日本発達障害ネットワークフォーラム講演報告へ戻る

JDD Net代表あいさつ」
日本発達障害ネットワーク代表 (LD親の会会長)山岡修

本日設立総会が行われ発足した。本会の特徴はアスペ・エルデの会、えじそんくらぶ、EDGE、全国LD親の会、日本自閉症協会など当事者の会の他に、地方の組織も参加して組織するところにある。昨年、発達障害者支援法が成立したが、絵に描いた餅に終わらせないようにするのが我々の役割である。当事者は様々な要求を持っているがかなわない。JDD Netは当事者達の夢がかなうように努力したい。

「日本発達障害ネット(JDD NET)の発足」
石井哲夫(日本自閉症協会会長)

発表内容は著作権の関係で予稿集から転記できない。以下聴講報告。
これまで前記の5団体が発達障害者支援法の制定のために努力してきた。関係団体の代表として挨拶する。
日本自閉症協会はこれまで主に知的障害者のために支援を行って来た。今後は自立の支援について模索することになる。自閉症のうちアスペルガーの方は小さい頃から自分達はなぜだか分からないが、周囲のいじめの対象になってきたと感じて、傷ついて来ている。高機能の方においても、最初は就労できても、不適応により、次第に仕事ができる環境でなくなる。私もある支援団体に所属しているが、アスペルガーの方の悩みは想像を絶するものがある。親の問題で家庭が困っている場合もある。
法案制定の時、議員に言われたが、支援団体同士が仲たがいすることなく、協力しなければならない。
現在、国から地方自治体に施策が降りてきている。差別を恥と思って一致団結して障害者の支援および障害者の連帯を進めていかなければならない。

祝電:日本障害者協議会会長、橋本竜太郎(名誉顧問)、事務局長衆議院議員福島豊、他


記念講演1.「発達障害をめぐる理解と課題−基本理念を中心に」

栗田廣(東京大学名誉教授、全国療育組織センター、医学博士)

  発表内容は著作権の関係で予稿集から転記できない。以下聴講報告。
 先生は発達障害全般について説明された。以下その内容。発達障害と近縁者の有病率でそれぞれの障害と遺伝の関連について触れたものの、発達障害の病因については依然特定されていないのが現状である。また、医学的治療についても触れたが、基本的に発達障害の治療方法はなく、わずかであるが、現状知られている治療方法のあるものもある。特に合併症について以下の方法は有効だそうである。
1.発達障害の場合、てんかん(てんかんとは一般に知られているものではなく、医学的な用語としては、脳波の異常を言い、普通に見られる脳波以外の脳波を持つ場合を言う。重篤なものでは、突発波と言って、瞬間的に意識を失ってしまう場合もあるが、軽傷なものでは、バックグラウンド脳波にアルファ波を持たず、ベータ波の優位なものも含まれる。聴講者の注釈)を合併することがあるので、薬剤を用いて治療することは現代医療では当たり前に行なわれている。
2.広汎性発達障害の場合は攻撃的になる場合があるので、攻撃性の治療のために薬物を用いて治療を行なう。
3.精神障害を併発した場合は、精神病治療薬を用いる。
  特に先生は広汎性発達障害について触れておられた。高機能広汎性発達障害いわゆるPDDは三つ組みの障害でほとんどが知的障害が無く(IQ>70)早期療育・教育・就労支援によって変化する場合があるが、学校教育終了以後の課題が多く、わが国の現状では、職業的、社会的予後が良くないそうである。
  DSMWとICD−10ではDSMWの方がよく整理されており、その中でも、PDDNOSはICD−10で特定不能の広汎性発達障害と分類されているのに対して、DSMWでは非定型広汎性発達障害(または非定型自閉症)と分類されており、診断に用いやすい。先生はこれを使用されているそうである。
  先生の気にしておられたのは、海外ではPDDNOSとして診断される障害者がPDDの1/2いるのに対して、日本ではPDDNOSがほとんど診断されず、アスペルガーとして診断されているのではないかということであった。信頼できるイギリスの診断結果の報文を引用し、比率的にPDDNOSがPDDの1/2、アスペルガーはPDDの13%(全体の約0.1%)の比率であるのに対して、(日本ではアスペルガーが全体の0.3%〜0.4%と言われている。聴講者の注釈)アスペルガーが多く診断されている。この多くアスペルガーと診断されている障害者は実はPDDNOSではないかという疑問を持っておられた。どちらも高機能であり、診断は難しいそうである。
  診断相互間の関係は、例えば、PDDの診断を受けた人で、ADHDの診断基準を満たす人はいるが、同時に診断することはなく、診断はあくまでPDDとなる。このように、自閉症スペクトラムの診断とADHD、LDの診断基準を同時に満たす人は実際にいる。しかし、診断はあくまで、DSMWの診断基準に沿って行なわれるべきであって、下位の特徴が強くても、上位の基準を満たしていれば、上位の診断で診断するべきではないかということである。
  以上のように、児童の取り巻く状況は必ずしも良くなく、何らかの障害を持つ児童は10%はいる。今後この児童の支援をいかに行なっていくかが、大切である。