『地球解放軍ジアース』
〜ZAS〜

(92,12,18,T&Eソフト)


ゲームボーイという携帯ゲーム機が御座います。

私が家庭用STGに関して熱を上げる上でほぼ無視しておりました分野、それが携帯ゲーム機におけるSTG。

ですが、視野が狭いのは個人の問題で構わないとしても、「無かったことにする」のはやはり駄目だなと感じましたので以後改めます(平成16年3月)。


〜1〜

T&Eソフト。

この味噌カツ臭い大須って感じの響きのするメーカーさんの名前を聞くと、色々と懐かしい事柄を思い出してしまう30前後の方も多いのではないでしょうか。

T&Eソフトって名古屋でしたよね?

主に「ゲーム機兼パソコム」方面で名を挙げた印象の強いメーカーさんでした。

『ハイドライド』なんて、80年代ゲーセンゲーマーだった私でさえ存じておりました。

その確かな技術力は、新規ハード立ち上げ時に先鋒を任される(レイドック2等)など一定の評価を受けておりました。

ACT、STGなどの純ゲームジャンルを中心に製作し、複数のハードで活躍していた中堅さんでした。

あの3DO、バーチャルボーイではその確かな技術力を出し惜しみせず本領発揮、色々な意味で話題となりました。

最近までは名前を時折見かけておりましたね、PS2でもゴルフのソフト出しておられました。

語りが過去形なのは、このT&Eソフトさんは現在入滅してしまっているからです。

良いものイコール売れるものではないこの世界、本当に惜しい方を亡くしたなと思います。


辛気臭い話はおいといて、T&Eソフトといえば卓越した技術力。

私はゲーム履歴的にこの会社さんと密に接してきた覚えが無く、ここ数年でその全体像を掴んだ程度なのですが、MSX『レイドック2』やMD『アンデッドライン』(パルソフト移植)、スーファミゴルフシリーズ等を鑑みると、その地味な凄さが理解できます。

死ぬまでにはバーチャルボーイの『レッドアラーム』を体験したいなと願っていたりしますねー、噂の、コンビニ弁当にコシヒカリ松阪牛有機野菜使用するかのような無駄かつ無意味な贅沢を味わってみたい。

T&Eソフトと聞けばコンパイルばりの技術力、そして両方入滅済、今日はそれだけ覚えて帰ってみて下さい。


T&Eソフト、技術すごい。

そんな結論に後付けする為に、今日のお題は『地球解放軍ジアース』で御座います。

今回は凄いですよ、できれば最後までお付き合い下さい。


〜2〜

『地球解放軍ジアース』は、T&Eソフトの切り込み隊長ナカツジ氏とナガシマ氏が持てる技術の全てをゲームボーイに注ぎ込み、無理どすえ無理どすえと泣き叫ぶ初代GBの胸倉掴んで腹に膝蹴り5・6発、腰の入った右フックを良い角度で繰り返し、わりと無理矢理作動させているかのような印象を受ける作品です。

ジャンルとしては真っ当な縦スクロールSTG、それ以外の何物でもありません。


わくわくしながら早速仕様説明して参りましょう。

使用するボタンは2つ、ショットとフォーメーション変更、至極単純です。

メインショットは道中のアイテム回収によりパワーアップします。

アイテムは他にバリア効果が得られるものも存在します。

フォーメーション変更に関してですが、これは比較的こちらより有名な東亜プランの『V・V』やコナミの『サンダークロス』を思い出して頂くのが話が早いでしょう。

フォーメーションボタンを押す事により「拡散型」「前方集中型」にオプションが展開し、場合によって使い分ける事が必須となります。

使用感は縦シューということで『V・V』に酷似、『首領蜂』シリーズとも少なからず類似性がありますね。

この、フォーメーション変化によるショット属性変更の元祖、厳密に考えると混乱してくるのですが、単純に「縦シューにおける広範囲又は前方集中」の切り替えと割り切ると、実は今回の『地球解放軍ジアース』が最初の例かも知れません(異論求む)。

オプション的存在を操作してショットを変化させる仕様は珍しくありませんが、それを2種の切り替えという程度に抑えてゲームを組んだ、それは『V・V』が元祖だと個人的に思っておりましたが、『ジアース』の方が1年登場が早いのですよ。

といっても、両者は縦シューとはいえ感覚はまるで別物です。

実際に自機を操作していて受ける感覚というものは、横になりますけど『サンダークロス』、もしくはMSX『スペースマンボウ』に近いと思われますね。

単純に使用感ではなく、フォーメーション変化の存在意義がゲーム性全体と密接に関わり合っているという意味で、『スペースマンボウ』との類似性を指摘しておきますです。


基本は以上、2種に変化するショットを操り縦スクロール、バリア有りで終わります。

ボム等の余計な要素は存在せず、攻略の核心は如何に上手にフォーメーションを操るかにかかっている、コアシューター好みの渋さですね。

ここまでシンプルですと余計に内容自体に注目がいくというもの、そしてその期待を全然裏切りませんから、やっぱりT&Eソフトは凄かったんだなぁと再確認してしまう次第です。

確認しておきますが、技術が凄いのは当然、でもでもそれ以上に何が凄いって、技術と関係無い部分での大事な要素、ゲームそのものへの姿勢が凄いと思うのですよT&Eソフトは。


〜3〜

では続いて、実際に『地球解放軍ジアース』の全体像を眺めてみましょうか。

今回は真っ当なゲームれびぅ風ですねー、いつもこうなら平和なのに。


ゲームをスタートすると、まぁ白黒ゲームボーイですから仕方無いんですが、タイトル画面も寂しく真っ白な背景を宇宙空間だと思ってくれ的な状況下での地味な出撃っぽい、それは大した事ではないので流します。

ファミコンレベルの描画で始まるベタなスペースSTG、よくある類ですよね。

ですが数秒後、ベタな絵面兼展開を想像していた腐れゲーヲタの目に驚くべきモノが飛び込んでくるのです。

92年の初代ゲームボーイ用ソフトで、ガツンとスムーズな多重スクロールの上を流れ星がきらり。

この技術遊びの如き先制攻撃でガツンと黙らせたT&Eソフトは、その後も矢継ぎ早に様々なテクニックを駆使したギミックを連発し、見事にプレイヤーを魅了するのです。

本当に素晴らしいまとまり方です。

この縦シューに込められた数々のギミック、1つ1つ細かく説明していきたい気合い全開なのですが、是非是非ここは、前情報無しに実際に触れて頂いてその眼で確認して欲しい。

過去作品から引用して綺麗に昇華しているものもありますが、その多くはオリジナルの発想によるギミックであり、21世紀現在の新作に登場していてもおかしくない、全く古さを感じさせないレベルです。

1例だけ紹介しておきましょうか、2面ボス。

まずボスは、ブロック状の破壊不可弾を自機の位置をトレースして放ち、そのブロックはその場に停滞します。

ここからが見物で、続け様にボスは薙ぎ払い系のワインダー弾を左右から展開してくるのですね。

このワインダー自体は画面左右隅が安全地帯でして、そこに居れば安心な訳ですが、前段階のブロック弾を上手に組めば、それにより安全地帯を自分で形成する事も可能なのです。

ワインダー弾をこの92年の時点で使っている事自体が既に驚きですが、それをいなすギミック、現在の主流でもある「敵弾いじり」の先駆けとも言って良い有様となっているのが更に驚きでしょう?

初めて眼にした時はびっくりしましたよ、92年のゲームボーイ作品にこんな仕掛けが?と大興奮。

それが1面だけのハッタリに終わっておらず、この後も多彩なギミックが次々に登場するのも凄いのですよ、繰り返しですけど。

この状況はどうでしょう、実際に見てもらわないと凄さが伝わり難いとは思いますが、話聞いただけでも驚愕に値すると思うのですが。

他にも全5面、道中・中ボス・道中・ボスの繰り返しで進むこの『ジアース』、いちいち説明したいギミック盛沢山、ここまでアイディアに溢れたSTG作品は滅多に御座いませんからねー、21世紀に『R−TYPEFINAL』程度の代物を繰り出してきた方々に是以上無い皮肉として送り付けてあげたい感じですよ、北斗七星&カシオペア弾幕という類希なるセンスを見せつけて差し上げたい。

多重スクロールや大きいキャラ表示等による、ゲームボーイでこんなことが出来るのか!的なありがちな技術論には余り興味無いです、92年にこのギミックを盛り込んでいた開発者が凄い、そっちですむしろ。

全5面構成、本当に最後まで驚かされっ放しです。

溢れるアイディアを頑張って詰め込んでみました、その真っ直ぐな態度は必要以上の尊敬に値します。

色々無茶っぽい事もこなしているのに、厳しい処理落ち等に悩まされる場面も無い、まさしく職人芸です。

技術や見た目がどうこうなんてのは、全く関係無いのですよゲームの面白さには。

技術の凄さを誉めて良いケースは、どうしても盛り込みたかったであろう仕様を無理して採用する為に技術で「何とかしている」場合のみ。

それを履き違えてはいけません。


んで、仕様説明の際に申しましたように、オプション切り替えの感触は『スペースマンボウ』や『V・V』に似ておりますが、実際に攻略している感触は『イメージファイト』そのままだと思って下さい。

ショット射出方向こそ前方に固定されておりますが、オプションを閉じたり開いたりで地形に隠れた敵を撃ちに行く必要があるなど、同じ地形縦シュー『イメージファイト』の影響が最も大きい感じですね。

地形の存在によるパターン性の強さもしっかり継承済ですし。

そう言っても難易度が高すぎる訳ではありませんので、地形シューと聞いて露骨に嫌な顔をする必要は無いです。

攻略のコツも「パターン覚えましょう」でしかありませんし、あえてヒントを言えば「弾を撃たないのが正解である時もある」程度。

イメファイですねー、銀銃は孫でしたか。

『イメージファイト』『地球解放軍』『レイディアントシルバーガン』と繋げてみたい感じです、個人的には。

しかし『レイディアントシルバーガン』といい、この『ジアース』といい、『イメージファイト』の遺伝子を持つ作品は、どうしてこうも完成され過ぎているのでしょうか。


〜4〜

可能ならば、その凄味をその眼で確かめて欲しい携帯STG筆頭、『地球解放軍ジアース』。

以前から評価の高さは知っておりましたが、私が実際に触れたのは21世紀になってから、今度ばっかりは自らの見識の浅さを今更ながらに思い知った次第で御座います。

知らずに済ませてしまうには余りにも惜しい、問答無用の傑作ですよねー、評判になる訳です。


そりゃ、今の視点から見れば色々と物足りない点もありますよ。

オプション回りは最低限揃っておりますが、セーブなんかは出来ないしゲームモードだって1つのみ、その辺りは92年ですからね。

『イメージファイト』直系という事で、パターン性の強さも否定し難く、爽快感溢れる作品には仕上がっていないのが現実です。

携帯STGならでは、何時でも気軽に起動できて適度なSTG体験が可能というより、部屋に閉じ篭って姿勢を正してゲームキューブ経由で真剣に遊ぶ類のゲームという評価をしてあげた方が皆の幸せで御座いましょう。

数回クリアしてパターン覚えて一頻り感動し終えたら、その後は余り起動してもらえない類のソフトであるかも知れない、人によってはそのような評価下すでありましょう。

ただ、物事には「一見の価値有り」で十分過ぎる程の価値が産まれる場合もままあり。

この『地球解放軍ジアース』は完璧にソレだと断じてしまいます、その位に極端な評価の方が似合っている気がします。

携帯STGということで、余り細かい操作は普通要求してはいけないのですけどね、『ジアース』は真顔で要求してきますからね、やっぱ「一見の価値有り」派です。


これも92年組なんですよね。

『サマーカーニバル92烈火』、『スーパーアレスタ』、ついでに『鋼鉄帝国』、業務用では『メタルブラック』に『ソニックウイングス』、STGの歴史において確実に太い黒ゴシックで記載されるべき様々な意味の篭った佳作が、集中して登場したのが92年。

この範疇に確実に『地球解放軍ジアース』も入選、偶然の一言では済まされません、STGに興味のある者としては。

東亜が『達人王』でどん詰まり感を出し、コナミやナムコはSTG以外の道を模索し始めていた91年頃、彩京やライジングが台頭したのが93年、その狭間に位置する92年。

STG世界久々のヒット作『レイフォース』登場が94年。

面白いです、面白過ぎます、死ぬまでに何時か必ず「1978〜STG賦」を完成させたいと夢見る私みたいなもんに、物凄い刺激を与えてくれます、この時期は。

でもねぇ、私がフォローできるのはせいぜい『ムーンクレスタ』『スクランブル』以降なのですよ、つまりは80年組以降です。

その前の2年、インベーダー以降の2年がどうしても空いてしまうのですね、悔しいです。


とりあえずは、『地球解放軍ジアース』を一杯遊んで楽しんで、そういえばT&Eソフトさんに関して結局余り触れないまま終わってしまいそうですがまぁ良いや、万が一『レッドアラーム』触る機会あったら又その時にでも、という事で。

良い物を作る会社が生き残る訳では無いというこの世界の厳しい現実、本当何とかなりませんか。

最新の絵の具使って「商品」としてやっつけたタイトルが売れて評価される、他の「文化」のジャンルでは絶対に成立し得ない事が日常化している、どの面下げてこの世界を「文化」扱いできるんでしょうか、作る人も買う人ももう少しだけ考えましょうか?

ゴッホの絵は最先端の絵の具で高価なキャンパスに描かれたから歴史に残っているのだと思いますか?


まぁとにかく、『ジアース』素晴らしいですね、こういうモノこそ復刻すべきですよ、元々の弾数少ないんですから。

残念ながらレア化して現在の入手難易度は相当なもんですが、未経験の方は是非頑張って東奔西走して触れてみて下さい。

T&Eソフトは単なる技術屋ではない、肌身に染みて理解出来ると思います。


(04,3,21)





〜蛇足〜
数々の元ネタの昇華が売りでもある『レイディアントシルバーガン』ですが、何となく、ジアースも入るかなぁと思わないでもないです。コレ!というレベルではありませんが、4面以降に登場する「ブーメラン弾」の軌道と銀銃4C団子虫の類似、1面ボスの「バウンド弾」、ラスボス1段階目の印象、『ジアース』自体が『イメージファイト』風味なので微妙に似た感じになってしまうだけの話かも知れませんけど。あ、やっぱり気のせいですんで忘れて下さい。シンナーの吸い過ぎでした。

ソフト&情報提供協力多謝:Ryo様

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© 1997 kenji1@charis.dricas.com


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