八幡平 '97 8/18
東麓の松尾村から八幡平を望む
| 秋田と岩手の県境付近には、八幡平のほか 秋田焼山、秋田駒ヶ岳、岩手山と4つの活火山が存在する。これらのうち八幡平は唯一噴火記録を持たない。とはいうものの、周辺での噴気活動は活発で、山腹、山麓には豊富な温泉が湧いている。西麓の後生掛温泉には泥火山という不思議なものがある。泥沼の中から火山ガスが泥を絡めて噴き出る。はね上げられた泥はまわりに積もり、いつしか山になる。なるほど、泥をマグマに見立てれば、これも立派な火山である。 |
後生掛温泉 泥火山 |
八幡沼
| 八幡平の東麓から見返り峠に向けて、アスピーテラインと呼ばれる観光登山道路を登ってゆくと、途中に突如として八幡平らしくない風景が広がる。冷たいコンクリートの廃屋群と露天掘りされた山肌。ここは大正の初めから昭和にかけて栄えた松尾鉱山の跡である。開山以来、半世紀の間硫黄の採掘、生産を行い、最盛期には我が国での硫黄のシェアの1/3を占めたという。一方で坑道から流出する酸性水で下流の北上川が汚染され、その影響は岩手にとどまらず宮城にも及んだそうだ。硫黄の生産が回収硫黄に代わられるともに鉱山は衰退してゆき、昭和47年に閉山した。しかし以後も酸性水は流出し続け、公害問題は残されたままになっていた。昭和57年になって、「鉄バクテリア酸化・炭酸カルシウム中和法」なるものを用いた中和処理場が建設され、今でも毎分17立方mで噴出される酸性水の処理が行なわれている。そして現在、サケの溯上や白鳥の飛来が観察されるほどに北上川の水質は回復したという。八幡平の美しい自然の影には、こんな苦い歴史があったことは驚きであった。 |
松尾鉱山跡 |