六甲修験道  
 

年月日:2013年03月30日 天気:晴れ
ルート :甲陽園駅→神呪寺→鷲林寺→石の宝殿→仙人窟→雲ケ岩→天狗岩→三国岩→行者堂→古寺山→多聞寺→神鉄六甲駅
メンバー:単独

 昭和21年発行の「住吉村誌」(住吉村は現在の神戸市東灘区周辺)には「彼の役の小角は、この山を大峰山と同じく日本行者の七修行場の一として開發している。即ち鷲林寺から東六甲を登り頂上の石の宝殿に至り、それから西して住吉越道を横切り尾根 傳ひに西六甲の蜘蛛の岩、三國岩等の行場に至り唐櫃越を下つて唐櫃村の修験宿、四鬼山伏の總家に到着するのが所謂六甲修験道の通路であつた。」と書かれていて、鷲林寺から 始まる六甲修験道の修行の通路があったという。
 また、西宮市立郷土資料館の特別展示「西宮の山岳信仰」によると、「六甲山とその周辺の山岳信仰や、そこで活躍した山伏について調査をすると、鷲林寺から山に入る「六甲修験道」という修行があったことと、鷲林寺地区では大峯修行がよくされた」ことが記載されている。
 今回は、出発点を神呪寺・鷲林寺とし、六甲修験に関係したであろうと思われる史跡、寺社を訪れ、最終地点を多聞寺とする「六甲修験道」を歩いてみた。


 ルートマップ
 
概念図
6:38
阪急甲陽園駅に着く。六甲修験の西の入り口は鷲林寺だそうだが、神呪寺にも神呪寺大師同の大師護摩があり、修験道とも関係がありそうである。今回は、一番西の端になる神呪寺を出発点にしたかったので甲陽園からの開始とした。
7:05
大師道に従って神呪寺に着く。今回初めて大師道を歩いたが、距離的には最短ルートの様だが急な階段もあり、結構きつい道である。大きな邸宅の間を歩き、野仏の道を横に見て神呪寺に着く。 神呪寺の奥には甲山が見れ、また、神呪寺の展望台からは南の街並みがよく見れる。
7:17
神呪寺からは北山貯水池の南側を歩く。ちょうどサクラが7分咲きぐらいで桜の名所でもある。
7:36
鷲林寺に着く。山号も「六甲山」であり、昭和二十一年発行の「住吉村誌」にも、六甲修験道の修行の通路が鷲林寺から始まる旨の記載がある。
7:51
鷲林寺の横の若宮神社から「セセラギコース」をとると旭滝に出会う。
旭滝の向には不動明王の石仏があり、八大竜王などの水神も祀ってある。修験の滝の行場であり、かつ水の神を崇めていた場所であることが分かる。
8:17
奥池に着く。このあたりには地図にない新しい道が付けられているようでルートが分かりにくい。「熊笹峠」や「六甲最高峰」の標識の方向へ進む。
8:51
芦有ドライブウェイを渡り、山道を登り、熊笹峠に着く。ここは十字路になっていて北へ行けば芦有ドライブウェイに出る (かつてはその先に道があったようだが今は廃道)。東へは「とかが尾山」、西へは六甲山頂へ。
当然、西への一番明白な道を取る。
9:12
熊笹峠から西の尾根道は傾斜のきつい部分もある。明石神戸宝塚線に出ると、そこからは少しアスファルトの道を歩く。西宮市と芦屋市の市境に石の宝殿の西の鳥居が経っている。
9:20
鳥居内の神域にはいると、笹も刈られている道を登ると石の宝殿である。色々伝説の多い部分である。近くに白水不動、白山姫観音などがあり、古くから雨乞い祈祷のあった場所である。
水の神様から、有馬の水商売の方々も参拝に来られるとか。
9:46
六甲山頂である。近くに役小角像などもあり、六甲山が修験の修行の山であることが窺える。
10:41
山頂から六甲全山縦走路を逆行(西へ)し、極楽茶屋跡、ガーデンテラスを過ぎて、六甲カントリーハウスの方向へ行き、六甲カントリーハウスの西側で右折(北へ)曲がる。
10;56
舗装道路から藪道に入り、5〜6分で「仙人窟」に着く。阪神大震災で壊れたそうだが、ここまで来るのに笹の深い部分もあった。暖かくなると、今話題のダニによるSFTS(重症熱性血小板 減少症候群)に気を付けないといけない。
11:10
元のアスファルトに戻り、西側に回り込むと「心経岩」に着く。
昔、法道仙人によって彫られたと伝えられる般若心境を刻んだ巨石である。最後に書かれているの「菩提薩婆訶(ほじそわか)」の部分だけ梵字になっている。現在あるのは大正5年に再建のもの。
11:15
心経岩のすぐ南側の鉄製の階段を登ると「六甲比命大善神」である。
弁財天をお祭りした御社で、巨大な岩石(盤座)の上にある。綺麗に清掃されているが、例祭は行われているのか不明。
11:17
六甲比命大善神のすぐ南側が「雲ケ岩」。
古来は蜘蛛の岩(雲の岩の言い換え)、紫雲賀岩とも呼ばれた。雲ケ岩は、有野町唐櫃の多聞寺の奥之院として修行の場でもあったようで、現在でも多聞寺より春秋二回のお参りがある とのこと。
11:18
雲ケ岩のすぐ東側にある「熊野権現」。
熊野権現で石碑には「崋山法皇、熊野権現、佛眼上人」と記載されている。崋山法皇は西国33観音霊場を再興した「花山法皇」で、花山法皇を西国巡礼に導いた法皇の師が「佛眼上人」で、一緒に刻まれている。
この石碑の前面の石組みは仰臥岩と呼ばれている。
11:45
南へ下ってサンライズドライブウェイの舗装道路を歩き、廃業した六甲オリエンタルホテルの部分で左折(南側)して鉄塔のある部分を超えると「天狗岩」に着く。
天狗の顔のような岩だが、形から天狗岩と呼ばれているものではないらしい。この岩の上で修行をした修験者を天狗に見間違えたところからが正解のようだが真偽のほどは不明。
11:59
天狗岩から六甲スカイビラ、神戸ゴルフ場の横を通り縦走路に合流して記念碑台に着く。
古地図には、この地点から少し南の部分に「天狗の鼻」と記されたところがあるが、現時点では何が(何処が)天狗の鼻なのか不明。
12:48
記念碑台から前が辻、丁字が辻を経て「三国岩」に着く。修験の修行の場としては、天狗岩と共に外せない場所である。三国岩は何枚も岩を重ねたような形状である。
13:00
三国岩から前が辻に戻り、ここからシュライン道を下る。この両側に、白髭神社や阪神稲荷神社があるが、これらは近世のもの。
13:16
シュラインロードの「行者堂」である。
不動明王、役行者、前鬼、後鬼が並んでいる。その前には護摩を焼く石の台が設置されている。
13:30
行者堂からさらに下るとドライブウェイと交差する部分に出る。ここにはシュラインロードの鳥居がある。ここから上がシュラインロードの道で、神社でしうなら、神域と俗界の境目である。
13:59
古寺山を南から登る。山頂には「清盛の涼み岩」がある。この裏には胎内潜り( 仏像の胎内や洞穴などをくぐり抜けること。生まれ替わりの信仰による民間習俗。)に使用したと思われる穴もある。
この岩のすぐ西側には展望岩があり、山田の里から丹生山系が一望できる。
14:42
古寺山の観音道を下り、踏切を渡り、有馬街道を渡ると
「多聞寺」に着く。かつては、古寺山の山頂にあったが、源氏に逆らって衰退したとか。ここを攻めたのは多田源氏で川西あたりに本拠地を持つ源氏であった。
正式名称は 「六甲山吉祥院多聞寺」 で、山号が六甲山で、出発地点の鷲林寺の山号と同じである。
名前が多聞寺であることから、多聞天こと毘沙門天をおまつりしている。
ここにはカヤの大木もある。
14:45
多聞寺のすぐ前が神鉄六甲駅で、本日のゴールである。全体で9時間を予想していたが、8時間強で完歩できた。コースとしては面白いと思う。六甲の山岳信仰を代表する道だと思われる。

 神戸背山の道へ / HPにもどる