「キョンセーム」について

 

 

キョンセームとは、世界最小の鹿である、キョンの頭皮から作られたセーム革であり、セーム革の最高品質の物です。

キョンセームの、鹿コラーゲン繊維の細さは15Å(オングストローム)で、これは髪の毛の約1/15万という驚異的な細さです。

これは最近品質が向上した人工素材のクロスでも、とても真似のできない肌理の細かさであり、たとえば、人工素材でポピュラーな「クレモネーゼ」はシルクの1/10をうたい文句にしていますが、それと比べても桁違いの肌理の細かさであることは数値のみならず、触った感触でもわかり、楽器にやさしいであろうことは容易に想像できます。

(※シルクは、髪の毛の約1/30だそうです)

また、楽器のみならず、日本刀などの金属にでさえ潤いをあたえるコラーゲン繊維のしっとり感は、人工素材では決して真似はできないと思います。

 

さて、キョンセームは上部の写真のように、真四角ではなく、いびつな形をしております。

これは、取れたままの形で販売しているためで、購入した人が好きな大きさに切って使ってもよいのですが、なるべくそのまま使うことをお薦めします。

というのは、業界の人達の間では、そのままの一枚物というものにある価値があるとされているからです。

 

 

 

キョンセームの使い方

 

通常の楽器の手入れとしては、僕は、練習後、人工素材の「ミクロ・ディア」でさっと松脂を拭き取ったあと、「キョンセーム」で軽くマッサージをするように楽器を拭きます。そして、ときどきは、しっかり磨いてやります。肌理の細かいコラーゲン繊維ですから、磨いても楽器にやさしく、安心して使えます。

また、磨くことによって、薬品系のクリーナやポリッシュなどを使う頻度が激減すると思います。

薬品系のクリーナー等は、大抵楽器にはやさしくはないので、できることなら使わない方がよいと思います。

 

なお、僕は大小セットを購入したのですが、小は15センチ角の正方形です。これを下の写真のように、顎当てに乗せて使うこともできます。

 

 

 

 

 

ちなみに、汗っかきの僕は、「キョンセーム・ハンカチ」(20センチ角の正方形)を顎当てに乗せて使います。(下の写真)

「キョンセーム・ハンカチ」は、やや厚みがあり、汗を沢山吸収してくれそうです。

このキョンセーム・ハンカチは、下の写真のように柄がプリンとされいるのは1,500円で、柄がないものは1,200円です。

通常これらは、洗顔や汗、脂取りに最適なものとして使用されています。

 

 

 

とにかく、普通のハンカチとちがって滑らず、吸湿性がよいので、汗っかきの僕には重宝します。

 

また、購入時、サービスで付けてくれた小さいやつは、弓の手入れに重宝します。

下の写真のようにして使えば、松脂がこびり付き易い弓毛とスティックの間も楽々磨けます。

※ キョンセームには表と裏があります。

楽器を拭いたときに、摩擦抵抗が強い方が表です。

レンズなどを拭くと、より顕著に表と裏の摩擦抵抗

の違いが分かります。

総じて、白っぽい方が表のようです。

ただし、使い込むと、表も裏も同じようになるらしいです。

 

 

 

 

 

 

 

エステ業界も注目のキョンセーム

メガネ拭き用クロスでの洗顔はちょっと待った!!

 

キョンセームは、楽器のみならず、眼鏡のレンズ、貴金属(ただし、メッキ物にはよくないかも・・)も磨けますし、洗顔や女性のクレンジングにも使え、好評らしいです。コラーゲン繊維が、お肌をやさしくいたわってくれるでしょう。エステ業界も注目しているそうです。

ちなみに、メガネ拭きのクロスで洗顔するという美顔エステが有名になり、TV等でも取りあげられたらしいですが、これは本来キョンセームで洗顔するのが正しい方法らしいです。

この美顔エステは、外国からの情報を仕入れた日本のエステ業界の人が、キョンセームを意味する外国語が分からず、「キョンセームが手に入らないときは、メガネ拭きのクロスを代用しても少しは効果がある」という文に目をつけて、それを国内で広めたそうです。

 

クレンジングの方法・・・先に軽くポイントメークを落とす程度にクレンジングします。次にキョンセームをお湯で濡らしてから適度に絞り、クレンジングジェルをキョンセームの上に適量塗って、円を描くようにクレンジングします。クレンジング後は、キョンセームをお湯で洗い、陰干ししてください。

なお、液状のクレンジング剤は適さないそうです。

 

洗顔の方法・・(クレンジング後)キョンセームをお湯でよく濡らし、洗顔石鹸を約10秒ほどキョンセームの上で泡立てて、円を描くように軽く、時間をかけて洗顔します。キョンセームは肌理が細かいので、泡立ちはよくありませんが、15Åの泡と鹿コラーゲン繊維が皮膚細胞に入り込み汚れを落としてお肌に潤いを与えるそうです。

     ただし、1万人に1人ぐらいの割合で革アレルギーの方がいらっしゃいます。そういう方は使用しないでください。

 

 

 

 

 

キョンセームで磨くと楽器の音が良くなる?

 

ネットを見ておりますと、キョンセームで楽器を磨いたら音が良くなったという情報があり、ほんまかいな?? と思っていたのですが、それについて製造元の株式会社 春日さんからメールをいただき、次のような話しをしてくださいました。

 

*****(以下引用)

ストラディバリウス・ガルネリのオーナー様、またお使いの演奏者様方は昨年の7月だったと思いますが、あちこちから一斉にお問い合わせ頂き、こんなに日本にストラデ・ガルネリが有るのか・・と私も驚いた次第です・・そのうち6組様が当社工場まで来られキョンセーム買って帰られました

また、バイオリン・チェロのニス研究家で螢轡礇灰鵐未侶ε鳥瓩睛茲蕕譟ΑΕョンセームを使って手入れすると音まで良くなる・・事、不思議に思われ究明する為にご自身のストラデでキョンセームを使い試して見られ・・

結果、ストラデやガルネリの本物は年代が有る為ニスを上塗りしている物が多く、キョンセームを使うと表面の悪いニス面を均一化・また取り除き本来のニス面が効果を表すので音が良くなるんだ・・と言う事です・・・

私もキョンセームお使いの方が良く音が良くなったと何人もの方が言われるのですが、お気に入り頂き冗談で言われている・・またお世辞で言って頂いている・気のせい・・と思っていたんですが、ストラデご使用の方で余りにも良くなったので・・と言う事が話題となり窪田様の耳に入り、当社に来られる事になったと思います、また窪田様よりイギリス・アメリカ・オーストリアのストラデやガルネリの所有者協会??などへご紹介頂きかなりの枚数あちこちへ輸出いたしました・・・

(キョンセーム私たちでも解らない性能有るんですよ・・・逆に教えられました・・)

*****(引用終わり)

 

もし、キョンセームで磨いたら本当に音がよくなるとしたら・・・
ここからは僕の勝手な推測ですが・・・
ニスやラッカーは時間と共に空気に触れている表面が酸化し、老化しますよね?
多くの人はそれを溶剤や研磨剤の入った薬品系のクリーナーやポリッシュで落とすのですが、そういう薬品系のものは、まだ劣化していない良い層まで痛めてしまうため、高価なオールド楽器を所有する人は嫌って使わない傾向にあります。
すると、そういう古い高価な楽器には(たとえ、ニスが上塗りされていたとしても、それもかなり前であることが多いですから)、酸化し、老化したままのニスが残っている可能性が高く、それをキョンセームで磨くことによって老化した部分が取り除かれ、響き(楽器の板の振動)を疎外するものがなくなるため、音がクリアになるのではないでしょうか?
逆に言えば、楽器が新しいときからたまにはキョンセームで磨いてあげれば、常に良い状態を保てる・・・ということにもなるのではないか、と思います。

 

ただし、僕は音の変化は確認しておらず、本当に音が変わるのかどうかはまだ分かりません。

けれども、もし本当に音が変わるとしたら、興味深い話しですよね。

 

 

 

 

 

キョンセームの洗い方

 

40℃ぐらいのぬるま湯で、石鹸を使ってかるく揉み洗いします。

     決して、熱いお湯は使わないでください。人の肌同様、火傷して、痛めてしまいます。

洗ったあとは、陰干しします。

80%〜90%ぐらい乾いたときに、一度手で揉み解してください。

もし、干したまま乾燥させてしまった場合、少しごわごわになった程度であれば、手で揉み解せば柔らかくなりますが、乾燥し過ぎた場合は、もう一度ぬるま湯に漬け、陰干ししてください。

 

 

 

 

 

キョンセームの入手方法

 

一部の弦楽器屋さんでも通販しているようですが、製造元(株式会社 春日)に直接注文する方法をお教えします。

その方が金額的にお得です。

 

下記メールアドレスに、「森さん」宛てに、「バイオリン用」、あるいは、「洗顔用」などと、使用目的を明記の上、お問い合わせください。

使用目的によって、仕上げ方が少し異なるらしいです。

 

お値段は送料込みで、一枚物が3,000円です。(大小セットは、3,500円)

また、キョンセーム・ハンカチは、柄があるもの1,500円、柄のない洗顔用は1,200円。

その他、使用目的や好みによって、大きさを選べるので、森さんにお問い合わせください。

楽器の手入れには1枚物がお薦めです。

 

なお、注文の際に、「かもめの世界で見た」と書けば、小さいのを通常より多くサービスして付けてくださるそうなので、よろしければご利用ください。

小さいのは、上部の写真のように、弓の手入れや眼鏡の手入れなどにも重宝します。

 

hitomi1103kin@hotmail.com

 

 

 

 

 

セーム革の事情

 

昨今、市場で本物のセーム革というのはほとんど見られなくなりました。

たまに見かけても、鹿以外の動物の皮から作った偽セームであったり、鹿皮であっても、粗悪な作りのものがほとんどです。

本来、道具や楽器の手入れ用として最適なセーム革はキョンセームであり、キョンセーム以外はセーム革とは言えないと言っても過言ではありません。

 

ちなみに、セームの定義は以下の通りです。(製造元からの文章をコピペしました)

*鹿皮を使用した物 
(最高級はキョン・・*常識があればキョンのみしか使いません)
*アルカリ膨醇ナメシ後鱈肝油還元させた物
*染色していない物 
(セームの色は魚油還元時に自然に発色する物です、色物はありえません)

上記以外は、世界タンナーズにより本当はセームと言う名前は付けられないそうです。

 

さて、ではなぜ、本物のセーム革が市場から消えてしまったかというと、コストの面からブローカーが粗悪なセームを世に送り出し、そういう粗悪なセームに比べれば、まだ人工素材の良い奴の方がマシ、という意見が浸透し、また、コスト的にも有利な人工素材のクロスが一般的に使われるようになったからだそうです。

今では、一部の老舗の眼鏡メーカーが本物のキョンセームを使用しているぐらいとのこと。

製造元の株式会社 春日さんところのキョンセームの売り上げは、全売り上げの3%ほどしかなく、これが多少売れたところでビジネス的にはさほどのメリットはないそうです。

しかし、キョンセームを作る技術は、約1,000年もの昔から伝わる鹿革製造技術の最高の技術であるのに、このままでは、本物のキョンセームが無くなってしまい、その製造技術も廃れてしまう危機にあるのが現状らしいです。(ちなみに、キョンセームが初めて日本に入ってきたのは、卑弥呼が中国の魏の国へ使いを送ったときに、魏国から「親魏和王」の金印とともに卑弥呼へ贈られたのが最初といわれているそうです)

 

僕としても、そういう伝統技術が廃れてしまうのは惜しいことだと思います。

けれども、僕がみなさんにお薦めするのはそういう思いからではなく、ほんとうにこれが良い物だと思うからです。

また、すでにお使いの方からも好評のコメントをいただいています。

 

キョンセームは大切に使えば、約20年は使えるそうです。

また、使い込むほどに味がでて、性能も上がるそうで、その点は弾き込むほど鳴りがよくなるバイオリンのようです。

 

 

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