谷川岳 
 
…上信越の山…

  〜谷川岳〜
  (1963m)



天神平〜谷川岳〜蓬峠〜土合橋



   
平成19年10月13日(日) 
天気  晴れ 
単独


      

土合橋のすぐ手前の奥まる位置にある駐車場はこれまで見たこともない数の車だ。男性に混じってヘルメットをかぶっている若い女性のいでたちは、沢登りあるいは悪名高い岩場にでも向かうのであろうか。

ここから車道の坂道を20分も歩けばロープウェイ駅に着く。たかが7、8分ほど乗って片道1200円の料金は高いと思うが、歩けば2時間もかかって今日の行程をこなすのに支障が出る。

ロープウェイから見下ろす木々の葉は緑の色が濃く、山の上から紅葉が下ってくるのは二週間も先のように思えた。天神平から山の上に向かっている登山道に人の流れがさっそく目に付き、前回来たときも同じ時期だったが、こんなに多くの登山者を迎える山もそうざらにないはずだ。
                                 
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〔谷川岳山頂へ、と記してある〕
谷川岳山頂へ、の標示を見たのが8時40分だ。登山道の大半を占めている木道をしばらく歩き、周りの木々の葉も色づいて近くで見ると枯れた部分だけが目に付いた。

天神峠の道に分ける頃には右側に見えていた谷川岳を正面に見すえ、白毛門(しらがもん)の稜線が右側に取って代わる。

間もなく尾根に乗り、すぐ先で山腹に道を移して鎖一箇所越えれば平らな道の先に熊穴ノ沢避難小屋が建っていた。

ここから直登の尾根道になり、一本目のロープで渋滞が始まって今日の人出は並大抵ではないが、この喧噪は谷川岳までだ。

潅木の葉は黄色に色づき、燃えるような真っ赤なツツジも加えていっそう尾根は華やかであるが、いらだつのは夢中になったあまり、登山道の真ん中に立ち止まってはカメラを構え、歩みを止めていることだ。





〔今日の谷川岳〕


〔草原の登り〕
鎖が現われれば稜々とした岩尾根の登りになり、やがて巨岩の裏側に回って一段落し、ここから一見して山頂まで笹原に通じている登山道である。

遠目に穏やかに見えていた登山道も、足元の表土は岩がむき出しであり、岩を踏んで歩くことに変わりない。

山の斜面は緑色の笹が優勢になり、その中に点在している紅葉もこの辺りではかき消されがちである。

肩の小屋の屋根が青空に映し出しているのを見てからもしばらく登り、間もなく天狗ザンゲ岩を過ぎて10分ほどで小屋に着く。

いつも気になる谷川岳に連なる主稜線は雲の中であり、雲の上に広がる青空にガスが流れていた。

ひと息を入れた後、谷川岳の一方の峰であるトマの耳に向かい、直前にして覗きこんだ右側下方の隆々とした尾根は西黒尾根だ。


〔万太郎山方面に雲がかかる〕
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〔前方がオキの耳〕
トマの耳から山頂のオキの耳に向かって逞しい骨格のような稜線を鞍部から持ち上げ、その間は登山者で鈴なりだ。

山頂から先では風を避けながら岩陰にひそんで昼食を取っている登山者だけになり、谷川岳のおこぼれでもあずかっているだけのひっそりした稜線になる。

奥ノ宮から岩稜の小さな登下降が続き、岩が黒光りして見えるのは滑った跡であり、迂闊に靴でも乗せたら、たまらないところだ。

ノゾキの名称の見える場所では右側がスッパリ切れ落ちているのを覗くことができ、ここはすかさず視線をそむけて足早に立ち去り、その後下ってから一ノ倉岳までは骨の折れる登り返しが始まる。

一ノ倉岳には簡易な避難小屋が置いているかのように建ち、正面の新しい標識は中芝新道を示していた。

廃道だった道が復活したものであり、健脚向きコースと記してあった。



〔一ノ倉岳〕


〔茂倉岳からの下り〕
この頃にはどこを向いても物の形もつかむことのできない濃いガスが周囲を覆い、差しあたっては周りに気を取られないで稜線歩きに精を出し、茂倉岳(しげくらだけ)は15分ほどで、たあい無く到着する。

山頂から武能岳(ぶのうだけ)に向かう道を歩くのは始めてであり、笹原を下ってその先の岩峰の突起は左に巻いた。

長い下降を経て鞍部に達し、それから幾つものコブを越して高みに上がり、やがて武能岳の直下に迫った。

一ノ倉岳、茂倉岳の優美な起伏が背後に遠ざかっているのを眺めて一呼吸をおき、目の前の急坂に向かった。

ようやくの思いで頂稜の一端に足をかけたが、武能岳の標識はまだ先の方で待ち構えるように立っていた。

茂倉岳を下っている頃からガスの晴れ間の間合いが長くなり、360度の展望を備える武能岳に着く頃には谷川岳近辺だけ除いて秋の陽射しが山々の連なりにあふれていた。



〔武能岳〕
 
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〔蓬峠方面〕
雲は多いながらも合間から覗く澄みきった青空の下に周知の山々を並べ、なかでも大源太山の尖峰に不似合いなほど目線の下にあることに違和感を覚えた。

山頂から足下の蓬ヒュッテの見える笹原は最近伐採したばかりであり、登山道に笹の葉が埋まって中にひそむ岩を気にかけながら爪先で探って下った。



大源太山が目線の位置になったら広々とした平坦道になり、蓬峠も目と鼻の先である。

蓬峠に立つ三方境の標識で土合に向かい、取りもなおさず右後方に向かって山の斜面をジクザクに下り、二本目の沢を渡る手前でザレ場を越えて三本目の沢から先で樹林の中に入った。

やがて清水峠の分岐に出合い、すぐ先に白樺避難小屋が建っていた。




〔蓬峠〕


〔白樺避難小屋〕

国道の名が付く清水街道の旧道もすぐ先で右側に見送り、じきに湯桧曽川沿いになる左側に分けた道は旧道に対比して新道と呼ばれるものだ。

ちなみに旧道はかって馬車も通い、交易の道だったとのこと。

15時に蓬峠を出発し、駆け足のごとく歩いて土合橋に着く頃には、山に囲まれた周辺は闇の中に沈んでいた。


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 〔登山道からの風景・クリックすると拡大します
 
 
 

--コースタイム--
 天神平 8:40 熊穴ノ沢避難小屋 9:20〜9:25 肩の小屋 10:35〜10:50 
 トマの耳 10:55 オキの耳 11:15 ノゾキ 11:50 一ノ倉岳 12:20〜12:35
 茂倉岳 12:50〜12:55 武能岳 14:20 蓬峠 15:00 
 清水峠分岐 15:35〜15:45 JR巡視小屋 16:45 土合橋 17:40
                              −行動時間− 8時間10分
--参考地図・図書--
 「山と高原地図 5万 谷川岳」