2008年 冬

八ヶ岳

赤岳西壁 主稜
ワンデイ

2008/03/22

主稜取り付き点手前で

先週の阿弥陀岳南稜に気を良くしたのか、「来週もどっか行かない?」と息子を誘うと「うん」という。
来週の日曜日は朝から用事があるので、山へ行けるのは土曜日の一日だけ。まるでヘルマンブールみたいだな。さてどこにしよう?
自宅からのワンデイが可能で選択ルートに柔軟性があるとなればやはり八ヶ岳。中山尾根か赤岳主稜ということで仕度を整えた。
さて、
密度の濃い休日を過ごすとそれは充実したものと感じられるが、その一方で「今週は疲れたから・・・」と何事もせずに休日を過ごすと、休日はあっという間に過ぎ去ってしまう。
今回の山行は日帰り登山だったが、一週間にも相当する満足感を与えてくれたのではないかと思う

3月22日(土)快晴

四街道の自宅を3時半に出発。林道の雪は融雪が進み、チェーンなしで美濃戸まで入ることができた。
今日は一旦、赤岳鉱泉を経由することにしているので柳川北沢沿いの道を行く。
小一時間ほど歩くと、主稜線が見え始めた。上空は風が強いらしく2800mから2900mの稜線は盛んに雪煙を高く上げている。こりゃつらい登高になりそうだなぁ。
一方、赤岳鉱泉は春の日差しの下でのどかだった。春分の日の飛び石連休なのにテントはほとんどなく、宿泊客も見受けられない。静まりかえった小屋前の雪面に腰を下ろし、大休止。小屋の周りには風はないが、上空を吹く風の音がゴーゴーと聞こえる。
中山乗越へ向かう。疲れが出てきてペースダウン。中山乗越にたどり着いてザックを下ろし、それに腰掛けて休む。
「はー疲れたな、赤岳主稜が無難だな」
などと考えていると、中山尾根方面から下ってきた一行の一人が
「いつもホームページ見ていますよ」
と話しかけてきた。広島の小林さんという方だった。思わず声をかけてしまったということだが、そんな気持ちがとてもうれしかった。
重たい腰を上げ行者小屋へ向かう。行者小屋周辺も静かだった。テントは3張りほどしかなく、ひと気もない。
少々長めの休憩をとって、文三郎道へ向かう。
今回は雪が深い。ところどころで深い雪に落ち込みながら時間をかけて登っていく。
12時50分に赤岳主稜取り付き点へのトラバース分岐点に到着。雪がしまり足場が安定しているのでロープをつけずに慎重に取り付き点のチョックストーンの下までトラバースする。最後の数歩だけ雪が不安定だったので素直をビレイした。
案じていた風もやんだようだ。
取り付き点でギアを身につける。セルフビレイをとってハーネスを装着する。不安定な雪の斜面で支度するというのは失敗だった。文三郎道の平坦地で仕度をするべきだった。
もたもた準備を整え13時30分登攀開始。
まず、真正面からチョックストーンを抱えるようにして乗り越す。リッジに出て少し登りステンレスアンカーの整ったビレイステーションでピッチをきる。
2ピッチ目もアイゼンをガリガリさせながら易しい岩場を登っていく。ロープを50m目いっぱい伸ばすとちょうどステンレスアンカーがあるので、安心して素直をビレイすることができる。
3ピッチ目、4ピッチ目と簡単な雪面と雪稜が2ピッチ続く。日の当たっている部分は雪が消えて岩が露出し登りにくい。
5ピッチ目から再び岩場。リッジを忠実に登っていく。少し登りにくい狭いクラック状を越えると岩稜は次第に明瞭さを失ってアイゼンの引っかき傷を確認しながら登っていく。ここはビレイステーションがなく岩にスリングをまわしてビレイ。
6ピッチ目、素直がリード。既に傾斜も緩み雪と岩の混じったゆるい斜面となった。
7ピッチ目、少し登ると赤岳天望荘からの一般登山道と合流。16時半、頂上小屋の前でビレイ解除。
赤岳北峰山頂の雪面に素直と二人でどっかりと腰を下ろす。ザックをあけてテルモスの湯でロイヤルミルクティーを溶かして飲む。今朝、自宅で沸かしてきた湯だがまだ熱い。
西日を受けた素直の表情も満足げだ。
しばらく休んでから慎重に地蔵の頭(あたま)へと下っていく。下降路は地蔵尾根。今月初旬に敦子と下っているので記憶も鮮明だ。タイトロープで慎重に下降していく。岳樺帯まで下ってくるともう安全地帯だ。いつもの通り下山連絡。
行者小屋へ着いたときにはまだ明るかったが、ハーネスをはずし、アイゼンをはずし、ギアを整理していると暗くなった。ヘッドランプを出す。テントもだいぶ増えたようだがそれでも10張りはないようだ。
早く車にたどり着きたい気持ちもあって途中で休憩しないで歩いた。美濃戸の赤岳山荘に到着したのは19時40分。
すぐに車を発進させ、自宅までノンストップで走る。四街道の自宅に帰りついたのは22時半。
今朝自宅を3時半に出発してから19時間、非常に満足度の高い山行だった。


四街道 3:30
美濃戸 7:20
赤岳鉱泉 9:25--9:45
中山乗越 10:20--10:35
行者小屋 10:45--11:15
文三郎道、主稜分岐点    12:50
主稜取付点 13:05--13:30
赤岳山頂 16:20--16:35
行者小屋 18:20--18:40
美濃戸 19:40
四街道 22:30


背後に行者小屋が見える



2ピッチ目のビレイステーション



4ピッチ目の雪面



ここから上部となる



赤岳頂上小屋の前でビレイ解除

地蔵の頭付近から振り返る赤岳