フォーク 自転車 探険!

概要 操縦管 ブレード トレイル フォークオフセット
トレイル 計算器 フォークの強度 サスペンションフォーク ツインブレードフォーク 1本足フォーク
貫通軸 操縦安定性能試験 フォーク幅および長さ タイヤすき間 下管すき間
空気抵抗 フォーク交換とヘッド角 工具(弓のこ案内) ジャイロ効果 治具(ジグ)

概要

  前輪の両側にあって、先端の爪に前輪の車軸が付いている管をフォークと言う。食事用のフォークと形状が似ている。フレームはフォークで支持されている。
フォークは操縦管、肩(クラウン)、ブレードおよび爪(つめ、フォークエンド)で構成されている。 操縦管はフォーク肩の上部に付いていて、フレーム先端の頭管(ヘッド管、ヘッドチューブ)に差し込まれ、上下の玉軸受け(ヘッドセット)によって軽く回転する。操縦管にはステム(ハンドル支柱)が付き、ステムにハンドルが付く。
  フレームの頭管、従って操縦管およびハンドル支柱は、垂直に対して傾いている。
この地面との傾き角は、ヘッド角またはキャスター角と言う。ヘッド角は60°〜75°であることが多い。
  フォークはその下部において、前方に曲がっている。この曲がりは、衝撃吸収作用を持つと同時にオフセットを作り出している。前輪の軸芯と操縦軸延長線の距離(前輪軸心から操縦軸線に下ろした垂直線の長さ)はフォークオフセット(または単にオフセット)と言う。オフセットによりハンドルの動きが軽く早くなる。

操縦管

名称 直径 長さ 材質 ステムライザー 操縦管シム

表1  操縦管の寸法例
外径 内径 肉厚 主用途 記事
mm inch mm inch mm
 25.0     22.0     1.5  旧仏  
 25.4   1  22.2   7/8    1.6   ロード車  ISO、JIS 
 28.6   1-1/8   25.4   1  1.6  MTB、ロード車  
 31.8   1-1/4   28.6  1-1/8   1.6   特殊 MTB  
  • 名称
      操縦管は次のようないろいろな名称でも呼ばれている。ステアリングチューブ、ステアラーチューブ、ステアラー、ステアリングコラムまたはフォークコラム。

  • 直径
      操縦管の外径及び内径等を表1に示す。

  • 長さ
      操縦管長さはメーカーによって異なるが、230〜400mm。中でも300mmが多い。
        ねじ無しヘッドセットを使う場合の操縦管の長さは、次式で計算する。又は仮組みして決める。すき間は3mmとする。
          操縦管長さ = 頭管長さ + スタック高さ + スペーサ高さ + ステム高さ − すき間
      新品のフォークの操縦管は、どのような頭管等にも合うように長めとなっているので、取り付けるときは頭管、ヘッドセット及びステムに合わせて弓のこで切断する。

  • 材質
      操縦管の材質は、アルミ合金、クロモリ鋼、チタン合金または炭素繊維強化樹脂(CFRP)など。
    CFRP(俗にカーボンと呼ばれる)操縦管の破損事故(右図は一例)が複数件起きている。このメーカーは対策として次の3点を挙げている。 (1)ボルトは所定の順序で締めること。(2)ボルトはトルクレンチで所定のトルクで締め、締め過ぎないこと。(3)ステムの上下に所定のスペーサーを入れること。

  • ステムライザー
      ハンドルを高くするために、操縦管を長くしてステム位置を高くする補助部品。ステムレイザーとも言う。
    ねじ付きヘッドセット用及びねじ無しヘッドセット用がある。
    ねじ無しヘッドセット用は操縦管のステムを外し、ステムライザーを付け、
    その上部に外したステムを付けることによってステム位置、従ってハンドルを高くする。
    最大上げ高さは30mmおよび80mmなどがある。ライザーを操縦管に締め付けるボルト数は、1本及び2本がある。

  • 操縦管シム
      外径25.4mm(1")の操縦管(ステアラー)に被せて外径を28.6 mm(1-1/8")に太くして、
    28.6 mmのステムが使えるようにするシム。 材質はアルミ合金など。ステアラーシムともいう。


ブレード

定義 種類 ブレードに働く力 縦横比 空力ブレード ブレーキ座 変位 材質
  • 定義
      フォークの本体である肩(クラウン)とつめの間の部分をブレードという。ブレードは刀身のこと。中空となっている。

  • 種類
    曲がり(カーブ)ブレードおよび真直ぐ(ストレート)ブレードがある。断面形状は楕円状及び長方形状がある。

    曲がりブレード
      ブレードを円弧状又は楕円状に前方へ曲げている。曲がりの始点は、メーカーによって異なり、ブレードの上から1/3〜2/3の位置。曲がりブレードは曲がりによってフォークオフセットを作っている。
    また、曲がりによって路面からの振動を吸収することを意図しており、長距離走行に向いている。

    真直ぐブレード
      曲がっていない真直ぐなブレード。真直ぐブレードは振動吸収性に乏しいが剛性が大きく、競技車に向いている。
    オフセットは、操縦管中心線に対して、ブレードを前方に傾けて作る(右図)。製造原価は曲がりブレードより安くなる。

  • ブレードに働く力
      フォークには、リムブレーキ掛けによって前後方向の曲げ力が働く。その大きさは車軸から遠いほど大きく、フォーク肩において最大となる。
    従って、ブレードは車軸(爪)からフォーク肩に向かって太くなっている。言い換えれば、軽量化のために先に行くほど細くなっている。
      前輪にディスクブレーキが付いている場合のフォークの曲げ力は、車軸部において最大となるため、軸部においても太いディスクブレーキ用のフォークが必要となる。
      ブレーキ掛けによってブレードに働く縦方向(前後方向)の力は、コーナリングにおいてブレードに働く横方向の力より大きい。そのため、縦幅は横幅より大きくしている。

  • 縦横比
      縦幅Lと前幅(横幅)Dの比L/Dは縦横比またはアスペクト比と呼ばれ、L/D=2前後となっている。

  • 空力ブレード
      空気抵抗に影響する前面投影面積を減らすために前幅Dを狭くし、 強度を確保するため縦幅Lを広くしたブレードを持つフォークは空力フォーク(エアロフォーク)と呼ばれることがある。 アスペクト比L/D=3〜4のものが多い。タイムトライアル車およびトライアスロン車などの高速で走る競技車に使われる。

  • ブレーキ座
      フォークにVブレーキまたはディスクブレーキを取り付けるためには、その座が必要。
    ディスクブレーキ座は、そのディスクキャリパー取り付けの2本のボルト間隔の違いによって、ISマウント(ボルト間隔51mm)及び
    ポストマウント(ボルト間隔74mm)がある。 ISマウントにポストマウントのキャリパーを取り付けできるようにするキャリパーアダプターがある。

  • 変位
      11社のフォークに関し、フォーク操縦管をクラウンから50mmの位置で水平に固定し、 つめにハブを付けて22kgfの荷重を上下方向(走行時の後変位)及び横方向にそけぞれ加えたときの変位をグラフに打点して右図に示す。
    ただし、実際の走行においては、このような大きな前後方向及び横方向の荷重が加わることはない。
    荷重が1/10の場合は、変位も1/10となる。

  • 材質
      ブレードの材質は、アルミ合金、クロムモリブデン鋼(クロモリ鋼)、チタン合金および炭素繊維強化樹脂(CFRP、俗に言うカーボン)など。

トレイル

定義 特性 実例 トレイルの要因 負のオフセット
  • 定義
      操縦管芯線(操縦軸または頭管軸)を延ばして路面と交わる点と前輪タイヤの接地中心点(ハブ軸から垂直に降ろした線の接地点に等しい)の水平距離はトレイルと言う(右図)。トレイルは引きずるという意味。 操縦軸と路面の交点の後方に前輪タイヤの接地点があるから。
      なお、トレイルのことをトレールというのは誤り。

  • 特性
      トレイルが長いと、直進走行の安定性が良い。ハンドルから手を離しても直進するのは、トレイルが長いため。トレイルが20mm以上あれば感知できる。 シティ車お、旅行車およびマウンテンバイクは走行安定性を重視してトレイルが長い。一方、トレイルが短いと、操縦性が良い。トレイルが短いとハンドルから手を離すとどちらに向くか分からないので、無意識であるが常に操縦する必要があると同時に操縦しやすい。
      走行中に自転車を傾けると、トレイルの存在によりハンドルは傾けた方角に切られる。この働きによって容易に曲がることができる。この傾向はトレイルが長いほど大きい。 立ち漕ぎをして自転車を左右に振ると、理論上はハンドルが左右に切られるために自転車の進路は左右によろめくはずであるが体感できる程のものではない。

  • 実例
      各メーカーの寸法図のデータを使って、下記のトレイル計算器でトレイルを計算し打点したグラフを右図に示す。そのうちメーカー2社はトレイルを記載している。 トレイルの平均を計算すると、 ロード車(黒点)は57mm、クロスバイク(緑点)は68mm、マウンテンバイク(赤点)は76mm、シティ車(青点)は78mmそして旅行車(黄点)は79mmである。ただし、旅行車は2例しかないので、旅行車全体の平均を表しているか不明。
      全体的にフレームサイズ従ってホイールベースが長いと、トレイルは短くなっている傾向が見られる。ロード車において、走行安定性と操縦性の妥協点となるトレイルは約57mm。ロード車は用途が各種あるので、トレイル57mmを中心にして上下にばらついている。 マウンテンバイクはオフロードの悪路からの外乱に対処するためにロード車よりも走行安定性を重視していることが分かる。トレイルは用途(クロスカントリーなど)によって異なり、特に丘下り(ダウンヒル)用は相対的にトレイルが長い。
      ロード車とマウンテンバイクの雑種(ハイブリッド)であるクロスバイクのトレイルは、ロード車とマウンテンバイクのほぼ中間の値となっている。
    自分の自転車のトレイルを右のグラフに打点すると、グラフの自転車全体における相対的な位置が分かる。

  • トレイルの要因
      トレイルは下のトレイル計算器で分かるように、ヘッド角、オフセットおよび前タイヤの外径の3要因で決まるので、 1つの要因のみを見て評価することは出来ない。
    なお、ヘッド角はキャスター角とも呼ばれ、オフセットはフォークオフセットまたはレイクとも呼ばれる。

    • ヘッド角(右図)。
        ヘッド角が小さいとトレイルは長くなる。ヘッド角が大きいと操縦性が良くなる傾向となるが、それはトレイルを短くする1つの要因(短トレイル)。
        タイヤ700Cそしてオフセット50mmの場合のヘッド角とトレイルの関係をグラフにして右図に示す。なお、タイヤまたはオフセットを変えればこのグラフも変わる。

    • オフセット(右図)。
        オフセットは操縦管中心線(延長線)と前輪軸心との垂直距離。一般には、フォークを前方へ円弧状に曲げることによって、オフセットを作る。
      4種類のオフセットのフォークを用意しているフォークのメーカーがある。
      オフセットが短いとトレイルは長くなる。オフセットが長いとトレイルも長いと直感的に思いがちであるが、実際はその逆となる。
      右図でオフセットを長くすると、トレイルは短くなるのが分かる。
        台車などに使われる右図のようなキャスターは、操縦軸が垂直(ヘッド角90°)になっておりトレイルはオフセットと等しい。 この場合はオフセットが長くなるとトレイルも長くなる。
        タイヤ700Cそしてヘッド角73°の場合のオフセットとトレイルの関係をグラフにして右図に示す。ヘッド角等を変えればグラフも変わる。

    • タイヤ外径
        タイヤ外径が大きいとトレイルは長くなる。フレーム及びフォークはそのままで、タイヤのみ小さくするとトレイルは短くなる。 従って、タイヤを大きさの異なるものと交換すると、トレイルは変わる。

  • 負のオフセット
      ステイヤー競技において、先導するオートバイと一組になって走るための競技用自転車(ステイヤーバイク)は、負のオフセットとなっている。   オートバイの運転手は自転車競技者に最大のドラフティングを与えるようにオートバイで立って運転する。 自転車はドラフティングを得るために、できるだけオートバイに近づけるよう、前輪は小さくしかつヘッド角を大きくしている。 これはトレイルが小さくなる要因であるので、トレイルが小さくなって不安定となるのを補償するために、オフセットが逆(負)になる逆フォークを付けてトレイルを大きくしている(右図)。
      ステイヤーバイクに関し、オフセットがマイナスの場合のトレイルとの関係をグラフにして右図に示す。 オフセットが負の領域では、その絶対値が大きいほどトレイルも大きくなる。

フォークオフセットの作り方

D. オフセット
B. C. オフセット
A. オフセット
  フォークオフセットを作るために、現実に使われている方法には次のようなものがある。
  • A. フォークを前方へ曲げる(最も一般的、図A)。
  • B. 操縦管に対して、フォークを前方に偏心して付ける(図B)。
  • C. 前輪軸の付く爪芯をフォークに対して前方に偏心する(図C)。
  • D. 操縦管に対して、フォークを前方に傾けて付ける(図D)。
  オフセットは前輪軸心と操縦管軸心(延長線)との距離であり、フォーク線との距離ではないことに注意する。
また、形状とは無関係。マウンテンバイクは緩衝器(ショックアブソーバー)の取り付け等のため、フォークを曲げてないものもあり、上記の1つ又は2つの組合せでオフセットを作っている。 B.項とC.項のオフセットが同時にある場合は、 オフセット = B + C となる。

トレイル 計算器

  タイヤ外径( 「タイヤ寸法」)、ヘッド角(キャスター角)およびフォークオフセットを半角数字で入れて、[計算]を押して下さい。
  トレイルが出ます。
  トレイル  
計算器
   タイヤ外径     ヘッド角   フォーク オフセット     トレイル   
 mm   度  mm  mm
[ 計算例1 ]
 
  自転車Aはタイヤが700x28C(タイヤ外径678mm)、ヘッド角73度そしてフォークオフセット45mmである。そのトレイルを求める。
トレイルは57mmとなっている。

[ 計算例2 ]
 
  計算例1において、前輪および後輪のタイヤを700x35C(タイヤ外径692mm)と交換すると、トレイルはどう変わるか求める。
トレイルは59mmとなる。

フォークの強度

  JIS D9402(自転車用前ホーク)によれば(右図)、フォークの操縦管をVブロックで水平に支えて、車軸取付部に取付けた軽量ローラの中心に、操縦管中心線と垂直方向にたわみが65mmになるまで荷重を加えたときのエネルギー吸収は40J(ジュール)以上でなければならない。また、亀裂および損傷が生じてはならない。

サスペンションフォーク

概要 機構 ばね 形式 クラウン数 トラベル 調整 フォークブーツ
  • 概要
      サスペンション(緩衝器)の付いたフォークで、主にマウンテンバイクに使われる。 サスペンションフォークはタイヤとクラウンの間にトラベルの空間を確保しなければならないので、フォーク全長は長くなる。そのためフレームの頭管位置も高くなる。
  • 機構
      機構としては、荷重を支持し路面の凹凸に応じて動くばねおよび衝撃エネルギーを吸収する減衰器(ダンパー)を組み合わせたものが一般的。 ばねとしては金属製のコイルばね又は空気ばねが使われる。減衰器は、フォークが受けた衝撃力によって流体(作動油)をオリフィスまたは弁を通して流して衝撃エネルギーを吸収して熱に変える。

  • ばね
      ばねとしては、コイルばね又は空気ばねが使われる。

    • コイルばね
        コイルばねは荷重と変位の関係が直線的で、主に丘下り用のマウンテンバイクに使われる。

    • 空気ばね
        空気ばねはコイルばねより軽く、クロスカントリー用のマウンテンバイクに使われる。摩擦(スティクション)により、ばね特性は非線形となる。

  • 形式
      大部分のサスペンションフォークは内筒が上に付いているが、内筒が下に付いている形もある。この形の利点は、内筒は外筒より細いので可動部が軽量になること、及び大きな曲げ力の働く上部に太い外筒がくること。 しかし、リムブレーキは外筒部に取付けることとなるので、ブレーキに対して車輪が上下に動くことになり、リムブレーキは機能しない。従って、対応できるブレーキはディスクブレーキのみとなる。
      操縦管(ステアラー)に付けたサスペンションがある(右図)。トラベルは28mmと短い。

  • クラウン数
      クラウンの数で分類すると、単(シングル)クラウン及び複(ダブル又はデュアル)クラウンがある。

    • 単クラウンフォーク
        クラウンの数が1つである標準的なフォーク。

    • 複クラウンフォーク
        クラウンが上下に2重(2箇所)にある二重クラウンフォーク。単(シングル)クラウンフォークよりサスペンションのトラベルを長くすることを目的としているが、 強度も大きくなっている。トラベルは、180又は200mmなど。質量は単クラウンフォークより大きい。
      丘下り(ダウンヒル)およびフリーライドのマウンテンバイクに使われる。デュアルクラウンフォークともいう。

  • トラベル
      トラベル(ストローク)の目安は丘下り(ダウンヒル)用が80mm以上そしてクロスカントリー用が80mm以下。トラベルが大きいほど衝撃エネルギーの吸収は大きいが、 フォークが重くなるので、クロスカントリー用には長トラベルのフォークは使われない。

  • 調整
    • 圧縮調整
        圧縮(コンプレッション)される速度を調節する。初期の設定はノブを最小と最大の中間とする。過度にローに設定すると、衝撃で底つきを起こす。
      過度にハイに設定すると、大きな衝撃においても十分に圧縮されず、腕や肩に大きな衝撃が伝わる。

    • 戻り調整
        圧縮された後の戻り(リバウンド)速度を調節する。
      初期の設定は、停止時にハンドルでサスペンションを押して離した時に 手がついていける戻り率とする。
      過度にハイに設定すると、次の衝撃が来る前に先の衝撃から回復しない。過度にローに設定すると、大きな衝撃において跳ね返りが大きい。

    • 沈み調整
        予荷重(プリロード)を与えて体重によるサスペンションの沈み(サグ)を調整する。沈みは空気ばねまたはコイルばねの予荷重を変えることによって設定できる。
        沈みによって、地面のへこみのあるところへタイヤが来たときに、フォークが伸びてタイヤが地面と接触を保つようにする。
        沈みを測定するには、内筒に結束バンドを一時的に取付けて乗り、結束バンドが動いた距離を測る(右図)。
      沈み率(サグ率)=100% x 沈み/ストローク
        沈み率は20〜30%が一般的。クロスカントリーはエネルギー損失を少なくする必要があり、地面の凹凸も小さいので、沈み率は小さくする。
      フリーライドおよび丘下りなどの地面の凹凸の大きい用途には、沈み率を大きくする。

  • フォークブーツ
      ブーツはサスペンションフォークの内筒に被せるブート(円筒または蛇腹状の防護カバー)の複数形。
    マジックテープの付いた伸縮性のシートを巻きつける形(右写真)もある。
    サスペンションチューブの土砂、水などからの保護およびシールの寿命向上のために付けることがある。材質はネオプレンなど。

ツインブレードフォーク

  フォークの左右のブレードを、それぞれ2個で構成し、その間にすき間(右写真は0.9mm幅のすき間)を設けた形式。
風洞テストによると、前輪に当たる乱流が減少して、速度50km/hにおいて前輪の抗力がエアロフォークに比べて20%強減少するとのこと。タイムトライアルバイクに使われることがある。

一本足フォーク

  軽量化などのためにフォークブレードが1本のフォーク。
シングルブレードフォーク及びモノブレードフォークとも言う。
サスペンションの付いた形がある。
レフティフォークと名づけているメーカーがある。
ホイールを外さずにパンク修理ができる。
図は1本足フォークを付けた自転車。











貫通軸

 前輪軸径 ハブOLD主用途
15 100 クロスカントリー 
20 110、120  ダウンヒル
24 118 ダウンヒル
  スルーアクスルともいう。ハブを貫通する軸。ダウンヒル競技用マウンテンバイクの車輪強度及び軸受寿命を上げるために、前輪ハブ軸を9mmのクイックリリースではなく、直径20mmの貫通軸としたのが始まり。 その後、直径15mmおよび24mmの貫通軸も出現している。軽量化のために軸を中空にした形及びクイックリリースの付いた形もある。前輪(フォーク)用の貫通軸の一例を表に示す。 貫通軸を使うハブは貫通ハブ(スルーアクスルハブ)と呼ばれる。

操縦安定性能試験

  • 操縦安定性
      操縦安定性は外乱(路面の不規則、突風又は体の動きなど)が加わっても直進走行に戻る(維持する)性質で、シティ車および旅行車などには重要。
      トレイルが長いほど操縦安定性が良い。ホイールベースの長さは操縦安定性に貢献する。操縦安定性が大きいと、自転車は余計な動きをしないのでエネルギー損失が少なく、早く走ることができる。 人は余計なハンドル操作を必要としないので疲れにくい。
    なお、操縦安定性の良い自転車は大きな曲線を走る時は、その曲線走行を維持しようとする。

  • 試験方法
      JISに「自転車操縦安定性能試験方法」(JIS D9203)があり、それによれば操縦安定性能試験は次のように手放し運転で行うことになっている。
      「助走区間20mを速度10km/hで走行した後、両手放しで幅0.5m、距離10mの測定区間を速度を維持しつつ直進走行したとき、輪跡の幅及びハンドルのふらつき、片切れの有無について行う。」 「試験は乾燥した平たんな舗装路面で、無風状態のもとで行う。」 フォークまたはフレームに目視では分からない程度の変形があっても、手放し運転では直進せず、1方向に曲がる。
    輪跡の幅が狭いほど安定性が良いわけであるが、JISに判定基準の記載はない。

  • フォークの変形の影響
      フォークに左右方向の曲がり(3mm程度の曲がりでも)があると直進しない。
      フォークは左右の対象性があること。具体的には、操縦管の中心線と左右の爪(つめ)との距離(右図のaおよびb)の差は1mm以下でなければならない(「JIS D9402 自転車用前ホーク」)。
      右図の距離aと距離bが異なると、操縦管中心線とタイヤの接地走行線が一致していないため、手放し運転で一方向に曲がる。
      フォークが左右非対称(左右の差が2mm以上)であるとシミーと呼ばれる自転車の横振動の誘発要因となることがある。

  • フレームの変形の影響
      頭管(ヘッドチューブ)が立管(シートチューブ)と同一平面上にないと一方向に曲がる。
    フレームの中心線とタイヤの中心線が一致していない場合も一方向に曲がる。

フォーク幅および長さ

  • フォーク幅
      フォーク幅は、フォーク先端のつめ(フォークエンド)の内面間の距離。前輪ハブのロックナット間距離(OLD)に対応する。 前輪ハブのロックナット間距離はロード車は100mmであるが、マウンテンバイクのディスクハブは100mm及び110mmがある。

  • フォーク長
      フォーク長は、操縦管の中心線と平行に測って、フォーク肩(ヘッドセット下面)から前輪軸芯までの距離。
    フォーク長はタイヤ外径でほぼ決まるがサスペンションが付くとトラベルに対応してフォーク長は長くなる。
    各メーカーのリジッドフォークの長さを右図に打点して示す。黒点はロード車そして赤点はマウンテンバイクである。 フォーク長の平均を計算すると、ロード車は約375mmそしてマウンテンバイクは約430mmである。

タイヤすき間

  フォークとタイヤの間のすき間で、次の2箇所のすき間がある。マウンテンバイク及びサイクロクロスバイクの場合は泥詰まりと関連する。
  a.タイヤ側面
      タイヤ側面(側壁)とフォーク内面間の最小すき間(右図のa寸法)。マッドクリアランスと言う。タイヤ幅が関連する。
  b.タイヤ踏面
      タイヤ踏面(外面)とクラウン内面間の垂直すき間(右図のb寸法)。フォーク長およびタイヤ外径が関連する。
  サスペンションフォークの場合は、トラベルを考慮する必要がある。太いタイヤと交換するときは、交換後も適切なすき間があるか調べることが必要。

下管すき間

  サスペンションフォークのハンドルを90°前後回転したときの、クラウン(フォーク肩)又はトップキャップと下管下部との最小すき間は下管すき間と呼ぶ(右図)。
このすき間がないと、ハンドルを回したときにフォークの回転によりクラウン(フォーク肩)またはトップキャップが下管に当たる。
特に、マウンテンバイクの29erはタイヤが太いためクラウンの幅が大きく、かつタイヤ外径が大きいので下管(ダウンチューブ)の傾きが立っているので、下管すき間が問題となる。 中には、下管に当たらないように、下管を曲げているフレームがある。
下管すき間は、フォークすき間またはクラウンすき間とも呼ばれる。

空気抵抗

  エアロフォークは空気抵抗を減らすために前幅を狭くしている。前幅を狭くすると強度が低下するので、横幅を広くして補償している。
走行速度48km/h(13.3m/s)のときの、風洞で測定したエアロフォークの空気抵抗をグラフに打点して右図に示す。
縦軸は空気抵抗[N]そして横軸はフォークの前面投影面積[cm2]となっている。 一般に、空気抵抗はフォークの前面投影面積に比例する。




フォーク交換によるヘッド角の変化

  フォーク長の異なるフォークと交換すると、後輪接地点を支点として頭管位置が変わるため、ヘッド角が変わる。ヘッド角が変わればトレイルも変わる。
例えば、サスペンションフォークをトラベルの異なるものと交換すると、ヘッド角が変わる。
  次のヘッド角変化計算器によって、ヘッド角が何度変わるかを計算できる。フォークが長くなれば、ヘッド角は小さくなる。

  交換前後のフォーク長およびホイールベースを半角数字で入れて、[計算]を押して下さい。
  ヘッド角は何度変化するかがわかります。
  ヘッド角変化  
計算器
フォーク長  ホイールベース  ヘッド角変化
交換前 交換後
 mm   mm  mm  °
[ 計算例 ]
 
  フォーク長は交換前が375mm、交換後が390mmそしてホイールベースが980mmであるとき、ヘッド角の変化を求める。
ヘッド角は−0.9°変わる。変更前のヘッド角が73°なら、変更後のヘッド角は 73° − 0.9° = 72.1°となる。
ヘッド角が小さくなるので、トレイルは大きくなり、走行安定性は増すが操縦性は低下する。

工具

  フォークの操縦管をその軸と直角に切断するために、弓のこ刃を案内する工具として弓のこ案内(ソーガイド)がある。工具の案内版の下部を万力で固定する。
操縦管を工具の穴に入れて、ハンドルを回してクランプで操縦管を固定する。案内板とカバー板の間の案内溝に弓のこ刃を入れて切断する。 溝はカバー端から5mmの位置にある。
切断に使用できる操縦管の外径は、25.4mm(1")、28.6mm(1-1/8")および31.8mm(1-1/4")。
弓のこの歯数は、金属管用が24歯/25.4mmそして炭素繊維強化樹脂用が32歯/25.4mmが適当。木材用ののこぎりは引いて切るが、金属用の弓のこは押して切る。

ジャイロ効果

  ジャイロ効果とは、回転体(自転車の場合は車輪)が角運動量を保存しようとする働きで、回転体の回転数および質量が大きいほど効果が大きく、次のような効果がある。
  • 回転体は回転軸の向きを保とうとする。
  • 回転軸の向きを変える力が働くと、その力の方向と直角方向に回転軸が動こうとする(加えられた力に対して角運動量を保存しようとするため)。
  ジャイロ効果は次のように自転車にとって望ましい面もあるが、車輪の回転数が小さいため、トレイルの効果などに比べると、相対的に無視してよいほどの小さい効果しかない。
  • 直立安定走行
      前輪、後輪共にジャイロ効果によって、直立状態を維持しようとする(倒れない)。
  • 曲がりの手助け
      曲がろうとして自転車を傾けると、前輪も傾くので前輪のジャイロ効果により、前輪(従ってハンドル)は操縦管を軸にして曲がる方向に回ろうとする。
  望ましくない面としては、下り坂の高速走行においてジャイロ効果がシミーと呼ばれる横振動の原因となることがある。

治具

  金属製のフォークの製作にフォークジグが使われることがある。
フォークジグは、フォークの組立、溶接又は加工を行うために、その構成要素を所定の正確な位置に固定する装置。
治具(じぐ)という当て字が使われる。
右図はフォークジグ2例。
左図のジグは操縦管、ブレード及びハブ軸を固定している。
右図のジグは操縦管、及びハブ軸を固定し、ブレードは支持している。