…上信越の山…

谷川岳〜茂倉岳・蓬峠 
〜たにがわだけ・しげくらだけ・よもぎとうげ〜
 (1977m) (1978m)
(1529m)



土合橋駐車場〜西黒尾根〜谷川岳〜一ノ倉岳
〜茂倉岳〜武能岳〜蓬峠〜土合


   
平成22年6月17日(木)
 天気 晴れ
メンバー  単独


ロープウェイ土合口駅を越してから坂道の車道を登って行けば登山指導センターのすぐ先に標識が立つ。 西黒尾根登山口と記し、今日はここから谷川岳に登る。

さらに車道を進めば巌剛新道の登山口があるが、このコースを登ったのは二年前のこと。

巌剛新道はラクダのコルで西黒尾根に合わさるので、西黒尾根登山口からこの間は始めて歩く、つまりは未踏の部分。
〔奇妙な形のブナも〕
西黒尾根の核心である岩稜は、この時に体験済みで、残すのは樹林帯の中ということだ。

取っ付きからブナ林の中を潜って行くことになるが、ガイドブックの通りで、なるほど急坂である。 東黒沢から取り付く白毛門の登りに、どこか似ていなくもない。

ブナの他にトチノキなども目に付き、登山道は斜面から尾根に移る。 間もなく送電線鉄塔を越し、その後も急坂はえんえんと続く。


〔ユキワリソウが咲く〕
やがて左側の樹林越しに大空が視界に大きく映って尾根らしくなり、傾斜が緩く感じたのはこの辺りから。

高みに立ったところに谷川岳山頂まで三時間との標識があり、ここで一度谷川岳が全容を現す。

少し下ってから登り返すが、ここまで登って来ると木の葉の緑は目を洗うばかりの若葉色だ。




〔標識にラクダの背と記す〕
木の枝にたわわに赤い花を付けているのがベニサラサドウダンだが、気付かない間にいつの間にか周囲は灌木に変っていた。

高い木が目立って来ると再び急坂になり、やがて尾根の南側で青空の下に立つ。

ロープウェイ駅の天神平を見下ろせるところまで登っており、その向こうのかなたで霞んだ空に浮かんでいるのが伊香保の山々に赤城山だ。


〔ナエバキスミレの群生〕
西黒尾根での岩稜歩きはすぐ先で始まり、まずは三か所の岩稜を鎖で身体を支えて登る。

本格的な岩場はガレ沢のコルを過ぎてからだが、この三か所の岩稜の方がむしろ手強い。 ラクダの背と記す標識から下り切って巌剛新道に合わさるが、この場所に西黒尾根ガレ沢の頭と標記し、ラクダのコルとも言う。

いよいよここから全編を通しての岩稜歩き、しかも花の多いところである。


〔垂直の岩場とはここのこと〕
黄色のペンキ印に従って歩けば苦慮するところは無いと言ってよいほど。

気にするところを敢えて上げれば、垂直に近い岩稜の登り一か所と一枚岩の登り一か所だけだ。

青空に向かって垂直に見える岩稜は鎖もあって足場は豊富。 氷河跡とも呼ばれる一枚岩は擦痕の通りに歩く。




〔ここまで来ると随分登ったとの感じ〕
どんどんと標高を上げていることも爽快だが、花も今が旬とばかりに咲いて、この険しい尾根に不釣り合いなほどに多い。

ホソバヒナウスユキソウ、ナエバキスミレ、キジムシロ、ユキワリソウ、ミヤマキンポウゲ、ハクサンイチゲなどが見られる。

ザンゲ岩を左側に通り越して谷川岳にこぎ着けたことを実感し、雪田の中のポールが風見のように見えて方向を示しているようだが、その間の登山道は雪の中なのだろうか。


〔肩の小屋に谷川岳主脈、左側の稜線は俎ー山稜〕
適当に歩いて先で登山道を拾ったが、トマノ耳はそこからひと登りで着いた。

腹ごしらえをしつつ展望にも浸って35分後にオキノ耳に向かう。 オキノ耳には数人のハイカーが居て座を占めるところは無く、山名標を見るに留めて先へと急いだ。

一ノ倉岳の直下まではダラダラした登り下り。 登山道の周りにはシャクナゲが多いが、ほぼ終わっている状態。



〔まずはトマノ耳に登る〕
ところどころで切れ落ちている一ノ倉沢を覗けるが、登山道から見える範囲内でやり過ごして漫然と進む。

ノゾキという地点で勇気を奮って覗きこむことを心に約したが、その目印も見落として一ノ倉岳の直下まで来た。

高くそびえ立っている一ノ倉岳も20分ほどで登れる。 ずっと気にしていたのが、以前来たときに見かけた山頂の中芝新道を指す標識。



〔トマノ耳からオキノ耳、一ノ倉岳、茂倉岳〕


今日の予定はさらに縦走路を歩いて茂倉岳、武能岳、蓬峠へと向かい、そこから土合まで行くという長い道のり。

茂倉岳までだったら楽勝、だが茂倉岳から武能岳までが長く、さらに蓬峠から土合までは気が遠くなるほど、もっと長い。

一度歩いたこともあって一ノ倉岳からの中芝新道を採っての下山の目論見もあったが、踏ん切りが付かなかったのが沢での残雪の通過。


〔トマノ耳から白毛門〕
直前になってネットで調べたら相当の急傾斜とか。 そして中芝新道の標識には下山道としては不向きとのダメ押し。

やはり当初の予定通りに進むしかなく、差し迫った時間を気にして早々に茂倉岳に向かった。

一ノ倉岳を下ったら尾根に雪田が広がり、この辺りで少ないながらもハクサンコザクラを見ること出来る。

〔一ノ倉岳から下って来た〕
ハクサンイチゲはたくさん咲いており、道々に咲いていたシラネアオイもここに来て見映えが良くなった。

茂倉岳に立って始めて湯沢方面が開け、関越高速道、岩原スキー場が眺められる。

360度の全景が広がったと言った方がより適切で感動的すらあり、何にも増して谷川岳主脈を全部網羅することが出来て畏れ多いことである。

〔ハクサンイチゲ、バックはオジカ沢ノ頭かな〕
ここから武能岳の直下までが長い下り坂だが、花はめっぽう多い。 ハクサンイチゲは言うに及ばずでミツバオウレンに、何とユキワリソウの多いこと。

茂倉岳から眺めたら武能岳は取るに足りないのだが、ここまで下って来ると恰幅がすこぶる良い。

直下からいよいよ山頂に向かっての登りになるが、思っていた以上には時間はかからないはずだ。




〔茂倉岳から歩いて来た稜線を振り返る〕
山頂からの下り坂、三年前の秋に歩いた時はもっと笹がかぶっていたようだが、今時分は足元がすっきりして歩きやすい。

笹原の中で登山道が平坦になればじきに蓬峠に着く。 標識に指している土合方面に向かい、しばらくはとんとん拍子に下った。

問題なのは沢筋での残雪の通過。 一本目、二本目は短くて特にあげつらうほどではない。 三本目は沢水に登山靴を浸して渉り、四本目でまた残雪を迎えて、これが対岸まで長い。


〔ハクサンイチゲにユキワリソウ〕
アイゼンでも付ければ万全だが、その用意もなく、緩やかな傾斜地を選んで神妙に通過する。

蓬峠からこの間はトラバース道だが、残雪帯を抱えている他にザレ、ガレも挟んでもっとも慎重に歩かなければならないところだ。

トラバース道から尾根道に移り、ほどなく清水峠分岐の標識に出合う。




〔武能岳を目前にして茂倉岳を下る〕
すぐ先に白樺避難小屋が建ち、ここまで来たら後は安心して歩ける登山道である。

武能沢を越し、次のヨモギ沢出合と岩に記してあったところでは水量が多いせいか、渡渉地点で一苦労。

それでも何とか沢を渉り、しばらく先で今度は芝倉沢を越える。 JR見張小屋を越してから広い登山道を挟み、はたまた湯檜曽川の河原を歩いたりして登山道は林道へと移る。 12時間も経ち、もう少し歩いて土合橋で長い山行の一日を終えた。


〔たおやかな笹原の尾根に蓬ヒュッテが建つ〕


…… 登山道で見かけた花 ……
 ユキワリソウ  ホソバヒナウスユキソウ  ウメハタザオ  エチゴキジムシロ
 ミヤマキンポウゲ  ハクサンイチゲ  コイワカガミ  コシジオウレン
 ハクサンコザクラ  イワイチョウ  シラネアオイ  ナエバキスミレ
 コミヤマカタバミ  ハクサンチドリ  ヨツバシオガマ  ツマトリソウ
 タテヤマリンドウ  チゴユリ  ミツバオウレン  ノウゴウイチゴ
 ムラサキヤシオ  ツバメオモト  ベニサラサドウダン  アカモノ
 オオバキスミレ  サワハコベ オオバミゾホオズキ   ラショウモンカズラ


--コースタイム--
  土合橋駐車場 6:00  西黒尾根登山口 6:20〜6:25
  ラクダのコブ 8:30  西黒尾根ガレ沢の頭 8:40〜8:50 
  ザンゲ岩 9:55  トマノ耳 10:20〜10:55  オキノ耳 11:10
  一ノ倉岳 12:10〜12:15  茂倉岳 12:45〜12:55
  武能岳 14:30〜14:40  蓬峠 15:15  白樺避難小屋 16:10 
  土合旧道分岐 16:15  武能沢 16:50  一ノ倉沢出合 17:30
  土合橋駐車場 18:15
                              −実動時間− 11時間00分
--参考地図・図書--
  「山と高原地図  谷川岳  昭文社」


    

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