生藤山 
…高尾・陣馬の山…
〜しょうとうざん〜
(990m)
  


石楯尾神社〜生藤山〜浅間峠〜上川乗バス停

   
平成18年1月22日(日) 
天気 晴れ 単独
      
       
      

昨夜まで降り続いていた雪が気になり、登れる当てのある山を探していたら、咄嗟に生藤山を思いついた。 どさくさまぎれに決めた結果、帰りのタクシー代も、すんでのところで5000円も払うところであったが、同乗者一人増えただけでも、もっけの幸いである。

石楯尾神社から出発するコースは、かれこれ20年前に一度歩いている。 今日は生藤山から浅間峠に向かい、そのまま一度も歩いたことのない笹尾根に少し足を伸ばしたいと思ったが、雪道を歩いて、すぐさま無理だと悟った。

そのことに加え、左の大腿部に痛みも伴ってきたのは、雪道を歩いているせいか、と合点したいところであるが、そんなことで今日はいつもの足取りではない。 石楯尾神社バス停で山に向かう人を10人ほど見たが、そのうち先生に引率された小学生の4、5人の足元は普段履いているズックである。

学校の先生が付き添っていて、「何だ、この体たらくは」と、思ったが、似たようなことを以前に体験しており、苦い思いが走った。 案の定、甘草水にも辿り着けず、途中で引き返したようだ。

生藤山の標識を見て、車輪の跡の残っている雪の舗装道路を歩く。 10分後には左側の山道に入り、甘草水の標識を見たら道は細くなる。 杉林の中に伸びている雪道に先行者の足跡があり、やっかみながらこの足跡を追って歩いている。

      
〔石楯尾神社の脇の車道〕                       〔山道に入る

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堰堤を見たら林道に出合い、山道は目の前の杉林の中に続いている。 陽の差さない杉林をジクザクに登って40分も経つと、オレンジ色に染まっている木立を山の上部に見る。 やがて山の稜線が空に透けて見え、真っ赤な太陽と鉢合わせした所に佐野川峠の標識が立っていた。

道はゆるやかに尾根上に伸びて気持ちがはち切れるが、我慢しなければならないのは今になっても変化のない木々の樹相である。 杉林に明るみが広がった先にベンチの置いてある甘草水があり、尾根の両側にサクラの木がひっそり息づいている。

サクラの枝の上にこんもり雪を載せた先に富士山がゆったり構えており、時間からおしはかって、ちょうど休憩の頃合いだ。 さっきから後塵を拝している先行者がここで三脚を据えて写真を撮っており、しばらく話をかわしたのち、おもむろに間隙を突き、足跡の無い真っ白な雪を蹴散らして歩いたが、この御仁、足がめっぽう早い。

すぐ追い抜かれて不覚を取ったが、ここまで足を伸ばすと生藤山は近い。 生藤山の手前に三国山があり、展望はサクラの枝が邪魔して風景を邪魔していた甘草水に比べて格段にましである。 三国山は東京都、神奈川県、山梨県の県境の接点になっている要所である。

浅間峠に向かう道は山頂の西側に伸びており、ここは、なにはともあれ東に向かって生藤山の山頂を踏む。

  
〔甘草水〕                               〔生藤山〕

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少し下った先で三国山の巻き道に合わさり、目の前の木々越しに見えるピークが生藤山である。 山頂直下から上まで岩尾根になっているが、ひと登りで達する。 引き返して三国山から先はもっぱら尾根通しの道になり、しばらく踏跡のない雪の中を、小躍りしながら歩いた。

三国山の急坂を下ってすぐ登り返したピークに軍刀利神社元社が建っていた。 休憩中の登山者を二人見たが、前方の雪面の蹴散らしている窪みはこの人たちのしわざである。 西側の木々の向こう側には濃紺の空が広がって雲は一片もなく、視線を転じて後ろを振り返れば、雲が地平から吐き出して青空を隠す勢いであり、まるで真上の空を境にして区切っているような空模様である。

すっきり見えていた富士山もいつのまにか雲の中に姿を隠し、その雲のあおりをくったガスが、今歩いている尾根の南側を白くした。
 
  
〔関東ふれあいの道の標石〕                   〔登山道の先の青空〕  

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熊倉山でひとしきり休憩をとり、あとは幾つかのピークを登ったり、下ったりする。 左右に植林と雑木に分けた尾根道がしばらく続いていたが、栗坂峠から斜面に道を移したら木々は残らず雑木に変わった。
ここから15分もゆるやかに下っていくと、あずまやの建っている浅間峠に着く。

浅間峠から45分も歩けば上川乗バス停に着くが、武蔵五日市駅行きのバスが到着するのが1時間30分後である。 迷いに迷った挙句、仕方なくタクシーを手配することにしたが、電話口に出た人は気の毒そうに「5000円位掛かるけど、それでもいいですか」、と念を入れてきた。

一瞬、目の前が暗くなったが、いまさら断わるわけにもいかない。 今月、使うことのできる小遣いを心細そうに胸算用していたら、登山者が一人、バス停の時刻表の前で思案顔である。一瞬、しかめ面した表情を見のがさないで、すかさず声を掛けた。


   
気持ちの良い雑木林〕                       〔浅間峠はひっそり〕

--コースタイム--
 石楯尾神社 8:50  佐野川峠 9:40  甘草水 10:00〜10:15   
 三国山 10:35〜10:40  生藤山 10:45〜10:55 
 軍刀利神社元社 11:15 熊倉山 11:35〜12:00  栗坂峠 12:55
 浅間峠 13:10〜13:20 上川乗バス停 14:05
                                 −実動時間−  4時間10分
--参考地図・図書--
 「昭文社 5万 高尾・陣馬」  「昭文社 5万 奥多摩」