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薩摩硫黄島 '97 3/16

薩摩硫黄島・恋人岬からの眺望

薩摩硫黄島・恋人岬からの眺望

【どんな島?】

 薩摩硫黄島は、開聞岳の沖合い50kmほどに浮かぶ小さな火山島である。かつては流人の島であり、平家の怒りをかって流された俊寛が有名。港の横には去り行く赦免船に向けて手をさしのべる俊寛像が建つ。何年か前に硫黄島の海岸で雨降る中、歌舞伎役者・中村勘九朗によって三島村歌舞伎「俊寛」が演じられたそうだ。

 海から突き出た硫黄岳(標高704m)の山頂は、いつでも雲と噴気の混ざった厚いガスに覆われている。山腹のいたるところから白い水蒸気が立ちのぼり、その姿は地下のマグマ溜まりからのびる煙突の様である。島に近づいて行くにつれ、周囲の海水の色が黄色っぽく変色していることに気がつく。硫黄島港内の海水にいたってはさび色というか、いわゆる血ノ池地獄の色をしている。この異様な海の色を見たとき、かつてこの島に流された人々は何を感じただろう。硫黄岳自身に噴火記録は無いが、硫黄島の沖合い数kmでは昭和9年に海底火山が頭を出すほどの噴火が起きている。

薩摩硫黄島位置図

 硫黄島は、6300年前の巨大噴火によってつくられた大カルデラ(鬼界カルデラ)の端に位置する。この巨大噴火では、周辺の広い範囲に火砕流が流下し、日本中で火山灰が降った。火砕流は海を渡り、屋久島にも達した。これを根拠に屋久島の縄文杉の樹齢は6300年よりは長くないと主張する説もあるそうだ。

 鬼界カルデラのカルデラ璧が天然の良い防波堤となるせいか、周辺にある他の火山島の港に比べ、硫黄島の港は大きく、漁船も多く、とても活気づいている印象を受けた。島全体も平坦な土地が比較的多くあり、椿などが栽培されている。島の中をあるいていると、なぜか孔雀に度々出会う。地元の方の話によると、かつて観光の目玉にしようと連れてこられたものが野生化したとのこと。孔雀の他にも硫黄島の観光開発への努力が島の様々なところで感じられた。


【登山】

登山路途中の噴気口

登山路途中の噴気口
 硫黄岳には山頂火口まで舗装された車道が延びている。しかし、この道は観光用ではなく、山頂で行われている硅石採掘のトラックのための道である。したがって、登る時は港の横にある採掘会社「南島オパール」に断ったほうがよい。

 途中の道は木が一切無いので、ガスのなかに入るまでは景色はたいへん良く、屋久島、口ノ永良部島が望める。山頂に近づくと道のあちこちに噴気が現われ、しだいに火山ガスも濃くなり、息苦しく、視界も悪くなってくる。

 山頂付近には純白の硅石がゴロゴロある。ここで採掘されている硅石は一体何に使われるのだろう。文献によるとガラスや陶磁器の原料として用いられるそうだ。また入浴剤に使うと良いと硅石が細かく砕かれて粉薬の様になったものを島のおみやげ屋の方からおまけとして頂いた。硫黄島の硅石の品質は高く、それから得られる収入は島の経済の重要な支えとなっているそうだ。


【観光】

硫黄島に行ったら必ず訪れたいのが、硫黄岳のふもと、かなたに口ノ永良部島を望む磯にある東温泉。温泉は皮膚がピリピリするくらい酸性が強く、これまた火山らしくて良い。迫力のある景色と、この露天風呂を独り占めできる。それも無料で。その他、坂本温泉というのが島の北側にある。

東温泉

東温泉

牧場の風景

牧場の風景
 また以外に良かったのが、港から歩いて1時間程にある恋人岬。その歯の浮くような名は誰がつけたかは知らないが、ここに来れば硫黄島を一望できる。途中には、牛の遊ぶ広々とした牧場がある。その景色は、まるで北海道の高原のようであり、自分が南海の孤島にいることを忘れてしまう。

 そのほか、歴史的史跡などがたくさんあり、小さいながらもいろいろ楽しめる島だった。他の火山島に比べ地形もそれほど激しくないので、2泊3日もいれば歩くだけでも島を十分楽しめた。


【島に行くには】

 硫黄島へは鹿児島からの船と枕崎からチャーター機が飛ぶが、貧乏旅にはやはり船。船は三島村村営の不定期便「みしま」が月に11航海。出航予定は鹿児島にある三島村役場船舶課(0992-22-3142)に問い合わせればわかる。鹿児島港から硫黄島までは、約4時間の船旅である。途中で島中が竹で覆われているその名も「竹島」に立ち寄る。
 航海には、日帰り、一泊、二泊航海と3パターンあり、日帰り航海の場合、船は硫黄島のさらに先の黒島に立ち寄ったあと、直接鹿児島に帰ってしまう。一泊、二泊航海の場合は、船が黒島で一泊、二泊と停泊した後に、硫黄島、竹島を立ち寄って鹿児島に戻る。一泊航海で旅しようと思うと、硫黄島到着が13:30、出発が次の日の10:30と硫黄島での滞在時間が短いので、二泊航海の利用をお薦めする。二泊航海ならば、丸一日硫黄島に滞在できるので十分に楽しめる。

船に積まれるバキュームカー

島での回収作業を終え、船に積まれるバキュームカー


【豆情報】

・港のそばの三島開発総合センターの横では、水も手に入り心地よくキャンプができる。何を隠そうここはキャンプ場なのだ。センターの方に一言ことわろう。すぐそばには温泉プールまで存在する。

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