HAPPY BIRTHDAY


「牙連閃!!」
ナナリーの手中から放たれた三本の矢はゴウッと風をまとい地属性モンスター“アースエレメンタル”を貫いた。
「よっしゃっ!!」
まるで自分がとどめを刺したかのように喜ぶカイルをよそに、
「あ〜何かのどが渇いたわね〜。」
というハロルドの言葉・・・。その言葉を合図とするかのように彼女にフルーツジュースを差し出すロニ。
「ロニ?あんたさっきから何やってるんだい?」
その明らかに異様な光景を目にしたナナリーが尋ねる。
「べつに・・・。」
何でも無い、とそっけなく答えるロニに対しナナリーが
「別にじゃないだろ?ここ一週間程ずっとハロルドに付きっきりでさ・・・。まさかあんた、ハロルドにまで手ぇ出そうってのかい??」
指をポキポキと鳴らしながらロニに近づいていくナナリーを止めるようにリアラが
「まあまあ、別に喧嘩をしてるわけじゃないんだし。良いじゃない。」といった。
「ふん・・・おおかた女にモテル薬でも作ってもらおうとでも思っているのだろう・・・。馬鹿馬鹿しい。」
と言う不機嫌そうなジューダスに対しうるせえとだけ言い捨ててロニはまたハロルドの近くへとかけて行った。
(ロニのヤツ・・・。)

ホープタウンに向かう途中、ふとロニが足を止めた。
「?どうかしたのかい?」
不思議そうに見るナナリーにロニは
「悪ぃ、ちょっと用事思い出したからさ、皆先に行っててくれ。」
そうとだけ言うと足早に去って行った。
ロニの不可解な行動に首を傾げるナナリーだが、カイル達はなんぱにでも行くのだろうと笑い、あっさりとロニの言葉に従った。

〜ホープタウン:ナナリーの家〜
(ロニ・・・本当にハロルドの事が・・)
ナナリーはそう呟いた。
あからさまに不審な動きをするロニが気にかかりハロルドに訊ねてはみたが、
「ま、ロニにもやっとこのあたしの魅力に気付いたってことね〜。ちょっと時間かかり過ぎだけど〜。」
なぞと言い真面目に答えてもらえなかったのだ。
(そりゃそうだよね・・・。あたしなんかよりハロルドの方がずっと可愛いもんね・・・。)
目の奥が痛くなったと同時に一筋の涙が頬をつたった。
(バカロニ・・・。)

・・・いつの間に寝てしまったのだろうか、辺りはもうずいぶんと暗くなっていた。
(ご飯・・・作んなきゃね・・・。)
そう思いナナリーが立ち上がったその時
「ナナリー、起きた?」
と言いながらカイルが部屋に入ってきた。
「カイル・・・?」
「よかった、起きてたんだ。あれっ?何だか目、赤いよ?どうかしたの?」
と聞くカイルになんでもないと答えると「ふーん・・・あ、そうだ!!ナナリー、ちょっと目隠ししてもらえないかな?」
そういって彼は布切れをナナリーに差し出した。ナナリーは不思議に思いながらも彼に従い手を引かれるままついていった。

「ハッピーバースデイ!!!!」
布を取ったナナリーの目に飛び込んできたのは仲間達やタウンの人々の笑顔、テーブル一面に並べられた料理の数々だった。
「えっ!?」
戸惑うナナリーにリアラが
「今日はナナリーの誕生日でしょ?みんなナナリーの誕生日を祝うんだってあなたに内緒で計画を立ててたのよ。どう?驚いた?」
といいながらナナリーを真ん中の方に連れて行った。
照れながらも満面の笑みで皆を見渡した。
「みんな・・・。ありがとう///」
「おめでとう!!ナナリー。」
「お姉ちゃん、おめでとう!!」
皆は口々に彼女を祝福した。
彼女は今までに一番の誕生日を迎えた。
美味しい料理に皆の笑顔、そしてなによりみんなの気持ちが嬉しかった。

みんなが騒ぎ疲れて寝ている頃ナナリーの姿はルーのお墓の前にあった。
「ルー、姉ちゃんね今日誕生日だったんだ〜。みんなあたしのこと祝ってくれてさ・・・。何だか照れくさかったけど嬉しかったよ。本当はあんたにも・・・。」
「やっぱりココだったか・・・。」
後ろを振り返るとそこには見慣れた人の姿があった。
「ロニ・・・?何の用だい?」
と少し強気に訊ねると彼は少しの間黙って下を向いたが、顔を上げて
「あのさ・・・。これ・・・。」
と言いながら紙袋を彼女に差し出した。
「これ・・・!?」
「何て言うか、その・・・た、誕生日・・プレゼント・・・。ずっと悩んでたんだけどよ、それ、二個しかなかった時お前自分には似合わないからってあいつらに譲っただろ?でも俺、お前が付けたらスゲー可愛いだろうなって思ってさ・・・って俺何言ってんだろ///と、とにかく誕生日お、おめでとう。」
そういうとロニはその場を立ち去ろうとしたがナナリーが引き止めた。
「お待ちよ、ロニ。じゃああんたハロルドと一緒に居たのは・・・?」
「ああ、買うのは良いが金がなくてな。それをあいつに相談したら一週間バイトしないかって話になってよ。いやぁ、死ぬかと思ったぜ・・・。ま、そのお陰でそれ、かえたんだけどな。」
そういってロニは苦笑いをした。
「んじゃあ俺はそろそろ戻るぜ。お前も早く帰って来いよ?」
「ありがとう、ロニ。」
「なんだよ、やけに素直だなぁ??変なもんでも食ったんじゃないか??」
「こ、このばかロニ〜!!!!」
「あいでででででで、関節決めんじゃなねぇ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
関節を決めながらナナリーはそっと呟いた。

「ありがとうロニ。・・・・・だよ。」


星が降り注ぐ空の下、ロニには聞こえなかった彼女の言葉。星達だけが聞いていた。

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緋沙作のロニ、ナナリーの小説です。
D2ではこの2人のセットが一番好きだったりします。
お付き合いいただきありがとうございました。