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秋田駒ヶ岳 '95 8/18 '97 8/17

男岳から主峰・女目岳と阿弥陀池、遠くに岩手山山頂を望む

 

 誰でもハイキング気分で登れて、高山植物を気軽に楽しめる山として秋田駒ヶ岳は人気があるようだ。シーズンになると8合目までバスが入り、わずかに300mの標高差を登るだけで1637mの女目岳(男女岳)山頂に立つことができる。さらに途中にある阿弥陀池ではちょっとした湿原散策も楽しめる。夏ともなると、百花繚乱の草花たちを求め、たくさんのハイカーで山中は賑わう。そんな夏の彩りが山一面に広がるのをよそに、南部カルデラには1970年噴火の溶岩流が黒々とした体を横たえている。

【1970年噴火】

 1970年、秋田駒ヶ岳の南部カルデラ内にある女岳から噴火が始まった。吹き上げられたマグマが夜の暗闇の中に赤い光跡を描く。当時の写真に見る噴火の光景はとても美しく、神秘的である。結局、噴出されたマグマは溶岩流となって山腹を流れたもののカルデラ内で止まり、人や家屋に対する被害はほとんどなかったようだ。この時の火山灰によって周辺の高山植物が大きな影響を受けたそうだが、現在では女岳山腹にも高山植物が繁茂していて、30年程前に受けたダメージから立ち直ったように見える。一方、1970年の溶岩流そのものには植物らしいものは未だほとんど生えておらず、トゲトゲした表面にわずかなコケがしがみついているだけだった。

男岳山頂から眺める1970年溶岩流

男岳山頂から眺める1970年溶岩流


【登山】

「夏の男女岳登山」

 秋田駒ケ岳の最高峰・女目岳の北東山腹8合目まで県道が通じている。ただしシーズンには県道の通行は規制され、マイカーでは入れなくなる。代わりに県道入口の駐車場から運行される登山バスに乗り換える。乗用車1台分位の幅しかない曲がりくねった道を大きなバスが結構なスピードで登って行く。時折、道にまで張り出した木の枝が車体に当たるものの、それをものともせず順調にバスは進む。バスの運転手の卓越したドライビングテクニックには舌を巻くばかりだった。

 8合目からは、女目岳を大きくらせん状に登る。始めはそこそこな登りであるが、しばらくすると緩やかな道へと変わる。ハイマツの向こうには整った二等辺三角形型の森吉山がかすんでいた。女目岳の南側に着くと目の前に阿弥陀池という大きな池が現れる。池の縁に敷かれた木道をしばらく歩いたのち、土止めが張り巡らされた斜面を山頂に向けて短く急登する。1時間もかからずに山頂に着いたが、この日は曇り空で展望は悪かった。

「夏の男岳登山」

 ある夏の日。もう一度、秋田駒ヶ岳に登る機会を得た。8合目からの道は混雑が予想されたので、今度は秋田駒ヶ岳の南麓にある国見温泉からのルートを選んだ。現在の国道46号線は脊梁山脈を越えるのに秋田駒ヶ岳南側を貫いている仙岩トンネルを通るが、かつては今のトンネルの上に位置する国見峠を越えていた。その当時、使われていた道の秋田側は廃道になってしまったが、岩手側は国見温泉に向かう道として残されている。現国道から分かれ旧道を8kmほど登るとひなびた山の温泉・国見温泉に着く。

 温泉宿の裏手から始まる登山道はしばらくブナの森の中を登る。息の切れる道を登ること一時間で南部カルデラの南縁に着く。ここからは横長根と呼ばれるカルデラの縁に沿いながら高度を上げてゆく。周りの木々の丈が低くなりはじめ、いつしか植生はハイマツ帯に変わる。ハイマツの上では二羽のホシガラスがのどかに遊んでいた。標高1500m程でホシガラスと出会えるのは東北の山ならではだ。足下が黒土の道からコマクサ咲く砂礫の道へと変わる地点から、カルデラの中に下る道へと入る。

 女岳、小岳といったカルデラの中にできた火口丘の脇を進んでゆく。火口丘とカルデラ壁に囲まれた窪地には小さな池が水をたたえる。池の畔にはシシウドが群落をなし、その群落の中に男岳と女岳への分岐がある。女岳方向には人があまり入らないらしく、シシウドが道にまで覆いかぶさっている。ここから男岳に向かってカルデラ壁を急登し、再びカルデラ縁に出る。目指す男岳山頂はここからわずかに登ったところにある。

 今まで登ってくる間に出会う人はわずかだったが、男岳山頂は、弁当を広げる人、ビールで一杯やる人、記念写真を撮る人などで大賑わい。そして大展望に誰しもが目を奪われている。岩手県側は一面雲の海が広がっている。雲海の中から島のごとく岩手山が頭をのぞかせている。反対の秋田県側は雲一つ無く、遠く鳥海山まで望まれた。


【豆情報】

・国見温泉には3軒の温泉宿があり、登山で疲れた体を休めるのにはもってこい。そのうち日本秘湯を守る会の会員でもある石塚旅館は入浴のみ400円。露天風呂あり。

・いくつかのガイドブックには国見温泉のキャンプ場が紹介されているが、実際行ってみたところ少々荒れ気味。車道から外れて、山の中をしばらく登るので、登山者はともかくライダーなどにはつらい。


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