、白炭と呼ばれる。炭質は硬く、燃焼もゆるやかに進み火持ちが良いのが特徴である。代表は和歌山県南部で作られている、材料にウバメガシという木を使った紀州備長炭である。

 黒炭は400℃〜600℃の温度で炭化させ、炭化が終了したら炭窯を密閉して、自然に冷却するのを待つ。炭質は柔らかく、点火しやすいのが特徴である。代表は大阪府北部で作られる池田炭でクヌギを材料とし、茶道用の炭として人気が高い。

 

○用語解説〜  炭焼き体験中に使われる単語の説明〜

 炭材  :木炭にするための木材 

 上げ木 :炭材と共に窯の中に入れ燃料とする物。

末口()  :木の先端側

   元 :木の根元側

クド口  :窯と煙突を繋ぐ部分           

焚口(窯口) :窯の正面の開口部

 尺棒  :長さの見本とする棒

窯内乾燥 :焚口で焚火をして、窯の内部に熱を送り込み、炭材を強制的に乾燥させること。

口焚き  :焚口で焚き火をすること。

止め根っこ:窯口を塞ぐために用いる、湾曲した木材。

 

○炭焼き体験の時間的流れ

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図3 炭焼き体験の時間的流れ

○炭焼きの方法とポイント(黒炭の例)

 

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1)安全に気を付け、炭材に適切な木を伐倒する。

2)伐倒した木は、適度に乾燥させる。

3)木は、持ち運び易いように太い部分は1.2mに細い部分は2.4mに切り揃える。

  また、炭材に成らないような細い部分も薪等に利用する。

 

炭材の調整(木ごしらえ)

1)切り出して来た木は、尺棒を用いて窯に合った長さに切り揃える、切り端は上げ木として

    利用する。

2)片手で握れる太さの物は、運べる量を荒縄で縛ってまとめる。まとめる時は、元末を揃える。

3)片手では握れないが、直径が9cm以下の物はそのまま炭材とする。

4)直径が9cm以上のものは、四つ割にする。

5)全ての炭材は太い方の端()を手前側に揃えて炭材置き場に積む。

 

クド口を温める

 クド口の前で焚き火をし、窯の奥を温める。

 ※焚口〜煙突への空気の流れを起きやすくするための作業。

 

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1)炭材は奥から束ねた物、そのままの物、割った物の順番で詰め込む。クド口に近いほど良い

    炭が出来

2)炭材は太い方を上にして、隙間が空かないように出来るだけ垂直になるよう立てて詰め込む。

3)ある程度(手が届く程度)詰め込んだら、炭材上部と窯の隙間に上げ木を詰め込む。

4)2)・3)を繰返し、窯口の30cm手前まで詰め込む。

5)残りの部分は、窯内乾燥時に窯の内部に炎がまわらないように直径20cm程度の太い乾燥して

    いない丸太を立てて壁とする。

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図4 窯の中の炭材の配置

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1)窯口に耐火煉瓦で焚口を作る

2) 焚口で火を焚き、窯の中に熱を送り込み、炭材を乾燥させる。(16時間)

   ※焚口で隙間なく火を焚くことで空気の中の酸素分を燃焼させ、熱風だけを送り込む。

    酸素が流れ込むと、窯の中が高温のため発火し、炭材が燃え灰となる。

3)焚口の前面には、耐火ボードなどを立てかけ、効率を上げる。

4) 煙道口は3/4程度板等で塞ぎ、 熱風を窯の中で循環させ、炭材を均一に乾燥させる。

 

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図6 焚口の空気の流れ

 

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図5 焚口の耐火れんがの組み方

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1)炭化が始まった事を確認するためのポイント

1、煙道口の温度が80になる。

2、煙が少し黄色くなり、刺激臭がする。

3、煙がたなびく(すぐに消えずにつながって流れて行く。)

2)1)のポイントが確認できたら、止め根っこと、ふるいにかけた土を用いて、窯口を空気穴

       だけを残して塞ぐ。煙道口は2/3ぐらい塞いでおく、

3)炭化は空気穴と煙道口の空け具合で調節する。酸素量を絞り、時間を掛けて徐々に炭化を進

    めれば、しっかりした炭になる。空気穴を大きくし酸素を多く送り込んでしまうと、燃えてし

    まいスカスカの炭が出来上がる。

4)調節が必要な状態のポイント。

1、空気穴から見える窯の中の状態は、炭材が少し赤みを帯びる程度にする、炎が立っているようであれば、空気穴と煙道口を狭める。

2、煙の黄色く材が燃えている臭いがする場合も、空気穴と煙道口を狭める。

3、煙の吹き出しが弱いようであれば、空気穴と煙道口を広げる。

5)窯口を塞いでいる土が乾いて来たら、細い棒で突っつき密度を上げ密閉度を高める。

6)窯の周りの土も定期的に細い棒で突っつき締め固める。(窯が開き、割れるのを防ぐ)

 

○木酢液について  

1)木酢液はきわだ煙及び本きわだ煙から採取する。

煙道口の温度が90〜150℃の範囲のとき、セルロースが主に分解されており、酸成分が多く煙の中に含まれる。180〜200℃の範囲では、リグニンが主に分解されているため煙の中にタールが多く含まれる。

 

 表1 煙の名称と特徴

 

名前

煙道口温度

窯内温度

水煙

濃白淡褐色

80−82

320−350

着火温度

きわだ煙

灰白褐色

82−100

350−400

刺激臭

本きわだ

帯白褐色

100−170

400−450

薄くなる

白煙

淡白色

180−230

450−500

刺激臭弱

白青煙

帯白青色

230−250

500−530

青煙

淡青色

260−300

540−570

精練開始

あさぎ

紺青色

330−350

600−680

煙切り

無色

360−380

700−800

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1)炭化が終了したことを確認するためのポイント。

1、煙が無色になる。

2、煙道口の温度が250を超えている。

2)1)のポイントが確認できたら、ふるった土で空気口を塞ぎ密閉する。

    煙道口は煙突を取り外し、板で蓋をした上、ふるった土で密閉する。

3)最低3日間は放置してから窯口をあける。冷めやらないうちに空けると発火する。