血液の豆知識
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血液の働き

主な血液の役割として、1.酸素・栄養の供給、2.代謝産物の運搬、3.ホルモン・化学物質の運搬、4.免疫細胞の運搬、5.抗体の産生と運搬、6.血管の保護や止血、7.組織液の供給、8.体温の調節があります。
身体をめぐる血液の量は体重の約8%を占めます。心臓から送り出された血液が動脈を通り、毛細血管を経て体の隅々まで送られ静脈を通り心臓へ戻ってきます。このように血液が身体を一回りするのに要する時間は、安静時で10〜20秒ほどです。

血液の成分


血液はどこで作られるか

血液は骨の中心部(骨髄)で作られます。ただし、成人の場合は全身の骨のいたるところで血球が作られているわけではなく、胸骨や骨盤などの身体の中心部にある骨髄で造血が行われています。また、血液は始めから、赤血球や白血球などに分かれているわけではなく、骨髄では造血幹細胞というすべての血球になりうる細胞が作られます。
造血幹細胞がどのようにして、それぞれの役割を持った血球に成長するするかというと血球は自らサイトカインという物質を出し、造血幹細胞はたまたま出会ったサイトカインによって種々の血球へ成長していきます。


リンパ系の仕組み

血管と同様に、リンパ管が全身に張り巡らされていて、この中にリンパ液が流れています。(これらをリンパ系という)
リンパ液は無色透明で、身体の組織間の液体が集まったものです。全身の毛細リンパ管は、集合して段階的に太くなり最終的に1本の太い管となり、首の下の静脈につながっており、ここからリンパ液が静脈に流れ込んでいます。
リンパ管が合流して太くなる部分をリンパ節(リンパ腺)といい、リンパ節は全身に約800個あり、その多くは首とその周辺に集中し、その次に多いのが鼠径部(足の付け根)となります。

身体の防衛機能(免疫)の概要

体内に侵入した異物のうち、比較的大きな細菌類は好中球(顆粒球)によって処理されます。細菌が体内に侵入するとその周りに好中球が集まり、細菌を好中球の細胞内に取り込み、分解・消化します。好中球が働くと化膿性の炎症が起きるのが特徴です。
細菌よりも小さなウィルスはリンパ球による免疫機能が働きます。ウィルス等の極小さな異物が侵入するとマクロファージが抗原が何か調べ、それを提示します。これを受けたヘルパーT細胞が活動の指令を出します。すると、NK細胞(NK=Natural Killer)はウィルスに冒された細胞を攻撃し、死滅させます。また、B細胞は、接着分子である免疫グロブリンを放出して異物を凝集させて処理します。

血液の病気(血液の癌)について

●幼い血球が悪性化する病気(急性白血病)
  急性リンパ性白血病
  急性骨髄性白血病

●成熟した血球が悪性化する病気(慢性白血病)
  慢性骨髄性白血病(顆粒球)
  慢性リンパ性白血病(T・Bリンパ球)
  真性多血症(赤血球)
  本能性血小板血症(血小板)

●その他
  悪性リンパ腫
            リンパ節、その他の身体の部位に腫瘤(固まり)を作る
            (血液中に悪性化したリンパ球が流れる−リンパ性白血病)
  多発性骨髄腫
            形質細胞ががん化し、1種類の免疫グロブリンのみを大量に作り出す(単クローンタンパク)

がん細胞ってどんなもの?

正常に発育している細胞が何かのきっかけで遺伝情報が狂い、細胞全体の成長、老化、周りの細胞との調整など
正常な成長からはずれ、自立的に異常増殖を始めてしまうこと

がん細胞の発生要因
●活性酸素などによる酸化ストレス
  タバコ(タバコは肺がんだけでなく様々ながんの要因となる)
  紫外線、放射線(ガンマ線)など、波長の短い電磁波
●ウィルスの侵入
  ATLウィルス・EBウィルス・B型およびC型肝炎ウィルス、ヒトパピローマウィルス
●遺伝子の変異
  細胞分裂時の遺伝情報の欠陥
●免疫力の低下
  発生した遺伝子異常の細胞を処理しきれなくなる

悪性リンパ腫の豆知識

悪性リンパ腫は白血球のうちのリンパ球が悪性化した病気で、リンパ節の中でがん細胞が増えてリンパ節が腫れたり、臓器にコブのような塊(腫瘤)を作る形で発症します。悪性化した細胞の種類や遺伝子(染色体)にどのような異常があるかによって様々なタイプに分類されます。
大きくは、「ホジキン病」と「非ホジキン病」に分けられ、「非ホジキン」には30以上の種類があります。

●Bリンパ球が悪性化するタイプは
   バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、MALTリンパ腫、濾胞性リンパ腫 など
●Tリンパ球が悪性化するタイプは
   T細胞性リンパ芽球性リンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫 など
 NK細胞が悪性化するタイプは少ない

<症状>
多くの場合、リンパ節の腫れから始まり、無痛(このため、発見されにくい)。
進行すると、発熱、体重の減少、寝汗、全身の倦怠感や全身のかゆみなどの症状が出ることがあります。また、扁桃や
脾臓が腫れてくることもあります。リンパ節の腫瘤によって臓器が圧迫され、その部位の症状によって発見されること
もあります。

<検査>
基本的には「生検」(病理検査)によります。その他に、CT検査、内視鏡、シンチグラフィー、骨髄穿刺(マルク)などの
検査を複合的に行います。

<診断>
・病気の進行の速さによる分類
 「高悪性度」 − 週単位で進行し、症状も激しいが、治療の効果は出やすい。
            (T細胞性リンパ芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫 など)
 「中悪性度」 − 月単位で進行する。
            (びまん性大細胞型リンパ腫 など)
 「低悪性度」 − 年単位で進行する。症状は出ないが治療の効果は出にくい。
            (濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫 など)

・病気の広がりによる分類
  T期  −  リンパ節の腫れが1つのリンパ節のみ。
  U期  −  2つ以上のリンパ節に腫れがあるが、上半身または下半身のみ。
  V期  −  上半身および下半身の両方のリンパ節に浸潤している。
  W期  −  ほかの臓器に浸潤したり、骨髄に浸潤している。

<治療>
治療は化学療法(抗がん剤)を中心として、放射線、造血幹細胞移植などが行われます。
化学療法は、一般的に4種類の薬剤(シクロホスファミド・ドキソルビシン・ビンクリスチン・プレドニゾン)による多剤併用療法が行われ、使用する薬剤名から「CHOP療法」といわれる。
「CHOP療法」は3週に1回の割合で、合計8コース行われる。これに、リツキシマブという副作用の少ない薬剤をあわせ「R−CHOP療法」が用いられる。

※「低悪性度」のリンパ腫の場合は、抗がん剤が効きにくいという難点があります。そのため、V期〜W期で症状もなく進行もみうけられない場合は、定期的な診察を受け、経過を観察していき、症状が出た時点で化学療法を開始するという選択もあるようです。