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2013年度 気象・海洋夏の学校 招待講演


気象分野 講師紹介


講師岩崎俊樹 様
所属東北大学大学院理学研究科 流体地球物理学講座 教授
Webhttp://wind.gp.tohoku.ac.jp/~iwasaki/
講演題目温位座標に基づく大気大循環〜MIMの世界〜
講演要旨 1. 温位面上での質量加重付東西平均(MIM)

従来の大気大循環は等圧面上で東西平均した物理量を用いて表現されてきた。しかし、空気塊は等温位面で運動し拡散する。東西平均は等温位面上の方が自然である。また、保存則を表わすためには、東西平均では質量加重を考慮する必要がある。
2. 大気微量成分の子午面輸送

MIMは、温位座標に基づいているので大気微量成分の子午面輸送を表現するのに有利である。オゾン輸送を例に、ブリューワー・ドブソン循環による対流圏―成層圏循環の質量交換を議論する。
3. 大気大循環のエネルギー変換スキームと傾圧不安定

MIMのエネルギー変換スキームは、有名なローレンツによる4ボックスのエネルギー変換と大きく異なる。波動平均流相互作用に基づくエネルギー変換を表すために、波動エネルギーをW=Ae+Keと定義すれば、Az→Kz→Wの直列型となる。特に、中高緯度では、傾圧不安定がエネルギー変換の主要な役割を果たし、Az→KzとKz→Wの変換が同時に起こり効率もほぼ等しくなる。
4. 寒気流出

MIMでは、中高緯度に直接循環ができる。これを寒気の形成と流出と見る。寒気の流出を具体的に見るために質量フラックスを地理的に展開する。北半球には寒気のメインストリームは2つあり、特にその南下点は東アジアと北米東海岸にあり、コールドサージの経路と一致している。
メッセージ学ぶこと。学習は研究の準備。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
チャレンジ。知識が増えると人は保守的になる。
リスクを恐れず、勇気をもち独創的な研究を志せ。
講師略歴 1980年 東北大学大学院理学研究科博士課程(物理学専攻)単位取得退学
1980年 札幌管区気象台
1983年 気象庁電子計算室(現:数値予報課)
1997年 気象庁数値予報課、数値予報班長
1998年 東北大学大学院理学研究科教授

講師杉本志織 様
所属北海道大学 地球環境科学研究院 総合環境科学部門 自然環境保全分野
博士研究員
Webhttp://wwwoa.ees.hokudai.ac.jp/people/shiori/ssugimoto/index.html
講演題目チベット高原研究の魅力
講演要旨 チベット高原は、中国の西部に位置し、平均標高4000mの非常に広大な山岳地域である。内陸高地であるにもかかわらず、夏季には300−400o程度の降水量が観測される。一体、チベット高原とはどんなところなのか。どんな雲がたち、どんな降水が観測されるのか。チベット高原の様子や自身の研究成果に加えて、現在の北海道気候に関する研究内容、学部〜今までの研究生活、および若手研究者交流会活動等、複数の視点で杉本志織に関わる話をしたいと思う。
メッセージ 師匠の言葉で、忘れられないものがいくつかあります。「自然現象は決して待ってはくれない、観測するなら今しかない」、これもその一つです。人生においてその日にしかできないことは多々あります。つまり、夏の学校1日目の夜にしかできない交流があるということです。私の発表は2日目の午前8:30からですが、そんなことは気にせず、今しかできないことを満喫してください。
講師略歴 (学歴)
2004年3月 滋賀県立大学環境科学部環境生態学科 卒業
2006年3月 東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻 博士前期課程 修了
2006年3月 筑波大学大学院生命環境科学研究科 5年一貫制博士課程 3年次編入
2009年3月 同上 退学
2010年3月 筑波大学大学院生命環境科学研究科 論文博士(理学)取得
(職歴)
2009年4月 〜 2011年3月 
筑波大学非常勤研究員(EU国際プロジェクト:CEOP-AEGISに参加)
2011年4月 〜 7月
筑波大学非常勤研究員(CCS所属)、埼玉大学非常勤講師 (地理学V―気候学―)
2011年8月 〜 現在 
北海道大学大学院地球環境科学研究院 博士研究員(文科省;RECCAに参加)

講師稲飯洋一 様
所属京都大学生存圏研究所 生存圏学際萌芽センター ミッション専攻研究員
Webhttp://www.rish.kyoto-u.ac.jp/houga/researches/2013m01.html
講演題目空と観測のあいだに
講演要旨 博士研究員、稲飯洋一の足跡をたどる50分。
学部4年生から始めたゴム気球を用いたゾンデ観測。卒論では成層圏水蒸気に関するレビューとともに札幌で毎月1回ゾンデ観測を実施し、新しい水蒸気測定器の検証と改良に取り組んだ。
大学院生時代も国内外においてゾンデによる大気観測を実施。それらの観測データを用いて、成層圏への大気流入口である熱帯対流圏界層における大気脱水過程の研究を進めた。
博士取得後は、観測の幅を広げプラスチック気球を用いた成層圏大気採集実験に携わり、2012年11月から翌年3月に第54次日本南極地域観測隊として昭和基地に赴き観測を実施。
これまでに実施してきた気球観測を軸に、観測を通して学んだ事、研究生活、そして得られた研究成果を発表する。
メッセージ 最近、大学で野菜作りを始めてみました。植物はゆっくりですが日に日に確実に大きく成長しています。よく観察していると毎日何かしら新たな発見があります。知らなかった虫たちとも毎日出会えます。メッセージは、皆さんも有機農法で安全で美味しい野菜を育ててみましょう、ではなくて、何でもいいので何か生き物とか自然現象とか、そういうものの実体に触れ愛着をもって観察してみてください。そこから自然科学が始まると思います。
講師略歴2004年3月 北海道大学理学部地球物理学科 卒業
2006年3月 北海道大学地球環境科学研究科 修士課程修了
2010年3月 北海道大学環境科学院 博士課程修了
2010年4月 名古屋大学環境学研究科 助教
2011年4月 東北大学理学研究科大気海洋変動観測研究センター 博士研究員
2012年11月 第54次日本南極地域観測隊 夏隊同行者
2013年4月 京都大学生存圏研究所 ミッション専攻研究員

海洋分野 講師紹介

講師川村宏 様
所属東北大学大学院理学研究科 大気海洋変動観測研究センター 
衛星海洋学分野 教授
Webhttp://www.ocean.caos.tohoku.ac.jp/kawamura.html
講演題目バルクからスキンへ、そして海面へ
講演要旨 近年の地球観測システムの急速な整備により、大気と海洋のバルク・パラメータが日常的に、大量に生産され、客観解析のレベルが格段に向上し、数値モデルによる大気海洋変動予測精度が飛躍的に高められた。これらの研究開発が終焉を迎えようとしている今、次の世代が挑むべき課題は何か?  1990年代、全球海面水温(SST)観測システム構築における一つの論点は、バルク-スキン問題「赤外放射計はスキン温度を計測するので、気象学や海洋学が求めるバルクSSTを導出することはできない」であった。私たちは晴天・無風時の陸奥湾のSST日変動と現場・衛星計測との関係を明らかにし、このような状況下では「海洋観測ブイに接着した水温計では、どの深さの水温も正しく測ることはできない」と主張した。なぜなら、波や流れで引き起こされるブイ周囲の乱流が、極表層水温場をかき乱してしまうからである。現行の衛星計測でも、現場計測でも、検知できない現象が海面付近に存在する。 1975-1985年、東北大学理学部では風洞水槽を用いた大変ユニークな海面境界過程の研究を実施していた。当時の主流であった成分波の重ね合わせで水位変動を取り扱う考え方に同意せず、水面波形状と水中・大気の両乱流境界層を同時に扱い、気泡の取り込みを伴わない風波は重力波と水中粘性境界層が一体となったものであることを実証した。これらの知見は、最新の計測手法により実験室内で追試され、風波発達初期の基本的なメカニズムとして認められた。 風洞水槽の静止水面上に風が吹き始めると、粘性の効果により水面上下境界層が形成され、風波が出現し、発達する。海面に浮遊する粒子は数十秒ほどで水中へ拡散する。気流乱流境界層の外縁が風波の波長程度の高さにある。これらの結果をもとに実際の海面で起こる現象を考察すると、「静止海面に風が吹き、発達初期の風波が海面を覆うとき、その上下に波長(〜O(10cm))と同程度の厚さの乱流境界層が形成されており、その薄い、しかし広域海面に沿った両層に、海面で交換された様々なものが凝縮されている。」しかし、発達初期の風波上の気流乱流境界層は、数mの高さで計測する洋上観測システムでは検知できない。海洋観測ブイに接着した測器は、水中乱流境界層内の変動を検出することができない。 仙台湾の沿岸域は、今、深刻な環境問題である放射能汚染に直面している。放射性物質は流入河川の集水域に降下し、融雪水や雨に流されて河川から沿岸域に運ばれ、海洋を循環する。沿岸域の海面には、大気から降下する物質と海中から浮遊する物質が集積する。 海面は地球表面の7割を占める。大気海洋間で交換される運動量・熱・放射と物質(ガス、液体、粒子体)は、海面と大気・海水中の境界層を通過する。海洋の極表層1-1000μmを海面ミクロレイヤーという。ここには多くの微生物が生息し、それらは物質を取り込んで様々な形態に変化させる。水中で一番強烈に日射が注ぐこの層で、集積した物質の光化学反応が強く起こる。この層で進行する複雑な物理・化学・生物相互作用が、物質循環において重要な役割を果たしている。バルク流体現象の的確な把握が可能になった今でも、海面近傍には、私たちが知らない、大事な現象がまだたくさん残されている。
メッセージメッセージは、講演要旨の中に。
講師略歴 1984年 東北大学理学部助手
1987年 東北大学理学部助教授
1994年 東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センター教授(現職)

講師岡英太郎 様
所属東京大学 大気海洋研究所 海洋物理学部門 海洋大循環分野 准教授
Webhttp://ocg.aori.u-tokyo.ac.jp/member/eoka/index-jp.html
講演要旨現在行っている研究や現在までの経験、学生に伝えたことなどについて講演します。
講師略歴
平成12年東京大学大学院理学系研究科地球惑星物理学専攻博士課程終了
平成12年〜16年地球観測フロンティア研究システム 研究員
平成16年〜18年独立行政法人海洋研究開発機構 地球環境観測研究センター
 研究員(組織名変更)
平成17年〜18年スクリプス海洋研究所 訪問研究員
平成18年〜22年東京大学 大気海洋研究所 講師
平成18年〜19年独立行政法人海洋研究開発機構 地球環境観測研究センター
 研究員(非常勤)
平成19年〜21年独立行政法人海洋研究開発機構 地球環境観測研究センター
 招聘研究員(非常勤)(職名変更)
平成22年〜23年東京大学 大気海洋研究所 講師(組織名変更)
平成23年〜東京大学 大気海洋研究所 准教授
平成24年〜東京大学 大学院総合文化研究科付属 国際環境学教育機構 兼務



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