飯豊山 
 …東北の山…

  〜いいでさん〜
 (2105m)



一日目
御沢キャンプ場〜三国岳〜切合小屋

二日目
切合小屋〜飯豊山〜三国岳〜御沢キャンプ場


   
平成18年10月15日(日)〜16日(月) 
天気 15日晴れ  
天気 16日晴れ 
単独
 

      

一日目は切合小屋まで

川入(かわいり)
の集落に建つ民宿の前の細い路地から林道をひとっ走りすれば登山口のある御沢(おさわ)キャンプ場に着く。木立に囲まれてしんとしている広場にキャンプ場の洗い場、トイレが建ち、駐車場には10台近くの車が停まっていた。

車を置き、先に延びる林道を10分も歩けば御沢登山口に着く。 周辺のトチノキ、スギの巨木が林立している様子は、境内にでも立ち入っているかのようだ。そのことで言えば飯豊山には飯豊神社が建ち、道々にも宗教色の濃い呼び名が残っていた。

飯豊山表参道川入口と彫られた由緒ある石塔を左側に見て樹林の中に進む。30メートル先からさっそく登りになるが、緩やかな道も時おり挟む。登山道を尾根に移す頃にはいっそう急になり、頭上には覆いかぶさるようなブナが茂っていた。標高を上げるにしたがい、ブナの葉も黄緑から黄色に変わってくる。

急登の続く先で小さな平地がいきなり現れるが、それぞれの場所に標識が立ち、最初は下十五里と記してあった。

  
〔キャンプ場〕                       〔登山口〕

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獣の匂いがする道を登って20分もすると中十五里だ。
右側に水場と書いてあるプレートが置いてあったが、急登に次ぐ急登でその場所を確かめる余力なかった。間もなく尾根に潅木が多くなって左右の見通しが良くなり、太陽の光をまともに受けている東側の山々は霞んで見えた。

上十五里を過ぎると近辺の山肌の黄葉、紅葉の対照が美しく見られるようになる。
10時頃になるとこれから向かう尾根が、ガスがかかってきて展望の行方が心配だが、今はもっか黄葉、紅葉の見物に夢中だ。笹平の標識を見て20分も歩けば横峰という平坦地に着き、その隅に小屋の残骸が置いてあった。

ここからしばらくは平坦で足元のすっきりした登山道が続き、秋色に染まった木々を心おきなく楽しむには打ってつけの道だ。すぐ先で小白布沢コースに合わさり、やがて地蔵水場道と記してある折れた標識を見て、右側の道を見送って左側に向かった。
木の根の張っている歩きづらい道を辛抱して進めばそろそろ水場に着く。

下ってきたハイカーの一人にすれ違い、日帰りで飯豊山に行くつもりだったが、思った以上の展望ではないので三国岳から引き返した、と言っていた。
水場から続いている道は下方に伸びているが、この道は途中で崖くずれになっており、ここは上に向かう。

  
 〔上十五里〕                      〔横峰〕

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道を西側に変えたら錦秋の尾根を直登する。高いピークの登りに差し掛かる頃から岩がちになり、まず手始めは剣ヶ峰の岩場を無難にこなすことだ。這いつくばうようにして登り、、剣ヶ峰の先のとんがった岩峰が護摩壇のようだが、ここは右側に巻いて三国岳直下の見晴らしの良い岩に座って昼食を取った。

三国岳から大日岳、飯豊山が見えるはずだが、昼食を取っている間はガスは晴れることはなかった。 山頂に建つ三国避難小屋は新築のようだが、翌朝この小屋から出発して飯豊山に向かっても、その日のうちに下山できそうだ。切合(きりあわせ)小屋には三国小屋の裏側の登山道が通じており、少し下った先から登り返しが始まる。以後、幾つかのアップダウンを経て高みに登って行く。

この間も色づいた木々の葉が美しく、ガスが晴れて日差しが注ぐと黄色、赤色と浮かび上がらせていた。高いピークは岩稜が覆い、そこを過ぎると笹原が広がる。平坦道に種蒔(たねまき)という標識が立っており、ここまで登ると樹木が姿を消して山の外形がのっぺりして見えるが、山肌に笹原や草紅葉が広がっているところだ。

黒いホースが足元で見えたら切合小屋に着く。切合小屋は100人の収容力を誇るが、今日は4人の宿泊者とさびしい。

  
 〔三国小屋〕                      〔切合小屋〕


二日目は烈風を縫って飯豊山へ

窓明かりが切合小屋の室内を照らす頃、早朝に寝入ったにもかかわらず目が覚めた。夜半、小屋の外に出ると満天に星を散りばめた夜空を見て今日の晴天に疑心を抱かなかった。
室内の窓を引いて飯豊山がいきなり眼中に入るはずだが、唸りをあげた風と共にガスが襲い、脳天に鉄槌をぶちかまされた心境だ。

取る物もとりあえず、出かける準備をして小屋を出た瞬間、冷たい風が顔面を襲って思わず玄関に後ずさりした。切合小屋の玄関は土間のような空間を挟んで二重になっているが、外側の戸のたてつけが悪く、風で夜中からずっと叩きつけるような音を立てていた。
性根を据えて玄関から外に飛び出し、風に向かって突進した。

笹原の窪んだ道から登りが始まり、やがて笹原とハイマツの尾根を右側に巻く。
谷に落ちているなだらかなスロープは、夏にでもなれば色とりどりに花の咲くところのようだ。
また笹原の窪地に入ったが、風が笹の葉を波のようにうねらして潮騒のような音を響かせていた。

窪地の抜けた場所が草履塚(ぞうりづか)というピークであり、立ったら容赦なく風が襲ってすぐさま窪地に入って身をひそめた。風が弱まった頃を見はからって草履塚に戻り、一気呵成に姥(うば)地蔵のある鞍部まで下った。
岩稜の尾根が御秘所(おひしょ)と呼ばれる場所であるが、この岩場はあっけなく過ぎる。

  
〔姥地蔵〕                      〔御秘所〕

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さらに上に向かって急な登りが続き、砂礫を踏みしだいて一歩一歩じっくり足を運んだ。
尾根道は平坦になり、間もなくガスの中に薄ぼんやりと黒い影を見えてきた建物が本山小屋である。
飯豊神社も一緒に並んで建っており、ここから飯豊山まで15分もあれば着く。

しかし、ここから先はこれまでの断続的に吹いていた風と違い、休みなしに吹く烈風で帽子を両手で押さえ、背を丸めてさも嵐の中に向かうかのように突進した。
幾つかの黒い影を見て飯豊山と先ばしったが、平地のゆえに地図のコースタイム通り、時計が15分を刻んだ頃に山頂に達した。

標識にタッチして脱兎のごとく引きかえし、本山小屋に駆け込んだ。
手がかじかんでシャープペンが掴めないのでしばらく手をこすりながら休憩を取った。

  
〔飯豊神社に向かう〕                    〔飯豊山の山頂〕

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小屋の中に下山の支度をしていた4人の男女がいたが、川入へ下るそうである。また昨夜の宿泊者は15人とも言っていた。この小屋も造りは三国小屋と同じで、やはり新築のようだ。
草履塚まで引き返したら空のところどころで青空がのぞきだした。その青空も見る見るうちに広がりだし、まったく嘘のような天気である。

稜線漫歩のていになり、何度も後ろを振り向いて飯豊連峰のなだらかな山脈を眺めて心をはずました。尾根道には真夏のような強い日差しがあふれ、稜線の白色の砂礫に対して、笹の緑野、草紅葉をくっきり分けていた。散々に大日岳、飯豊山の写真を撮りつくしてから切合小屋に着いた。

この先も飯豊山、大日岳の展望を楽しめるが、何といっても青空のもとでのいっそう映える紅葉とあいまってひと時も目の離せない尾根歩きが続く。
三国岳から下ってくる尾根歩きを終え、そろそろ登山道の向きを南側に寄せる頃、不意に気持ちが沈んだのは飯豊連峰から離れる寂しさからだ。

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〔大日岳〕
〔飯豊山〕

--コースタイム--
一日目
 御沢キャンプ場 7:45  御沢登山口 7:55〜8:00  下十五里 8:40〜8:45  
 中十五里 9:05〜9:10  上十五里 9:40  笹平 10:15
 
 横峰 10:35〜10:45  水場 11:15〜11:25  剣ヶ峰 12:15〜12:30 
 三国岳 12:55〜13:05 切合小屋 14:35 
                                −実動時間− 5時間50分  
二日目
 切合小屋 6:00  草履塚 6:30  御秘所 6:55  本山小屋 7:45  
 飯豊山 8:00 
本山小屋  8:15〜8:25  草履塚 9:10
 
 切合小屋 9:30〜9:35  三国岳 10:45〜11:00  剣ヶ峰 11:10
 横峰 12:05 上十五里 12:30 中十五里 12:45〜12:50
 下十五里 13:00  御沢キャンプ場 13:30                
                                −実動時間− 6時間55分 

--参考地図・図書--
 「日地出版 飯豊連峰」