O T T O & C O M P A N Y    P R E S E N T S

成功への遍歴

ベーデンパウエルの幸福論

"Rovering To Success"
ロバート・ベーデンパウエル作(1922年)・中村知訳
Otto&Company編

ロバート・ベーデンパウエル(1857-1941)はボーイスカウトの創始者である英国紳士。以下に掲載するのは、1922年に刊行され、ボーイスカウトの奥伝書とされている彼の代表著作「成功への遍歴(Rovering to Success)」のダイジェスト(中村知さんの翻訳からの抜粋)です。この本は、著者が男子の生き方についてをローバースカウト隊(ボーイスカウトの中で最年長者の組織)の青年たちに説いたもので、ここでいう「成功」とは人生の成功、すなわち幸福を意味していますから、いわばベーデンパウエルの「幸福論」と呼んでもよい作品です。ボーイスカウト専用の書物ですので市販はされておらず、世間的認知度は皆無に等しいのですが、この本は有名なヒルティやアランやラッセルの「幸福論」に比肩する品格を持っている上、指導書であるだけに内容ははるかに具体的で実用的なものとなっています。この本では、男子が人生で遭遇することになる5つの暗礁(誘惑と言ってもいいでしょう)への対処方法が順に語られていきます。5つの暗礁とは馬(=ギャンブル)、酒、女、カッコウといかさま師(=自分を洗脳しようとするマスコミ・批評家・作家・政治家・思想家・宗教家など)、無宗教の5つのことで、最初の3つは「飲む、打つ、買う」のいわゆる男の三道楽煩悩(さんどらぼんのう)に当たります。この本は男子のためのジェントルマン養成教科書ですので女性の皆さんにそっくりそのまま適用できるものではないかも知れませんが、その素晴らしい考え方には普遍性があり、プロフェッショナル論やリーダーシップ論からタイムマネジメント、ナレッジマネジメント、ボディーマネジメント、ヒューマンマネジメントの技術論に至るまで、数々の示唆に富んだ具体的アイデアが詰まっていますので、ぜひ女性の皆さんにも親しんで頂ければと思います。Otto&Company

Table of Contents

第1章 成功への遍歴 | 第2章 第一の暗礁「馬」 | 第3章 第二の暗礁「酒」 | 第4章 第三の暗礁「女」 | 第5章 第四の暗礁「カッコウといかさま師」 | 第6章 第五の暗礁「無宗教」
補章1 14の悪癖を克服する方法 | 補章2 スカウトの掟


第1章 成功への遍歴

  1. 世間の人々は、他人の損失によって何か利益を得ることを「成功」と言っている。そのようなものを私は「成功」と考えない。私の信ずるところでは、我々はこの驚異と美に満ちた世界にそれを鑑賞するために、また時にはそれを増進させるために、また他人を出し抜くためではなくて他人を助けるために、そうしてこのようなことのすべてを通して人生を楽しむために生まれてきたのである――これが幸福となる道である。
     
  2. 金持ちには金持ちの限界がある。彼は部屋がたくさんある大きな家を2、3軒持っているかも知れない。けれども、彼の体は一つしかないので、それらの部屋はかわるがわる唯一つしか使えない。
     
  3. 貧しい人でも、次の2つを実行すれば、億万長者以上に人生を楽しむことができる。
     
     第一に、ものごとをあまり深刻に考えず、自分の得たものに最善を尽くし、人生をゲーム(その目的は、尊敬されるように立派に勝ち抜くこと)と考え、世間を競技場と考えること。
     
     第二に、自分の行動と考え方を愛(=他の人々に善行をしたり、親切を尽くしたり、思いやりをしたりする時に示す心のやさしい精神や、自分に親切にしてくれた人々に対してあらわす感謝の気持ち=善意=神の御心)によって導くこと。
     
  4. 幸福というものは、先に延ばしたのでは何の役にもたたない。そうでなく、どんな時でも常に生活を楽しむところに道はある。
     
  5. 多くの人々は「快楽」を幸福と同じものだと思っている。これが間違いのわかれめである。「快楽」はただの気晴らしに過ぎない。「快楽」の効果は一時的で、時間がたてば消えてしまう。幸福は君にくっついて離れず、しかも一生涯続く。天国は空中のどこかにある空漠とした仮想のものではなく、この地上に実際にあり君の胸の中にあり君の周囲にある。
     
  6. アーネスト・カッセル卿いわく、「多くの人々は富は幸福をもたらすという理論を信じ過ぎている。私は金持ちだからそう言えるだけの資格があると思うが、実はそうではないのだ。一番値打ちのある物とは、金銭で買えない物のことである」
     
  7. 家庭の幸福にしても、まだ自己というものをはるかに大きく越えたところまで伸びていない幸福であり、利己主義になる危険を持っている。利己主義こそ不満の根である。
     
  8. 本物の幸福はラジウムみたいなものである。幸福は、与える量に比例して増えていく、愛の一種である。そして、それが誰の手にも――極貧の者にさえ――届くところにあると言われる所以である。
     
  9. キャノン・ミッチェル牧師いわく、「自分の幸福を神に頼んではならない。神に頼むのは、あなたが合理的に役立つ人になれるように頼むのである。そうすれば、幸福は自動的にやってくる」
     
  10. 他の人々のために役立とうとする努力、これがその要求の大部分を満たすのである。積極的に善いことをするということが大切なのである。他の人々に奉仕する能力を持っている楽しい家庭こそ、一番上等な幸福をもたらすことができる。
     
  11. 君の人生を煉瓦やモルタルで作った家に閉じ込め、やれ商売だ、やれ政治だ、金作りだというような、人間が作ったはかない下らないことに甘んじないようにすべきである。それよりも、あたりを見回して、できるだけ広く自然の驚異を学び、世界と世界の様々な美と神が君に与え給うた興味ある事々とを、できる限りすべて観察しなさい。
     
  12. 学校では主として勉強の仕方を学んだにすぎない。もし君が成功したいと思うならば、自分で自分を教育することによって、君の教育を仕上げなければならない。それは、次の3つの責任に答えられる自分を自分で作ることである。
    (1)自分の職業または商売についての責任
    (2)将来、子供の父となる者としての責任
    (3)市民としての、また他の人たちの上に立つ者としての責任
     
  13. 神は男を男らしい男にするために作り給うた。一方、文明というものは都会生活、バス、冷暖房などとあらゆる点で諸君の用を満たすものだから、男を弱い無気力なものにする傾向にある。我々が逃れようとするのはそのことである。
     
  14. 裕福な子供の通うパブリックスクールの教育はよくないという声をしばしば耳にする。しかし、その良さは教室で教わる内容よりむしろ運動場や校外で学ぶことにある。そこでは、一人の少年は、公明正大な振る舞いやスポーツマンシップや率直な行為や名誉感を身につけることを彼の仲間から期待される。彼の仲間が少年を訓練するのである。
     
  15. どんな暗礁にも明るい面がある。万事は最初に考えた以上に好転するものだ。
     
  16. ブラッチフォードいわく、「私は人間同士の思いやりと奉仕の中に、完全にして永続する幸福があると言いたい。人類に対する思いやりと彼らに奉仕することによって、諸君は正義を感じ、利己主義を捨てる。すべての闘争、すべての罪悪、すべての圧迫、あらゆる恐ろしい憎悪に満ちたいやなもの、それは利己的な人々の不正な行為から起こる。これに反して、美術、詩、文学、友情、平和、愛の歓喜と祝福に貢献する者――哲人、詩人、画家、忠実な友人、愛する両親、夫、妻――は、人類に奉仕し、人類を愛する人たちである」

箴言集

  1. この世の中で成功するための最上の道は、
    他の人々に忠告する事柄を
    自分自身が実行することである
    ――作者不詳
     
  2. この世で大切なことは、
    どこに自分が立っているかということよりも、
    どの方向に向かって進んでいるかということである
    ――ホルムズ
     
  3. 成功するかしないかは、
    外的援助よりも
    独立独行によることが大きい
    ――エイブラハム・リンカーン
     
  4. 現代の灌木とならず、
    杉になれ
    ――サー・トーマス・ブラウン
     
  5. 我々は、
    我々がそれは自分だと考えるような我々ではなくて、
    考えるところに我々はある
    ――作者不詳
     
  6. この世にはいろいろのものが満ち溢れているから、
    皆が王様のように幸福であるはずだ
    と私は思う
    ――スティブンソン
     
  7. 幸福な人は富んでいる。
    だが、富んでいる人が
    みな幸福だとは限らない
    ――セイロンの諺
     
  8. 自分の荷物は
    自分で背負え
    ――カナダ人の格言
     
  9. 幸福というものは、
    その人の顔に現れたにやにや笑い以上のもので、
    それは心の輝きである。
    それは、自分の体が
    与えられた機能を
    完全に果たしているという自覚である
    ――パーレット
     
  10. 人に引っ張ってもらう
    ことを必要とするような連中の
    仲間入りをすることは、
    男としてまっぴらだ

    勇気を持っているなら、
    自分の本分を尽くして、
    自分のカヌーは自分で漕ぐだろう

    前途の暗礁を恐れずに見つめ、
    酒と女と知識人ぶるお方にも気をつけて、
    座礁することなく、舵をとり、
    自分のカヌーの中でほほえむ

    (合唱)
    自分を愛するように隣人を愛し、
    この世の旅の終わりまで、
    涙や悲しみに負けずに、
    自分のカヌーを自分で漕ぐ
     

第2章 第一の暗礁「馬」

  1. この暗礁の暗い面とは、のらくら遊んで暮らしたり、競馬やフットボールの試合に賭けたり、懸賞のつく勝負事をすることである。その明るい面とは、真のスポーツと余技を楽しみ、自分の生計をたてることである。
     
  2. 時を無駄にするな。ひまな時には真のスポーツと余技を。金儲けには自分に適した職業と節約を。幸福になるには他の人々への奉仕を。
     
  3. 真のスポーツとは、君の役に立ち、見るのではなく自分がするものであればどんな種類のゲームでも活動でもよい。例えば、登山。エベレスト遠征隊長ブルース将軍いわく、「問題なのは山の高さではなくて、ほんのわずかな制服困難な部分である」。登山には、困難に直面した時、たとえ不可能のごとく見えた時でも、冷静な決断力と明朗な快活さを失わない修業を積むという徳育面の効果がある。
     
  4. 余技を持っている人は時間を無駄にしない。他の娯楽にやすやすと引き込まれることもない。余技と手技とは技能へと通ずる。自分の思考の全部とありあまったエネルギーとを物を作ることに注ぎ込む人は、自分の仕事を完全無欠なものにさせずにはおかないから。そして、心が手先にまで及ぶと創造と工夫とがそれに伴い、余技の作業をしている間にしばしば発明家が生まれることになる。
     
  5. 音楽、絵画、彫刻、演劇などは、都会に住む人々にはたやすくとっつける余技である。美術館や博物館や音楽堂のある土地ではのらくらと遊び過ごす必要はない。しかし、これらをただ受身的に楽しむことは推奨しない。積極的に自己表現することが肝心。自己表現とは、詩を書いたり、大工仕事をしたり、バイオリンを弾いたり、粘土細工やスケッチなどの作業をすること。切手、コイン、化石、骨董品、昆虫、鑑賞植物を集めるのもおもしろい。野鳥や植物や動物の研究のため、田舎の自然をぶらぶら歩く。自然の中で養鶏、果実栽培、ジャム作り、兎の飼育、靴の製作、その他昔からある自分の好きな物を作る。君が引きつけられる余技があれば、それはおそらくお金ではなく、一生続く満足感で君に報いてくれるだろう。
     
  6. 職業は、どんな種類の仕事に君がいちばん適しているかを見出すことである。最初適しない仕事についたなら、給料をもらいながら、自分は何をするのが正しかったかをじっくり考え、チャンスをとらえて、断然別の仕事に赴くべきである。同時に、「隣の庭の芝生はうちの芝生よりも青い」と見えがちであることにも注意をする必要がある。
     
  7. 節約はけちのことではない。自分に対してはけちであればあるほどよい。けれども、他の人々へのための支出にけちをしてはならない。
     
  8. どんな仕事にも推薦できる申し分のない性格とは、
    (1)有能(=仕事に熟練し能率的)
    (2)精力的(=積極的に働き熱心)
    (3)信頼できる(=まじめで時間を守り、誠実でお金や仕事の機密を守る。馬鹿らしいことや間違ったことをしない。雇主に忠誠であるばかりか、部下にも忠誠である。人が見ていなくても仕事に励む)
    (4)創意工夫に富む(=どんなに困難であろうと打開する道を見出す)
    (5)部下をリードする手腕がある(=思いやりがあり、人間味があり、駆使することなしにリードする)
    (6)明朗快活(=笑いをもって快活に事を運び、人をもそうならしめる)。
     
  9. 第一次大戦のフランス軍将軍フォッシュ元帥いわく、「諸君が成し遂げるべき仕事をもらった時は、次のことを慎重に考えること。
    (1)君にどんなことが要求されているか、または君はどのようにそれを成就させたいと思うかを知る
    (2)それから、それを立派にやり遂げる計画を練ること
    (3)その計画に対する十分な理由付けをすること
    (4)手持ちの材料に適するように実施すること
    (5)とりわけ、意志、それも強固な意志を持ち、立派にやり遂げ成功させるという決意を持つこと」
     
  10. エネルギーというものは、その一部は健康な身体から発するのであるが、君が従事している仕事に対する心からの興味から発することの方が多い。
     
  11. 最高の労働者は、いちばん幸福な生活者と同じく、彼らの仕事をゲームの一種みたいに考えている。すなわち、一生懸命やればやるほど楽しみは増す。H・G・ウェルズいわく、「いわゆる偉人なる者は、その本心は全く少年であることを私は見抜いた。つまり、彼らは少年のように自分の任務を楽しむことに熱中する。彼らが働くのは仕事が好きだからで、従って仕事は彼らにとって全く遊びと同じである。少年というものは大人の父であるばかりでなく、少年は大人の中に生き、そして生涯消え去らないものである」
     
  12. 仕事に敏捷であれ。練習によって改良できる。君が遊びでも平素の動作でも敏捷であるならば、それは習性となり、仕事の上でも敏捷となる。この敏捷さの練習を日々の着衣のとき実行するとよい。
     
  13. 私は人々が成功に必要な装具を十分身につけて人生のスタートを元気にきったが、登る途中で忍耐力の不足のため失敗した例をたくさん見ている。事が思いに反した瞬間、何もかも捨ててしまい、他のことに手を出す。もし投げ出して他のことに手を出したりすることが習性となるならば、そしてその習性が癖になるならば、君の一生は投げ出しの連続となり、決して向上しなくなる。

箴言集

  1. 貪欲が入ってくると
    正直は出て行く
     
  2. もし君が四角い杭であるならば、
    四角い穴を探せ、
    そして、そこに到達するまでは
    満足してはならない
     
  3. どうしたら仕事がおもしろくなるか。
    好きだから面白くなり、
    しなければならないからと思うと苦しい
    ――アール・パーレット
     
  4. 君が死んだとき、
    みんなが(葬儀屋までが)悲しんでくれるような
    生き方をせよ
    ――マーク・トウェイン
     

第3章 第二の暗礁「酒」

  1. この暗礁の暗い面は、自分の耽溺によって、人間としての真の幸福を破滅に導く誘惑をさしている。その明るい面は、欲望を制することによって、性格を強くし、より高い人生の悦楽を勝ち取ることである。
     
  2. ある人々は、心身ともに疲れた1日の終りに余分の時間を作り出す。しかし、仕事の能率からいえば早朝にかなうものはない。
     
  3. 休養ということは、私の解釈では、なまけることではなくて、気分の転換である。
     
  4. フットボールとかその他の運動のためには、体調を整えておかなければならないことを知っておりながら、給料や昇進がかかっている仕事をする場合には、このことを忘れるようである。もし君がいつも自分のコンディションを保っているならば、君は仕事もひとの2倍できるし、余暇も人の2倍もたのしむことができよう。
     
  5. 132才で頑健そのものの農夫シェル老は長寿の秘訣をこう語った――「うんと働きなさいよ。だが、働きすぎてはいけません。働きすぎるということは、働かなすぎるのと同様、いけないことです。あなたの身体が要求するだけの食物と睡眠とをとり、その上に毎日、少々、生活をたのしむことです」
     
  6. 事務所とか委員会の仕事で長い時間をすごした日には、時々、私はあるささやかな「楽しみ」を求めることが有る――これはだれにも言わないでほしい――ミュージックホールとか映画館に行くのである。おもしろい笑いの1服は頭脳の洗濯みたいなものだ。
     
  7. 男を男らしくすること、もっとよい言葉で言えば紳士にする性格を形成する要素の中で第一にとりあげるべきものは、自制である。自分自身、自分の怒り、おそれ、欲望――事実、良心と「恥」を除いたあらゆるもの――を制御できる人は紳士への道を進んでいる人である。
     
  8. 「紳士」とは、短いゲートルをつけたり、眼鏡をかけたり、お金持のおしゃれのことをいうのではなく、「清廉潔白な人」、つまり不正をせず、騎士的であり、人の助けになり、どんなことにも信頼するにたりる名誉心をもっている男をさすのである。
     
  9. 世人は往々、「困難や危険または苦痛な目にあった時、微笑をうかべ口笛を吹きなさい。そうすれば、ただちに、その事情は一変して見えるだろう」というスカウトのおきてを冷笑するようである。けれども、私は冷笑した人自身がいっぺんでもこれをやってみて、それでもなおかつ、この考え方に賛成しなかったという例を知らない。これは、疑いもなく、願った通りの効果をあげた。そして、これを実行すればするほど、自制心は発達し習性となり、したがって、性格の一部分となる。
     
  10. 自分を制御することから生まれる大きな利益は、君の考えを不快な問題から切り離して、意欲湧きでる楽しいことに考えを切り替えさせてくれるということである。
     
  11. ヴィッケハムのウィリアム老は昔、「作法は人間を作る」と宣言した。その通りである。真の人間は礼儀正しいものである。すなわち、彼は敬意をあらわし、思いやりがあり、そしてどんなことがあっても愛想がよい。こういう人が紳士である。
     
  12. もし相手が感情を制御できないなら、相手は君の思いのままになる。――ただし、それは君自身が感情を自制できるならばのことである。
     
  13. こういう考えで前進しなさい――礼儀正しく、自制心をもって、紳士のごとく行動しなさい。そうすれば、君の対抗者がこういう資質を欠いている場合、君はいつでも勝利を収めるだろう。
     
  14. 性格(これは飲酒への最高の解毒剤)をつくるもうひとつの要点は、他の人々に対する忠誠心であるが、特に重要なのは自分に対する忠誠心である。
     
  15. アーネスト・シャックルトン卿は自分の最後の探険に出航する前にこう語った。「リーダーシップをとることは実にすばらしいことだ。だが、それには罰点がある。そして、その罰点の最大のものは孤独感だ。リーダーは部下に何もかも話してはならない。物事の真相だけでなく、その真相に関しての感情をも部下に内密にしておかなければならない。リーダーは事態がまったく不利であっても、その事実を語ってはならない。南極におけるリーダーシップを可能にさせるものはただ一つ、忠誠心だけです。部下の忠誠心は、リーダーに対するもっとも神聖な信頼です。この信頼は決して裏切ってはならないものであり、リーダーが守らなければならないものです」「どんな言葉でも、彼らの勇気と快活とを正しく言い表わすことはできない。快活で勇敢で喜んで苦痛に耐え、笑顔と歌うことによって渇の苦闘をおさえ、生死の間を何ヶ月間もさまよいながら、決して悲しまない――勇気に本当の価値を与えるのは、こういう精神なのです。私は自分の部下を愛しました」
     
  16. 忠誠は非常に貴重な資質である。それは真の名誉感を持っている人が啓培し、万難を排して強力に保持しなければならないものである。
     
  17. リーダーは、その部下に対して忠誠を要求する。けれども、それとひとしく、リーダー自身もまた部下に忠誠でなければならない。この点はスカウトのおきてに強調されている。つまり、「スカウトは彼の雇主および彼の目下の人々に忠誠である」
     
  18. また、次に、リーダーは自分がそのために働く主義に対しても忠誠でなければならない。このことはリーダーの任務の中の最も難しい点である。たとえば、一人の将軍が戦場に臨んだ時には、おそるべき大責任を持たされているのをわかってくれる人はあまりない。将軍はその部下全員の忠誠心を一身に集めながら、部下の生命を今日限りのものにするか、それとも、将来のために戦闘の結果を最重要視するかという事実をはかりにかけねばならないのである。そのうえで、彼が愛している部下、彼を信頼している部下を、国家の安全と福祉のためという大義のために、危険にさらさねばならないのである。
     
  19. しかしまた、自分が自分に対する忠誠というものもある。誘惑にあった場合、良心は「ノー」と叫び、迷いの心は「イエス」という。
     
  20. 自尊ということは、性格にとって、重要な要素である。自分が自分を尊敬できない者は(大酒飲みとか怠け者とか乞食にはできない)、他人から尊敬されることを期待できない。
     
  21. チップを受取る者は自分自身を卑下し、施しを受ける乞食の高さに自分を落とす者である。チップの習慣は、これが発展すると、地位の高い者にはいわゆる「役得」となり、更に高い地位の者には収賄、汚職となるのである。
     
  22. サムライというのは、1500年の歴史を持つ日本の騎士のことである。わが中世の騎士とよく似たものであった。彼らの指導理念は武士道といい、その中で武士は次のことを奨励される。富の代わりに貧、虚飾の代わりに謙虚、広言の代わりに慎み、利己の代わりに無私、個人の利益の代わりに国の利益、それに加えて、個人の勇気、剛毅、忠誠、自制、および純潔を重んじた。
     
  23. この世の中でいちばん悲劇的な光景は何であるか、諸君は知っているか? それは恥じている人に会うことである。それを見る方の人もほとんど同じように、恥ずかしい気分にさせられるものだ。
     
  24. 病気を治すためには、意志よりもむしろ想像力を働かさねばならない。自己暗示は病気や苦痛を治すばかりでなく、それと等しく、記憶力のよくない人、神経的恐怖症の人およびもっと特記すべきは――これは青年にとって重要なのだが――アルコールとか、煙草、性的な誘惑、その他の放縦からくる悪癖をも直すことができる。自己療法なるものは、自己暗示の技術である。治そうと決心さえすれば、人は自力で多くの病気やほとんどどんな弱点でも、治すことができる。

箴言集

  1. 自尊――うぬぼれでなく――は
    他人からの尊敬を産む
     
  2. 品性は
    人生におけるこのほかのどの属性よりも貴い
     
  3. 自制は
    性格形成上三つの役割をもつ
     
  4. 食事と食事のあいだの時間に
    酒を飲んではならない
     
  5. 自分は人格者になると
    夢想することはできない。
    あなたは自分自身を鍛錬し、
    性格を形成しなければならない
    ――フロイト
     
  6. ツグミの忠告に
    耳を傾けなさい。
    「スティック・トゥー・イット(固守せよ)、
    スティック・トゥー・イット(固守せよ)、
    スティック・トゥー・イット(固守せよ)」
    とないている
     
  7. 息子よ、
    郵便切手を考えてみなさい。
    その価値は
    先方に着くまで
    へばりついてはなれないところにある
    ――ヨッシュ・ビリングン
     
  8. 何もかも思い通りにならず
    心をじらすように見えるとき
    さからったり、騒いだり、そわそわせず
    ここだと思って――あなたは――微笑め!

    誰かがあなたを「だます」とき
    話半分にきいて
    辛抱し、だまされず、そして愉快そうに
    ただ、あなたは笑いとばすだけ

    けれども、あなたが気分が重くて
    (そういうことは、無論、時々あるものだ)
    微笑むことも、笑うことも、大笑いもできないなら
    ただ――じっと――していること
     
  9. 誘惑は払いのけよ

    酒が君に「おーい。ぼくは君の友人だ!」と
    声をかけても、相手にするな!

    酒が君に「お前は人並みに強いなァ」と
    話しかけても、相手にするな!

    つまずいてころばぬ前に
    どぶに落っこちる前に
    パンとバターを失う前に
    それを払いのけなさい!

    誘惑がやって来て「いかがですか?」と
    たずねても、相手にするな!
    そして「いかがお暮しですか?」と
    いっても、相手にするな!

    どんなに優しく、甘い言葉をかけても
    こいつは、おそろしい力をもっている
    悪魔の手先の人さらいだ
    相手になるな!
    ――B.B.Valentineの"Ole Marster"より
     

第4章 第三の暗礁「女」

  1. この暗礁の暗い面は女性に払うべき敬意を忘れさせる誘惑である。明るい面は、騎士精神と男らしく女性を守る力を養うことを通じて、誘惑に対して自分自身を護ることである。
     
  2. 昔の騎士たちは、彼らの誓約によって、婦女子に丁寧であった。即ち、婦人や子供に対してこれを敵から守ったり、力になることである。このことは、男性の役割として婦女子に、深い敬意を表わし、やさしい思いやりを払い、男らしい心の力と体力とを結集して彼女らが受ける中傷や残酷またはあざけり、そして時としては、彼女ら自身が犯した失敗に対してでさえも、それを助けるため勇気をふるって立ち向かうことを意味している。騎士精神をもたない男は男とはいえない。この騎士精神を持っており、婦女子に敬意を払っている男性は、決して野獣のような行動をとる程までに自分自身を低下させない。また自分と一緒にいる女性が自尊心を失ったり、他の人たちからの敬意を失い、自滅させるようなことはしないはずである。こういうリードをするのは男性の責任である。
     
  3. 騎士的になるということは女性に敬意を払い、そして彼女の長所をすべて認めることである。また、彼は弱い人たちや老人や不具者に対しても思いやりをもたねばならない。そうして、幼い者たちを愛護してやらねばならない。これをするためには、彼は自制力を働かせて、心の中のあらゆる不純な考えを切り捨て、自分の考えが清潔でほめられるべきものであるように気をつけ、その義務感は人から笑われても、ひやかされても意に介さないぐらいまで高めなければならない。
     
  4. 「私のすべき仕事じゃない」というのは、臆病者が自分の騎士精神の欠如をかくすために使う隠れ蓑である。けれども、だれかのために役に立つことであれば、どんなことでも、それは男にとって彼の仕事なのである。
     
  5. 男女の別を問わず、だらしのない連中からは遠ざかりなさい。そして、多くの仕事や、ボクシングとか、散歩とか、ハイクやフットボールとか、ボート漕ぎなどのような健康な運動をしなさい。余暇には余技をしたり、良書を読んだりして、それによって君の思考をみだらなことから切り離しなさい。酒、煙草ののみすぎ、食べすぎ、柔らかすぎ、暖かすぎるベッドで寝ること、こういうことはすべてよからぬ誘惑を育てるものであるから、避けなさい。また、競技も自然的な精力のよいはけぐちである。それには体力による闘争および勝利という戦いにつきものの要素がある。けれども、そのあり方をよく考え少年たちを「闘争心の餌食」にさせないよう訓練することはできる。
     
  6. われわれは、各人みな異なっている。それ故に、他の人々がわれわれよりも劣っているからといって、彼らを軽蔑してはならない。
     
  7. "Mens sana in corpore Sano"(健全な精神は健全な身体に宿る)
     
  8. 人間は一生かかっても到底返済できないような債務をその母親に負うている。けれども、これに対して彼のできうる最上の返済は感謝の念をあらわし、そして自分が立派な人物となり、母の努力が実ったことを立証して見せることである。
     
  9. 自分の血液をきれいに純粋に保つべし。きれいな血液は、君の身体、筋肉および皮膚を発達させ強くする。
     
  10. 「スカウト・ペース」、すなわち20〜30歩走っては、20〜30歩歩くというように、走るのと歩くのとを短い距離ずつかわるがわる行く方法は、長距離走行からおきる心臓の過労を防ぐことができる。長距離を走行することは、肉体的に誰にでも適したスポーツとは言えない。
     
  11. 血液を清く保つためには、たくさんの酸素――すなわち新鮮な空気――が必要である。
     
  12. レッドインディアンは、子供がまだ赤ん坊のときから、口からではなく、鼻から呼吸するよう訓練している。そのわけは、いびきをかき、そのために夜間敵に自分の在りかをさとられないようにするためであるが、それとともに、大口をあけていることは男の品位に影響すると考えているからである。口をあけているような人間は性格の弱いことをあらわしているというのだ。われわれも、やはり、それはしばしば弱い身体を作ることを知っている。そのわけは、口から呼吸する人は空気中の有毒な細菌を鼻孔の内側の水分によって捕らえ防ぐ代わりに、吸い込んでしまうからである。そこいらに飛んでいる感冒やその他の病菌を吸い込むのは、口を空けて呼吸するからである。
     
  13. 国民の不健康の半分近くは、悪い歯からくるといわれている。病気になった歯や歯ぐきは、君が食物を正しく噛むことを妨げるばかりでなく、ばい菌や微生物という小さい恐ろしい獣を口の中に飼うことになる。それが食物と一緒に下降することは、君に連続的に少量ずつ毒性の服用物をとらせることになり、そのわけもわからないで、君はだんだん体がだるくなり体力が衰える。
     
  14. もし君が強くなろうと思い日常の習慣を正しくよく守って、身体の内外を清潔に保ち、戸外でじゅうぶん運動をし、贅沢でない食物を適量に食べ、煙草も酒も度を過ごさず、鼻から呼吸するならば――君は生きていることを神に感謝するであろう。
     
  15. 新鮮な空気と運動の2つは、成長の最中でも、成長した後でも、健康にとって絶対的に必要なものである。君たちは戸外の新鮮な空気の中で運動をすべきである。いちばんよい運動はたやすくできるし、同時に金のかからないもの、即ち歩くことだ。
     
  16. 文明国の女性は男らしい男、その身体だけでなく、心までも強い騎士的な男性をいっそう賞賛するものである。
     
  17. 神は君に身体を与えて下さった――いや、与えたのではなく、それを君に貸して下さった――それを最も役に立つ身体にするように。
     
  18. セント・ジョージは竜と戦った。しかし、君たちは誘惑の竜と戦ってそれを退治する。そうするならば、その結果として、君は自分を男らしい男、清潔で君の愛する娘に対し騎士的である男になれるだろう。
     
  19. 人間には、動物にはない心と知能がある。男は動物的肉欲だけではなく、賛美と愛情と献身とを捧げることのできる相手を選ぶことにロマンスを経験する。もし君が人生の真の幸福を楽しみたいならば、そのためには、君が愛情と尊敬を得たいと望むような本当に立派な女性と結婚することである。
     
  20. 君は妻に秘密を持たないこと、また君の妻も君に秘密がないこと――そうすればその航海は平穏であろう。
     
  21. 時としてトラブルも起きようし、最初には予見できなかったようなこまごました困難が家庭にはでてこよう。君は結婚する前は、自分のことばかりしていればよかった。ところが結婚したからには、自分のことはあきらめて、君の細君のことをしてやらなければいけないし、後には、君たちの子どものことをしてやらなければならなくなる。君は自分の癖であり些細なわがままの原因でもある自我をとり去らなければいけない。妻の立場から万事を見なさい。不平不満を並べても何にもならない。そのかわり、婚約時代に与えたささやかな愛の贈り物や賛美や賞賛を与えなさい。互いに譲り合い、いつも微笑を忘れないようにしなさい。
     
  22. もし彼女が少々気むずかしいならば、それは君に対する愛情のためそうなるのである。君がそういうことに気づくならば、彼女はそれに応ずるであろう。女性というものは、男性よりも感激が大きいだけでなく、彼女の性格は夫たる男性の導きによって形作られるようにできているのだ。もし、彼が厄介な人間であるならば、彼女は小言を言う。もし彼が親切であるならば、彼女はそれ以上の親切をつくし、家庭は愛情と笑いの場となる。
     
  23. 不平家でわがままな父親は将来自分の息子が自分を罵倒したり、自身の思い通りのことをしたとしても、驚かなくてよい。現在まいている種を刈り取るだけだからである。君は自分の子供をおどすのではなく、むしろ愛情をもって訓練するがよい。親切な親というものは、愛らしい娘と親孝行な息子を授かるものである。君がそこに生活していたがために、この世が前よりもよりよくなるということを君が目指すなら、君はますます幸福を深めるであろう。
     
  24. この方針への一つの歩みは、また、君が父親としてなしうる範囲内にあることだが、君の息子を自分よりよい男性に育てることである。そのためには、君は自分の知っていることを全部、そして何を狙い何を避けるかを彼に教えることである。
     
  25. 私は、わが身をなまけさせたり、放縦にさせることは幸福を意味しないことを悟った――すなわち、本当の幸福とは奉仕を通じて得られるのみである。

箴言集

  1. 男は
    女に対して、
    強大な善事をしなければならない。
    なぜなら、
    自然は彼らに
    持ち上げさせるために大きな丸太を与え、
    また持ち上げる力を男に授けたからだ
    ――エイブラハム・リンカーン
     
  2. 頑固にならぬ心と
    無理をしない落ち着きと
    人を害しないつきあいとをせよ
    ――チャールズ・ディッケンズ
     
  3. 妻を得るものは、
    美物(よきもの)を得るなり、
    且つエホバより恩恵(めぐみ)をあたえられる
    ――旧約聖書 約言18章22節
     
  4. 健康は
    富貴よりも貴し
     
  5. 清潔は
    敬神に隣りする
     
  6. 「紳士」とは
    足の爪をも清潔にしている人である
     
  7. 父親に対する恐怖の念は
    必ずしも敬意を意味せず
     
  8. 鞭は往々
    卑怯者を作り、嘘つきを作る
     
  9. ひとびとよ!
    神の助けによりて
    真人間となれ
    ――パリの聖ジャーヴェ教会で聞く
     
  10. 人は健康であるべく作られたから、
    幸福のために作られたことになる
    ――メーテルリンク
     
  11. 眼によって幻想を起こすな。
    幻想によって、意志を起こすな。
    眼と幻想の中間で理解を中庸にならしめよ
    ――エフ・クワール
     

第5章 第四の暗礁「カッコウといかさま師」

  1. この暗礁の暗い面は、カッコウや、へそ曲り、いかさま師、または過激論者の誘いに乗って、巻き込まれてゆく危険性である。明るい面は、自啓自発と社会に奉仕する力を伸ばし、カッコウ主義の誘いに対抗することである
     
  2. カッコウは卵を生みたくなると、巣を作らないで、ほかの鳥の巣を探しに出かける。おれは「ほかの鳥とちがうんだぞ」と鳴きまわる。人間のカッコウは、普通、自分の側のことばかり考え、他人の立場は考えないおえらがたである。自分の利益のために謙虚な人たちを利用したり、自分のしたい事に邪魔になる者を押しのける
     
  3. カッコウには2つの危険性がある。その一つはそういう人たちのリードに君たちがまきこまれる危険性である。もう一つの危険性は君自身がカッコウになることである
     
  4. 自分以外の者に左右されないしっかりした自主性をもっている人までを動かすことはできない
     
  5. 思慮の足りない聴衆を捉えるのは弁士だけではない。著述家だってそういうのがある。君たちは活字になったものを見るとき、どういうものか、それが真実であるかのごとく思いやすい。全部を盲信しないことである。もし彼らがある問題の一面を書いているようなことがあるならば、同じようにすぐれた権威者の反対意見も読むべきである
     
  6. 草むらには蛇がたくさんいるものだ。蛇とは、巧みに機会を捉えて君たちに話しかけたり、大言壮語したり、または人気のあるクラブの仲間だとか「同志」などというひびきの良いことばで、君を誘いこもうとする人たちのことだ。だから、少なくとも片眼だけは見開き、両耳をそばだて、用心することだ
     
  7. シーソーの両端に過激論者がいる。彼らは大声で世間を騒がせて、烏合の衆の注意を引こうとするカッコウである。国民にとって幸いなことは、両極端にいる人々の真中に良識を備えた人々がいることだ。こういう人たちは大声でわめきはしないが、静かにものを考える人であり、分別のある労働者であったり、人間味のある雇主であったり、公共心に富んだ慈善家である。換言すれば、フェアプレイに徹し全体の幸福のために互譲の精神を持った市民である。こういうしっかりした人たちこそ、両極端の間のバランスを保つことができるのである
     
  8. 正しい意味の進化というものは非常に大きな問題である。それは公生活および私生活のあらゆる面に大きな影響を及ぼすし、周到な研究を必要とするし、また不利益を蒙る人たちを慎重に扱う必要もでてくる。さもないと、人民大衆の呪いの種になり祝福でなくなる
     
  9. 正しい進歩は静かに進行してゆくものだ。若い血はあまりにも性急である
     
  10. 過激論者は基盤を築くという地味な仕事はやらないで、目立った仕事の方を選ぶ
     
  11. 個人の自由はそれが社会の自由を妨げない限り認められる
     
  12. 自分自身が知識人ぶるという危険がある
     
  13. 若い時分には、何と多くの人たちが政治家とか詩人とか、思想家とか雄弁家とか芸術家として自分自身の素質を買いかぶっていることか
     
  14. 仲間の間で自分を有名にしようとか、自分を高めようとするような安物の野心を持つ者は、自分自身を失望させるだけである。そして、その競争で彼を追い抜いた者たちに対しては、ねたみ、憎悪、敵意をいだくことになる
     
  15. 正義を重んずる野心だけが意味のある野心であり、それは幸福への一助となる
     
  16. 偉大であるとか、異例の人物と思われたいための個人的野心は、気取り屋を作るものである
     
  17. おしなべてカッコウはユーモアのセンスを全くもっていない
     
  18. 軽薄、うぬぼれ、および皮肉主義というものは、人々を利己的にし、また人をあなどるようにする。彼らは、「いったい誰が自分たちに善を示してくれるのか?」を自問し、納得できる答えが得られないため、彼らは善というものを信じなくなるのである。事態がこうなると、敬虔の念は滅びる。敬虔の念の滅びたところに、道徳的、精神的進歩を望むことはできない
     
  19. 君たちより恵まれない兄弟たちに、友情と善意の手を差しのべることは君たちの務めである。もし君たちが紳士であるならば、君たちはそれを実行するであろう
     
  20. もしゲームにおいて他のチームが自分たちを打ち負かした時に、いじわるをしたり非難したりするならば、君たちはそういう自分たちの態度を下劣と思わないだろうか? 君たちはそんなことはしたくないだろう。それはスポーツマンらしからぬ態度である。従って、君たちよりお金持ちである者に対しても、スポーツマンらしからぬことはするな
     
  21. 中世騎士の言葉に――
    「彼を知ってみれば、よい人間だということがわかる。けれども、早く彼を知らねばならぬ」
     
  22. 彼は着ている衣服によって友達を選ぶのでなく、その人物によって選んでいた
     
  23. ガッシュ・プリッグ(Gush Prig)というのは、感情のままにふるまう者のことである
     
  24. 自己表現は結構であるが、それが行き過ぎて、「感情のほとばしり」にまでなると――あまりにしばしばあることだが――、興奮して、威張りちらす
     
  25. 大部分の若い人々は22才を迎えると、知るべきことを全部知ってしまったように思う――そして、自分たちが知っているということを他の人々に知ってもらいたがるものである。それが32才になると、まだ一つ二つ学ばねばならないことがあると気づく。42才になると、大いに勉強する。(73才の私は今でも勉強している)
     
  26. 政治家、それも特にはっきりした意見をもっている政治家たちは、一般的に、年をとるにつれて初期からの後援者に失望されるようになるのが普通である。その理由は、彼らはその間に多くのことを学び、経験によって彼らの視野が広くなって、あるひとつの問題について考える場合、もっと別の考え方もあるのだという重大な事実がわかったからである
     
  27. 若い頃、私はとても素晴らしい考えを打ち出すのが常であった。それで、私はインスピレーション(霊感)と思い込んで、詩的な情熱にかられて書きとめた。ところが後年それを読んでみると、なんたるたわごとであることよ!
     
  28. 自分の感情の噴出は書いておく。だが2〜3年はそのまま保存しておく。そのあとで取り出して読んでみると、やれやれ誰にも見られないでよかったと思いながら破ってすてるだろう。そのときの喜びは疑いなしである。自分の感情をさらけ出す前に、先ず安全装置ということを学ぶべきである
     
  29. 自啓自発は、教育は、カッコウ主義に対する安全装置である
     
  30. ここでいう教育とは、学識を深めるよりは心と魂を教育するという意味である。前者は危険を素通りすることを可能にするが、魂の教育は君をそれ以上に向上させる。もし旅行したり読書したり、他人の経験に学んだり、自然界から学んだりして広い知識をもつことによって君が君の心を大きく広げるならば、カッコウの誘惑の声をしりぞけて安全を保つことになろう。そして、より高い理想を抱いたり、善意と親切から他の人々に思いやりを持つことによって君の魂を大きく広げるならば、君自身をカッコウにしたり、アメリカでいうHigh-brow(知識人ぶる俗物)にするようなことは決してない
     
  31. 君が年をとって賢明になればなるほど、自分のずるさは減ってゆき、もっと学びたいと思う
     
  32. 学校で学んだ知識を土台として、自分自身をさらに教育する者は成功する。それには読書や講義が君の役に立つ
     
  33. 民主主義の脅威は努力しなくともまっすぐに歩けるようになるのと同じように、自分で考えないで、まっすぐな考えしか持たない人物がいるという点である。世界は民主主義によって安全を保つことが可能であるけれども、心理的浮浪人が自分から救われるまでは、民主主義そのものは世界にとって安全なものとはなりえないだろう
     
  34. 世の中に肉体的破壊者がたくさんいるように、心理的浮浪者や浪費者がたくさんいる。こういう人たちは安っぽい新聞だの、口のうまい弁士や、下劣な書物や映画のいいなり放題にわが身をまかせている連中である
     
  35. 旅行と読書と自然界の探求は自啓自発のすべてである
     
  36. 書物は人間がもつことができる最良の友である。君は自分の好きな友を選ぶ。いつでもその友に頼ることができる。彼らは君の仕事を助け、君の余暇を活かし、そして君の悲しみを救う。君はその友を君の家に呼び寄せ、身のまわりに常にはべらしておける
     
  37. まあ、君が興味を持っている書物から読み始めたまえ。もし自分で判断できないようなら、百科全書を見るとよい。もしおもしろい本を読みたいなら、ロバート・ルイス・スチブンソンの「宝島」か「誘惑」から読み始めれば、間違いはなかろう。またシェークスピアの劇がおもしろくもあるし、教えられる本でもあるので、非常によい読書になる。スチュワート・ホワイトの「森」とグレイソンの「友情の路」はローバーリング向けの愉快な本である
     
  38. 読書する場合は、読むのであって、うわっつら読みしてはならない。読みながら研究する――すなわち、その意味を心の中で注意深く租借するならば、読んだことはそれだけ長く身に着いて忘れないし、結局はそれだけ読書の効果をあげることになる
     
  39. 次の言葉はベーコンのアドバイスである。

    「反駁するためや打算のために読書してはいけない。そのまま信じ込んだり、当然と思ったりしてはいけない。話のたねや説教のたねさがしに読書してはならない。書物は分別をつけるため、考えるために読むものである。書物には味わうものも、そのまま吸収すべき本も、またよく噛みしめて消化しなければならない本もある」「読書は充実した人を作り、会議は間に合う人を作り、執筆は精確な人を作る」
     
  40. 私は読んだり聞いたりしたことの中でためになるものをその日の日記にノートするということがたいへん役に立つことを発見した。ある人々は現在それをカード式に整理している。こうしておけば、アルファベット順にどんな主題でも見出すことができる。できるだけ多くの良い材料を心の中に貯えた後で記憶を補うために、それを書きとめておくというやりかたは申し分ない方法である
     
  41. 見通しなしに読むのは感心しない。君は書いたものから得た知識を世間や人や事物から得た知識によって、バランスをとらねばならない。その点で旅行というものはたいへん価値がある。その旅行にしたって、鋭い観察力と感受性に富んだ人なら、たった1マイルそこいらのあいだだけでも、鈍感な男が1000マイル歩いて得る知識と同じだけの知識を得ることができる
     
  42. たとえ外国に行けないにしても、君たちの故国においてだって、見るべきものはいくらでもある。自転車をとばそうと自分の足で歩こうと、研究すべき人生の種々相がそこにある。遠くへ行けないなら自分の住んでいる町やその近隣にも、古代の歴史の旧跡や、聞いておいてためになるような経験をもった人がいるはずだ。この種の旅でも、人や物事をすべて観察し発見するという考え方で実施するならば、それは君の自啓自発の道程の一つの有意義な手段となる
     
  43. 人は誰でも何らかの天与の才能といわれるものをもっている。それは自然の資質――つまり神からの授かり物である。そうであるから、その所有者はそれを――神のために――有用に使わなければならない。その人はそれを他の人々に授けることによって、有用に働かす。すなわち、彼の歌なり演技なりを使って失意の人たちを喜ばせたり、手品で人を楽しませたり、彼が描いた絵が人々に美への眼を開かせるのである。才能を自分のためよりも、むしろ他の人々のために使いなさい。そうすることによって彼は神の業を行ない、いかさま師にはならず、彼は真の幸福とは何を意味するかを発見するであろう
     
  44. 政治屋よりむしろ政治家としてまた、社会の一部よりも全体の幸福のために尽くすべきである。それに至るひとつの手段は要点を速やかにつかむとともに、その事柄の異なった面をも理解する能力をつけること、およびいまひとつ、言葉によって自分の意思を巧みに表現できる能力をつけるということである
     
  45. 討論において自分を華やかにしたいと思う若者に対して、故ブライス卿は実によいアドバイスを残した――

    「君たちが弁論の最中に一回うまい議論つまり必要十分な議論をしたなら、二度目の議論を出そうとするな。二回目は一回目の効果を弱めるだけである」
     
  46. どうしたら自分の意思をうまく発表できるか。それを学ぶいちばんよう方法は演劇に参加することである。これは雄弁術の実地訓練として最上のものだ。そして、これは聴衆をひきつける方法を端的に教えてくれる。音声と身振りによる表現の仕方、および人前を気にする自己意識を捨て去ることを教えてくれる
     
  47. 結局は静かに聴くことに大きな価値があり、それがたいへんな技術であるということを心にとめておくことである。君たちは討議においてしばしば自分の考えを口出ししたいような気持ちにかられることがあろう。けれども、一般には沈黙を守って他の人たちに出しゃばらしておくのが、いちばんよいのである。何か言わなければならない大事な場合にだけしゃべる寡黙の人こそ、人々からよく傾聴される
     
  48. 奉仕というものは単に他の人々に好意と親切をつくすという私的な小さい善行だけを含むのではない。善行は正しいし良いことではある。それはボーイスカウトだれしもが毎日行なうことである。しかし、私がここで言う奉仕はそれよりずっと高い、より大きなものを意味している――つまり君の国民としての奉仕である。それは公的な事柄で自分をリーダーとして押し出したいとか、君の特殊な政治的意見を他の人々に強制するということを一般に言うのではなく、国家における信頼される人物、有用な市民、すなわち壁の煉瓦になることである
     
  49. 奉仕力のある市民はすぐれたフットボールの選手によく似ている。第一に彼は個人としての自分の能力を磨き、次には、それによってチームとしても、効果的にプレーができるようになる。フットボール選手に必要な個人的資質が、鋭敏、フェアプレイ、快活、呼吸器と四肢の適応性、ボール処理の妙技であるのに対し、市民に必要な個人的資質は、性格と知能、健康と体力、手技と気用である。フットボール選手に必要な集団的資質が、味方のためのプレイで個人プレイではないことであるのに対し、市民に必要な集団的資質は、社会的奉仕である
     
  50. よい市民として君が社会のために尽くすことができる最高の善行は、市民奉仕に一役買うことである。市町村自治体とか地方の政庁の仕事に関係するということである。そのためには、地方政治とその目的、方法ならびに責務に関しては、しっかりした基礎的知識が必要である
     
  51. 市民権という大きなゲームにおける君の役割を果たす能力をつける第一歩は、今まで暗礁を避ける方法として示唆したいろいろなこと、すなわち――性格と知能、手技と技能、心と体の男らしい健康――を目指すことである。そして、第4番目のもの、すなわち奉仕がある。これは市民としての役割を果たすということである このための自啓自発の最大な要点は、君たちの町および国の過去ならびに現在の歴史を学ぶことである。これは大部分は読書によって勉強できるが、旅行して歴史的な要地を訪れるならば、それ以上の勉強ができる。次に、地方的な情勢を理解したりそれに協力したりするためには、地方政庁が実施している行政についてできるだけ知る必要があろう。たとえば――

    (1)その教区評議会のこと――任命方法、教会での任務、その他
    (2)都市および農村地区評議会のこと、およびその傘下にある教区をそれはどういう風に扱うか
    (3)自治体と市議会――市長、助役、議員などの役員選任方法および救貧、保健令、初等学校、アルコール飲料統制、警察、消防等を管理する上での任務
    (4)州評議会のこと――その役員、部局、自治都市への任務、徴税と収入、そして免許状、教育、照明、道路、橋梁、病院、住宅、図書館、市場、公園、水道、下水道等に要する経費と収入との割合

箴言集

  1. 若者のくせに、
    あまりにも自分を由々しく考えすぎることは、
    俗物(気取り屋)となる第一歩である
     
  2. ユーモアのセンスは、
    多くの困難な時におけると同様、
    当面の危険から君を引き上げるだろう
     
  3. あなたの大望は
    その仕事からどれだけ儲けられるか
    ではなく、仕事にどれだけ投入できるか
    であるということを理解しなさい
     
  4. 正しいことをする野心
    だけが価値ある野心である
     
  5. 与えられた仕事に
    快活に、敏活に当たることは、
    最も推奨される
     
  6. 自画自賛する人は一般に
    他人から後押しをしてもらわねばならない人である
     
  7. 君たちは
    自分は煉瓦塀の煉瓦の一個である
    ということ、または、
    チームの中で自分の持ち場を守る任務を持つ
    一人のプレーヤーである
    ということを銘記しなさい
     
  8. 均整のとれた一人の市民は、
    偏屈者の六人分に匹敵する価値あり
     
  9. 多くの人々は、
    まだ自分のものになっていない権利を主張する
     
  10. 指図することよりも
    進んで奉仕することが
    最上の社会主義者であることを示す
     
  11. 喜びは
    彼の兄弟たる人と父なる神に
    奉仕した者に訪れる
     
  12. 心を広くしたいならば、
    君の狭い型から抜け出しなさい
     
  13. 使命を果たそうとする時には
    失敗しない。
    失敗は、いつも使命を忘れた時に来る
     
  14. 何か
    ということを知るだけで満足するな。
    何故か
    ということ、および
    どのようにして
    ということを知りなさい
     
  15. 礼儀と優雅は
    たいした快楽をもたらさない。
    それは礼儀と優雅を受ける者に与えられる。
    幸福というものが
    それを人に与えた者の手に与えられるように
     
  16. ひとつの国家は
    その国家にふさわしい政府を作るものである。
    若人よ!
    自然はわれわれに
    舌は一枚しか与えなかったが、
    耳は二つ与えた。
    それゆえ、しゃべることの二倍聞こう
     
  17. 自分の聡明を隠す術
    を知る者は偉大な聡明人である
    ――ラ・ロシュフコー
     
  18. 悪名は
    有名と同じものではない
     
  19. また船を見よ。
    その形は大きく、
    かつ激しい風に追われるとも、
    いと小さき舵にて
    舵人の欲するままにまわすなり。
    かくのごとく
    舌もまた小さきものなれど、
    その誇るところ大なり
    ――新約聖書ヤコブ伝第三章
     
  20. 自分の意見を決して変更しない人に二種あり。
    その一は馬鹿者であり、
    もう一つは死者である
    ――ラッセル・ロウエル
     
  21. 田園の栄光

    わがイングランドは
    堂々たる風光に満ちた
    田園なるかな

    園圃、苗床、潅木林、芝生
    そして並木路台地には彫像あり。

    孔雀は気取って歩くけれど
    田園の栄光は眼の及ばぬ所にぞある

    細い赤煉瓦の塀に沿うて
    月桂樹の古木茂るところ
    そこに農具と鉢小屋ありて中心をなす

    フレーム、温室、
    肥料だめとタンクローラーと手押し車、
    排水パイプは
    車や板と一緒においてある

    そこに園丁と
    見習いの少年が見えるだろう。

    命ぜられた仕事を割り当て、
    音をたてずにしている

    播種したとき鳥を追うことのほかは
    音をたてないからなのだ

    それ、田園の栄光は
    言葉を我慢するからだ

    ある者はベゴニアを鉢植えし、
    ある者はバラを発芽させてよい

    またある者は
    何かをはえさそうと苦労する

    けれども、彼らは
    芝生を刈り砂をふるいにかけたり、
    混ぜ土を作るのだ

    田園の栄光のため、
    来る者は皆働く

    わがイングランドは
    田園である

    かかる田園は
    「おう、美しきかな」を歌って
    日陰に座していたのではできっこない、
    よい働き手なら
    出かけて労働に励む

    刃のこぼれた食卓ナイフで
    雑草を砂利道から掘りとっている

    あんなに痩せた脚もないし、
    あんなに毛深い頭もない

    あんなに白くて弱い手はないが、
    さりとて心は病気なのではない

    だからできそうな仕事、
    必要な仕事を探すことはできる

    田園の栄光は、
    だれにも栄光を授けるからである

    そのとき、あなたは
    感謝の心をもって仕事を探し、
    次の命令まで働く

    その仕事がイチゴの固定や、
    垣根のナメクジ退治にすぎなくても

    背中の痛みが納まって
    両手の方がこわばり始めたとき
    田園の栄光の、
    仲間入りをしている自分を見出すであろう

    おお、アダムは園丁であった、
    神が彼に命じたのである

    園丁の仕事の半分は
    膝の上でできる
    よって仕事がすんだら
    手を洗って祈りなさい

    田園の栄光が
    消え去ることのないよう!

    田園の栄光が永遠に存するよう!

    ――ラジャード・キプリング
     

第6章 第五の暗礁「無宗教」

  1. この暗礁の暗い面は無神論と無宗教である。その明るい面は神と同胞への奉仕を認識することである。このためには、自然の研究が直接役に立つ
     
  2. 君たちが成功――すなわち幸福――への道への歩みを踏み出そうとするならば、無宗教ないかもの師の仲間に引き入れられるのを防ぐだけでなく、君の生活に宗教的な基盤をもたせなければならない
     
  3. その意味は、単に教会に行くとか、聖書の歴史を知るとか、神学を理解するとかいうことにとどまらない。多くの人々はそんなことはほとんど知らなくても、また勉強しなくても、心から宗教的なのである
     
  4. 宗教は非常に簡明に述べれば、次のことである

    第一に、神とは誰か、何か、を認識すること

    第二に、神が授けた生涯に最善を尽くし、神が我々に望んでいることを行なうこと。これは、主として、他の人々に役立つことをするということである

    君の信仰はこうでなければならない。この信仰はただ日曜日にだけ思う信仰ではない。日々の生活のあらゆる時間、あらゆる場面において守るべきものである
     
  5. 以上の二つの要点に到達し無心論者にならないようにする方法として、私は君に実行を奨めたいことがある――

    そのひとつは驚くべき古典つまり聖書を読むことだ。それは神の啓示を読みとれる上に、君たちはそれが歴史と詩と道徳の教えとに満ちた素晴らしく興味ある物語であることを発見するであろう

    いまひとつは、もう一つの素晴らしい古典本、すなわち「大自然」という本を読むことである。そして、大自然が君を楽しますために作った驚異と美について、できる限り観察し研究することである

    それから、君は神が君に貸し与えた生命を燃やす間に、どうすれば神に対して最善の奉仕ができるかということに、君の心を向けることである
     
  6. 独善的な無神論をなおす解毒剤のひとつは、敬虔の念を伴った謙虚さである――これは教えるのも学ぶのも難しいことだが、大自然との接触によって身につけられる。大自然とのふれあいは、自分より偉大な力を知って、それに敬虔であるべきことを教える
     
  7. エイブラハム・リンカ−ンはナイヤガラの滝の前に立ってそれを眺めたとき、こう言った――

    「これは無限の過去を呼び出しているね。コロンブスが初めてこの大陸を見た時を、キリストが十字架の上に架けられた時を、モーゼがイスラエルの人々を率いて紅海を渡った時を、いやそれどころか、アダムが作り主の手から初めてやって来た時を、その時もこの滝は今のようにここで吠えていた……。地上最初の人間よりか古い年寄りであり、しかも何万年もの昔と違わない強さと新鮮さを今でももっている。マンモスも巨象マストドンもナイヤガラを眺めた。その長い長い時間、一瞬も静止することなく枯れもせず凍りもせず眠りもせず休みもしなかった」
     
  8. 人はここで人間が微小な存在であることを学ぶ。また、価値のないことに争い騒ぐはかない努力をしているのに気づく。人は、はっきりではなく、また不十分であるかもしれないが、我々の周囲に大きなもの――すなわち造物主――神――が存在することを実感するのである
     
  9. 大自然の驚異に触れることは、君たちの国でも充分にできる。町や町はずれから野へ出て行き、森林や牧場に入ればできる。布製の小さい家や毛布、炊具――それに自由――を携行して、神の作れる大気の中へ出る。これはむしろ「ハイキング」と言った方がよい――すなわち田舎を歩き回る――そして大空と地上と海上の栄光を吸いこみ、森や野の色を見たり、花やまぐさの香りを嗅いだり、小川と鳥と風のささやきを聴き、動物とその生態を知り、君がそれらのものどもと仲間であることを感じ、そして大自然が意図したこの一大計画の中における一役としての「自分を発見する」ことができるまで、この道を行くのである
     
  10. デビッド・グレイソン(David Greyson)は『友誼ある道(The Friendship Road)』という本にこう書いている――

    「折りにふれて人間の群がる俗世間から自分を断ち切って、荷物を背に負い、遠く砂漠とか極地の氷原に旅することはサムライどもの習わしである。人は誰でもこのように変化を必要とするものだと私は確信する。これは人をして物事を考えさせ、生活に新しい把握を与え、神への新しい信仰をもたせる機会なのである。けれども、私はそのために極地の氷原や砂漠を必要としない。私は友誼ある路――すべての普通の人々が生きて行くこの路――を選ぶのである」
     
  11. ハイキングという語は英語の古語であるが、それは今でも多くの地方の方言として生き残っている。ひとつの意味は「思うがままに歩き回る」ということである
     
  12. 自然研究をしたければ、森とか野とかいうような遠くへ出て行かずともよい。君の身体を研究することから始めればよい 君たちが心臓のおかげを蒙っていることはすこぶる大きい。君の健康も、生命そのものも、心臓が君に対する務めを尽くすかどうかにかかっている。それなのに多くの人々は、心臓に対する自分の務めに対して考えてもいない
     
  13. 君の身体の各部分やその不思議な出来ばえと感覚、それが君の命令で働くということを考えてみたまえ。君はこの不思議な生きた機械がそれを正しく使用するよう君が責任をもつことを条件として、君に授けられていることがわかり始め――そして自分の身体に対して崇敬の念を抱くようになる
     
  14. 顕微鏡で見える微生物や原子から望遠鏡で見える巨大な世界に至るまで考えるとき、人は無限というものが何であるかをわかり始める。大きなものでも小さなものでも、万物は皆ひとつの大きな設計の中で、一定の理法で動いているのだということがわかってくる。この理法のうしろに偉大な支配者の心と造物主とがあることがわかってくる
     
  15. 自分の子供を愛するのは、人間の母親だけに限るのではない。雌の虎はやはりその子供を愛するし、ヤマウズラはその雛を愛する。そして雄はまた雌を護るであろう。それは猿であろうと野豚だろうと、魚でもそうであって、昔の騎士がそうであったように勇敢で騎士道的である
     
  16. 人間もこのような動物の属性の全てをもっている。心と記憶、勇気と侠気、愛情と悦びとを、動物が持っているように持っている。人間はそれらをはるかに高度の規模でもっている。人間はそれらをもっとはるかに有利に用いることができる
     
  17. 人間である君は動物が持っていないものを持っている――君は大自然の驚異と美との両方を認識し、鑑賞することができる。入り日の金色の美しさや、花や木の美しさ、月光に映える山岳と遠景の荘厳さを楽しむことができる。けれどもこれ以上に、人間は物を作ることができる。これは動物の能力にはないものである。君たちの多くの者は絵を描いたり、詩を作ったり、音楽を演奏することができる。これは生活を楽しむ道への付加的な手づるである
     
  18. 神というものは一部の人々が考えているような狭量の人ではなくて、宗教形式や教義とか教派などの些細な相異を乗り越えた、大きな愛の精神であって、それは自分の能力に従って神に奉仕しようと最善を尽くしている人の誰をも祝福するものである
     
  19. 君は神から授かった知性と能力とをもって、どのような最上の奉仕ができると思っているかね? もしわからない点があるならば、君の良心、すなわち君の体内における神のみ声にききなさい。神は即座に何を君に求めているかを告げるだろう。一般的にそれは君の善意から与えるもの、しかも自由に与えるということである
     
  20. だれの心にも宿っている愛の火のひらめきもそれを行なわなかったら、だんだん駄目になって死んでしまう。けれどもそれを実行するならば、だんだん大きく強くなって日一日と活気を増してくる
     
  21. 奉仕というものはそれを求める人に対して、君が自分の喜びや便宜を議性にして、その人に手を貸してあげることである。だから、もし君が毎日々々他の人に小さなことでも大きなことでも奉仕してあげるならば、君の身内にある愛の火のひらめきは大きくなり、ついにはそれが君の日常生活での些細な困難や心配事の全てを楽々と突破させるまで強くなるであろう
     
  22. 愛は慈悲のようなものである。つまり、シェイクスピアの言った言葉によると二つの美点をもつ。即ち、愛は善意を与えた者と善意を受けた者とを祝福する。愛こそは、めいめいに宿る「神の片影」であり――それは人間の魂である。彼が他の人たちに愛と憐れみを多量に与えれば与えるほど、彼の魂は成長する
     
  23. ドラモンド教授(Professor Drummond)はその著書『精神界における自然の法則(Natural Law in the Spiritual World)』の中でこう述べている――

    「不滅の生命と言われるものが人間にあるとするならば、それはここにある。彼は神の味方に少しでもなろうとすることによって、魂を発達させる。そのことは彼が神のチームの選手になるという幸福を見出させる。そこに、彼は天国の喜びを見出す。その天国は現在この世にあるのであって、どこかわからない大空の漠然たることろにあるのではない」
     
  24. この目的に達する一つの手段は聖書を読み、人間界における神の意思の歴史の歩みをたどり、自分自身の善意からまた他の人々を助けるためにその神の意志を行なうことである
     
  25. 神を認識する方法は書物を通してするよりも自然研究を通してする方がよく理解できてよい
     
  26. 自然研究は――

    (1)大自然の驚異――小は微生物から大は天体に至るまで。地球の地質学的歴史。進化。再製。自然界の秩序――生活

    (2)大自然の精神――動物の本能と生活。母性愛。男性の義侠心。防護と援助。公共の福利のための自己議性――愛

    (3)大自然の美――自然界における形、色彩、音響、リズム。芸術上の美。芸術と劇における自己表現本能。美の享受。歓喜を他の人々に移入する――幸福
     
  27. 神への奉仕は――

    (1)大自然の計画に基づく健全な繁殖
    (2)仲間の生物に対する没我の愛と援助
    (3)生活の喜びと幸福を分かち与えること

箴言集

  1. 善いものになるのもよいが、
    善いことをするのはそれよりもっとよろしい
     
  2. キリストの誕生日を守る人のなんと多いことよ!
    彼の訓戒を守る者のなんと少ないことよ。
    休日を守るのは聖訓を守るよりもたやすい
    ――フランクリン
     
  3. キリストの死と復活は、
    我々の罪のために死んで、
    新しい生のためによみがえったのだということを
    我々に知らせる叫びであった――この世に、そして今
     
  4. 大自然という書物を勉強することは、
    ヨハネ黙示録を学ぶことの鍵である
    ――ベーコン
     
  5. たとえ財産をことごとく施しても…
    愛なくば我に益なし。
    愛は寛容にして慈悲あり。
    愛は妬まず、
    愛は誇らずえらぶらず、
    非礼を行なわず、
    己の利を求めず、
    憤らず、
    悪を思わず、
    不正を喜ばずして真理を喜び、
    すべての事を忍び、
    すべての事を信じ、
    すべてを望み、
    すべてを耐うるなり
    ――コリント前書13章3節
     
  6. 神は宗教の面だけを考える者の友ではない。
    これに反して、われらが神を熱烈な友として仰ぐならば、
    おもしろいこと、たとえば
    ゲームとか作業とか切手の蒐集のようなことに対しても、
    我々は神の援助と励ましを見出すはずである
    ――『学生の心』
     
  7. 敬虔であれば、
    人を早合点から救い、
    他の人々への友情、多くの神々への服従を約束する
    ――マルクス・アウレリウス
     
  8. 地上を見おろして
    無神論者になる者はありうるだろうと思うが、
    夜空を仰いで
    神は存在しないと言う者があろうとは、
    私には思えない
    ――エイブラハム・リンカーン
     
  9. 物語の書

    自然という老いたる乳母は
    膝の上に子供を抱きて言えり――
    「ここに物語の書あり
    父なる神は汝のためにこれを記せり」
    「来りて我ともに人のいまだ至らぬ土地にさすらえよ
    人のいまだ読まざるを読まばや神の書き記せるを」
    と乳母は言えり
     
  10. 自然美に盲目なる人は、
    人生の快楽を半分見落としている
     
  11. 神のチームの一員となれ
     
  12. 自然は学校である。
    そこで色々の心の持ち主が
    色々な物事を学ぶ場所である。
    ある者は自然の教訓を詩にしてあらわし、
    ある者は絵にする。
    しかし、すべての者は平和な愛を表わす
     
  13. ロード・アベベリー(Lord Avebury)は「宇宙の奇蹟(Marvels of the Universe)」の序文に述べていうに――

    「我らは驚くべき、また美しき世界に住んでいる。
    その世界は理解することが最も重要である。
    理解を誤れば、致命傷ではないが危険である。
    動植物は、一つとして、
    わずか一時間だけの世話であろうと、
    一生涯の献身的な世話であろうと、
    これに報いないものはない。
    私は化学的知識が無知なために、
    われわれ同胞が幸福をどれほど失っているか
    悲しく思うことがしばしばある。
    もし人がこれに鈍感であれば、
    それは自分自身の落ち度である。
    いかなる森も、いまなる野も、いかなる園も、
    いかなる流れも、いかなる池も、
    見る眼をもつ者にとっては
    興味津々として尽きることがない」
     
  14. ふたつの事柄が
    私の心を常に新しい驚異で満たしてくれる。
    そのことを考えることが多ければ多いほど、
    深く考えれば考えるほど、
    驚異は深まる。
    その二つの事柄とは、
    私の頭上の天空に輝く星の光と、
    私自身の心にある道義的おきてである
    ――イマヌエル・カント
     
  15. 汝の情と心とを尽くし、
    精神を尽くし、思いを尽くして、
    主なる汝の神を愛すべし。
    これは大いにして第一の戒律なり。
    第二もまたこれにひとしく、
    おのれを愛する如く、汝の隣人を愛すべし。
    すべての法および予言者は
    この二つの戒律によるものなり
    ――マタイ伝22章37〜40節
     

補章1 14の悪癖を克服する方法

1. 短気

  • 物事が思うようにいかない時、または人から突っ込まれた時、いらいらするかどうか
  • 【対処法】 微笑せよ。比較的小さい怒りは、これを一笑に付すこと。「自分が正しければ怒る必要はない。自分が間違っておれば、何と言われても仕方がない」

2. 喫煙

  • 少年たちは君の真似をするということを忘れるな。喫煙は彼らの健康上よろしくない
  • 【対処法】 少年たちと同席するときは決して喫煙するな

3. 罵言

  • 怒った瞬間、人を罵らないか。また無分別に下品な言葉を口にしないか
  • 【対処法】 口笛を吹け。それによって気分がよくなる

4. だらける、そしてずるける

  • 米国の言葉に「これはジョージにまかせよう」とある、こういう傾向はないか。ひとが働いたり、ゲームしているのを傍観したり困難を予想して手を出さず、眺めていないか
  • 【対処法】 腕まくりして、先頭に立て。「苦は楽の種子、セント・ジョージを見習って難事に取り組め」

5. 陰口

  • 他人の失敗を言い触らしたり人の欠点ばかり探していないか
  • 【対処法】 最悪なものにも5%の善さがある。この原理で進もう。善さを探し出すことは、おもしろいものだ

6. 辛抱足らず

  • 「待てば海路の日和あり」事がうまく運ばない時、あせって、不幸を招くことはないか?
  • 【対処法】 「静かに、そーっと、サルをつかまえろ」 この言葉を忘れぬよう。「ねばれ、そうすれば勝てる」「どんな職業においても辛抱は成功の秘訣である」

7. 心に余裕なし

  • ユーモアの不足
  • 【対処法】 何事にも5%の善さがあり、そのほかに5%のおもしろみがある。このことを頭において絶望的だと思われる多くの難事を克服しよう。笑って困難にあたるというやり方を少年たちに示せ

8. 偏狭

  • 自分の社会上の特別な階級とか政党や教派の支持者として君はあまりに敏感すぎるきらいはないか?
  • 【対処法】 このような差別はスカウティングの兄弟仲間のつきあいによって消えてしまう。寛容の心を磨こう――決断する前に問題を両面から研究するよう、少年たちに教えなさい

9. 独断

  • この言葉は、しばしば従順と忠誠心の不足および紀律の不足をかばう用語として用いられる
  • 【対処法】 これはゲームをする時、自分勝手の自由のためでなく、君の味方の自由な精神の中で責任感と自律心を伸ばすこと

10. 利己心

  • これはわが民族の最大の欠点で、狭い視野から来る。事業上の不満を作り出すと共に個人的な不満をもたらす
  • 【対処法】 没我の精神を養え。他人のことを先に、自分のことはあとまわし。視野を広くせよ

11. 不満

  • これは一般的に自己中心から来る結果で、人生をあまりにも利己的に考えるところから来る
  • 【対処法】 他の人々を幸福にしてあげることが自分の幸福になる。自分の所得に満足して生を楽しみ、大自然の壮観と驚異と美を味わう。自分本位の野望を捨てる

12. 厭世主義

  • 冒険の困難と危険を恐れるあまり、可能性に暗い影を宿してはいないか
  • 【対処法】 「苦は楽の種子」。楽観は勇気の一つの形であって、他人に信頼感を与え、成功へと導くものである

13. 浅見

  • 自分の考えが正しいと思ってうぬぼれてはいないか
  • 【対処法】 広く眼をひらき――さらに、広く見よ

14. 博識ぶり

  • スカウティングのことなら1から10まで何でも知っていると確信している
  • 【対処法】 雑誌「スカウター」に載る言葉を両面から味読せよ
     

補章2 スカウトの掟

  1. スカウトの名誉は信頼されることである
    ――誘惑に負けて、どんなに小さい不正直や暗い行為をもするようなことがあってはならないこと。一度たてた誓いに背かないこと
     
  2. スカウトは国王と自分の上司、両親、雇主、および自分の下で働く者に忠誠である
    ――よき市民として、正直に全体のために「ゲームをする」チームの一員であること。元首、スカウト運動、友人や同輩、雇主に最善を尽くすものと信頼されていること(たとえそれらの人々に望むところのものと、それらの人々の態度が一致しない場合でも)。加えて、自分自身に対してもまた、忠誠であること。卑劣にゲームをして自尊心を低下させたり、自分以外の男性――および女性を堕落させてはいけないこと
     
  3. スカウトの義務とは役立つことであり、他の人々を助けることである
    ――最高の目的は奉仕であること。いつなんどきでも、時間と労力、またはもし必要とあらば生命そのものをも、他の人々のために犠牲に供する用意がある人間だと他の者から信頼される者であること。「犠牲は奉仕の塩なり」
     
  4. スカウトはすべてのものの友であり、他のどのスカウトとも兄弟であり、その者の属する社会の如何を問わない
    ――他の人々は皆自分と等しく神なる父の子であることを認めること(彼らの意見や世襲的階級や教義や国の違いがどうあろうと)。偏見をおさえ、彼らの長所を見出すこと。彼らの悪い点を批判できると思うのは愚か者であること。もし他の国の人々に対してこの愛を実行し、国際平和と親善をもたらす助けをするならば、神の国はこの地上にもたらされること。「世界中の者は皆兄弟である」
     
  5. スカウトは礼儀正しい
    ――昔の騎士のように、言うまでもなく、婦女、老人、子供に対し礼儀正しく思いやりがあること。自分に敵対する人々に対して、それ以上に礼儀正しくあるべきこと。「正しい者は心の平静を失う必要はない、誤っている者は心の平静をかくすことができない」
     
  6. スカウトは動物の友である
    ――神が作り給うた他の生物が自分自身と同じように自分の仲間だということ、そしてこの世界で自分たちの生存を楽しんでいることが解ること。それゆえ、動物をいじめることは造物主に仕えていないこととなること。「ローバーは寛大でなければならない」
     
  7. スカウトは両親、班長または隊長の命令に対し、すなおに服従する
    ――自分自身を修養し、合法的な当局への奉仕に当たっては、すみやかに喜んでするようにすること。最上の紀律ある社会は最も幸福な社会であること。この紀律は心の中から生まれるもので、外部からおしつけられるものではないこと。それゆえ、こういう考え方で他の人々に秀れた見本を示すことは重要な価値があること
     
  8. スカウトはすべての困難に際して、微笑をうかべ口笛をふく
    ――冷静であり、危機難局にあたっては快活と勇気と楽天さをもって冷静さを失わないこと。「もし君の周囲が冷静さを失い君を非難したとしても君が冷静であるならば、わが息子よ、お前は一人前の男になったと言えよう」
     
  9. スカウトは倹約する
    ――よく将来のことを考え、現在の快楽のために時間と金銭とを浪費することなく、むしろ将来の成功を考えて現存の機会を有効に使うこと。他人の重荷にならないため、また他の人々を援助できるためには、倹約を実行すること
     
  10. スカウトは思考、言葉ならびに行為において清純である
    ――単にきれいな心だけでなく、清潔な意思をもつことを期待されること。それはどんな性的な誘惑と放縦とをもコントロールできるということであること。他の人々に対して純潔の手本を示すこと。そして君の思考にも言葉にも行為にも、万事に清潔で公明正大であり、他の人の模範となること
     

O T T O & C O M P A N Y    P R E S E N T S